(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の断熱性シートは、断熱性確保の観点から非透明であるのが通常であり、よって、非透明な断熱性シートを用いて断熱パックを構成した従来のものでは、外部から内部の状況が目視できないものとなっていた。このため、断熱パックを、例えば内部に物品を収納する保温用や保冷用の容器として構成した場合は、内部にある物品の数や種類、状態等を外部から確認するために一々容器を開け閉めしなければならず、断熱性が大きく阻害されてしまうことになる(物品の急速な温度上昇あるいは温度低下)。また、例えば医療用として用いられる輸液パックにおいて、予め輸液を収容した状態で輸液パックを加温しておくことがある。このとき、輸液の温度低下防止のために、加温された輸液パックを断熱パックでもってほぼ全体的に覆うようにした場合には、輸液の残量を確認するために、断熱パックを所定部分でもって開いて輸液量を確認する必要があり、この場合も断熱性をかなり阻害してしまうことになる(輸液の急速な温度低下)。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、断熱性を阻害することなく外部から内部の状況を目視できるようにした断熱パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
断熱性シートによって内部に物品が収納される収納部を形成してなる断熱パックであって、
前記断熱性シートの一部に、外部から内部を目視可能とするための透明シート部が形成され、
医療に用いられる輸液パックの収納用とされ,
前記断熱性シートによって、前記輸液パックの周囲を取り巻くように筒状とされた本体部が形成され、
前記本体部の一端側が、前記輸液パックの出し入れ用となる出入口部とされ、
前記本体部の他端側が、前記輸液パックを吊り下げるための吊り下げ部が挿通される吊り下げ用開口部とされ、
前記透明シート部が、前記本体部の一端側から他端側に向けて細長く伸びる形状とさ
れ、
前記本体部の前記他端部側は、その左右各端部が閉塞された閉塞部とされて、その左右中央部のみが前記吊り下げ用開口部として開口され、
前記本体部の一端側に、前記出入口部を開閉するための係止部が形成されている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、断熱パック内の状況を、透明シート部を通して外部から目視によって容易に確認することができる。このため、内部状況の確認のために断熱パックの一部を開く等のことを行う必要がなくなり、断熱パックの不要な操作による温度変化抑制の効果を向上させることができる。また、輸液の温度低下を抑制して、輸液供給による患者の体温低下を抑制する上で好ましいものとなる。さらに、輸液パックを吊り下げて使用する状態で、透明シート部が上下方向に長く伸びて、輸液パック内の輸液量(の変化)を確認する上で好ましいものとなる。
以上に加えて、輸液パックを収納した状態で、断熱パックにより輸液パックのほぼ全体を覆って、輸液の温度低下を抑制する上で好ましいものとなる。また、輸液パックを断熱パック内に出し入れする作業も容易となる。
【0007】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記透明シート部が、内側の透明シートと外側の透明シートとによる内外2重構造として構成され、
前記内外の透明シートの間に形成される空間が、空気が密閉状態でもって充填された空気層とされている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、空気層の断熱性が極めて高いことから、透明シート部の断熱性を十分に高めて、温度変化の抑制をより効果的に行うことができる。
【0008】
前記断熱性シートが、内側シート層と、外側シート層と、該内側シート層と該外側シート層との間に介在された断熱層と、を有し、
前記内側シート層および前記外側シート層には、前記透明シート部に対応した位置において開口部が形成され、
前記開口部が、前記透明シート部によって閉塞されている、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、断熱性シートとして断熱性の高い構造のものが提供される。また、断熱性シートと透明シート部との具体的な結合構造が提供される。
【0009】
前記断熱層が、外部との間で空気の流通が阻止された密閉層とされている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、断熱性シートそのものの断熱性をより十分に高めることができる。
【0010】
前記断熱層内に、前記透明シート部を除いて、該断熱層が部分的に潰れ変形するのを防止するための断熱材からなる充填材が充填されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、潰れ変形した部位は断熱性が低下してしまうことになるが、この部分的な潰れ変形を防止して、断熱性を十分に確保する上で好ましいものとなる。
【0011】
前記充填材が、発泡材とされている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、潰れ変形防止と断熱性確保とを共に高い次元で満足させることができる。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
前記本体部の内面または外面の少なくとも一方に、前記透明シート部以外の部分において、保温剤を収納するためのポケット部が形成されている、ようにしてある(
請求項7対応)。この場合、加温剤(発熱剤)をポケット部に入れておくことにより、断熱パック内に収納された物品の温度低下をより効果的に抑制することができる。逆に、冷却剤をポケット部に入れておくことにより、断熱パック内に収納された物品の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0016】
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、不要な操作によって断熱性を阻害することなく、透明シート部を通して、断熱パック内の状況を目視によって外部から確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜
図4において、本発明による断熱パックが符号DPで示される。この断熱パックDPは、実施形態では医療用の輸液パックYP用としたものとされて、輸液パック内に収容された輸液の温度低下を抑制するためのものとなっている。
【0020】
断熱パックDPは、後述する断熱性シート1によって、偏平な筒状に形成された本体部11を有する。本外部11内の空間となる収納部11aの容積は、例えば2000ml用の輸液パックYPを収納できる大きさとされている。
【0021】
本体部11の一端部側は、そのまま大きく開放された状態とされて、輸液パックYPを出し入れするための出入口部11bとされている。本体部11の一端部側の内面には、出入口部11bを開閉するための係止部としての面ファスナ12が左右2組取付けられている。
【0022】
本体部11の他端部側は、その左右側端部が閉じられた閉塞部11cとされ、その左右方向中央部のみが開いた中央開口部11dとされている。
【0023】
本体部11の側面には、後述する透明シート部2が形成されている。透明シート部2は、本体部11の一端部側から他端部側に向けて細長く伸びる形状とされている。この透明シート部2を外部から目視することにより、本体部11の内部状況、より具体的には本体部11(の収納部11a)内に収納された輸液パックYP内の輸液残量を、外部から目視によって確認できるようになっている。勿論、本体部11を構成する断熱性シート1のうち透明シート部2に対応した位置に開口部が形成されて、この開口部を閉塞するようにして透明シート部2が断熱性シート1に接合(一体化)されている。
【0024】
輸液パックYPを使用するに際しては、断熱パックDPの本体部11の出入口部11bを通して、輸液パックYPが断熱パックDPの本体部11(の収納部11b)内に収納される。この収納の前にあらかじめ、輸液パックYPは例えば、湯煎等の公知の加温方法によって人間の体温程度の温度にまで加温された状態とされる。
【0025】
断熱パックDPに輸液パックYPを収納した状態では、輸液パックYPの上部に形成される吊り下げ用の係合部51が、断熱パックDPの本体部11の中央開口部11dから外部に露出される。また、面ファスナ12を係止状態とすることにより、出入口部11bがその左右方向中央部を除いてほぼ全体的に閉じられて、輸液パックYPの下端面から下方へ突出する接続部52(輸液の取出し部)が本体部11の下方へ突出された状態とされる。なお、断熱パックDPに輸液パックYPを収納した状態において、上下方向に長く形成された透明シート部2を通して、輸液パックYPの上端部付近から下端位置付近までを外部から目視できるようになっている。
【0026】
上記のようにして断熱パックDP内に収納された輸液パックYPは、
図2中一点鎖線で簡略化して示す吊り下げ具Gに対して吊り下げられる。また、その接続部52が、図示を略すチューブ等を介して患者の体内と接続される。輸液の温が低いと、患者の体温が低下して、患者の体力を大きく奪うことになる(患者の負担増大)。しかしながら、輸液パックYPを断熱パックDP内に収納しておくことにより、長時間の使用であっても輸液の温度低下が抑制されて、患者の負担が軽減されることになる。
【0027】
輸液パックYPから患者へ輸液を供給している途中の適宜のタイミングにおいて、輸液パックYP内の輸液の残量を確認することが行われる。この確認の際、看護師等の医療関係者は、断熱パックDPの外部から、透明シート部2を通して輸液の残量を容易かつ確実に目視によって確認することができる。
図2において、輸液パックYP内の輸液の液面が符号αで示され、この液面αが透明シート部2を通して外部から目視可能となっている。
【0028】
外部から透明シート部2を通して輸液の残量を目視にて確認できることから、輸液パックYPは、その使用中の全時間について、断熱パックDP内に収納されたままの状態を維持することができ、輸液パックYP内の輸液の温度低下抑制をより効果的に行うことができる。
【0029】
ちなみに、透明シート部2が存在しない場合は、輸液の残量確認のためには、断熱パックDPから輸液パックYPを少なからず外部へ露出させた状態でもって行う必要がある。このことは、確認の手間がかかるばかりでなく、輸液パックYPが部分的にでも外部へ露出されてしまうことから、その温度低下が促進されてしまうことになる。
【0030】
次に、透明シート部2について、
図5、
図6を参照しつつ説明する。透明シート部2は、内側の透明シート21と外側の透明シート22とを有する内外二重構造とされている。両シート21と22との間には、所定厚さ(例えば3mm〜5mm)の隙間を有するようにしてその全外周縁部同士が密着状態(シールされた状態)で接合されている。そして、両シート21と22との間の空間は、空気が充填された空気層23とされている(空気層23の圧力は大気圧と同じかやや大に設定)。空気は、断熱性が極めて高いことから、透明シート部2の断熱性は極めて高いものとなる。なお、両シート21と22との間の厚さは、1mm以上20mm以下であることが好ましい。両シート21と22との間がこの範囲内であることで、空気層23中では空気の対流が生じにくくなり、高い断熱性を得ることができる。
【0031】
透明シート21と22とは、透明な材質のシート材であれば適宜のものを利用でき、例えば厚さ0.3mm程度の合成樹脂(実施形態ではPVC−ポリ塩化ビニール)によって形成することができる。そして、空気層23を密閉構造とするために、透明シート21と22との全外周縁部同士を融着(加熱による接着)するようにしてある。なお、透明シート21と22との接合は、融着に限らず、接着材を用いた接合とすることもできる。
【0032】
次に、断熱性シート1について、
図7、
図8を参照しつつ説明する。断熱性シート1は、
図7に示すように、内側シート15と外側シート16とを有して、両シート15と16との空間が断熱層17とされている。断熱層17は、断熱性シート1のほぼ全面積範囲に渡って存在されて、その内部には充填材として所定厚さ(例えば厚さ3〜8mmで、実施形態では5mm厚)の発泡材18が充填されている。発泡剤18を充填しておくことにより、断熱性シート1が部分的に潰れ変形してしまう事態が防止される。
【0033】
前記内外の各シート15と16とは、例えばPVCによって形成することができる。そして、実施形態では、断熱パックDPの見栄え向上と断熱性向上とを兼ねて、外側シート16の外面側にアルミ蒸着を施してある。
【0034】
断熱層17に充填される発泡材18は、可撓性(軟質)の適宜の材質のものを選択でき、特に断熱性向上の観点から独立気泡のものを用いるのが好ましい。また、断熱性向上のために、ポリオレフィン系の発泡材を利用するのが好ましい。
【0035】
図9に示すように、断熱性シート1のうち、断熱パックDPの表側となる部分には、透明シート部2に対応した位置において開口部19が形成されている。そして、この開口部19の内周縁部に対して、透明シート部2の外周縁部が接合される(
図9では、断熱性シート1と透明シート部2とを明確に区別するために、接合部位がわずかに離間した状態として示してある)。この接合は、密着状態(シール状態)となるように溶着あるいは接着材を用いて接着されている。なお、上記接合を縫合により行うこともできるが、接合部位のシールのために、融着あるいは接着材による接着が好ましいものである。
【0036】
断熱パックDPは、実施形態では、所定形状に裁断された1枚の断熱性シート1を折り返して(折り返し部に閉塞部11aが存在する)、その側縁部を接合することにより筒状の本体部11を構成するようにしてある。上記側縁部同士の接合部位が、
図8に示される。この接合部位は、断熱パックDPにおける表側の内外のシート15、16と裏側の内外のシート15、16との4枚重ねで行うようにしてある。そして、接合は、融着や接着材を用いた接着あるいは縫合によって行うことができる。上記接合部位においては、発泡材18が存在しないか、あるいは発泡材18を圧接により極めて薄くした状態でもって行うことができる。なお、この接合部位も、シール性確保(つまり断熱性向上)の観点から、シールされた状態の接合とするのが好ましいものである。
【0037】
図10は、参考例を示すもので、断熱パックDP2を、蓋付きの箱状容器として構成してある。すなわち、断熱パックDP2は、大別して、本体容器部61と蓋部62とから構成されている。本体容器部61は、底面(底壁)と前後左右の4つの側面(側壁)とを有して、上方が物品の出し入れ用となる開口部61aとされている。そして、蓋部62は、その一辺が本体容器部61の一側面の上部に一体化されて、揺動によって開口部61aを開閉するようになっている。
【0038】
本体容器部61、蓋部62は、断熱性シート1Bによって構成されている。この断熱性シート1Bは、前述した断熱パックDPを構成する断熱性シート1と同じものとされている。
【0039】
蓋部62には、開口部62aが形成され、この開口部62aが透明シート部2Bによって閉塞されている。透明シート部2Bは、前述した断熱パックDPを構成する透明シート部2と同じものとされている。
【0040】
本体容器部61内に、冷却あるいは加温された缶類やビン類等を収納することができる。蓋部62が閉じられている状態で、本体容器部61内に収納されている物品の数や種類、状態等の確認は、透明シート部2Bを通して外部から目視によって容易に行うことができる。これにより、収納されている物品の数や種類の確認のために、蓋部62を一々開かなくてもすみ、これにより収納されている物品の保温性が向上される(温度変化の抑制)。
【0041】
ここで、輸液パックYP用とされた断熱パックDPの断熱効果についての試験例について説明する。試験は、次のように行った。まず、輸液パックYPとして、2000mlの生理食塩水を収納したもの(厚さ80〜130μmの扶桑薬品工業株式会社製)を用意し、あらかじめ加温機によって全体的に40.0℃となるように加温した。断熱パックDPは、その透明シート部2が
図5、
図6のように構成されて内部に空気層23を有するものとした。輸液パックYPを
図2に示すように断熱パックDP内に収納して、点滴を行う場合と同様に吊り下げ具Gによって所定高さ位置で吊り下げた。室温は22℃に維持した。放射温度計(レーザポイント付き)により、輸液パックYPの下面温度(接続部52の温度)と、透明シート部2の中央位置の温度とを計測した。比較のために、上記と同様の輸液パックYPを断熱パックDPに収納しない状態において、その下面温度を計測した。なお、本試験例では、衛生上の観点から、輸液パックYPの表面温度をもって内容物である輸液の温度とみなした。
【0042】
試験結果が、
図11に示される。
図11から理解されるように、輸液パックYPの温度は、断熱パックDPに収納しない状態(比較例)では、3時間経過した時点で、39.1℃から28.4℃に低下して、温度低下は約11℃と大きいものである。
【0043】
これに対して、断熱パックDP内に収納した輸液パックYPにおいては、当初38.8℃であってものが、3時間経過した時点では33.0℃であり、温度低下は5.8度と比較例に比して極めて小さいものとなる。また、透明シート部2においては、当初は29.0℃であったものが、3時間経過した時点でも28.4度Cという極めて高い温度を維持しており、透明シート部2の断熱効果が極めて高いことが理解される。なお、透明シート部2の温度が、1時間経過時点で一旦低下して、1時間半後には温度上昇しているが、これは、輸液パックYPが、吊り下げ具Gによって吊り下げられていることから若干揺動して、透明シート部2が温度の高い輸液パックYPに対して接近した状態と離間した状態とが生じているための現象と理解される。
【0044】
図12は、温度変化を抑制するための保温箱について、その開封頻度を変更したときに、内部に収納された内容物の温度がどのように変化するかを示す実験結果を示すものである。実験に用いた保温箱は、発泡スチロール製により直方体形状に形成された蓋付きのものを用い、その外寸は、454×454×225mmであり、内寸は404×404×185mmである。内容物としては、水を満杯にした500ml用のペットボトルとした。
【0045】
実験は、保温箱が置かれる室内の温度が26.0℃、ペットボトルおよびその内部の水の温度を10.0℃とした状態で、ペットボトルを上記保温箱入れて蓋をした状態とする。そして、第1の実験では、120分の計測時間の間に、10分経過する毎に20秒だけ保温箱の蓋を開封し、開封の度にペットボトル内の水の温度を温度計によって測定する、ということを繰り返し行った。第2の実験では、10分経過する毎に50秒だけ保温箱の蓋を開封することとし、それ以外は第1の実験の場合と同じ条件とした。
【0046】
実験結果を示す
図12おいて、実験開始から120分経過した時点で、ペットボトル内の水の温度が、実験1(20秒開封)の場合は16.7℃まで温度上昇しているのに対して、実験2(50秒開封)場合は17.9℃まで温度上昇しており、上昇温度として1.2℃程度の差が生じた。このことから理解されるように、保温箱を開封する時間が短いほど、温度変化の抑制効果が高いことになる。つまり、
図10に示すように、断熱パックDP2に透明シート部2Bを形成しておくことにより、その内部の状況を確認するために蓋部62を開ける必要がないことから、この分、断熱パックDP2内に収納される冷却された(あるいは加温された)飲食物や飲料物等の温度変化が効果的に抑制される、ということが理解される。
【0047】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。断熱パックの形状や大きさは、温度変化の抑制対象となる物品の種類等に応じて適宜選択できるものであり、温度変化抑制に用いるものであれば、その使用分野は問わないものである。例えば、断熱パックを細長いシート状として、その長手方向端部や幅方向端部に面ファスナ等の係止部を形成したものとして、使用に際しては、物品の周囲に巻回して、面ファスナによってこの巻回状態を維持させるようにする等、使用前の状態では物品を収納できない形状(構造)のものであってもよい。断熱性シートの断熱層17内に充填される充填材としては、例えば発泡材によって格子状や梯子状の形状として、発泡材の周囲に大きな空間(容積)部位を有して、この大きな空間に空気を存在させたものとしてもよい(断熱パックの部分的な潰れ変形防止と、断熱層17内に十分な量の空気を充填することが可能)。断熱層17に充填材を充填しないで、空気のみを充填したものであってもよい。断熱性シートは、例えば肉厚の1枚のシート(例えば発泡シート)によって構成する等、その構造や構成材料等は特に問わないものである。透明シート部2は、2重構造でなく、空気層23を有しない1枚のシート(この場合は断熱性確保の観点から肉厚にするのが好ましい)によって構成したものであってもよい。
【0048】
断熱パックDPにおいて、係止部としては、面ファスナ12に代えて、ジッパー、ホック、ボタン(とボタン孔)、テープ、易接着性樹脂等、適宜のものを利用して構成することができる。断熱パックの内面あるいは外面に、加温剤あるいは冷却剤を収納しておくポケットを設けておくこともできる。例えば、輸液パックYPの場合は、その外面あるいは内面に加温剤を収納するポケットを設けて、このポケットに加温剤(例えば40〜0℃の温度を長い時間維持可能なもの)を収納しておくことにより、輸液パックYPの温度低下をより一層抑制することができる。断熱パックが温度上昇抑制用である場合は、ポケットに冷却剤を収納しておけばよい。断熱パックのうち透明シート部を設ける位置は適宜選択できるが、内部の液量を確認するような場合は、断熱パックの側面に上下方向に伸びるように形成するのが好ましく、内部に収納した物品の数や種類を確認する場合には断熱パックの上面に形成しておくのが好ましい。透明シート部の大きさ、形状、数は、適宜選択でき、例えば、
図10に示すような断熱パックDP2の場合は、蓋部62に例えば円形の透明シート部を複数個分散して設けるようにしてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。