特許第6961874号(P6961874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961874スーパーキャパシタのガス放出を低減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961874
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】スーパーキャパシタのガス放出を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/86 20130101AFI20211025BHJP
   H01G 11/26 20130101ALI20211025BHJP
   H01G 11/36 20130101ALI20211025BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20211025BHJP
【FI】
   H01G11/86
   H01G11/26
   H01G11/36
   H01G11/60
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-545964(P2018-545964)
(86)(22)【出願日】2017年3月9日
(65)【公表番号】特表2019-507958(P2019-507958A)
(43)【公表日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】GB2017050632
(87)【国際公開番号】WO2017153759
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2020年2月26日
(31)【優先権主張番号】1604056.0
(32)【優先日】2016年3月9日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521035587
【氏名又は名称】オキシオン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXCION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ボラー, スティーブン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ワルダー, ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンドラン, マラッパ
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−515741(JP,A)
【文献】 特開2002−270475(JP,A)
【文献】 特開平11−087195(JP,A)
【文献】 特開2007−141774(JP,A)
【文献】 特開2015−026602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/00−11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有電極及び少なくとも1種のイオン液体を含むスーパーキャパシタでのガス放出を低減する方法であって、
(a)前記炭素含有電極を、アルキル又は置換アルキルピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピペリジニウム、ピロリジニウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム又はアゼパニウムカチオンの四級塩であるテトラフルオロホウ酸塩に、0〜100℃の温度で接触させるステップ、
(b)電荷が前記電極に蓄積され、放電されるサイクルで前記塩の存在下で、最大100℃までの温度で、前記炭素含有電極間に変化する電位差を印加するステップであり、前記サイクルの充電と放電の部分は、異なる温度で実施されるステップ、及び
(c)前記システムからのさらなるガス放出が実質的に起こらなくなるような時までステップ(b)のサイクルを10〜60回継続するステップであり、各サイクル時に印加される最大電圧は電解質の電気化学窓の上限を超えないステップを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記炭素含有電極が、グラフェン、カーボンナノチューブ又はその混合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イオン液体が、テトラフルオロホウ酸塩でもあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記イオン液体が、少なくとも1種のC〜Cアルキル置換イミダゾリウム、ピペリジニウム又はピロリジニウム塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記テトラフルオロホウ酸塩が、EMIMテトラフルオロホウ酸塩であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
スーパーキャパシタが、前記炭素含有電極及び前記イオン液体(複数可)を含むプラスチックパウチを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、イオン液体電解質を使用するスーパーキャパシタでの好ましくないガス放出を実質的に防ぐ方法に関する。
【0002】
我々の同時係属出願である国際出願PCT/GB2015/053003及びGB1518385.8で、我々は、多孔質膜で分離されたグラフェン含有電極及び1種又は複数のイオン液体、例えば、100℃未満の温度で通常液体である四級有機塩から構成される電解質から構成されるスーパーキャパシタを教示した。そのようなスーパーキャパシタは、2.5Vを超える電圧で容易に充電され、良好な電荷保持能力を有し得るが、使用中、及び数多くの充放電サイクルで、ガスを放出しやすいという問題を抱える。スーパーキャパシタが、タブレット又はスマートフォンなどの家電製品の一部又は付属物として使用されることになるのは一般に好ましくなく、スーパーキャパシタそれ自体が、軽量、可撓性のパウチとして構築される場合、安全の観点から特に問題である。そのような場合、パウチそれ自体は、次いで急速に膨張する傾向があり、破裂する危険が生じる。通常、このガス放出プロセスで形成される生成物は、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素並びに少量の他の揮発性有機材料であり、これらが、システム内の残留水の分解及び/又は存在するグラフェン又は他の炭素成分の表面上の有機官能基の分解及び/又はシステム内に存在する触媒有機及び無機種を伴う電解質の分解により生じることが示唆される。
【0003】
我々は、この問題を克服する方法を開発したが、この方法には、スーパーキャパシタを重要な電荷蓄積のために使用する前に、電極をテトラフルオロホウ酸塩で前処理することが含まれる。したがって、本発明の一態様では、(a)炭素含有電極をテトラフルオロホウ酸塩に接触させるステップ、(b)電荷が電極に蓄積され、放電されるサイクルで、塩に接触しながら、炭素含有電極間に電位差を印加するステップ、及び(c)システムからのさらなるガス放出が実質的に起こらなくなるような時までステップ(b)のサイクルをさらに継続するステップを特徴とする、炭素含有電極及び少なくとも1種のイオン液体から構成されるスーパーキャパシタでのガス放出を低減する方法が提供される。
【0004】
RomannらはElectrochimica Acta 2014 125 pp.183−190で、炭素電極表面上のイオン液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩の分解を論じている。CN104867701は、電解質の添加前に真空及び乾燥窒素ガスパージのサイクルを使用することにより水及び酸素が除去されるスーパーキャパシタの製造方法を教示する。特開2014−179646号公報は、電解質用の溶媒として水分含量が非常に低いガンマ−ブチロラクトンを使用するスーパーキャパシタの製造を教示する。米国特許第7924549号は、電解質が、非プロトン性溶媒中の少なくとも1.5Mの濃度の四級アンモニウムテトラフルオロホウ酸塩である電気化学キャパシタを開示している。最後に国際公開第2012/056050号は、使用電圧に達するまで徐々により高い調整電圧を段階的に印加することにより、二重層キャパシタの使用電圧を増加させる方法を教示している。
【0005】
本発明の好ましい一実施形態では、炭素含有電極は、炭素電荷搬送素子から構成される層でコーティングされた薄い可撓性のシート(例えばアルミニウム、銀又は銅箔)の形態である導電性金属集電体から本質的になるアノード及びカソード表面を含む。別の実施形態では、これらのアノード及びカソード表面の少なくとも一部は、同じ集電体シートの両側に配置されている。適切には、これらの電荷搬送素子の少なくとも一部は、1ミクロン未満、好ましくは100ナノメートル未満の平均最大寸法を有する炭素の粒子である。好ましくは、これらの粒子は、2〜50ナノメートルの範囲の大きさであるメソ細孔を有するメソ孔性を示す。別の実施形態では、炭素電荷搬送素子には、最終スーパーキャパシタ上である程度の擬似容量挙動を付与することができる他の材料のナノ粒子、例えば、リチウム又はニッケル、マンガン、ルテニウム、ビスマス、タングステン或いはモリブデンを含めて1より大きい酸化状態の遷移金属などの金属の塩、水酸化物及び酸化物が添加されていてもよい。
【0006】
好ましい一実施形態では、層は、導電性ポリマーバインダーマトリックスに組み込まれた炭素粒子から構成され、粒子とバインダーの重量比が0.2:1〜20:1の範囲であることを特徴とする。別の実施形態では、炭素粒子は、グラフェン粒子を含み、さらに別の場合ではカーボンナノチューブを含む。好ましい一実施形態では、グラフェンとカーボンナノチューブの混合物は、場合によっては、存在する活性炭と共に使用される。別の適切な実施形態では、炭素粒子は、重量比0.5−2000:0.5−100:1、好ましくは0.5−1500:0.5−80:1で存在する活性炭、カーボンナノチューブ及びグラフェンの3成分の混合物を含む。
【0007】
用語「活性炭」は、表面積が、通常、500m−1超、好ましくは1000〜3600m−1であり、1ミクロン未満の平均粒径を有する任意の高純度アモルファスカーボンを意味する。そのような材料は、いくつかの市販品から容易に入手することができる。使用するカーボンナノチューブは、通常、2−200ミクロン(好ましくは100−300ミクロン)の範囲の平均長さ及び100−150ナノメートルの範囲の平均直径を有する。ナノチューブは、単層、多層又はその混合物のいずれであってもよい。
【0008】
用語「グラフェン」は、粒子が実質的に2次元構造である炭素の同素体を意味する。極限状態では、グラフェン粒子は、グラファイト構造を有する単一の原子層プレートレットを含む。ただし、本発明の目的では、この成分は別の、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個のプレートレットの最上部に積層した少量のプレートレットを含み得る。一実施形態ではこれらのプレートレットは、非酸化形態である。別の場合では、プレートレットは、透過型電子顕微鏡で測定されるように、それぞれ独立に1〜4000ナノメートル、好ましくは20〜3000又は10〜2000ナノメートルの範囲の平均寸法を有する。任意の公知の方法を使用して、そのような材料を製造することができ、また、例えば英国のトーマススワン株式会社(Thomas Swan Limited)からエリカーブ(Elicarb)(登録商標)の名称で出されている市販品も利用できる。
【0009】
別の実施形態では、炭素電荷搬送素子は、さらに、最大で20%重量、好ましくは1〜20重量%の導電性炭素を含み得る。適切には、この導電性炭素は、ポリ結晶構造及び1〜500m−1の範囲の表面積を有する高導電性非グラファイト系炭素を含む。一実施形態では、これはカーボンブラックであり、例えば、リチウムイオン電池(例えば、Timical SuperC65(登録商標)及び/又はTimical SuperC45)中の導電性添加剤として使用されてきた材料の1つである。
【0010】
一実施形態では、本発明の方法が実施された後の電極の残留水分含量は、100ppm未満、好ましくは50ppm未満である。
【0011】
導電性バインダーについては、これは、適切には1種又は複数の導電性ポリマーから構成され、好ましくはセルロース誘導体、ポリマーエラストマー又はそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、使用するセルロース誘導体は、カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロースである。別の実施形態では、エラストマーは、スチレン−ブタジエンゴム又は同等の性質を有する材料である。
【0012】
適切には、複合層中の電荷搬送素子の総電荷保有表面積は、250m−1より大きく、好ましくは260m−1より大きい。
【0013】
イオン液体電解質については、これは、適切には100℃未満、好ましくは室温又は室温未満で溶融しているイオン性有機塩を含む。別の実施形態では、イオン液体電解質は、1つ又は複数のイオン液体から構成される混合物であり、混合物は、25℃で10〜80センチポアズ、好ましくは20〜50センチポアズの範囲の粘度を有する。さらに別の実施形態では、電解質は、1成分がイオン液体である少なくとも2成分の共融又は共融に近い混合物である。適切にはこれらの混合物は、100℃未満、好ましくは50℃未満、より好ましくは30℃未満の融点を有する。共融挙動は、ラウールの法則の原理に基づくと予想されるものに比べ、所与の組成物範囲で融点が大幅に低下する2つ以上の成分の混合物の周知の特性である。ここで、用語「共融又は共融に近い混合物」は、したがって、融点がそのような低下を示す本発明の成分の任意の混合物を含むと解釈されるべきであり、これには、最も好ましい実際の共融点で50%超の低下、好ましくは90%超の低下を有するものが含まれる。特に好ましい実施形態では、共融組成物それ自体が、電解質として使用される。別の場合では、使用するイオン液体の少なくとも1つは、その電気化学窓に3V超の上限を有する。
【0014】
好ましい一実施形態では、使用する電解質は、混合物、例えば、読者に完全なリストを提供する米国特許第5827602号又は国際公開第2011/100232号に記載される少なくとも1種のイオン液体から構成される、共融又は共融に近い混合物である。別の実施形態では、混合物は、少なくとも1種の前記イオン液体の混合物から構成される。
【0015】
適切には、電解質で使用するイオン液体又は使用するイオン液体の1種は、アルキル又は置換アルキルピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピペリジニウム、ピロリジニウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム又はアゼパニウムカチオンの四級塩である。そのような場合、各カチオンと会合する対アニオンは、大きい多原子であり、50又は100オングストロームを超えるファン・デル・ワールス体積を有することが好ましい(例えば、本発明の範囲内にあると考えられる例示的な例をこの場合も提供する米国特許第5827602号を参照のこと)。選択したアニオンが、対応するカチオンに関して非対称の形態を有することも好ましく、液体中のカチオンとアニオンが、容易に密接せず、結晶化を起こさないようになる。一実施形態では、対アニオンは、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ジシアナミド、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(TFSI)又はビス(パーフルオロC〜Cアルキルスルホニル)イミド、例えば、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドアニオン又はその類似物質からなる群から選択される。別の好ましい実施形態では、イオン液体(複数可)は、これらのアニオンのC〜Cアルキル置換イミダゾリウム、ピペリジニウム又はピロリジニウム塩から選択され、本明細書で開示されるように想起されるカチオンとアニオンの任意の順列が含まれる。この列挙の中で、以下の2成分系:ピペリジニウム塩及びイミダゾリウム塩、ピペリジニウム塩及びピロリジニウム塩、並びにイミダゾリウム塩及びピロリジニウム塩が好ましい。別の実施形態では、2成分系は、(a)上述のアニオンの1つのピペリジニウム塩及び任意の置換された嵩高い四級アンモニウム塩、例えば、アルキル又はアルコキシ部分がそれぞれ独立に1個、2個、3個又は4個の炭素原子を有するトリアルキル(アルコキシルアルキル)アンモニウム塩、又は(b)国際公開第2011/100232号に例示される1種又は複数のアゼパニウム塩のいずれかを含み得る。上記のすべての場合で、使用する塩は、好ましくはそれぞれ3ボルト超の電気化学窓の上限及び30℃未満の融点を有するべきである。
【0016】
使用することができる電解質の特定の非限定例には、以下のカチオン、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム(EMIM)、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、1−メチル−1−ブチルピロリジニウム及び上述のアニオンから誘導される塩又は塩の混合物が含まれる。一実施形態では、電解質は、これらのカチオンの1種又は複数のテトラフルオロホウ酸塩である。別の場合では、電解質は、方法のステップ(a)で使用したものと同じ塩である。
【0017】
適切には、イオン液体の水分量は、100ppm未満、好ましくは50ppm未満である。
【0018】
本発明の方法のステップ(a)では、炭素含有電極は、テトラフルオロホウ酸塩で処理される。一実施形態では、この塩は、相溶性の有機溶媒中で高濃度溶液として存在することができ、別の場合では、塩それ自体は、ステップ(a)及び(b)が生じる条件下で溶融することになる。通常、これらのステップは、0〜100℃の温度で実施される。適切には、テトラフルオロホウ酸塩は、IA族、IIA族、四級アンモニウム又はホスホニウム塩の形態で使用される。一実施形態では、ステップ(a)及び(b)で使用される塩は、上記のものに対応するカチオンを有するイオン液体である。別の場合では、塩は、EMIMテトラフルオロホウ酸塩である。さらに別の場合では、使用するテトラフルオロホウ酸塩は、次いでイオン液体電解質として使用されるものと同じである。
【0019】
一実施形態のステップ(b)は、以下に記載する種類の密封パウチ内で、又は電極と塩を含む前処理セル内で、室温又は室温に近い温度で電極間に変化する電圧を印加することにより、適切に実施される。別の場合では、最大100℃のより高い温度が使用されている。この方法により、ステップ(c)でサイクルが繰り返される前に、電極は最初に充電され、次いで放電される。このサイクルの充電と放電の部分は、必要に応じて異なる温度で実施することができる。ステップ(c)では、通常、サイクルは少なくとも3〜5回、例えば10〜60回繰り返される。一実施形態では、各サイクル時に印加される最大電圧は3〜7Vの範囲である。この最大電圧は、電解質の電気化学窓の上限を超えないことが好ましい。別の実施形態では、前処理セルそれ自体が、各サイクルで生じるガス放出の程度を測定することができるデバイス(例えばマノメータ)に接続されていて、ガス放出が停止又は許容される上限未満に減少したことが観察されれば、ステップ(c)を終了することができる。サイクルに加え、2分間〜12時間の範囲で指定された期間、選択した電圧(例えば、1.5V、2.0V、2.5V、3.0V又は3.5V)で、システムを浮揚させることができる。
【0020】
ステップ(c)が完了すると、電極は、市販のスーパーキャパシタユニットのイオン液体電解質及び多孔質膜と組み合わせて使用することができる。ユニットの内容物は、もはやガスを放出しないので、スーパーキャパシタは、比較的可撓性で軽量の材料、例えば、ラグによって突出するように構成された金属箔集電体上に電極が担持される、密封可能で、可撓性のプラスチックパウチから作製することができることを理解されたい。スペース及び重量がしばしば重視され、又はパウチを使用することになるデバイスの美的外観により決められる幾何形状に合わせる必要がある家電製品の使用にとって、このデザインは特に適切である。
【0021】
理論に拘泥するものではないが、ステップ(a)〜(c)で電極を塩で処理すると、塩が任意の残留水によって部分的に加水分解され、それによって、電極の水分量を上記の許容される範囲内に低減すると現在考えられている。結果として、スーパーキャパシタのその後のガスを放出する傾向は、大幅に低減されるか、完全に除去される。
【0022】
したがって、本発明の第2の態様は、アノード(複数可)及びカソード(複数可)の水分量が水100ppm未満であることを特徴とする、炭素−含有アノード(複数可)及びカソード(複数可)、中間多孔質膜(複数可)、並びにイオン液体電解質から構成されるスーパーキャパシタを提供する。水分量は、50ppm未満であることが好ましい。
【0023】
適切にはスーパーキャパシタの成分は、水不透過性ポリマーのパウチに収納されている。一実施形態ではイオン液体の水分量は、同様に100ppm未満、好ましくは50ppm未満である。
【0024】
本発明を以下の比較試験により説明する。
【0025】
(実施例1)
2枚の正方形の可撓性ポリエチレンシートを4つの対応する辺の3つの辺に沿って熱融着させることにより、正方形のポリマーパウチを製造した。その後、一対のアノード及びカソード電極を、中間ポリエチレン及びEMIMテトラフルオロホウ酸塩を含む塩とともにパウチに導入した。各電極は、カーボンナノチューブ、グラフェン、活性炭の混合物(総重量で85%)、スチレン−ブタジエンゴムとカルボキシメチルセルロースを50:50で含むマトリックス10重量%に組み込まれた導電性炭素(5%)からなる電極層が配置されたアルミニウム箔集電体を含んだ。次いで、パウチを一時的に密封し、0〜3.5V、電流4アンペアで10回の充放電サイクルを行った。最後にパウチを開封し、再密封し、電極にさらに200サイクルを実施した。著しいガス放出に対応するパウチの膨張はこの後のサイクルで見られなかった。
【0026】
(比較試験)
比較実験では、成分が導入された直後にパウチを密封した。その後上記の条件で、及び開封と再密封なしに50回の充放電サイクルを行った後に、ガス放出のためパウチが大きく膨張し、本質的に使用には不適当であった。
【0027】
(実施例2)
最初の10回のサイクル後に、テトラフルオロホウ酸塩を、再密封を行う前にイオン液体EMIM TFSIで置き換えた以外は、実施例1の方法を繰り返した。追加の200回のサイクル後に、大幅な膨張はやはり見られなかった。