(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記仕切り壁における上記2つのタンクの一方と対向する第3面、または、上記仕切り壁における上記2つのタンクの他方と対向する第4面の少なくとも一方は、上記第1方向において上記側面におけるフィルムで構成されている部分と対向している請求項1から3のいずれかに記載の供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10及び複合機10に据え付けられたインクタンク100が使用可能に水平面に設置された姿勢(
図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を前面として前後方向8(第2方向の一例)が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9(第1方向の一例)が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交している。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
【0031】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(供給装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(
図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、前壁14Aに開口13が形成された筐体14を有している。
図2に示されるように、筐体14の内部には、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、タンクセット99と、結束部材120(
図1参照)とが配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0032】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に沿ってユーザによって複合機10に対して挿抜される。開口13は、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に位置する。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
【0033】
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。
図2に示されるように、給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。給送ローラ25は、給送アーム26の先端に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ(不図示)の逆転によって、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転する。以下、給送ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62が、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20に向かって回動付勢されている。
【0034】
[搬送経路65]
図2に示されるように、搬送経路65は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部から後方に延びる経路である。搬送経路65は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。
図2及び
図3に示されるように、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送経路65内における用紙12の搬送向き16は、
図2において一点鎖線の矢印で示されている。
【0035】
[搬送ローラ部54]
図2に示されるように、搬送ローラ部54は、搬送経路65に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送モータによって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて搬送向き16に搬送される。
【0036】
[排出ローラ部55]
図2に示されるように、排出ローラ部55は、搬送経路65における搬送ローラ部54より搬送向き16の下流に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送モータによって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて搬送向き16に搬送される。
【0037】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
【0038】
図3に示されるように、キャリッジ23は、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジモータ(不図示)によって駆動される。ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータの駆動によって左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、
図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路65より右方及び左方にまで及ぶ。
【0039】
キャリッジ23からは、インクチューブ32とフレキシブルフラットケーブル33とが延出されている。
【0040】
インクチューブ32は、タンクセット99及び記録ヘッド39を接続するものである。インクチューブ32は、タンクセット99を構成する4つのインクタンク100B、100Y、100C、100M(これらを総称して、「インクタンク100」と表示することがある。)に貯留されたインク(液体の一例)を記録ヘッド39に供給する。インクタンク100は、タンクの一例である。詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32B、32Y、32C、32M(これらを総称して、「インクチューブ32」と表記することがある。)が、それぞれインクタンク100B、100Y、100C、100Mから延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23と接続されている。
【0041】
フレキシブルフラットケーブル33は、制御部(不図示)が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
【0042】
図2に示されるように、キャリッジ23は、記録ヘッド39を搭載している。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39の下面から露出している。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。また、これにより、インクタンク100B、100Y、100C、100Mに貯留されたインクが消費される。
【0043】
[プラテン42]
図2及び
図3に示されるように、プラテン42は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、搬送経路65を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン42は、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下方から支持する。
【0044】
[カバー70]
図1に示されるように、筐体14の前壁14A(側壁の一例)の右部に、開口22(開口の一例)が形成されている。筐体14には、カバー70が、開口22を覆うようにして取り付けられている。カバー70は、開口22を閉塞する閉塞位置(
図1(A)に示される位置)と、開口22を開放する開放位置(
図1(B)に示される位置)との間を回動可能である。カバー70には、開口97が形成されている。
【0045】
筐体14の内部のうち開口22の後方に位置する部分には、空間が拡がっている。この空間に、後述するタンクセット99が配置される。空間の前端は、閉塞位置のカバー70によって区画されている。空間の後端は、カバー70の後方にカバー70と対向して配置された奥壁(不図示)によって区画されている。
【0046】
なお、本実施形態において、カバー70は、回動することによって閉塞位置と開放位置とに移動したが、回動以外によって閉塞位置と開放位置とに移動してもよい。例えば、カバー70は、筐体14に対して着脱可能に構成されていてもよい。この場合、カバー70は、筐体14に装着されることによって閉塞位置に位置し、筐体14から脱抜されることによって開放位置に位置する。
【0047】
[タンクセット99]
タンクセット99は、記録ヘッド39に供給されるインクを貯留するものである。
図7に示されるように、タンクセット99は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mと、結束部材120とを備える。
【0048】
各インクタンク100には、異なる色のインクが貯留される。具体的には、インクタンク100Bにはブラックインクが貯留され、インクタンク100Yにはイエローインクが貯留され、インクタンク100Cにはシアンインクが貯留され、インクタンク100Mにはマゼンタインクが貯留される。但し、インクタンク100の数及びインクの色は上記の例に限定されない。各インクタンク100の構成については、後述される。
【0049】
結束部材120は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持するものである。結束部材120の構成については、後述される。
【0050】
4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mは、左右方向9に沿って一列に並んで配置されている。4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mの中で、インクタンク100Bが最も右に配置され、インクタンク100Mが最も左に配置されている。なお、インクタンク100の配置位置は、前記に限らない。インクタンク100Bは、他のインクタンク100Y、100C、100Mよりもサイズ、特に左右方向9における幅が大きい。なお、インクタンク100のサイズの大小関係は、前記に限らない。インクタンク100Bは、他のインクタンク100Y、100C、100Mよりもインクの許容貯留量が多い。なお、インクタンク100の許容貯留量の大小関係は、前記に限らない。
【0051】
図1に示されるように、タンクセット99は、筐体14の右前部において、筐体14の内部に据え置かれている。換言すれば、タンクセット99は、複合機10から容易に取り外すことができないように、複合機10に固定されている。なお、「容易に取り外すことができない」とは、例えば、使用者が通常の使用状態における複合機10の筐体14からタンクセット99を容易に取り外すことができないことを意味しており、熟練した修理者が複合機10の筐体14からタンクセット99を修理のために取り外すような場合を除く趣旨である。従って、使用者が通常の使用状態における複合機10の筐体14からタンクセット99を容易に取り外すことができなければよい。
【0052】
[インクタンク100]
以下に、インクタンク100の構成が説明される。インクタンク100Y、100C、100Mは、同構成であるため、以下では、インクタンク100Y、100C、100Mのうちの1つをインクタンク100と称して、それ構成が説明される。また、インクタンク100Bの構成は、インクタンク100Y、100C、100Mの構成と類似しているため、インクタンク100Y、100C、100Mの構成の説明の後で、インクタンク100Y、100C、100Mと異なる部分について、その構成が説明される。この場合、インクタンク100Bと、インクタンク100Y、100C、100Mとの構成において形状が多少異なっていたとしても同様な機能を有する構成には同一の符号が付されている。なお、以下の説明では、特に記載のない限り、複合機10及び複合機10に据え置かれたインクタンク100は使用姿勢である。
【0053】
図4に示されるように、インクタンク100は、インクタンクの外形を形成する筐体140で構成されている。筐体140は、フレーム141と、2枚のフィルム142、143とを備える。
【0054】
フレーム141は、全体として、左右方向9に沿った寸法が短く、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が左右方向9に沿った寸法よりも長い扁平の直方体形状である。また、前後方向8の寸法は、上下方向7の寸法よりも長い。
【0055】
フレーム141は、インク室111内のインクがインクタンク100の外部から視認可能な程度の透光性を有する樹脂で形成されている。フレーム141は、例えば、ポリプロピレンで形成されている。フレーム141は、例えば、樹脂材料を射出成型することによって一体成型されている。フレーム141の剛性は、フィルム142、143の剛性よりも高い。
【0056】
なお、フレーム141は、一体成型でなく、複数の部材が組み合わされた構成であってもよい。
【0057】
フレーム141は、前壁101と、右壁159と、左壁103と、上壁104と、下壁105と、後壁110と、内壁107とを備える。
【0058】
前壁101は、立壁102と傾斜壁106とで構成されている。立壁102は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁106は、立壁102の上端及び上壁104の前端を連結する壁である。傾斜壁106は、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。
【0059】
各インクタンク100における立壁102の前面102A及び傾斜壁106の前面106A、つまり各インクタンク100のフレーム141の前面は、カバー70の開口97、及び筐体14の開口22を介して、複合機10の外部に露出している。つまり、各インクタンク100は、各インクタンク100のフレーム141の前部(一端部の一例)が筐体14の前端側の外部から開口22及び開口97を通じてアクセス可能に筐体14内に配置されている。このような構成であることにより、各インクタンク100のフレーム141の前面は、複合機10の前方から視認可能であり、ユーザは各インクタンク100に貯留されたインクの残量を確認可能である。
【0060】
右壁159は、前壁101の右端から後方へ延びる壁である。右壁159の上端は、上壁104の前部と接続されている。右壁159の下端は、下壁105の前部と接続されている。つまり、右壁159は、フレーム141の前部のみに設けられており、フレーム141の後部には設けられていない。
【0061】
左壁103は、前壁101の左端から後方へ延びる壁である。左壁103の上端は、上壁104の前部と接続されている。左壁103の下端は、下壁105の前部と接続されている。つまり、左壁103は、フレーム141の前部のみに設けられており、フレーム141の後部には設けられていない。左壁103は、左右方向9において右壁159と対向している。
【0062】
上壁104は、前壁101の上端(傾斜壁106の後端)から後方へ延びている。上壁104の前部は、左壁103の上端と接続されている。
【0063】
下壁105は、前壁101の下端から後方へ延びる壁である。下壁105は、上壁104から下方に離れて形成されている。上述されたように、下壁105の前部は、左壁103の下端と接続されている。
【0064】
内壁107は、前壁101、左壁103、上壁104、下壁105、及び後壁110に囲まれた空間に、複数配置されている。
【0065】
図4(A)に示されるように、フレーム141の右面の後部は開放されている。下壁105、後壁110、上壁104、及び内壁107の右面にフィルム142が溶着されることによって、フレーム141の右面が封止される。
【0066】
図4(B)に示されるように、フレーム141の左面の後部は開放されている。下壁105、後壁110、上壁104、及び内壁107の左面にフィルム143が溶着されることによって、フレーム141の左面が封止される。
【0067】
フレーム141の前面(立壁102の前面102A及び傾斜壁106の前面106A)は、フレーム141の右面の前端と、フレーム141の左面の前端とによって繋がれている。フレーム141の後面(後壁110の後面110A)は、フレーム141の右面の後端と、フレーム141の左面の後端とによって繋がれている。フレーム141の右面と、フレーム141の左面とは、左右方向において対向している。
【0068】
図4及び
図6に示されるように、上壁104には、凸部108が形成されている。
図6に示されるように、凸部108は、板部121とリブ122とで構成されている。板部121は、後方へ向かうにしたがって上方へ向かう傾斜面123を有する。リブ122は、板部121と上壁104とを繋ぐように配置されている。リブ122は、板部121よりも左右方向9に短い。このような構成であることにより、凸部108は、後方または下方の少なくとも一方の向きへの力が傾斜面123に作用することによって、下方へ撓む。
【0069】
図6に示されるように、下壁105には、凸部109が形成されている。凸部109は、板部124とリブ125とで構成されている。板部124は、後方へ向かうにしたがって下方へ向かう傾斜面126を有する。リブ125は、板部124と下壁105とを繋ぐように配置されている。リブ125は、板部124よりも左右方向9に短い。このような構成であることにより、凸部109は、後方または上方の少なくとも一方の向きへの力が傾斜面126に作用することによって、上方へ撓む。
【0070】
図4及び
図6に示されるように、上壁104には、凸部130が形成されている。凸部130は、凸部108よりも前方に形成されている。凸部130は、前後方向8に沿って延びている。
【0071】
上壁104には、凸部131、132が形成されている。凸部131、132は、凸部130よりも前方に形成されている。凸部132は、凸部131よりも前方に形成されている。凸部131、132は、左右方向9に沿って延びている。
【0072】
図6に示されるように、下壁105には、凸部133が形成されている。凸部133は、サブ下壁105Aに形成されている。サブ下壁105Aは、下壁105の前部に形成されており、下壁105よりも上方に位置する。
【0073】
下壁105には、凸部134が形成されている。凸部134は、凸部109よりも前方に形成されている。凸部134は、左右方向9に沿って延びている。
【0074】
サブ下壁105Aには、凸部135が形成されている。凸部135は、左右方向9に沿って延びている。本実施形態において、凸部135は、凸部133から右方及び左方へ延びている。凸部135の突出長は、凸部133の突出長よりも短い。つまり、凸部135の突出先端は、凸部133の突出先端よりも上方に位置する。
【0075】
[インク室111]
図4に示されるように、筐体140は、その内部にインク室111(液体貯留室の一例)を有する。インク室111は、インクタンク100の内部空間であり、インクが貯留される。
【0076】
インク室111は、前壁101、右壁159、左壁103、上壁104、下壁105、後壁110、内壁107、フィルム142、及びフィルム143によって区画されている。
【0077】
詳細には、インク室111は、前壁101の後面によって前側を区画されている。また、インク室111は、後壁110の前面によって後側を区画されている。また、インク室111は、上壁104の下面によって上側を区画されている。また、インク室111は、下壁105の上面によって下側を区画されている。また、インク室111は、右壁159の左面及びフィルム142の左面によって右側を区画されている。また、インク室111は、左壁103の右面及びフィルム143の右面によって左側を区画されている。インク室111は、内壁107によって複数に分割されている。
【0078】
右壁159の左面及びフィルム142の左面と、左壁103の右面及びフィルム143の右面とは、左右方向9に対向している。右壁159の左面及びフィルム142の左面と、左壁103の右面及びフィルム143の右面とは、一対の側面の内側面の一例である。そして、本実施形態において、一対の側面は、樹脂で構成された部分と、フィルムで構成された部分とを備える。右壁159の左面及び左壁103の右面は、樹脂で構成されており、第1面の一例である。フィルム142の左面及びフィルム143の右面は第2面の一例である。
【0079】
上記のように、本実施形態では、インク室111の右側及び左側は、それぞれフィルム(フィルム142、143)及び樹脂(右壁159及び左壁103)によって区画されている。しかし、インク室111の右側及び左側の一方が樹脂のみによって区画されていてもよい。例えば、インク室111の右側がフィルム及び樹脂によって区画されており、インク室111の左側が樹脂のみによって区画されていてもよい。すなわち、一対の側面が樹脂で構成された部分を備えるとともに、一対の側面の一方がフィルムで構成された部分を備えていてもよい。
【0080】
[インク流出路114]
図4(B)に示されるように、筐体140は、インク流出路114を備える。インク流出路114は、インク室111に貯留されているインクをインクタンク100の外部へ流出するための連通路である。
【0081】
インク流出路114の一端は、下壁105と後壁110の境界に形成された開口149、150(
図6参照)を介してインク室111と連通している。インク流出路114の他端は、後壁110に形成された開口156を介して突出部157と連通している。開口156は、開口149、150よりも上方に位置している。
【0082】
突出部157は、後壁110の後面110Aの開口156の周囲部分から後方へ向けて、つまりインクタンク100の外方へ向けて突出している。突出部157は、中空である。突出部157の内部空間の前端は、開口156によってインク流出路114と連通している。突出部157の内部空間の後端は、開口158によってインクタンク100の外部と連通している。
【0083】
インクタンク100が筐体14の内部に据え置かれた状態において、突出部157は、直接、或いは間接的にインクチューブ32(
図3参照)と接続されている。これにより、インク流出路114から開口156を通じて突出部157の内部空間へ進入したインクが、インクチューブ32へ流出する。
【0084】
以上より、インク室111に貯留されたインクは、インク流出路114、突出部157の内部空間、及びインクチューブ32を介して記録ヘッド39のノズル40と連通している。なお、突出部157は、インクチューブ32と直接接続されていなくてもよい。例えば、一端部がインクチューブ32と接続されたニードルの他端部が、突出部157に挿入されていてもよい。
【0085】
[大気連通路170]
図4及び
図6に示されるように、筐体140は、大気連通路170を有する。大気連通路170は、インク室111とインクタンク100の外部とを連通するための連通路である。換言すると、大気連通路170は、インク室111を大気開放するための連通路である。
【0086】
大気連通路170の一端は、開口144、145を介してインク室111と連通している。大気連通路170の他端は、上壁104に形成された大気開放口187と連通している。
【0087】
図6に示されるように、大気連通路170の一端と他端との間には、半透膜183が大気連通路170を閉塞するように貼付されている。半透膜183は、インクの通過を遮断し且つ気体の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜である。例えば、半透膜183は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などのフッ素樹脂からなる。これにより、インク室111に貯留されたインクは、半透膜183によって阻まれて、大気開放口187を通じてインクタンク100の外部へ流出できない。一方、空気は、インク室111内とインクタンク100の外部との間を自由に移動可能である。
【0088】
図4(B)に示されるように、大気連通路170における半透膜183が貼付されている位置と大気開放口187との間には、ラビリンス179が形成されている。ラビリンス179は、上下方向7に延びた隔壁186が前後方向8に並んで複数設けられていることによって、上下方向7のUターンを繰り返しつつ前後方向8に沿って延びる連通路である。
【0089】
[インクタンク100B]
以下、
図5を参照しつつ、インクタンク100Bの構成が説明される。
図5に示されるように、インクタンク100Bは、インクタンク100Y、100C、100M(
図4参照)よりも左右方向9に長い。
【0090】
以下、インクタンク100Bについて、インクタンク100Y、100C、100Mと異なる部分について説明される。なお、インクタンク100Bにおいてインクタンク100Y、100C、100Mと同構成の部分については、
図4と同じ参照符号が付された上で、その説明が省略される。また、インクタンク100Bにおける所定部分の構成と、インクタンク100Y、100C、100Mの当該所定部分に対応する部分の構成との相違点が、インクタンク100Bにおける所定部分の構成の方が左右方向9に長いという点のみである場合、インクタンク100Bにおける当該所定部分に対応する部分については、
図4と同じ参照符号が付された上で、その説明が省略される。
【0091】
図5(B)に示されるように、フレーム141は、後壁110の下部から後方へ突出した突出部167(被検知部の一例)を備えている。突出部167は、後述する光学センサ168に光を照射されることによって、使用姿勢のインクタンク100のインク室111に貯留されたインクの液面の高さを検知する。突出部167は、直方体形状である。突出部167は内部空間167Aを有しており、突出部167の前端及び後端は開放されている。突出部167の内部空間167Aの前端は、インク室111と連通している。突出部167の後端は開放されている。開放された突出部167の後端は、フィルム139が貼付されることによって閉塞されている。
【0092】
なお、本実施形態において、突出部167は、突出部157の右方に形成されているが、突出部167は他の位置に形成されていてもよい。また、突出部167は、インクタンク100B、100Y、100C、100Mのうち、インクタンク100Bのみに設けられている。しかし、突出部167は、インクタンク100B、100Y、100C、100Mの少なくとも一つに設けられていてもよい。
【0093】
[光学センサ168]
図5(B)に破線で示されるように、プリンタ部11は、光学センサ168を備えている。光学センサ168は、筐体14に取り付けられている。光学センサ168は、タンクセット99が筐体14の内部に据え置かれた状態において、インクタンク100Bのフレーム141の突出部167の右方及び左方に位置している。
【0094】
光学センサ168は、発光部168Aと受光部168Bとを備えている。発光部168Aと受光部168Bとは、左右方向9において突出部167を挟んで配置されている。発光部168Aは、突出部167の右方に位置している。受光部168Bは、突出部167の左方に位置している。なお、発光部168Aと受光部168Bとの配置位置は、左右逆であってもよい。
【0095】
発光部168Aにおける受光部168Bへの光の照射位置と、受光部168Bにおける発光部168Aからの光の受光位置との高さが、突出部167の内部空間167Aにおける所定高さとなるように、発光部168Aと受光部168Bの上下方向7の配置位置が決定されている。
【0096】
光学センサ168は、電気回路を介して複合機10の制御部(不図示)に電気的に接続されている。
【0097】
発光部168Aから受光部168Bへ向けて光が照射される。照射された光は、突出部167を透過して突出部167の内部空間167Aへ進入する。内部空間167Aに貯留されたインクの液面が光路よりも上方である場合、光は内部空間167Aに貯留されたインクに遮られて受光部168Bへ到達しない。これにより、光学センサ168から制御部へローレベルの信号が出力される。一方、内部空間167Aに貯留されたインクの液面が光路よりも下方である場合、光は内部空間167Aにおいて空気中を進む。この場合、光は内部空間167Aを通過して受光部168Bへ到達する。これにより、光学センサ168から制御部へハイレベルの信号が出力される。つまり、突出部167は、内部空間167Aに貯留されたインクの液面の高さに応じて透光状態が変化する。
【0098】
制御部は、光学センサ168からの信号がローレベルである場合にインク室111に貯留されたインクの液面が上記所定高さよりも高いと判断し、光学センサ168からの信号がハイレベルである場合にインク室111に貯留されたインクの液面が上記所定高さよりも低いと判断する。
【0099】
なお、本実施形態では、突出部167がインクタンク100Bのみに設けられているため、光学センサ168は、インクタンク100Bのフレーム141の突出部167の右方及び左方に設けられていた。しかし、突出部167がインクタンク100Y、100C、100Mに設けられている場合には、光学センサ168は、インクタンク100Y、100C、100Mのフレーム141の突出部167の右方及び左方に設けられている。
【0100】
[供給口112]
図7(A)に示されるように、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの傾斜壁106の各々には、インク室111にインクを注入するための供給口112B、112Y、112C、112M(これらの総称として「供給口112」と表記することがある。)が形成されている。供給口112は、傾斜壁106を厚み方向に貫通して、インク室111をインクタンク100の外部に連通させる。
【0101】
傾斜壁106及び供給口112は、カバー70を開放位置に位置させることによって、開口22を介して複合機10の外部に露出する。供給口112を通じてインク室111にインクが注入される際のインクタンク100の姿勢(注入姿勢)は、使用姿勢である。すなわち、インクタンク100が使用姿勢にあるときに、供給口112を通じてインク室111にインクが注入される。
【0102】
[結束部材120]
図7に示されるように、結束部材120は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持するものである。
【0103】
図8に示されるように、結束部材120は、前壁71と、右壁72と、左壁73と、上壁74と、下壁75と、位置決め壁91(位置決め部の一例、
図12参照)と、仕切り壁92とを備える。
【0104】
前壁71は、立壁76と傾斜壁77とで構成されている。立壁76は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁77は、立壁76の上端及び上壁74の前端を連結する壁である。傾斜壁77は、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。
【0105】
右壁72は、前壁71の右端から後方へ延びる壁である。左壁73は、前壁71の左端から後方へ延びる壁である。上壁74は、前壁71の上端(詳細には傾斜壁77の上端)から後方へ延びる壁である。上壁74の右端は、右壁72の上端と接続されている。上壁74の左端は、左壁73の上端と接続されている。下壁75は、前壁71の下端から後方へ延びる壁である。下壁75の右端は、右壁72の下端と接続されている。下壁75の左端は、左壁73の下端と接続されている。
【0106】
図9に示されるように、下壁75から下方へ延びる凸部78が形成されている。
図11に示されるように、凸部78は、下壁75の右端部及び左端部に形成されている。
図9に示されるように、凸部78は、プリンタ部11の筐体14の底板161に形成された穴162に挿入される。これにより、結束部材120は、筐体14に固定されるとともに支持される。
【0107】
結束部材120は、インクタンク100を保持した状態(
図7に示される状態)で筐体14に固定されるとともに支持される。
【0108】
図8(B)に示されるように、前壁71と、右壁72と、左壁73と、上壁74と、下壁75とによって、結束部材120の内部空間127が形成される。
図7に示されるように、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mが、後方から内部空間127へ向けて挿入される。これにより、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mの前部が、内部空間127を占める。
【0109】
内部空間127は、位置決め壁91及び仕切り壁92によって、インクタンク100の数に分けられている。本実施形態では、内部空間127は、位置決め壁91及び仕切り壁92によって、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mの各々に対応する4つの内部空間127B、127Y、127C、127Mに分けられている。
【0110】
図12及び
図14に示されるように、位置決め壁91は、前壁71の後面91Aに形成されている。つまり、位置決め壁91は、結束部材120に保持されたインクタンク100の前部に対応する位置に配置されている。位置決め壁91は、後面91Aから突出している。位置決め壁91は、後面91Aの上端から下端に亘って延びている。
【0111】
位置決め壁91の左右方向9の位置は、左右方向9に隣り合う2つのインクタンク100の間である。つまり、位置決め壁91は、左右方向9において、インクタンク100Bとインクタンク100Yとの間、インクタンク100Yとインクタンク100Cとの間、及びインクタンク100Cとインクタンク100Mとの間に配置されている。
【0112】
インクタンク100が結束部材120に保持された状態において、隣り合う2つのインクタンク100の間に位置する位置決め壁91の左面は、当該2つのインクタンク100のうち左のインクタンク100の右壁159の右面(一対の側面の外側面の一例)と当接する。また、当該状態において、隣り合う2つのインクタンク100の間に位置する位置決め壁91の右面は、当該2つのインクタンク100のうち右のインクタンク100の左壁103の左面(一対の側面の外側面の一例)と当接する。これにより、各インクタンク100は、左右方向9に相互に隙間を空けた状態で、左右方向9に位置決めされる。
【0113】
一方、インクタンク100が結束部材120に保持された状態において、位置決め壁91の左面は、フィルム142の右面(一対の側面の外側面の一例)とは当接せず、位置決め壁91の右面は、フィルム143の左面(一対の側面の外側面の一例)とは当接しない。
【0114】
以上より、位置決め壁91は、隣り合う2つのインクタンク100の側面における樹脂で構成されている部分と当接している。
【0115】
図12に示されるように、仕切り壁92は、各位置決め壁91から後方へ、結束部材120の後端部まで延びている。つまり、仕切り壁92は、位置決め壁91と一体に構成されている。仕切り壁92の左右方向9の位置は、左右方向9に隣り合う2つのインクタンク100の間である。つまり、仕切り壁92は、左右方向9において、インクタンク100Bとインクタンク100Yとの間、インクタンク100Yとインクタンク100Cとの間、及びインクタンク100Cとインクタンク100Mとの間に配置されている。仕切り壁92の上端は、上壁74と接続されている。仕切り壁92の下端は、下壁75と接続されている。
【0116】
仕切り壁92の左右方向9の厚みは、位置決め壁91の左右方向9の厚みよりも短い。仕切り壁92は、左右方向9において、位置決め壁91の中央部から後方へ延びている。これにより、仕切り壁92は、左右方向9においてインクタンク100と間隔を空けて配置されている。
【0117】
図13に示されるように、インクタンク100が結束部材120に保持された状態において、隣り合う2つのインクタンク100の間に位置する仕切り壁92の左面92A(第3面の一例)の後端部は、当該2つのインクタンク100のうち左のインクタンク100のフィルム142の右面と左右方向9において対向する。また、当該状態において、隣り合う2つのインクタンク100の間に位置する仕切り壁92の左面92Aの後端部以外の部分は、当該2つのインクタンク100のうち左のインクタンク100の右壁159の右面と左右方向9において対向する。
【0118】
また、
図13に示されるように、インクタンク100が結束部材120に保持された状態において、隣り合う2つのインクタンク100の間に位置する仕切り壁92の右面92B(第4面の一例)の後端部は、当該2つのインクタンク100のうち右のインクタンク100のフィルム143の左面と左右方向9において対向する。また、当該状態において、隣り合う2つのインクタンク100の間に位置する仕切り壁92の右面92Bの後端部以外の部分は、当該2つのインクタンク100のうち右のインクタンク100の左壁103の左面と左右方向9において対向する。
【0119】
以上より、仕切り壁92は、隣り合う2つのインクタンク100の間であって一対の側面とは非接触の位置に配置されている。
【0120】
図8(B)に示されるように、上壁74の後部に複数の開口79が形成されている。各開口79は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口79は4つ形成されている。開口79は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部108(
図4〜
図6参照)と対応する位置に形成されている。
【0121】
下壁75の後部に複数の開口80が形成されている。各開口80は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口80は4つ形成されている。開口80は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部109(
図6参照)と対応する位置に形成されている。
【0122】
上壁74に複数の開口68が形成されている。各開口68は、各開口79から前方へ延びている。つまり、本実施形態において、開口68は4つ形成されている。開口68は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部130(
図6参照)と対応する位置に形成されている。
【0123】
下壁75に複数の開口69が形成されている。各開口69は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口69は4つ形成されている。なお、
図8(B)では、インクタンク100Bに対応した開口69のみが現れており、他の開口69は仕切り壁92によって隠れている。各開口69は、開口80よりも前方に形成されている。開口69は、前後方向8に沿って延びている。開口69は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部133(
図6参照)と対応する位置に形成されている。
【0124】
インクタンク100が内部空間127へ挿入される過程において、凸部108は、上壁74の内部空間127側の面74Aと当接して押圧されて下方へ撓む。また、凸部109は、下壁75の内部空間127側の面75Aと当接して押圧されて上方へ撓む。更にインクタンク100が挿入されると、凸部108は開口79に挿入された状態となり、凸部109は開口80に挿入された状態となる。これにより、凸部108、109の撓みは解消される。
【0125】
当該状態において、
図9に示されるように、凸部108は、開口79と係合している。また、当該状態において、凸部109は、開口80と係合している。
【0126】
凸部108と開口79とが係合した状態において、インクタンク100が結束部材120に対して前方へ移動しようとすると、凸部108が開口79の前端を区画する前縁面79Aと当接する。これにより、インクタンク100の結束部材120に対する前方への移動が規制される。また、凸部108と開口79とが係合した状態において、インクタンク100が結束部材120に対して後方へ移動しようとすると、凸部108が開口79の後端を区画する後縁面79Bと当接する。これにより、インクタンク100の結束部材120に対する後方への移動が規制される。
【0127】
凸部109と開口80とが係合した状態において、インクタンク100が結束部材120に対して前方へ移動しようとすると、凸部109が開口80の前端を区画する前縁面80Aと当接する。これにより、インクタンク100の結束部材120に対する前方への移動が規制される。また、凸部109と開口80とが係合した状態において、インクタンク100が結束部材120に対して後方へ移動しようとすると、凸部109が開口80の後端を区画する後縁面80Bと当接する。これにより、インクタンク100の結束部材120に対する後方への移動が規制される。
【0128】
以上のように、凸部108が開口79の縁面と当接し、凸部109が開口80の縁面と当接することによって、インクタンク100は、前後方向8に位置決めされる。
【0129】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、
図10に示されるように、凸部131、132は、上壁74の内部空間127側の面74Aと当接しており、凸部134、135は、下壁75の内部空間127側の面75Aと当接している。これにより、インクタンク100は、上下方向7に位置決めされている。なお、凸部131、132と面74Aとの間には、略公差分の隙間があってもよい。
【0130】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、
図11(A)に示されるように、凸部130が開口68に挿入されている。凸部130が開口68に挿入された状態において、インクタンク100が結束部材120に対して右方へ移動しようとすると、凸部130が開口68の右端を区画する右縁面68Aと当接する。また、凸部130が開口68に挿入された状態において、インクタンク100が結束部材120に対して左方へ移動しようとすると、凸部130が開口68の左端を区画する左縁面68Bと当接する。
【0131】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、
図11(B)に示されるように、凸部133が開口69に挿入されている。凸部133が開口69に挿入された状態において、インクタンク100が結束部材120に対して右方へ移動しようとすると、凸部133が開口69の右端を区画する右縁面69Aと当接する。また、凸部133が開口69に挿入された状態において、インクタンク100が結束部材120に対して左方へ移動しようとすると、凸部133が開口69の左端を区画する左縁面69Bと当接する。
【0132】
以上のように、凸部130が開口68の縁面と当接し、凸部133が開口69の縁面と当接することによって、インクタンク100は、左右方向9に位置決めされる。ここで、上述したように、インクタンク100は、右壁159及び左壁103が位置決め壁91と当接することによって、左右方向9に位置決めされている。つまり、本実施形態では、インクタンク100は、前端部において位置決め壁91によって左右方向9に位置決めされており、当該前端部よりも後方において開口68、69の縁面によって左右方向9に位置決めされている。
【0133】
図11に示されるように、左右方向9に位置決めされた状態において、隣り合うインクタンク100の間には、隙間98が形成されている。
【0134】
以上のように、結束部材120は、
図7に示されるように、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持する。なお、インクタンク100の配置順序は、右から順にインクタンク100B、インクタンク100Y、インクタンク100C、及びインクタンク100Mである。
【0135】
結束部材120がインクタンク100を保持した状態において、前壁71は、インクタンク100の前壁101を覆っており、上壁74は、インクタンク100の上壁104の前部を覆っており、下壁75は、インクタンク100の下壁105の前部を覆っている。
【0136】
また、結束部材120がインクタンク100を保持した状態において、右壁72は、4つのインクタンク100のうち最も右に配置されたインクタンク100Bの右面の前部(右壁159)を覆っており、左壁73は、4つのインクタンク100のうち最も左に配置されたインクタンク100Mの左面の前部(左壁103)を覆っている。
【0137】
以上より、結束部材120は、インクタンク100を保持した状態において、インクタンク100の前部を覆っている。
【0138】
図8(A)に示されるように、結束部材120の前壁71の立壁76には、複数の開口81が形成されている。各開口81は、左右方向9に間隔を空けて形成されている。各開口81は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口81は4つ形成されている。本実施形態において、各開口81の形状は矩形であるが、矩形以外の形状であってもよい。
【0139】
図7(A)に示されるように、結束部材120が各インクタンク100を保持した状態において、各インクタンク100の前壁101の立壁102が、開口81を介して結束部材120の外部に露出可能である。また、
図1(A)に示されるように、結束部材120が各インクタンク100を保持した状態、且つカバー70が閉塞位置の状態において、各インクタンク100の立壁102が、結束部材120の開口81及びカバー70の開口97を介してプリンタ部11の外部に露出可能である。これにより、ユーザは、外部から各インクタンク100に貯留されたインク残量を確認できる。
【0140】
図8に示されるように、結束部材120の前壁71の傾斜壁77には、複数の開口82が形成されている。各開口82は、左右方向9に間隔を空けて形成されている。各開口82は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口82は4つ形成されている。本実施形態において、各開口82の形状は円形であるが、円形以外の形状であってもよい。
【0141】
図7(A)に示されるように、結束部材120が各インクタンク100を保持した状態において、各インクタンク100の供給口112が、開口82を介して結束部材120の外部に露出可能である。
【0142】
図8に示されるように、結束部材120の上壁74の前部には、後述するキャップ113が取り付けられるキャップ取付部155が形成されている。
【0143】
[キャップ113]
図7に示されるように、インクタンク100は、キャップ113B、113Y、113C、113M(これらの総称として「キャップ113」と表記することがある。)を備える。インクタンク100は、インクタンク100の4つの供給口112B、112Y、112C、112Mに対応して、4つのキャップ113B、113Y、113C、113Mを備える。
【0144】
各キャップ113は、ゴムやエラストマーのように弾性変形可能な素材によって成型されている。各キャップ113は、キャップ部115と、弾性変形部116と、取付部117とを備えている。なお、各キャップ113の構成は、以下で説明する構成に限らない。
【0145】
キャップ部115は、概ね円盤形状外形である。
【0146】
弾性変形部116は、帯形状である。弾性変形部116の一端は、キャップ部115に接続されている。弾性変形部116の他端は、取付部117に接続されている。弾性変形部116は、外部から力を付与されていない状態において、
図7に示されるように、概ね真っ直ぐに延びた状態である。
【0147】
取付部117は、キャップ取付部155と嵌合可能である。これにより、キャップ113は、結束部材120に取り付けられる。
【0148】
キャップ113は、キャップ部115が供給口112の周縁を区画する壁面に密着することによって、供給口112を液密に封止する。このとき、図示されていないが弾性変形部116は、円弧状に湾曲した状態である。
【0149】
図7に示されるように、キャップ部115が供給口112から離間することによって供給口112は、開放される。その結果、供給口112を通じてインク室111にインクを注入することが可能となる。キャップ113が離間位置に位置する状態において、弾性変形部116は、弾性復帰して概ね真っ直ぐに延びた状態である。
【0150】
[上記実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、位置決め壁91は、
図13に示されるように、隣り合う2つのインクタンク100の間に位置している。また、位置決め壁91は、隣り合う2つのインクタンク100の向かい合う側面の外側面(左のインクタンク100の右壁159の右面、及び右のインクタンク100の左壁103の左面)の各々と当接している。これにより、隣り合う2つのインクタンク100を、位置決め壁91の分だけ、隙間を空けた状態に保持することができる。
【0151】
また、位置決め壁91は、それぞれ樹脂で構成された右壁159及び左壁103と当接している一方で、フィルム142、143と当接していない。このため、フィルム142、143が位置決め壁91との接触によって傷つけられる可能性を低くすることができる。
【0152】
また、仮に、位置決め壁91がインクタンク100の右壁159の右面及び左壁103の左面から突出した凸部として構成されている場合、インクタンク100の右面に形成された凸部とフィルム142との間には、所定の間隔が必要であり、インクタンク100の左面を形成された凸部とフィルム143との間には、所定の間隔が必要である。そして、この間隔の分だけ、インクタンク100の右面における右壁159の割合が大きくなり、インクタンク100の左面における左壁103の割合が大きくなる。すると、相対的に、インクタンク100の右面におけるフィルム142の割合が小さくなり、インクタンク100の左面におけるフィルム143の割合が小さくなる。その結果、インク室111に貯留されるインクの量が少なくなる。
【0153】
上記実施形態によれば、位置決め壁91は、結束部材120に形成されている。この場合、インクタンク100の右面に形成された凸部とフィルム142との間の間隔は、上述の所定の間隔よりも小さくて済む。また、インクタンク100の左面に形成された凸部とフィルム143との間の間隔は、上述の所定の間隔よりも小さくて済む。そのため、インクタンク100の右面におけるフィルム142の割合を大きくすることができ、インクタンク100の左面におけるフィルム143の割合を大きくすることができる。その結果、インクタンク100の体積を大きくすることなく、インク室111に貯留されるインクの量を多くすることができる。
【0154】
また、隣り合う2つのインクタンク100に隙間がある場合、当該隙間を通じてインクタンク100内に光が進入するおそれがある。光がインクタンク100内に進入すると、例えば、インク室111に貯留されたインクの質が変化してしまうおそれがある。上記実施形態によれば、仕切り壁92が2つのインクタンク100の間に配置されている。そのため、インクタンク100内への光の進入を低減することができる。
【0155】
また、仕切り壁92は、隣り合う2つのインクタンク100の向かい合う側面(左のインクタンク100の右壁159の右面及びフィルム142の右面、並びに右のインクタンク100の左壁103の左面及びフィルム143の左面)と非接触の位置に配置されている。そのため、仕切り壁92と接触することによる一対の側面の破損の可能性を低くすることができる。
【0156】
また、上記実施形態によれば、仕切り壁92は位置決め壁91から延びているため、仕切り壁92と位置決め壁91とを一体成型できる。
【0157】
また、上記実施形態によれば、筐体14の外部からインクタンク100へアクセス可能な一端部(インクタンク100及び結束部材120の前端部)を通じて、外部の光がインクタンク100内へ進入する可能性が高い。上記実施形態によれば、位置決め壁91が当該一端部に配置されている。そのため、外部からインクタンク100内への光の進入を、位置決め壁91によって低減することができる。
【0158】
また、上記実施形態によれば、位置決め壁91や仕切り壁92によって外部から光学センサ168や突出部167へ届く光を低減することができる。その結果、光学センサ168による誤検知の可能性を低くすることができる。
【0159】
[変形例]
上記実施形態では、位置決め壁91は、前壁71の後面91A(
図12参照)の上端から下端に亘って延びるように配置されていた。しかし、位置決め壁91の配置位置は、インクタンク100が結束部材120に保持された状態においてフィルム142、143と当接しないことを条件として、前述の配置位置に限らない。
【0160】
例えば、位置決め壁91は、後面91Aの上下方向7における中央部のみに形成されていてもよいし、後面91Aの上端部及び下端部のみに形成されていてもよい。
【0161】
また、位置決め壁91は、前壁71の後面91A以外に形成されていてもよい。例えば、位置決め壁91は、上壁74の内部空間127側の面74A(
図10参照)や、下壁75の内部空間127側の面75A(
図10参照)に形成されていてもよい。つまり、位置決め壁91は、インクタンク100及び結束部材120が筐体14の内部に据え置かれた状態におけるフレーム141の前部に対応する位置以外、例えばフレーム141の後部に対応する位置に配置されていてもよい。
【0162】
上記実施形態では、仕切り壁92は、位置決め壁91と一体に構成されていた。しかし、仕切り壁92は、位置決め壁91と別に構成されていてもよい。つまり、仕切り壁92は、位置決め壁91との間に間隔を空けて配置されていてもよい。
【0163】
上記実施形態では、仕切り壁92は、結束部材120の内部空間127の前端から後端に亘って配置されており、且つ結束部材120の内部空間127の上端から下端に亘って配置されていた。しかし、仕切り壁92の配置範囲は、前述した配置範囲に限らない。たとえば、仕切り壁92は、前後方向8において内部空間127の前部または後部にのみ配置されていてもよいし、上下方向7において結束部材120の内部空間127の上部または下部にのみ配置されていてもよい。
【0164】
上記実施形態では、結束部材120は、位置決め壁91と仕切り壁92とを備えていたが、仕切り壁92を備えていなくてもよい。この場合、結束部材120の内部空間127は、位置決め壁91のみによって複数に分けられる。
【0165】
上記実施形態では、インクタンク100の左右方向9の位置決めは、位置決め壁91と凸部130、133とによって行われていた。しかし、インクタンク100の左右方向9の位置決めは、位置決め壁91のみによって行われてもよい。
【0166】
上記実施形態では、
図4及び
図5に示されるように、インクタンク100の右壁159及び左壁103は、フレーム141の前部に設けられていた。しかし、右壁159及び左壁103が設けられる位置は、フレーム141の前部に限らない。例えば、右壁159及び左壁103は、フレーム141の後部に設けられていてもよい。また、例えば、右壁159がフレーム141の前部に設けられており、左壁103がフレーム141の後部に設けられていてもよい。なお、右壁159及び左壁103が設けられる位置に合わせて、フィルム142、143の位置、及び位置決め壁91の位置が決定される。
【0167】
上記実施形態では、位置決め壁91は、結束部材120に形成されていた。しかし、位置決め壁91は、インクタンク100に形成されていてもよい。
【0168】
例えば、
図15に示されるように、位置決め壁91は、インクタンク100の左壁103の前端部から左方に突出されたリブ160であってもよい。この場合、
図16に示されるように、所定のインクタンク100のリブ160の突出先端は、当該所定のインクタンク100の左隣りに配置されたインクタンク100の右壁159と当接している。これにより、各インクタンク100は、左右方向9に位置決めされる。なお、リブ160の位置は左壁103の前端部に限らず、例えば、リブ160は左壁103の後端部に形成されていてもよい。また、例えば、リブ160は、右壁159から右方に突出されていてもよい。
【0169】
なお、インクタンク100にリブ160が形成された構成の場合、結束部材120に設けられた仕切り壁92は、インクタンク100が結束部材120の内部空間127に挿入される過程において、リブ160に衝突しない位置に形成される。例えば、リブ160がインクタンク100の上端部及び下端部に形成された場合、仕切り壁92は結束部材120の上下方向7の中央部に形成される。もちろん、インクタンク100にリブ160が形成された構成の場合に、結束部材120に仕切り壁92が形成されていなくてもよい。
【0170】
上記実施形態では、突出部167は後壁110の下部に配置されていたが、突出部167は後壁110の下部以外、例えば前壁101の下部に配置されていてもよい。この場合、光学センサ168の配置位置は、突出部167の配置位置に基づいて変更されることは言うまでもない。
【0171】
上記実施形態では、光学センサ168及び突出部167によって、インク室111に貯留されたインクの液面の高さが検知された。しかし、当該検知の手段は、光学センサ168及び突出部167によるものに限らない。
【0172】
例えば、インク室111の内部にプリズムが配置されており、プリズムに照射された光の受光状態を光学センサ168で検知することによって、インク室111に貯留されたインクの液面の高さが検知されてもよい。また、例えば、インク室111の内部にインクの液面の高さに応じて回動する回動部材が配置されており、回動部材に照射された光の受光状態を光学センサ168で検知することによってインク室111に貯留されたインクの液面の高さが検知されてもよい。また、例えば、インク室111の内部に下端の高さが異なる2本の電極が配置されており、この2本の電極間がインクで満たされて場合に電極を流れる電流の有無によってインク室111に貯留されたインクの液面の高さが検知されてもよい。
【0173】
上記実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等が、液体の一例であってもよい。