(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図8は、コヒーレント光伝送システムで用いられる一般的な光受信器900の構成を示すブロック図である。光受信器900は、入力された受信光をコヒーレント検波して電気信号に変換するO/E(Optical/Electrical)変換回路910と、O/E変換回路910から出力される電気信号を処理する信号処理回路920を備える。コヒーレント光伝送で用いられる光受信器の一般的な構成はよく知られているため、以下では簡単に説明する。
【0003】
O/E変換回路910は、ビームスプリッタ901及び902、局部発振回路(Local Oscillator、LO)903、ハイブリッド回路904及び905、受光器906、トランスインピーダンスアンプ(Transimpedance Amplifier、TIA)907を備える。
【0004】
受信光は、偏波多重されたQPSK(DP-QPSK、Dual Polarization - Quadrature Phase Shift. Keying)信号である。受信光はビームスプリッタ901で分岐され、ハイブリッド回路904及び905に分配される。LO903から出力された局部発振光(以下、「LO光」という。)はビームスプリッタ902で分岐され、ハイブリッド回路904及び905に分配される。
【0005】
ハイブリッド回路904は、受信光とLO光とを干渉させて、XI(X-inphase)信号とXQ(X-quadrature)信号を出力する。ハイブリッド回路905は、受信光と局発光とを干渉させて、XI信号、XQ信号と直交するYI(Y-inphase)信号とYQ(Y-quadrature)信号を出力する。XI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号は差動信号として受光器906へ出力される。受光器906は、XI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号を電気信号に変換して、TIA907へ出力する。TIA907は、受光器906から入力された電気信号を増幅してアナログデジタル変換器(Analog-Digital Converter、ADC)921へ出力する。
【0006】
信号処理回路920は、ADC921、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)922を備える。ADC921は、TIA907から入力された電気信号をデジタル信号に変換して、DSP922へ出力する。DSP922は、入力されたデジタル信号に対して、伝送路(光ファイバ)の特性に起因する波長分散や偏波分散などの信号歪みを補正して、受信信号として出力する。
【0007】
本発明に関連して、特許文献1には、光信号をコヒーレント受信する光受信回路が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の光伝送システム1の構成例を示すブロック図である。光伝送システム1はコヒーレント光伝送システムであり、光送信器100、光伝送路110、光増幅器120、光受信器200を備える。光送信器100は、伝送データによってコヒーレント変調された光信号(以下、「送信光」という。)を送信する。本実施形態の光信号の変調方式は、DP−QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift. Keying)である。光伝送路110は光ファイバであり、光増幅器120は光伝送路110を伝搬する送信光を増幅する光ファイバ増幅器である。光受信器200は、受信した送信光(以下、「受信光」という。)をコヒーレント検波して、伝送データを再生する。
【0016】
図2は、光受信器200の構成例を示すブロック図である。光受信器200は、
図8で説明した光受信器900と比較して、光シャッター211、ビームスプリッタ212、光変調器(Modulator、MOD)213、制御回路230をさらに備える。光変調器213として、既知の半導体光変調器を用いることができる。また、光受信器200は、ビームスプリッタ901に代えてビームスプリッタ214を備える。ビームスプリッタ214は、偏波分離機能を持つ2×2光カプラである。
【0017】
光受信器200は、入力された受信光をコヒーレント検波して電気信号に変換するO/E変換回路210と、O/E変換回路210から出力される電気信号を処理する信号処理回路220とを備える。信号処理回路220は、O/E変換回路210から出力される電気信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号を処理して伝送データを再生する信号処理手段を担う。コヒーレント光伝送で用いられる受信器の一般的な構成はよく知られているため、公知の技術の説明は適宜省略する。
【0018】
O/E変換回路210は、LO(Local Oscillator、局部発振回路)201、光シャッター211、ビームスプリッタ212、214及び215、光変調器213、制御回路230を備える。O/E変換回路210は、さらに、ハイブリッド回路216及び217、受光器218、TIA(Transimpedance Amplifier)219を備える。
【0019】
DP−QPSK信号である受信光は、光シャッター211を経由してビームスプリッタ214で分岐され、ハイブリッド回路216及び217に分配される。ビームスプリッタ214は、入力された光信号を互いに直交する偏波を持つ光信号に分離して、それぞれの光信号をハイブリッド回路216及び217に出力する。
【0020】
LO201から出力された局発光(LO光)はビームスプリッタ212で分岐され、光変調器213及びビームスプリッタ215に分配される。ビームスプリッタ212で分岐されたLO光の一方は、ビームスプリッタ215においてハイブリッド回路216及び217に分配される。ビームスプリッタ215は、ハイブリッド回路216、217及び受光器218において好適な干渉結果が得られるように、LO光の偏波を回転させる機能を備えてもよい。
【0021】
ハイブリッド回路216及び217は、「90度ハイブリッド」とも呼ばれる。ハイブリッド回路は偏波毎に備えられる。すなわち、ハイブリッド回路216は、受信光のX偏波成分とLO光とを干渉させて、XI(X-inphase)信号とXQ(X-quadrature)信号を出力する。ハイブリッド回路217は、受信光のY偏波成分とLO光とを干渉させて、YI(Y-inphase)信号とYQ(Y-quadrature)信号を出力する。Y偏波は、X偏波と直交する偏波である。XI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号は差動信号として受光器218へ出力される。受光器218は8個のフォトダイオードからなり、XI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号を差動電気信号に変換して、TIA219へ出力する。TIA219は4個の増幅器からなり、受光器218から入力された電気信号の電流−電圧変換及び増幅を行いその出力をADC221へ出力する。
【0022】
信号処理回路220は、ADC(Analog-Digital Converter)221、DSP(Digital Signal Processor)222を備える。
【0023】
ADC221は、TIA219から入力された差動電気信号をデジタル信号に変換して、DSP222へ出力する。DSP222は、入力されたデジタル信号に対して、伝送路(光ファイバ)の特性に起因する波長分散や偏波分散などの信号歪みを補正して伝送データを再生し、受信信号として出力する。
【0024】
光受信器200では、LO光はビームスプリッタ212により分割される。分割されたLO光の一方はビームスプリッタ215を通過して、受信光のコヒーレント検波に用いられる。LO光の他方は光変調器213を経由してビームスプリッタ214に入力される。光変調器213の動作は後述する。
【0025】
図3は、光受信器200の受信光を検波する通常の運用時の動作を説明する図である。以下では受信光を検波する動作状態を「通常モード」と呼ぶ。また、以降の図面の説明では、既出の要素には同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0026】
通常モード時には、制御回路230は、受信光が光シャッター211を透過するように制御するとともに、光変調器213の出力が消光するように光変調器213を制御する。その結果、ビームスプリッタ214は受信光のみを偏波分離してハイブリッド回路216及び217へ出力する。すなわち、ハイブリッド回路216及び217には受信光が入力され、光変調器213の出力は入力されない。通常モードにおける光受信器200の動作は、一般的な光受信器と同様である。
【0027】
図4は、光受信器200の劣化検出手順の実行時の動作を説明する図である。以下では劣化検出手順を実行する動作状態を「劣化検出モード」と呼ぶ。劣化検出モードでは、光受信器200の劣化の有無が判定される。そして、劣化検出モードでは、制御回路230は受信光が阻止されるように光シャッター211を制御する。さらに、制御回路230は、変調光を出力するように光変調器213を制御する。具体的には、制御回路230は、光変調器213のバイアス電圧を制御するとともにダミーデータを光変調器に入力する。その結果、光変調器213に入力されるLO光は所定の変調方式によってダミーデータによって変調される。
【0028】
このような制御の結果、ビームスプリッタ214はダミーデータによって変調されたLO光(以下、「テスト信号光」という。)のみを偏波分離してハイブリッド回路216及び217へ出力する。すなわち、ハイブリッド回路216及び217には受信光は入力されず、テスト信号光がハイブリッド回路216及び217に入力される。このように、光シャッター211及び光変調器213は、制御回路230の制御により受信光及びテスト信号光の一方を選択的にビームスプリッタ214へ出力する。
【0029】
所定の変調方式として受信光と同様の変調方式(例えばDP−QPSK)を用い、受信光に含まれる伝送データと同じ速度のデータをダミーデータとして用いることで、受信光と同様の手順によりテスト信号光を復調できる。
【0030】
図4においては、光変調器213から出力されたテスト信号光はビームスプリッタ214で偏波分離され、ハイブリッド回路216及び217に入力される。ハイブリッド回路216及び217は、ビームスプリッタ215で分岐されたLO光とテスト信号光とを干渉させる。受光器218及びTIA219は、通常モード時と同様の手順によって、テスト信号光をコヒーレント検波する。信号処理回路220もTIA219から出力された信号に対して通常モード時と同様の処理を行い、テスト信号に含まれるダミーデータを再生する。
【0031】
制御回路230は、劣化判定モードにおいてADC221又はDSP222から出力される電気信号の状態を検査することで、光受信器200の劣化を検出する。例えば、制御回路230は、ADC221がサンプリングした電気信号の特性をモニタする。そして、モニタされた特性と製造直後に光変調器213で変調されたLO光をコヒーレント検波した際の特性とを比較することにより、光受信器200の劣化を検出する。製造直後の特性は、制御回路230のメモリに記録させることができる。
【0032】
劣化判定モードにおいてTIA219から出力される電気信号の振幅と基準値(例えば、記録されていた製造直後の振幅)との差が第1の閾値以上である場合には、当該電気信号の振幅を低下させる劣化が発生していると判断してもよい。このような劣化の原因としては、O/E変換回路210の内部の光部品の損失の増大、受光器218の受光効率の低下、TIA219の増幅率の低下が考えられる。
【0033】
また、電気信号の振幅の時間的な変動幅が第2の閾値以上である場合には、LO201が備える発光素子又はTIA219に異常があると判断してもよい。なぜならば、ビームスプリッタ214及び215、ハイブリッド回路216及び217といった受動光部品や受光器218の時間的な損失変動は一般的に緩慢であるからである。
【0034】
さらに、制御回路230がモニタする電気信号の特性は振幅に限られない。制御回路230はADC221が出力する信号のエラーレートを測定し、エラーレートが第3の閾値よりも高い場合にはO/E変換回路210又はADC221に異常があると判断してもよい。
【0035】
あるいは、制御回路230は、TIA219の出力信号をモニタし、TIA219の出力信号の特性(例えば振幅)に基づいてテスト信号光の特性の劣化量を求めてもよい。TIA219の出力信号を用いることで、ADC221又はDSP222の故障や劣化の影響を排除できる。このように、テスト信号光の特性は、TIA219、ADC221又はDSP222においてモニタされた電気信号の特性として表現される。
【0036】
図5は、光受信器200の動作手順の例を示すフローチャートである。通常モードでは、制御回路230は光シャッター211をON(透過)状態として受信光をビームスプリッタ214に導く(
図5のステップS01)。ハイブリッド回路216及び217、受光器218により受信光がコヒーレント検波される(ステップS02)。受光器218の出力はTIA219で増幅され、ADC221でデジタル信号に変換され、DSP222から伝送データが出力される。
【0037】
通常モードでの動作中、制御回路230は、光受信器200の劣化検出を開始する指示(すなわち、劣化検出モードへの変更の指示)があるかどうかを判断する(ステップS03)。光受信器200の管理者が外部から制御回路230に劣化検出モードへの変更の指示を行ってもよい。劣化検出開始の指示がない場合は(ステップS03:NO)、光受信器200は、受信光のコヒーレント検波を継続する(ステップS02)。劣化検出開始の指示があった場合は(ステップS03:YES)、制御回路230は光シャッター211をOFF(遮断)状態としてビームスプリッタ214への受信光の送出を停止する。さらに、制御回路230はLO光をダミーデータで変調するように光変調器213を駆動する(ステップS04)。その結果、LO光をダミーデータで変調したテスト信号光が、受信光と同様の手順でコヒーレント検波される(ステップS05)。
【0038】
制御回路230は、テスト信号光の特性を、基準値と比較する(ステップS06)。上述したように、制御回路230は、コヒーレント検波によって生成された電気信号の振幅を光受信器200の製造時のデータと比較してもよい。あるいは、当該電気信号の振幅の変動量や電気信号のエラーレートを基準値と比較してもよい。
【0039】
テスト信号光の特性と基準値との比較の結果、テスト信号光の特性の劣化量が閾値以上である場合には(ステップS07:YES)、制御回路230は光受信器200が劣化したと判定する(ステップS08)。テスト信号光の特性の劣化量が閾値未満である場合には(ステップS07:NO)、制御回路230は、光受信器200は劣化していないと判定する(ステップS09)。これらの判定結果は、制御回路230から光受信器200の管理者へ通知されてもよい。
【0040】
このような構成を備える光受信器200は、テスト信号光の特性を基準値と比較する機能を備えるため、光受信器200の故障の有無を簡便に検出可能である。
【0041】
本実施形態では、受信光の変調方式がDP−QPSKである場合について説明した。しかし、受信光の変調方式はこれに限定されない。本実施形態は受信光がコヒーレント光伝送に適合した他の変調方式である場合にも適用でき、その場合にも同様の効果が得られる。例えば、受信光の変調方式は、DP−8QAM(Quadrature Amplitude Modulation)やDP−16QAMであってもよい。また、テスト信号光の変調方式も限定されない。以降の実施形態においても、受信光及びテスト信号光の変調方式はDP−QPSKに限定されない。
【0042】
(第1実施形態の最小構成)
光受信器の故障の有無を簡便に検出可能という光受信器200の効果は、以下の最小構成の光受信器によっても得られる。最小構成の光受信器は、コヒーレント光伝送システム1で用いられる光受信器であって、O/E変換回路210と制御回路230とを備える。
【0043】
O/E変換回路210は、光−電気変換手段を担う。光−電気変換手段は、受信光と、分岐された局部発振光の一方をダミーデータで変調したテスト信号光とのいずれかの光信号を選択する。そして、光−電気変換手段は、分岐された局部発振光の他方と選択された光信号とを干渉させることでコヒーレント検波して電気信号を生成する。制御回路230は、制御手段を担う。制御手段は、ダミーデータを生成するとともに、テスト信号光をコヒーレント検波して生成された電気信号の特性に基づいて光受信器の劣化の有無を判断する。
【0044】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態の光受信器300の構成例を示すブロック図である。光受信器300は、第1実施形態の光伝送システム1において、光受信器200に代えて用いられる。光受信器300は、光受信器200が備える光シャッター211に代えて可変光減衰器(Variable Optical Attenuator、VOA)251を備える。制御回路230は、光シャッター211のON(透過)及びOFF(阻止)に代えて、VOA251の減衰量を最低(透過)及び最大(阻止)に制御する。このような構成を備える光受信器300も、光受信器200と同様の効果を奏することができる。
【0045】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態の光受信器400の構成例を示すブロック図である。光受信器400は、第1実施形態の光伝送システム1において、光受信器200に代えて用いられる。光受信器400は、光受信器200が備えるビームスプリッタ212と光変調器213との間に光シャッター261を備える。光シャッター261は、光変調器213を使用しない場合はOFF(阻止)、光変調器213を使用する場合はON(透過)となるように制御回路230によって制御される。
【0046】
光変調器213の光損失が充分に高くない場合には、通常モードにおいてLO光がビームスプリッタ214を経由してハイブリッド回路216及び217に漏洩する恐れがある。このようなLO光の漏洩は、ハイブリッド回路216及び217には雑音となり、受信品質の低下の原因となりうる。光受信器400は、光シャッター261を備えることで、通常モード時には不必要なLO光がビームスプリッタ214に入力されることを防止できる。その結果、光受信器400は、光受信器400の故障の有無を簡便に検出可能であるとともに、通常モードにおける受信品質の低下を抑制できる。
【0047】
以上の各実施形態に記載された構成は、必ずしも互いに排他的なものではない。本発明の作用及び効果は、上述の実施形態の全部又は一部を組み合わせた構成によって実現されてもよい。例えば、第3実施形態の光受信器400において、光シャッター211及び261の少なくとも一方に、第2実施形態で説明した可変光減衰器を用いてもよい。
【0048】
また、各実施形態に記載された機能及び手順は、制御回路230が備える中央処理装置(central processing unit、CPU)がプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムは、固定された、一時的でない記録媒体に記録される。記録媒体としては半導体メモリ又は固定磁気ディスク装置が用いられるが、これらには限定されない。また、DSP222がCPUの機能を担ってもよい。
【0049】
なお、本発明の実施形態は以下の付記のようにも記載されうるが、これらには限定されない。
【0050】
(付記1)
コヒーレント光伝送システムで用いられる光受信器であって、
受信光と、分岐された局部発振光の一方をダミーデータで変調したテスト信号光とのいずれかの光信号を選択し、分岐された前記局部発振光の他方と選択された前記光信号とを干渉させることでコヒーレント検波して電気信号を生成する光−電気変換手段と、
前記ダミーデータを生成し、前記テスト信号光をコヒーレント検波して生成された前記電気信号の特性に基づいて前記光受信器の劣化の有無を判断する制御手段と、
を備える光受信器。
【0051】
(付記2)
前記制御手段は、前記テスト信号光をコヒーレント検波して生成された前記電気信号の振幅と基準値との差が第1の閾値以上である場合に、前記光受信器が劣化したと判断する、付記1に記載された光受信器。
【0052】
(付記3)
前記制御手段は、前記テスト信号光をコヒーレント検波して生成された前記電気信号の振幅の時間的な変動幅が第2の閾値以上である場合に、前記光受信器が劣化したと判断する、付記1又は2に記載された光受信器。
【0053】
(付記4)
前記制御手段は、前記テスト信号光をコヒーレント検波して生成された前記電気信号のエラーレートが第3の閾値以上である場合に、前記光受信器が劣化したと判断する、付記1乃至3のいずれかに記載された光受信器。
【0054】
(付記5)
前記光−電気変換手段は、
前記局部発振光を生成する局部発振回路と、
前記局部発振光を分岐して前記局部発振光の一方及び他方として出力する第1のビームスプリッタと、
前記受信光を透過又は阻止する第1の光機能素子と、
前記局部発振光の一方を前記ダミーデータで変調して前記テスト信号光を生成する光変調器と、
前記テスト信号光又は前記第1の光機能素子を透過した前記受信光を偏波分離して偏波毎に備えられたハイブリッド回路へ出力する第2のビームスプリッタと、
前記局部発振光の他方を分岐して前記ハイブリッド回路へ出力する第3のビームスプリッタと、
前記ハイブリッド回路から出力される光を電気信号に変換する受光器と、
前記受光器から出力された電気信号を増幅する増幅器と、
を備える付記1乃至4のいずれか1項に記載された光受信器。
【0055】
(付記6)
前記受信光及び前記テスト信号光の変調方式は、DP−QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift Keying)、DP−8QAM(Quadrature Amplitude Modulation)及びDP−16QAMのいずれか1つである、付記5に記載された光受信器。
【0056】
(付記7)
前記第1の光機能素子及び前記光変調器は、前記制御手段の制御により前記受信光及び前記テスト信号光の一方を選択的に前記第2のビームスプリッタへ出力する、付記6に記載された光受信器。
【0057】
(付記8)
前記第1の光機能素子は光シャッター及び可変光減衰器のいずれか一方である、付記5乃至7のいずれか1項に記載された光受信器。
【0058】
(付記9)
前記第1のビームスプリッタと前記第2のビームスプリッタとの間に前記局部発振光を透過又は阻止する第2の光機能素子を備える、付記5乃至8のいずれか1項に記載された光受信器。
【0059】
(付記10)
前記第2の光機能素子は光シャッター及び可変光減衰器のいずれか一方である、付記9に記載された光受信器。
【0060】
(付記11)
前記光−電気変換手段から出力される電気信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号を処理して伝送データを再生する信号処理手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記信号処理手段においてモニタした前記電気信号の特性に基づいて前記光受信器の劣化の有無を判断する、付記1乃至10のいずれか1項に記載された光受信器。
【0061】
(付記12)
送信光を送信する光送信器と、前記送信光を前記受信光として受信する付記1乃至10のいずれか1項に記載された光受信器とを備えるコヒーレント光伝送システム。
【0062】
(付記13)
受信光と、分岐された局部発振光の一方をダミーデータで変調したテスト信号光とのいずれかの光信号を選択し、
分岐された前記局部発振光の他方と選択された前記光信号とを干渉させることでコヒーレント検波して電気信号を生成し、
前記ダミーデータを生成し、
前記テスト信号光をコヒーレント検波して生成された前記電気信号の特性に基づいて光受信器の劣化の有無を判断する、
光受信方法。
【0063】
(付記14)
受信光と、分岐された局部発振光の一方をダミーデータで変調したテスト信号光とのいずれかの光信号を選択する手順、
分岐された前記局部発振光の他方と選択された前記光信号とを干渉させることでコヒーレント検波して電気信号を生成する手順、
前記ダミーデータを生成する手順、
前記テスト信号光をコヒーレント検波して生成された前記電気信号の特性に基づいて光受信器の劣化の有無を判断する手順、
を実行するための光受信器の制御プログラム。
【0064】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記の実施形態に限定されない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。