(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水ガラスの発泡剤を有する発泡原料を加熱発泡させた発泡部材が固形部材の内表面に接着接合された発泡接着接合体において、前記固形部材は外部と連通した空隙部からなるガス排出路を有し、前記発泡部材が前記ガス排出路に充填されることにより固形部材の内表面に接着接合されており、前記発泡部材を外部から封止する封止部材を備えていることを特徴とする発泡接着接合体。
【背景技術】
【0002】
固形部材の内表面に発泡部材を接着接合させる
発泡接着接合体が種々知られている。
【0003】
例えば、特許文献1にて、水ガラスを発泡剤として熱可塑性樹脂を混合させて発泡原料とし、熱可塑性樹脂の固体(固形部材)をこの発泡原料と同じ熱可塑性樹脂で形成し、固形部材とこの発泡原料とを金型内に密封加熱して熱可塑性樹脂の連続気泡発泡部分に含む水ガラスを除去して熱可塑性樹脂の単一素材の連続気泡発泡部分を有するように発泡部材と固形部材とを熱融着させた成形品が提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1には、固形部材を溶融させずしかも固形部材にガス排出路を形成して発泡部材を各種の素材でできた固形部材に接着接合される発泡接着接合体は開示されていない。
【0005】
そこで、固形部材を熱溶着させないで水ガラスを発泡剤とした発泡部材と固形部材とを接着接合させる接合体が、特許文献2にて提案されている。この特許文献2は、メタルフープ材を膨張黒鉛のフィラー材と共に渦巻状に巻いて輪形に形成したガスケット本体と金属製外輪とからなる渦巻型ガスケットにおける接合体で、ガスケット本体の外周部位の隙間部分に珪酸ソーダ(水ガラス)、硼酸ソーダ(硼砂)のように、加熱されると結晶水を放出して発泡する無機質発泡遮断材(発泡部材)が形成されて、遮断効果を高めている。
【0006】
しかし、特許文献2の接合体は、水ガラスの発泡剤を加熱発泡させることによる接着接合は行われているが、発泡部材をガスケット本体の外周部位の隙間部分に詰め込んで発泡充填させる構成であり、ガスケット本体と金属製外輪とを固形部材とみなしても固形部材にガス排出路を形成して、水ガラスの発泡剤を加熱発泡させて発泡部材をこのガス排出路に充填して固形部材の内表面に接着接合させる構成ではない。
【0007】
また、
露出孔が形成された固形部材と加熱発泡する発泡部材との関係において、特許文献3にて、加熱発泡性を有する樹脂材料によって形成された樹脂成形部の両面に金属材料によって形成された二つの外板部が接着剤や粘着剤を用いて積層されたセパレータにおいて、この外板部が折り曲げられたフランジ部に露出孔が形成されており、フランジ部の外面と車体フレームの内周面とが接合された車体において、樹脂成形部は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂に加熱発泡性の発泡剤が含有されることにより形成されており、車体が加熱され、樹脂成形部の温度が上昇して発泡し、特許文献3の
図6に示すように、樹脂成形部の一部がフランジ部の露出孔から露出され、発泡が終了すると、
露出された樹脂成形部が車体フレームとセパレータのフランジ部との間の隙間が露出孔から露出された樹脂成形部によって埋められることにより、樹脂成形部の内部には発泡によって多数の気泡が形成される車体の吸音機能を確保して遮音性能の向上を図る車体の遮音構造が提案されている。
【0008】
しかし、特許文献3の車体の遮音構造
における露出孔は、外板部と樹脂成形部とは接着剤や粘着剤を用いて積層されて外板部のフランジ部に形成された露出孔から樹脂成形部が露出される作用を有するが、外板部のフランジ部が固形部材に相当し、樹脂成形部が発泡部材に相当するとしても、固形部材の内表面に発泡部材が接着剤を用いないで接着接合される作用を有するように露出孔をガス排出路として用いて、発泡部材をその発泡による吸音機能を確保することのみでなく、接着接合機能を確保することは開示されていない。【0009】
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態1で
図2のA−A断面図である。
【
図2】本発明の実施形態1で発泡接着接合体の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態1で発泡接着接合体の正面図である。
【
図4】本発明の実施形態1で
図5のB−B断面図である。
【
図5】本発明の実施形態1で固形部材の平面図である。
【
図6】本発明の実施形態1で固形部材の正面図である。
【
図7】本発明の実施形態1における発泡接着接合体の成形作業を準備する段階の成形型内の断面図である。
【
図8】本発明の実施形態1における発泡接着接合体の成形作業を行う段階の成形型内の断面図である。
【
図9】本発明の実施形態1における発泡接着接合体の成形作業を行って成形された発泡接着接合体を成形型から取り出す作業を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施形態1で封止部材による防水処理を施す作業状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の実施形態1で封止部材による防水処理を施した発泡接着接合体の断面図である。
【
図13】本発明の実施形態2で発泡接着接合体の平面図である。
【
図14】本発明の実施形態2における発泡接着接合体の成形作業を準備する第1段階の成形型内の断面図である。
【
図15】本発明の実施形態2における発泡接着接合体の成形作業を準備する第2段階の成形型内の断面図である。
【
図16】本発明の本発明の実施形態2における発泡接着接合体の成形作業を行う段階の成形型内の断面図である。
【
図17】本発明の実施形態2で封止部材による防水処理を施す作業状態を示す断面図である。
【
図18】本発明の実施形態2で封止部材による防水処理を施した発泡接着接合体の断面図である。
【
図20】本発明の実施形態3で発泡接着接合体の平面図である。
【
図21】本発明の実施形態3で固形部材の平面図である。
【
図23】本発明の実施形態3における発泡接着接合体の成形作業を準備する第1段階の成形型内の断面図である。
【
図24】本発明の本発明の実施形態3における発泡接着接合体の成形作業を準備する第2段階の成形型内の断面図である。
【
図25】本発明の実施形態3における発泡接着接合体の成形作業を行う段階の成形型内の断面図である。
【
図26】本発明の実施形態3における発泡接着接合体の成形作業を行って成形された発泡接着接合体を成形型から取り出す作業を示す断面図である。
【
図27】本発明の実施形態3で封止部材による防水処理を施した発泡接着接合体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
図1〜
図6を参照して、水ガラスの発泡剤を有する発泡原料を用いて、この発泡原料の水ガラスを発泡させた発泡部材が固形部材の内表面に接着接合された発泡接着接合体の構成を説明する。
【0016】
図1〜
図3において、固形部材1の内表面(
図1では下面)には発泡部材2が接着接合されている。発泡部材2は水ガラスの発泡剤を有し、この水ガラスは加熱されると水蒸気を含むガス(以下、ガスという)を発生しながら膨張し固化して、
後述するように、固形部材1に接着する作用があり、水ガラスの発泡剤を有する発泡原料として、好ましくは、引用文献1に例示されたポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂、ABS樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂およびフッ素樹脂のような熱可塑性樹脂粉末と混合したものを素材としており、この発泡原料の素材は後述する実施形態2および実施形態3に示す後述する実施形態2および実施形態3に示す発泡原料の素材も同様である。
【0017】
そこで、
図4〜
図6は、固形部材1を加熱により溶融させる必要はなく、接着剤を用いないで水ガラスの発泡剤を有効に活用して発泡部材2を固形部材1に接着接合させる発泡接着接合体が得られるように、固形部材1の内表面に外部と連通して形成された空隙部からなり、発泡部材2を充填させるガス排出路の構成を示す。
【0018】
図4〜
図6において、固形部材1には内表面(
図4においては下面)から外表面(
図4においては上面で、外部となる)に連通した貫通孔でできたガス排出路11が形成されており、この貫通孔のガス排出路11は内表面の部位が外表面よりも径大となった台形状で形成されている。さらに、固形部材1の内表面にはこの貫通孔のガス排出路11と連通した縦横方向に凹条溝の空隙部でできたガス排出路12、13が形成されている。このように、固形部材1に形成された貫通孔のガス排出路11および凹条溝の空隙部からなるガス排出路12、13は外部と連通している。この固形部材1の素材は、後述する実施形態2および実施形態3に示す固形部材の素材も同様で、金属材(例えばステンレス、鉄(含む合金)、アルミニウム(含む合金)、銅(含む合金))、木材(例えば、檜、杉、松、合板ベニヤ)、ゴム材、陶磁器材、セラミック材、ガラス材さらにはエンプラ(エンジニアリング・プラスチック)を含む熱可塑性樹脂材(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂)や熱硬化性樹脂材(例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂)である。特に、固形部材の素材が木材(例えば、檜、杉、松、合板ベニヤ)であれば、その内表面を平滑にする
仕上げ加工をせず粗面の状態にして固形部材1の内表面から前記外表面(外部)に連通して通気性をもたせる特性を利用してこの木材の特性を貫通孔に代えてガス排出路としてもよい。固形部材1の形状は矩形状を示すが、円形状や曲面形状など任意の形状を選択できる。また、平板の素材を例示しているが、立体形状の素材であってもよい。上記のような素材や形状は発泡接着接合体の用途により選定すればよい。
【0019】
以上のような水ガラスの発泡剤を有する発泡原料を用いた発泡部材2と固形部材1とで発泡接着接合体を構成しており、この発泡原料が固形部材1の内表面で加熱発泡されることにより、外部と連通するように形成されたガス排出路11、12、13は発泡部材2が充填される
作用により充填部21、22、23となり、その端部の発泡部材2はその外周面2Aおよび下面2Bとともに固形部材1の外部に露出している。このようにして発泡部材2は露出部を有するようにガス排出路11、12、13に充填されて固形部材1の内表面に接着接合された発泡接着接合体が得られる。この場合、固形部材1と発泡部材2とを接着接合させる構成として、図示しないが、発泡部材2の下面2Bにも他の固形部材1の内表面に接着接合させてもよい。なお、実施形態1においては、空隙部でできたガス排出路として、貫通孔と凹条溝とを組み合わせた構成を示すが、貫通孔のみの空隙部または凹条溝のみの空隙部でできたガス排出路としてもよい。
【0020】
(成形方法)
図7〜
図9は、成形型を用いて水ガラスの発泡剤を有する発泡原料が加熱発泡されることにより、固形部材1と発泡部材2との接着接合された発泡接着接合体を得る作業状態を示す。
【0021】
図7において、鉄材でできた上端が開口した箱型枠からなる成形型3は、上下端が開口した筒部3Aと筒部3Aの下端を閉塞する着脱自在な底部3Bとからなり、成形型3の上面(開口した上端を閉塞する端面)と下面(底部3Bの下面)とにそれぞれ熱板4および熱板5が着脱自在に配設されている。この成形型3の筒部3Aの内壁にはフッ素樹脂コーティングなどの離形処理が形成されている。また、熱板4および熱板5は熱源で加熱されやすくされるよう鉄材やアルミニウム材でできている。開口した筒部3Aの上端を閉塞する熱板4は、水ガラスの発泡剤を有する発泡原料20の加熱発泡時に発生するガスを外部に排出可能な多数の貫通孔が形成されている。また、底部3Bの下面に配設される熱板5は、底部3Bの部材と一体化してもよいし、同じ部材で兼用してもよい。そこで、下面にある熱板5とともに底部3Bで筒部3Aの下端を閉塞することにより上端が開口した箱型枠の成形型3が形成され、この箱型枠の成形型3に水ガラスの発泡剤を有する粉末状や粒状に形成した発泡原料20を入れて、その上面に固形部材1を載置して、熱板4と固形部材1との間に空間部31を有する状態にして閉塞させる。この場合、熱板4と固形部材1との間の空間部31の体積は水ガラスの発泡剤を有する発泡原料20が加熱発泡する際に膨張するので、発泡部材2が固形部材1の内表面に接着接合されるような体積で設定すればよい。なお、図示しないが、成形型3の底部および熱板5に水ガラスの発泡剤を有する発泡原料20の加熱発泡時に発生するガスを外部に排出可能な多数の貫通孔を形成しておけば、固形部材1を成形型3の底部に載置してもよい。
【0022】
図8において、発泡原料20と固形部材1とを成形型3に入れた状態で熱板4および熱板5を加熱させて、成形型3内の発泡原料20と固形部材1を加熱処理することにより発泡原料20が発泡してその発泡の際に発生するガスは固形部材1のガス排出路11、12、13から熱板4の貫通孔を介して成形型3の外部に排出され、発泡原料20の加熱発泡から固化に至る過程で、固形部材1のガス排出路11、12、13に発泡部材2が充填され充填部21、22、23となり、その端部の発泡部材2が外部に露出して発泡部材2が固形部材1の内表面に接着接合された発泡接着接合体の成形部材が成形型3内に形成される。このように成形された発泡接着接合体を成形型3から取り出すには、
図9に示すように熱板4を矢印方向(上方向、横方向でもよい)に移動して筒部3Aの上端を開放し、底部3Bおよび熱板5を矢印方向(下方向、横方向でもよい)に移動して筒部3Aの下端を開放することにより、成形された発泡接着接合体は成形型3の筒部3Aに仮保持されているので、図示しないが、この成形された発泡接着接合体を押圧力Pで上方または下方から押し出して成形型3から取り出すことができる。このようにして発泡接着接合体の成形部材を成形型3から取り出すことにより、
図1および
図2に示すように、固形部材1のガス排出路11、12、13に発泡部材2が充填された充填部21、22、23の端部の発泡部材2が外周面2Aおよび下面2Bとともに固形部材1の外部に露出して、発泡部材2が固形部材1の内表面に接着接合された発泡接着接合体が得られる。
【0023】
(封止部材による防水処理)
発泡接着接合体においては外部から水分を受けるとこの水分により水ガラスは溶出して水ガラスの接着作用が減ずるので、発泡部材と固形部材との接着接合が劣化しやすくなることを利用して、固形部材1を発泡部材2から分離して利用するリサイクルとして利用できるが、外部から水分を受けても発泡部材2と固形部材1との接着接合を劣化させにくくする発泡接着接合体が必要な用途の場合には、発泡接着接合体に防水処理を施せばよい。そこで、防水処理例として、
図10および
図11にて、発泡部材2を外部から封止する封止部材を備えた発泡接着接合体を示す。
【0024】
図10において、蓋部材61を発泡接着接合体の上面に対面させ、上端が開口した箱部材62を発泡接着接合体の下面に対面させてそれぞれ矢印方向に移動させて、蓋部材61と箱部材62とを重合させて密着接合させる。この場合、蓋部材61および箱部材62の素材はステンレス材などの金属材や合成樹脂材で、蓋部材61と箱部材62との密着接合は溶着や接着剤による接合が例示できる。
【0025】
蓋部材61と箱部材62とを重合させて密着接合させて封止部材6を構成することにより、
図11に示すように充填部21、22、23(充填部22は
図2および
図3に示す)の端部および発泡部材2の外周面2Aと下面2Bの外部に露出した発泡部材2が封止部材6により外部から封止された発泡接着接合体が得られる。このように、封止部材6により発泡部材2が外部から水分を受けにくくする防水処理が施されているので、発泡部材2と固形部材1との接着接合の劣化をさせにくくした発泡接着接合体が得られる。
(実施形態2)
【0026】
図12および
図13は、実施形態1と異なる固形部材を用いた発泡接着接合体の構成を示し、以下、
図14および
図15における固形部材1の構成を参照して説明する。
【0027】
図12および
図13において、固形部材1は矩形状の複数個の分割片からなり、互いに離間して配列されているが、実施形態1と同様な素材でできている。この矩形状の複数個の分割片は、リング状片で同心円状に離間して配列されている構成でもよい。固形部材1の各分割片のそれぞれの内表面(
図14においては下面)には凹凸面を空隙部とするガス排出路16が形成されている。このガス排出路16は後述する実施形態3に示す固形部材1A、1Bの内表面に形成される微小な凹凸面の空隙部と同様な構成である。また、矩形状の複数個の分割片の隣り合う離間部はガス排出路14(
図14および
図15参照)となり、実施形態1に示す貫通孔のガス排出路と同様な構成となる。これらガス排出路16およびガス排出路14を介して水ガラスの発泡剤を有する発泡原料が加熱発泡されることにより、固形部材1の複数個の分割片のそれぞれの内表面のガス排出路16に発泡部材2が充填されて充填部26となり、固形部材1の離間部のガス排出路14にも発泡部材2が充填されて充填部24となり、充填部26、24の端部の発泡部材2が固形部材1の外部に露出している。また、この充填部24により複数個の分割片を連接させてひとつの固形部材1となり、その内表面に発泡部材2が接着接合された発泡接着接合体が得られる。このとき、発泡接着接合体の最外周面のガス排出路15には発泡部材2が充填されて環状の充填部25が形成されて複数個の分割片を充填部24による連接を補強してひとつの固形部材1となり、固形部材1の内表面のガス排出路16に発泡部材2が充填されて充填部26となり、固形部材1の内表面に接着接合された発泡部材2はその外周面2Aおよび下面2Bが充填部24、25、26とともに固形部材1の外部に露出している。
【0028】
(成形方法)
図14〜
図16は、熱源で加熱されやすくされるよう鉄材やアルミニウム材でできた熱板4および熱板5にて、実施形態1に示す構成と同様の成形型で水ガラスの発泡剤を有する発泡原料が加熱発泡されることにより、前述した矩形状の複数個の分割片からなる固形部材1と発泡部材2との接着接合された発泡接着接合体を得る作業状態を示す。
【0029】
図14において、上端が開口した成形型3は実施形態1と同様な構成であり、上下端が開口した筒部3Aと筒部3Aの下端を閉塞する着脱自在な底部3Bとからなり、成形型3の下面(底部3Bの下面)に熱板5が着脱自在に配設されている。この場合、熱板5は底部3Bの下面に配設されているが底部3Bの部材と一体化してもよいし、同じ部材で兼用してもよい。また、この成形型3の筒部3Aの内壁にはフッ素樹脂コーティングなどの離形処理が形成されている。このように構成された筒部3Aと底部3Bと熱板5とを用いて、底部3Bの下面に熱板5を一体にして筒部3Aの下面を閉塞して、上端が開口した成形型3とし、水ガラスの発泡剤を有する発泡原料20を粉末状や粒状に形成し、この発泡原料20を上端が開口した成形型3に入れた状態で、矩形状の複数個の分割片からなる固形部材1を矢印方向から成形型3に入れる。
【0030】
図15において、上端が開口した成形型3に入れた発泡原料20の上面に空間部31を介して固形部材1を配置して熱板4にて閉塞させる。この固形部材1は、互いに離間して配列され複数個の分割片の隣り合う離間部をガス排出路14とし、各分割片の下面をガス排出路16とし、互いに離間して配列され複数個の分割片の最外周面は成形型3の筒部3Aと隙間を介して成形型3に配置し、この隙間がガス排出路15を形成する空隙部となる。このとき、熱板4と固形部材1との間には実施形態1と同様な空間部31を有する状態にして、その空間部31の体積は発泡原料20が加熱発泡する際に膨張するので、発泡部材2が固形部材1の内表面に接着接合されるような体積で設定すればよい。なお、図示しないが、成形型3の底部および熱板5に発泡原料20の加熱発泡時に発生するガスを外部に排出可能な多数の貫通孔を形成しておけば、固形部材1を複数個の分割片のガス排出路16が上面となるようにして成形型3の底部に載置してもよい。
【0031】
図16において、発泡原料20と固形部材1とを成形型3に入れて、熱板4および熱板5を加熱させ、成形型3内の発泡原料20と固形部材1を加熱処理することにより発泡原料20が発泡する際に発生するガスは固形部材1の空隙部からなるガス排出路14、15、16から熱板4の貫通孔を介し成形型3の外部に排出され、発泡原料20の加熱発泡から固化に至る過程で、固形部材1のガス排出路14、15、16に発泡部材2が充填されそれぞれ充填部24、25、26となり、その端部の発泡部材2が外部に露出するとともに発泡部材2が固形部材1の内表面に接着接合された発泡接着接合体の成形部材が成形型3内に形成される。このように成形された発泡接着接合体を成形型3から取り出すには、図示しないが、実施形態1に示すように熱板4および底部3B移動して筒部3Aの上端および下端を開放させ、成形型3の筒部3Aに仮保持されている状態の成形された発泡接着接合体を押し出して筒部3Aから成形された発泡接着接合体を取り出すことにより、
図12および
図13に示すように、発泡部材2が分割片からなる固形部材1がひとつの固形部材1となりその内表面に接着接合された発泡接着接合体が得られる。
【0032】
(封止部材による防水処理)
図17および
図18は、実施形態1と同様に外部から水分を受けにくくさせるように封止部材を備えた発泡接着接合体を示す。
【0033】
図17において、発泡部材2が充填された充填部24、25、26の端部の発泡部材2が固形部材1の外部に露出した部位と発泡部材2の外周面2Aと下面2Bも外部に露出した部位を有する発泡接着接合体の上面(下面2Bと反対側の面)に蓋部材61を対面させ、発泡接着接合体の下面2Bに上端が開口した箱部材62を対面させ、蓋部材61および箱部材62をそれぞれ矢印方向に移動させて蓋部材61と箱部材62とを重合させて密着接合させる。このように蓋部材61と箱部材62と密着接合により、実施形態1と同様に、
図18に示すように発泡部材2の露出した部位が封止部材6により外部から封止された発泡接着接合体が得られる。この場合、封止部材6を構成する蓋部材61および箱部材62の素材は実施形態1と同様にステンレス材などの金属材や合成樹脂材で、蓋部材61と箱部材62との密着接合は溶着や接着剤による接合が例示できる。このように封止部材6により発泡部材2が外部から封止されて水分を受けにくくしているので、発泡部材2と固形部材1との接着接合を劣化させにくくした発泡接着接合体が得られる。
(実施形態3)
【0034】
図19〜
図22は、固形部材の内表面に形成するガス排出路おいて実施形態1と異なる発泡接着接合体の構成を示し、以下、その発泡接着接合体の構成を説明する。
【0035】
図21および
図22において、固形部材は実施形態1と同様な素材でできた一対の固形部材1Aと1Bからなり、各固形部材1A、1Bの内表面に外部と連通した微小な凹凸面の空隙部でできたガス排出路16が形成されている。このガス排出路16は、実施形態1に示す貫通孔を有していない。
【0036】
図19および
図20において、水ガラスの発泡剤を有する発泡原料が加熱発泡されることにより、各固形部材1A、1Bのガス排出路16に発泡部材2が充填されて充填部26となり、その端部の発泡部材2は発泡部材2の外周面2Aにあり、この外周面2Aが外部に露出するとともに発泡部材2が各固形部材1A、1Bの内表面に接着接合された発泡接着接合体が得られる。
【0037】
(成形方法)
図23〜
図26は、成形型を用いて水ガラスの発泡剤を有する発泡原料が加熱発泡されることにより、固形部材1A、1Bと発泡部材2との接着接合された発泡接着接合体を得る作業状態を示す。
【0038】
図23は、発泡接着接合体の成形作業を準備する第1段階を示す。
図23において、鉄材でできた上端が開口した箱型枠からなる成形型30は、上下端が開口した筒部30Aと筒部30Aの下端を閉塞する着脱自在な底部30Bとからなり、成形型30の上面(開口した上端を閉塞する端面)と下面(底部30Bの下面)とにそれぞれ熱板40および熱板5が着脱自在に配設されており、これら熱板40および熱板5は熱源で加熱されやすくされるよう鉄材やアルミニウム材でできている。筒部30Aの内壁には実施形態1と同様にフッ素樹脂コーティングなどの離形処理が形成されており、上端および下端の周壁面には内外に連通した複数個の凹所32が形成されている。また、熱板5は底部30Bの下面に配設されているが、底部30Bの部材と一体化してもよいし、同じ部材で兼用してもよい。このように、下面にある熱板5とともに底部30Bで筒部30Aの下端を閉塞することにより上端が開口した箱型枠の成形型30を形成し、この箱型枠の成形型30に固形部材1Aをガス排出路16が上面となるようにして配置させ、水ガラスの発泡剤を有し粉末状や粒状に形成した発泡原料20を固形部材1Aの上面(ガス排出路16が形成された面)に供給する。
【0039】
図24は、発泡接着接合体の成形作業を準備する第2段階を示す。
図24において、ガス排出路16が下面となるようにして固形部材1Bを発泡原料20の上面に空間部31を介して離間して配置して後、熱板40を成形型30の上端に載置することにより、
図25に示す、発泡原料20と固形部材1A、1Bとを成形型30に入れて閉塞させた状態となる。
【0040】
図25において、発泡原料20と固形部材1A、1Bとを成形型30に入れた状態で、熱板40および熱板5を加熱して、成形型30内の発泡原料20と固形部材1A、1Bを加熱処理することにより発泡原料20が発泡する際に発生するガスは固形部材1A、1Bのガス排出路16から成形型30の上端および下端の周壁面に形成された複数個の凹所32を介しガスが成形型30の外部に排出され、発泡原料20の加熱発泡から固化に至る過程で、固形部材1A、1Bのガス排出路16に発泡部材2が充填され充填部26となり、その端部の発泡部材2が固形部材1A、1Bの外部に露出するとともに発泡部材2の下面および上面がそれぞれ固形部材1Aおよび1Bの内表面に接着接合された発泡接着接合体の成形部材が成形型30内に形成される。
【0041】
このように成形された発泡接着接合体を成形型30から取り出すには、
図26に示すように熱板40を矢印方向(上方向、横方向でもよい)に移動して筒部30Aの上端を開放し、底部30Bおよび熱板5を矢印方向(下方向、横方向でもよい)に移動して筒部30Aの下端を開放することにより、成形された発泡接着接合体は成形型30の筒部30Aに仮保持されているので、図示しないが、この成形された発泡接着接合体を押圧力Pで上方または下方から押し出して成形型30から取り出せば、
図19および
図20に示すように、固形部材1A、1Bのガス排出路16に発泡部材2が充填され充填部26となり、その端部の発泡部材2が固形部材1A、1Bの外部に露出するとともに発泡部材2の下面および上面がそれぞれ固形部材1Aおよび1Bの内表面に接着接合された発泡接着接合体が得られる。なお、固形部材としては上下一対を例示したが、上方のみや下方のみでもよい。
【0042】
(封止部材による防水処理)
図27は、封止部材を備えた発泡接着接合体を示す。
【0043】
図27において、
図19に示すように、固形部材1A、1Bに接着接合された発泡部材2の充填部26の端部の発泡部材2および発泡部材2の外周面2Aが固形部材1A、1Bの外部に露出しているので、筒状に形成された封止部材60を固形部材1A、1Bに密着接合させてこの露出した発泡部材2の部位を封止させることにより外部から水分を受けにくくさせる防水処理が施された発泡接着接合体が得られる。この場合、封止部材60の素材はステンレス材などの金属材や合成樹脂材で、封止部材60と固形部材1A、1Bとの密着接合は溶着や接着剤による接合や薄膜層が例示できる。このようにして発泡部材2が発泡接着接合体の外部から封止されているので、水分を受けにくくさせて、実施形態1と同様に発泡部材2と各固形部材1A、1Bとの接着接合の劣化をさせにくくする発泡接着接合体が得られる。