特許第6961917号(P6961917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961917ウエアラブル機器用接続部品およびウエアラブル機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961917
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】ウエアラブル機器用接続部品およびウエアラブル機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/271 20210101AFI20211025BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20211025BHJP
【FI】
   A61B5/271
   A61B5/256
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-186475(P2016-186475)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-50650(P2018-50650A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健史
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−087176(JP,A)
【文献】 特表2016−509635(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/127218(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/093888(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0088999(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0206977(US,A1)
【文献】 特開2013−128587(JP,A)
【文献】 特開2016−131733(JP,A)
【文献】 特開2006−288619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に対向する生体対向面がゴムまたはスポンジからなる筐体と、
前記筐体に保持され、端子が前記生体対向面以外の方向に露出したコネクタと、
前記筐体内に保持され前記コネクタと電気的に接続する電子機器と、を有し、
前記筐体が、
前記生体対向面以外の方向に配置され、前記電子機器を保護し、前記筐体が変形した場合に、前記筐体の変形に倣う可撓性を有する外側筐体と、
前記電子機器と前記筐体との間に前記電子機器が動ける空間ができるように前記電子機器を支える支柱と、
を有する
ことを特徴とするウエアラブル機器用接続部品。
【請求項2】
前記支柱がゴムまたはスポンジからな
とを特徴とする請求項1に記載のウエアラブル機器用接続部品。
【請求項3】
前記生体対向面が凹凸を有することを特徴とする請求項1または2に記載のウエアラブル機器用接続部品。
【請求項4】
前記ゴムまたはスポンジが、
シリコーンゴムまたはポリビニルアルコールスポンジであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のウエアラブル機器用接続部品。
【請求項5】
生体に対向する生体対向面がゴムまたはスポンジからなる筐体と、
前記筐体に保持され、端子が前記生体対向面以外の方向に露出したコネクタと
を有するウエアラブル機器用接続部品と、
前記コネクタの接続相手となる相手側コネクタと、
前記相手側コネクタに接続し生体情報を得るためのセンサケーブルが接着または縫合され、前記相手側コネクタを保持する、生体に着用されるためのウエアと
を有し、
前記ウエアは、
前記生体対向面を前記生体に押し付けるように、前記ウエアラブル機器用接続部品を保持する、
とを特徴とするウエアラブル機器。
【請求項6】
前記ウエアに保持され前記センサケーブルを介して前記相手側コネクタに接続する生体計測センサを
有することを特徴とする請求項5に記載のウエアラブル機器。
【請求項7】
前記筐体内に保持され前記コネクタと電気的に接続する電子機器を有する
ことを特徴とする請求項5または6に記載のウエアラブル機器。
【請求項8】
前記電子機器が、
前記センサケーブルの抵抗変化に基づいて生体計測を行う
ことを特徴とする請求項7に記載のウエアラブル機器。
【請求項9】
前記筐体が、
前記生体対向面以外の方向に配置され前記電子機器を保護し、前記筐体が変形した場合に、前記筐体の変形に倣う可撓性を有する外側筐体を有する
ことを特徴とする請求項7または8に記載のウエアラブル機器。
【請求項10】
前記ウエアラブル機器用接続部品は、
前記電子機器と前記筐体との間に前記電子機器が動ける空間ができるように前記電子機器を支える支柱を有する、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載のウエアラブル機器。
【請求項11】
前記支柱がゴムまたはスポンジからな
とを特徴とする請求項10に記載のウエアラブル機器。
【請求項12】
前記ウエアラブル機器用接続部品の前記端子が
前記生体対向面の反対側に設けられている
ことを特徴とする請求項5乃至11のいずれか一項に記載のウエアラブル機器。
【請求項13】
前記ウエアラブル機器用接続部品が、
前記生体対向面に凹凸を有する
ことを特徴とする請求項5乃至12のいずれか一項に記載のウエアラブル機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエアラブル機器用接続部品およびウエアラブル機器に関する。
【背景技術】
【0002】
人体が身に着けたウエアラブルセンサによって生体情報を計測する装置が開発されている。例えば、特許文献1には、インナーシャツに分散して配置された複数のセンサと、インナーシャツに配置されセンサの信号を伝送する配線と、配線を通じて受信した生体信号を処理する生体信号処理回路とを有する生体情報収集装置の技術が開示されている。
【0003】
特許文献1のような技術を利用する場合には、センサや配線などが着用者に違和感を与えないようにすることが望ましい。それを実現可能とする技術として、今般では、高い導電性としなやかさを併せ持つ生地が開発されている(例えば非特許文献1)。このような生地を利用することにより、センサや電極が身体へ及ぼす違和感を軽減することができる。また、このような生地を用いて作製されたウエアに、通信用電子機器をスナップボタンで接続固定する衣服型デバイスなども開発されている(例えば非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−070917号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】東レ株式会社Webサイト「hitoe(登録商標)−ひとえ−TORAY」、[2016年9月9日検索]、インターネット<URL:http://www.hitoe-toray.com/>
【非特許文献2】株式会社ゴールドウインWebサイト「C3fit IN−pulse特設サイト」、[2016年9月9日検索]、インターネット<URL:http://www.goldwin.co.jp/c3fit/inpulse/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、しなやかなセンサやウエアにスナップボタンで通信用電子機器を接続する方法では、通信用電子機器が硬質であるため、計測時に身体への違和感が残るという問題がある。また、全身の筋電を取得するなどセンシング対象を増やす場合は、スナップボタンの数が増えデバイスが大型になるため、違和感がさらに増大する。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、物理的に身体へ与える圧迫感や痛みなどの負担を軽減するウエアラブル機器用接続部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、ウエアラブル機器用接続部品は、柔軟な素材からなる生体対向面を備えた筐体と、端子が生体対向面以外の方向に露出したコネクタとを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果は、物理的に身体へ与える圧迫感や痛みなどの負担を軽減するウエアラブル機器用接続部品を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態を示す側面図である。
図2】第2の実施形態を示す斜視図である。
図3】一般的な技術を利用した比較例を示す斜視図である。
図4】一般的な技術の接続方法を示す断面図である。
図5】一般的な技術の利用シーンを示す断面図である。
図6】第3の実施形態の一具体例を示す側面図である。
図7】第3の実施形態の別の具体例を示す断面図である。
図8】第3の実施形態のさらに別の具体例を示す断面図である。
図9】第4の実施形態を示す断面図である。
図10】第5の実施形態を示す断面図である。
図11】第6の実施形態を示す断面図である。
図12】第6の実施形態の具体例を示す断面図である。
図13】第7の実施形態を示す断面図である。
図14】第7の実施形態の変形例を示す断面図である。
図15】第7の実施形態の別の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のウエアラブル機器用接続部品1を示す側面図である。ウエアラブル機器用接続部品1は、柔軟な素材からなる生体対向面10aを備えた筐体10と、端子21が生体対向面10a以外の方向に露出したコネクタ20とを有する。
【0013】
筐体10は、例えば、電子機器30を収納することができる。電子機器30は例えば、コネクタ20を介して受信した信号を処理したり、外部に送信したりするものである。そして、例えば、基板31に電子部品32を実装し、接続部材33を介してコネクタ20の端子21と電気的に接続する構成とすることができる。
【0014】
コネクタ20は相手側コネクタ40と接続することができる。相手側コネクタ40は、例えば、コネクタ20の端子21と接続する相手側端子41と、相手側端子41と外部の電子装置との電気的な接点となる相手側外部端子42とを有するものである。
【0015】
以上説明した本実施形態によれば、人体などの生体に直接的または間接的に接触する生体対向面が柔軟であるため、物理的に生体に与える圧迫感や痛みなどの負担を軽減するウエアラブル機器用接続部品を提供することができる。
【0016】
(第2の実施形態)
図2は、ウエアラブル機器用接続部品1の用途の一例であるウエアラブル機器50を示す斜視図である。ウエアラブル機器50は、ウエア51と、ウエアラブル機器用接続部品1と、相手側コネクタ40とを有している。
【0017】
ウエア51は、例えば、上半身に着用できるように、身体を収納し、頭を通す開口を有する胴部と、上肢を通す袖部とを有する。ウエア51には、生体情報を得るための複数のセンサケーブル52が接着や縫合によって設置されている。センサケーブル52は相手側コネクタ40に接続し、相手側コネクタ40はウエアラブル機器用接続部品1に接続している。こうして、センサケーブル52は、ウエアラブル機器用接続部品1に収容された電子機器(図示せず)に電気的に接続している。
【0018】
この構成では、ウエアラブル機器用接続部品1の生体対向面10aがウエア61の身体側に向く。本実施形態では生体対向面10aが柔軟であるため、人がウエア51を着用した場合に、ウエアラブル機器用接続部品1が人に圧迫感や痛みを与えることがない。図2の例では、センサケーブル52の数を10として、10接点の接続を行っているが、接点の数がさらに増えても問題なく、同様の効果を得ることができる。
【0019】
センサケーブル52は、配線として利用することができる。この場合、所望の身体箇所に電極を設置して身体に流れる微量の電流を検知したり、各種のセンサの信号をウエアラブル機器用接続部品1に収容された電子機器に集めたりすることができる。また、センサケーブル52自体の電気抵抗が伸縮や体温によって変化することを利用してセンシングを行うこともできる。図示しない電子機器は、例えば、センサケーブル52から受信した電気抵抗や電流などの信号を、内蔵したマイコンで処理し、姿勢や体温、心電や筋電などの生体情報を取得することができる。そして、取得した情報は電子機器内で演算処理され、内蔵メモリに蓄積したり、無線回路でサーバやスマートフォンなどに送ったりすることができる。なお、ウエア51は、下半身を収納する、または全身を収納する形態であってもよい。
【0020】
以上説明したように、本実施形態によれば、利用者が圧迫感や痛みを感じることなく、ウエアラブル機器を利用することができる。
<比較例>
上述したように本実施形態によれば、多数の配線を接続する構成としても人が圧迫感や痛みを感じることがない、一方、一般的な技術を用いた場合は、接点が増えることで人が感じる圧迫感や痛みが増大するという問題がある。比較例を用いて、この問題を説明する。
【0021】
図3は、センサケーブル52と電子機器との一般的な接続方法であるスナップボタン53を用いたウエアラブル機器50aの構成を示す斜視図である。センサケーブル52aが電子機器に接続する接点の数は図2と同様に10としている。なお、ここでは、電子機器を外した状態を示している。
【0022】
図4はスナップボタン53を用いた接続構造を示す断面図である。電子機器30a側にはバネ33aが設けられている。バネ33aは配線34aに接続して、電子機器30aの回路と電気的に接続する。ウエア51a側には、ゲンコ53aとホソ53bとが、ウエア51aとセンサケーブル52aとを挟む形で、設けられている。ゲンコ53aがバネ33aに嵌合することにより、センサケーブル52aと電子機器30aの回路とが電気的に接続される。
【0023】
図5は、図3のようにスナップボタン53を5×2列で配置した時の接続の様子を示す断面図である。5つのスナップボタン53_1―5が電子機器30aのバネ33aに嵌合している。身体100の断面が曲線であるのに対し、電子機器30aの断面が直線状であるため、この例では、スナップボタン53_1、4、5が浮いてしまっている。このため、ウエア51aが引っ張られるとともに、スナップボタン53_3の部分かかる荷重が大きくなっている。その結果、身体100が受けるストレスが大きくなっている。
【0024】
以上説明したように、一般的な技術を用いた場合は、接続点数が増えるほど、圧迫感、痛み、違和感などが生じやすくなる。また、接続に手間がかかり、付け忘れや、確実に接続されないなど、接続失敗や接続外れが起きやすくなる。一方で、本実施形態では、接続点数が増えても痛みや違和感を生じることがない。さらに、コネクタで各接点を正確に接続できるため、接続の失敗や間違いを生じることがない。
【0025】
(第3の実施形態)
第1の実施形態で説明したように、ウエアラブル機器用接続部品1では、筐体10の生体対向面10aが柔軟であり、コネクタ20の端子21が生体対向面10a以外の方向に露出していればよい。このため、筐体10の形態には、種々のバリエーションが可能である。図6は、その一例を示す側面図である。この例では雄の端子21aを有するコネクタ20aが、生体対向面10aと直角な方向に露出している。また、雌の端子21bを有するコネクタ20bが20aと反対の面から露出している。
【0026】
図7は、別の例を示す断面図である。筐体10は柔軟な素材からなる体側筐体11と外側筐体12とに分割されており、接合部で接合されている。接合部には凹凸箇所が設けられ、体側筐体11と外側筐体12とが嵌合し、接着などにより接合され、電子機器30を包み込んでいる。コネクタ20は生体対向面10aの反対側に設けられた外側筐体12の開口部に埋設されている。
【0027】
筐体10を形成する素材には、例えば、各種のゴムや、スポンジなどを用いることができる。これらのゴムやスポンジには非常に多くの種類があり、様々なものを利用できる。好適な素材の例としては、例えば、シリコーンゴムやポリビニルアルコールスポンジなどがある。
【0028】
電子機器30は、機能別に分割されて電子部品32を搭載した硬質な基板31や電池35などが、可撓性を有する接続部材によって電気的に接続されている。基板31は、例えば、マイコン、メモリ、無線回路やアンテナなどの機能を搭載している。
【0029】
電子機器30は、筐体10内の空間を動けるように筐体10とは固定されていないが、体側筐体11、外側筐体12、それぞれの内側に設けられた柔軟な支柱13によって支えられている。また、基板31と電池35との間など所定の場所には隔壁14を設けて、それぞれの部品が干渉することがないようにしている。上記の構成とすることで、体側筐体11とともに、電子機器30も人体などの生体のラインに無理なく倣うことができ、生体の局所に負荷が集中することがなくなる。
【0030】
図8は外側筐体12aが可撓性を有する素材でできている例を示す断面図である。その他の構成要素は図7の例と同様である。すなわち体側筐体11aは柔軟性を有し、電子機器30は体側筐体11aの変形に倣うことができるようになっている。外側筐体12aは、体側筐体11aの変形に倣うことができれば、このように、必ずしも柔軟性を有していなくても良い。
【0031】
以上、説明したように、本実施形態によれば、利用者の負担軽減と電子機器などの内容物の保護とを両立するウエアラブル機器用接続部品を構成することができる。
【0032】
(第4の実施形態)
図9はセンサケーブル52を有するウエア51とウエアラブル機器用接続部品1とを接続したウエアラブル機器を身体100に装着した例を示す断面図である。
【0033】
ウエア51は、センサケーブル52に接続した相手側コネクタ40を保持し、ウエアラブル機器用接続部品1のコネクタ20が相手側コネクタ40に接続している。図示はしていないが、ウエアラブル機器用接続部品1の筐体10の内部にはコネクタ20と電気的に接続する電子機器が収納されている。センサケーブル52と相手側コネクタ40の相手側外部端子42とは、導電性接着剤54で接続されている。
【0034】
ウエアラブル機器用接続部品1はウエア51と、身体100とに挟まれるように配置されている。2つのコネクタの嵌合は、ウエアラブル機器用接続部品1とウエア51とを電気的、物理的に固定する役割を持つが、ウエア51との固定力が不足する場合は、面ファスナなどをウエアラブル機器用接続部品1の両端に取り付けて固定を補助してもよい。
【0035】
このように、身体100のラインに倣い易い柔軟な生体対向面10aを身体に向け、違和感の元となるコネクタ20を身体の外向きに配置することで、身体に与える違和感を軽減することが可能となる。
【0036】
(第5の実施形態)
図10は、本実施形態のウエアラブル機器を身体100に装着した例を示す断面図である。本実施形態の筐体10_1は、生体対向面10a_1が凹凸を有している。その他の構成については第4の実施形態と同様である。
【0037】
凹凸を持つ生体対向面10a_1により通気性が増し、汗の放散効果が得られる。これにより、蒸れによる違和感を更に軽減することができる。なお生体対向面10a_1の凹凸は、例えば、多角形や円形の柱状体を配置してもよいし、多角形や円形の断面形状をしたスリットを設けてもよい。
【0038】
(第6の実施形態)
ここではウエア51と相手側コネクタ40とコネクタ20との接続の具体例を説明する。図11はコネクタ20cと相手側コネクタ40あの接続部近傍の具体例を示す断面図である。
【0039】
センサケーブル52がウエア51に接着や縫合によって固定されている。センサケーブル52は導電性接着剤54によって相手側外部端子42aに接続されている。コネクタ20cはスプリング端子21cを有し、スプリング端子21cは相手側コネクタ40aの相手側端子41aと電気的に接続している。コネクタ20cは筐体10の段差部に係止されている。
【0040】
図12は、スプリング端子21cを有するコネクタ20cと相手側コネクタ40aの嵌合構造の例を表す断面図である。コネクタ20cはスプリング端子21cと爪22cとを有している。相手側コネクタ40aは相手側端子41aと、爪22cに嵌合する段差43aとを有している。図12(a)は、コネクタ20cと相手側コネクタ40aとが離れた状態を示している。図12(b)は、爪22aが、相手側コネクタ40aに押し当てられ、押し当てられるに従って開いている状態を示している。図12(c)は、コネクタ20cが、一定量まで押し込まれて相手側コネクタ40aの段差43aに爪22c先端が嵌り、コネクタ20cと相手側コネクタ40aとが電気的に接続され、物理的に固定された状態を示している。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、ウエアラブル機器用接続部品のコネクタと相手側コネクタとを確実に接続することができる。
【0042】
(第7の実施形態)
第4、第5の実施形態では、ウエアラブル機器用接続部品と身体とが直接接触するウエアラブル機器の例について説明したが、両者の間にウエアを介在させても良い。
【0043】
図13は、ウエア51がウエアラブル機器用接続部品1を収納する袋部55を備えるウエアラブル機器の例を示す断面図である。袋部55を設けたことで、身体100とウエアラブル機器用接続部品1との間にウエア51の布を介在させることができる。袋部55にウエアラブル機器用接続部品1を収納固定することで、身体100との密着感が増し、身体100との一体感が得られる。これにより体感されるウエアラブル機器用接続部品1の違和感を更に軽減することができる。また、ウエアラブル機器用接続部品1と身体100の間にウエア51の布地が介在することで、汗を吸収/放散しやすくなり、蒸れによる違和感も軽減することができる。
【0044】
図14は、図13の例に加えて、袋部55がウエアラブル機器用接続部品1を出し入れする袋口56を有している。袋口56は開閉部57によって開閉できるようにしておいてもよい。袋口56を介して、洗濯時や故障時にウエアラブル機器用接続部品1を取り外すことが可能となる。
【0045】
図15は、図14の例とほぼ同じ構成であるが、第5の実施形態の生体対向面10a_1が凹凸を有する筐体10_1を用いている。筐体10_1を用いることで、さらに通気性が増し、汗の放散効果が得られ、蒸れによる違和感を更に軽減することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、利用者の違和感を軽減するウエアラブル機器を提供することができる。
【0047】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下 には限られない。
(付記1)
生体に対向する生体対向面が柔軟な素材からなる筐体と、
前記筐体に保持され、端子が前記生体対向面以外の方向に露出したコネクタと
を有することを特徴とするウエアラブル機器用接続部品。
(付記2)
前記生体対向面が凹凸を有することを特徴とする付記1に記載のウエアラブル機器用接続部品。
(付記3)
前記筐体内に保持され前記コネクタと電気的に接続する電子機器を有することを特徴とする請求項1または付記2に記載のウエアラブル機器用接続部品。
(付記4)
前記電子機器が無線通信機能を備えることを特徴とする付記3に記載のウエアラブル機器用接続部品。
(付記5)
前記筐体が、前記生体対向面以外の方向に配置され前記電子機器を保護する可撓性の外側筐体を有することを特徴とする付記3または付記4に記載のウエアラブル機器用接続部品。
(付記6)
前記外側筐体が柔軟な素材からなることを特徴とする付記5に記載のウエアラブル機器用接続部品。
(付記7)
前記電子機器と前記筐体との間に空間があることを特徴とする付記5または付記6に記載のウエアラブル機器用接続部品。
(付記8)
前記筐体が前記電子機器を支持する柔軟な支柱を有する付記7に記載のウエアラブル機器用接続部品。
(付記9)
前記筐体が、前記電子機器が保持する所定の電子部品同士を隔てる隔壁を有することを特徴とする付記7または付記8に記載のウエアラブル機器用接続部品。
(付記10)
付記1乃至付記9いずれか一付記に記載のウエアラブル機器用接続部品と、
前記コネクタの接続相手となる相手側コネクタと、
前記相手側コネクタを保持し生体に着用されるためのウエアと
を有することを特徴とするウエアラブル機器。
(付記11)
前記ウエアに保持され前記相手側コネクタに電気的に接続する生体計測センサを
有することを特徴とする請求項8に記載のウエアラブル機器。
(付記12)
前記ウエアに保持され前記生体計測センサと前記相手側コネクタとを電気的に接続する柔軟なセンサケーブルを有することを特徴とする付記11に記載のウエアラブル機器。
(付記13)
前記ウエアラブル機器用接続部品が前記生体計測センサから受信した信号を処理する信号処理回路を有することを特徴とする付記11または付記12に記載のウエアラブル機器。
(付記14)
前記ウエアラブル機器用接続部品が前記信号処理回路と外部との間で信号を送受信する無線回路を有することを特徴とする付記13に記載のウエアラブル機器。
(付記15)
前記ウエアが前記ウエアラブル機器用接続部品を保持する袋部を有することを特徴とする付記請求項10乃至付記14いずれか一付記に記載のウエアラブル機器。
(付記16)
前記袋部が前記ウエアラブル機器用接続部品を出し入れする開口部を有することを特徴とする付記15に記載のウエアラブル機器。
(付記17)
前記袋部が前記開口部を開閉する開閉部を有することを特徴とする付記16に記載のウエアラブル機器。
(付記18)
生体に対向する生体対向面が柔軟な素材からなる筐体を作製し、
端子が前記生体対向面以外の方向に露出するようにコネクタを前記筐体に保持する
ことを特徴とするウエアラブル機器用接続部品の製造方法。
【0048】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 ウエアラブル機器用接続部品
10 筐体
10a 生体対向面
11 体側筐体
12 外側筐体
13 支柱
14 隔壁
20 コネクタ
21 端子
30 電子機器
31 基板
32 電子部品
33 接続部材
40 相手側コネクタ
41 相手側端子
42 相手側外部端子
50 ウエアラブル機器
51 ウエア
52 センサケーブル
53 スナップボタン
54 導電性接着剤
55 袋部
56 袋口
57 開閉部
100 身体
図1
図2
図3
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図5
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図10
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図15