(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記検知部が上記被検知部の状態変化を検知してからのドットカウント値が所定値以上となったことを条件として、上記記録部を制御して、液体の上記ノズルからの吐出を停止する制御部を備え、
上記第2貯留室のうち、上記壁部よりも上記液体流入口の側の空間であり且つ上下方向において上記液体流入口の下端と上記壁部の上端との間の空間の容積は、上記第2貯留室のうち、上下方向において上記液体流入口の下端よりも下方の空間であり且つ上記制御部によって上記ノズルからの吐出が停止されたときの上記第2貯留室に貯留された液体の液面よりも上方の空間の容積よりも大きい請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、複合機10が使用可能に水平面に設置された姿勢(
図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義される。複合機10の開口13が設けられている面を前面14Aとして前後方向8が定義される。複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
【0023】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(画像記録装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(
図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、前面14Aに開口13が形成された筐体14を有している。また、筐体14の前面14Aには、各種情報を表示するディスプレイ200が設けられている。
【0024】
図2に示されるように、筐体14の内部には、給送ローラ23と、給送トレイ15と、排出トレイ16と、搬送ローラ対25と、記録部24と、排出ローラ対27と、プラテン26と、カートリッジ装着部110(
図1(B)参照)と、が配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0025】
[給送トレイ15、排出トレイ16、給送ローラ23]
図1に示されるように、給送トレイ15は、開口13を通じて前後方向8に沿ってユーザによって複合機10に対して挿抜される。開口13は、筐体14の前面14Aにおける左右方向9の中央部に位置する。
図2に示されるように、給送トレイ15は、積層された複数の用紙12を支持可能である。
【0026】
排出トレイ16は、給送トレイ15の上方に配置されている。排出トレイ16は、排出ローラ対27によって排出された用紙12を支持する。
【0027】
給送ローラ23は、給送トレイ15に支持された用紙12を搬送路17へ給送する。給送ローラ23は、給送用モータ172(
図13参照)によって駆動される。
【0028】
[搬送路17]
図2に示されるように、搬送路17は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送路17は、給送トレイ15の後端部から後方に延びる経路である。搬送路17は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン26との間の空間を経て排出トレイ16に至る経路である。搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間における搬送路17は、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送路17内における用紙12の搬送向きは、
図2において一点鎖線の矢印で示されている。
【0029】
[搬送ローラ対25]
図2に示されるように、搬送ローラ対25は、搬送路17に配置されている。搬送ローラ対25は、互いに対向する搬送ローラ25A及びピンチローラ25Bを有する。搬送ローラ25Aは、搬送用モータ171(
図13参照)によって駆動される。ピンチローラ25Bは、搬送ローラ25Aの回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータ171の正転によって正回転する搬送ローラ25A及びピンチローラ25Bに挟持されて搬送向き(前向き)に搬送される。
【0030】
[排出ローラ対27]
図2に示されるように、排出ローラ対27は、搬送路17における搬送ローラ対25より搬送向きの下流に配置されている。排出ローラ対27は、互いに対向する排出ローラ27A及び拍車27Bを有する。排出ローラ27Aは、搬送用モータ171(
図13参照)によって駆動される。拍車27Bは、排出ローラ27Aの回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送用モータ171の正転によって正回転する排出ローラ27A及び拍車27Bに挟持されて搬送向き(前向き)に搬送される。
【0031】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送路17における搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間に配置されている。記録部24は、搬送路17を挟んでプラテン26と上下方向7に対向配置されている。記録部24は搬送路17の上方に位置し、プラテン26は搬送路17の下方に位置している。記録部24は、キャリッジ22と、記録ヘッド21とを備えている。
【0032】
図3に示されるように、キャリッジ22は、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール82、83に支持されている。ガイドレール82、83は、プリンタ部11のフレーム(不図示)に支持されている。キャリッジ22は、ガイドレール83に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジ駆動用モータ173(
図13参照)によって駆動される。ベルト機構に連結されたキャリッジ22は、キャリッジ駆動用モータ173の駆動によって左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ22の移動領域は、
図3の一点鎖線で示されるように、搬送路17より右方及び左方にまで及ぶ。
【0033】
キャリッジ22からは、インクチューブ20とフレキシブルフラットケーブル84とが延出されている。
【0034】
インクチューブ20は、カートリッジ装着部110と記録ヘッド21とを接続するものである。インクチューブ20は、カートリッジ装着部110に装着された各インクカートリッジ30(カートリッジの一例)に貯留されたインク(液体の一例)を記録ヘッド21に供給する。本実施形態において、カートリッジ装着部110には、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ30B、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30M、シアンのインクが貯留されたインクカートリッジ30C、イエローのインクが貯留されたインクカートリッジ30Yが装着される。なお、これらの4つを総称してインクカートリッジ30と記す。インクは、インクチューブ20の内部空間を流通する。各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ20が、インクカートリッジ30B、30M、30C、30Yに対応して設けられており、これらが束ねられた状態でキャリッジ22に搭載された記録ヘッド21に接続されている。
【0035】
フレキシブルフラットケーブル84は、制御部130(
図13参照)と記録ヘッド21とを電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル84は、制御部130から出力される制御信号を記録ヘッド21に伝達する。
【0036】
図2に示されるように、キャリッジ22は、記録ヘッド21を搭載している。記録ヘッド21は、下面に配置された複数のノズル29と、記録ヘッド21内に形成されたインク流路の一部を変形させることでノズル29からインク滴を吐出させる圧電素子56(
図13参照)とを備えている。圧電素子56は、後述するように、制御部130により給電されることで動作する。
【0037】
記録部24は、制御部130によって制御される。キャリッジ22が左右方向9へ移動しているときに、記録ヘッド21は、ノズル29からインク滴を搬送路17へ向けて吐出する。これにより、つまりプラテン26に支持されている用紙12に画像が記録される。また、これにより、各インクカートリッジ30に貯留されたインクが消費される。
【0038】
[プラテン26]
図2に示されるように、プラテン26は、搬送路17における搬送ローラ対25及び排出ローラ対27の間に配置されている。プラテン26は、搬送路17を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン26は、搬送ローラ対25によって搬送される用紙12を下方から支持する。
【0039】
[カバー87]
図1(B)に示されるように、筐体14の前面14Aの右部に、開口85が形成されている。開口85の後方には、カートリッジ装着部110を収容可能な収容空間86が形成されている。筐体14には、カバー87が、開口85を覆うようにして取り付けられている。カバー87は、開口85を閉塞する閉塞位置(
図1(A)に示される位置)と、開口85を開放する開放位置(
図1(B)に示される位置)との間を、左右方向9に延びる回動軸線87A(回動中心)周りに回動可能である。
【0040】
[カートリッジ装着部110]
図1(B)に示されるように、カートリッジ装着部110は、筐体14の右前部に位置している。
図3に示されるように、カートリッジ装着部110は、記録ヘッド21よりも前方に位置している。また、カートリッジ装着部110は、搬送路17よりも右方に位置している。
【0041】
図4〜
図6に示されるように、カートリッジ装着部110は、カートリッジケース101と、接点106と、ロッド125と、装着センサ113と、ロックシャフト145と、タンク103と、液面センサ55(検知部の一例)とを備えている。
【0042】
カートリッジケース101には、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクが貯留された4つのインクカートリッジ30が収容可能である。インクカートリッジ30は、後方へ移動することによってカートリッジケース101に装着され、前方へ移動することによってカートリッジケース101から脱抜される。接点106、ロッド125、装着センサ113、ロックシャフト145、タンク103、及び液面センサ55は、4つのインクカートリッジ30それぞれに対応して、4つずつ設けられている。なお、カートリッジ装着部110に収容可能なインクカートリッジ30の数は、4つに限らない。
【0043】
4つの接点106、4つのロッド125、4つの装着センサ113、4つのロックシャフト145、及び4つの液面センサ55は、それぞれ同構成である。そのため、後述する各部の説明では、1つの接点106、1つのロッド125、1つの装着センサ113、1つのロックシャフト145、及び1つの液面センサ55の構成のみが説明され、残りの3つについての説明は省略される。
【0044】
また、4つのタンク103の各々には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの何れか一色のインクが貯留される。以下の説明において、4つのタンクを総称してタンク103と記し、ブラックのインクが貯留されるタンクをタンク103Bと記し、マゼンタのインクが貯留されるタンクをタンク103Mと記し、シアンのインクが貯留されるタンクをタンク103Cと記し、イエローのインクが貯留されるタンクをタンク103Yと記す。
【0045】
[カートリッジケース101]
図4〜
図6に示されるように、カートリッジケース101は、内部空間を有する箱形状である。カートリッジケース101の内部空間は、上端を画定する天壁141と、下端を画定する底壁142と、前後方向8の後端を画定する奥壁143と、左右方向9の両端を画定する一対の側壁144、146とで画定される。一方、前後方向8において奥壁143と対向するカートリッジケース101の前端は、カートリッジケース101の内部空間を露出させる開口112となっている。開口112は、カバー87(
図1参照)が開放位置に位置するときに、筐体14の開口85を通じて複合機10の外部に露出される。
【0046】
筐体14の開口85及びカートリッジ装着部110の開口112を通じて、インクカートリッジ30がカートリッジケース101へ挿抜される。インクカートリッジ30は、カートリッジケース101の底面に設けられたガイド溝109に、インクカートリッジ30の下端部が挿入されることによって、前後方向8へ案内される。
図4(A)に示されるように、カートリッジケース101には、内部空間を上下方向7に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート104が設けられている。プレート104によって仕切り分けられた各空間それぞれに、4つのインクカートリッジ30が左右方向9に並んで収容される。
【0047】
なお、
図4(A)には、4つのインクカートリッジ30のうち、インクカートリッジ30Yのみが、カートリッジ装着部110に装着された状態が示されている。
図4(B)には、4つのインクカートリッジ30のうち、インクカートリッジ30Y、30Bのみが、カートリッジ装着部110に装着された状態が示されている。
【0048】
[接点106]
図6に示されるように、カートリッジケース101の天壁141の下面には接点106が設けられている。接点106は、天壁141の下面からカートリッジケース101の内部空間へ向けて下方に突出している。各図には詳細に示されていないが、接点106は、左右方向9に離れて配置された4個で構成されている。4個で構成された接点106は、カートリッジケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して、4つ設けられている。4個の接点106の配置は、後述されるインクカートリッジ30の4つの電極65の配置に対応している。接点106は、導電性及び弾性を有する部材で構成されており、上方へ弾性的に変形可能である。なお、接点106の個数及び電極65の個数は任意である。
【0049】
接点106は、電気回路を介して制御部130(
図9参照)に電気的に接続されている。接点106と対応する電極65とが係合して電気的に導通されることによって、電圧が電極65に印加されたり、電極65がアースされたり、電極65に電力が供給されたりする。接点106と対応する電極65との電気的に導通により、インクカートリッジ30のICに格納されたデータにアクセス可能となる。電気回路からの出力は制御部130に入力される。
【0050】
[ロッド125]
図6に示されるように、カートリッジケース101の奥壁143におけるインクニードル102(ニードルの一例)より上方に、ロッド125が形成されている。ロッド125は、カートリッジケース101の奥壁143から前方へ突出している。ロッド125は、円筒形状である。ロッド125は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、つまりインクカートリッジ30が装着位置に位置する状態において、後述する大気連通口96へ挿入される。
【0051】
[装着センサ113]
図6に示されるように、カートリッジケース101の天壁141の下面には、装着センサ113が配置されている。装着センサ113は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されているか否かを検知するものである。装着センサ113は、ロッド125よりも前方且つ接点106よりも後方に位置している。本実施形態において、装着センサ113は、発光部及び受光部を備える。発光部は、受光部よりも右方または左方に、受光部と間隔を空けて設けられている。カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の後述する遮光板67は、発光部及び受光部の間に配置される。換言すれば、発光部及び受光部は、カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の遮光板67を挟んで対向配置されている。
【0052】
装着センサ113は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、装着センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号を制御部130(
図13参照)へ出力する。一方、装着センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号を制御部130(
図13参照)へ出力する。
【0053】
[ロックシャフト145]
図6に示されるように、ロックシャフト145が、カートリッジケース101の天壁141付近且つ開口112付近において、カートリッジケース101の左右方向9に延出されている。ロックシャフト145は、左右方向9に沿って延びる棒状の部材である。ロックシャフト145は、例えば、金属の円柱である。ロックシャフト145の左右方向9の両端は、カートリッジケース101の左右方向9の両端を確定している壁に固定されている。ロックシャフト145は、4つのインクカートリッジ30が収納可能な4つの空間に渡って左右方向9に延びている。
【0054】
ロックシャフト145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着位置に保持するためのものである。インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に装着された状態で、ロックシャフト145に係合される。これにより、ロックシャフト145は、インクカートリッジ30のコイルバネ78,98がインクカートリッジ30を前方へ押す力に抗してインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110内に保持する。
【0055】
[タンク103]
図5及び
図7に示されるように、カートリッジ装着部110は、4つのタンク103B、103M、103C、103Yを備えている。4つのタンク103B、103M、103C、103Yは、左右方向9に並んで配置されている。各タンク103B、103M、103C、103Yは、各色のインクカートリッジ30に対応している。つまり、各色のインクカートリッジ30に貯留されたインクは、それぞれ対応するタンク103B、103M、103C、103Yへ流通可能である。
【0056】
図6に示されるように、タンク103は、カートリッジケース101の奥壁143より後方に位置している。
図5に示されるように、各タンク103B、103M、103C、103Yは、箱形状である。
【0057】
図5〜
図7に示されるように、各タンク103B、103M、103C、103Yは、内部に後述する貯留室160(第2貯留室の一例)を有する箱形状の本体と、接続部107とを備えている。
図6及び
図7に示されるように、本体は、上壁161と、前壁162と、下壁163と、後壁164と、一対の側壁165、166と、凸部120を構成する上壁120B及び前壁120Cとで構成されている。
【0058】
図6に示されるように、上壁161は、第1上壁161Aと、第2上壁161Bとで構成される。第1上壁161Aは、第2上壁161Bよりも上方に位置する。
【0059】
前壁162は、第1前壁162Aと、第2前壁162Bと、第3前壁162Cとで構成される。第1前壁162Aは、第2前壁162Bよりも前方に位置する。第3前壁162Cは、第1前壁162Aよりも前方に位置する。
【0060】
下壁163は、第1下壁163Aと、第2下壁163Bとで構成される。第1下壁163Aは、第2下壁163Bよりも上方に位置する。
【0061】
第1前壁162Aは、第1上壁161Aの前端部から下方へ延びている。第1下壁163Aは、第1前壁162Aの下端部から後方へ延びている。第2前壁162Bは、第1下壁163Aの後端部から下方へ延びている。上壁120Bは、第2前壁162Bの下端部から前方へ延びている。前壁120Cは、上壁120Bの前端部から下方へ延びている。第2上壁161Bは、前壁120Cの下端部から前方へ延びている。第3前壁162Cは、第2上壁161Bの前端部から下方へ延びている。第2下壁163Bは、第3前壁162Cの下端部から後方へ延びている。
【0062】
図7に示されるように、側壁165は、各タンク103B、103M、103C、103Yに対応する上壁161、前壁162、及び下壁163の右端部と繋がっている。側壁166は、各タンク103B、103M、103C、103Yに対応する上壁161、前壁162、及び下壁163の左端部と繋がっている。
【0063】
後壁164は、第1上壁161A、第2下壁163B、及び側壁165、166の後端面に溶着されるフィルムである。なお、
図5においては、後壁164(フィルム)が省略されている。本実施形態では、後壁164がフィルムであるが、後壁164以外の壁がフィルムであってもよい。また、後壁164がフィルムでなく樹脂壁であってもよい。
【0064】
図6に示されるように、接続部107は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34(供給部の一例)と接続される。これにより、接続部107は、インクカートリッジ30におけるインクが貯留される貯留室57と連通される。その結果、インクカートリッジ30に貯留されたインクが、接続部107を介して貯留室160へ流通可能となる。つまり、貯留室160は、接続部107に接続されたインク供給部34から供給されたインクを貯留する。接続部107及び貯留室160の構成の詳細については、後述される。
【0065】
[接続部107]
接続部107は、各タンク103に設けられている。各接続部107の構成は共通である。よって、以下では、4つの接続部107のうち1つの接続部107の構成が説明され、残り3つの接続部107の構成の説明は省略される。
図4(A)に示されるように、接続部107は、中空のインクニードル102と、ガイド部105とを備えている。
【0066】
図4(A)に示されるように、インクニードル102は、管状の樹脂からなり、カートリッジケース101の奥壁143の下部に位置している。インクニードル102は、カートリッジケース101の奥壁143において、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34に対応する位置に配置されている。インクニードル102は、カートリッジケース101の奥壁143から前方へ突出している。
【0067】
ガイド部105は、インクニードル102の周囲に配置されており、円筒形状である。ガイド部105は、カートリッジケース101の奥壁143から前方へ突出し、その突出端(前端)が開放されている。インクニードル102は、ガイド部105の中心に配置されている。ガイド部105は、インクカートリッジのインク供給部34が内方に進入する形状である。
【0068】
接続部107は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されていない状態において、インクカートリッジ30のインク供給部34と非接続である。一方、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入される過程において、つまりインクカートリッジ30が装着位置(
図6に示される位置)へ移動する過程において、インクカートリッジ30のインク供給部34がガイド部105に進入する。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の奥へ向けて挿入されると、
図6に示されるように、インクニードル102が、前後方向8に沿って、インク供給部34に形成されたインク供給口71(開口の一例)に挿入される。これにより、接続部107とインク供給部34とは接続される。そして、インクカートリッジ30の内部に形成された貯留室33に貯留されたインクは、インク供給部34の内部に形成されたインクバルブ室35及びインクニードル102の内部空間を通じてタンク103に流出される。なお、インクニードル102の先端は、平坦であってもよく、尖っていてもよい。
【0069】
インクニードル102の内部空間117には、バルブ114及びコイルバネ115が収容されている。バルブ114は、前後方向8に沿って移動することにより、インクニードル102の突出先端部に形成された開口116を開閉する。つまり、バルブ114は、インクニードル102の内部空間117を開閉する。コイルバネ115はバルブ114を前方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態(インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されていない状態)において、バルブ114は開口116を閉じている。また、外力が付与されていない状態において、コイルバネ115に付勢されたバルブ114の前端部は、開口116よりも前方へ突出している。接続部107とインク供給部34とが接続される過程において、バルブ114が開口116を開く。バルブ114が開口116を開く動作については、後述される。
【0070】
[貯留室160の概略]
本実施形態において、複合機10は、各タンク103B、103M、103C、103Yに対応する4つの貯留室160B、160M、160C、160Yを備えている。
【0071】
以下の説明において、4つの貯留室を総称して貯留室160と記す。また、タンク103Bが備えている貯留室、つまりブラックのインクが貯留される貯留室を貯留室160Bと記し、タンク103Mが備えている貯留室、つまりマゼンタのインクが貯留される貯留室を貯留室160Mと記し、タンク103Cが備えている貯留室、つまりシアンのインクが貯留される貯留室を貯留室160Cと記し、タンク103Yが備えている貯留室、つまりイエローのインクが貯留される貯留室を貯留室160Yと記す。
【0072】
3つの貯留室160M、160C、160Yの構成は、概ね共通する。一方、貯留室160Bの構成は、3つの貯留室160M、160C、160Yとは異なる。よって、最初に、3つの貯留室160M、160C、160Yの構成が説明され、次に、貯留室160Bの構成が説明される。
【0073】
なお、本実施形態では、貯留室160M、160C、160Yの構成は概ね共通しており、貯留室160Bの構成は貯留室160M、160C、160Yと異なっているが、各貯留室160Bの構成の相違は前述したような相違に限らない。例えば、貯留室160M、160C、160Yの構成が、貯留室160Bの構成と同じであってもよい。また、例えば、貯留室160Bの構成が、貯留室160M、160C、160Yの構成と同じであってもよい。また、例えば、貯留室160Mの構成が貯留室160Bの構成と同じである一方、貯留室160C、160Yの構成が貯留室160Bの構成と異なっていてもよい。
【0074】
[貯留室160M、160C、160Y]
貯留室160M、160C、160Yの構成は共通するため、以下では、3つの貯留室160M、160C、160Yのうちの1つの貯留室160Yの構成が説明され、残り2つの貯留室160M、160Cの構成は必要に応じて説明される。
【0075】
図5〜
図7に示されるように、貯留室160Yは、バッファ空間180と、第1空間181と、第2空間182とで構成されている。
【0076】
バッファ空間180は、第1上壁161A、第1前壁162A、第1下壁163A、後壁164、及び側壁165、166によって区画されている。
【0077】
第1空間181は、第2上壁161B、第3前壁162C、第2下壁163B、後壁164、及び側壁165、166によって区画されている。
【0078】
第2空間182は、第2前壁162B、後壁164、及び側壁165、166によって区画されている。
【0079】
図7に示されるように、貯留室160Yの第1空間181の右端の下部は、右隣りの貯留室160Cの左端を区画する側壁166によって区画され、貯留室160Yの第1空間181の右端の下部以外は、側壁165によって区画されている。貯留室160Yのバッファ空間180及び第2空間182の右端は、側壁165によって区画されている。
【0080】
バッファ空間180は、第2空間182よりも上方に位置する。第1空間181は、第2空間182よりも下方に位置する。第2空間182の上端は、バッファ空間180と連通している。第2空間182の下端は、第1空間181と連通している。つまり、第2空間182は、バッファ空間180と第1空間181とを繋いでいる。
【0081】
第2空間182の上端は、バッファ空間180の右端部と連通している。第2空間182の下端は、第1空間181の右端部と連通している。
【0082】
図6に示されるように、第2空間182の上端は、バッファ空間180の後端部と連通している。第2空間182の下端は、第1空間181の後端部と連通している。
【0083】
第1空間181の上方であって第2空間182の前方には、凸部120が形成されている。凸部120は、左右方向9を向く側壁が透光部材によって形成されている。凸部120の内部空間は、第1空間181及び第2空間182と連続している。凸部120の内部空間は、貯留室160Yの一部を構成している。凸部120の内部空間には、後述する回動部材50のアーム53及び被検知部54が位置する。なお、凸部120は、第1空間181または第2空間182の一方のみと連続していてもよい。
【0084】
第3前壁162Cに、連通口184(液体流入口の一例)が形成されている。連通口184は、第1空間181と接続されている。第1空間181は、連通口184を介して接続部107のインクニードル102の内部空間と連通している。これにより、インクニードル102を通じてインクカートリッジ30Yから流出したインクが貯留室160Yに流入して貯留室160Yに貯留される。
【0085】
連通口184と同じ高さが液面となる量のインクが貯留室160Yに貯留されている状態において、バッファ空間180は、当該液面よりも上方に位置する。本実施形態において、連通口184と同じ高さが液面となるとは、インクニードル102の軸中心(換言すると連通口184の中心)と同じ高さが液面となるということであり、インク供給口71の中心と同じ高さが液面となるということである。具体的には、
図6に一点鎖線で示される位置P1が液面となるということである。
【0086】
なお、連通口184と同じ高さが液面となることは、位置P1が液面となるということに限らない。例えば、連通口184と同じ高さが液面となるとは、連通口184の上端や下端と同じ高さが液面となるということであってもよい。
【0087】
図7に示されるように、貯留室160Yは、連通口128(液体流出口の一例)を介して、インク流路126と連通している。本実施形態では、第1空間181が連通口128を介してインク流路126と連通している。連通口128は、第1空間181の右端の下部を区画する側壁166の左面166Aの下端部に形成されている。
【0088】
また、連通口128は、接続部107の連通口184よりも下方に形成されている。
【0089】
また、
図6に示されるように、連通口128は、第1空間181の前端部と接続されている。つまり、連通口128は、側壁166の前端部に形成されている。
【0090】
図5に示されるように、インク流路126は、タンク103の後端部から上方へ延びてインク流出ポート127と連続している。インク流出ポート127には、インクチューブ20が接続されている。これにより、貯留室160Yに貯留されたインクが、連通口128から流出して、インク流路126及びインクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ供給される。
【0091】
バッファ空間180は、タンク103の上部に設けられた大気連通ポート124(
図4参照)と連通している。バッファ空間180と大気連通ポート124とは、第1前壁162Aに形成された貫通孔119(
図6参照)を通じて連通している。貫通孔119は半透膜118によって封止されている。大気連通ポート124、貫通孔119、半透膜118、及び大気連通ポート124と貫通孔119とを繋ぐ大気流路147(
図5参照)は、第2大気連通部の一例である。大気連通ポート124は、外部へ開口している。これにより、貯留室160Yは、大気開放されている。つまり、大気連通ポート124は、貯留室160Yを大気に連通させる。なお、大気連通ポート124は、後述するインクカートリッジ30に設けられた大気連通口96とは異なる経路で、貯留室160Yを大気に連通させている。
【0092】
本実施形態では、大気流路147は、2つ設けられている。大気流路147の一方は、貯留室160Bの大気連通ポート124と貫通孔119とを繋いでいる。大気流路147の他方は、貯留室160M、160C、160Yの各大気連通ポート124と貫通孔119とを繋いでいる。なお、大気流路147の構成は、前述した構成に限らない。例えば、大気流路147は1つのみ設けられており、この1つの大気流路147が、貯留室160B、160M、160C、160Yの各大気連通ポート124と貫通孔119とを繋いでいてもよい。
【0093】
[貯留室160B]
以下では、貯留室160Bの構成が説明される。なお、貯留室160Bの構成に説明において、貯留室160M、160C、160Yと共通する構成については、その詳細な説明が省略される。
【0094】
図5及び
図7に示されるように、貯留室160Bには、内壁167(壁部の一例)が形成されている。内壁167は、上下方向7及び左右方向9に拡がる壁である。内壁167は、左右方向9において、側壁165、166の間に形成されている。内壁167の前端は、前壁162と繋がっている。内壁167の後端は、後壁164と繋がっている。換言すると、内壁167の後端面には、フィルムである後壁164が溶着されている。なお、本実施形態において、内壁167は、上下方向7に沿って真っ直ぐ延びているが、真っ直ぐに延びている必要はない。例えば、内壁167は、上下方向7に対して傾斜しつつ延びていてもよい。
【0095】
貯留室160Bは、貯留室160M、160C、160Yを構成する3つの空間(バッファ空間180、第1空間181、及び第2空間182)に加えて、第3空間183を備えている。つまり、貯留室160Bは、バッファ空間180と、第1空間181と、第2空間182と、第3空間183とで構成されている。
【0096】
第2空間182は、第2前壁162B、後壁164、側壁165、及び内壁167によって区画されている。
【0097】
第3空間183は、第2前壁162B、後壁164、内壁167、及び側壁166によって区画されている。第3空間183は、バッファ空間180よりも下方に位置し且つ第1空間181よりも上方に位置する。第3空間183の上端は、バッファ空間180と連通している。第3空間183の下端は、第1空間181と連通している。
【0098】
第3空間183の上端は、バッファ空間180の後端部と連通している。第3空間183の下端は、第1空間181の後端部と連通している。
図7に示されるように、第3空間183の上端は、バッファ空間180の左端部と連通している。第3空間183の下端は、第1空間181の左端部と連通している。
【0099】
第3空間183は、第2空間182よりも左方に位置する。第3空間183は、内壁167によって第2空間182と隔てられている。つまり、第3空間183は、第2空間182と連通していない。以上より、第3空間183は、第2空間182よりも左方においてバッファ空間180と第1空間181とを繋いでいる。
【0100】
内壁167は、貯留室160Bを左右方向9に分けている。貯留室160Bにおける内壁167の右方には、後述する回動部材50が配置されている。貯留室160Bにおける内壁167の左方において、貯留室160Bは、連通口184を通じて接続部107と接続されている。つまり、内壁167は、貯留室160Bにおける接続部107と回動部材50との間の空間を区画している。
【0101】
内壁167は、貯留室160Bの上端部から下端部に亘って形成されている。つまり、内壁167は、バッファ空間180から第1空間181に亘って形成されている。これにより、バッファ空間180は、左右方向9に2つの空間に分けられている。また、第1空間181は、左右方向9に2つの空間に分けられている。内壁167の上端部には、隙間167Aが形成されている。これにより、2つに分けられたバッファ空間180は、互いに隙間167Aを介して連通している。また、内壁167の下端部には、隙間167Bが形成されている。これにより、2つに分けられた第1空間181は、互いに隙間167Bを介して連通している。
【0102】
なお、内壁167は、連通口184及び後述する回動部材50の被検知部54よりも上方の位置から、連通口184及び被検知部54の下方の位置に亘って形成されていればよい。つまり、内壁167は、必ずしも貯留室160Bの上端部から下端部に亘って形成されている必要はない。例えば、内壁167の上端は、
図7に示されているよりも下方に位置していてもよい。
【0103】
図7に示されるように、連通口128は、貯留室160Bにおける内壁167の右方に形成されている。また、連通口128は、隙間167Bよりも下方に形成されている。なお、連通口128は、貯留室160Bにおける内壁167の左方に形成されていてもよい。また、連通口128は、上下方向7における隙間167Bと同じ位置に形成されていてもよい。また、連通口128は、隙間167Bよりも上方に形成されていてもよい。
【0104】
[回動部材50]
図6に示されるように、回動部材50が、各タンク103の貯留室160内に配置されている。回動部材50は、貯留室160内に配置された支持部材185によって、矢印58、59の向きに回動可能に支持されている。なお、回動部材50は、支持部材185以外に支持されていてもよい。例えば、回動部材50は、貯留室160を区画するカートリッジケース101の壁によって支持されていてもよい。
【0105】
回動部材50は、フロート51と、軸52と、アーム53と、被検知部54とを備えている。フロート51は、回動部材50の下部に位置する。フロート51は、貯留室160に貯留されたインクよりも比重が小さい材料によって形成されている。軸52は、フロート51の右面及び左面から左右方向9に沿って突出している。軸52は、支持部材185の右壁186及び左壁187に形成された孔191に挿入されている。これにより、回動部材50は、軸52を中心として回動可能に支持部材185によって支持される。軸52は、接続部107の連通口184よりも下方に位置している。また、軸52は、連通口128よりも上方に位置している。フロート51及び軸52は、第1空間181に位置する。
【0106】
アーム53は、フロート51から略上方へ突出している。被検知部54は、アーム53の突出先端部に形成されている。つまり、被検知部54は、回動部材50の回動先端部に形成されている。アーム53の一部及び被検知部54は、凸部120の内部空間120Aに位置する。被検知部54は、接続部107の連通口184よりも上方に位置する。被検知部54は、上下方向7及び前後方向8に延びた板状に構成されている。被検知部54は、後述する液面センサ55の発光部55Aから出力された光を遮光する材料によって形成されている。
【0107】
貯留室160に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P1より上方の位置であるとき、換言すると、インクカートリッジ30の貯留室33に貯留されたインクの液面が上下方向7においてインク供給部34の位置P1より上方であるとき、回動部材50は、フロート51に働く浮力によって、矢印58の向きに回動する。これにより、回動部材50は、
図6に実線で示される検知位置に位置する。
【0108】
一方、貯留室160及びインクバルブ室35に貯留されたインクが消費されることでインクの液面が下がり、上下方向7において位置P1となると、回動部材50は、液面に追随して矢印59の向きに回動する。これにより、回動部材50は、
図6に破線で示される非検知位置に位置する。つまり、回動部材50は、貯留室160に貯留されたインクの液面の高さが上下方向7において接続部107の連通口184と同じ位置になったことを条件として状態変化する。
【0109】
[液面センサ55]
液面センサ55(
図6参照)は、被検知部54を備えた回動部材50の状態変化を検知するものである。本実施形態において、液面センサ55は、基板60に実装された発光部及び受光部を備える。発光部及び受光部は、左右方向9に間隔を空けて、タンク103の凸部120を挟むように配置されている。発光部は、凸部120の右方または左方の一方に配置されており、受光部は、凸部120の右方または左方の他方に配置されている。発光部から出力される光の光路は、左右方向9に一致する。発光部と受光部との間には、検知位置の回動部材50の被検知部54が位置する。
【0110】
液面センサ55は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる検知信号を出力する。例えば、液面センサ55は、発光部から出力された光が受光部で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号(「信号レベルが閾値レベル未満の信号」を指す。)を制御部130(
図13参照)へ出力する。一方、液面センサ55は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号(「信号レベルが閾値レベル以上の信号」を指す。)を制御部130へ出力する。
【0111】
検知位置の被検知部54は、発光部と受光部との間に位置する。よって、タンク103の貯留室160に貯留されたインクの液面(換言すると、インクカートリッジ30の貯留室33に貯留されたインクの液面)が上下方向7において位置P1より上方の位置であるとき、発光部から出力された光が受光部で受光できないため、液面センサ55は、ローレベル信号を制御部130へ出力する。一方、非検知位置の被検知部54は、発光部と受光部との間から退避した位置にある。よって、貯留室160に貯留されたインクの液面(換言すると、インクカートリッジ30の貯留室33に貯留されたインクの液面)が上下方向7において位置P1以下の位置であるとき、発光部から出力された光が受光部で受光できるため、液面センサ55は、ハイレベル信号を制御部130へ出力する。
【0112】
[インクカートリッジ30]
図6及び
図8に示されるインクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。
図6及び
図8に示されているインクカートリッジ30の姿勢は、使用姿勢である。
【0113】
図8に示されるインクカートリッジ30は、イエローのインクが貯留されたものである。シアン、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30は、後述する切欠き66の有無や位置を除いて、イエローのインクが貯留されたインクカートリッジ30と同構成である。ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ30は、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30よりも左右方向9の長さが長いこと、及び切欠き66の有無や位置を除いて、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されたインクカートリッジ30と同構成である。よって、以下では、イエローのインクが貯留されたインクカートリッジ30の構成が説明され、シアン、マゼンタ、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ30の構成の説明は省略される。
【0114】
図6及び
図8に示されるように、インクカートリッジ30は、略直方体形状の筐体31を有する。筐体31は、後壁40と、段差壁49と、段差壁95と、前壁41と、上壁39と、サブ上壁91と、下壁42と、サブ下壁48と、右側壁37と、左側壁38とで構成されている。
【0115】
筐体31は、全体として、左右方向9に沿った寸法が細く、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。筐体31において、少なくとも前壁41が、貯留室32及び貯留室33に貯留されたインクの液面を外部から視認可能な透光性を有するものである。
【0116】
サブ下壁48は、下壁42より上方に位置しており、後壁40の下端と連続して前方へ延びている。本実施形態において、サブ下壁48の後端はインク供給部34の後端よりも後方に位置し、サブ下壁48の前端は、インク供給部34の後端より前方に位置する。下壁42とサブ下壁48とは段差壁49によって連続している。インク供給部34は、サブ下壁48の下方、且つ下壁42の上方において、段差壁49から後方へ延びている。なお、サブ下壁48の後端の位置は任意であり、例えば、インク供給部34の後端よりも前方に位置していてもよい。
【0117】
上壁39の外面には、上方に突出する凸部43が設けられている。凸部43は、前後方向8に沿って延びている。凸部43において後方を向く面がロック面151である。ロック面151は、上壁39よりも上方に位置している。ロック面151は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態において、ロックシャフト145と前方へ向かって接触し得る面である。ロック面151がロックシャフト145と前方へ向かって接触することにより、インクカートリッジ30がコイルバネ78、98の付勢力に抗してカートリッジ装着部110に保持される。
【0118】
凸部43におけるロック面151の後方に、傾斜面155が形成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程において、ロックシャフト145が傾斜面155に沿って案内される。これにより、ロックシャフト145は、ロック面151と接触する位置へ導かれる。
【0119】
上壁39におけるロック面151の前方に、操作部90が形成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、操作部90の操作面92が下方へ押されると、インクカートリッジ30が回動することでロック面151が下方へ移動する。これにより、ロック面151がロックシャフト145よりも下方に位置する。その結果、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜可能となる。
【0120】
上壁39の外面には、上方に突出する遮光板67が形成されている。遮光板67は、前後方向8に延びている。遮光板67は、凸部43よりも後方に位置している。
【0121】
遮光板67は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、装着センサ113の発光部と受光部との間に位置する。これにより、遮光板67は、左右方向9に進行する装着センサ113の光を遮断する。より詳細には、装着センサ113の発光部から出力された光が受光部に到達するまでの間に遮光板67に当たることによって、受光部に到達する光の強度が所定の強度未満、例えば、ゼロとなる。遮光板67は、光が発光部から受光部に進むのを完全に遮断してもよいし、光を部分的に減衰させてもよいし、光の進行方向を曲げてもよいし、光を全反射させてもよい。
【0122】
本実施形態では、遮光板67には切欠き66が形成されている。切欠き66は、遮光板67の上端から下方へ凹む空間であり、前後方向8に拡がっている。切欠き66が装着センサ113に位置することにより、装着センサ113の発光部から出力された光は、受光部に到達するまでに遮断されない。切欠き66の有無によって、インクカートリッジ30の種別、すなわちインクカートリッジ30が貯留するインクの種類や初期量などが判別可能となる。他方、遮光板67に切欠き66がなければ、遮光板67は、装着状態のインクカートリッジ30において、装着センサ113の発光部と対向する。
【0123】
上壁39の外面であって、前後方向8における遮光板67と凸部43との間には、IC基板64が設けられている。IC基板64は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において接点106と導通する。
【0124】
IC基板64には、シリコンなどで形成された基板に、IC(各図には現れていない)と、4つの電極65が搭載されたものである。4つの電極65は、左右方向9に沿って並んでいる。ICは、半導体集積回路であり、インクカートリッジ30に関する情報、例えば、ロット番号や製造年月日、インク色などの情報を示すデータが読み出し可能に格納されている。また、IC基板64は、可橈性を有するフレキシブル基板にIC及び電極が設けられて構成されてもよい。
【0125】
各電極65はICと電気的に接続されている。各電極65は、それぞれが前後方向8に沿って延出されており、4つの電極65は、左右方向9に離間されて配置されている。各電極65は、IC基板64の上面に電気的にアクセス可能に露出されている。
【0126】
段差壁95は、上壁39の外面のうち後端にあるサブ上壁91の前端から上方へ延びている。段差壁95には、貯留室32を大気に連通させる大気連通口96が形成されている。つまり、大気連通口96は、筐体31の上下方向7の寸法の中心より上方に配置されている。大気連通口96は、段差壁95に形成された略円形の開口であって、カートリッジ装着部110のロッド125の外径より大きな内径を有している。
【0127】
図6に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程において、ロッド125が大気連通口96に進入する。大気連通口96に進入したロッド125は、大気連通口96を封止するバルブ97をコイルバネ98の付勢力に抗して後方へ移動させる。バルブ97が後方へ移動して大気連通口96から離れることにより、貯留室32が大気開放される。なお、大気連通口96を封止する部材は、バルブ97に限定されない。例えば、段差壁95から剥離可能なシールによって大気連通口96が封止されてもよい。
【0128】
図6に示されるように、筐体31の内部に、インクが貯留される貯留室57(第1貯留室の一例)と、大気が流通される大気流路61とが形成されている。貯留室57は、貯留室32、貯留室33、及びインクバルブ室35で構成されている。
【0129】
筐体31は、その内部に、隔壁44と下壁45とを備える。隔壁44及び下壁45は、それぞれが前後方向8及び左右方向9に拡がる壁である。隔壁44と下壁45とは、上下方向7において互いに対向している。
【0130】
貯留室32は、隔壁44の下面により上側が区画され、下壁45及びサブ下壁48の上面により下側が区画される。貯留室32は、後壁40及び段差壁49の内面により後側が区画され、前壁41の内面により前側が区画される。貯留室32は、側壁37,38の各内面により左右両側がそれぞれ区画される。つまり、貯留室32は、隔壁44の下面、下壁45及びサブ下壁48の上面、後壁40及び段差壁49の内面、前壁41の内面、及び側壁37,38の各内面によって区画された空間である。
【0131】
隔壁44は、貯留室32と大気流路61とを隔てている。隔壁44の前端部には、貫通孔46が形成されている。貯留室32と大気流路61とは、貫通孔46によって連通している。
【0132】
下壁45は、段差壁49の内面から前方へ延びている。下壁45は、貯留室57を、下壁45よりも上方の貯留室32と、下壁45よりも下方の貯留室33とに分けている。下壁45の前端部には、隙間45Aが形成されている(
図6参照)。貯留室32と貯留室33とは、隙間45Aによって連通している。
【0133】
図6に示されるように、下壁45は、インク供給口71よりも上方に位置する。
【0134】
貯留室33は、筐体31の内部空間において、使用姿勢における貯留室32の下方に位置してインクを貯留する。貯留室33がインクを貯留可能な容積は、貯留室32がインクを貯留可能な容積より小さい。
【0135】
貯留室33は、下壁45の下面により上側が区画され、下壁42の内面により下側が区画される。貯留室33は、前壁41の内面により前側が区画される。貯留室33は、側壁37、38の各内面により左右両側が区画される。貯留室33とインクバルブ室35との間には隔壁47が形成されている。隔壁47の前面により、貯留室33の後側が区画されている。つまり、貯留室33は、下壁45の下面、下壁42の内面、前壁41の内面、側壁37、38の各内面、及び隔壁47の前面により区画された空間である。貯留室33は、隔壁47に形成された貫通孔99によって、インクバルブ室35と連通している。
【0136】
大気流路61の一端は、貫通孔46を通じて貯留室32と連通している。大気流路61の他端は、大気連通口96を通じて外部と連通している。大気流路61、貫通孔46、及び大気連通口96は、第1大気連通部の一例である。
【0137】
大気流路61の他端部には、大気バルブ室36が形成されている。大気バルブ室36には、バルブ97及びコイルバネ98が収容されている。大気バルブ室36は、大気連通口96によって外部と連通している。バルブ97は、大気連通口96を封止する閉位置と、大気連通口96から離れた開位置に移動可能である。コイルバネ98は、前後方向8に沿って伸縮可能に配置されており、バルブ97を大気連通口96へ当接する方向、すなわち後方へ付勢している。コイルバネ98のバネ定数は、インク供給部34のコイルバネ78のバネ定数よりも小さい。
【0138】
大気バルブ室36を区画する壁93には貫通孔94が形成されている。大気バルブ室36は、貫通孔94を通じて大気流路61の一端側と連通している。貫通孔94は、半透膜80によって封止されている。
【0139】
インク供給部34は、段差壁49から後方へ突出している。つまり、インク供給部34は、段差壁49に形成されている。インク供給部34は、円筒形状の外形をなしている。インク供給部34の内部空間が、インクバルブ室35である。インク供給部34の後端は、インク供給口71によってインクカートリッジ30の外部に開口している。インク供給部34の後端には、シール部材76が設けられている。インク供給部34の前端は、上述したように、貫通孔99によって貯留室33の下端と連通している。つまり、インク供給部34は、貯留室33の下端と連通している。以上より、インク供給口71は、インクバルブ室35を通じて貯留室33と接続されている。
【0140】
インクバルブ室35は、インク供給部34の内面によって区画されている。インク供給部34の内面の下端34Aは、貯留室57の底(最下端)を区画している。一方、タンク103の貯留室160の底(最下端)は、第2下壁163Bによって区画されている。そして、第2下壁163Bは、インク供給部34の内面の下端34Aよりも下方に位置する。
【0141】
インクバルブ室35には、バルブ77及びコイルバネ78が収容されている。バルブ77は、前後方向8に沿って移動することにより、シール部材76の中央に貫通されたインク供給口71を開閉する。コイルバネ78はバルブ77を後方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態において、バルブ77は、シール部材76のインク供給口71を閉じている。
【0142】
シール部材76は、中央に貫通孔が形成された円盤形状の部材である。シール部材76は、例えば、ゴムやエラストマのような弾性材料から形成されている。シール部材76の中央が前後方向8に貫通されて筒状の内周面が形成され、その内周面によりインク供給口71が形成されている。インク供給口71の内径は、インクニードル102の外径より若干小さい。
【0143】
バルブ77がインク供給口71を閉じており、且つバルブ114がインクニードル102の開口116を閉じている状態において、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、当該装着の過程において、インク供給口71にインクニードル102が前後方向8に沿って進入する。つまり、接続部107とインク供給部34とが接続される。このとき、インクニードル102の外周面は、シール部材76を弾性変形しつつ、インク供給口71を画定する内周面に液密に接触する。インクニードル102の先端がシール部材76を通過してインクバルブ室35へ進入すると、バルブ77に当接する。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されることにより、インクニードル102がバルブ77をコイルバネ78の付勢力に抗して後方へ移動させる。これにより、インク供給口71が開かれる。
【0144】
また、インクニードル102の先端がバルブ77に当接する一方で、バルブ77は前方からバルブ114と当接してこれを押す。すると、バルブ114は、コイルバネ115の付勢力に抗して後方へ移動する。これにより、開口116が開かれる。その結果、貯留室32、33、及びインクバルブ室35に貯留されているインクが、インクニードル102の内部空間117を通じて、タンク103の貯留室160へ流通することが可能となる。ここで、貯留室32、33、及びインクバルブ室35と、貯留室160とは、いずれも大気に開放されている。よって、インクカートリッジ30の貯留室32、貯留室33、及びインクバルブ室35に貯留されたインクは、インク供給部34を通じて水頭差によって、タンク103の貯留室160へ供給される。
【0145】
[制御部130]
以下、
図13が参照されて、制御部130の概略構成が説明される。制御部130は、複合機10の全体動作を制御するものである。制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、ASIC135、及びこれらを相互に接続する内部バス137を備えている。
【0146】
ROM132には、CPU131が記録制御を含む各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0147】
ASIC135には、搬送用モータ171、給送用モータ172、及びキャリッジ駆動用モータ173が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが回転する。つまり、制御部130は、各モータ171、172、173を制御する。
【0148】
また、ASIC135には、圧電素子56が接続されている。圧電素子56は、不図示のドライブ回路を介して制御部130により給電されることで動作する。制御部130は、圧電素子56への給電を制御し、複数のノズル29から選択的にインク滴を吐出させる。
【0149】
制御部130は、用紙12に画像を記録する際、搬送用モータ171を制御することによって、搬送ローラ対25及び排出ローラ対27に所定改行分の用紙12の搬送及び停止を交互に繰り返す間欠搬送処理を実行させる。
【0150】
制御部130は、間欠搬送処理において用紙12が停止している間に、吐出処理を実行する。吐出処理は、キャリッジ22を左右方向9に沿って移動させながら、圧電素子56への給電を制御して、ノズル29からインク滴を吐出させる処理である。間欠搬送処理と吐出処理とが繰り返されることにより、用紙12に画像が記録される。
【0151】
また、ASIC135には、装着センサ113から出力される信号が入力される。制御部130は、装着センサ113から入力された信号がローレベルの場合、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されていると判断する。一方、制御部130は、装着センサ113から入力された信号がハイレベルの場合、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されていないと判断する。
【0152】
また、ASIC135には、液面センサ55から出力される信号が入力される。制御部130は、液面センサ55から入力された信号がローレベルの場合、タンク103及びインクカートリッジ30に貯留されたインクの液面が位置P1より上方に位置すると判断する。
【0153】
一方、制御部130は、回動部材50が状態変化したことによって液面センサ55から入力された信号がローレベルからハイレベルに変わると、タンク103及びインクカートリッジ30に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P1に位置すると判断する。
【0154】
このとき、制御部130は、インクカートリッジ30に貯留されているインクが残り少なくなっていること、または、インクカートリッジ30に貯留されているインクがなくなったこと、つまりインクカートリッジ30の交換が必要であることを、ディスプレイ200(
図1参照)に表示したり、LEDを点灯させたり、ブザー音を発したりすることによって、ユーザに報知する。
【0155】
また、制御部130は、液面センサ55からの入力信号がローレベルからハイレベルに変化してから、記録ヘッド21から吐出されたインク滴をドットカウントする。そして、ドットカウント値が所定値以上となったことを条件として、タンク103及びインクカートリッジ30に貯留されたインクの液面が上下方向7において位置P1よりも下方の所定位置であると判断する。なお、上記所定値は、連通口184よりも下方における貯留室160の容積などに基づいて決定される。また、所定位置は、上下方向7における位置P2(
図6及び
図7参照)である。なお、位置P2は、位置P1よりも下方に位置することを条件として、
図6及び
図7に示された位置よりも上方または下方であってもよい。
【0156】
このとき、制御部130は、記録部24を制御することによって、詳細には圧電素子56への給電を停止することによって、ノズル29からのインク滴の吐出を停止する。また、このとき、制御部130は、第2貯留室160に貯留されているインクが残り少なくなっていること、または、第2貯留室160に貯留されているインクがなくなったことを、ディスプレイ200(
図1参照)に表示したり、LEDを点灯させたり、ブザー音を発したりすることによって、ユーザに報知する。
【0157】
ここで、貯留室160において、
図7にハッチングで示される部分である空間192の容積は、
図6及び
図7にハッチングで示される部分である空間193の容積よりも大きい。空間192は、貯留室160のうち、内壁167よりも
左方の空間である。また、空間192は、上下方向7において接続部107の連通口184(本実施形態では位置P1)よりも上方の空間である。また、空間192は、上下方向7において内壁167の上端よりも下方の空間である。つまり、空間192は、上下方向7において位置P1と内壁167の上端との間の空間である。空間193は、上下方向7において接続部107の連通口184(位置P1)よりも下方の空間である。また、空間193は、上下方向7において位置P2よりも上方の空間である。つまり、空間193は、上下方向7において位置P1と位置P2との間の空間である。
【0158】
なお、本実施形態において、制御部130は、液面センサ55からの入力信号がローレベルからハイレベルに変化すると、インクカートリッジ30に貯留されているインクがなくなったのでインクカートリッジ30の交換が必要であることをユーザに報知する。一方、制御部130は、ドットカウント値が所定値となると、上記報知に加えてノズル29からのインク滴の吐出を停止する。
【0159】
制御部130は、4つのインクカートリッジ30の各々について、貯留室33に貯留されたインクの液面の上下方向7の位置を判断する。また、制御部130は、4つのインクカートリッジ30に対応するタンク103の各々について、貯留室160に貯留されたインクの液面の上下方向7の位置を判断する。
【0160】
[本実施形態の作用効果]
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30の貯留室57に貯留されたインクの液面が連通口184と略同じ高さに位置するようになると、貯留室57から貯留室160へ気泡が流入してくる。ここで、貯留室160では、内壁167が連通口184及び被検知部54よりも下方の位置にまで延びている。そのため、貯留室57から流入した気泡は、一旦内壁167よりも下方へ移動して、内壁167の下端部に形成された隙間167Bを通過しない限り、被検知部54に付着することができない。つまり、貯留室57から流入した気泡は、水平移動のみでは被検知部54に到達することができない。そのため、貯留室57から流入した気泡の被検知部54への付着を低減することができる。
【0161】
また、本実施形態によれば、液面センサ55が被検知部54の状態変化を検知したことをトリガとしてインクカートリッジ30の交換をユーザに促しつつ、ドットカウント値が所定値以上となるまでの間、貯留室160に残留されたインクを記録部24へ供給することができる。
【0162】
また、液面センサ55が被検知部54の状態変化を検知してから、ドットカウント値が所定値となるまでの間に、空間193(
図6及び
図7参照)の液体が消費される。一方、液面センサ55が被検知部54の状態変化を検知してから、貯留室57から貯留室160の空間192(
図7参照)へ気泡が流入してくる。ここで、本実施形態では、空間192の容積は、空間193の容積よりも大きい。よって、液面センサ55が被検知部54の状態変化を検知してからドットカウント値が所定値となるまでの間に、空間192へ流入してきた気泡が貯留室160における空間192以外の空間へ到達することはない。つまり、気泡が被検知部54へ到達することを防止できる。
【0163】
また、本実施形態によれば、発光部から受光部への光路に被検知部54が位置するか否かによって、貯留室160に貯留されたインクの液面が上下方向7において連通口184以下に位置するか否かを検知できる。
【0164】
また、本実施形態において、インクニードル102は、細い管状である。よって、貯留室57からインク供給部34を通じてインクニードル102へ進入した気体は、気泡となりやすい。したがって、本実施形態は、気泡の被検知部54への付着を低減する本発明に好適な構成である。
【0165】
また、本実施形態によれば、連通口128が、内壁167の下端部に形成された隙間167Bと同じ高さまたは隙間167Bよりも下方の位置において貯留室160と接続されている。そのため、160貯留室に貯留されたインクの殆どを記録部24へ供給することができる。
【0166】
[変形例]
上記実施形態において、連通口128は、貯留室160の下端部、右端部、且つ前端部に位置していた。しかし、連通口128の位置は、前記に限らない。
【0167】
上記実施形態では、
図6に示されるように、貯留室160において、バッファ空間180及び第1空間181は、第2空間182よりも前方へ突出していた。しかし、貯留室160の形状は、
図6などに示された形状に限らない。例えば、バッファ空間180及び第1空間181が、第2空間182よりも後方へ突出していてもよい。
【0168】
上記実施形態では、装着センサ113及び液面センサ55は、発光部と受光部とを備えた光学センサであった。しかし、装着センサ113及び液面センサ55は、近接センサなどの光学センサとは異なる種類のセンサであってもよい。
【0169】
上記実施形態では、各タンク103の貯留室160に配置された回動部材50の回動によって、貯留室160に貯留されたインクの液面が位置P1以下となったことが検知されていた。しかし、当該検知は、回動部材50の回動以外によって行われてもよい。
【0170】
例えば、各タンク103における位置P1と同じ高さに、プリズムが配置されてもよい。そして、貯留室160に貯留されたインクの液面がプリズムよりも上方か否かによってプリズムに入射する光の進行方向が異なることに基づいて、つまりプリズムに照射した光の透過状態に基づいて、貯留室160に貯留されたインクの液面が位置P1以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、プリズムが被検知部に相当する。また、この場合、プリズムに光を照射する光学センサが被検知部を検知する検知部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部であるプリズムに照射した光の透過状態の変化である。
【0171】
また、例えば、貯留室160の本体の壁のうち、少なくとも位置P1を含む高さの部分を透光性を有する部材で形成することで透光部を構成し、貯留室160の本体の外に光学式の透過型センサを設けてもよい。そして、貯留室160に貯留されたインクの液面が透過型センサの発光部よりも上方か否かによって、貯留室160の本体の壁の透光部に入射する光が、透光部を透過して貯留室160内に到達し、貯留室160内のインクにより減衰されることなく再び透光部を透過して受光部に到達するか、または、貯留室160内のインクにより減衰されて受光部に到達するか(減衰されて受光部に到達できないか)に基づいて、つまり貯留室160の本体の壁の透光部に入射された光の減衰状態に基づいて、貯留室160に貯留されたインクの液面が位置P1以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、貯留室160の本体の壁に形成した透光部が被検知部に相当する。また、この場合、光学式の透過型センサが被検知部を検知する検知部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部である透光部に照射した光の減衰状態の変化である。
【0172】
また、例えば、各タンク103の貯留室160に2本の電極が配置されてもよい。2本の電極は基板60に実装されている。2本の電極の一方の下端は、位置P1よりも若干高い位置にある。2本の電極の他方の下端は、位置P1よりも下方に位置する。そして、2本の電極間にインクを通じて電流が流れるか否かに基づいて、貯留室160に貯留されたインクの液面が位置P1以下であるか否かが検知されてもよい。この場合、2本の電極が被検知部に相当する。また、この場合、基板に実装された上記電流を検知する部分(回路)が、被検知部を検知する検知部に相当する。そして、被検知部の状態変化とは、被検知部である2本の電極間の通電状態の変化である。
【0173】
上記実施形態では、貫通孔119が半透膜118によって封止されていたが、貫通孔119は半透膜118によって封止されていなくてもよい。また、貫通孔94が半透膜80によって封止されていたが、貫通孔119は半透膜80によって封止されていなくてもよい。
【0174】
上記実施形態では、インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に対して水平方向に沿って挿入されることによって、カートリッジ装着部110に装着されていた。しかし、インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に対して水平方向以外、例えば上下方向7に沿って挿入されることによって、カートリッジ装着部110に装着されてもよい。
【0175】
上記実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、インクに代えて、画像記録時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液がインクカートリッジ30やタンク103に貯留されていてもよい。また、記録ヘッド21を洗浄するための水がインクカートリッジ30やタンク103に貯留されていてもよい。