特許第6961895号(P6961895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961895リング状焼結体の製造方法およびサイジング金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961895
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】リング状焼結体の製造方法およびサイジング金型
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/24 20060101AFI20211025BHJP
   B22F 5/10 20060101ALI20211025BHJP
   B21J 13/02 20060101ALI20211025BHJP
   B21J 5/06 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B22F3/24 101Z
   B22F5/10
   B21J13/02 B
   B21J5/06 Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-201073(P2017-201073)
(22)【出願日】2017年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-73773(P2019-73773A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】593016411
【氏名又は名称】住友電工焼結合金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今村 守
【審査官】 藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−281703(JP,A)
【文献】 特開平02−104601(JP,A)
【文献】 特開2011−011225(JP,A)
【文献】 特開2011−105970(JP,A)
【文献】 特開2016−191133(JP,A)
【文献】 特開2017−052999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00−8/00
C22C 1/04−1/05
C22C 33/02
B21J 1/00−13/14
B21J 17/00−19/04
B21K 1/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に貫通するサイジング穴をもつダイと、
前記サイジング穴の中央を上下に延びるコアロッドと、
前記ダイと前記コアロッドの間の環状空間にリング状焼結体を上側から押し込む筒状の上パンチと、
前記ダイと前記コアロッドの間の環状空間に押し込まれる前記リング状焼結体を下側から支持する筒状の下パンチと、を有するサイジング金型であり、
前記サイジング穴の内周は、下側に向かって次第に径が小さくなる傾斜をもつアプローチ部と、そのアプローチ部の下端に連なり、傾斜をもたずに前記コアロッドの軸心と平行に延びる外径サイジング部とを有するサイジング金型を使用し、
前記コアロッドの外周は、下側に向かって次第に径が大きくなる傾斜をもつアプローチ部と、そのアプローチ部の下端に連なり、傾斜をもたずに前記コアロッドの軸心と平行に延びる内径サイジング部とを有し、
前記コアロッドの前記内径サイジング部の上端が、前記ダイの外径サイジング部の上端よりも下側に位置するように前記外径サイジング部と前記内径サイジング部とが形成され、
前記コアロッドのアプローチ部が、前記コアロッドの上端から前記傾斜が始まり、前記コアロッドの上端から前記内径サイジング部までの全域において前記傾斜をもつように形成され、
前記コアロッドの軸心と平行な方向に対する前記コアロッドのアプローチ部のうちの前記内径サイジング部に連なる部分の傾斜角を、5°以下に設定し、
前記内径サイジング部によるサイジング代を、半径で0.01mm以上0.03mm以下に設定し、
前記リング状焼結体の外周面の全体が前記外径サイジング部で拘束され、かつ、前記リング状焼結体の内周面の全体が前記内径サイジング部で拘束される位置まで、前記上パンチが前記リング状焼結体を押し込むことで前記リング状焼結体の寸法矯正を行なう、
リング状焼結体の製造方法
【請求項2】
前記コアロッドの上端から、前記コアロッドの前記内径サイジング部の上端までの上下方向の距離を、前記リング状焼結体の上下方向の厚みの同等以下に設定した請求項1に記載のリング状焼結体の製造方法
【請求項3】
前記ダイの前記外径サイジング部の上端から前記コアロッドの前記内径サイジング部の上端までの上下方向の距離を、前記リング状焼結体の上下方向の厚みの1/4〜3/4倍の範囲に設定した請求項1又は請求項2に記載のリング状焼結体の製造方法
【請求項4】
前記コアロッドの軸心と平行な方向に対する前記ダイのアプローチ部のうちの前記外径サイジング部に連なる部分の傾斜角を、5°以下に設定した請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリング状焼結体の製造方法
【請求項5】
前記外径サイジング部によるサイジング代を、半径で0.01mm以上0.03mm以下に設定した請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリング状焼結体の製造方法
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のリング状焼結体の製造方法に用いられるサイジング金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末冶金法で製造されるリング状焼結体の寸法矯正を行うサイジング金型に関する。より詳しくは、リング状焼結体の端面に対する外周面の直角度を向上させるサイジング金型に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末冶金法で製造されるリング状焼結体の代表的な製品として、例えば、内接歯車式ポンプのアウターロータがある。そのアウターロータについては、焼結後にサイジング処理を施して寸法を矯正し、併せて、表層の空孔を潰すことが行われている。
【0003】
そのアウターロータのサイジング処理に関する先行文献として、例えば、下記特許文献1、2がある。
【0004】
特許文献1のサイジング方法は、上パンチによってダイのサイジング穴に押し込まれたリング状焼結体(環状ロータ)が下パンチの上端に接触した位置からダイを降下させながら上下のパンチによる焼結体の加圧を行うものである。
【0005】
なお、焼結体の一般的な方法によるサイジングは、ダイが定位置に固定されたサイジング金型を用いて行われる。
【0006】
また、リング状焼結体のサイジングについては、ストレート形状のコアロッドを採用してダイの外径サイジング部でリング状焼結体の外周面(外径面)を、コアロッドの外周の内径サイジング部でリング状焼結体の内周面(内径面)をそれぞれしごく方法が採られている。
【0007】
従来のリング状焼結体用の一般的なサイジング金型を図8に示す。このサイジング金型1は、上下に貫通するサイジング穴2aをもつダイ2と、サイジング穴の中央を上下に延びるコアロッド5と、ダイ2とコアロッド5の間の環状空間にリング状焼結体Aを上側から押し込む筒状の上パンチ3と、リング状焼結体Aを下側から支持する筒状の下パンチ4とを有する。
【0008】
このサイジング金型1のダイ2とコアロッド5は定位置に固定されている。このサイジング金型1によるサイジングは、下パンチ4を、その下パンチ先端がダイ2の上面と面位置が揃うところまで上昇させる。
【0009】
そして、この位置で下パンチ4上にリング状焼結体Aを載せ、この後、下パンチ4を上パンチ3と同一速度で降下させながらリング状焼結体Aを上パンチ3で押してダイ2のサイジング穴2aに押し込む。これにより、リング状焼結体Aの外側と内側がしごかれて内外径の寸法が矯正される。
【0010】
ここで、ダイ2に形成されたサイジング穴2aは、コアロッドの軸心と平行な傾斜の無いストレート部と、このストレート部の下端に連なる下側に向かって次第に径が小さくなる方向に傾斜したアプローチ部2Apと、そのアプローチ部2Apの下端に連なる外径サイジング部2Odsとを有する。
【0011】
また、コアロッド5の外周は、コアロッドの軸心と平行な傾斜の無い小径ストレート部と、その小径ストレート部の下端に連なる下側に向かって次第に径が大きくなる方向に傾斜したアプローチ部5Apと、そのアプローチ部5Apの下端に連なる内径サイジング部5Idsとを有する。
【0012】
アプローチ部2Apと5Apは、リング状焼結体を外径サイジング部2Odsと内径サイジング部5Idsに誘導する部位であり、実質的なサイジングには寄与しない。
【0013】
外径サイジング部2Odsは、ダイ2とコアロッド5の間の環状空間にリング状焼結体Aが押し込まれたときに、そのリング状焼結体Aの外周面を矯正する部分であり、内径サイジング部5Idsは、ダイ2とコアロッド5の間の環状空間にリング状焼結体Aが押し込まれたときに、そのリング状焼結体Aの内周面を矯正する部分である。
【0014】
リング状焼結体Aの外周面を矯正するダイ2の外径サイジング部2Odsは、傾斜をもたずにコアロッド5の軸心と平行に延びる形状とされ、リング状焼結体Aの内周面を矯正するコアロッド5の内径サイジング部5Idsも、傾斜をもたずにコアロッド5の軸心と平行に延びる形状とされている。また、ダイの外径サイジング部2Odsの上端とコアロッドの内径サイジング部5Idsの上端は同じ高さになっている。
【0015】
特許文献2が開示しているサイジング金型は、リング状焼結体の内径側を矯正するコアロッドの内径サイジング部を上側の径が小さくなるテーパ形状にし、その内径サイジング部の上側から下に向かった所定長さ範囲でのサイジング代をゼロに設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2011−105970公報
【特許文献2】特開2017−52999公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
一般的なサイジング金型を用いて行うリング状焼結体のサイジングでは、上パンチから加えられる圧力のみで焼結体の押し込み、圧縮が行われる。
【0018】
これが原因で、焼結体の上パンチに加圧された側と下パンチに加圧された側の密度、塑性変形量及び弾性変形量に差が生じる。
【0019】
そのために、サイジング後の焼結体をダイから抜き出したときの焼結体の径方向スプリングバック量が焼結体の上パンチに加圧された側と下パンチに受けられた側とで異なったものになる。
【0020】
焼結体は、上パンチに加圧される側が下パンチに受けられる側よりもきつく圧縮されるため、上パンチに加圧される側の径方向スプリングバック量が下パンチに受けられる側よりも大きくなる。
【0021】
その結果、リング状焼結体Aは、図9に示すように、一端側と他端側の内外径に差が生じ(上パンチに加圧される側の径が大きくなる)、外周面foと内周面fiが端面feに対して傾く。その傾きは、リング状焼結体の用途によっては製品の性能を左右し、修正が必要になる。
【0022】
例えば、車両の変速機に採用されるオイルポンプ用のアウターロータの中には、外周面の直角度(端面に対する直角度)に関し、高い精度が要求されるものがある。
【0023】
その要求がある場合、サイジング後の製品について、外周面の直角度の全数検査を実施し、要求精度を満たさない製品は、機械加工して要求精度を確保する方法が採られていたが、全数検査と精度不備製品の外周面の機械加工は、製品の生産性を考えると好ましくないことから、特許文献2のサイジング金型が提案されている。
【0024】
特許文献2のサイジング金型において、リング状焼結体の外周面を矯正する外径サイジング部は、傾斜をもたずにコアロッドの軸心と平行に延びるように形成されているが、リング状焼結体の内径面を矯正する内径サイジング部には、下側に向かって次第に径が大きくなる傾斜が設けられている。これにより、リング状焼結体の外周面の傾きが抑制され、その外周面の端面に対する直角度(以下では単に外周面の直角度と言う)が高まって機械加工による外周面の直角度修正が不要になっている。なお、特許文献2のサイジング金型において、コアロッドの内径サイジング部の上端は、ダイの外径サイジング部の上端と、同じ高さである。
【0025】
本願の発明者は、リング状焼結体のサイジング金型について検討を加え、リング状焼結体の外周面の直角度については特許文献2のサイジング金型に勝る高精度が得られ、金型の製作も難しくならないもの(改良された金型)を見出した。
【0026】
本発明は、その改良された金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この発明の一態様に係るリング状焼結体のサイジング金型は、
上下に貫通するサイジング穴をもつダイと、
前記サイジング穴の中央を上下に延びるコアロッドと、
前記ダイと前記コアロッドの間の環状空間にリング状焼結体を上側から押し込む筒状の上パンチと、
前記ダイと前記コアロッドの間の環状空間に押し込まれる前記リング状焼結体を下側から支持する筒状の下パンチと、を有するサイジング金型であり、
前記サイジング穴の内周は、下側に向かって次第に径が小さくなる傾斜をもつアプローチ部と、そのアプローチ部の下端に連なり、傾斜をもたずに前記コアロッドの軸心と平行に延びる外径サイジング部とを有し、
前記コアロッドの外周は、下側に向かって次第に径が大きくなる傾斜をもつアプローチ部と、そのアプローチ部の下端に連なり、傾斜をもたずに前記コアロッドの軸心と平行に延びる内径サイジング部とを有し、
前記コアロッドの前記内径サイジング部の上端が、前記ダイの外径サイジング部の上端よりも下側に位置するように前記外径サイジング部と前記内径サイジング部とが形成され、
前記リング状焼結体の外周面の全体が前記外径サイジング部で拘束され、かつ、前記リング状焼結体の内周面の全体が前記内径サイジング部で拘束される位置まで、前記上パンチが前記リング状焼結体を押し込むことで前記リング状焼結体の寸法矯正を行なう、
リング状焼結体のサイジング金型である。
【発明の効果】
【0028】
本発明のサイジング金型によれば、リング状焼結体の外周面のサイジングによる傾きが抑制され、その外周面が端面に対して高い直角度を有した面に仕上がる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】リング状焼結体のサイジング金型の一実施形態を示す断面図である。
図2図1のサイジング金型の要部の拡大断面図である。
図3図1のサイジング金型に含まれるコアロッドの先端側の端面図である。
図4図1のサイジング金型にサイジング対象のリング状焼結体をセットした状態を示す断面図である。
図5】セット後のリング状焼結体が圧入終点まで押し込まれた状態を示す断面図である。
図6】実施形態の金型でサイジングされたリング状焼結体の断面図である。
図7】サイジングの評価試験に利用したアウターロータの外周面の直角度測定箇所を示す端面図である。
図8】従来のリング状焼結体のサイジング金型の一例を示す断面図である。
図9図8のサイジング金型で矯正されたリング状焼結体の外周面と内周面の傾きを誇張して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[本発明の実施形態の説明]
(1)この発明の一態様に係るリング状焼結体のサイジング金型は、
上下に貫通するサイジング穴をもつダイと、
前記サイジング穴の中央を上下に延びるコアロッドと、
前記ダイと前記コアロッドの間の環状空間にリング状焼結体を上側から押し込む筒状の上パンチと、
前記ダイと前記コアロッドの間の環状空間に押し込まれる前記リング状焼結体を下側から支持する筒状の下パンチと、を有するサイジング金型であり、
前記サイジング穴の内周は、下側に向かって次第に径が小さくなる傾斜をもつアプローチ部と、そのアプローチ部の下端に連なり、傾斜をもたずに前記コアロッドの軸心と平行に延びる外径サイジング部とを有し、
前記コアロッドの外周は、下側に向かって次第に径が大きくなる傾斜をもつアプローチ部と、そのアプローチ部の下端に連なり、傾斜をもたずに前記コアロッドの軸心と平行に延びる内径サイジング部とを有し、
前記コアロッドの前記内径サイジング部の上端が、前記ダイの前記外径サイジング部の上端よりも下側に位置するように前記外径サイジング部と前記内径サイジング部とが形成され、
前記リング状焼結体の外周面の全体が前記外径サイジング部で拘束され、かつ、前記リング状焼結体の内周面の全体が前記内径サイジング部で拘束される位置まで、前記上パンチが前記リング状焼結体を押し込むことで前記リング状焼結体の寸法矯正を行なう、
リング状焼結体のサイジング金型である。
【0031】
このようにすると、前記内径サイジング部の上端が、前記外径サイジング部の上端よりも下側に位置するので、ダイとコアロッドの間の環状空間に押し込まれたリング状焼結体が上方に抜き出されるときに、ダイの外径サイジング部によってリング状焼結体の外周面が拘束された状態のまま、コアロッドの内径サイジング部によるリング状焼結体の内周面の拘束が、上側から下側に向かって時間差をもって解放されることとなる。
【0032】
そのため、リング状焼結体の上側部分の圧縮応力を、リング状焼結体の内周側に効果的に解放することができ、リング状焼結体の上側部分のスプリングバック量が抑えられ、その結果、リング状焼結体の外周面のサイジングによる傾きを抑制することが可能となる。
【0033】
(2)前記コアロッドのアプローチ部は、前記コアロッドの上端から前記傾斜が始まり、前記コアロッドの上端から前記内径サイジング部までの全域において前記傾斜をもつように形成することができる。
【0034】
このようにすると、アプローチ部の上下方向の長さを無駄に長くする必要がなく、金型の上下方向寸法を小さくすることができる。
【0035】
(3)前記コアロッドの上端から、前記コアロッドの内径サイジング部の上端(=コアロッドのアプローチ部の下端)までの上下方向の距離を、前記リング状焼結体の上下方向の厚みの同等以下に設定すると好ましい。
【0036】
このようにすると、コアロッドの上端から内径サイジング部までの距離が小さいので、リング状焼結体のサイジングを効率よく行なうことができる。
【0037】
(4)前記ダイの前記外径サイジング部の上端から、前記コアロッドの前記内径サイジング部の上端までの上下方向の距離を、前記リング状焼結体の上下方向の厚みの1/4〜3/4倍の範囲に設定すると好ましい。
【0038】
このようにすると、前記ダイの外径サイジング部の上端から、前記コアロッドの前記内径サイジング部の上端までの上下方向の距離が、前記リング状焼結体の上下方向の厚みの1/4〜3/4倍以上に設定されているので、リング状焼結体の外周面の傾き抑制効果を確保することができ、金型の軸方向寸法が無駄に大きくなることもない。
【0039】
また、前記ダイの前記外径サイジング部の上端から、前記コアロッドの前記内径サイジング部の上端までの上下方向の距離が、前記リング状焼結体の上下方向の厚みの1/4〜3/4倍以下に設定されているので、リング状焼結体のサイジングを効率よく行なうことができる。
【0040】
(5)前記コアロッドの軸心と平行な方向に対する前記ダイのアプローチ部の傾斜角と、前記コアロッドの軸心と平行な方向に対する前記コアロッドのアプローチ部の傾斜角とを、いずれも5°以下に設定することができる。
【0041】
このようにすると、ダイおよびコアロッドのアプローチ部で、リング状焼結体を内径サイジング部と外径サイジング部の間に誘導するときに、リング状焼結体の姿勢が安定する。
【0042】
(6)前記内径サイジング部によるサイジング代と、前記外径サイジング部によるサイジング代とを、それぞれ半径で0.03mm以下に設定することができる。
このような大きさのサイジング代にすることで、安定したサイジングを行なうことができる。
【0043】
前記ダイとコアロッドは定位置に固定され、そのダイとコアロッドとの間の環状空間にリング状焼結体が上パンチによって押し込まれ、リング状焼結体の全域が前記外径サイジング部と前記内径サイジング部との間に押し込まれた位置、即ち、リング状焼結体の外周面の全体が前記外径サイジング部で拘束され、かつ、前記リング状焼結体の内周面の全体が前記内径サイジング部で拘束された位置で上パンチによる押し込みを完了するものになっている。
【0044】
前記ダイのアプローチ部とコアロッドのアプローチ部は、上パンチに加圧されてダイとコアロッドとの間の環状空間に押し込まれるリング状焼結体の押し込み方向移動をガイドする部分であって、これらのアプローチ部は、実質的なサイジングには寄与しない。
【0045】
前記外径サイジング部とは、ダイに設けられた穴のうち、リング状焼結体の外周面のサイジングが実質的になされる領域を言う。この外径サイジング部は、サイジング代が一定したストレート穴になっている。ここで言う、ストレート穴は、コアロッドの軸心に対して内周が平行で傾斜の無い面になっている穴である。
【0046】
前記ダイのアプローチ部は、サイジング代が無くてダイの穴の入口にセットされたリング状焼結体を外径サイジング部に誘導する部分を言う。このアプローチ部のアプローチ角は、大きすぎるとリング状焼結体のガイド効果が不安定になるので5°以下に設定するのがよい。
【0047】
コアロッドのアプローチ部も、上述したように、リング状焼結体の内周面の実質的サイジングには寄与しない。従って、このアプローチ部のアプローチ角(コアロッドの軸心と平行な面に対する傾き角)は、ダイのアプローチ部と同じ理由から5°以下、好ましくは3°程度がよい。
【0048】
また、コアロッドのアプローチ部は、リング状焼結体の内周面のサイジングに寄与しないため、アプローチ部の軸直角断面の形状と寸法は、リング状焼結体の内周面の軸直角断面の形状・寸法に正確に合致させる必要がない。このため、コアロッドの製造が難しくならない。
【0049】
コアロッドの外周面の軸直角断面形状は、リング状焼結体の内周面と相似形にする必要がある。この要求に対し、サイジングするリング状焼結体の中には、周方向の各部において内径変化を生じているものがある。例えば、内接歯車式ポンプのアウターロータや遊星歯車機構の内歯車などは、内径側に歯と歯底を有している。
【0050】
このようなリング状焼結体のサイジングにおいて、コアロッドのテーパが付される外周面の軸直角断面での形状と寸法を焼結体の内周面の軸直角断面形状と形状に正確に合致させることが要求されると、コアロッドの製造が極めて難しくなる。本発明のサイジング金型のコアロッドであれば、テーパのアプローチ部がサイジング精度に影響を及ぼさないものになっているので上記の問題も解消される。
【0051】
ダイの外径サイジング部の上端からコアロッドの内径サイジング部の上端までの上下方向の距離は、サイジング対象のリング状焼結体の厚み(軸方向寸法)の1/4〜3/4倍程度に設定するのがよい。
【0052】
その長さが短か過ぎると、コアロッドのアプローチ部をダイの穴のアプローチ部よりも長くすることによる効果が薄れ、また、その長さが無駄に長くなると、金型の軸方向寸法が大きくなって製造規制を受けたりする。
【0053】
このように構成されたサイジング金型は、リング状焼結体の外周側のサイジングが内周側のサイジングに先行してなされる。
【0054】
また、圧入終点まで押し込まれたリング状焼結体を金型から抜き出す際に、焼結体の金型からの解放(拘束の解除)が、外周側に先行して内周側から進行する。しかも、その解放は、リング状焼結体の内周側の上端から下に向かって時間差をもって進行する。これらのことが有効に作用してリング状焼結体の外周面の直角度が高まる。
【0055】
先に述べたように、一般的な金型によるサイジングでは、上パンチに加圧される焼結体の上側が下パンチに受けられる下側よりもきつく圧縮されることから、上側の径方向スプリングバック量が下側よりも大きくなるが、実施形態のサイジング金型によれば、環状空間に押し込まれたリング状焼結体が上方に抜き出されるときに、ダイの外径サイジング部によってリング状焼結体の外周面が拘束された状態のまま、コアロッドの内径サイジング部によるリング状焼結体の内周面の拘束が、上側から下側に向かって時間差をもって解放されることとなり、リング状焼結体の上側部分の圧縮応力がリング状焼結体の内周側に効果的に解放される。
【0056】
そのために、リング状焼結体の上側部分のスプリングバック量が抑えられ、これによりリング状焼結体の外周面のサイジングによる傾きが抑制される。
【0057】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るサイジング金型の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれ等の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0058】
図1に示したサイジング金型1は、内接歯車ポンプのアウターロータを矯正するものであって、上下に貫通するサイジング穴2aをもつダイ2と、サイジング穴2aの中央を上下に延びるコアロッド5と、ダイ2とコアロッド5の間の環状空間にリング状焼結体Aを上側から押し込む筒状の上パンチ3と、ダイ2とコアロッド5の間の環状空間に押し込まれるリング状焼結体Aを下側から支持する筒状の下パンチ4とを有する。
【0059】
図1の6は、ダイ1を保持するダイプレート、7は、下パンチ4を支持する昇降可能な下パンチプレートである。
【0060】
ダイ2のサイジング穴2aの内周は、下側に向かって次第に径が小さくなる傾斜をもつアプローチ部2Apを穴の入口部に有する。また、そのアプローチ部2Apの下端に連なり、傾斜をもたずにコアロッド5の軸心と平行に延びる外径サイジング部2Odsを有する。
【0061】
図示のアプローチ部2Apは、アプローチ角θ(図2参照)を約3°に設定した穴であり、ダイの上端から長さLの範囲に設けられている。このプローチ部2Apは、リング状焼結体Aを(図4図5参照)サイジング穴2aの入口から前記環状空間の下側、即ち、外径サイジング部2Odsに向かって誘導する働きをする部分であり、実質的なサイジングには寄与しない。
【0062】
アプローチ部2Apの長さ(ダイ2の上面からの上下方向寸法)Lは、例示の金型では6.0mmに設定されている。
【0063】
アプローチ部2Apに連なる外径サイジング部2Odsは、内周面がコアロッドの軸心に対して平行な傾斜の無い面になっている。この外径サイジング部2Odsは、サイジング代の一定したストレート穴である。この外径サイジング部2Odsにより、リング状焼結体Aの外周面fo(図6参照)の実質的なサイジング(しごきによる矯正)がなされる。
【0064】
外径サイジング部2Odsによるサイジング代は、半径で0.03mm以下、好ましくは、0.01mm〜0.015mm程度に設定される。
【0065】
コアロッド5の外周は、先端(上端)側が、下側に向かって次第に径が大きくなる傾斜をもつアプローチ部5Apとして構成され、そのアプローチ部5Apの下側に、アプローチ部5Apに続く内径サイジング部5Idsを有するものになっている。内径サイジング部5Idsは、外周がコアロッド5の軸心と平行な傾きの無い面になっている。
【0066】
アプローチ部5Apは、リング状焼結体Aをコアロッド5の上端部から前記環状空間の下側(内径サイジング部5Ids)に向かって誘導する働きをする部分であり、実質的なサイジングには寄与しない。図示のアプローチ部5Apは、上端から内径サイジング部5Idsに至る全域が傾斜をもったアプローチ部となっており、そのため、コアロッド5の上下方向の長さは無駄に長くならない。
【0067】
コアロッド5の上端から、コアロッドの内径サイジング部5Idsの上端までの上下方向の距離(=アプローチ部5Apの上下方向の長さ)は、リング状焼結体Aの上下方向の厚みの同等以下に設定されている。例示のケースではリング状焼結体Aの上下方向厚み13.6mmに対し、コアロッド5の上端から内径サイジング部5Idsの上端までの距離L1は、13.0mmになっている。このように、距離L1が比較的短いのでリング状焼結体Aのサイジングを効率よく行なうことができる。
【0068】
コアロッドの内径サイジング部5Idsの上端は、ダイの外径サイジング部2Odsの上端よりも下側にある。前記外径サイジング部2Odsの上端から内径サイジング部5Idsの上端までの上下方向の距離は、コアロッドのアプローチ部5Apの上下方向長さL1からダイのアプローチ部2Apの長さLを差し引いた長さとなる。
【0069】
例示の金型では、長さL1が13.0mmであるので、長さL1とLの差(L1−L)は7.0mmである。その長さの差は、リング状焼結体Aの厚み(軸方向寸法)の約半分となっているが、その長さの差は特に限定されない。リング状焼結体の外周面の傾き抑制と金型の長さ短縮についてよりよい効果を期待するなら、リング状焼結体Aの上下方向の厚みの1/4〜3/4倍の範囲に設定するとよい。
【0070】
アプローチ部5Apは、内径サイジング部5Idsの近くの一部分が0.01mmにも満たない微小なサイジング代を有している。このサイジング代は、リング状焼結体Aを内径サイジング部5Idsに無理なく移動させるために付されたものであって、実質的なサイジングに寄与するものではない。
【0071】
従って、アプローチ部5Apのアプローチ角θ1(図2参照)と軸直角断面の形状、寸法は、高精度を必要としない。
【0072】
例示の金型でのアプローチ角θ1は、3°に設計されているが、リング状焼結体Aの押し込み時のガイド機能が損なわれなければ、設計値から多少ずれても差し支えない。
【0073】
このように、アプローチ部5Apの軸直角断面における形状、寸法は、多少ラフでよいので、コアロッド5の製作は、困難なく実施できる。アプローチ角θ1、θのどちらも、5°以下が好ましく、5°以下では、特にリング状焼結体Aの安定した誘導が期待できる。
【0074】
前記内径サイジング部5Idsは、外周面がコアロッド5の軸心Cと平行な面(軸心Cに対して傾きの無い面)になっている。内径サイジング部5Idsのサイジング代は、外径サイジング部2Odsと同じく、半径で0.03mm以下、好ましくは半径で0.02mm以下、より好ましくは、0.01mm〜0.015mm程度に設定される。
【0075】
この内径サイジング部5Idsとダイ2の外径サイジング部2Odsとの間にリング状焼結体Aの全域が押し込まれた位置でダイ2とコアロッド5との間の環状空間に対する押し込みを完了する。
【0076】
前記ダイ2とコアロッド5は、定位置に固定して使用される。下パンチ4は昇降自在であり、外径サイジング部2Odsに挿入された先端が、押し込み完了位置からダイ2の上面と面一になるところまで上昇させることができる。
【0077】
このように構成されたリング状焼結体のサイジング金型1によるサイジングは、図4に示すように、下パンチ4を、その下パンチの上面がダイ2の上面と面一になるところまで上昇させ、この状態で下パンチ4の上面にリング状焼結体Aを載せ、上パンチ3を降下させてその上パンチ3でリング状焼結体Aをダイ2とコアロッド5との間に押し込む。
【0078】
上パンチ3がリング状焼結体Aの上端に当たった位置から下パンチ4を上パンチの動きに同調させて降下させ、リング状焼結体Aの全域がダイ2の外径サイジング部2Odsとコアロッド5の内径サイジング部5Idsとの間に押し込まれた図5の位置で押し込む。
【0079】
図5の位置では、リング状焼結体Aの外周面の全体がダイの外径サイジング部2Odsによって拘束され、なおかつ、リング状焼結体Aの内周面の全体がコアロッドの内径サイジング部5Idsによって拘束され、この位置で加圧を完了する。
【0080】
そこで、上パンチ3を上昇させながら下パンチ4でリング状焼結体Aを突き上げて金型から押し出す。
【0081】
かかる金型でのリング状焼結体Aの矯正は、リング状焼結体Aをダイ2とコアロッド5との間の環状空間に押し込むときに、外径サイジング部2Odsによるリング状焼結体Aの外周側のサイジングが先行して起こる。
【0082】
例示の金型では、リング状焼結体Aの外周側が下から7mmの位置までサイジングされたところからコアロッド5による内周側の実質的なサイジングが開始され、それまでは、内周側はコアロッド5による拘束がなされておらず、自由状態となっている。
【0083】
また、押し込み終点まで押し込まれたリング状焼結体Aを金型から抜き出すときには、ダイの外径サイジング部2Odsによってリング状焼結体Aの外周面が拘束された状態のまま、コアロッドの内径サイジング部による拘束の解除が上側から下側に向かって時間差を生じて起こり、このために、上側部分の圧縮応力の解放が効果的に進行する。
【0084】
その結果、サイジング後のスプリングバックによる焼結体の外周面の傾きが抑えられ、端面に対する外周面の直角度が向上する。
【0085】
図1のサイジング金型を用いて矯正されたリング状焼結体Aの外周面fo及び内周面fiの状況を図6に示す。このように、外周面foは、端面feに対する直角度が良好な面になる。
【実施例】
【0086】
図1の実施形態のサイジング金型1と、ダイの外径サイジング部2Odsのサイジング代=0.03mm、コアロッドの内径サイジング部がストレートでその内径サイジング部5Idsのサイジング代=0.02mmの図8に示した従来の一般的なサイジング金型を用いて、鉄系粉末で形成された外径D=29.5mm、歯先径d1=17.18mm、歯底径d2=24.5mm、厚み=13.5mm、歯数n=6、密度:6.7g/cmの、図7に示した内接歯車ポンプ用焼結アウターロータのサイジングを行った。サイジング荷重は約26tonとした。
【0087】
実施形態のサイジング金型1は、ダイ2の、図1図2に示したアプローチ部2Apの長さL:6.0mm、外径サイジング部2Odsのサイジング代が0.03mmに設定され、さらに、コアロッド5の図1図2に示したアプローチ部5Apの長さL1:13.0mm、内径サイジング部5Idsのサイジング代=0.02mmとなっている。
【0088】
試験は、実施形態のサイジング金型1と従来のサイジング金型のどちらについてもn=30個の試料の矯正をそれぞれ行った。そして、サイジング後の試料の外周面の直角度を円筒形状測定機(東京精密製、商品名:ロンコム)を用いて調べた。
【0089】
各サイジング金型で矯正した試料の外周面の直角度は、図7のA〜Dの4箇所(90°等分点)で測定を行なった。
【0090】
外周面の直角度は、長さ10mm当たりの振れの上限規格が0.015mmの場合の工程能力指数Cpを求めて評価した。
【0091】
そのCp値は、従来金型ではMax:0.59、Min:1.67であった。これに対し、実施形態の金型のCp値は、Max:2.67、Min:5.83であり、本願発明を特徴づけるサイジング金型によれば、従来金型に比べて、格段に優れた外周面の直角度が得られることを確認した。
【0092】
この工程能力指数Cpは、1よりも小さい場合には製品の全数検査が要求される。従来は、その要求を満たせないために全数検査を行って規格値を満たさない製品については外径面の機械加工を実施していたのである。
【0093】
これに対し、実施形態のサイジング金型で矯正を行った試料は工程能力指数Cpが1を充分に上回っており、そのために、全数検査が不要になり、外周面の機械加工を省くことが可能になっている。
【0094】
参考までに、前記特許文献2が提案しているサイジング金型の実施形態品の外周面の直角度に関するCp値は、同文献の段落0074に記載されている通り、Max:1.89、Min:2.10である。この発明の実施形態のサイジング金型は、リング状焼結体の外周面の直角度については特許文献2のサイジング金型よりもさらに優れた効果が得られている。
【0095】
なお、この発明の実施形態のサイジング金型は、リング状焼結体Aを金型から抜き出すときに金型による拘束の解除が内周側の上側から下側に向かって時間差を生じて起こることから、サイジング後のリング状焼結体の内周面(内接歯車のアウターロータについては歯面)の直角度は時間差による解放の影響を受けて外周面よりも傾いたものになる。
【0096】
しかしながら、内接歯車式ポンプの場合、インナーロータの直径もサイジングにより一端側の直径(歯先径と歯底径)が他端側の直径よりも大きくなる傾向があり、そのインナーロータの直径が大きい側がアウターロータの内径の大きい側に収まるようにインナーロータとアウターロータを組み合わせることで内周面の直角度の低下を補うことが可能である。
【0097】
また、アウターロータの内径については外径ほど厳しい直角度が要求されない。従って、内周面が内径サイジング部のテーパの影響を受けても特に問題は生じない。
【符号の説明】
【0098】
1 サイジング金型
2 ダイ
2a サイジング穴
2Ap アプローチ部
2Ods 外径サイジング部
3 上パンチ
4 下パンチ
5 コアロッド
5Ap アプローチ部
5Ids 内径サイジング部
6 ダイプレート
7 下パンチプレート
C コアロッドの軸心
A リング状焼結体(アウターロータ)
fo 外周面
fi 内周面
θ ダイのアプローチ部のアプローチ角
θ1 コアロッドのアプローチ部のアプローチ角
L ダイのアプローチ部の軸方向長さ
L1 コアロッドのアプローチ部の軸方向長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9