(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の固定装置は、医療機器を装着する置台機構と、この置台機構をポールに固定するクランプ機構とを備えている。置台機構は、医療機器が装着されるカバーを有し、カバーの裏側にL字状の爪が向かい合うように形成されており、この向かい合うL字状の爪の間に別体の枠材がスライドして着脱可能となっている。
【0005】
クランプ機構は正方形状の枠材を有し、この枠材には、ポールに固定するためのクランプ部と、枠材を上記向かい合うL字状の爪の間にスライドして挿入した際に枠材をカバーに形成された凹部に係止する係止爪と、クランプするためのボルト(ハンドル)を備えている。枠材を上記向かい合うL字状の爪の間にスライドして挿入することで、ポールに固定したクランプ機構に、置台機構が係止される。
【0006】
この特許文献1の固定装置では、枠材が正方形状のため、90°回転させてカバー部の向かい合うL字状の爪の間にスライドして挿入することで、ポールの延びる方向(鉛直方向、水平方向)に応じて、クランプ機構を90°回転させて固定できるので、医療機器の上下方向を保って使用することができる。
【0007】
ところで、移動式スタンドに医療機器を固定して移動する際など、医療機器が壁や何等かの物に接触することで、固定装置にはさらに大きな負荷が加わることがある。
【0008】
しかし、特許文献1の固定装置は、カバーの裏側の向かい合うL字状の爪のみで枠材を押さえているため、大きな負荷が加わった場合、向かい合うL字状の爪が開き、枠材が該爪から外れ、医療機器を固定することが維持し難くなるおそれがある。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑み、姿勢が異なるポールの角度に合わせてクランプ機構の固定角度を変化させるとともに、大きな負荷が加わっても医療機器を強く固定できる固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]上記目的を達成するため、本発明の固定装置は、
医療機器をポールに固定する固定装置であって、
当該固定装置は、前記医療機器が装着される置台機構と、当該置台機構を前記ポールに固定するクランプ機構とからなり、
前記クランプ機構は、前記ポールをクランプするクランプ部と、当該クランプ部に設けられ前記置台機構を連結する連結部とを備え、
前記置台機構は、前記医療機器が装着される置台と、当該置台に表面側の開口幅よりも奥側の幅が大きくなるように形成されている溝状のガイド部と、当該ガイド部に案内された前記クランプ機構を着脱自在に係止する係止部と、前記ガイド部に連設され該ガイド部から前記連結部を挿抜可能な開口部とを備え、
前記連結部は、前記置台機構を連結するときに、前記置台の前記ガイド部に沿った表面に対して摺動可能な摺動面を有する連結本体部と、当該連結本体部から突出し前記ガイド部に沿って摺動可能に該ガイド部の内部空間に嵌合される突出部と、当該ガイド部に案内された前記クランプ機構を前記係止部に係止させる被係止部とを備え、
前記突出部は、前記連結本体部に連設されるとともに、前記突出方向に垂直な第1の方向の外形寸法と前記突出方向に垂直であって該第1の方向と交差する第2の方向の外形寸法とがそれぞれ前記ガイド部の表面側の開口幅よりも小さい首部と、当該突出部の先端に連設されるとともに、前記第1の方向及び前記第2の方向の外形寸法がそれぞれ前記ガイド部の表面側の開口幅よりも大きく且つ前記ガイド部の奥側の幅よりも小さい頭部とを有し、
前記被係止部は、前記突出方向及び前記第1の方向の双方に直交する方向に向かって前記クランプ機構が当該ガイド部に案内されたときに、前記係止部に係止させる第1被係止部と、前記突出方向及び前記第2の方向の双方に直交する方向に向かって前記クランプ機構が当該ガイド部に案内されたときに、前記係止部に係止させる第2被係止部とからなることを特徴とする。
【0011】
本発明は、クランプ機構の突出部が、前記突出方向に垂直な第1の方向の外形寸法がガイド部の表面側の開口幅よりも小さい首部と、前記第1の方向の外形寸法が前記ガイド部の表面側の開口幅よりも大きく且つ前記ガイド部の奥側の幅よりも小さい頭部とを有するため、前記突出方向及び前記第1の方向の双方に直交する方向に向かって摺動させて、前記クランプ機構を置台機構のガイド部で案内し、前記クランプ機構の第1被係止部を置台機構の係止部に係止させることができる。
【0012】
そして、クランプ機構の突出部は、前記突出方向に垂直であって該第1の方向と交差する第2の方向の外形寸法がガイド部の表面側の開口幅よりも小さい首部と、前記第2の方向の外形寸法が前記ガイド部の表面側の開口幅よりも大きく且つ前記ガイド部の奥側の幅よりも小さい頭部とを有するので、前記ガイド部に連設された開口部から突出部を一旦抜いて、角度を変化させ、改めて開口部を通り、突出方向及び前記第2の方向の双方に直交する方向に向かって前記クランプ機構を摺動させて、前記クランプ機構の第2被係止部を置台機構の係止部に係止させることができる。
【0013】
さらに本発明では、固定装置に大きな負荷が加わり、突出部がガイド部に対して傾こうとしても、連結本体部の摺動面が置台のガイド部の開口周辺部分に接しているので、ガイド部の開口端縁が離れる方向に変形することを防止することができる。結果、固定装置に大きな負荷が加わっても、医療機器を強く固定することができる。
【0014】
[2]また、本発明においては、医療機器をポールに固定する固定装置であって、
当該固定装置は、前記医療機器が装着される置台機構と、当該置台機構を前記ポールに固定するクランプ機構とからなり、
前記クランプ機構は、前記ポールをクランプするクランプ部と、当該クランプ部に設けられ前記置台機構を連結する連結部とを備え、
当該連結部は、当該連結部に表面側の開口幅よりも奥側の幅が大きくなるように形成されている溝状のガイド部と、当該ガイド部に案内された前記置台機構を着脱自在に係止する係止部と、前記ガイド部に連設され該ガイド部から前記置台機構を挿抜可能な開口部とを備え、
前記置台機構は、前記連結部に連結するときに、前記医療機器が装着されるとともに前記連結部の前記ガイド部に沿った表面に対して摺動可能な摺動面を有する置台と、当該置台から突出し前記ガイド部に沿って摺動可能に該ガイド部の内部空間に嵌合される突出部と、前記ガイド部に案内された前記置台機構を前記係止部に係止させる被係止部とを備え、
前記突出部は、前記置台に連設されるとともに、前記突出方向に垂直な第1の方向の外形寸法と前記突出方向に垂直であって該第1の方向と交差する第2の方向の外形寸法とがそれぞれ前記ガイド部の表面側の開口幅よりも小さい首部と、当該突出部の先端に連設されるとともに、前記第1の方向及び前記第2の方向の外形寸法がそれぞれ前記ガイド部の表面側の開口幅よりも大きく且つ前記ガイド部の奥側の幅よりも小さい頭部とを有し、
前記被係止部は、前記突出方向及び前記第1の方向の双方に直交する方向に向かって前記置台機構が当該ガイド部に案内されたときに、前記係止部に係止させる第1被係止部と、前記突出方向及び前記第2の方向の双方に直交する方向に向かって前記置台機構が当該ガイド部に案内されたときに、前記係止部に係止させる第2被係止部とからなることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、置台機構の突出部が、前記突出方向に垂直な第1の方向の外形寸法がガイド部の表面側の開口幅よりも小さい首部と、前記第1の方向の外形寸法が前記ガイド部の表面側の開口幅よりも大きく且つ前記ガイド部の奥側の幅よりも小さい頭部とを有するため、前記突出方向及び前記第1の方向の双方に直交する方向に向かって摺動させて、前記置台機構をクランプ機構のガイド部で案内し、前記置台機構の第1被係止部をクランプ機構の係止部に係止させることができる。
【0016】
そして、置台機構の突出部は、前記突出方向に垂直であって該第1の方向と交差する第2の方向の外形寸法がガイド部の表面側の開口幅よりも小さい首部と、前記第2の方向の外形寸法が前記ガイド部の表面側の開口幅よりも大きく且つ前記ガイド部の奥側の幅よりも小さい頭部とを有するので、前記ガイド部に連設された開口部から突出部を一旦抜いて、角度を変化させ、改めて開口部を通り、突出方向及び前記第2の方向の双方に直交する方向に向かって前記置台機構を摺動させて、前記置台機構の第2被係止部をクランプ機構の係止部に係止させることができる。
【0017】
さらに本発明では、固定装置に大きな負荷が加わり、突出部がガイド部に対して傾こうとしても、置台の摺動面がクランプ機構のガイド部の開口周辺部分に接しているので、ガイド部の開口端縁が離れる方向に変形することを防止することができる。結果、固定装置に大きな負荷が加わっても、医療機器を強く固定することができる。
【0018】
[3]また、本発明においては、前記係止部は、当該係止部に設けられ前記クランプ機構又は前記置台機構を所定位置に位置決めする係止爪と、当該係止爪に一体に形成されるとともに前記係止爪を前記被係止部の係止解除位置まで移動可能な押しボタンと、当該押しボタンの裏側に設けられ前記押しボタン及び前記係止爪を係止方向に付勢する弾性部材とを備えていることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、押しボタンを押すことで係止爪が被係止部の係止解除位置まで移動する。係止解除して突出部をガイドに沿って移動させるときに被係止部が係止爪を乗り越えることがないので、突出部をガイド部から浮き上がらせる必要がない。このため、突出部の首部の突出長さを、ガイド部の摺動部分の厚みと等しくすることができ、ガイド部に対する突出部のガタつきをなくすことができる。結果、固定装置に大きな負荷が加わり、突出部がガイド部に対して傾いても、ガイド部の開口端縁が離れる方向に変形することをより一層防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
図を参照して、本発明の実施形態1の固定装置1を詳しく説明する。
図1に示すように、固定装置1は、例えば輸液ポンプなどの医療機器2が装着される置台機構10と、当該置台機構10をポール3に固定するクランプ機構30とからなる。
【0022】
図1〜
図3に示すように、置台機構10は、医療機器2が装着される置台11と、当該置台11に形成されている溝状のガイド部12と、当該ガイド部12に案内されたクランプ機構30を着脱自在に係止する係止部21とを備えている。
【0023】
置台11は、医療機器2が置かれる底部13と、当該底部13の縁から上方に延びる背板部14と、当該背板部14に形成されガイド部12に沿った表面15とを備えている。
【0024】
ガイド部12は、背板部14に当該背板部14の下端から上方に延びるとともに、開口の奥側にはガイド補助壁16が形成され、表面15側の開口幅L1よりも奥側の幅L2が大きいT溝状に形成されている。
【0025】
また、置台機構10は、ガイド部12に連設されて、該ガイド部12から連結部41を挿抜可能な開口部17を備えている。
【0026】
係止部21は、当該係止部21に設けられクランプ機構30を所定位置に位置決めする係止爪22と、当該係止爪22の上方に一体に形成される押しボタン23と、当該押しボタン23の裏側と背板部14との間に設けられ押しボタン23及び係止爪22を係止方向に付勢する弾性部材24と、押しボタン23を保持するカバー25と、当該カバー25を背板部14に締結する締結部材26とを備えている。係止爪22には、先端から基端に向かって外側に傾斜する傾斜面27が形成されている。
【0027】
図1〜
図5に示すように、クランプ機構30は、ポール3をクランプするクランプ部31と、当該クランプ部31に設けられ置台機構10を連結する連結部41とを備えている。
【0028】
クランプ部31は、ベースとなるクランプ本体部32と、当該クランプ本体部32の端部から突出しポール3に当接するアーム部33と、クランプ本体部32にアーム部33に対向するように張り出す張り出し部34と、当該張り出し部34に形成される雌ねじ部35と、当該雌ねじ部35に螺合されるボルト36と、ボルト36の頭に設けられるハンドル37と、ボルト36が通されるカラー38とを備えている。
【0029】
連結部41は、置台機構10を連結するときに、置台11のガイド部12に沿った表面15に対向する連結本体部42と、当該連結本体部42から突出しガイド部12に沿って摺動可能にガイド部12の内部空間に嵌合される突出部40と、ガイド部12に案内されたクランプ機構30を係止部21に係止させる被係止部45とを備えている。連結本体部42には、ガイド部12に沿った表面15に摺動する摺動面47が設けられている。
【0030】
なお、実施形態では、摺動面47を平面としたが、これに限定されず、連結本体部42の首部43の周囲を窪ませて、首部43から離間した位置に摺動面47を設けてもよい。このような構成にすることで、ガイド部12に沿った表面15と接触面積を減らして、連結部41のガイド部12への挿入時の抵抗を軽減することができる。さらに、外力により突出部40が傾こうとした場合に、首部43から離間した位置で摺動面47をガイド部12に沿った表面15に接触させ、少ない接触面積であっても、てこの作用により突出部40を傾かないように大きな力で支持することができる。
【0031】
突出部40は、連結本体部42に連設されるとともに、突出方向に垂直な第1の方向の外形寸法W1と突出方向に垂直であって該第1の方向と交差する第2の方向の外形寸法W2とがそれぞれガイド部12の表面側の開口幅L1よりも小さい首部43と、当該突出部40の先端に連設されるとともに、第1の方向及び第2の方向の外形寸法W3、W4がそれぞれガイド部12の表面側の開口幅L1よりも大きく且つガイド部12の奥側の幅L2よりも小さい頭部44とを有する。
【0032】
被係止部45は、突出方向及び第1の方向の双方に直交する方向に向かってクランプ機構30が当該ガイド部12に案内されたときに、係止部21に係止させる第1被係止部45a、45cと、突出方向及び第2の方向の双方に直交する方向に向かってクランプ機構30が当該ガイド部12に案内されたときに、係止部21に係止させる第2被係止部45bとからなる。
【0033】
首部43は多角柱であり、被係止部45は、多角柱の各辺の外方に形成されている。具体的には、首部43である多角柱は、ガイド部12の表面側の開口幅L1より若干短い辺を有する正四角柱であり、被係止部45a、b、cは少なくとも3つ形成されている。連結本体部42には、クランプ本体部32が重ねられ、クランプ本体部32は締結部材46によって連結本体部42に締結されている。
【0034】
次いで、置台機構10の組立てについて説明する。置台機構10においては、ガイド部12の上方で置台11の背板部14に、弾性部材24、押しボタン23、カバー25に順に重ね、締結部材26でカバー25を背板部14に締結する。
【0035】
次いで、クランプ機構30の組立てについて説明する。クランプ機構30においては、連結本体部42にクランプ本体部32を重ね、締結部材46でクランプ本体部32を連結本体部42に締結する。カラー38にボルト36を通し、ボルト36を張り出し部34の雌ねじ部35に螺合する。
【0036】
次いで固定装置1の作用を説明する。
図6Aに示すように、固定装置1は、例えばスタンドのような鉛直方向に延びるポールに取付け、ハンドル37を右向きに配置した状態である。置台機構10にクランプ機構30を取り付けられた状態である。
図6Bに示すように、係止部21の係止爪22に、連結部41の被係止部45aが係止されている。
【0037】
図7Aに示すように、固定装置1は、係止部21の押しボタン23を矢印(1)のように押した状態である。
図7Bに示すように、押しボタン23とともに係止爪22が背板部14側に移動し、係止爪22による被係止部45aの係止が解除される。
【0038】
図8Aに示すように、固定装置1は、クランプ機構30を置台機構10のガイド部12に沿って移動させた状態である。
図8Bに示すように、係止爪22から被係止部45aが離間し、置台11のガイド部12沿った表面を連結本体部42の摺動面47が矢印(2)のように摺動している。
【0039】
図9に示すように、実線で示すクランプ機構30は、例えばベッドサイドの水平方向に延びるポールに取付け、ハンドル37を下向きに配置した状態で、置台機構10に連結する状態を示す。この向きでクランプ機構30の首部43を置台機構10のガイド部12に案内し、被係止部45bを係止爪22に係止する。
【0040】
実線で示すクランプ機構30を、スタンド等の鉛直に伸びるポールにハンドル37を右向きにした状態で取付ける場合は、係止爪22による被係止部45bの係止を解除し、クランプ機構30を置台機構10から一旦外し、ハンドル37を右に90°回転させ、図右側の想像線で示すクランプ機構30の状態とする。ハンドル37が右向きの状態のクランプ機構30を置台機構10のガイド部12に案内し、被係止部45aを係止爪22に係止する。
【0041】
実線で示すクランプ機構30を、スタンド等の鉛直に伸びるポールにハンドル37を左向きにした状態で取付ける場合は、係止爪22による被係止部45bの係止を解除し、クランプ機構30を置台機構10から一旦外し、ハンドル37を左に90°回転させ、図左側の想像線で示すクランプ機構30の状態とする。ハンドル37が左向きの状態のクランプ機構30を置台機構10のガイド部12に案内し、被係止部45cを係止爪22に係止する。
【0042】
次いで、
図4の別態様について説明する。なお、
図4と同様の構成については、説明を省略し、符号を流用するものとする。
【0043】
図10に示すように、クランプ機構30の突出部40は、連結本体部42に連設される円柱状の首部43と、突出部40の先端に連設される円柱状の頭部44とを備えている。首部43の外径は、ガイド部12の表面側の開口幅よりも小さい。頭部44の外径は、首部43の外径よりも大きく且つガイド部12の表面側の開口幅よりも大きく且つガイド部12の奥側の幅よりも小さい。
【0044】
また、首部43の外径方向に、環状の被係止部45が形成されている。このため、クランプ機構30はガイド部12(
図5参照)に自由回転させて嵌合させることができ、ハンドル37の位置を360°の自由な角度に配置することができる。なお、被係止部45を係止する係止爪22は、被係止部45に係止可能な幅に設定されている。
【0045】
図11に示すように、環状の被係止部45の外側に複数の平面部48を連設している。係止爪22に被係止部45を係止した際に、平面部48が押しボタン23の下面に接触することでクランプ機構30に対する置台機構10の回転を防止することができる。
【0046】
図12に示すように、環状の被係止部45の内方に、複数の平面部49を連設している。係止爪22に被係止部45を係止した際に、平面部49に係止爪22の先端を接触させることでクランプ機構30に対する置台機構10の回転を防止することができる。
【0047】
以上に述べたように、クランプ機構30の連結部41は、連結本体部42から突出しガイド部12に沿って摺動可能に該ガイド部12の内部空間に嵌合される突出部40を備え、突出部40は、連結本体部42に連設されるとともに、突出方向に垂直な第1の方向の外形寸法と突出方向に垂直であって該第1の方向と交差する第2の方向の外形寸法とがそれぞれガイド部12の表面側の開口幅よりも小さい首部43と、当該突出部40の先端に連設されるとともに、第1の方向及び第2の方向の外形寸法がそれぞれガイド部12の表面側の開口幅よりも大きく且つガイド部12の奥側の幅よりも小さい頭部44とを有するので、ガイド部12に対して突出部40の角度を複数方向に変化させることができる。
【0048】
置台機構10は、置台11に表面側の開口幅よりも奥側の幅が大きくなるように形成されている溝状のガイド部12と、ガイド部12に連設され該ガイド部12から連結部41を挿抜可能な開口部17とを備えるので、連結部41をガイド部12から挿抜して、連結部41を備えるクランプ機構30の角度を姿勢が異なるポールの角度に合わせて変化させることができる。
【0049】
連結部41は、ガイド部12に案内されたクランプ機構30を係止部21に係止させる被係止部45a、45b、45cを備え、被係止部45a、45b、45cは、突出部40の突出方向及び第1の方向の双方に直交する方向に向かってクランプ機構30が当該ガイド部12に案内されたときに、係止部21に係止させる第1被係止部45a、45cと、突出方向及び第2の方向の双方に直交する方向に向かってクランプ機構30が当該ガイド部12に案内されたときに、係止部21に係止させる第2被係止部45bとからなるので、角度を変えてクランプ機構30の突出部40を嵌合した際に、第1被係止部45a、45c又は第2被係止部45bを係止部21に係止することができる。
【0050】
仮に固定装置1に大きな負荷が加わり、クランプ機構30の突出部40が置台機構10のガイド部12から外れる方向の外力を受けて突出部40がガイド部12に対して傾いても、連結本体部42の摺動面47が置台11のガイド部12に沿った表面15に接するので、ガイド部12の開口周辺部分を抑えて突出部40がガイド部12から外れないようにすることができる。結果、固定装置1に大きな負荷が加わっても、係止部21を被係止部45a、45b、45cに係止させた状態で、医療機器2を強く固定することができる。
【0051】
押しボタン23を押すことで係止爪22が被係止部45a、45b、45cの係止解除位置まで後退する。係止解除して突出部40をガイドに沿って移動させるときに被係止部45a、45b、45cが係止爪22を乗り越えることがないので、突出部40をガイド部12から浮き上がらせる必要ない。
【0052】
このため、突出部40の首部43の突出長さを、ガイド部12の摺動部分の厚みと等しくすることができ、ガイド部12に対する突出部40のガタつきをなくすことができる。結果、固定装置1に大きな負荷が加わり、突出部43がガイド部12に対して傾いても、ガイド部12の開口端縁が離れる方向に変形することをより一層防止することができる。
【0053】
さらに、係止部21は、当該係止部21に設けられクランプ機構30又は置台機構10を所定位置に位置決めする係止爪22を備えており、当該係止爪22の上方に一体に押しボタン23が形成され、弾性部材24によって押しボタン23及び係止爪22が係止方向に付勢されているので、弾性部材24の付勢力によって係止爪22を被係止部45a、45b、45cに係止させた状態にすることができる。
【0054】
さらに、クランプ機構30と置台機構10とを連結する際、突出部40をガイド部12にスライドさせるだけで、係止爪22の傾斜面27に被係止部45a、45b、45cが乗り上げさせて、係止爪22を被係止部45a、45b、45cに容易に係止させることができる。
【0055】
さらに、連結本体部42に重ねられたクランプ本体部32のアーム部33と、クランプ本体部32の張り出し部34に設けられたボルト36とで、ポール3を挟み込み、ボルト36を締め付けるだけでポール3をクランプすることができる。結果、固定装置1のクランプ機構30を容易にポール3に固定することができる。
【0056】
さらに、選択的に複数方向でクランプ機構30をポール3にクランプさせた状態で、被係止部45a、45b、45cを係止部21に係止することができる。
【0057】
クランプ機構30を置台機構10に連結するときに、ガイド部12に正四角柱状の首部43が嵌りクランプ機構30が回転し難くなるので、クランプ機構30をそのまま移動させるだけで係止部21を被係止部45a、45b、45cに係止することができる。さらに、被係止部45a、45b、45cは少なくとも3つ形成されているので、置台機構10に対して少なくとも3方向でクランプ機構30を係止することができる。
【0058】
首部43近傍の摺動面47と頭部44との間に、置台11のガイド部12に沿った部分が嵌り、摺動面47と置台11のガイド部12に沿った表面15とのガタつきがなくなり、固定装置1に大きな負荷が加わり、突出部40がガイド部12に対して傾いても、ガイド部12の開口端縁が離れる方向に変形することをより防止することができる。
【0059】
押しボタン23の係止爪22側の面と当該係止爪22との間に被係止部45、45a、45b、45cが嵌るので、被係止部45、45a、45b、45cが押しボタン23と係止爪22との間を移動する必要がない。
【0060】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、
図1〜
図12の符号を部分的に流用するものとする。
【0061】
図1に示すように、固定装置1は、医療機器2が装着される置台機構10と、当該置台機構10をポール3に固定するクランプ機構30とからなる。クランプ機構30は、ポール3をクランプするクランプ部31と、クランプ部31に設けられ置台機構10を連結する連結部41とを備える。
【0062】
連結部41は、当該連結部41に表面側の開口幅よりも奥側の幅が大きくなるように形成されている溝状のガイド部12と、当該ガイド部12に案内された置台機構10を着脱自在に係止する係止部21と、ガイド部12に連設され該ガイド部12から置台機構10を挿抜可能な開口部17とを備える。
【0063】
置台機構10は、連結部41に連結するときに、医療機器2が装着されるとともに連結部41のガイド部12に沿った表面に対して摺動可能な摺動面を有する置台11と、当該置台11から突出しガイド部12に沿って摺動可能に該ガイド部12の内部空間に嵌合される突出部40と、ガイド部12に案内された置台機構10を係止部21に係止させる被係止部45とを備える。
【0064】
突出部40は、置台11に連設されるとともに、突出方向に垂直な第1の方向の外形寸法と突出方向に垂直であって該第1の方向と交差する第2の方向の外形寸法とがそれぞれガイド部12の表面側の開口幅よりも小さい首部43と、当該突出部40の先端に連設されるとともに、第1の方向及び第2の方向の外形寸法がそれぞれガイド部12の表面側の開口幅よりも大きく且つガイド部12の奥側の幅よりも小さい頭部44とを有する。
【0065】
被係止部45は、突出方向及び第1の方向の双方に直交する方向に向かって置台機構10が当該ガイド部12に案内されたときに、係止部21に係止させる第1被係止部45a、45cと、突出方向及び第2の方向の双方に直交する方向に向かって置台機構10が当該ガイド部12に案内されたときに、係止部21に係止させる第2被係止部45bとからなる。
【0066】
かかる構成によれば、ガイド部12に対して突出部の角度を複数方向に変化させることができる。置台機構10をガイド部12から挿抜して、連結部41を備えるクランプ機構30の角度を姿勢が異なるポール3の角度に合わせて変化させることができる。ガイド部12に角度を変えて置台機構10の突出部40を嵌合した際に、第1被係止部45a、45c又は第2被係止部45bを係止部21に係止することができる。
【0067】
仮に固定装置1に大きな負荷が加わり、置台機構10の突出部40がクランプ機構30のガイド部12から外れる方向の外力を受けて突出部40がガイド部12に対して傾いても、置台11の摺動面が連結部41のガイド部12に沿った表面15に接するので、ガイド部12の開口周辺部分を抑えて突出部40がガイド部12から外れないようにすることができる。結果、固定装置1に大きな負荷が加わっても、係止部21を被係止部45に係止させた状態で、医療機器2を強く固定することができる。
【0068】
なお、実施形態では、係止爪22を被係止部45、45a、45b、45cに係止する形態としたが、これに限定されず、係止爪22及び被係止部45、45a、45b、45cを面ファスナー、磁石などにしてもよく、係止部21を介して置台機構10とクランプ機構30とを係止できれば他の部材、係止機構であっても差し支えない。
【0069】
また、実施形態では、係止部21と係止される際の被係止部45、45a、45b、45cを、突出部43のガイド部12の移動方向に配置したが、これに限定されず、移動方向から角度が30°、45°、90°ずらした位置に、係止部21と係止される際の被係止部45、45a、45b、45cを配置してもよく、ガイド部12に突出部43を嵌合する際に、被係止部45、45a、45b、45cが係止部21に係止されれば配置場所は問わない。
【0070】
また、第1実施形態では、首部43及び頭部44を正四角柱としたが、これに限定されず、三角柱、平面視で長方形の四角柱、五角柱、六角柱、円柱、平面視で楕円の柱などとしてもよく、さらには、首部43と頭部44との組み合わせを上記の中から変えても差し支えない。
【0071】
また、実施形態では、ガイド部12を、いわゆるT溝としたが、これに限定されず、あり溝などでもよく、表面側の開口幅よりも奥側の幅が大きくなるように溝が形成されていれば、ガイド部12の形態は問わない。