特許第6962037号(P6962037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962037
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】エアバッグ及びエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2338 20110101AFI20211025BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20211025BHJP
   B60R 21/233 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B60R21/2338
   B60R21/205
   B60R21/233
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-135505(P2017-135505)
(22)【出願日】2017年7月11日
(65)【公開番号】特開2019-18591(P2019-18591A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】竹内 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 和哉
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/002384(WO,A1)
【文献】 特開2017−094774(JP,A)
【文献】 特開平03−032956(JP,A)
【文献】 特開2017−030638(JP,A)
【文献】 特開2003−335203(JP,A)
【文献】 特開2007−216954(JP,A)
【文献】 米国特許第09650011(US,B1)
【文献】 米国特許第09272684(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/205
B60R 21/2338
B60R 21/233
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
助手席とインストルメントパネルとの間で膨張展開する助手席用のエアバッグであって、
メインバッグと、
前記メインバッグの左右の側部にそれぞれ連結され、該メインバッグからガスが流入して膨張するように構成された左サブバッグ及び右サブバッグと、
前記メインバッグの上側に配置され、前記左サブバッグ及び前記右サブバッグの上部に連結されており、前記メインバッグには連結されていない第1テザーと、
長手方向が前後方向を向くように前記メインバッグの上側に配置され、前端部が該メインバッグに連結され、後端部が前記第1テザーに連結されている第2テザーと、
を備えることを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】
請求項1記載のエアバッグであって、前記第2テザーの後端部はループを形成し、前記第1テザーが該ループを挿通していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエアバッグであって長手方向が左右方向を向くように前記メインバッグの上側の前部に配置される第3テザーをさらに備え、
前記第3テザーの左右の端部はそれぞれ前記メインバッグに縫合されており、
前記第2テザーの前端部はループを形成し、前記第3テザーが該ループを挿通していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項4】
請求項1記載のエアバッグであって、前記第2テザーの前端部は前記メインバッグに縫合され、該第2テザーの後端部は前記第1テザーに縫合されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のエアバッグであって、前記第1テザーは、左端部が前記左サブバッグの上部に連結された第1テザー片と、右端部が前記右サブバッグの上部に連結された第2テザー片とを有し、該第1テザー片の右端部と該第2テザー片の左端部とが結合されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のエアバッグであって、前記メインバッグの上部で前記第2テザーを覆い、該第2テザーの位置を規制する位置規制パネルをさらに備えることを特徴とするエアバッグ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のエアバッグであって、膨張完了状態で、車両センター側の前記サブバッグの後部の少なくとも一部は、前記メインバッグよりも後方に位置することを特徴とするエアバッグ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のエアバッグであって、膨張完了状態で、前記メインバッグは、車両前後方向の中間部よりも前方側で左右幅が最大の最大幅部となっており、
前記メインバッグの左右幅は、前記最大幅部から後方に向かって徐々に減少していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のエアバッグと、
前記メインバッグにガスを供給するインフレータと、
を備えることを特徴とするエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の乗員を衝突時等に拘束するためのエアバッグ及びエアバッグ装置に関する。なお、本発明において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両の前後・上下・左右の方向に対応するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の衝突や車体横転時等に、乗員の周囲各部でエアバッグをインフレータにより膨張させ、乗員の身体を拘束するエアバッグ装置が知られている。例えば、助手席用エアバッグ装置は、インストルメントパネル内に収容され、緊急時にエアバッグを膨張展開して、助手席乗員を拘束する。
【0003】
車両の斜め衝突時や微小ラップ衝突時、助手席乗員は斜め前方に慣性移動する。そのため、斜め前方に移動する助手席乗員を拘束する助手席用エアバッグ装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/002384号
【特許文献2】特開平3−32956号公報
【特許文献3】米国特許公開第2017/136981号
【特許文献4】特開2016−132385号公報
【特許文献5】特開2017−61230号公報
【特許文献6】特開2017−65395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、斜め前方に移動する助手席乗員を拘束できるエアバッグ及びエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアバッグは、助手席とインストルメントパネルとの間で膨張展開する助手席用のエアバッグであって、メインバッグと、前記メインバッグの左右の側部にそれぞれ連結され、該メインバッグからガスが流入して膨張するように構成された左サブバッグ及び右サブバッグと、前記メインバッグの上側に配置され、前記左サブバッグ及び前記右サブバッグの上部に連結されており、前記メインバッグには連結されていない第1テザーと、前記メインバッグの上側で前後方向に沿って延在し、前端部が該メインバッグに連結され、後端部が前記第1テザーに連結されている第2テザーと、を備えるものである。
【0007】
本発明の一態様によるエアバッグでは、前記第2テザーの後端部はループを形成し、前記第1テザーが該ループを挿通している。
【0008】
本発明の一態様によるエアバッグは、前記メインバッグの上側の前部で左右方向に沿って延在する第3テザーをさらに備え、前記第3テザーの左右の端部はそれぞれ前記メインバッグに縫合されており、前記第2テザーの前端部はループを形成し、前記第3テザーが該ループを挿通している。
【0009】
本発明の一態様によるエアバッグでは、前記第2テザーの前端部は前記メインバッグに縫合され、該第2テザーの後端部は前記第1テザーに縫合されている。
【0010】
本発明の一態様によるエアバッグでは、前記第1テザーは、左端部が前記左サブバッグの上部に連結された第1テザー片と、右端部が前記右サブバッグの上部に連結された第2テザー片とを有し、該第1テザー片の右端部と該第2テザー片の左端部とが結合されている。
【0011】
本発明の一態様によるエアバッグは、前記メインバッグの上部で前記第2テザーを覆い、該第2テザーの位置を規制する位置規制パネルをさらに備える。
【0012】
本発明の一態様によるエアバッグでは、膨張完了状態で、車両センター側の前記サブバッグの後部の少なくとも一部は、前記メインバッグよりも後方に位置する。
【0013】
本発明の一態様によるエアバッグでは、膨張完了状態で、前記メインバッグは、車両前後方向の中間部よりも前方側で左右幅が最大の最大幅部となっており、前記メインバッグの左右幅は、前記最大幅部から後方に向かって徐々に減少している。
【0014】
本発明のエアバッグ装置は、本発明によるエアバッグと、前記メインバッグにガスを供給するインフレータとを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、左サブバッグの上部と右サブバッグの上部とが、メインバッグの上側に配置された第1テザーで連結されているので、斜突等により斜め方向に移動する助手席乗員がサブバッグとメインバッグとで拘束される。第1テザーはメインバッグに結合されていないので、メインバッグの張力上昇を防止し、乗員頭部の回転を抑制できる。第1テザーには第2テザーが連結されているので、第1テザーを所望の位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態に係るエアバッグ装置の正面図(図2aのI矢視図)である。
図2図2aは実施の形態に係るエアバッグの側面図である。図2bは図1のIIb−IIb線断面図である。
図3図2aのIII−III線断面図である。
図4】第1の実施の形態に係るエアバッグを示す上面図(図2aのIV矢視図)である。
図5】乗員拘束時のエアバッグの上面図である。
図6】第2の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
図7】第1テザーと第2テザーの連結部の模式図である。
図8】第3の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
図9】第1テザーと第2テザーの連結部、及び第1テザーと第2テザーの連結部の模式図である。
図10】第4の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
図11】第1テザーと第2テザーの連結部、及び第1テザーと第2テザーの連結部の模式図である。
図12図12a、図12bは第1テザーと第2テザーの連結部の模式図である。
図13】第5の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
図14】第1テザーの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図5を参照して、第1の実施の形態に係るエアバッグ装置について説明する。
【0018】
この実施の形態に係るエアバッグ装置は、通常時は折り畳まれており緊急時に膨張展開されるエアバッグ1と、エアバッグ1にガスを供給するインフレータ10(図2a)とを備える。このエアバッグ装置は、助手席用エアバッグ装置であり、助手席の前方に配置されたインストルメントパネル11に収容される。エアバッグ1は、乗員P(図5)、インストルメントパネル11及びフロントガラス12により囲まれた空間に膨張展開される。
【0019】
エアバッグ1は、メインバッグ2と、メインバッグ2の左側面部に連結されたサブバッグ3と、右側面部に連結されたサブバッグ4とを備える。この実施の形態では、自動車は左ハンドル車であり、助手席は右側座席である。エアバッグ1の左側面はエアバッグ1の車体センター側の側面である。右ハンドル車に搭載される場合、エアバッグ1は図示とは左右対称の構成とされる。
【0020】
メインバッグ2は、乗員Pのほぼ正面に膨張展開される。メインバッグ2は、後部2a、上部2b、前部2c、下部2d、左側部2e及び右側部2fを有する。メインバッグ2の後部2aは、正面視略四角形状であり、エアバッグ1の膨張展開完了時に乗員Pの頭部を含めた上半身に対面する。
【0021】
メインバッグ2の前部2cにインフレータ10の挿入口が設けられ、インフレータ10からメインバッグ2内にガスが供給されるようになっている。
【0022】
左右の側部2e,2f側には連通口2gとベントホール2iが設けられている。連通口2gの径はベントホール2iの径より大きくなっている。ベントホール2iは、サブバッグ3,4よりも上方に位置し、膨張したサブバッグ3,4がベントホール2iを塞がないようになっている。
【0023】
サブバッグ3,4は、それぞれ後部3a,4a、上部3,4b、前部3c,4c、下部3d,4d、左側部3e,4e及び右側部3f,4fを有する。
【0024】
左サブバッグ3の右側部3f及び右サブバッグ4の左側部4eには連通口3g,4gが設けられている。連通口3g,4gの径は連通口2gの径と同程度である。メインバッグ2の左右の連通口2gに、それぞれサブバッグ3,4の連通口3g,4gをそれぞれ位置合わせした状態で、これらの連通口2g,3g又は2g,4gの周縁同士を縫合糸15により結合する。これにより、サブバッグ3,4がメインバッグ2に連結される。
【0025】
この実施の形態では、左サブバッグ3の上部3bからメインバッグ2の上部2bを通って右サブバッグ4の上部4bまで連結部材としての第1テザー5が配置され、左サブバッグ3及び右サブバッグ4の上面に対し縫合糸6、8によって縫合されている。第1テザー5は、メインバッグ2の上部2bには結合されず、サブバッグ3,4の上部3b、4bにのみ結合されている。
【0026】
メインバッグ2の上部2bには、前後方向に沿って延在する第2テザー7が設けられている。第2テザー7の後端は第1テザー5の左右方向の中央部に連結し、第2テザー7の前端はメインバッグ2の上部2に連結している。第2テザー7の後端は、第1テザー5に対し縫合糸21によって縫合され、第2テザー7の前端は、メインバッグ2の上面に対し縫合糸22によって縫合されている。
【0027】
この実施の形態にあっては、エアバッグ1の膨張完了状態において、左サブバッグ3の後部3aは、メインバッグ2の後部2aより10〜30cm程度後方に位置する。右サブバッグ4の後部4aは、エアバッグ1の膨張完了状態において、メインバッグ2の後部2aと面一状であるか、又はメインバッグ2の後部2aよりも若干(例えば10cm以下程度)後方に位置する。
【0028】
膨張完了状態におけるエアバッグ1では、サブバッグ3,4の上部3b,4bの後部は、メインバッグ2の上面2bの後部よりも若干下方に位置すると共に、標準的体型の乗員Pの頭部H(図5)よりも上側に位置する。膨張完了状態におけるエアバッグ1では、サブバッグ3,4の下部3d,4dの後部は、メインバッグ2の下部2dの後部よりも上方に位置している。また、膨張完了状態におけるエアバッグ1では、サブバッグ3,4の下部3d,4dの後部は、標準的体型の乗員Pの肩S(図5)よりも上側かつ頭部Hよりも下側に位置する。
【0029】
この実施の形態においては、膨張完了状態における上面図(図4)の通り、メインバッグ2は前後方向の中間よりも前部側において左右方向幅が最大(最大幅部W)となっている。この最大幅部Wよりも前方側は、左右方向幅が前方ほど小さくなっている。
【0030】
また、この最大幅W部分よりも後方に向かって、メインバッグ2の左右幅は徐々に小さくなっている。メインバッグ2の左右の側面2e,2fの後方延長線e,fと車両の前後方向Dとの交差角度θは例えば10〜30度(deg)程度である。
【0031】
膨張完了状態において、メインバッグ2の左右の連通口2g,2g間の距離W図3)は25〜50cm程度である。
【0032】
インフレータ10が作動すると、インフレータ10からメインバッグ2内にガスが供給される。メインバッグ2内に供給されたガスは、連通口2g,3g,4gを通ってサブバッグ3,4内に供給される。これにより、メインバッグ2及びサブバッグ3,4が膨張展開する。
【0033】
この実施の形態では、メインバッグ2の前部の最大幅Wを大きくしたことにより、インストルメントパネル11によるエアバッグ1の支持が安定する。また、メインバッグ2の左右幅を最大幅部Wから後方及び前方に向かってそれぞれ小さくしたことにより、メインバッグ2の容積を小さくすることができる。
【0034】
この実施の形態では、サブバッグ3,4は、縫合糸15によりメインバッグ2に連結されている。また、左サブバッグ3の連通口3gから右サブバッグ4の連通口4gまでの長さは、メインバッグ2の左右の連通口2g,2g間の長さとほぼ等しい。そのため、膨張完了状態において、メインバッグ2の側面部とサブバッグ3,4とは密着状に接している。
【0035】
正面衝突時には、乗員はメインバッグ2及びサブバッグ3,4で拘束される。
【0036】
車両の左方への斜め衝突や微小ラップ衝突の場合には、乗員Pは図5の通り、左斜め前方に移動し、サブバッグ3とメインバッグ2とで拘束される。
【0037】
サブバッグ3の後部3aは、メインバッグ2の後部2aより後方に位置する。図5に示すように、乗員Pの頭部Hがメインバッグ2の後部2aに拘束された際に、サブバッグ3の後部3aが頭部Hの重心CGよりも後方に位置することが好ましい。例えば、サブバッグ3の後部3aは、メインバッグ2の後部2aより10〜30cm程度後方に位置する。これにより、サブバッグ3は、重心CGを中心とした頭部Hの回転(図5では時計回りの回転)を抑制できる。特に、この実施の形態では、左右のサブバッグ3,4の上部同士が第1テザー5で連結されているので、車両の左方への斜め衝突や微小ラップ衝突の場合に乗員Pが左サブバッグ3の後部側を左斜め前方に押したときに、左サブバッグ3がメインバッグ2から離隔しようとすることが抑制される。
【0038】
メインバッグ2からのサブバッグ3の離隔を抑制するために、メインバッグ2とサブバッグ3とをテザー等で結合する構成も考えられる。しかし、このような構成では、乗員頭部がメインバッグ2とサブバッグ3との間に進入し、テザーの取付部を通過すると、メインバッグ2がテザーで吊り上げられて張力が上昇し、乗員頭部が回転しやすくなる。これに対し、本実施形態では、第1テザー5がサブバッグ3とサブバッグ4とを連結し、メインバッグ2には連結されていないため、メインバッグ2の張力上昇を防止し、頭部Hの回転を抑制できる。
【0039】
また、第2テザー7により第1テザー5の位置を規制できるため、エアバッグ1の膨張途中及び膨張完了時において、第1テザー5を所望の位置に配置することができる。
【0040】
車両の右方への斜め衝突や微小ラップ衝突の場合には、乗員Pはメインバッグ2とサブバッグ4とで拘束される。
【0041】
第2テザー7の前端部とメインバッグ2の上面との結合箇所は、エアバッグ1が乗員頭部Hを拘束した際の頭部Hの位置よりも前方側にあることが好ましい。
【0042】
この実施の形態では、メインバッグ2の側面部とサブバッグ3との合わせ面が後方ほどメインバッグ2の中心側となるように車両前後方向Dに対して交差方向に延在しているので、斜め前方に移動した乗員Pの頭部Hをメインバッグ2の側面部とサブバッグ3,4との間に入り込ませて拘束することができる。
【0043】
上記実施の形態では、第2テザー7の後端を第1テザー5に縫着し、第2テザー7の前端をメインバッグ2の上面に縫着する構成について説明したが、図6図7の第2テザー17のように、後端側を折り返して縫合糸18で第2テザー17同士を縫合することでループ17aを形成し、ループ17a内を第1テザー5が挿通するようにして第1テザー5と第2テザー7とを連結してもよい。第2テザー17の前端は、メインバッグ2の上面に縫合糸19で縫合される。
【0044】
図8図9に示すように、第2テザー27の前端側を折り返して縫合糸29で第2テザー27同士を縫合することでループ27bを形成し、メインバッグ2の上部2bの前部に設けた第3テザー24がループ27b内を挿通するようにして、第2テザー27とメインバッグ2の上部2bとを連結してもよい。第3テザー24は左右方向に延在し、左端部が縫合糸25によってメインバッグ2の上面に縫合され、右端部が縫合糸26によってメインバッグ2の上面に縫合される。
【0045】
図10図11に示すように、第2テザー37の後端側及び前端側をそれぞれ折り返し、縫合糸38、39で第2テザー37同士を縫合することでループ37a、37bを形成してもよい。ループ37a内を第1テザー5が挿通するようにして、第1テザー5と第2テザー37とを連結する。また、メインバッグ2の上部2bの前部に設けた第3テザー34がループ37b内を挿通するようにして、第3テザー37とメインバッグ2の上部2bとを連結する。第3テザー34は左右方向に延在し、左端部が縫合糸35によってメインバッグ2の上面に縫合され、右端部が縫合糸36によってメインバッグ2の上面に縫合される。
【0046】
図12aに示すように、第2テザー47の後端部の左右両側に、後側に突出する突出片47a及び47bを設けると共に、第1テザー5にスリット50a及び50bを形成してもよい。図12bに示すように、突出片47aをスリット50aに通し、折り返して縫合糸48aで第2テザー47に縫合する。同様に、突出片47bをスリット50bに通し、折り返して縫合糸48bで第2テザー47に縫合する。このような構成で、第1テザー5と第2テザー47とを連結してもよい。
【0047】
メインバッグ2の上部において、第2テザー7,17,27,37,47を覆うように位置規制パネルを設け、第2テザー7,17,27,37,47の位置を規制するようにしてもよい。図13は、第2テザー17を覆う位置規制パネル60の例を示す。位置規制パネル60は、矩形状であり、前後方向に沿って延びる2辺と、左右方向に沿って延びる2辺とを有し、前後方向に延びる2辺の辺縁部が、メインバッグ2の上面に対し縫合糸61,62によって縫合されている。位置規制パネル60の左右方向に沿って延びる2辺は縫合されない。第2テザー17は、メインバッグ2と位置規制パネル60との間を挿通する。
【0048】
図14に示すように、第1テザー5を、左端がサブバッグ3の上部に連結されたテザー片5aと、右端がサブバッグ4の上部に連結されたテザー片5bとで構成してもよい。図14では第2テザーの図示を省略している。メインバッグ2の左右方向の中央部近傍において、テザー片5aの右端と、テザー片5bの左端とを縫合糸5cで縫合することで、サブバッグ3とサブバッグ4とを連結する第1テザー5となる。
【0049】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 エアバッグ
2 メインバッグ
3,4 サブバッグ
5 第1テザー
7,17,27,37,47 第2テザー
10 インフレータ
11 インストルメントパネル
12 フロントガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14