特許第6961891号(P6961891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961891
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/60 20180101AFI20211025BHJP
   F21V 29/90 20150101ALI20211025BHJP
【FI】
   F21S45/60
   F21V29/90
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-251335(P2017-251335)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-117735(P2019-117735A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】314004624
【氏名又は名称】株式会社コラント
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】小野木 克幸
【審査官】 大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−294263(JP,A)
【文献】 実開平02−020204(JP,U)
【文献】 特開2010−257760(JP,A)
【文献】 特開2000−348521(JP,A)
【文献】 特開2013−152852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/60
F21V 29/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部を開口する筐体と、
該筐体の内部に配設され、一又は複数の光源を備えた光源基板と、
該筐体の前部開口を覆う透光パネルと
を備えてなる車両用照明装置において、
前記筐体は、
筐体内の一側端部に設けられ、前記透光パネルの背面に近接する位置で開口された吸入口と、前記光源基板の背方に露出する吸入接続口とを連通し、該吸入口から該吸入接続口へ空気を流通させる吸入流路と、
筐体内の他側端部に設けられ、前記透光パネルの背面に近接する位置で開口された流出口と、該流出口の背方に露出する流出接続口とを連通し、該流出接続口から該流出口へ空気を流通させる流出流路と
を備えてなり、
前記筐体の背面部に、取付手段を介して着脱可能に取り付けられるものであって、
前記筐体に取り付けられた状態で、該筐体の吸入接続口に連通される連接吸入口と、該筐体に取り付けられた状態で、該筐体の流出接続口に連通される連接流出口とを備え、内部空域を介して該連接吸入口と連接流出口とが連通されたケース体と、
前記ケース体の内部空域に配設され、前記連接吸入口を介して前記吸入流路から空気を吸引して、前記連接流出口を介して前記流出流路へ送出する空気流動装置と、
前記ケース体の内部空域に配設され、前記空気流動装置により吸引した空気を加熱する加熱装置と
を備えてなる暖気循環ユニットを具備し、
前記暖気循環ユニットを取り付けた状態で、前記吸入流路と、前記ケース体の内部空域と、前記流出流路と、前記筐体の内部とにより、空気を循環させる密閉状の暖気循環路を構成するものであることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
筐体は、流出口の直背方に流出接続口を配すると共に、該流出接続口よりも前記一側端部側に吸入接続口を配してなり、
暖気循環ユニットは、ケース体の内部空域の、連接流出口寄りの部位に、加熱装置が配設されると共に、該加熱装置よりも連接吸入口側に空気流動装置が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
ケース体の内部空域に配設された加熱装置は、連接吸入口から連接流出口に向かう方向と略直交する方向に所定間隔をおいて並設された複数のPTCヒータにより構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車やトラック等の車両の前部や後部に配設される車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のヘッドライト(前照灯)やテールライト(尾灯)には、前部を開口する筐体と、該筐体の内部に配設されたLED等の光源と、該筐体の前部開口を覆う透光パネルとを備えてなる照明装置が用いられる。こうした照明装置は、寒冷地で用いられる際に、透光パネルに雪や氷が付着すると、光源から発せられた光が妨げられて、前方へ照射される光が弱くなる。そのため、透光パネルに付着した雪を融雪したり該透光パネルの凍結を防止し得る構成が、従来から提案されている。例えば特許文献1には、透光パネルの背面近傍にLEDからの熱を伝える加熱部を配設し、筐体の内部に配設された送風ファンにより該筐体内の空気を流動させる構成が提案されている。かかる構成によれば、前記加熱部で温められる空気により、筐体内の空気を温めることができ、透光パネルに付着した雪や氷を溶かすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−294263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の従来構成にあっては、LEDの熱により加熱部を温める構成であるが、LED自体の発熱量が比較的少ないことから、寒冷地で、透光パネルに付着した雪や氷を溶かす効果に限界があった。
また、こうした雪や氷を溶かす融解機能は、寒冷地で必要な機能であるものの、該寒冷地以外の地方では必ずしも求められていない。そのため、かかる融解機能を有する照明装置は、寒冷地で使用される車両にのみ配設される場合が多い。しかし、この従来構成の照明装置は、加熱部と送風ファンとをLEDと共に筐体の内部に配設した一体構造であることから、寒冷地以外で使用される車両には、該加熱部と送風ファンを備えない別構造の照明装置が必要となり、製造コストを増加する要因の一つとなっていた。さらに、自動車やトラックは、所有者が変わること等によって、使用される場所が寒冷地以外から寒冷地に移ることもあり得る。こうした場合では、雪や氷の融解機能を有する照明装置に取り替える必要が生じ、この取り替えに時間と費用がかかるという問題もあった。
【0005】
本発明は、寒冷地で透光パネルに付着した雪や氷を溶かす効果に優れると共に、寒冷地に適した仕様と寒冷地以外に適した仕様とに容易に対応し得る車両用照明装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前部を開口する筐体と、該筐体の内部に配設され、一又は複数の光源を備えた光源基板と、該筐体の前部開口を覆う透光パネルとを備えてなる車両用照明装置において、前記筐体は、筐体内の一側端部に設けられ、前記透光パネルの背面に近接する位置で開口された吸入口と、前記光源基板の背方に露出する吸入接続口とを連通し、該吸入口から該吸入接続口へ空気を流通させる吸入流路と、筐体内の他側端部に設けられ、前記透光パネルの背面に近接する位置で開口された流出口と、該流出口の背方に露出する流出接続口とを連通し、該流出接続口から該流出口へ空気を流通させる流出流路とを備えてなり、前記筐体の背面部に、取付手段を介して着脱可能に取り付けられるものであって、前記筐体に取り付けられた状態で、該筐体の吸入接続口に連通される連接吸入口と、該筐体に取り付けられた状態で、該筐体の流出接続口に連通される連接流出口とを備え、内部空域を介して該連接吸入口と連接流出口とが連通されたケース体と、前記ケース体の内部空域に配設され、前記連接吸入口を介して前記吸入流路から空気を吸引して、前記連接流出口を介して前記流出流路へ送出する空気流動装置と、前記ケース体の内部空域に配設され、前記空気流動装置により吸引した空気を加熱する加熱装置とを備えてなる暖気循環ユニットを具備し、前記暖気循環ユニットを取り付けた状態で、前記吸入流路と、前記ケース体の内部空域と、前記流出流路と、前記筐体の内部とにより、空気を循環させる密閉状の暖気循環路を構成するものであることを特徴とする車両用照明装置である。
【0007】
かかる構成にあっては、加熱装置で加熱された空気を流出する流出口が、筐体の他側端部で透光パネルの背面近傍に設けられ、かつ空気を吸入する吸入口が、該筐体の一側端部で該透光パネルの背面近傍に設けられたものであるから、該流出口から流出した空気が透光パネルに沿って他側端部から一側端部へ流動し易く、両端部間を効率的に温めることができる。そして、透光パネルの背面に沿って通過することにより、流動する空気は冷やされるものの、空気流動装置により加熱装置へ送られて加熱されることから、安定して透光パネルを温めることができる。さらに、光源を点灯させる光源基板と別に加熱装置が設けられていることから、該加熱装置により空気を十分に高い温度で加熱することができる。こうしたことから、本構成によれば、寒冷地にあって、透光パネルに付着した雪や氷を溶かす効果に優れ、該雪や氷の付着による照明性能の低減を可及的に抑制できる。
【0008】
さらに、本構成は、空気流動装置と加熱装置とを備えた暖気循環ユニットが着脱可能であることから、寒冷地で使用される場合と寒冷地以外の地方で使用される場合とで、該暖気循環ユニットの装着または非装着とを選択できる。すなわち、暖気循環ユニットを取り付けた状態とするか取り外した状態とするかによって、寒冷地に適した仕様(雪や氷の融解機能を備えた仕様)と寒冷地以外に適した仕様(該融解機能を備えない仕様)とに容易に対応できる。そして、使用地が変更された場合にも、暖気循環ユニットの取り付け又は取り外しにより各地域での仕様に容易に変換できる。こうしたことから、本構成では、上述した従来構成のように寒冷地と他の地方とで別構造のものを必要とせず、製品や規格を統一化できることから、該別構造を製造するコストの増加や、交換に要するコストと時間との増加を可及的に抑制できる。また、暖気循環ユニットが着脱容易であることから、寒冷地で長期間使用された場合などで空気流動装置や加熱装置に故障が生じた場合に、該暖気循環ユニットを交換することで、該故障にも容易に対応できる。
【0009】
尚、本発明の構成にあっては、筐体の吸入接続口と暖気循環ユニットのケース体の連接吸入口とを連通した状態とする連結構造を有するものが好適である。この構成では、筐体と暖気循環ユニットとの取付状態で、前記連結構造を介して吸入接続口と連接吸入口とが連通される。同様に、筐体の流出接続口と暖気循環ユニットの連接流出口とを連通した状態とする連結構造を有するものが好適であり、この構成では、該該筐体と暖気循環ユニットとの取付状態で、該連結構造を介して該流出接続口と連接流出口とが連通される。
【0010】
上述した本発明の車両用照明装置にあって、筐体は、流出口の直背方に流出接続口を配すると共に、該流出接続口よりも前記一側端部側に吸入接続口を配してなり、暖気循環ユニットは、ケース体の内部空域の、連接流出口寄りの部位に、加熱装置が配設されると共に、該加熱装置よりも連接吸入口側に空気流動装置が配設されている構成が提案される。
【0011】
かかる構成によれば、流出流路を比較的短い構造にでき、さらに、加熱装置から流出口までの距離を短くできることから、該加熱装置により加熱された空気が流出口から流出するまでの間で温度低下してしまうことを、可及的に抑制できる。これにより、透光パネルを一層効率良く温めることができ、該透光パネルに付着した雪や氷を溶かす効果が一層向上する。
【0012】
上述した本発明の車両用照明装置にあって、ケース体の内部空域に配設された加熱装置は、連接吸入口から連接流出口に向かう方向と略直交する方向に所定間隔をおいて並設された複数のPTCヒータにより構成されたものが提案される。
【0013】
かかる構成によれば、ケース体の内部空域を流動する空気が、複数のPTCヒータの間を通過して連接流出口から流出流路へ流出するから、該流出流路へ流出する空気を該PTCヒータによって効率的かつ安定して加熱できる。そして、この加熱された空気が流出口から流出されて透光パネルを温めることによって、透光パネルに付着した雪や氷を溶かす効果が一層向上する。また、本構成では、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを用いていることから、加熱する温度を制御するための制御装置を別途設ける必要が無く、所定温度で安定して加熱できる。そして、構成部品を少なくしたり、構造の単純化に寄与できることから、製造にかかるコストや時間を低減できるという優れた利点もある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両用照明装置にあっては、暖気循環ユニットの加熱装置で加熱した空気を、透光パネルの背面に沿って筐体の他側端部から一側端部へ流動させることができるため、該透光パネルを効率的に温めることができる。これにより、寒冷地にあって、透光パネルに付着した雪や氷を溶かす効果に優れ、該雪や氷の付着による照明性能の低減を可及的に抑制できるため、所望の照明効果が十分に発揮され得る。さらに、暖気循環ユニットを取り付けた状態と取り外した状態とのいずれかとできることから、寒冷地に適した仕様と寒冷地以外に適した仕様とに容易に変換でき、いずれの仕様にも適正に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の車両用照明装置1の前方斜視図である。
図2】車両用照明装置1の後方斜視図である。
図3】車両用照明装置1の左側部を拡大して示す正面図である。
図4】車両用照明装置1の右側部を拡大して示す正面図である。
図5】車両用照明装置1の縦断面図である。
図6】装置本体2の後方斜視図である。
図7】装置本体2の縦断面図である。
図8】装置本体2の、(A)左側端部の前部の断面拡大図と、(B)右側端部の前部の断面拡大図である。
図9】暖気循環ユニット3の、(A)前方斜視図と、(B)後方斜視図である。
図10】暖気循環ユニット3の、(A)水平断面図と、(B)縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかる実施例を添付図面に従って説明する。
図1〜5に本発明にかかる車両用照明装置1を示す。本実施例の車両用照明装置1は、トラックのテールランプ(尾灯)に適用されるものであり、複数のLED21を内部に備えた装置本体2と、装置本体2の背面に着脱可能に取り付けられる暖気循環ユニット3とを備えてなる。本実施例にあって、装置本体2の、暖気循環ユニット3を取り付ける側を、背方(後方)とし、逆側の、LED21の光が照射される側を、前方として、以下説明する。さらに、車両用照明装置1を前方から視て(正面視して)、装置本体2の長手方向を横方向(左右方向)とし、短手方向を上下方向として説明する。尚、左右方向と上下方向とは、車両用照明装置1を正面視した状態における方向である。
【0017】
車両用照明装置1を構成する装置本体2は、前部を開口した筐体11と、該筐体11の前部開口を覆う略平板状の透光パネル12と、該筐体内部に配設された略矩形状の発光ベース体13とを備え、該発光ベース体13の背面に、複数のLED21を配設した光源基板14(図5,7)が装着されている。ここで、筐体11は、左右方向を長手方向とする略長方体状をなし、その前部開口が前記透光パネル12により閉鎖される。この透光パネル12は、薄厚のプラスチック製であり、筐体内部に配設された前記LED21から発せられた光を前方へ透過するものである。尚、筐体11、後述する被覆カバー19、および暖気循環ユニット3のケース体51もプラスチック製である。
【0018】
前記の発光ベース体13は、図5,7に示すように、背面に、前記した複数の光源基板14が螺子等により固定され、各光源基板14に配設された複数のLED21を夫々に前方へ露出する複数の露出口(図示せず)が設けられている。そして、発光ベース体13の前面は、光を反射する白系色に塗装されている。この発光ベース体13は、図1,3,4に示すように、前記露出口が左右横方向(長手方向)に所定間隔をおいて一直線上に設けられた第一発光帯部22,23と第二発光帯部24とが、上下方向に交互に並設されている。詳述すると、第二発光帯部24は、上から二番目と四番目と最下位置とに夫々配設されており、乳白色のカバー板25により露出口の前方が夫々覆われて、LED21を直接視認し難くなっている。これら第二発光帯部24は、カバー板25で覆われた各LED21の発光により、該カバー板25の全体を光らせることができる。一方、第一発光帯部22,23は、最上位置と三番目と五番目とに夫々配設されており、後方に窪む複数の凹部(図示せず)が左右方向に列設されて、各凹部の略中央に前記露出口が夫々設けられたものである。これら第一発光帯部22,23は、各凹部により、露出口のLED21から発せられた光を、前方へ効率的に照射できる。尚、最上位置の第一発光帯部22は、他の第一発光帯部23および第二発光帯部24に比して左右に長く、該露出口の配設数が多い。
【0019】
第一発光帯部22.23および第二発光帯部24の背面には、図5,7に示すように、横方向を長手方向とする長方形板状の光源基板14が複数固定される。各光源基板14には、その前面に、複数のLED21が長手方向に所定間隔をおいて並設されている。そして、複数の光源基板14は、各LED21が第一および第二発光帯部の各露出口から露出するように、発光ベース体13の背面に装着されている。尚、こうした第一および第二発光帯部22〜24により、所謂テールランプが構成されている。
【0020】
さらに、本実施例の発光ベース体13は、図1,3に示すように、正面視の左側端部に、後方に窪む複数(五個)の凹部が上下方向に列設された第三発光帯部26が設けられており、各凹部の略中央に露出口(図示せず)が夫々開口されている。そして、複数のLED21を備えた光源基板14が、該第三発光帯部の各露出口から各LED21を露出するように、発光ベース体13の背面に装着されている。尚、こうした上下方向の第三発光帯部26により、所謂バックランプが構成されている。
【0021】
こうした発光ベース体13は、筐体11の内部に螺子等により固定され、その前方が上記した透光パネル12により覆われる(図5,7参照)。ここで、透光パネル12は、前記の第一および第二発光帯部22〜24と間隙を介して固定される。この間隙により、装置本体2の内部空域5が構成される(図8参照)。
【0022】
また、装置本体2は、図5〜7に示すように、筐体11の背面部11aに、上記の光源基板14に外部から供給される電力を調整するための電力調整用の基板18が配設されていると共に、該基板18を覆う被覆カバー19が配設されている。この電力調整用の基板18と被覆カバー19とは、筐体11の背面部11aの略中央よりも左側領域に配設されており、筐体11の背面部11aから背方へ突出されている。尚、本実施例では、電力調整用の基板18を、光源基板14を内蔵する筐体11の外部に配設することで、該基板18の抵抗により発生する熱が該光源基板14に伝わることを抑制している。
【0023】
次に、本発明の要部について説明する。
上記した装置本体2の発光ベース体13には、図3,5,7に示すように、その左側端部に、上下方向に所定間隔で列設された複数の吸入口31が開口形成されている。各吸入口31は、二列目以下の第一発光帯部23および第二発光帯部24と第三発光帯部26との間に夫々設けられており、筐体11に取り付けられた透光パネル12の背面に近接する位置で、前方開口する(図8(A)参照)。さらに、筐体11の内部には、各吸入口31と、該筐体11の背面部11aに開口形成された吸入接続口32とを連通する吸入流路33が設けられている。この吸入流路33は、各吸入口31から背方へ延成され、さらに、筐体11の背面部に沿って右方へ延成されて、前記吸入接続口32に至る。そして、この吸入流路33は、各吸入口31に連通する前端部で、上下方向に複数に区画されており、各区画された領域が各吸入口31に夫々連通するように構成されている。一方、前記の吸入接続口32は、筐体11の背面部11aの、前記被覆カバー19よりも右方の部位に形成されており、前記した暖気循環ユニット3を非装着の状態で、背方へ開放される。そして、筐体11の背面部11aには、前記吸入接続口32の周囲に、前方へ略円環状に凹む嵌合凹部35が設けられている。
【0024】
また、発光ベース体13には、図4,5,7に示すように、その右側端部に、上下方向に所定間隔で列設された複数の流出口41が開口形成されている。各流出口41は、二列目以下の第一発光帯部23および第二発光帯部24の右隣に夫々設けられており、筐体11に取り付けられた透光パネル12の背面に近接する位置で、前方開口する(図8(B)参照)。ここで、各流出口41は、前記した各吸入口31と、筐体11(発光ベース体13)の左右両端部で互いに対向する位置(上下方向の同じ位置)に形成されている。さらに、発光ベース体13の右側端部には、前記各流出口41から背方に延成され、該流出口41の直背方で後方開口する流出接続口42に至る前後方向の流出流路43が設けられており、流出流路43が、各流出口41と流出接続口42とを連通する。ここで、流出流路43は、上下方向に複数に区画された複数の流路領域(図示せず)により構成されており、各流路領域が前記各流出口41に連通する。尚、こうした流出流路43により、前記流出接続口42も上下方向に複数に区画されている。一方、筐体11の背面部11aには、図6,7に示すように、前記流出接続口42の直背方に、該流出接続口42を臨む嵌入口36が開口されており、該流出接続口42が、嵌入口36を介して筐体11の背方へ開放される。この嵌入口36は、筐体11の背面部11aの右側端部(吸入接続口32の右方位置)に、上下方向に細長い開口形状で形成されており、その口縁には、該嵌入口36を周回するように内枠突縁37aと、該内枠突縁37aを囲む外枠突縁37bとが設けられている。
【0025】
こうした装置本体2は、筐体11と透光パネル12とにより閉鎖された内部空域5(図8参照)が、前記の吸入接続口32と嵌入口36のみで外部と連通する。
【0026】
さらに、筐体11の背面部11aには、図6,7に示すように、前記吸入接続口32および流出接続口42が形成された右側領域に、背方に突出するボス部47が複数立設されている。そして、各ボス部47には、螺子孔が形成されており、所定の螺子を螺合できる。
【0027】
一方、暖気循環ユニット3は、図9,10に示すように、内部空域52を有するケース体51と、該内部空域52に配設された空気流動装置53と、該内部空域52に配設された加熱装置54とを備えてなる。ケース体51は、筐体11の背面部11aに対面する前面部51aの左端寄り部位に、該背面部11aの嵌合凹部35に嵌合される嵌合凸部57が突成されており、さらに、該嵌合凸部57の略中央に、該背面部11aの吸入接続口32に嵌入される円筒状の連結突部58が突成されている。そして、連結突部58には、内部空域52に連通する連接吸入口59が開口されており、筐体11の吸入接続口32に嵌入された状態で、該筐体11の吸入流路33とケース体51の内部空域52とを連通する(図5参照)。
【0028】
また、ケース体51は、その前面部51aの右端寄り部位に、該前面部51aから前方へ突成された嵌入突部61が設けられている。この嵌入突部61は、上下方向に細長い矩形筒状をなし、前記した筐体11の嵌入口36に嵌入可能に形成されている。そして、嵌入突部61は、その先端(前端)に、内部空域52に連通する連接流出口62が設けられていると共に、内部に、該連接流出口62と内部空域52とを連通する流出連絡路64が設けられている。さらに、嵌入突部61は、筐体11の嵌入口36に嵌入されて、先端の連接流出口62に、前記した流出接続口42の口縁の連結部46が嵌入される。これにより、ケース体51の内部空域52が、嵌入突部61の流出連絡路64を介して、筐体11の流出流路43と連通する。ここで、嵌入突部61の流出連絡路64は、上下方向に複数に区画された複数の連絡領域(図示せず)により構成されている。そして、こうした流出連絡路64により、前記連接流出口62も上下方向に複数に区画されており、嵌入突部61に連結部46が嵌入された状態で、各連絡領域が流出流路43の各流路領域に夫々連通する。
このようにケース体51は、その内部空域52が、連接吸入口59および連接流出口62のみで外部と連通される。
【0029】
上述の暖気循環ユニット3は、図5に示すように、ケース体51の嵌合凸部57を、装置本体2の筐体11の嵌合凹部35に嵌合させ、さらに、該ケース体51の連結突部58を該筐体11の吸入接続口32に嵌入させる。これと共に、ケース体51の嵌入突部61を、筐体11の嵌入口36に嵌入させ、さらに、該嵌入突部61の連接流出口62に、該筐体内の連結部46を嵌入させる。これにより、装置本体2の吸入流路33が、吸入接続口32と連接吸入口59とを介して、暖気循環ユニット3の内部空域52と連通すると共に、該装置本体2の流出流路43が、流出接続口42と連接流出口62とを介して、該暖気循環ユニット3の内部空域52と連通する。この連通された状態で、暖気循環ユニット3の内部空域52と、嵌入突部61の流出連絡路64と、筐体11の流出流路43と、装置本体2の内部空域5(図8参照)と、該装置本体2の吸入流路33とが連通して、密閉状の暖気循環路66が形成される。尚ここで、ケース体51の連結突部58には、図示しないOリングが外嵌されて、筐体11の吸入接続口32に嵌入させる。これにより、Oリングが嵌合凸部57と嵌合凹部35とで圧接されて、連結突部58と吸入接続口32とが密閉状に連結される。同様に、ケース体51の嵌入突部61には、図示しないOリングが外嵌されて、筐体11の嵌入口36に嵌入させる。これにより、Oリングが、前記した内枠突縁37aと外枠突縁37bとの間で該筐体11の背面部11aとケース体51の前面部51aとにより圧接されて、嵌入突部61と嵌入口36が密閉状に連結される。
【0030】
このように暖気循環ユニット3を筐体11の背面部11aに配した状態で、該暖気循環ユニット3と筐体11とを、図示しない螺子により固定することで、該暖気循環ユニット3が装置本体2に取り付けられる(図2参照)。ここで、暖気循環ユニット3のケース体51には、その外周縁に、前記した筐体11の各ボス部47に夫々対応する複数の取付部67が形成されている。これら各取付部67に夫々開口された取付孔(図示せず)を介して、前記螺子を各ボス部47に螺合することで、該暖気循環ユニット3が筐体11に固定される。これにより、暖気循環ユニット3が装置本体2に取り付けられる。
【0031】
また、暖気循環ユニット3の内部空域52には、図10に示すように、前記した空気流動装置53が連接吸入口59の直背側に配設されている。この空気流動装置53は、前後の開口を備えた送風機から構成され、前部開口で連接吸入口59の背部を覆い且つ後部開口を内部空域52内に開放される。このように配設された空気流動装置53を駆動させることにより、連接吸入口59から内部空域52へ空気を吸入することができ、該内部空域52に吸入された空気が流出連絡路64を介して連接流出口62から流出される。すなわち、ケース体51の内部空域52では、空気流動装置53の駆動により、連接吸入口59から連接流出口62へ至る空気の流れが生ずる。
【0032】
また、暖気循環ユニット3の内部空域52には、前記した加熱装置54が流出連絡路64寄りに配設されている。この加熱装置54は、略矩形板状の複数のPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ54aから構成され、各PTCヒータ54aが、上下方向で所定間隔をおいて並設されている。ここで、内部空域52では、上記の空気流動装置53により連接吸入口59から流出連絡路64へ向かって空気が流動することから、この空気の流動する方向(略左右横方向)に沿って複数のPTCヒータ54aを配設することで、該空気が各PTCヒータ54aの間を比較的スムーズに通過する。そのため、内部空域52を通過する空気を、加熱装置54により加熱し易く、該加熱した空気が流出連絡路64を介して連接流出口62から流出される。さらに、前記のように内部空域52を流動する空気が、PTCヒータ54aの間を比較的スムーズに通過できるため、内部空域52に該空気の停滞スポットを生じ難い。これにより、前記した暖気循環路66における空気の循環効率向上に、大きく寄与できる。
【0033】
尚、本実施例にあって、PTCヒータ54aには、60度〜100度の範囲内の所定温度(例えば80度)で制御されるものを使用する。こうしたPTCヒータ54aによれば、該PTCヒータ間を通過する空気を、透光パネル12に付着した雪や氷を融解し得る十分な温度に加熱することができる。こうしたPTCヒータ54aには、一般的に知られたものを適用できることから、その詳細を省略する。
【0034】
上述した本実施例の車両用照明装置1は、装置本体2に暖気循環ユニット3が取り付けられた状態で、該暖気循環ユニット3の空気流動装置53を駆動することにより、該装置本体2の吸入流路33から該暖気循環ユニット3の内部空域52に吸入された空気が、流出連絡路64を介して連接流出口62から装置本体2の内部空域5に流出される。そして、装置本体2の内部空域5では、空気が前記空気流動装置53により吸入口31から吸引されることから、前記流出口41から透光パネル12の背面近傍に流出された空気は、該透光パネル12の背面に沿って左方へ流動し、該吸入口31から吸入される。この吸入口31から吸入された空気は、前記空気流動装置53により吸入流路33を介して、暖気循環ユニット3の内部空域52に吸入される。このように暖気循環ユニット3の空気流動装置53を駆動することにより、密閉状の暖気循環路66で空気を循環させることができる。
さらに、この空気流動装置53と共に加熱装置54を駆動することにより、該加熱装置54で加熱された空気が、流出口41から透光パネル12の背面近傍に流出され、該透光パネル12の背面に沿って流動する。そして、このように装置本体2の内部空域5を通過中に冷やされた空気が、吸入口31から吸入流路33を介して暖気循環ユニット3の内部空域52に吸入されることにより、加熱装置54で再び加熱されて、流出口41から流出される。
このように暖気循環ユニット3の空気流動装置53と加熱装置54とを駆動することにより、加熱された空気(暖気)を透光パネル12の背面に沿って流動させることができることから、寒冷地で透光パネル12に付着した雪や氷を十分かつ安定して融解できる。
【0035】
而して、本実施例の車両用照明装置1は、寒冷地で使用されるトラックに配設することで、冬季に、透光パネル12に付着した雪や氷を融解する効果が高く、該雪や氷の付着による照明効果の低減を可及的に抑制できる。さらに、暖気循環ユニット3は、螺子により着脱可能に装置本体2に取り付けられることから、寒冷地で使用されるトラックでは装着される一方、寒冷地以外の地方では非装着とすることが可能である。すなわち、透光パネル12に付着する雪や氷を溶かす機能が必要か否か(寒冷地仕様か否か)に応じて、暖気循環ユニット3の装着と非装着とを選択できる。そのため、寒冷地では暖気循環ユニット3を装着して、前記した雪や氷の融解機能を有するものとする。一方、寒冷地以外の地方では、暖気循環ユニット3を非装着とすることで、該暖気循環ユニット3の空気流動装置53と加熱装置54とによる電力消費を生じず、暖気運転中によるバッテリー消耗を抑制できる。また、寒冷地以外の地方で使用されたトラックを寒冷地で使用する際には、該トラックに配設された装置本体2に暖気循環ユニット3を取り付けることで、前記した雪や氷の融解機能を容易に追加できる。逆に、寒冷地の使用から該寒冷地以外の地方での使用に変わった場合には、暖気循環ユニット3を取り外せば良い。このように暖気循環ユニット3の取り付け又は取り外しにより、寒冷地の仕様と寒冷地以外の仕様とに容易に変換できる。
【0036】
さらに、本実施例の構成は、装置本体2の流出連絡路64と暖気循環ユニット3の流出流路43とが夫々前後方向に沿って設けられており、これら流出流路43と流出連絡路64との各長さが短い。そして、暖気循環ユニット3には、加熱装置54が流出連絡路64寄り部位に配設されている。これにより、加熱装置54で加熱された空気が流出口41に至るまでの通過距離が短く、流出連絡路64および流出流路43を通過中における該空気の温度低下を、可及的に抑制できる。そのため、流出口41から流出した空気によって、透光パネル12に付着した雪や氷を一層効果的に融解できる。
さらにまた、加熱装置54が複数のPTCヒータ54aにより構成されていることから、循環する空気を該加熱装置54により所望の温度に安定して加熱することができる。特に、本実施例の構成は、暖気循環ユニット3の内部空域52を流動する空気がPTCヒータ54aの間を通過することから、該空気を一層安定して加熱できる。そのため、この加熱された空気によって、前記した雪や氷を溶かす所望の効果が一層安定かつ十分に発揮され得る。
【0037】
尚、上述した本実施例にあって、吸入口31を設けた発光ベース体13の左側端部が、本発明にかかる筐体内の一側端部に相当する。そして、流出口41を設けた発光ベース体13の右側端部が、本発明にかかる筐体内の他側端部に相当する。また、筐体11の内部に配設された複数のLED21が、本発明にかかる光源に相当する。また、筐体11の各ボス部47とケース体51の取付部67とこれらを螺合する螺子とによって、本発明にかかる取付手段が構成されている。
【0038】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、この実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。
例えば、実施例では、暖気循環ユニット3のケース体51に設けられた連結突部58を、筐体11の吸入接続口32に嵌入されて、該連結突部58の連接吸入口59と該吸入接続口32とを連通させる構成であるが、これに限らず、筐体に連結突部を設け、該連結突部をケース体の連接吸入口に嵌入させるようにした構成としても良い。このように連結構造を設け、該連結構造を介して、ケース体の連接吸入口と筐体の吸入接続口とを連通させる構成が好適である。
同様に、実施例では、ケース体51に設けられた嵌入突部61を筐体11の嵌入口36に嵌入させて、該嵌入突部61の連接流出口62に、筐体11の内部に設けられた連結部46が嵌入されることにより、該連接流出口62と流出接続口42とを連通させる構成であるが、これに限らず、嵌入突部の先端部(連結部)を、筐体内の流出接続口に嵌入させる構成としても良い。さらには、筐体内の流出流路が嵌入口まで延成され、該嵌入口に、短尺状の嵌入突部を嵌入させる構成とすることもできる。この場合には、嵌入口が流出接続口となる。このように連結構造を設け、該連結構造を介して、ケース体の連接流出口と筐体の流出接続口とを連通させる構成が好適である。
【0039】
また、本実施例の車両用照明装置は、トラックのテールライト(尾灯)に適用される構成であるが、これに限らず、普通自動車やバスなどのテールライトに適用することも可能である。さらには、トラックや自動車等のヘッドライト(前照灯)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 車両用照明装置
2 装置本体
3 暖気循環ユニット
11 筐体
11a 背面部
12 透光パネル
14 光源基板
21 LED(光源)
31 吸入口
32 吸入接続口
33 吸入流路
36 嵌入口
41 流出口
42 流出接続口
43 流出流路
51 ケース体
52 内部空域
53 空気流動装置
54 加熱装置
54a PTCヒータ
59 連接吸入口
62 連接流出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10