特許第6962009号(P6962009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962009
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、及びこれを用いた積層体
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20211025BHJP
   C09J 175/16 20060101ALI20211025BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20211025BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20211025BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20211025BHJP
   C08G 75/045 20160101ALI20211025BHJP
【FI】
   C09J4/02
   C09J175/16
   B32B27/00 M
   B32B27/30 A
   B32B27/40
   C08G75/045
【請求項の数】7
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-110681(P2017-110681)
(22)【出願日】2017年6月5日
(65)【公開番号】特開2018-95829(P2018-95829A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2020年4月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-239147(P2016-239147)
(32)【優先日】2016年12月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 宏充
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 聖
(72)【発明者】
【氏名】藤村 敏伸
【審査官】 川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−115341(JP,A)
【文献】 特開2015−229642(JP,A)
【文献】 特開2015−168679(JP,A)
【文献】 特開2011−202070(JP,A)
【文献】 特開2011−068727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 4/02
B32B 27/00,27/30,27/40
C08G 75/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物と、
(B)(メタ)アクリル基を2〜6個有する多官能(メタ)アクリレートと、
(C)下記式1で表される重量平均分子量が1000〜15000のウレタン(メタ)アクリレートと、
(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレートと、
(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドと
を含有する粘着剤組成物であって、
(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物を100質量部としたとき、
(B)多官能(メタ)アクリレート:5〜25質量部
(C)ウレタン(メタ)アクリレート:150〜200質量部
(D)単官能(メタ)アクリレート:30〜150質量部
(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド:5〜15質量部
の割合で含有する粘着剤組成物。
【化1】

(式中のaは1〜15の整数である。Rは炭素数1〜14の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜14の炭化水素基、下記式2で表されるポリエーテル基、又は下記式3で表されるポリエステル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜14の炭化水素基である。)
【化2】

(式中のbは1〜20の整数である。Rはそれぞれ独立した炭素数2〜14の炭化水素基である。)
【化3】

(式中のcは1〜20の整数である。R及びRは炭素数1〜14の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)
【請求項2】
前記(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物が、下記式4で表される多官能チオール化合物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【化4】

(式中のdは2又は3であり、eは0又は1であり、fは1又は2であり、dとeとfの和は4である。Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基であり、Rは、下記式5又は式6で表される2価の官能基であり、R10は、メチル基又はエチル基であり、R11は、炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
【化5】

(式中のR12は水素原子又はメチル基である。)
【化6】

(式中のR13は水素原子又はメチル基である。)
【請求項3】
前記(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物が、下記式7で表される多官能チオール化合物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【化7】

(式中のgは2〜5の整数であり、hは0〜2の整数であり、iは1〜4の整数であり、gとhとiの和は6である。R14は下記式8で表される6価の官能基であり、R15は、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基であり、R16は、下記式5又は式6で表される2価の官能基であり、R17は、メチル基又はエチル基であり、R18は、炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
【化8】

(式中のR12は水素原子又はメチル基である。)
【化9】

(式中のR13は水素原子又はメチル基である。)
【化10】
【請求項4】
前記(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物が、下記式9で表される多官能チオール化合物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【化11】

(式中のR19は下記式10で表される3価の官能基であり、R20は下記式5又は式6で表される2価の官能基であり、R21は炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
【化12】

(式中のR22はメチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基である。)
【化13】

(式中のR12は水素原子又はメチル基である。)
【化14】

(式中のR13は水素原子又はメチル基である。)
【請求項5】
透明基材の一方の面に、請求項1ないし4のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる未硬化の粘着層が積層されている積層体。
【請求項6】
透明基材の一方の面に、請求項1ないし4のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる未硬化の粘着層と基材とがこの順に積層されている積層体。
【請求項7】
透明基材の一方の面に、請求項1ないし4のいずれかに記載の粘着剤組成物が硬化した粘着層と基材とがこの順に積層されている積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その硬化物が密着性及び柔軟性に優れ、且つ高い耐久性を有する粘着剤組成物に関し、更に、前記粘着剤組成物を用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤はテープやラベルなど様々な用途に用いられており、電子光学デバイスの分野においては、密着性が高く透明性が高い粘着剤がパネルと光学フィルター、センサー、前面板等の光学部材の貼り合わせに用いられている。近年、カーナビゲーションなどの車載用電子光学デバイスにおいては、テレビのような室内用電子光学デバイスなどと比較し、粘着剤に格段に高い耐熱衝撃性が求められるようになってきている。これは、車載用デバイスの場合、日中、車内においてかなりの高温に長時間曝される上、反対に、夜間はかなりの低温状態になるからである。このため、一般に室内用テレビの偏光板や前面板に用いられる粘着剤を車載用デバイスに用いた場合、激しい温度変化に対する耐熱衝撃性が必ずしも充分であるとは言えず、剥がれなどが生じる場合があった。
【0003】
また、車載用デバイスでは、前面板の軽量化や意匠性の向上のために透明な樹脂板が用いられることが多くなってきている。しかし、樹脂板は高温高湿下に置くと樹脂板内部からアウトガスを放出するため、そのガスにより樹脂板と粘着剤の界面や粘着組成物内に気泡が形成され、視認性が低下してしまうという耐湿熱性の問題も存在する。
【0004】
従来、粘着剤の耐湿熱性を改良する手法としては、高いガラス転移温度(Tg)を示すウレタンアクリレートを用いるなどして粘着剤のTgを高くする手法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、粘着剤のTgを高くすると、粘着剤が固くなり、柔軟性が悪化し、車内の温度変化を想定した耐熱衝撃試験において、貼り合せた樹脂板の熱膨張差に粘着剤が追随することができずに剥離等が起こるという問題があった。また、耐湿熱性の向上も必ずしも十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−35920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、その硬化物が高い密着性、耐熱衝撃性、及び耐湿熱性を有する粘着剤組成物、及び当該粘着剤組成物からなる粘着層を有する積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粘着剤組成物は、(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物と、(B)(メタ)アクリル基を2〜6個有する多官能(メタ)アクリレートと、(C)下記式1で表される重量平均分子量が1000〜15000のウレタン(メタ)アクリレートと、(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレートと、(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドとを含有し、(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物を100質量部としたとき、(B)多官能(メタ)アクリレートを5〜25質量部、(C)ウレタン(メタ)アクリレートを150〜200質量部、(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレートを30〜150質量部、(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドを5〜15質量部の割合で含有する。
【化1】

(式中のaは1〜15の整数である。Rは炭素数1〜14の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜14の炭化水素基、下記式2で表されるポリエーテル基、又は下記式3で表されるポリエステル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜14の炭化水素基である。)
【化2】

(式中のbは1〜20の整数である。Rはそれぞれ独立した炭素数2〜14の炭化水素基)
【化3】

(式中のcは1〜20の整数である。R及びRは炭素数1〜14の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)
【0008】
前記(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物は、下記式4で表される多官能チオール化合物であることが好ましい。
【化4】

(式中のdは2又は3であり、eは0又は1であり、fは1又は2であり、dとeとfの和は4である。Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基であり、Rは、下記式5又は式6で表される2価の官能基であり、R10は、メチル基又はエチル基であり、R11は、炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
【化5】

(式中のR12は水素原子又はメチル基である。)
【化6】

(式中のR13は水素原子又はメチル基である。)
【0009】
前記(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物は下記式7で表される多官能チオール化合物であることが好ましい。
【化7】

(式中のgは2〜5の整数であり、hは0〜2の整数であり、iは1〜4の整数であり、gとhとiの和は6である。R14は下記式8で表される6価の官能基であり、R15は、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基であり、R16は、下記式5又は式6で表される2価の官能基であり、R17は、メチル基又はエチル基であり、R18は、炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
【化8】

(式中のR12は水素原子又はメチル基である。)
【化9】

(式中のR13は水素原子又はメチル基である。)
【化10】
【0010】
前記(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物は下記式9で表される多官能チオール化合物であることが好ましい。
【化11】

(式中のR19は下記式10で表される3価の官能基であり、R20は下記式5又は式6で表される2価の官能基であり、R21は炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
【化12】

(式中のR22はメチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基である。)
【化13】

(式中のR12は水素原子又はメチル基である。)
【化14】

(式中のR13は水素原子又はメチル基である。)
【0011】
本発明の積層体は、透明基材の一方の面に、上記粘着剤組成物からなる未硬化の粘着層が積層されている。
【0012】
本発明の積層体は、透明基材の一方の面に、上記粘着剤組成物からなる未硬化の粘着層と基材とがこの順に積層されている。
【0013】
本発明の積層体は、透明基材の一方の面に、上記粘着剤組成物が硬化した粘着層と基材とがこの順に積層されている。
【0014】
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む総称を意味し、「(メタ)アクリルアミド」、「(メタ)アクリル基」等も同様である。また、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、別途記載が無い限り、その下限値(○○)や上限値(××)を含む概念である。すなわち、正確には「○○以上××以下」を意味する。また、「分子量」とは、別途記載が無い限り、重量平均分子量を意味する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、その硬化物が高い密着性、耐熱衝撃性、及び耐湿熱性を有する粘着剤組成物、並びに当該粘着剤組成物からなる粘着層を有する積層体を提供することができる。
【0016】
本発明の粘着剤組成物は、多官能チオール、多官能(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレートの付加反応により精密な架橋ネットワークを形成することで、水分バリア性が向上する。そのため、硬化物が高湿雰囲気に曝されても、水の浸入を抑制することができる。また、チオール−エン反応により生じるチオエーテル結合は、C、O、Nといった原子での結合と比べて結合角や結合長が柔軟に変化できるため、硬化物が柔軟性(耐熱衝撃性)に優れ、基材に対して優れた密着性を示す。
【0017】
更に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドを加えることで、架橋ネットワーク上に水素結合可能なヒドロキシル基やアクリルアミド基が導入され、架橋ネットワーク内の水素結合を介して効率よく架橋密度を増加させることができる。また、水素結合による架橋は共有結合と比較して、硬化物の柔軟性を低下させないため、高い耐熱衝撃性を維持した上で、水分バリア性や強靭性を高めることができる。
【0018】
また、高温高湿下では水はヒドロキシル基付近に集まりやすいため、高温高湿下で水が浸入したとしても、浸入した水はヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドの水素結合によって捕らえられる。アクリルアミド基は(メタ)アクリル基に比べ加水分解されにくいため、高温高湿下でも組成が劣化しにくい。これにより、より厳しい高温高湿下に置かれても組成の劣化がおきにくく、耐湿熱性を向上することができる。
【0019】
つまり、多官能チオールと多官能(メタ)アクリレートの付加反応により精密な架橋ネットワークが形成されるため、少ない添加量のヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドでも効率よく架橋密度を高めることができ、柔軟性を失うことなく大幅に優れた耐久性(耐湿熱性)を発揮することができる。
【0020】
結果的に、本発明の粘着剤組成物は、硬化物において優れた密着性及び柔軟性(耐熱衝撃性)を有し、且つ高い耐久性(耐湿熱性)を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、本発明について詳しく説明する。本発明の粘着剤組成物は、(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物、(B)多官能(メタ)アクリレート、(C)ウレタン(メタ)アクリレート、(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレート、及び(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドを必須成分とする。
【0022】
<(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物>
(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物は、末端に2〜6個のチオール基を有する化合物であればよく、中でも、上記式4、式7、又は式9で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体が好ましい。多官能チオール化合物は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0023】
粘着剤組成物が(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物を含有することによって、硬化収縮が小さくなり、硬化物の密着性を向上することができる。また、チオール基が5個以下の場合、硬化物の密着性がより高くなるため好ましい。一方、チオール基を7個以上有する多官能チオールでは、架橋密度が高く、硬化収縮が大きくなることで、硬化物の密着性が低下するため好ましくない。また、上記式4、式7、又は式9で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体は、一部のチオール基を変性させ、末端にアルキル鎖が導入されている。そのため、アルキル鎖がスペーサーとなり、架橋点間の距離が長くなるため、より柔軟な構造となる。これにより、粘着剤組成物の硬化物の耐熱衝撃性をより向上することができる。さらに、上記式4、式7、又は式9で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体は、粘着剤組成物の硬化物全体に架橋ネットワークを形成しやすく、硬化物がより良好な耐湿熱性を示す。
【0024】
上記式4で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体は、式中のdとeとfの和は4であり、それぞれdは2又は3であり、eは0又は1であり、fは1又は2である。チオール基が多いと光反応による架橋性が増すため、硬化反応を早めたい場合や、耐溶剤性を向上させたい場合には、dは3が好ましい。また、チオエーテル基はチオール基に比べ親水性が低いため、疎水性が高い溶剤に対する相溶性を高めたい場合や、硬化物の密着性を向上させたい場合には、fは2が好ましい。上記式4においては、Rは、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基であり、Rは、上記式5又は式6で表される2価の官能基である。Rが上記式5で表される官能基の場合、硬化物の密着性を更に向上することができ、上記式6で表される官能基の場合、硬化物の耐久性を更に向上することができる。上記式5中のR10は、メチル基又はエチル基であり、R11は、炭素数が1〜12の炭化水素基であり、好ましくは炭素数が2〜12であり、更に好ましくは炭素数が4〜12である。
【0025】
上記式7で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体は、式中のgとhとiの和は6であり、それぞれgは2〜5の整数であり、hは0〜2の整数であり、iは1〜4の整数である。また、式7中のR14は上記式8で表される構造を有する。チオール基が多いと光反応による架橋性が増すため、硬化反応を早めたい場合や、耐溶剤性を向上させたい場合には、gは5が好ましい。また、チオエーテル基はチオール基に比べ親水性が低いため、疎水性が高い溶剤に対する相溶性を高めたい場合や、硬化物の密着性を向上させたい場合には、iは4が好ましい。上記式7において、R15は、メチレン基、エチレン基又はイソプロピレン基であり、R16は、上記式5又は式6で表される2価の官能基である。R16が上記式5で表される官能基の場合、硬化物の密着性を更に向上することができ、上記式6で表される官能基の場合、硬化物の耐久性を更に向上することができる。上記式7中のR17は、メチル基又はエチル基であり、R18は、炭素数が1〜12の炭化水素基であり、好ましくは炭素数が2〜12であり、更に好ましくは炭素数が4〜12である。
【0026】
上記式9で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体において、R19は上記式10で表されるイソシアヌレート環を有する構造である。上記式9で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体は、柔軟性を更に向上できる点で好ましい。上記式9中のR20は上記式5又は式6で表される2価の官能基であり、R21は炭素数が1〜12の炭化水素基であり、好ましくは炭素数が2〜12であり、更に好ましくは炭素数が4〜12である。
【0027】
<(B)(メタ)アクリル基を2〜6個有する多官能(メタ)アクリレート>
(B)(メタ)アクリル基を2〜6個有する多官能(メタ)アクリレートの好ましい例として下記式11で表される化合物が挙げられる。粘着剤組成物が(B)多官能(メタ)アクリレートを含有することによって、粘着剤組成物の耐湿熱性を向上することができる。一方、(B)多官能(メタ)アクリレートの有する(メタ)アクリル基が7個以上の場合、硬化物の密着性が低下するため好ましくない。なお、(B)成分である多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【化15】

(式中のjは2〜6の整数である。R23は水素原子又はメチル基であり、R24は炭素数2〜14の炭化水素基、炭素数2〜14のエーテル酸素(−O−)と炭化水素基のみからなる基、又はイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基である。)
上記式11中のR23が水素原子の場合、チオールとの反応性に優れるため、粘着剤組成物は硬化性に優れる。一方、R23がメチル基の場合、チオールとの反応性が劣るため、粘着剤組成物は貯蔵安定性の観点で優れる。また、(B)成分として式11で表される化合物を用いる場合、R24の官能基の種類によって粘着剤組成物の硬化物の性質を更に向上できる。具体的には、R24が炭素数2〜12の炭化水素基の場合には密着性が向上し、炭素数が4〜9であると向上効果がより高いため更に好ましい。R24が炭素数2〜12のエーテル酸素と炭化水素基のみからなる基の場合には柔軟性が向上し、炭素数が4〜9であると向上効果がより高いため更に好ましい。R24がイソシアヌレート環と炭素数1〜3の炭化水素基のみからなる基の場合には耐久性が向上し、炭素数が2又は3であると向上効果がより高いため更に好ましい。
【0028】
また、(B)多官能(メタ)アクリレートとしては、ポリマータイプのものも好適に用いることができる。ポリマータイプの多官能(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート単独あるいは共重合体に、(メタ)アクリル酸のようにエポキシ基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート単独あるいは共重合体に、2−メチルプロペン酸2−イソシアナトエチルのようにヒドロキシル基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート単独あるいは共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートのようにカルボキシル基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー等が挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル基が2〜4個の多官能(メタ)アクリレートであり、例えば、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、フェノールノボラック型ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物等を使用できる。
【0029】
<(C)ウレタン(メタ)アクリレート>
(C)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは上記式1で表される化合物であり、下記式12で表されるジイソシアネート化合物と、下記式13で表されるジオール化合物と、下記式14で表されるヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応によって得ることができる。粘着剤組成物が(C)ウレタン(メタ)アクリレートを含有することにより、粘着剤組成物の基材への塗工性を向上し、且つ粘着剤組成物の硬化物の凝集力、べたつき感を高め、密着性を高めることができる。なお、(C)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0030】
上記式1において、Rは炭素数1〜14の炭化水素基であり、炭素数4〜13が好ましい。Rは炭素数1〜14の炭化水素基、上記式2で表されるポリエーテル基、又は上記式3で表されるポリエステル基である。Rが炭化水素基の場合、炭素数は2〜12が好ましく、4〜9が更に好ましい。Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜14の炭化水素基である。Rの炭素数は2〜12が好ましく、4〜9が更に好ましい。また、上記式2中のR5はそれぞれ独立した炭素数2〜14の炭化水素基であり、炭素数は2〜8が好ましく、2〜6が更に好ましい。上記式3中のR6及びR7は炭素数1〜14の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。Rの炭化水素基の炭素数は、2〜12が好ましく、2〜8が更に好ましい。Rの炭化水素基の炭素数は、2〜6が好ましく、2〜4が更に好ましい。
【0031】
【化16】

(Rは炭素数1〜14の炭化水素基である。)
式12中のR1は炭素数4〜13が好ましい。
【化17】

(Rは炭素数1〜14の炭化水素基、上記式2で表されるポリエーテル基、又は上記式3で表されるポリエステル基である。)
式13中のRが炭化水素基の場合、炭素数は2〜12が好ましく、更に好ましくは、4〜9である。
【化18】

(Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜14の炭化水素基である。)
式14中のRの炭素数は2〜12が好ましく、更に好ましくは4〜9である。
【0032】
式12で表されるジイソシアネート化合物としては、公知の化合物を用いることができ、単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0033】
式13で表されるジオール化合物としては、炭素数1〜14の炭化水素基を有するジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールを用いることができ、それぞれ単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0034】
式14で表されるヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、公知の化合物を用いることが出来る。
【0035】
(C)ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、取り扱い易さ、粘着剤組成物の塗工性、優れた密着性を発現できるという観点から1000〜15000が好ましい。重量平均分子量が1000未満の場合、硬化物の凝集力が低下し、密着性が低くなってしまう。一方、重量平均分子量が15000より大きい場合、粘度が高いため取り扱いが困難であり、粘着剤組成物の塗工性も悪化するため好ましくない。
【0036】
<(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレート>
(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレートは、分子中に(メタ)アクリル基を1つだけ有する化合物であり、その好ましい例として下記式15で表される化合物が挙げられる。粘着剤組成物は(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレートを含有することにより、耐熱衝撃性を向上することができる。なお、(D)成分である(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【化19】

(式中のR25は水素原子又はメチル基であり、R26は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜14のエーテル酸素(−O−)と炭化水素基のみからなる基、1つ若しくは複数のヒドロキシル基が置換した炭素数1〜14の炭化水素基、又は置換若しくは非置換のフェニル基である。)
式15中のR26が炭化水素基の場合、炭素数は2〜12が好ましく、4〜12が更に好ましい。R26がエーテル酸素と炭化水素基のみからなる基の場合、炭素数は2〜12が好ましく、4〜9が更に好ましい。R26が1つ若しくは複数のヒドロキシル基が置換した炭化水素基の場合、炭素数は2〜12が好ましく、4〜12が更に好ましい。
【0037】
<(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド>
(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドは、分子中にヒドロキシル基を含有し、アクリルアミド基を1つだけ有する化合物であり、その好ましい例として下記式16で表される化合物が挙げられる。粘着剤組成物は(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドを含有することにより、粘着剤組成物の硬化物の耐湿熱性を高めることが出来る。なぜなら、高温高湿下で硬化物中に水分が入ってきても、当該水分はヒドロキシル基付近に集まり、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドの水素結合によって捕らえられる。(メタ)アクリルアミド基は加水分解されにくいため、捕らえた水分によって加水分解されることなく水分を保持することができ、結果的に水分の分散を抑え、他成分の加水分解による劣化が抑制されるため、耐湿熱性が向上する。一方、ヒドロキシル基を含有しない(メタ)アクリルアミドを用いると、(メタ)アクリルアミド基が水分を捕らえることが困難になるため、他成分の加水分解が生じ、耐湿熱性が低下する。なお、(E)成分であるヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
【化20】

(R27は水素原子又はメチル基であり、R28は炭素数1〜4の炭化水素基である。)
式16中のR28が炭素数1〜3の炭化水素基の場合、硬化物のバリア性が高く、より優れた耐久性が実現できるため更に好ましい。
【0038】
<添加剤>
粘着剤組成物中には、適宜、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により粘着剤組成物の硬化性を向上させる光重合開始剤、紫外線(UV)を吸収し、粘着剤組成物を硬化させた硬化物の耐光性を向上させる紫外線吸収剤、粘着剤組成物を硬化させた硬化物中に発生してしまうラジカルを捕捉し、硬化物の耐光性を向上させる光安定化剤、粘着剤組成物の保存安定性を向上させる重合禁止剤、粘着剤組成物を硬化させた硬化物の密着性を向上させる粘着付与剤等の添加剤を加えることができる。
【0039】
<組成比(配合バランス)>
本発明の粘着剤組成物は、(A)チオール基を2〜6個有する多官能チオール化合物100質量部に対し、(B)多官能(メタ)アクリレートが5〜25質量部、(C)ウレタン(メタ)アクリレートが80〜200質量部、(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレートが30〜150質量部、(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドが5〜25質量部の割合となるように配合されている。(B)多官能(メタ)アクリレートの配合量が5質量部未満の場合、硬化物の強靭性が低下し、耐湿熱性が低下する傾向にある。(B)多官能(メタ)アクリレートの配合量が25質量部を超える場合、硬化物の柔軟性が不足し、耐熱衝撃性が劣り、更に、耐湿熱性や密着性が低下する傾向にある。(C)ウレタン(メタ)アクリレートの配合量が80質量部未満の場合、粘着剤組成物を硬化させた硬化物の凝集力が低下し、耐湿熱性や密着性が劣る傾向にある。(C)ウレタン(メタ)アクリレートの配合量が200質量部を超える場合、硬化物の柔軟性が不足し、耐熱衝撃性が劣る傾向にある。(D)(メタ)アクリル基を1つだけ有する単官能(メタ)アクリレートの配合量が30質量部未満の場合、粘着剤組成物が硬くなりすぎて耐熱衝撃性が劣る傾向にある。(D)単官能(メタ)アクリレートの配合量が150質量部を超える場合、架橋密度が低下してしまい、密着性、耐湿熱性、耐熱衝撃性に劣る傾向にある。(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドの配合量が5質量部未満の場合、硬化物の耐湿熱性が劣る傾向にある。(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドの配合量が25質量部を超える場合、組成物のTgが高くなり耐熱衝撃性に劣る傾向にある。
【0040】
<積層体>
本発明の積層体は、透明基材の一方の面に、上記粘着剤組成物からなる未硬化の粘着層が積層されており、当該粘着層上に更に基材を積層することもできる。また、透明基材上に粘着層と基材とが積層されている積層体は、粘着層が硬化されていてもよい。
【0041】
積層体の粘着層の膜厚は通常25〜1,000μmであり、50〜900μmが好ましく、80〜800μmがより好ましい。膜厚が1,000μmを超えると必要な粘着剤組成物の量が多く、塗布が困難になる。一方、膜厚が25μmより薄いと膜厚を均一にすることが困難になり好ましくない。
【0042】
<基材>
粘着剤組成物を塗布する透明基材には、全光線透過率が70%以上である基材を使用することが出来る。透明基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースなどのセルロースフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリウレタンアクリレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム等のプラスチックフィルム等を使用できる。
【0043】
また、粘着層の上に積層される基材としては、上記透明基材の他に、全光線透過率が70%未満である不透明基材を使用することも出来る。例えば、上質紙、グラシン紙等の紙,アルミニウム、銅、鉄の金属箔,硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布等を使用できる。
【0044】
これらの透明基材又は不透明基材の片面、又は両面には、離型処理層や易接着層、ハードコート層や反射防止層、透明導電層、電磁波遮蔽層等の機能層が設けられていても良い。
【0045】
透明基材及び基材の厚みは、好ましくは10〜500μmである。基材の厚みが10μmより薄い場合や500μmより厚い場合には、使用時における取り扱い性が低下して好ましくない。
【0046】
<積層体の形成>
積層体は、(1)透明基材の一方の面に粘着剤組成物を塗布して粘着層を形成する工程、(2)粘着層の上に基材を積層する工程、及び(3)粘着層を硬化する工程のうち、(1)のみ、(1)及び(2)、又は(1)から(3)を行うことにより作製される。なお、(1)から(3)の工程を行う場合は、(2)と(3)の工程は順序が逆になってもよい。つまり、未硬化の粘着層の上に基材を積層してから粘着層を硬化してもよいし、粘着層を硬化した後に基材を積層してもよい。
【0047】
粘着剤組成物の塗布方法は特に制限されず、例えばロールコート法、リバースコート法、ブレードコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法等公知の塗布方法を採用できる。
【0048】
また、粘着剤組成物からなる粘着層の硬化方法は特に制限されず、熱や紫外線(UV)、電子線(EB)により硬化することができる。
【実施例】
【0049】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。本実施例及び比較例で用いた各成分は、次のとおりである。なお、「実施例及び比較例」という場合には、実施例及び比較例の他に参考例も含む。
【0050】
<(A)成分>
A−1:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
A−2:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)
A−3:トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート
A−4:下記式17の多官能チオール化合物
【化21】

A−5:下記式18の多官能チオール化合物
【化22】

A−6:下記式19の多官能チオール化合物
【化23】

A−7:下記式20の多官能チオール化合物
【化24】

A−8:下記式21の多官能チオール化合物
【化25】

A−9:下記式22の多官能チオール化合物
【化26】

A’−1:1−オクタンチオール
<(B)成分>
B−1:ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート
B−2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
B−3:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
B−4:ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート
B−5:トリメチロールプロパントリメタクリレート
B−6:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
<(D)成分>
D−1:2−エチルヘキシルアクリレート
D−2:イソボニルアクリレート
D−3:2−ヒドロキシエチルアクリレート
D−4:4−ヒドロキシブチルアクリレート
D−5:テトラヒドロフルフリルアクリレート
<(E)成分>
E−1:N−(2−ヒドロキシメチル)アクリルアミド
E−2:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド
E−3:N−(2−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド
E’−1:ジメチルアクリルアミド
E’−2:アクリルロイルアクリルアミド
【0051】
<(C)成分の製造>
(ジオール化合物(c−1)の製造)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、アジピン酸150.2質量部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール161.3質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から18時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(c−1)を得た(重量平均分子量:1600)。
【0052】
(ジオール化合物(c−2)の製造)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ピメリン酸158.5質量部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール202.1質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から18時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(c−2)を得た(重量平均分子量:1750)。
【0053】
(ウレタン(メタ)アクリレートの製造)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ジオール化合物(c−1)160.3質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、ジブチルチンラウレート0.1質量部と、ジイソシアネートとして1,6−ジイソシアネート−2,2,4−トリメチルヘキサン77.4質量部とを加え、発熱に注意しながら内温を80℃に上昇させた後、温度を保ちながら3時間攪拌した。更に、重合禁止剤としてメトキノンを0.1質量部と、アクリレートとしてプロピレングリコールモノアクリレート31.2質量部を加えて、85℃で2時間攪拌して、ウレタン(メタ)アクリレート(C−1)を得た(重量平均分子量:9500)。
【0054】
下記表1のジオール化合物、ジイソシアネート、及びアクリレートを用いた以外は上記方法と同様にしてウレタン(メタ)アクリレート(C−2)〜(C−5)を得た。
【表1】
【0055】
<粘着剤組成物の製造>
攪拌釜に下記表2から表5のとおりに各成分を加え、2時間混合、攪拌し、各実施例及び比較例の粘着剤組成物を得た。
【0056】
<積層体の製造>
<積層体1の製造>
透明基材(PET、厚み:100μm、全光線透過率:91%、東洋紡製(品番:A4100))上に、各実施例及び比較例の粘着剤組成物をダイコーターにより膜厚が500μmとなるように塗工し、形成された粘着層上へ基材(PC、厚み:125μm、全光線透過率:90%、エスカーボシート製(品番C000))を載せ、ラミネートを行った。そして、メタルハライドランプを用いて紫外線照射(700mJ/cm)を行い、粘着層を硬化させて各実施例及び比較例の積層体1を得た。
【0057】
<積層体2の製造>
透明基材(PC、厚み:125μm、全光線透過率:90%、エスカーボシート製(品番C000))上に、各実施例及び比較例の粘着剤組成物をダイコーターにより膜厚が500μmとなるように塗工し、形成された粘着層上へ基材(ガラス、厚み:0.7mm、全光線透過率:91%、コーニング社製(品番:EAGLE XG))を載せ、ラミネートを行った。そして、メタルハライドランプを用いて紫外線照射(700mJ/cm)を行い、粘着層を硬化させて各実施例及び比較例の積層体2を得た。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
<評価方法>
各実施例及び比較例において得られた粘着剤組成物及び積層体を下記記載の方法によってその性質を評価した。評価結果は上記表2から表5に示す。
【0063】
・密着性
卓上型材料試験機((株)オリエンテック製STA−1150)を用いて各実施例及び比較例の積層体1の密着性をJISZ0237:2009に倣い測定した(剥離速度:300mm/min、180度ピール力試験)。
○:15N/20mm以上
×:15N/20mm未満
【0064】
・耐湿熱性1(耐久性)
各実施例及び比較例の積層体1を縦50mm、横50mmの大きさに裁断し、得られたサンプルのヘイズ値をヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000)にて測定した。測定後、サンプルを60℃、95%RHの恒温恒湿試験機内にて1000時間静置した。その後、サンプルを恒温恒湿試験機から取り出し、23℃、50%RHにて30分静置した後に、サンプルの外観を目視にて観察し、ヘイズ値をヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000)にて測定した。
○:サンプルの外観に剥れや、粘着剤組成物の液ダレ等の異常が無く、恒温恒湿試験機での処理前後でのヘイズ値の変化値(処理前のヘイズ値−処理後のヘイズ値)が±3%未満である。
×:サンプルの外観に剥れ、発泡や、粘着剤組成物の液ダレ等の異常がある。もしくは、恒温恒湿試験機での処理前後でのヘイズ値の変化値(処理前のヘイズ値−処理後のヘイズ値)が±3%以上である。
【0065】
・耐湿熱性2(耐久性)
各実施例及び比較例の積層体1を縦50mm、横50mmの大きさに裁断し、得られたサンプルのヘイズ値をヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000)にて測定した。測定後、サンプルを85℃、85%RHの恒温恒湿試験機内にて2000時間静置した。その後、サンプルを恒温恒湿試験機から取り出し、23℃、50%RHにて30分静置した後に、サンプルの外観を目視にて観察し、ヘイズ値をヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000)にて測定した。
○:サンプルの外観に剥れや、粘着剤組成物の液ダレ等の異常が無く、恒温恒湿試験機での処理前後でのヘイズ値の変化値(処理前のヘイズ値−処理後のヘイズ値)が±3%未満である。
×:サンプルの外観に剥れ、発泡や、粘着剤組成物の液ダレ等の異常がある。もしくは、恒温恒湿試験機での処理前後でのヘイズ値の変化値(処理前のヘイズ値−処理後のヘイズ値)が±3%以上である。
【0066】
・耐熱衝撃性(柔軟性)
各実施例及び比較例の積層体1及び積層体2を縦150mm、横200mmの大きさに裁断し、得られたサンプルのヘイズ値をヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000)にて測定した。測定後、サンプルを以下の試験条件で熱衝撃試験機にて300サイクル処理した。
・高温側試験条件: 95℃、30分間
・低温側試験条件:−40℃、30分間
その後、サンプルを熱衝撃試験機から取り出し、23℃、50%RHにて30分静置した後に、サンプルの外観を目視にて観察し、ヘイズ値をヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000)にて測定した。
◎:積層体1及び積層体2において、サンプルの外観に剥れや、粘着剤組成物の液ダレ等の異常が無く、恒温恒湿試験機での処理前後でのヘイズ値の変化値(処理前のヘイズ値−処理後のヘイズ値)が±3%未満である。
○:積層体2においてサンプルの外観に剥れ、発泡や、粘着剤組成物の液ダレ等の異常がある。尚且つ、積層体1においてサンプルの外観に剥れや、粘着剤組成物の液ダレ等の異常が無く、恒温恒湿試験機での処理前後でのヘイズ値の変化値(処理前のヘイズ値−処理後のヘイズ値)が±3%未満である。
×:積層体1及び積層体2において、サンプルの外観に剥れ、発泡や、粘着剤組成物の液ダレ等の異常がある。もしくは、恒温恒湿試験機での処理前後でのヘイズ値の変化値(処理前のヘイズ値−処理後のヘイズ値)が±3%以上である。
【0067】
・貯蔵安定性
各実施例及び比較例の粘着剤組成物を混合した直後に25℃における粘度(混合直後の粘度)を測定するとともに、50℃で60日間加熱した後再度粘度(加熱後の粘度)を測定し、加熱後の粘度を混合直後の粘度で除して増粘率を算出し、以下の通り評価した。なお、粘度は東機産業株式会社製のR型粘度計RE−85Uを用い、下記条件にて測定した。
使用ロータ:1°34′×R24
測定範囲:0.5183〜103.7Pa・s
◎:増粘率が1.02未満
○:増粘率が1.02以上、1.50未満
×:増粘率が1.50以上
【0068】
上記各試験の結果、各実施例及び参考例の粘着剤組成物は優れた密着性、耐湿熱性(耐久性)、耐熱衝撃性(柔軟性)、及び貯蔵安定性を有していた。一方、比較例1−1は、(B)成分が少なすぎるため耐湿熱性が劣っていた。比較例1−2は(B)成分が多すぎるため、密着性、耐湿熱性、及び耐熱衝撃性が劣っていた。比較例1−3は(C)成分が少なすぎるため、密着性及び耐湿熱性が劣っていた。比較例1−4は(C)成分が多すぎるため、耐熱衝撃性が劣っていた。比較例1−5は(D)成分が少なすぎるため、耐熱衝撃性が劣っていた。比較例1−6は(D)成分が多すぎるため、密着性、耐湿熱性、耐熱衝撃性が劣っていた。比較例1−7は(E)成分が少なすぎるため、耐湿熱性が劣っていた。比較例1−8は(E)成分が多すぎるため、耐湿熱性及び耐熱衝撃性が劣っていた。比較例1−9及び1−10は、(E)成分がヒドロキシル基を有しないため、耐湿熱性が劣っていた。比較例1−11は(A)成分がチオール基を1つしか有しないため、密着性、耐湿熱性、及び耐熱衝撃性が劣っていた。