特許第6962040号(P6962040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962040
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】方位推定装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/53 20100101AFI20211025BHJP
   G01C 21/12 20060101ALI20211025BHJP
   G01S 19/49 20100101ALI20211025BHJP
【FI】
   G01S19/53
   G01C21/12
   G01S19/49
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-136433(P2017-136433)
(22)【出願日】2017年7月12日
(65)【公開番号】特開2019-20166(P2019-20166A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】宮島 朗
(72)【発明者】
【氏名】松岡 克宏
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−206010(JP,A)
【文献】 特許第5879977(JP,B2)
【文献】 特開2016−147522(JP,A)
【文献】 特開平10−062194(JP,A)
【文献】 特開2012−7939(JP,A)
【文献】 特開平4−13922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00− 5/14
G01S 19/00−19/55
G01C 21/00−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されて、前記移動体が移動する方位を逐次推定する方位推定装置であって、
GNSS受信機が受信する航法信号のドップラーシフト周波数を時系列的に取得する衛星データ取得部(101)と、
前記移動体で用いられているヨーレートセンサから前記移動体のヨーレートを時系列的に取得するセンサデータ取得部(102)と、
時系列的に取得された複数の前記ドップラーシフト周波数に基づいて立式される各時刻における前記移動体の方位を推定する方程式であって、時刻毎に変化する未知パラメータが、前記ヨーレートに基づいて算出される方位角変化量により拘束された方程式に基づいて、前記移動体の方位を推定するドップラー方位推定部(103)と、
自律航法において前記方位角変化量を加算する基準方位が更新されてからの経過時間に応じて増加することで3つ以上に変化し、方位角の信頼度を表す状態変数(S)を決定する状態変数決定部(S14)と、
前記状態変数決定部が決定した前記状態変数が、前記方位角の信頼度が低いことを示す値であるほど、前記ドップラー方位推定部が推定した方位を前記基準方位として採用するか否かを決定するための複数組の評価パラメータ閾値群から、前記方位角の信頼度が低くても採用条件を満たしやすい前記評価パラメータ閾値群を選択する閾値選択部(S16)と、
前記ドップラー方位推定部が方位を推定した場合に、その方位の信頼度を評価するための複数の評価パラメータを算出する評価パラメータ算出部(S17)と、
複数の前記評価パラメータと、前記閾値選択部が選択した前記評価パラメータ閾値群とを比較し、前記採用条件を満たすと判断したことに基づいて、前記基準方位として、前記ドップラー方位推定部が推定した方位を採用することに決定する採否判断部(S18、S19)とを備える方位推定装置。
【請求項2】
移動体に搭載されて、前記移動体が移動する方位を逐次推定する方位推定装置であって、
GNSS受信機が受信する航法信号のドップラーシフト周波数を時系列的に取得する衛星データ取得部(101)と、
前記移動体で用いられている速度センサから前記移動体の速度の大きさを時系列的に取得するとともに、前記移動体で用いられているヨーレートセンサから前記移動体のヨーレートを時系列的に取得するセンサデータ取得部(102)と、
時系列的に取得された複数の前記ドップラーシフト周波数に基づいて立式される各時刻における前記移動体の方位を推定する方程式であって、時刻毎に変化する未知パラメータが前記移動体の速度の大きさおよびクロックドリフトの時間変化の線形化により拘束された方程式に基づいて、前記移動体の方位を推定するドップラー方位推定部(103)と、
自律航法において、前記ヨーレートに基づいて算出される方位角変化量を加算する基準方位が更新されてからの経過時間に応じて増加することで3つ以上に変化し、方位角の信頼度を表す状態変数(S)を決定する状態変数決定部(S14)と、
前記状態変数決定部が決定した前記状態変数が、前記方位角の信頼度が低いことを示す値であるほど、前記ドップラー方位推定部が推定した方位を前記基準方位として採用するか否かを決定するための複数組の評価パラメータ閾値群から、前記方位角の信頼度が低くても採用条件を満たしやすい前記評価パラメータ閾値群を選択する閾値選択部(S16)と、
前記ドップラー方位推定部が方位を推定した場合に、その方位の信頼度を評価するための複数の評価パラメータを算出する評価パラメータ算出部(S17)と、
複数の前記評価パラメータと、前記閾値選択部が選択した前記評価パラメータ閾値群とを比較し、前記採用条件を満たすと判断したことに基づいて、前記基準方位として、前記ドップラー方位推定部が推定した方位を採用することに決定する採否判断部(S18、S19)とを備える方位推定装置。
【請求項3】
前記状態変数は、前記移動体の速度が相対的に大きい場合には、前記移動体の速度が相対的に小さい場合よりも、前記経過時間の増加に伴う増加量が少ない、請求項1または2に記載の方位推定装置。
【請求項4】
前記状態変数決定部が決定した前記状態変数に基づいて方位信頼度クラスを決定する信頼度クラス決定部(S15)を備え、
前記閾値選択部(S16)は、前記信頼度クラス決定部が決定した前記方位信頼度クラスと速度クラスとに基づいて前記評価パラメータ閾値群を選択するようになっており、前記方位信頼度クラスが、前記方位角の信頼度が低いことを示すクラスであるほど、また、前記速度クラスが速度が低いクラスであるほど、低い前記方位角の信頼度で前記採用条件を満たす前記評価パラメータ閾値群を選択する請求項3に記載の方位推定装置。
【請求項5】
前記信頼度クラス決定部は、前記ドップラー方位推定部が一定時間以上連続して前記方位を推定できているときは、前記方位信頼度クラスを最も信頼度が高いクラスに決定する請求項4に記載の方位推定装置。
【請求項6】
前記状態変数決定部は、前記方位推定装置が電源オンになった後の前記状態変数の初期値を、前回の電源オフ時の前記状態変数の値である前回終了値とし、前記前回終了値がない場合には、予め設定された初期値とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方位推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
移動体が移動する方位を推定する方位推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、時系列で、航法衛星が送信する航法信号の周波数変位量であるドップラーシフト周波数を蓄積するとともに、車速およびヨーレートの一方または両方を時系列で取得し、これらから、高精度に方位を推定する方法が開示されている。
【0003】
また、自律航法と呼ばれる現在位置推定方法が広く知られている。自律航法では、ヨーレートセンサが検出した値から定まる方位角変化量を基準方位に加算して方位を更新する。また、速度も、速度センサあるいは加速度センサの検出値から推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5879977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている方法を用いると高精度に方位を推定できる。そのため、特許文献1に開示されている方法により推定された方位を、自律航法で用いる基準方位にすることが考えられている。
【0006】
しかし、当然、推定した方位には誤差があり、かつ、その誤差は、方位を推定する毎に変化する。そのため、特許文献1に開示されている方法で方位が推定できた場合に、必ずその方位を基準方位にしてしまうと、推定する方位の誤差が増加してしまう恐れがある。
【0007】
一方、自律航法が続くと、ヨーレートセンサが検出するヨーレートの誤差が積算されることにより、方位推定の誤差が増加していくことは広く知られている。したがって、基準方位を更新しない時間が長くなっても、方位推定誤差が大きい状態が継続することになる。
【0008】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、自律航法において推定する方位の誤差増加を抑制することができる方位推定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
上記目的を達成するための1つの開示は、
移動体に搭載されて、移動体が移動する方位を逐次推定する方位推定装置であって、
GNSS受信機が受信する航法信号のドップラーシフト周波数を時系列的に取得する衛星データ取得部(101)と、
移動体で用いられているヨーレートセンサから移動体のヨーレートを時系列的に取得するセンサデータ取得部(102)と、
時系列的に取得された複数のドップラーシフト周波数に基づいて立式される各時刻における移動体の方位を推定する方程式であって、時刻毎に変化する未知パラメータが、ヨーレートに基づいて算出される方位角変化量により拘束された方程式に基づいて、移動体の方位を推定するドップラー方位推定部(103)と、
自律航法において方位角変化量を加算する基準方位が更新されてからの経過時間に応じて増加することで3つ以上に変化し、方位角の信頼度を表す状態変数(S)を決定する状態変数決定部(S14)と、
状態変数決定部が決定した状態変数が、方位角の信頼度が低いことを示す値であるほど、ドップラー方位推定部が推定した方位を基準方位として採用するか否かを決定するための複数組の評価パラメータ閾値群から、方位角の信頼度が低くても採用条件を満たしやすい評価パラメータ閾値群を選択する閾値選択部(S16)と、
ドップラー方位推定部が方位を推定した場合に、その方位の信頼度を評価するための複数の評価パラメータを算出する評価パラメータ算出部(S17)と、
複数の評価パラメータと、閾値選択部が選択した評価パラメータ閾値群とを比較し、採用条件を満たすと判断したことに基づいて、基準方位として、ドップラー方位推定部が推定した方位を採用することに決定する採否判断部(S18、S19)とを備える方位推定装置である。
【0011】
また、上記目的を達成するための別の開示は、
移動体に搭載されて、移動体が移動する方位を逐次推定する方位推定装置であって、
GNSS受信機が受信する航法信号のドップラーシフト周波数を時系列的に取得する衛星データ取得部(101)と、
移動体で用いられている速度センサから移動体の速度の大きさを時系列的に取得するとともに、移動体で用いられているヨーレートセンサから移動体のヨーレートを時系列的に取得するセンサデータ取得部(102)と、
時系列的に取得された複数のドップラーシフト周波数に基づいて立式される各時刻における移動体の方位を推定する方程式であって、時刻毎に変化する未知パラメータが移動体の速度の大きさおよびクロックドリフトの時間変化の線形化により拘束された方程式に基づいて、移動体の方位を推定するドップラー方位推定部(103)と、
自律航法において、ヨーレートに基づいて算出される方位角変化量を加算する基準方位が更新されてからの経過時間に応じて増加することで3つ以上に変化し、方位角の信頼度を表す状態変数(S)を決定する状態変数決定部(S14)と、
状態変数決定部が決定した状態変数が、方位角の信頼度が低いことを示す値であるほど、ドップラー方位推定部が推定した方位を基準方位として採用するか否かを決定するための複数組の評価パラメータ閾値群から、方位角の信頼度が低くても採用条件を満たしやすい評価パラメータ閾値群を選択する閾値選択部(S16)と、
ドップラー方位推定部が方位を推定した場合に、その方位の信頼度を評価するための複数の評価パラメータを算出する評価パラメータ算出部(S17)と、
複数の評価パラメータと、閾値選択部が選択した評価パラメータ閾値群とを比較し、採用条件を満たすと判断したことに基づいて、基準方位として、ドップラー方位推定部が推定した方位を採用することに決定する採否判断部(S18、S19)とを備える方位推定装置である。
【0012】
これら開示した方位推定装置は、方位角の信頼度の大きさを表す状態変数を決定し、この状態変数が、方位角の信頼度が低いことを示すほど、複数の評価パラメータと比較する評価パラメータ閾値群を、方位角の信頼度が低くても採用条件を満たしやすい評価パラメータ閾値群とする。これにより、ドップラー方位推定部が推定した方位が、信頼度が十分に高くなくても、基準方位として採用されることになる。よって、早期に基準方位が更新されやすくなるので、自律航法において推定する方位の誤差増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】方位推定装置100の構成を示すブロック図である。
図2図1のドップラー方位推定部103が実行する処理を示すフローチャートである。
図3図1のINS方位決定部104が実行する処理を示すフローチャートである。
図4図3のS15で用いる方位信頼度クラス決定テーブルを示す図である。
図5図3のS16で用いる閾値群選択テーブルを示す図である。
図6】評価パラメータ閾値群リストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示す方位推定装置100は、GNSS受信機2、車速センサ3、ジャイロセンサ4、シフトポジションセンサ5とともに、移動体である車両1に搭載されている。車両1の電源がオンになると、方位推定装置100にも電源が供給される方位推定装置100に電源が供給されている間、方位推定装置100は逐次、方位角θを推定する。
【0015】
<構成の概要>
GNSS受信機2は、GNSS(Global Navigation Satellite System)が備える航法衛星Siが送信する航法信号を受信する。なお、iは航法衛星の番号である。GNSSは、たとえばGPSである。航法信号は搬送波に重畳されて電波として航法衛星Siから送信される。以下、航法衛星Siが送信する電波をGNSS電波とする。GNSS受信機2は、受信したGNSS電波を復調して航法信号を取り出す。
【0016】
そして、取り出した航法信号から、擬似距離ρ、ドップラーシフト周波数D、衛星位置(Xsi、Ysi、Zsi)、衛星の状態、航法データなどを決定する。航法データには、航法衛星Siの衛星番号、航法衛星Siの軌道情報であるエフェメリス、航法衛星Siが電波を送信した時刻などが含まれている。
【0017】
各航法衛星Siの衛星位置(Xsi、Ysi、Zsi)は、各航法衛星SiのエフェメリスおよびGNSS電波を送信した時刻に基づいて算出する。擬似距離ρは、航法衛星SiがGNSS電波を送信した時刻と、GNSS受信機2がGNSS電波を受信した時刻との時刻差すなわち電波伝播時間に、光速Cを乗じることで算出する。
【0018】
ドップラーシフト周波数Dは、航法衛星Siが送信した電波の搬送波の周波数と、受信したGNSS電波の搬送波の周波数の周波数差である。航法衛星Siが送信する電波の搬送波周波数は予め定まっており、この周波数は、GNSS受信機2が備える所定の記憶部に予め記憶されている。
【0019】
GNSS受信機2は、これらを、受信信号である航法信号のS/N、航法信号を受信した時刻とともに方位推定装置100に一定周期で出力する。GNSS受信機2が方位推定装置100に出力する情報は、衛星航法において位置が演算される前の情報である。以下、衛星航法において位置が演算される前の情報を衛星データとする。GNSS受信機2が衛星データを出力する一定周期は、たとえば、200ミリ秒〜400ミリ秒の間である。航法衛星Siは複数存在している。GNSS受信機2は、GNSS電波から復調できる全ての航法信号から衛星データを決定し、決定した全ての衛星データを方位推定装置100に出力する。
【0020】
車速センサ3は、車両1の車輪の回転速度を検出する。車速センサ3は、車輪の回転速度を示す信号を方位推定装置100に出力する。
【0021】
ジャイロセンサ4は、車両1のヨー軸、ピッチ軸、ロール軸周りの回転角速度を検出し、検出した回転角速度を示す信号を方位推定装置100に出力する。ジャイロセンサ4はヨー軸周りの回転角速度すなわちヨーレートを検出するのでヨーレートセンサとして機能する。
【0022】
シフトポジションセンサ5は、車両1のシフト位置を検出し、そのシフト位置を示す信号を方位推定装置100に出力する。シフトポジションセンサ5が出力する信号により、車両1の移動方向が前進および後進のいずれであるかが定まる。
【0023】
車速センサ3、ジャイロセンサ4、シフトポジションセンサ5は、車両1の動きすなわち挙動を示す信号を出力する挙動検出センサ6である。
【0024】
方位推定装置100は、図示しないCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータである。CPUは、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMなどの非遷移的実体的記録媒体に記憶されているプログラムを実行する。これにより、方位推定装置100は、衛星データ取得部101、センサデータ取得部102、ドップラー方位推定部103、INS方位決定部104としての機能を実行する。これらの機能を実行すると、非遷移的実体的記録媒体に記憶されているプログラムに対応する方法が実行される。なお、方位推定装置100が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0025】
<方位推定装置100が実行する処理の概要>
次に、方位推定装置100が実行する処理の概要を説明する。なお、方位推定装置100が実行する一部の処理については、図2図3に示すフローチャートを用いて詳述する。
【0026】
衛星データ取得部101は、GNSS受信機2から、衛星データを衛星データ取得周期で時系列的に取得し、取得した衛星データを衛星データ蓄積部110に記憶する。衛星データ取得周期は、GNSS受信機2が衛星データを出力する周期と同じである。衛星データ蓄積部110は、書き込み可能な記憶媒体であり、揮発性でも不揮発性でもよい。衛星データ蓄積部110には、たとえば、RAMを用いることができる。
【0027】
センサデータ取得部102は、挙動検出センサ6が検出した信号を、センサ値取得周期で時系列的に取得する。センサ値取得周期は、GNSS受信機2が航法信号を出力する周期よりも短く、たとえば、数十ミリ秒である。センサデータ取得部102は、取得した信号をセンサデータ蓄積部111に記憶する。センサデータ蓄積部111は、書き込み可能な記憶媒体であり、揮発性でも不揮発性でもよい。センサデータ蓄積部111には、たとえば、RAMを用いることができる。また、センサデータ蓄積部111には、衛星データ蓄積部110と同じ記憶媒体を用いることができる。
【0028】
ドップラー方位推定部103は、(1)式に示す方位推定式を用いて、初期時刻における車両1の進行方向の方位角(すなわち方位角初期値)θを算出する。なお、初期時刻とは、方位角初期値θを更新した時刻である。
【数1】
【0029】
(1)式は、特許文献1においては(6)式として記載されている式である。(1)式において、Vsは衛星方向速度、tは時刻、Vwheelは車速センサ3の検出値、θgyroは、車両1の進行方向の方位角の変化量すなわち相対方位角、Cbvは初期時刻におけるクロックドリフト、AはクロックドリフトCbvの時間変化の傾き、Gx、Gyは、車両1から航法衛星Siへの視線ベクトルのx成分、y成分である。
【0030】
(1)式の左辺にある衛星方向速度Vsは、(2)式から算出する。
【数2】
【0031】
(2)式の右辺の第1項は、航法衛星Siに対する車両1の相対速度Vrを意味しており、第2項、第3項、第4項は、航法衛星Siの車両1の方向への速度である。これらの和は、航法衛星Siの方向への車両1の速度を意味することから、(2)式が成り立つのである。(2)式において、Dはドップラーシフト周波数である。よって、(1)式は、ドップラーシフト周波数Dを用いて方位角初期値θを算出していることになる。
【0032】
図2を用いてドップラー方位推定部103の処理を説明する。S1では、衛星データ蓄積部110に記憶されている各航法衛星Siの衛星位置(Xsi、Ysi、Zsi)の時系列データから、各航法衛星Siの速度ベクトル(Vxs、Vys、Vzs)を算出する。
【0033】
S2では、衛星データ蓄積部110に記憶されている衛星データに含まれているドップラーシフト周波数Dを(3)式に代入して、航法衛星Siに対する自車両の現在の相対速度Vrを算出する。なお、(3)式において、Cは光速、Fは航法衛星Siが送信するGNSS電波の周波数である。
【数3】
【0034】
S3では、現在の車両1の位置P(X,Y,Z)を算出する。車両1の位置Pは、車両1から航法衛星Siへの視線ベクトル(Gx、Gy、Gz)を算出するために用いる。
【0035】
広く知られているように、品質のよい航法信号を4つ以上受信していれば、航法信号を用いて4つ以上の連立方程式を立式することで、未知数である位置P(X,Y,Z)とクロックドリフトCbvを算出することができる。しかし、ここでの車両1の位置は、次のS4において、車両1から航法衛星Siへの視線ベクトル(Gx、Gy、Gz)を算出するために用いる。航法衛星Siは遠方に存在するため、航法衛星Siと車両1との角度を求めるために用いる現在位置は、精度が低くてもよい。したがって、品質のよい信号を4つ以上受信していなくてもよい。
【0036】
そこで、たとえば、このS3では、品質がよいとは判断できない信号も含めて4つ以上の航法信号を用いて、現在の車両1の座標(X,Y,Z)を算出することができる。4つ以上の航法信号から現在の車両1の座標(X,Y,Z)を算出する場合、擬似距離ρと、航法衛星Siの衛星位置(Xsi、Ysi、Z)とを算出し、擬似距離ρの残差が最小となるように車両1の座標(X,Y,Z)を決定する。
【0037】
また、擬似距離ρを用いた位置決定以外の精度の低い方法で車両1の位置P(X,Y,Z)を決定してもよい。システム等で許容される推定精度に依存するが、車両1の位置誤差が数百mの範囲であれば、速度推定誤差は1m/sec以下となり大きな問題はない。そのため、たとえば、地図などから位置を決定してもよく、また、過去の位置の測定履歴やビーコンなどの情報などから、車両1の位置P(X,Y,Z)を決定してもよい。
【0038】
S4では、車両1から航法衛星Siへの視線ベクトル(Gx、Gy、Gz)を算出する。視線ベクトルのx成分、y成分、z成分は、(4)式から算出する。
【数4】
【0039】
(4)式において、ρは時刻tにおける航法衛星Siの擬似距離、(Xsi、Ysi、Zsi)は時刻tにおける航法衛星Siの衛星位置である。(X、Y、Z)は時刻tにおける車両1の現在位置であり、S3で算出している。
【0040】
S5では、前述した(2)式に、S2で算出した相対速度Vr、S4で算出した視線ベクトル(Gx,Gy,Gz)、S1で算出した航法衛星Siの速度ベクトル(Vxs、Vys、Vzs)を代入して、航法衛星Siの方向への車両1の衛星方向速度Vsを算出する。
【0041】
S6では、(1)式に、S5で算出した衛星方向速度Vs、センサデータ蓄積部111から取得したヨーレートを用いて更新した相対方位角θgyro、S4で算出した視線ベクトル(Gx,Gy,Gz)を代入する。これにより、(1)式において未知パラメータは、θ、Cbv、および、Aの3つとなる。
【0042】
したがって、(1)式に、これら衛星方向速度Vs、相対方位角θgyro、視線ベクトル(Gx,Gy,Gz)を代入した式を3つ以上立式する。そして、それら3つ以上の式からなる連立方程式を解く。これにより、(1)式において未知パラメータとなっている方位角初期値θを求めることができる。
【0043】
未知パラメータθ、Cbv、Aは、初期時刻以降であれば、時刻が異なっても同じである。そのため、同一時刻で3つの式を立式する必要はなく、複数の時刻において立式した式数が合計3式以上であれば、未知パラメータを求めることができる。たとえば、3時刻(t、t、t)の観測衛星数がそれぞれ1であったとしても、観測された衛星データを用いて方位角初期値θを求めることができる。
【0044】
INS方位決定部104は、慣性センサであるジャイロセンサ4の検出値から求められるヨーレートにセンサ値取得周期を乗じて方位角変化量(すなわち相対方位角θgyro)を算出する。この方位角変化量を基準方位に加算して、方位角θを決定する。基準方位は、ドップラー方位推定部103が推定した方位角初期値θである。
【0045】
センサ値取得周期でヨーレートが得られるのでINS方位決定部104は、センサ値取得周期で方位角θを更新する。方位角θは、基準方位である方位角初期値θに相対方位角θgyroを加算して求める。
【0046】
ただし、INS方位決定部104は、ドップラー方位推定部103が方位角初期値θを更新する毎に、基準方位を最新の方位角初期値θに更新するとは限らない。方位角初期値θにも誤差があり、それまでに用いていた方位角初期値θを用いた方が、誤差の少ない方位角θを決定できる可能性もあるからである。
【0047】
図3を用いて、INS方位決定部104が実行する処理を説明する。INS方位決定部104は、センサ値取得周期で図3に示す処理を実行する。
【0048】
S11では、ドップラー方位推定部103が方位角初期値θを算出したか否かを判断する。方位角初期値θを算出するためには、衛星データが必要である。衛星データは、センサ値取得周期よりも長い衛星データ取得周期で取得する。また、電波環境が悪いと、航法信号が受信できない場合もある。そのため、S11の判断はNOになることもある。前回、この図3を実行した以降にドップラー方位推定部103が方位角初期値θを算出した場合にはS11の判断をYESとする。S11の判断がYESになった場合にはS12に進む。
【0049】
S12では、ドップラー方位推定が継続中であるか否かを判断する。ドップラー方位は、ドップラー方位推定部103が推定する方位、すなわち、方位角初期値θを意味する。ドップラー方位推定が継続中であるとは、ドップラー方位推定部103が継続的に方位を推定できている状態であることを意味する。ドップラー方位推定部103が、衛星データ取得周期ごとに、一定時間以上連続して方位推定ができている場合に、ドップラー方位推定が継続中であるとする。一定時間は、衛星データ取得周期の複数回分以上の時間、たとえば、1秒に設定する。
【0050】
ドップラー方位推定が継続中であると、推定した方位の誤差が小さくなる、すなわち、推定した方位の信頼度が高くなる。そのため、S12の判断がYESになった場合には、S13において方位信頼度クラスを最高クラスとする。加えて、状態変数Sの値を0にする。状態変数SはS14で説明する。S13を実行後はS19へ進む。
【0051】
S12の判断がNOになった場合にはS14に進む。S14では状態変数Sを算出する。本実施形態では、状態変数Sは(5)式を用いて算出する。
【数5】
【0052】
(5)式において、Sは状態変数Sの初期値である。この初期値Sは、方位推定装置100の電源がオンになった後、S13が実行されるまで使用される値である。S13が実行されると、状態変数Sは0になる。よって、S13が実行されると、この初期値Sは0になる。
【0053】
初期値Sは、前回、方位推定装置100の電源がオフになったときの状態変数Sの値である前回終了値が存在している場合にはその前回終了値である。前回終了値が存在していないときは、予め設定した初期値とする。
【0054】
(5)式において、tcはINS方位決定部104が方位角θの算出に用いる方位角初期値θが更新され、かつ、そのときの方位信頼度クラスが最高クラスになった時刻である。ただし、方位推定装置100の電源がオンになった後、S13が実行されるまでは、tcは電源がオンされた時刻である。
【0055】
tは現在の時刻、vは車速、A(v)は車速を変数として定まる値である。具体的には、A(v)は、速度vが相対的に高いときは相対的に小さくなり、速度vが相対的に低いときは相対的に大きくなる。たとえばA(v)は、車速が0のときは0、速度vがある速度v1よりも高いときはA1、速度vがその速度v1よりも低くかつ0よりは高いときはA2(>A1)となる関数とすることができる。
【0056】
これに限られず、A(V)を速度vが増加するのに従い、連続的に値が減少する関数とすることもできる。また、A(v)を、速度vに応じ値が定まるテーブル形式とすることもできる。
【0057】
状態変数Sは、INS方位決定部104が方位角θの算出に用いる方位角初期値θを更新してからの経過時間が長くなるほど値が大きくなる。方位角初期値θを更新してからの経過時間が長くなるほど、ヨーレートの誤差が積算されることになるため、方位角θの誤差が大きくなる。状態変数Sはこの誤差を評価するための変数である。したがって、状態変数Sの値が方位角θの誤差と相関するようにA(v)を定める。前述したように、A(v)を、速度vが相対的に大きいときは相対的に小さくしている理由は、速度vが高いほど、ヨーレートは誤差が小さくなるからである。
【0058】
S15では、状態変数Sと図4に示す方位信頼度クラス決定テーブルから、方位信頼度クラスを決定する。図4において、DIRLVn_LMT(nは1〜5)は、状態変数Sに対する閾値である。よって、図4に示す方位信頼度クラス決定テーブルは、状態変数Sの値から方位信頼度クラスが定まるテーブルである。
【0059】
図4において方位推定演算継続中は、前述したドップラー方位推定が継続中であることを意味する。自律航法は、INS方位決定部104が決定した方位角θと速度vから車両1の移動量を逐次演算して、車両1の現在位置を更新する測位方法を意味する。
【0060】
図4において、方位信頼度クラスは数値が大きいほど方位角θの信頼度が高い、換言すれば方位角θの誤差が小さいことを意味する。図4では、方位信頼度クラスが7のときは、誤差が0.5度以下であることを意味している。
【0061】
方位信頼度クラスが最高クラスのときの誤差がどの程度になるかは、参照値との差がどの程度に収束するかを、予め計測しておいて定める。参照値は、航空機で用いられる高精度ジャイロセンサ、高分解能車速計などを含んで構成される高精度位置計測システムを、車両1に搭載して測定した値である。電波環境のよい場所において、この参照値とドップラー方位推定部103が推定した方位との差がある範囲に収束したとき、その差の範囲を、最高クラスにおける誤差とする。
【0062】
最高クラスよりも低い方位信頼度クラスを定める状態変数Sの閾値も、上述の高精度位置計測システムが測定した参照値との差を実際に測定して定める。
【0063】
続くS16では、S15で決定した方位信頼度クラスと現在の速度v、および図5に示す閾値群選択テーブルから、評価パラメータ閾値群Pを選択する。閾値群選択テーブルは、複数組の評価パラメータ閾値群Pから一つの評価パラメータ閾値群Pを選択するためのテーブルである。
【0064】
各評価パラメータ閾値群Pは、複数の評価パラメータに対する閾値(以下、評価パラメータ閾値)を備えている。評価パラメータ閾値は、ドップラー方位推定部103が推定する方位の誤差を評価するための閾値である。評価パラメータは、たとえば、航法衛星Si毎のドップラーシフト周波数Dの残差の最大値、平均、分散、共分散、時系列分散などである。(1)式、(2)式から分かるように、ドップラーシフト周波数Dが、方位角初期値θの値に影響を与えることから、これらが、ドップラー方位推定部103が推定する方位の誤差を評価する評価パラメータとなるのである。
【0065】
図5は、方位信頼度クラスと速度クラスとから評価パラメータ閾値群Pが定まるテーブルである。図5に示す評価パラメータ閾値群P1〜P4は、それぞれ複数の評価パラメータ閾値からなる。図6には、評価パラメータ閾値群P1〜P4が備えている評価パラメータ閾値の例を示している。図6において、THRE_VAR1_A、THRE_VAR1_Bなどが評価パラメータ閾値である。
【0066】
図5に示す閾値群選択テーブルは、方位信頼度クラスが低くなるほど、つまり、方位信頼度クラスが、方位信頼度が低いことを示すクラスになるほど、評価パラメータ閾値が低信頼度を示す値になっている。また、速度クラスが低速側のクラスであるほど、評価パラメータ閾値が低信頼度を示す値になっている。
【0067】
図5に示す評価パラメータ閾値群Pを構成する各評価パラメータ閾値は、図4と同様、高精度位置計測システムを車両1に搭載して計測した参照値とドップラー方位推定部103が推定した方位との差が、それぞれ、図4に示す方位信頼度クラスに収束した状態で、実際に得られたドップラーシフト周波数Dなどから算出して決定する。
【0068】
よって、ドップラー方位推定部103が方位を推定したときに、そのときのドップラーシフト周波数Dなどから算出した評価パラメータを評価パラメータ閾値と比較することで、ドップラー方位推定部103が推定した方位の信頼度を評価することができる。
【0069】
そこで、S17では、ドップラー方位推定部103が方位を推定したときのドップラーシフト周波数Dなどから評価パラメータを算出する。S18では、S16で選択した評価パラメータ閾値群Pを構成する各評価パラメータ閾値と、S17で算出した評価パラメータとを比較して、採用条件を満たすか否かを判断する。
【0070】
たとえば、全部の評価パラメータが評価パラメータ閾値を達成しているという条件とすることができる。なお、評価パラメータが評価パラメータ閾値を達成しているとは、評価パラメータのほうが、評価パラメータ閾値よりも、方位の信頼度が高い側の値になっていることを意味する。
【0071】
採用条件は、これ以外にも、複数の評価パラメータのうちの所定割合(たとえば8割)が評価パラメータ閾値を達成している場合に採用条件を満たすとしてもよい。また、各評価パラメータの達成度合いにランクを設けて点数化し、全評価パラメータの合計点数を用いて採用条件を満たしているか否かを判断してもよい。
【0072】
S18の判断がYESになる場合、現時点の方位角θの信頼度よりも、ドップラー方位推定部103が推定した方位の信頼度のほうが高いと考えることができる。そこで、S18の判断がYESであればS19に進み、ドップラー方位推定部103が算出した方位角初期値θを、INS方位決定部104で用いる基準方位として採用する。すなわち、INS方位決定部104で用いる方位角初期値θを更新する。また、S13を実行した場合にも、このS19を実行する。
【0073】
S20では、方位角初期値θを更新してから現時点までの方位角変化量を算出し、その方位角変化量を方位角初期値θに加算することで、方位角θを更新する。
【0074】
S21では、S20で更新した方位角θと、最新の方位信頼度クラスを、これらを使用するアプリケーションに出力する。アプリケーションの例としては、この方位角θと、車両1の速度vとを用いて自律航法を行う位置推定アプリケーションがある。
【0075】
なお、図3の処理において、S14は状態変数決定部に相当し、S15は信頼度クラス決定部に相当し、S16は閾値選択部に相当し、S17は評価パラメータ算出部に相当し、S18、S19は採否判断部に相当する。
【0076】
<実施形態のまとめ>
本実施形態の方位推定装置100は、方位角θの信頼度の大きさを表す状態変数Sを算出し(S14)、この状態変数Sが、方位角θの信頼度が低いことを示すほど、複数の評価パラメータと比較する評価パラメータ閾値群Pを、方位角θの信頼度が低くても採用条件を満たしやすい評価パラメータ閾値群Pとする。よって、ドップラー方位推定部103が推定した方位が、信頼度が十分に高くなくても、基準方位として採用されることになる。これにより、早期に基準方位が更新されやすくなるので、自律航法において推定する方位の誤差増加を抑制することができる。
【0077】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0078】
<変形例1>
前述の実施形態で示した(1)式は、特許文献1にも記載されているように、次の拘束条件1〜3を採用して、衛星方向速度Vsと車両1の速度ベクトルの関係式を拘束して得られる式である。なお、Vx、Vyは、それぞれ、車両1の速度ベクトルのx成分、y成分である。
【数6】
【0079】
特許文献1にも開示されているように、拘束条件としてこれら3つの拘束条件を全て用いる必要はない。車速データ、方位角変化量、クロックドリフトCbvの時間変化、いずれか一つのみによる拘束条件としてもよい。また、各々を適宜組み合わせた拘束条件としてもよい。
【0080】
拘束条件として、方位角変化量のみを用いた場合には、(1)式において、Vwheel、θ、およびCbvが未知パラメータとなる。よって、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×2+1」となる。
【0081】
また、拘束条件として、クロックドリフトCbvの時間変化のみを用いた場合には、(1)式において、Vwheel、θ、θgyro、Cbv、およびAが未知パラメータとなるため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×2+3」となる。
【0082】
また、拘束条件として、クロックドリフトCbvの時間変化および車速データを用いた場合には、(1)式において、θ、θgyro、Cbv、およびAが未知パラメータとなるため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×1+3」となる。
【0083】
<変形例2>
前述の実施形態では、移動体は車であったが、移動体は車以外でもよい。
【符号の説明】
【0084】
1:車両 2:GNSS受信機 3:車速センサ 4:ジャイロセンサ 5:シフトポジションセンサ 6:挙動検出センサ 100:方位推定装置 101:衛星データ取得部 102:センサデータ取得部 103:ドップラー方位推定部 104:INS方位決定部 110:衛星データ蓄積部 111:センサデータ蓄積部 S 状態変数、 S14 状態変数決定部、 S15 信頼度クラス決定部、 S16 閾値選択部、 S17 評価パラメータ算出部、 S18、S19 採否判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6