特許第6962024号(P6962024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962024
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】回転部材および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20211025BHJP
   F16H 55/17 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   G03G21/16 161
   G03G21/16 180
   F16H55/17 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-121823(P2017-121823)
(22)【出願日】2017年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-8038(P2019-8038A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】江口 裕丈
(72)【発明者】
【氏名】松田 貴成
【審査官】 山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−027355(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/099152(WO,A1)
【文献】 特開2016−148381(JP,A)
【文献】 特開2006−090413(JP,A)
【文献】 特開2002−330570(JP,A)
【文献】 特開2006−038018(JP,A)
【文献】 特開2009−228824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/00
G03G 15/16
F16C 13/00−15/00
F16D 1/00− 9/10
F16H 51/00−55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体本体と、
回転軸と、
前記回転軸に形成された取付部と、
前記取付部に圧入されておらず、着脱可能に装着される連結部材と、
前記連結部材に形成され、前記回転軸の径方向に対して位置決めされる位置決め部と、
前記回転軸に固定され且つ前記連結部材に接触して、前記連結部材の着脱方向に対して前記連結部材が位置決めされた状態で、前記連結部材を前記回転軸に対して固定する固定部材と、
前記回転軸の少なくとも周方向の位置決めがされた状態で前記連結部材に支持される被連結部材と、
前記回転軸の軸方向に対して前記連結部材よりも内側に支持された被支持体であって、前記回転軸の回転を検知する回転検知部材により構成された前記被支持体と、
を備えたことを特徴とする回転部材。
【請求項2】
前記回転軸の軸方向から前記回転軸に装着されて、前記連結部材を前記回転軸に固定する前記固定部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転部材。
【請求項3】
前記回転軸の径方向に延びる棒状の部材により構成された前記連結部材と、
前記連結部材の長手方向の内側に形成されたクビレ状の前記位置決め部と、
前記位置決め部に接触する固定部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の回転部材。
【請求項4】
前記連結部材の長手方向に対して傾斜する傾斜面を有する前記位置決め部と、
前記位置決め部の傾斜面に対面して接触する接触面を有する前記固定部材と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の回転部材。
【請求項5】
像保持体と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体の表面の潜像を可視像に現像する現像装置と、
前記像保持体の表面の可視像が転写される中間転写体と、前記中間転写体の表面の可視像を媒体に転写する最終転写部材と、前記中間転写体を回転させる請求項1ないしのいずれかに記載の回転部材と、を有する転写装置と、
前記媒体の表面の可視像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部材および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機やプリンタ等の画像形成装置において、ローラやドラム等の回転部材に関し、以下の特許文献1が従来公知である。
特許文献1としての特開2016−148381号公報には、出力軸(65)に圧入された平行ピン(66)を介して、中間転写ギヤ(63)が出力軸(65)に一体的に回転可能に支持された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−148381号公報(「0030」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、回転体に被連結部材を取り付ける際に回転軸に連結部材を圧入して固定する構成に比べて、回転軸に対して連結部材を着脱可能にすると共に、被連結部材を位置決めして取り付け可能にすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の回転部材は、
回転体本体と、
回転軸と、
前記回転軸に形成された取付部と、
前記取付部に圧入されておらず、着脱可能に装着される連結部材と、
前記連結部材に形成され、前記回転軸の径方向に対して位置決めされる位置決め部と、
前記回転軸に固定され且つ前記連結部材に接触して、前記連結部材の着脱方向に対して前記連結部材が位置決めされた状態で、前記連結部材を前記回転軸に対して固定する固定部材と、
前記回転軸の少なくとも周方向の位置決めがされた状態で前記連結部材に支持される被連結部材と、
前記回転軸の軸方向に対して前記連結部材よりも内側に支持された被支持体であって、前記回転軸の回転を検知する回転検知部材により構成された前記被支持体と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転部材において、
前記回転軸の軸方向から前記回転軸に装着されて、前記連結部材を前記回転軸に固定する前記固定部材、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の回転部材において、
前記回転軸の径方向に延びる棒状の部材により構成された前記連結部材と、
前記連結部材の長手方向の内側に形成されたクビレ状の前記位置決め部と、
前記位置決め部に接触する固定部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転部材において、
前記連結部材の長手方向に対して傾斜する傾斜面を有する前記位置決め部と、
前記位置決め部の傾斜面に対面して接触する接触面を有する前記固定部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の画像形成装置は、
像保持体と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体の表面の潜像を可視像に現像する現像装置と、
前記像保持体の表面の可視像が転写される中間転写体と、前記中間転写体の表面の可視像を媒体に転写する最終転写部材と、前記中間転写体を回転させる請求項1ないしのいずれかに記載の回転部材と、を有する転写装置と、
前記媒体の表面の可視像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,に記載の発明によれば、回転体に被連結部材を取り付ける際に回転軸に連結部材を圧入して固定する構成に比べて、回転軸に対して連結部材を着脱可能にすると共に、被連結部材を位置決めして取り付け可能にすることができる。
また、請求項1,5に記載の発明によれば、被支持体を着脱する場合に、連結部材を取り外して着脱することができる。
さらに、請求項1,5に記載の発明によれば、回転検知部材で回転軸の回転を検知できるとともに、回転検知部材の着脱時に連結部材が着脱の妨げになることを防止できる。
請求項2に記載の発明によれば、連結部材が回転軸の径方向から固定部材で固定される場合に比べて、連結部材が回転軸の回転中心からずれにくい。よって、被連結部材の回転ムラを低減できる。
請求項3に記載の発明によれば、くびれ部に接触する固定部材で、位置決めと固定の両方を行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、固定部材が押す力を傾斜面が対向する方向の分力に分散させることができる。よって、固定部材が接触する部位が傾斜していない場合に比べて、連結部材の破損を低減できる
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2図2は実施例1の可視像形成装置の拡大説明図である。
図3図3は実施例1の中間転写ベルトの駆動ロールの説明図であり、図3Aは斜視図、図3Bは歯車が取り外された状態の説明図である。
図4図4は実施例1の回転軸と連結部材との説明図であり、図4Aは回転軸の説明図、図4Bは回転軸に連結部材が支持された状態の説明図、図4Cは連結部材と固定部材とが装着された状態の説明図である。
図5図5は実施例1の連結部材の説明図であり、図5Aは斜視図、図5Bは連結部材と固定部材との位置関係の説明図である。
図6図6は実施例1の被連結部材の説明図であり、図6A図3Bの矢印VIA方向から見た図、図6B図6AのVIB−VIB線断面図である。
図7図7は実施例1の変形例の説明図である。
図8図8は実施例2の連結部材の説明図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
図9図9は実施例3の連結部材の説明図であり、実施例1の図5Aに対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0016】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2は実施例1の可視像形成装置の拡大説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としての複写機Uは、操作部UI、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U1、媒体供給装置の一例としてのフィーダ部U2、画像記録装置の一例としての作像部U3、および媒体処理装置U4を有している。
【0017】
(操作部UIの説明)
操作部UIは、複写開始や複写枚数の設定などに用いられる入力ボタンUIaを有する。また、前記操作部UIは、前記入力ボタンUIaにより入力された内容や、複写機Uの状態が表示される表示部UIbを有する。
【0018】
(フィーダ部U2の説明)
図1において、フィーダ部U2は、媒体収容容器の一例としての複数の給紙トレイTR1,TR2,TR3,TR4を有している。また、前記フィーダ部U2は、前記各給紙トレイTR1〜TR4に収容された画像記録用の媒体の一例としての記録用紙Sを取り出して、作像部U3に搬送する媒体供給路SH1等を有している。
【0019】
(作像部U3及び媒体処理装置U4の説明)
図1において、作像部U3は、前記フィーダ部U2から搬送された記録用紙Sにスキャナ部U1により読み取った原稿画像に基づいて画像記録を行う画像記録部U3aを有する。
図1図2において、作像部U3の潜像形成装置の駆動回路Dは、スキャナ部U1から入力された画像情報に基づいて、それに応じた駆動信号を予め設定された時期に、各色Y〜Kの潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。各潜像形成装置ROSy〜ROSkの下方には、像保持体の一例としての感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkが配置されている。
【0020】
回転する感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面は、それぞれ、帯電器の一例としての帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkにより一様に帯電される。表面が帯電された感光体ドラムPy〜Pkの表面には、潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより静電潜像が形成される。感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面の静電潜像は、現像装置Gy,Gm,Gc,GkによりイエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kの可視像の一例としてのトナー像に現像される。
なお、現像装置Gy〜Gkにおいて、現像により消費された現像剤は、現像剤の収容容器の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkから補給される。トナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkは、現像剤補給装置U3bに着脱可能に装着される。
【0021】
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、一次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写体の一例としての中間転写ベルトB上に1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色可視像の一例としてのカラートナー像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラートナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、K色の画像情報のみの場合はK色の感光体ドラムPkおよび現像装置Gkのみが使用され、K色のトナー像のみが形成される。
1次転写後の感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkは、像保持体の清掃器の一例としてのドラムクリーナCLy,CLm,CLc,CLkにより、表面に付着した残留現像剤や紙粉等の残留物が除去される。
【0022】
実施例1では、感光体ドラムPk、帯電ロールCRk、ドラムクリーナCLkが、像保持体ユニットの一例としてのK色の感光体ユニットUKとして一体化されている。そして、他の色Y,M,Cについても同様に、感光体ドラムPy,Pm,Pc、帯電ロールCRy,CRm,CRc、ドラムクリーナCLy,CLm,CLcにより、感光体ユニットUY,UM,UCが構成されている。
また、K色の感光体ユニットUKと、現像剤保持体の一例としての現像ロールR0kを有する現像装置Gkとにより、K色の可視像形成装置UK+Gkが構成される。同様に、Y,M,C色の感光体ユニットUY,UM,UCと、現像ロールR0y,R0m,R0cを有する現像装置Gy,Gm,Gcとにより、それぞれ、Y,M,C色の可視像形成装置UY+Gy,UM+Gm,UC+Gcが構成される。
【0023】
感光体ドラムPy〜Pkの下方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体の駆動部材の一例としての駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfおよび対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kとを有する。中間転写ベルトBは矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0024】
前記バックアップロールT2aの下方には、2次転写ユニットUtが配置されている。前記2次転写ユニットUtは、最終転写部材の一例であって、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有する。前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと接触する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、2次転写ロールT2bには、中間転写ベルトBを挟んで、対向部材の一例としてのバックアップロールが対向している。バックアップロールT2aには、給電部材の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。コンタクトロールT2cには、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
前記バックアップロールT2a、2次転写ロールT2b及びコンタクトロールT2cにより、2次転写器T2が構成されている。
【0025】
前記ベルトモジュールBMの下方には、媒体の搬送路SH2が配置されている。前記フィーダ部U2の媒体供給路SH1から給紙された記録用紙Sは、媒体の搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、搬送時期の調節部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。レジロールRrは、中間転写ベルトB上に形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて、記録用紙Sを下流側に搬送する。レジロールRrにより送り出された記録用紙Sは、レジ側の用紙ガイドSGr、転写前の用紙ガイドSG1で案内されて、2次転写領域Q4に搬送される。
中間転写ベルトB上のトナー像は、2次転写領域Q4を通過する際に、2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラートナー像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、前記2次転写器T2、中間転写ベルトBにより、実施例1の転写装置T1y〜T1k+T2+Bが構成されている。
【0026】
2次転写後の中間転写ベルトBは、2次転写領域Q4の下流側に配置された中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃される。ベルトクリーナCLBは、2次転写領域Q4において、転写されずに残った現像剤や紙粉などの残留物を、中間転写ベルトBから除去する。
【0027】
トナー像が転写された記録用紙Sは、転写後の用紙ガイドSG2で案内されて、搬送部材の一例としての媒体搬送ベルトBHに送られる。媒体搬送ベルトBHは、記録用紙Sを定着装置Fに搬送する。
定着装置Fは、加熱部材の一例としての加熱ロールFhと加圧部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。記録用紙Sは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域である定着領域Q5に搬送される。記録用紙Sのトナー像は、定着領域Q5を通過する際に、定着装置Fにより加熱および加圧されて、定着される。
前記可視像形成装置UY+Gy〜UK+Gk、転写装置T1y〜T1k+T2+B、定着装置Fにより、実施例1の画像記録部U3aが構成されている。
【0028】
前記定着装置Fの下流側には、切替部材の一例としての切替ゲートGT1が設けられている。前記切替ゲートGT1は、定着領域Q5を通過した記録用紙Sを、媒体処理装置U4側の排出路SH3または反転路SH4のいずれかに、選択的に切り替える。排出路SH3に搬送された記録用紙Sは、媒体処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。用紙搬送路SH5には、反りの補正部材の一例としてのカール補正部材U4aが配置されている。カール補正部材U4aは、搬入された記録用紙Sの反り、いわゆるカールを補正する。カールが補正された記録用紙Sは、媒体の排出部材の一例としての排出ロールRhにより、媒体の排出部の一例としての排出トレイTH1に、用紙の画像定着面が上向きで排出される。
【0029】
前記切替ゲートGT1により作像部U3の反転路SH4側に搬送された記録用紙Sは、切替部材の一例としての第2のゲートGT2を通って作像部U3の反転路SH4に搬送される。
このとき、記録用紙Sの画像定着面を下向きに排出する場合には、第2のゲートGT2を記録用紙Sの搬送方向後端が通過した後に、記録用紙Sの搬送方向を逆転させる。ここで、実施例1の第2のゲートGT2は、薄膜状の弾性部材により構成されている。したがって、第2のゲートGT2は、反転路SH4に搬送されてきた記録用紙Sをそのまま一旦通過させ、通過した記録用紙Sが反転、いわゆるスイッチバックされてくると、搬送路SH3,SH5側に案内する。そして、スイッチバックされた記録用紙Sは、カール補正部材U4aを通過して、画像定着面が下を向いた状態で排出トレイTH1に排出される。
【0030】
前記作像部U3の反転路SH4には循環路SH6が接続されており、その接続部には、切替部材の一例としての第3のゲートGT3が配置されている。また、反転路SH4の下流端は、媒体処理装置U4の反転路SH7に接続されている。
前記切替ゲートGT1を通って反転路SH4に搬送された記録用紙Sは、第3のゲートGT3により前記媒体処理装置U4の反転路SH7側に搬送される。実施例1の第3のゲートGT3は、第2のゲートGT2と同様に、薄膜状の弾性部材により構成されている。したがって、第3のゲートGT3は、反転路SH4を搬送されてきた記録用紙Sを、一旦通過させ、通過した記録用紙Sがスイッチバックされてくると、循環路SH6側に案内する。
【0031】
前記循環路SH6に搬送された記録用紙Sは、媒体の搬送路SH2を通って2次転写領域Q4に再送され、二面目の印刷が行われる。
前記符号SH1〜SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH,GT1〜GT3で示された要素により、実施例1の用紙搬送装置SUが構成されている。
【0032】
(駆動ロールの説明)
図3は実施例1の中間転写ベルトの駆動ロールの説明図であり、図3Aは斜視図、図3Bは歯車が取り外された状態の説明図である。
図4は実施例1の回転軸と連結部材との説明図であり、図4Aは回転軸の説明図、図4Bは回転軸に連結部材が支持された状態の説明図、図4Cは連結部材と固定部材とが装着された状態の説明図である。
図5は実施例1の連結部材の説明図であり、図5Aは斜視図、図5Bは連結部材と固定部材との位置関係の説明図である。
【0033】
図3において、回転部材の一例としての駆動ロールRdは、回転体本体の一例としてのロール本体1を有する。ロール本体1は、軸方向の外側に延びる回転軸2に支持されている。図4Aにおいて、実施例1の回転軸2では、軸方向の外端部に、連結部材の支持部の一例としての貫通孔2aが形成されている。実施例1の貫通孔2aは、回転軸2の回転中心を通過し且つ径方向に貫通する孔により構成されている。また、実施例1の回転軸2には、固定部材の支持部の一例としての固定ネジ孔2bが形成されている。実施例1の固定ネジ孔2bは、回転軸2の回転中心に対して、軸方向の外端から軸方向の内側に向かって延びるネジ孔により構成されている。固定ネジ孔2bの内端は、貫通孔2aに接続されている。
【0034】
図3において、回転軸2には、ロール本体1の軸方向の外側に、被支持体の一例であって、回転検知部材の一例としてのエンコーダ3が支持されている。実施例1のエンコーダ3は、装着部材の一例としてのエンコーダ支持部材4を介して回転軸2に支持されている。実施例1のエンコーダ3は、円板状に形成されており、図示しない径方向に延びるスリットが形成されている。したがって、図示しない光センサ等でスリットを検知することで、エンコーダ3と一体的に回転する回転軸2やロール本体1の回転角度や回転回数を検知可能である。
【0035】
図4において、貫通孔2aには、連結部材の一例としての平行ピン6が貫通した状態で支持されている。図5において、実施例1の平行ピン6は、回転軸2の径方向に延びる棒状の部材により構成されている。実施例1の平行ピン6は、長手方向(平行ピン6の軸方向)の両端部の大径部6a,6bと、位置決め部の一例としてのくびれ部6cとを有する。大径部6a,6bは、外径が貫通孔2aの内径以下に形成されており、平行ピン6は回転軸2に対して圧入されない。
実施例1では、くびれ部6cは、長手方向の内側の一例として平行ピン6の軸方向の中央部に形成されている。くびれ部6cは、大径部6a,6bの内端から内側に行くに連れて径が縮小する一対の傾斜面6c1と、傾斜面6c1の内端どうしを接続する小径部6c2とを有する。なお、実施例1の傾斜面6c1は傾斜面の一例としての部分円錐面により構成されている。
【0036】
図4C図5Bにおいて、前記固定ネジ孔2bには、固定部材の一例としての芋ネジ(セットスクリュー)7が支持されている。芋ネジ7は、外周面にねじが切られており、ドライバーやレンチ等の公知の工具で固定ネジ孔2bにネジ嵌合で着脱が可能である。図5Bにおいて、芋ネジ7が固定ネジ孔2bの奥まで装着された状態では、芋ネジ7の先端部の接触面7aが、平行ピン6の各傾斜面6c1に接触し、小径部6c2には接触しないように形成されている。実施例1の接触面7aは、傾斜面6c1に対応する傾斜を有する部分円錐面により構成されている。
【0037】
図6は実施例1の被連結部材の説明図であり、図6A図3Bの矢印VIA方向から見た図、図6B図6AのVIB−VIB線断面図である。
図3において、実施例1の回転軸2には、軸方向の外端部に、被連結部材の一例としてのギア8が支持されている。ギア8は、回転軸2が挿入される挿入孔8aを有する。挿入孔8aに対して、回転軸2の軸方向の内側の部分には、平行ピン6に対応して回転軸2の径方向に延びる被連結部の一例としての被連結溝8bが形成されている。
したがって、被連結溝8bに平行ピン6が嵌った状態では、ギア8に図示しない駆動源からの駆動が伝達されると、ギア8と一体的に回転軸2やロール本体1が回転する。なお、回転軸2にギア8が連結された状態では、軸方向の端部に、停止部材の一例としてのCクリップ(図示せず)やネジ(図示せず)が装着されて、回転軸2からギア8が脱落しないように固定される。
【0038】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の駆動ロールRdでは、平行ピン6を介してギア8と回転軸2やロール本体1が一体的に回転する。実施例1の平行ピン6には、くびれ部6cの両側の傾斜面6c1に芋ネジ7の接触面7aが接触している。したがって、平行ピン6は、長手方向(回転軸2の径方向)にも、また芋ネジ7の接触面7aがくびれ部6cに接触することにより受ける押付け力により、平行ピン6が貫通孔2aの内面に押し当てられることで短手方向(回転軸2の軸方向)にも位置決めされている。
ここで、平行ピンが回転軸に圧入されておらず、回転軸に挿入されているだけの構成のように、平行ピンが回転軸に固定されていない構成では、平行ピンの位置が公差分ガタついたり、位置ずれが発生する。したがって、平行ピンに連結されるギアに、回転時に周期的な回転ムラが発生する恐れがある。また、平行ピンの位置ずれが発生すると、ギアを装着する際にギアをうまく挿入できず、ギアが変形したり、組み立てられない問題が発生することもある。また、摩耗や破損によってギアを市場で交換する際に、平行ピンが脱落し、作業時間が長くなる懸念がある。これに対して、実施例1では、平行ピン6が芋ネジ7で位置決めされている。したがって、回転時の回転ムラやギアの変形、組み立て不良が低減されたり、交換時の作業性も向上する。
【0039】
また、特許文献1に記載の構成のように、平行ピンが回転軸に圧入された構成では、ギアの内側に配置されたエンコーダが破損等して交換する必要があったり、調整をする必要があったりしても、平行ピンが圧入されて外せない。したがって、軸方向の外側に配置された平行ピンがエンコーダの交換等の妨げとなる問題がある。また、圧入する構成は、製造工程時に、強い力で貫通孔に挿入しつつ、目的の位置(挿入方向)で精度よく停止させる必要があり、製造工程が煩雑であるという問題もある。これらに対して、実施例1の駆動ロールRdでは、平行ピン6は、圧入されておらず、芋ネジ7を取り外すことで、平行ピン6を回転軸2から取り外すことが可能である。したがって、エンコーダ等の軸方向の内側に配置された部材の交換も容易に実行可能である。また、圧入する場合に比べて、製造工程も簡易になる。
【0040】
図5Bにおいて、実施例1では、芋ネジ7の接触面7aが、芋ネジ7が締結時に移動する方向(回転軸2の軸方向、図5の矢印11の方向)に対して傾斜している。したがって、平行ピン6が長手方向(回転軸2の径方向)にずれていると、芋ネジ7をねじ込むに連れて、接触面7aが一方の傾斜面6c1を押して、平行ピン6が長手方向に押され、平行ピン6の位置が予め設定された位置に移動される。そして、芋ネジ7の接触面7aが両側の傾斜面6c1に接触するまで芋ネジ7がねじ込まれると、芋ネジ7が平行ピン6が予め設定された位置に位置決めすると共に、平行ピン6が軸方向に抜けないように固定される。すなわち、実施例1では、芋ネジ7が平行ピン6の位置決めと固定を兼用している。
【0041】
また、図5Bにおいて、実施例1の芋ネジ7の接触面7aと平行ピン6の傾斜面6c1とが接触した状態となる。したがって、芋ネジ7が平行ピン6を押す力11は、図5Bの矢印11a,11bに示すように、傾斜面6c1の法線方向の成分に分解される。
芋ネジ7が、くびれ部6cの小径部6c2に接触して平行ピン6を位置決めする構成に変更することも可能であるが、芋ネジ7を作業者がねじ込みすぎた場合、小径部6c2の強度が弱いと、最悪の場合、平行ピン6が折れてしまう恐れがある。これに対して、実施例1では、傾斜面6c1に接触面7aが接触しており、芋ネジ7が押す力11が、弱い法線方向成分11a,11bに分解される。よって、芋ネジ7をねじ込みすぎても、平行ピン6が破損することが低減される。
【0042】
(実施例1の変形例)
図7は実施例1の変形例の説明図である。
図7に示すように、固定ネジ孔2b′を、図4に示すような軸方向の孔でなく、径方向に延びる孔とすることも可能である。なお、図7に示す構成では、芋ネジ7を装着した場合、平行ピン6が径方向に押される。したがって、平行ピン6が回転軸2の回転中心からずれる恐れがある。これに対して、図4に示す構成では、芋ネジ7で平行ピン6が押されても、回転軸2の軸方向に押される。よって、平行ピン6は、回転軸2の回転中心からずれない。したがって、図7に示す構成に比べて、図4に示す構成の方が精度が向上しやすい。なお、要求される精度や回転ムラの許容度によっては、図7に示す構成を採用することも可能である。
【実施例2】
【0043】
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0044】
図8は実施例2の連結部材の説明図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
図8において、実施例2の駆動ロールRdでは、実施例1の平行ピン6に替えて、連結部材の一例としての段付きピン6′が使用されている。段付きピン6′は、長手方向(回転軸2の径方向)の一方に大径部6a′が形成され、他方に小径部6b′が形成されている。よって、大径部6a′と小径部6b′との境界部分に、位置決め部の一例としての段差部6c′が形成されている。また、実施例2では、芋ネジ7が段付きピン6′の外表面に接触して、段付きピン6′が長手方向に抜けないように固定している。さらに、実施例2では、実施例1の貫通孔2aと異なり、段付きピン6′の外形形状に対応する貫通孔2a′により構成されている。したがって、貫通孔2a′は、段付きピン6′の外形に対応して、大径孔部2a1′と、小径孔部2a2′と、孔境界部2a3′と、を有する。したがって、段付きピン6′が回転軸2に装着される場合には、段付きピン6′が大径孔部2a1′から挿入され、段差部6c′が孔境界部2a3′に接触することで段付きピン6′が位置決めされる。
【0045】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の駆動ロールRdでは、段付きピン6′の位置決めが貫通孔2a′の孔境界部2a3′で行われ、固定(回転軸2からの脱落防止)が芋ネジ7で行われている。したがって、実施例2の駆動ロールRdでも、実施例1と同様に、段付きピン6′を回転軸2に対して着脱可能且つ、装着時の位置決めも容易に行うことが可能である。
【実施例3】
【0046】
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0047】
図9は実施例3の連結部材の説明図であり、実施例1の図5Aに対応する図である。
図9において、実施例3の駆動ロールRdでは、実施例1の平行ピン6に替えて、連結部材の一例としての平行ピン6″が使用されている。実施例3の平行ピン6″は、くびれ部6cに替えて、位置決め部の一例として、周方向に間隔をあけて複数の凹部6c″が形成されている。なお、凹部6c″は、芋ネジ7の接触面7aに対応して形成されている。したがって、芋ネジ7が装着された場合には、図5Bと同様に、芋ネジの接触面7aと凹部6c″の面とが接触して、平行ピン6″は、回転軸2に位置決めされた状態で固定される。
【0048】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の駆動ロールRdでは、実施例1と同様に、平行ピン6″の凹部6c″に芋ネジ7が接触することで位置決めされた状態で固定可能である。また、実施例3の平行ピン6″では、凹部6c″に芋ネジ7を嵌めることで、平行ピン6″の長手方向だけでなく、平行ピン6″の周方向の位置も所定の位置に設定することが可能である。
【0049】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H05)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機Uによる構成を例示したが、これに限定されず、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能であり、いわゆるタンデム式の画像形成装置に限定されず、ロータリ式等の画像形成装置にも適用可能である。
【0050】
(H02)前記実施例において、回転部材の一例として中間転写ベルトBの駆動ロールRdを例示したが、これに限定されない。例えば、感光体ドラムPy〜Pkや現像装置Gy〜Gkのローラや、定着装置Fの定着ローラFh,Fp、用紙搬送路SHに配置された搬送ロール等にも適用可能である。また、他の部材を作動させるカム(回転部材)に適用することも可能である。さらに、回転軸と螺旋状の搬送部(回転体本体)とを有する現像剤の搬送部材(回転部材)に適用することも可能である。
(H03)前記実施例において、被連結部材の一例として、ギア8を例示したが、これに限定されない。例えば、ベルトの縁に接触してベルトの片寄りや脱落を抑制するためのフランジ部材や、回転を安定させるためのフライホイール等、回転軸に装着可能な任意の被連結部材に適用可能である。
【0051】
(H04)前記実施例において、被連結部材の軸方向の内側に支持される被支持体の一例として、エンコーダ3を例示したがこれに限定されない。回転軸に連結可能な任意の構成に適用可能であり、(H03)で前述したフランジ部材やフライホイール等を使用することも可能である。
(H05)前記実施例において、連結部材6、6′、6″を軸方向の片側に配置する構成を例示したが、両側に配置することも可能である。また、エンコーダ3を固定する構成にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…回転体本体、
2…回転軸、
2a…取付部、
3…被支持体,回転検知部材
6,6′,6″…連結部材、
6c1…傾斜面、
6c,6c′,6c″…位置決め部、
7…固定部材、
7a…接触面、
8…被連結部材、
B…中間転写体、
F…定着装置、
Gy,Gm,Gc,Gk…現像装置、
Py,Pm,Pc,Pk…像保持体、
Rd…回転部材、
ROSy,ROSm,ROSc,ROSk…潜像形成装置、
S…媒体、
T1y〜T1k+T2+B…転写装置、
T2b…最終転写部材、
U…画像形成装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9