(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程(ii)は、前記工程(i)でプラズマ処理を施した直後の金属粉を、カップリング剤の溶液に浸漬させて、あるいは、前記金属粉に、カップリング剤、またはカップリング剤の溶液を直接噴霧して、前記金属粉と前記カップリング剤との反応を行う操作を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形材料の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[表面処理金属粉の製造方法]
本実施形態の表面処理金属粉の製造方法は、金属粉にプラズマ処理を施す工程(i)と、前記工程(i)でプラズマ処理が施された金属粉とカップリング剤とを反応させる工程(ii)と、を有する。
前記表面処理とは、金属粉の表面を改質するための操作をいう。
【0014】
(工程(i))
前記プラズマ処理としては、例えば、O
2プラズマ処理、Arプラズマ処理、N
2プラズマ等が挙げられる。前記プラズマ処理を施すことにより、金属粉の表面改質を行ったり、金属粉の表面の汚れを除去したりすることができる。
【0015】
前記プラズマ処理の圧力は、10〜200Paであることが好ましく、15〜180Paであることがより好ましい。前記プラズマ処理の流量は、10〜5000mL/分であることが好ましく、20〜4000mL/分であることがより好ましい。前記プラズマ処理の出力は、100〜500Wであることが好ましく、200〜400Wであることがより好ましい。前記プラズマ処理の処理時間は、5〜60分であることが好ましく、10〜40分であることがより好ましい。
【0016】
前記工程(i)は、前記金属粉の表面に均一にプラズマ処理を施す操作を含んでいることが好ましい。これにより、金属粉の表面に均一に、カップリング剤と反応することができる活性点を形成することができる。
【0017】
前記均一にプラズマ処理を施すとは、金属粉を空中に分散させてプラズマ処理することをいう。
【0018】
前記工程(i)は、前記金属粉にO
2プラズマ処理を施す操作を含んでいることが好ましい。前記金属粉に、本処理としてO
2プラズマ処理を実施することにより、金属粉の表面にOH基が生じて、金属粉とカップリング剤の残基とが、酸素原子を介して結合することができる。その結果、金属粉の表面に強固にカップリング剤を結合させることができる。
【0019】
前記O
2プラズマ処理の圧力は、100〜200Paであることが好ましく、120〜180Paであることがより好ましい。前記O
2プラズマ処理の流量は、1000〜5000mL/分であることが好ましく、2000〜4000mL/分であることがより好ましい。前記O
2プラズマ処理の出力は、100〜500Wであることが好ましく、200〜400Wであることがより好ましい。前記O
2プラズマ処理の処理時間は、5〜60分であることが好ましく、10〜40分であることがより好ましい。
【0020】
前記工程(i)は、前記O
2プラズマ処理を施す操作の前に、前記金属粉にArプラズマ処理を施す操作を含んでいることが好ましい。前記金属粉に、前処理としてArプラズマ処理を実施することにより、金属粉の表面にOH基修飾可能な活性点を形成することができる。
【0021】
前記Arプラズマ処理の圧力は、10〜100Paであることが好ましく、15〜80Paであることがより好ましい。前記Arプラズマ処理の流量は、10〜100mL/分であることが好ましく、20〜80mL/分であることがより好ましい。前記Arプラズマ処理の出力は、100〜500Wであることが好ましく、200〜400Wであることがより好ましい。前記Arプラズマ処理の処理時間は、5〜60分であることが好ましく、10〜40分であることがより好ましい。
【0022】
(工程(ii))
前記カップリング剤の使用量は、重量基準で、金属粉100部に対して、0.05〜1部の範囲とすることが好ましく、0.1〜0.5部の範囲とすることがより好ましい。
【0023】
前記工程(ii)における反応温度は、20〜80℃であることが好ましい。また、前記工程(ii)における反応時間は、1〜24時間であることが好ましい。
【0024】
前記工程(ii)は、前記工程(i)でプラズマ処理を施した直後の金属粉とカップリング剤とを反応させることが好ましい。前記方法としては、例えば、前記工程(i)でプラズマ処理を施した直後の金属粉をカップリング剤の希釈溶液に浸漬させたり、前記金属粉にカップリング剤、またはカップリング剤の希釈溶液を直接噴霧したりする方法が挙げられる。
【0025】
前記工程(i)でプラズマ処理を施した直後の金属粉をカップリング剤と反応させることにより、反応がより進行し、金属粉表面がより改質しやすくなる。
【0026】
前記プラズマ処理を施した直後とは、前記プラズマ処理を施してから、0〜24時間までの範囲をいう。
【0027】
前記カップリング剤の溶液の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。前記カップリング剤の使用量は、重量基準で、溶媒100部に対して、0.1〜2部の範囲とすることが好ましく、0.5〜1.5部の範囲とすることがより好ましい。
【0028】
前記工程(ii)における浸漬時間は、1〜24時間であることが好ましい。
【0029】
前記金属粉の平均粒子径は1〜180μmであることが好ましく、3〜150μmであることがより好ましく、3〜100μmであることがより一層好ましく、5〜50μmであることが更により一層好ましい。
【0030】
前記金属粉の平均粒子径が1〜180μmであることにより、樹脂組成物に配合した際の表面処理金属粉の流動性を高めることができる。前記金属粉の平均粒子径が1μm以上だと成形が容易になる。前記金属粉の平均粒子径が180μm以下だと沈降しにくくなり、かつ成形が容易になる。
【0031】
前記平均粒子径は、体積平均粒子径を意味し、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。
【0032】
前記金属粉の球形度は0.60〜1.00であることが好ましく、0.70〜1.00であることがより好ましい。
【0033】
前記金属粉の球形度が0.60〜1.00であることにより、樹脂組成物に配合した際の表面処理金属粉の流動性を高めることができる。
【0034】
前記球形度は、粒子のSEM像から、当面積円相当径/外接円径で求めることができる。
【0035】
前記金属粉を構成する金属は、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、銀、マンガン、銅、バナジウム等が挙げられる。磁気特性(透磁率)を向上させる観点から、前記金属粉を構成する金属は、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、銀、及びマンガンからなる群より選択される1種以上を含むことがより好ましい。
【0036】
前記金属粉は、純鉄、ケイ素鋼、鉄−コバルト合金、鉄−ニッケル合金、カルボニル鉄、ステンレス等が挙げられる。磁気特性(透磁率)を向上させる観点から、前記金属粉は、純鉄、ケイ素鋼、鉄−コバルト合金、鉄−ニッケル合金、及びカルボニル鉄からなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
【0037】
前記カップリング剤は、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
【0038】
これらのうち、前記カップリング剤は、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。これにより、樹脂組成物に配合した際の表面処理金属粉の流動性を高めることができる。
【0039】
上述した製造方法によれば、樹脂組成物に配合した際の流動性を高められる表面処理金属粉を効率的に製造することができる。
【0040】
[表面処理金属粉の構造]
図1は、上述した製造方法によって製造された表面処理金属粉に含まれる複合体の一例を示す。
【0041】
図1に示す複合体(10)は、金属粒子(100)の表面(100S)に−O−X−R(一般式(1))で表される官能基が結合している。表面処理金属粉には、金属粒子(100)と官能基とが結合した複合体(10)が含まれている。
【0042】
*−O−X−R ・・・(1)
式中、Rは、有機基を表し、Xは、Si、Ti、Al、又はZrであり、*は、前記金属粒子を構成する原子の1つである。
【0043】
より詳細には、上述の方法におけるO
2プラズマ処理により、金属粒子の表面にOH基が生じて、上記のように、金属粒子とカップリング剤の残基とが、酸素原子を介して結合することができる。その結果、金属粉の表面に強固にカップリング剤を結合させることができる。
【0044】
上述した表面処理金属粉に含まれる複合体において、金属粒子と、カップリング剤の残基とが、酸素原子を介して結合していることは、フーリエ変換赤外分光光度計により確認することができる。
【0045】
前記官能基は、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤からなる群より選択されるカップリング剤の残基であることが好ましい。シラン系カップリング剤とチタン系カップリング剤のいずれかを選択することにより、樹脂組成物に配合した際の表面処理金属粉の流動性を高めることができる。
【0046】
[表面処理金属粉の特性]
次に、上述した製造方法によって得られる表面処理金属粉の特性の一例について説明する。
表面処理金属粉の特性としては、エポキシ樹脂とフェノール樹脂と溶媒とを含む樹脂組成物に配合した際に、下記の粘度比率(チクソ比)を満足することが挙げられる。
温度条件30℃のとき、粘弾性測定装置のずりせん断速度を1とした際の粘度/粘弾性測定装置のずりせん断速度を10とした際の粘度<3.4
【0047】
前記エポキシ樹脂としては、アリル化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物を使用し、前記フェノール樹脂としては、2−アリルフェノールホルムアルデヒド重縮合物を使用する。
【0048】
前記表面処理金属粉の使用量は、体積基準で、樹脂の合計100部に対して、15〜50部の範囲とする。
【0049】
前記エポキシ樹脂の使用量は、樹脂組成物中、30〜60体積%の範囲とし、前記フェノール樹脂の使用量は、樹脂組成物中、10〜30体積%の範囲とする。また、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計の使用量は、樹脂組成物中、50〜85体積%の範囲とする。
【0050】
前記樹脂組成物に用いられる溶媒としては、例えば、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシー2−プロパノール等が挙げられる。
【0051】
前記粘度比率(チクソ比)は、3.4未満であり、1.5以上3.4未満であることが好ましく、2.0以上3.0以下であることがより好ましく、2.1以上3.0未満であることがより一層好ましく、2.2以上2.8以下であることが更により一層好ましい。前記粘度比率(チクソ比)が1.5以上3.4未満であることにより、樹脂組成物に配合した際の表面処理金属粉の流動性を高めることができる。
【0052】
前記粘度の測定は、粘弾性測定装置(HAAKE社製「RheoStress RS
150」)を用いて、前記樹脂組成物をパラレルプレート20mmφの50〜1000μmのギャップ間でずりせん断を与えて測定することができる。
【0053】
上述した表面処理金属粉は、所定の粘度比率(チクソ比)を満足するため、樹脂組成物に配合した際の表面処理金属粉の流動性を高めることができる。
【0054】
前記粘度比率を3.4未満とするためには、例えば、O
2プラズマ処理やカップリング処理を施す方法が挙げられる。なかでも、金属粉に対しO
2プラズマ処理とカップリング処理の両方を施すことが好ましく、前記カップリング剤を、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤からなる群より選択されるカップリング剤とすることがより好ましい。
【0055】
[成形材料の製造方法]
本実施形態の成形材料の製造方法は、上述した製造方法によって表面処理金属粉を得る工程(I)と、前記工程(I)で得られた表面処理金属粉と樹脂とを混合する工程(II)と、を有する。この製造方法によって得られた成形材料は、金属フィラー含有樹脂材料であり、透磁率が高く、かつ成形性も高い。また、流動性に優れるため、形状自由度も高い。
【0056】
前記樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン、シアネート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらのうち、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂が好ましい。
【0057】
前記樹脂は、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上の固形のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。上記のいずれかのエポキシ樹脂が含まれることにより、耐熱性が高く、トランスファー成形に適した材料とすることができる。
【0058】
前記樹脂は、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選択される1種以上の固形のフェノール樹脂を含むことが好ましい。上記のいずれかのフェノール樹脂が含まれることにより、耐熱性が高く、トランスファー成形に適した材料とすることができる。
【0059】
本実施形態の製造方法によって得られた成形材料は、上述した製造方法によって得られた表面処理金属粉や樹脂以外にも、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、溶媒、離型剤、硬化促進剤、密着助剤、着色剤、酸化防止剤、耐食剤等が挙げられる。
【0060】
本実施形態の製造方法によって得られた成形材料の用途としては、例えば、自動車のリアクトル、インダクタ、モータ磁石固定材等が挙げられる。
【0061】
上述した製造方法によれば、透磁率が高く、かつ成形性や形状自由度も高い成形材料を提供することができる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0063】
[表面処理金属粉の作製]
以下に示すようにして、表面処理金属粉を作製した。
【0064】
(実施例1)
[工程(i)]
回転式卓上真空プラズマ装置((株)魁半導体社製、YHS−DΦS)を用いて、純鉄粉(1000g、(株)神戸製鋼所社製、ML35N、体積平均粒子径D
50=180μm、球形度0.75)に対し、Arプラズマで前処理(ガス種Ar、圧力20Pa、流量50mL/分、出力300W、処理時間40分)を実施した。次いで、同装置を用いて、O
2プラズマ処理(ガス種H
2Oバブリング/O
2、圧力150Pa、流量3000mL/分、出力300W、処理時間40分)を実施した。
【0065】
[工程(ii)]
O
2プラズマ処理終了後の粉体(20g)を、直ちに、すなわち、O
2プラズマ処理後5分後に、シラン系カップリング剤(0.3g、信越化学工業(株)社製、KBM303)とエタノール(20g)との溶液に浸漬させて、シェーカーで終夜攪拌した。次いで、遠心分離機で固形分を分離し、エタノールで3回洗浄後、85℃で2時間乾燥して、実施例1の表面処理金属粉を得た。
【0066】
(実施例2)
シラン系カップリング剤の代わりにチタン系カップリング剤(0.3g、味の素ファインテクノ(株)社製、プレンアクト9SA)を用い、エタノールの代わりにイソプロピルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の表面処理金属粉を得た。
【0067】
(比較例1)
純鉄粉(20g、(株)神戸製鋼所社製、ML35N、体積平均粒子径D
50=180μm、球形度0.75)を、シラン系カップリング剤(0.3g、信越化学工業(株)社製、KBM303)とエタノール(20g)との溶液に浸漬させて、シェーカーで終夜撹拌した。次いで、遠心分離機で固形分を分離し、エタノールで3回洗浄後、85℃で2時間乾燥して、比較例1の表面処理金属粉を得た。
【0068】
(比較例2)
シラン系カップリング剤「KBM303」の代わりにチタン系カップリング剤(0.3g、味の素ファインテクノ(株)社製、プレンアクト9SA)を用い、エタノールの代わりにイソプロピルアルコールを用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の表面処理金属粉を製造した。
【0069】
(比較例3)
回転式卓上真空プラズマ装置((株)魁半導体社製、YHS−DΦS)を用いて、純鉄粉(1000g、(株)神戸製鋼所社製、ML35N、体積平均粒子径D
50=180μm、球形度0.75)に対し、Arプラズマで前処理(ガス種Ar、圧力20Pa、流量50mL/分、出力300W、処理時間40分)を実施した。次いで、同装置を用いて、O
2プラズマ処理(ガス種H
2Oバブリング/O
2、圧力150Pa、流量3000mL/分、出力300W、処理時間40分)を実施して、比較例3の表面処理金属粉を得た。
【0070】
(比較例4)
純鉄粉(20g、(株)神戸製鋼所社製、ML35N、体積平均粒子径D
50=180μm、球形度0.75)をそのまま金属粉として使用した。
【0071】
[粘度比率(チクソ比)の評価]
実施例1の表面処理金属粉(13.0g)と、エポキシ樹脂(日本化薬(株)社製、RE−810NM、1.4g)と、フェノール樹脂(明和化成(株)社製、MEH−8000H、0.6g)との混合物(ペースト状)を作製した。
【0072】
次いで、30℃で、前記混合物を粘弾性測定装置にセットし、上部コーンを回転させて歪みを与えた際のずり粘度を測定した。粘弾性測定装置のずりせん断速度を1及び10とした際の粘度をそれぞれ測定し、両者の比を取って粘度比率(チクソ比)を得た。
【0073】
実施例2及び比較例1〜4についても、実施例1と同様に評価し、粘度比率(チクソ比)を得た。これらの結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1のとおり、プラズマ処理と、カップリング処理(シラン系カップリング剤又はチタン系カップリング剤)との両方を施した金属粉(実施例1及び2)は、粘度比率(チクソ比)が3.4未満となった。
一方、プラズマ処理とカップリング処理のいずれか一方しか実施しなかった金属粉(比較例1〜3)及び両方実施しなかった金属粉(比較例4)は、粘度比率(チクソ比)が3.4以上となった。
【0076】
[スパイラルフローの評価]
エポキシ樹脂(三菱化学(株)社製、YL6810、3.28重量%)と、エポキシ樹脂(日本化薬(株)社製、NC−3000、5.15重量%)と、フェノール樹脂(日本化薬(株)社製、KAYAHARD GPH−65、7.56重量%)と、離型剤(クラリアントジャパン(株)社製、リコルブWE−4、0.33重量%)と、硬化促進剤(四国化成工業(株)社製、キュアゾール2PZ−PW、0.28重量%)と、実施例1の表面処理金属粉(83.40重量%)との混合物を得た。
【0077】
次いで、低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KST−30」)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件で、前記混合物のスパイラルフロー値を測定した。
【0078】
実施例2並びに比較例1、2及び4についても、実施例1と同様に測定し、スパイラルフロー値を得た。
【0079】
(比較例5)
エポキシ樹脂(三菱化学(株)社製、YL6810、3.28重量%)、エポキシ樹脂(日本化薬(株)社製、NC−3000、5.15重量%)、フェノール樹脂(日本化薬(株)社製、KAYAHARD GPH−65、7.56重量%)、離型剤(クラリアントジャパン(株)社製、リコルブWE−4、0.33重量%)、硬化促進剤(四国化成工業(株)社製、キュアゾール2PZ−PW、0.28重量%)、純鉄粉(20g、(株)神戸製鋼所社製、ML35N、体積平均粒子径D
50=180μm、球形度0.75、83.39重量%)、シラン系カップリング剤(0.01g、信越化学工業(株)社製、KBM303)の混合物を作製した。
【0080】
次いで、低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KST−30」)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件で、前記混合物のスパイラルフロー値を測定した。
【0081】
(比較例6)
シラン系カップリング剤の代わりにチタン系カップリング剤(0.01g、味の素ファインテクノ(株)社製、プレンアクト9SA)を用いた以外は、比較例5と同様にして混合物を作製し、スパイラルフロー値を測定した。
【0082】
これらの結果を表2に示す。
【表2】
【0083】
表2のとおり、プラズマ処理と、カップリング処理(シラン系カップリング剤又はチタン系カップリング剤)との両方を施した金属粉(実施例1及び2)は、カップリング処理しか実施しなかった金属粉(比較例1、2、5及び6)や、両方実施しなかった金属粉(比較例4)よりもスパイラルフロー値が高くなった。
【0084】
また、プラズマ処理を施した直後の金属粉をカップリング処理した金属粉(実施例1及び2)は、カップリング剤を後添加した金属粉(実施例5及び6)よりもスパイラルフロー値が高くなった。
【0085】
したがって、本発明の表面処理金属粉の製造方法によれば、樹脂組成物に配合した際の流動性を高められる表面処理金属粉を提供することができる。