【実施例】
【0025】
続いて、この発明に係るエアコンプレッサの一例を、図面を参照して説明する。空気圧工具を駆動するためのエアコンプレッサは建築現場やリフォーム現場などの工事現場で使用される。
【0026】
エアコンプレッサ10の全体構成を示す
図1〜
図3はカバー本体を装着した状態の図であり、
図1はその全体斜視図、
図2はその左側面図、
図3は正面図である。
図4および
図5はカバー本体を外した状態の図で、
図4はその平面図、
図5は正面図ある。
【0027】
図1〜
図5を参照して説明すると、エアコンプレッサ10は、主として、
圧縮機10A、
圧縮機を支持すると共にその圧縮空気を貯めるタンク部10B(
図1)、
タンク部10Bから圧縮空気を取り出すエア取り出し部10C、
圧縮機10Aに対するイバータ駆動用の回路基板(インバータ基板)10D、
圧縮機制御用の操作部10E、
本体カバー10F(
図1)とで構成される。
【0028】
エアコンプレッサ本体の基本的な構成は、圧縮機10Aとタンク部10Bとである。
【0029】
<圧縮機10Aの構成>
図4に示すように、圧縮機10Aは圧縮用モータ12を有し、その回転軸(モータ軸)(図示はしない)には、冷却ファン13が取り付けられると共に、冷却ファン13とは反対側のモータ軸側には圧縮用シリンダ15が配置される。
【0030】
シリンダ15はこの例では一次シリンダ15Aの他に、二次シリンダ15Bを有し、モータ軸と直交する左右方向に配置される。シリンダ15で空気を圧縮するため、モータ軸と一次及び二次シリンダ15A,15Bの各ピストン(図示はしない)とを連結するピストン駆動手段(図示しない)がクランクケース16内でモータ軸に直結され、圧縮用モータ12の回転でピストンを駆動して、シリンダ15内の空気を圧縮する。ピストン駆動手段がモータ軸に直結されているため、圧縮用モータ12、クランクケース16およびシリンダ15は一体化されている。
【0031】
一次シリンダ15Aの圧縮空気は、クランクケース16の上方を跨ぐように配管されたエア連結管17を介して二次シリンダ15Bに送り込まれ、二次シリンダ15Bでさらに高圧に圧縮された圧縮空気は、エア連結管18を介してこの例では右側のタンク21Bに送り込まれる。
【0032】
<モータとタンクとの関係>
圧縮機10Aは上述したようにタンク部10Bの上部に取り付けられる。この例では、タンク部10Bが2本の円筒状のタンクで構成されている。
一次シリンダ15Aから二次シリンダ15Bまでの長さ(シリンダ軸の長さ)が、冷却ファン13を含めた圧縮機10Aの長さ(モータ軸の長さ)よりも長いときは、
図4のようにシリンダ軸は円筒状のタンクのタンク軸と並行で、モータ軸がタンク軸と直交するように圧縮機10Aが載置される。エアコンプレッサ10を小型化した場合であっても、載置された圧縮機がタンク部10Bの側面よりも突出しないようにするためである。
【0033】
タンク部10Bの上部に圧縮機10Aが取り付けられる。図示はしないが、各タンク21A,21Bに接合された金属留め具(オス側)と、圧縮機10Aに接合された金属金具(メス側)とを利用して固定される。
【0034】
この場合、両者には緩衝材(ゴム材など)を介在させるも、比較的緩く嵌合されて圧縮機10Aが若干揺動できる構成となされている。この自在な揺動によって圧縮機10Aからの振動がタンク部10B側に伝わりにくくなるようにしている。
【0035】
図1示すタンク部10Bは所定の空気量を貯えることができるような長さと径を有する円筒状の一対のタンク21A,21Bが使用されると共に、双胴タンクとなるようにタンク相互は所定のピッチ(タンクピッチ)をもって取り付け固定される。この例では、
図3のように連結板体20を溶接して相互に固定される。
【0036】
図4に示すようにタンク部10Bの後端部側の上面であって、二次シリンダ15Bの下側に沿って左タンク21Aと右タンク21Bの両者間にドレン管路22が連結される。ドレン管路22はタンク部の内部底面に滞留している水分を排出するためのもので、それぞれのタンク管内に水分導出管(図示はしない)が垂設されている。
【0037】
ドレンコック25は、右タンク21Bの前面側であって、一次シリンダ15Aの下面付近に面した上面に設けられる。そして、このドレンコック25はドレン連結管路(図示はしない)によって後部のドレン管路22と連結される。ドレンコック25から排水するための接続管26は、
図2のように右タンク21Bの側面から排出される。ただし、このドレン連結および排出のための配管は一例である。
【0038】
タンク21A,21Bの下面の所定位置には複数、例えば4個の脚部60が設けられる。脚部60は緩衝効果を持たせるため、ゴム材の成型品などが使用される。
【0039】
<圧縮機とタンクの取り付け位置関係>
圧縮機10Aはタンク部10Bの後端側(図では右端側)に寄せて載置されることで、
図4のようにタンク前端上部に各種部材の取り付け用スペースが確保される。各種部材とは具体的には後述するようにエア取り出し部10Cであり、圧縮機用のインバータ基板10Dであり、そして圧縮機操作用の操作部10Eなどの取り付けスペースである。
【0040】
<エア取り出し部>
エア取り出し部10Cはタンク部10Bに貯留されているエアを取り出し、工具に送給するための部材であって、夫々のタンク前端上面側(天頂側)に設けられたエア接続口(タンク部10Bの上面側に多数の構成部品が載置されているため、図示していない)に、エア取り出し部10Cの一部を構成する一次圧力管路32A(
図6以下)が連結される。
【0041】
エアは一次圧力管路32Aおよび後述する二次圧力管路32Bを経て終端のエア取り出し口(エアチャック)38まで導かれ、エア取り出し口38に挿着されたホースを介して工具(釘打ち機など)にエアが送給される。
【0042】
<エア取り出し部とタンク部との位置関係>
エア取り出し部10Cはタンク前端部付近(長手方向の一端部付近)に設けられ、エアコンプレッサ本体を正面から視たとき、正面視でエアコンプレッサ本体の中心に寄せられた状態となるように、しかもタンク上面より余り突出しないように、一対のエア取り出し部10Cが左タンク21Aと右タンク21Bの上部に取り付けられる。
【0043】
左タンク21Aからのエア取り出し部10Cと、右タンク21Bからのエア取り出し部10Cは、互いにエアコンプレッサ本体の中心近くに寄るように配置され、さらにはエア取り出し部10Cに設けられたエア取り出し口38は、一対のタンク21A,21Bの対峙空間内に位置するように配置される。よって、エア取り出し口38が上下に二股構成のようなときには、少なくとも下側に位置するエア取り出し口38bは、各タンクの中心を通る垂直軸と外周面との交点同士を結んだ接線上の近傍(上方、下方、交叉を含む)に位置するようになされるのが好ましい。
【0044】
エア取り出し部10Cがエアコンプレッサ本体の中心面側に寄せて配置されるため、
図1のようにグリップ(ハンドル)28の脚の間からエア取り出し口38が臨めるような位置関係となるから、このグリップ28の間(脚間)を通って工具用エアホースが挿着される。その結果、工具用エアホースがエアコンプレッサ本体から外側に向かって大きくはみ出すことがなくなると同時に、脱着作業をするための作業空間を小さくできるので、作業スペースが少ない現場であっても、他の工事用機材を邪魔することなく作業できる。グリップ28はエアコンプレッサ10の運搬用把持部である。
【0045】
<エア取り出し部の構成(その1)>
エア取り出し部10Cは、取り付け時の占有スペースを少なくして小型化できるように、高さ、幅及び奥行きをできるだけ短くなるように工夫した。
【0046】
図6にその具体例を抽出して示す。
図6はタンク部10Bに取り付けられたときの平面図であり、
図7はその正面図(エアコンプレッサ本体の正面側)であり、
図8はその左側面図(左タンク21Aの側面側)である。
【0047】
エア取り出し部10Cは一次圧力管路32Aと、これに連通する二次圧力管路32Bと、さらに二次圧力管路32Bの先端に設けられたエア取り出し口(エアチャック)38とで構成される。それぞれのタンク21Aと21Bに取り付けられるエア取り出し部10Cは左右対称に構成されているので、左タンク21Aに取り付けられるエア取り出し部10Cについてのみ説明する。
【0048】
エア取り出し部10Cは、左タンク21Aの前面側上面の所定位置に穿設された接続口(図示せず)より上方(圧縮機方向)に立ち上がってから、エアコンプレッサ本体の中心に向かう一次圧力管路32Aを有する。
【0049】
一次圧力管路32Aのうちモータ軸に並行な管路39Aの延長端にタンク内圧力を検出する圧力センサ34が取り付けられ、モータ軸と直交し、タンク軸と並行する管路39B上に減圧弁33が取り付けられている。33Aは圧力調整用の操作部(把持部)である。
【0050】
一次圧力管路32Aを構成する管路39Aのうち、タンク接続口に連なる上面部にはエア接続口37Aが設けられ、エア取り出し部10Cのエア接続口37A同士がエア連結管37(
図4)によって相互に連結される。これで、一対のタンク21Aと21Bとに溜められたエアが相互に連通した状態となる。一次圧力管路39Aの上部にエア連結管37の接続部(エア接続口)を設けることによって、エア連結管37はエア取り出し部10Cの上部空間(一次圧力管路32Aの上部空間)を利用して配管することができる。
【0051】
減圧弁33はエア吐出圧を調整するためのものであり、これによってタンク部10Bからのエア吐出圧を任意に調整することができる。例えば左側のエア取り出し圧を常圧としたとき、右側のエア取り出し圧は高圧となるように調整できる。これは夫々のエア取り出し口38(38A,38B)に接続される工具の種類によって要求されるエア吐出圧が相違こともあるからである。
【0052】
減圧弁33は、圧縮機10Aのモータ軸とタンク軸にそれぞれ直交する軸と、モータ軸の2軸によって形成される面内に配されるものであり、
図6ではモータ軸に対してその角度が0°となるように取り付けられる。したがって、減圧弁33はモータ軸、したがってタンク軸と直交する。
【0053】
一次圧力は減圧弁33によって調整されて二次圧力(出力圧力)となり二次圧力管路32Bに流入する。二次圧力管路32Bはクランク状の管路であって、タンク軸と並行な管路36Aの折り曲げ端部(クランク部)36Bに圧力計35が連結される。この圧力計35で二次圧力を知ることができる。
【0054】
圧力計35は、モータ軸とタンク軸にそれぞれ直交する軸と、モータ軸およびタンク軸の3軸に囲まれた面内に配される。
【0055】
図6〜
図8ではこの3軸に囲まれる面内であって、モータ軸とタンク軸のそれぞれに対して20°〜30°だけ傾け、斜め上方を向くように圧力計35が取り付けられる。
【0056】
圧力計35を傾けて取り付けることで、圧力計35を減圧弁33に近接して配置しても、減圧弁33を支障なく操作できると共に、圧力計35の計器面が斜め上方を向くことになり、これで計器面にゴミなどの塵埃が付着するのを防止できる。
【0057】
管路36Aに連なるモータ軸と並行な管路を経て、クランク状に折り曲げられたタンク軸と並行な管路36Cの先端部がエアチャック機能を有したエア取り出し口38となる。
【0058】
エア取り出し口38は上下に2又に分かれる。この例では、上方のエア取り出し口38Aはパージ付きのソケットであり、下方のエア取り出し口38Bは通常のソケットである。
【0059】
このように一対のエア取り出し部10Cは、左右一対のタンク21A,21Bの頂面同士を結んだ水平線(モータ軸)とほぼ並行で、しかもエア取り出し部10Cの双方を本体中心面側に寄せて配置すると共に、それぞれのエア取り出し部10C,10Cからのエア取り出し口38,38が二次圧力管路32B,32Bに対して垂直な方向に配置されている。そのため、その高さ、幅および長さを短縮した小型のエア取り出し部10Cを実現できる。
【0060】
これに加えて、グリップ28に邪魔されることなく、エア取り出し口38に対する工具用エアホースの取り付け、取り外しができ、減圧弁33はグリップ28とタンク接続口31Aとの間であって、モータ軸に並行しているので、圧力の調整が容易であり、圧力計35は斜めに配置されているため、塵埃が計器面を滑り落ちるようになるので、計器面が見やすくなるなどの実益を有する。
【0061】
<インバータ基板の配置>
インバータは、圧縮用モータ12を駆動するために使用される回路素子群であって、インバータ基板10Dを有し、
図4のようにほぼ矩形状の基板上にコイル、コンデンサなどの複数の回路素子がマウントされて構成される。
【0062】
インバータ基板10Dは、タンク部10Bの上面であって、圧縮用モータ12と一次シリンダ15Aとの間に存在する空間(スペース)内に取り付けられる。インバータ基板10Dはタンク部10Bを取り付ける連結部材(図示はしない)に、補助部材82を介してモータ軸と並行するように立設される。
【0063】
インバータ基板10Dは圧縮用モータ12やクランクケース16よりも背丈が低く、しかもインバータ基板10Dを立設したとき、インバータ基板10Dの回路素子が上述したエア取り出し部10Cとは重ならないようにインバータ基板10Dの厚みが選定される。
【0064】
インバータ基板10Dのうちその基板の回路素子マウント面とは反対側の面(裏面)が冷却ファン13側を向くように配置され、インバータ基板10Dを効率よく冷却できるように工夫されている。
【0065】
<操作部の配置>
エア取り出し部10Cの上面空間内にエアコンプレッサ本体を制御する操作部10Eが配される。操作部10Eには電源スイッチなどが配される他、表示インジケータなどの表示部品が付設される。操作面は後述する本体カバー10Fの外面より突出しないように所定の傾斜をもって操作部10Eが取り付けられる。
【0066】
<本体カバー>
本体カバー10Fは、
図1のようにタンク部10Bの上部に配置された圧縮機10A等をカバーするためのもので、圧縮機10Aそのものの外形(圧縮用モータ12、一次及び二次シリンダ15A,15Bの外縁形状)に沿った形状で、圧縮機10Aの振動を許容できる程度に、これら部材との間に若干隙間を持たせて成型されている。
【0067】
本体カバー10Fの前面、つまりエアコンプレッサ本体の正面側は、斜め手前に傾斜しているが、操作部10Eと対向する部分は操作部が露呈するように空隙となされる。
【0068】
図1のようにこの操作部10Eの両側下方の位置に対応する本体カバー10Fは開口され、これによって上述した減圧弁33、圧力計35及びエア取り出し部10Cが夫々外部に露呈する。これで、操作性と視認性が確保される。
【0069】
本体カバー10F両側面の下端部は、回転部や電気回路部から使用者(ユーザ)を保護するため、極力隙間が小さくなるように設計されている。
【0070】
<エアコンプレッサの小型化>
圧縮機10Aをタンク部10Bの上部に配置するに当たっては、タンク部10Bの外縁からはみ出さずに、小型化できるような位置関係を選択し、エア取り出し部10Cはその背丈を短くしながら、エアコンプレッサ本体の中心に寄せて配置するようにしたので、エアコンプレッサの高さ、幅および奥行きが可能な限り短くなっている。これによってエアコンプレッサの小型化が可能になる。
【0071】
これらの構成に加えて、ドレン管路は二次シリンダ15Bとタンク部10Bの間の空間を使用して配管し、ドレンコック25は一次シリンダ15A寄りのタンク部10Bの上面側に配し、インバータ基板10Dは圧縮用モータ12と一次シリンダ15Aの間の空間を利用して配し、特にモータ軸と並行するように立設構成としたので、タンク部10Bの上部側の空間を有効に利用できる。これによって、タンク長やタンクピッチを短くできるので、エアコンプレッサ10のさらなる小型化が可能になる。
【0072】
<エア取り出し部の構成(その2)>
図9〜
図11は、エア取り出し部10Cの構成例(その2)を示す。(その2)の基本的な構成は、上述した構成例(その1)と同じであるが、減圧弁33の取り付け角度が相違する。
【0073】
減圧弁33は、上述したようにエア取り出し管路の軸とコンプレッサ本体に対して垂直方向の軸とを通る平面に平行な平面上に配置される。具体的には、圧縮機10Aのモータ軸とタンク軸にそれぞれ直交する軸と、モータ軸の2軸によって形成される面内に配される。
【0074】
図9以下に示すものは、モータ軸に対してその角度が45°〜50°傾けて取り付けられている。圧力計35の取り付け位置および取り付け角度は、構成例(その1)と同じである。
【0075】
減圧弁33が(構成例1)よりも斜め上方へ傾いて取り付けられているので、把持部33Aが左タンク21Aの上面より若干離間するので、その分把持部33Aの回転操作がし易くなり、操作性が改善される。
【0076】
<エア取り出し部の構成(その3)>
図12〜
図14は、エア取り出し部10Cの構成例(その3)を示す。(その3)の基本的な構成は、上述した構成例(その1)と同じである。この例も減圧弁33のみ、その取り付け角度が相違する。
【0077】
減圧弁33は、圧縮機10Aのモータ軸とタンク軸にそれぞれ直交する軸と、モータ軸の2軸によって形成される面内に配されるものであるが、
図12以下に示すものは、モータ軸に対してその角度が90°傾けて取り付けられている。その結果、減圧弁33はモータ軸、換言すればタンク部10Bの水平軸と直交している。圧力計35の取り付け位置および取り付け角度は、構成例(その1)と同じである。
【0078】
減圧弁33がタンク21Aの垂直軸上に来るので、減圧弁33と圧力計35とは完全に離れた状態となるため、把持部33Aの操作性および圧力計35に対する視認性が改善される。
【0079】
<エア取り出し部の構成(その4)>
図15〜
図17は、エア取り出し部10Cの構成例(その4)を示す。(その4)の基本的な構成は、上述した構成例(その3)のうち、圧力計35の傾きを変更した例である。
【0080】
圧力計35は、上述したようにモータ軸とタンク軸にそれぞれ直交する軸を通る平面と、タンク軸とコンプレッサ本体に対して垂直方向の軸とを通る平面を通る平面、つまりモータ軸、垂直方向の軸およびタンク軸の3軸に囲まれた面内に配される。
【0081】
構成例(その4)は圧力計35をモータ軸と並行で、タンク軸に直交するように、したがって水平軸と並行になるように取り付けられる。そのため、減圧弁33と圧力計35とは直交する。
【0082】
<エア取り出し部とタンクとの関係(その2)>
図18および
図19に示す実施例は、エア取り出し部とタンクとの関係のみ図示してある。
【0083】
図4以下に示す実施例は、タンク21A,21Bの中心を通る垂直軸上にエア取り出し部とのタンク接続口が設けられているものである。
図18、
図19に示す実施例は、タンク接続口が垂直軸に対し、内側に所定角度だけ傾けて穿設されている。図では20°程度傾けてタンク接続口が設けられ、ここにエア取り出し部10Cが連結される。
【0084】
図20以下にこの取り付け構成を適用したエアコンプレッサ10全体の構成を示す。
図20は本体カバーを取り外した状態の平面図、
図21はその左側面図、
図22はその正面図である。エア取り出し部10Cの圧力管路はストレート管路が使用され、そのストレート管路に対して垂直に、減圧弁33と圧力計35が所定の間隔を保持して連結される。
【0085】
このようにエアコンプレッサ本体の中心面に近くなるようにエア取り出し部10Cを傾けて取り付ければ、エア取り出し部10Cが本体中央部に集中するように配置できる。これにより工具用ホースの突出量を減らすことができ、また工具用エアホースの脱着作業が容易になり、設置占有スペースを狭くできるなどの特徴を有する。これに加えてエア取り出し部10C自体の背丈が短くなるので、エアコンプレッサ全体の小型化を達成できる。
【0086】
エア取り出し部10Cをどの程度傾けるかは、減圧弁33などの操作性を考慮する必要がある。また、一対のタンク21A、21Bのタンクピッチの広狭によっても左右される。これらの要因を考慮に入れた上で、傾きが決定されることになるが、タンク21A,21Bの中心を通る垂直軸線上にエア取り出し部10Cが設けられた従来の構成よりも確実にエアコンプレッサ本体中央側にエア取り出し口38を配置できるので有効である。
【0087】
なお、エア取り出し口38がタンク部10Bよりも高い位置に配置されても、エアコンプレッサ本体の内側にエア取り出し口38が寄るようにエア取り出し部10Cを配置することで一定の効果が得られる。
【0088】
<インバータ基板の配置例>
上述した例は、インバータ基板10Dが圧縮用モータ12と一次シリンダ15Aとで囲まれる空間内に圧縮用モータ12と並行となるように立設した例である。
図23以下は、圧縮機10Aの下面側であって、タンク21Aと21Bとの間の空間(タンク対峙空間)内に配置した例である。
【0089】
図23はそのときの平面図であり、
図24は右側面図、
図25は正面図であり、そして
図26は圧縮機10Aのモータ軸を含む縦断面図である。
【0090】
図25および
図26に示すように、タンク21A,21B同士を連結する連結板体20のほぼ中央部に対峙空間を利用してインバータ基板10Dが立設・固定される。これによって圧縮機10Aと一次シリンダ15Aとで囲まれる空間が空きスペースとなるから、圧縮機10Aとエア取り出し部10Cとを近接配置できる。インバータ基板10Dが横長の基板を使用する場合には、立設してもよいし、連結板体20と並行に取り付け固定することもできる。
【0091】
一次シリンダ15Aとエア取り出し部10Cの一部が平面視で重なるように、具体的には
図23および
図24に示すように一次シリンダ15Aの下面とタンク21Bの上面との空間を利用して、一次シリンダ15Aの下面に一方のエア取り出し部10Cを構成する一次圧力管路32Aの一部が入り込むようにエア取り出し部10Cが近接配置される。
【0092】
エア取り出し部10Cを構成としては
図6構成のものが利用される。これは減圧弁33がモータ軸と並行した状態で横向きに配置されているため、一次圧力管路32Aの一部を一次シリンダ15Aに入り込ませることができるからである。一次圧力管路32A、32Aを跨ぐように配管されるエア連結管37は一次シリンダ15Aの側面を迂回するようにコ字状に折り曲げられている。
図29にはタンク21A内に垂設されたドレン管路用の排出管70が図示されている。
【0093】
<圧縮機とタンクの位置関係(その2)>
エアコンプレッサ10としては、圧縮機10Aのモータ軸がタンク軸と並行し、シリンダ軸がタンク軸と直交するようにも構成することができる。
【0094】
図27以下はこのような考えの下で設計されたもので、一対のタンクの最外縁同士を結んだ長さが、シリンダ15の全長とほぼ同じで、しかもエア取り出し部10Cを配置した場合でもタンク部10Bの外縁より突出しないようにタンクピッチを選定した上で、シリンダ軸がタンク軸と直交するように圧縮機10Aをタンク部10Bの上部に載置固定する。
【0095】
その場合の構成例が
図27以下に示されている。
図27はエアコンプレッサ10の平面図、
図28がその右側面図、
図29が正面図である。
図4の実施例とは90°反転したこのエアコンプレッサ10においても、その基本的な構成および構成部品の配置関係は上述とほぼ同様である。
【0096】
エア取り出し部10Cは
図6に示すもの(構成例1)を採用した。これによりエア取り出し部10Cのエア取り出し口38はタンク21Aと21Bの間(タンク対峙空間)に臨むように配置される。ドレン管路22はエア取り出し部10Cの近くに配管され、ドレンコック25は二次シリンダ15B近傍に配置される。
【0097】
このように構成する場合には、
図29のようにタンクピッチが多少広くなるため、エア取り出し部10Cの下面であって、タンク対峙空間に臨む連結板体20にインバータ基板10Dが載置固定される。
【0098】
このようにモータ軸をタンク軸と並行し、シリンダがタンク軸と直交するように圧縮機10Aを配置したときには、タンク21Aと21Bとが対峙する空間内であって、圧縮機10Aの下面側の空間内にインバータ基板10Dを配置できると共に、圧縮用モータ12の搭載位置を低くできるため、エアコンプレッサ本体の高さ(全高)を短縮できるなどの効果がある。