(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抵抗発生部材は、前記感光体ドラムの端部と前記第2フレームとの間に位置するフェルトであって、前記感光体ドラムの端部と前記第2フレームとに接触するフェルトを含むことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
前記感光体ドラムを帯電させる帯電器であって、前記感光体ドラムの表面から離れて位置する帯電器をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
前記駆動力に従って現像ローラが回転している状態において、前記第1ギヤの複数のギヤ歯のうち少なくとも1つのギヤ歯の回転方向下流側の歯面が、前記第2ギヤの複数のギヤ歯のうち少なくとも1つのギヤ歯の回転方向上流側の歯面と接触することを特徴とする請求項20から請求項23のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、感光体ドラムの回転は、用紙が突入する、または、現像ローラ等が接触することが外乱となって、回転速度のムラが生じうる。感光体ドラムの回転ムラがあると、形成された画像に、バンディングと言われる帯状のムラが発生するという問題がある。
【0005】
このため、従来、外乱による感光体ドラムの回転ムラが発生しにくいように、プロセスカートリッジのフレームと感光体ドラムとの間で摩擦抵抗を発生する部品を設けていた。この摩擦抵抗は、感光体ドラムの表面と現像ローラの表面との摩擦により感光体ドラムにかかる回転トルクよりも大きく設定されていた。
【0006】
しかしながら、従来では、フレームと感光体ドラムとの間で摩擦抵抗を発生する部材による感光体ドラムの回転の抵抗が大きいため、感光体ドラムに大きな駆動力を入力する必要があった。また、現像ローラにも、感光ドラムに入力される駆動力とは別の駆動力が入力されなければならないため、感光体ドラムと現像ローラを駆動させるのに必要な駆動力が大きい。
【0007】
そこで、本発明は、感光体ドラムと現像ローラを小さな駆動力で回転させることが可能なプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明のプロセスカートリッジは、所定方向に延びる第1軸について回転可能な感光体ドラムと、感光体ドラムを回転可能に支持するフレームと、駆動力に従って、所定方向に延びる第2軸について回転可能な現像ローラであって、現像ローラの表面が感光体ドラムの表面にトナーを介して接触する現像ローラと、感光体ドラムがフレームに対して回転する場合の抵抗となる抵抗トルクを発生する抵抗発生部材とを備える。プロセスカートリッジは、現像ローラの表面が感光体ドラムの表面にトナーを介して接触した状態で駆動力に従って現像ローラが回転した場合、抵抗トルクTQ1は、現像ローラの表面と感光体ドラムの表面との摩擦により感光体ドラムを回転させるトルクTQ2よりも小さい。
【0009】
このような構成によれば、抵抗トルクTQ1が、現像ローラの表面と感光体ドラムの表面との摩擦により感光体ドラムを回転させるトルクTQ2よりも小さいので、感光体ドラムを回転させるのに必要な駆動力を小さくすることができる。このため、現像ローラと感光体ドラムを回転させるのに必要な駆動力を小さくすることができる。
【0010】
前記したフレームは、第1フレームと、所定の方向において第1フレームと離れて位置する第2フレームと、を備えることができる。
この場合、感光体ドラムは、第1フレームと第2フレームとの間に位置する。
そして、抵抗発生部材は、感光体ドラムを第1フレームに向けて付勢する付勢部材を含むことができる。
【0011】
付勢部材は、例えば、バネであってもよい。
【0012】
抵抗発生部材は、感光体ドラムの端部と第2フレームとの間に位置するフェルトであって、感光体ドラムの端部と第2フレームとに接触するフェルトを含むことができる。
【0013】
感光体ドラムは、第1ギヤを有していてもよい。
そして、プロセスカートリッジは、さらに、駆動力を受けるためのカップリングを備えることができる。
【0014】
感光体ドラムを回転させるための駆動力をギアで受ける場合は、ギヤの製造誤差などにより、感光体ドラムの回転にムラが発生し、バンディングに繋がるおそれがあった。しかし、現像ローラがカップリングを介して駆動力を受け、感光ドラムが現像ローラに従動することで感光体ドラムの回転ムラを抑制し、バンディングを低減することができる。
【0015】
第1ギヤは、複数のギヤ歯を含むことができる。複数のギヤ歯の各ギヤ歯の歯面は、インボリュート曲線からなり、理想のインボリュート曲線に対し、歯厚が小さい側にずれていることが望ましい。
【0016】
複数のギヤ歯の歯厚を小さめに設定することで、感光体ドラムの回転ムラを抑制することができる。
【0017】
また、歯面の理想のインボリュート曲線からのずれ量は、歯元から歯先に行くに従い、大きくなっていることが望ましい。
【0018】
このような構成によれば、感光体ドラムの回転ムラをより抑制することができる。
【0019】
前記したプロセスカートリッジは、感光体ドラムを帯電させる帯電器であって、感光体ドラムの表面から離れて位置する帯電器をさらに備えることができる。この場合、帯電器は、スコロトロン帯電器であってもよい。
【0020】
プロセスカートリッジは、さらに、所定方向に延びる第3軸について回転可能な転写ローラであって、感光体ドラムの表面に転写ローラの表面が接触する転写ローラを備えることができる。そして、プロセスカートリッジは、感光体ドラムの表面には、現像ローラの表面と転写ローラの表面のみが接触する構成であってもよい。また、プロセスカートリッジは、クリーナレスタイプであってもよい。
【0021】
前記したプロセスカートリッジは、現像ローラを備える現像カートリッジと、現像カートリッジが装着可能なドラムカートリッジであって、感光体ドラムと抵抗発生部材とを備えるドラムカートリッジとを備える構成とすることができる。
【0022】
前記したプロセスカートリッジは、現像ローラを備える現像カートリッジと、現像カートリッジが装着可能なドラムカートリッジであって、感光体ドラムと第1フレームと第2フレームと抵抗発生部材とを備えるドラムカートリッジとを備える構成とすることができる。
【0023】
前記したプロセスカートリッジは、現像ローラとカップリングとを備える現像カートリッジと、現像カートリッジが装着可能なドラムカートリッジであって、感光体ドラムと第1ギアと抵抗発生部材とを備えるドラムカートリッジとを備える構成とすることができる。
【0024】
前記したプロセスカートリッジは、現像ローラを備える現像カートリッジと、現像カートリッジが装着可能なドラムカートリッジであって、感光体ドラムと帯電器とを備えるドラムカートリッジとを備える構成とすることができる。
【0025】
前記したプロセスカートリッジは、現像ローラを備える現像カートリッジと、現像カートリッジが装着可能なドラムカートリッジであって、感光体ドラムと転写ローラとを備えるドラムカートリッジとを備える構成とすることができる。
【0026】
前記したプロセスカートリッジに用いられるトナーは、粉砕トナーであってもよい。
【0027】
粉砕トナーを用いる場合、感光体ドラムの表面と現像ローラの表面の摩擦係数が大きくなりやすい。このため、上述の構成により感光体ドラムと現像ローラを駆動するための駆動力を効果的に小さくすることができる。
【0028】
TQ1−TQ2は、−2[Ncm]以下であることが望ましい。さらに、TQ1−TQ2は、−3〜−7[Ncm]であることがより望ましい。
【0029】
前記した課題を解決する画像形成装置は、前記したプロセスカートリッジと、プロセスカートリッジを装着可能な装置本体とを備えて構成することができる。
この場合、装置本体は、モータと、第1ギヤと噛み合う第2ギヤであって、モータの回転速度に従った回転速度で回転する第2ギヤと、現像ローラに駆動力を入力する駆動入力部材とを備えることができる。
【0030】
このような構成によれば、第2ギヤがモータの回転速度に従った回転速度で回転するので、第2ギヤは、感光体ドラムの速度規制ギヤとして機能することができる。
【0031】
前記した画像形成装置において、現像ローラの周速は、感光体ドラムの周速より大きいことが望ましい。さらに、現像ローラの周速は、感光体ドラムの周速の1.3〜1.7倍であることが望ましい。
【0032】
このような構成とすることで、感光体ドラムを現像ローラに良好に従動させることができるとともに、現像ローラの摩耗を抑制することができる。
【0033】
前記した画像形成装置は、現像ローラおよび感光体ドラムとは異なる被駆動部材と、モータが被駆動部材を駆動するようにモータと被駆動部材を連結するギヤ列とをさらに備えることができる。
【0034】
このような構成によれば、被駆動部材を動かすためのトルクが第2ギヤの速度変動の抵抗となる。そのため、感光体ドラムの回転ムラをより抑制することができる。
【0035】
前記した画像形成装置は、駆動力に従って現像ローラが回転している状態において、第1ギヤの複数のギヤ歯のうち少なくとも1つのギヤ歯の回転方向下流側の歯面が、第2ギヤの複数のギヤ歯のうち少なくとも1つのギヤ歯の回転方向上流側の歯面と接触してもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、感光体ドラムと現像ローラを小さな駆動力で回転させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。最初に、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1の概略構成について
図1を参照して説明する。
【0039】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体2と、フィーダ部3と、画像形成部4とを備える。
【0040】
本体筐体2は、フロントカバー2Aと、開口2Bと、モータ21と、排紙トレイ22と、搬送ローラ23とを備える。フロントカバー2Aは、開口2Bを開閉する。モータ21は、後述するカップリング92(
図2参照)へ駆動力を入力する。
【0041】
フィーダ部3は、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、搬送ローラ33とを備える。用紙押圧板32は、給紙トレイ31内の用紙Sを搬送ローラ33に向けて押し上げる。搬送ローラ33は、画像形成部4に用紙Sを搬送する。
【0042】
画像形成部4は、露光装置5と、プロセスカートリッジ10と、定着器8とを備える。
【0043】
露光装置5は、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光装置5は、レーザビームを、後述する感光体ドラム60の表面上に出射する。
【0044】
プロセスカートリッジ10は、開口2Bを通って本体筐体2に装着可能である。プロセスカートリッジ10は、ドラムカートリッジ6と、現像カートリッジ7とを備える。
【0045】
ドラムカートリッジ6は、現像カートリッジ7を装着可能である。ドラムカートリッジ6は、感光体ドラム60と、帯電器12と、転写ローラ13とを備える。感光体ドラム60は、所定方向に延びる第1軸X1について回転可能である。帯電器12は、感光体ドラム60と向かい合う。転写ローラ13は、感光体ドラム60と向かい合う。
【0046】
現像カートリッジ7は、現像ローラ18と、供給ローラ19と、層厚規制ブレード14と、トナー収容部15と、アジテータ16と、筐体17とを備える。現像ローラ18は、カップリング92を介して入力される駆動力に従って、所定方向に延びる第2軸X2について回転可能である。現像ローラ18の表面は、感光体ドラム60の表面にトナーを介して接触する。本実施形態において、トナーは、粉砕トナーである。一般的に、粉砕トナーを用いる場合、重合トナーを用いる場合よりも現像ローラ18の表面と感光ドラム60の表面の摩擦力が大きい。筐体17は、樹脂から形成される。筐体17は、トナーを収容可能である。
【0047】
帯電器12は、感光体ドラム60の表面を帯電させる。帯電器12は、感光体ドラムの表面から離れて位置する。帯電器12は、例えば、スコロトロン帯電器である。帯電器12は、帯電ワイヤ12Aと、グリッド電極12Bとを有する。帯電ワイヤ12Aとグリッド電極12Bとの間には、帯電バイアスが印加される。
【0048】
転写ローラ13は、所定方向に延びる第3軸について回転可能である。転写ローラ13の表面は、感光体ドラム60の表面に接触する。
【0049】
露光装置5は、感光体ドラム60上に静電潜像を形成する。現像ローラ18は、感光体ドラム60上の静電潜像にトナーを供給する。これにより、トナーは、感光体ドラム60の表面においてトナー像となる。転写ローラ13は、感光体ドラム60上のトナー像を用紙Sに転写する。
【0050】
定着器8は、加熱ローラ8Aと、加圧ローラ8Bとを備える。加圧ローラ8Bは、用紙Sを加熱ローラ8Aに押圧する。加熱ローラ8Aは、トナー像を用紙Sに熱定着させる。搬送ローラ23は、用紙Sを排紙トレイ22に排出する。
【0051】
図2に示すように、ドラムカートリッジ6は、フレーム11と、感光体ドラム60と、抵抗発生部材70と、転写ローラ13とを備える。
【0052】
フレーム11は、第1フレーム11Aと、第2フレーム11Bとを備える。第2フレーム11Bは、所定方向において第1フレーム11Aと離れて位置する。感光体ドラム60は、フレーム11に組み付けられた状態において、二点鎖線で示すように、第1フレーム11Aと第2フレーム11Bとの間に位置する。
【0053】
感光体ドラム60は、ドラム本体61と、シャフト62と、第1ギヤ63と、転写ローラ駆動ギヤ64を有する。
【0054】
ドラム本体61は、金属管からなる。金属管の外周面には、図示しない感光層が設けられている。
【0055】
シャフト62は、第1ギヤ63、転写ローラ駆動ギヤ64および抵抗発生部材70を介してドラム本体61を支持する。すなわち、抵抗発生部材70の一部は、感光体ドラム60の一部を構成している。シャフト62は、ドラム本体61を所定方向に貫通している。第1ギヤ63および転写ローラ駆動ギヤ64は、ドラム本体61に固定され、ドラム本体61とともに回転可能である。
【0056】
第1ギヤ63は、複数のギヤ歯63Aを含む。複数のギヤ歯63Aの歯面は、インボリュート曲線からなる。そして、複数のギヤ歯63Aは、理想のインボリュート曲線に対し、歯厚が小さい側にずれている。さらに、歯面の理想のインボリュート曲線からのずれ量は、歯元から歯先に行くに従い、大きくなっている。つまり、歯先に行くほど、理想のインボリュート歯車のギヤ歯に比較して細くなっている。
【0057】
本体筐体2のサイドフレーム2Cには、第2ギヤ88が設けられている。第2ギヤ88は、複数のギヤ歯88Aを含む。第2ギヤ88は、第1ギヤ63と同じモジュールのインボリュート歯車からなる。プロセスカートリッジ10が本体筐体2に装着されると、第1ギヤ63の複数のギヤ歯63Aのうち少なくとも1つのギヤ歯63Aは、第2ギヤ88の複数のギヤ歯88Aのうち少なくとも1つのギヤ歯88Aと係合する。
【0058】
第1フレーム11Aおよび第2フレーム11Bは、それぞれ、貫通孔11Hを有する。
感光体ドラム60は、所定の位置に配置された状態で、シャフト62を2つの貫通孔11Hとドラム本体61に通すことで、フレーム11に回転可能に支持されている。シャフト62は、止め輪69によりフレーム11から外れないように止められている。
【0059】
転写ローラ13は、所定方向に延びる第3軸X3(
図1参照)について回転可能である。転写ローラ13は、図示しない軸受部材を介してフレーム11に回転可能に支持されている。転写ローラ13は、端部に転写ローラギヤ13Aを有する。転写ローラギヤ13Aは、転写ローラ駆動ギヤ64と噛み合う。これにより、感光体ドラム60が回転すると、転写ローラ駆動ギヤ64から転写ローラギヤ13Aに回転力が伝わって、転写ローラ13が回転する。
【0060】
本実施形態において、感光体ドラム60の表面には、印刷媒体である用紙SやトナーTを除くと、現像ローラ18の表面と転写ローラ13の表面のみが接触する。また、プロセスカートリッジ10は、感光体ドラム60の表面に接触するクリーナーを備えず、感光体ドラム60の表面の残トナーや異物を現像ローラ18で除去するクリーナレスタイプである。
【0061】
現像カートリッジ7の筐体17は、サイドフレーム17Aと、サイドフレーム17Bと、突出部17Cとを備える。サイドフレーム17Bは、所定方向においてサイドフレーム17Aと離れて位置する。突出部17Cは、現像ローラ18から離れる方向に突出している。突出部17Cは、所定方向に離れて、筐体17の両端にそれぞれ設けられている。現像ローラ18は、筐体17に組み付けられた状態において、サイドフレーム17Aとサイドフレーム17Bの間に位置する。現像ローラ18は、ローラ本体18Aと、シャフト18Bとを有する。
【0062】
シャフト18Bは、軸受部材18Cによって両端が支持され、各軸受部材18Cがサイドフレーム17A,17Bに支持されている。ローラ本体18Aは導電性のゴムからなり、シャフト18Bに固定されている。
【0063】
現像カートリッジ7は、サイドフレーム17Aに、回転可能なカップリング92を備える。カップリング92は、サイドフレーム17Aの内側にカップリングギヤ92A(
図5参照)を有している。本体筐体2のサイドフレーム2Cには、カップリング92に係合して現像ローラ18に駆動力を入力する駆動入力部材86が設けられている。現像カートリッジ7が本体筐体2に装着されると、カップリング92が駆動入力部材86と係合するようになっている。カップリング92は、駆動入力部材86から現像ローラ18を回転させるための駆動力を受ける。
【0064】
現像ローラ18は、一端部に現像ローラギヤ18D(
図5参照)を有している。現像ローラギヤ18Dは、カップリングギヤ92Aと噛み合っている。
【0065】
図3(b)示すように、ドラムカートリッジ6は、押圧機構67を備える。押圧機構67は、現像カートリッジ7をドラムカートリッジ6にロックするとともに現像ローラ18を感光体ドラム60へ向けて押圧する。
具体的に、押圧機構67は、押圧部材65とバネ66とを有する。バネ66は、圧縮コイルバネである。バネ66の一端は、フレーム11に当接している。バネ66の他端は、押圧部材65に係合している。押圧機構67は、
図2に示すように、筐体17の両端の突出部17Cにそれぞれ対応して設けられる。詳細には、押圧機構67は、所定方向に離れてフレーム11の両端にそれぞれ設けられている。
【0066】
図3(a)に示すように、現像カートリッジ7がドラムカートリッジ6に装着されると、
図3(b)に示すように、各押圧部材65は、バネ66の付勢力によって現像カートリッジ7の各突出部17Cを押圧する。これにより、現像ローラ18の表面は、感光体ドラム60の表面に押し付けられる。
【0067】
図4に示すように、抵抗発生部材70は、バネ受け部材71と、ピストン72と、付勢部材の一例としてのバネ73と、パッド74とを備える。抵抗発生部材70の構成部材のうち、バネ受け部材71、ピストン72およびバネ73は、感光体ドラム60を構成している。
【0068】
バネ受け部材71は、有底円筒形状の部材である。バネ受け部材71は、円筒部71Aと、底部71Bとを有する。バネ受け部材71の円筒部71Aは、その外周がドラム本体61の内側に嵌合している。円筒部71Aの開口部71Cは、ドラム本体61の一端側に向いている。
【0069】
ピストン72は、有底円筒形状の部材である。ピストン72は、円筒部72Aと、底部72Bとを有する。ピストン72の円筒部72Aは、その外周がバネ受け部材71の円筒部71Aの内側に嵌合している。ピストン72は、底部72Bがドラム本体61の一端側に位置する。ピストン72は、バネ受け部材71に対し、円筒部71Aの軸方向にスライド移動可能である。
【0070】
バネ73は、圧縮コイルバネである。バネ73は、圧縮された状態で、バネ受け部材71の底部71Bと、ピストン72の底部72Bの間に位置している。バネ73は、常時、ピストン72を、バネ受け部材71の底部71Bから離れる方向に付勢している。バネ73の強さを調整することで、感光体ドラム60がフレーム11に対して回転するときの抵抗を調整することが可能である。
【0071】
パッド74は、第2フレーム11Bの、ドラム本体61側の面に貼り付けられている。すなわち、パッド74は、感光体ドラム60の端部であるピストン72の底部72Bと第2フレーム11Bとの間に位置する。パッド74は、感光体ドラム60がフレーム11に対して適度な摩擦力を持って回転するように、適度な摩擦係数を発生させる部材である。パッド74は、例えば、フェルトからなる。パッド74は、ピストン72の底部72Bと向かい合う。すなわち、パッド74は、感光体ドラム60の端部と、第2フレーム11Bとに接触する。
【0072】
ピストン72の底部72Bの、パッド74と向かい合う面には、複数の突条72Cが形成されている。複数の突条72Cは、シャフト62を中心とする同心円状に延びている。突条72Cは、底部72Bがパッド74との間で適度な摩擦係数を有するように設けられている。
【0073】
ピストン72の底部72Bが、バネ73の付勢力により第2フレーム11Bへ向けて付勢され、パッド74に押し付けられることで、抵抗発生部材70は、感光体ドラム60がフレーム11に対して回転する場合の抵抗となる抵抗トルクTQ1を発生する。また、ピストン72が第2フレーム11Bへ向けて付勢される反力により、感光体ドラム60は、第1フレーム11Aに向けて付勢されている。すなわち、バネ73は、感光体ドラム60を第1フレーム11Aに向けて付勢している。そして、これにより、感光体ドラム60の第1軸X1方向のがたつきが抑制されている。
【0074】
図5に示すように、モータ21は、ギヤ列80を介して第2ギヤ88および駆動入力部材86と連結されている。また、モータ21は、第2ギヤ88および駆動入力部材86とは別の、搬送ローラ23,33などの用紙搬送系や定着器8などにギヤ列80を介して連結されている。すなわち、レーザプリンタ1は、現像ローラ18および感光体ドラム60とは異なる被駆動部材の一例として搬送ローラ23,33や定着器8を有し、モータ21がこれらの被駆動部材を駆動するように、ギヤ列80は、モータ21と被駆動部材を連結している。
【0075】
一例として、ギヤ列80は、駆動ギヤ81と、第1アイドルギヤ82と、第2アイドルギヤ83と、変速ギヤ84と、第3アイドルギヤ85と、第4アイドルギヤ87と、第5アイドルギヤ89とを備える。
【0076】
駆動ギヤ81は、モータ21の出力軸に直結している。
第1アイドルギヤ82は、駆動ギヤ81と噛み合っている。
第2アイドルギヤ83は、第1アイドルギヤ82と噛み合って第1アイドルギヤ82から駆動力を受ける。第2アイドルギヤ83は、複数のアイドルギヤを介して搬送ローラ23,33と連結されている。
【0077】
変速ギヤ84は、一体に回転する小径ギヤ84Aと大径ギヤ84Bを有している。小径ギヤ84Aは、大径ギヤ84Bよりも直径が小さい。小径ギヤ84Aは、第1アイドルギヤ82と噛み合っている。大径ギヤ84Bは、第3アイドルギヤ85と噛み合っている。
【0078】
第3アイドルギヤ85は、駆動入力部材86が有するギヤと噛み合っている。駆動入力部材86は、モータ21から、駆動ギヤ81、第1アイドルギヤ82、変速ギヤ84および第3アイドルギヤ85を介して駆動力を受ける。
【0079】
第4アイドルギヤ87は、第1アイドルギヤ82と噛み合っている。また、第4アイドルギヤ87は、第2ギヤ88と噛み合っている。これにより、第2ギヤ88は、モータ21の回転速度に従った回転速度で回転する。
【0080】
駆動ギヤ81から現像ローラギヤ18Dに連結する系列には、変速ギヤ84が設けられ、駆動ギヤ81から第1ギヤ63に連結する系列には、変速ギヤが設けられていないことで、現像ローラ18の周速は、感光体ドラム60の周速より大きい。現像ローラ18の周速は、感光体ドラム60の周速の1.3〜1.7倍であることが望ましい。より好ましくは、現像ローラ18の周速は、感光体ドラム60の周速の1.55倍であることが望ましい。一例として、現像ローラ18の周速は、感光体ドラム60の周速の約1.5倍である。すなわち、本実施形態におけるプロセスカートリッジ10は、感光体ドラム60の周速よりも現像ローラ18の周速の方が大きい。
【0081】
第5アイドルギヤ89は、駆動ギヤ81と噛み合っている。第5アイドルギヤ89は、複数のアイドルギヤを介して定着器8と連結されている。例えば、第5アイドルギヤ89は、複数のアイドルギヤを介して定着器8の加熱ローラ8Aまたは加圧ローラ8Bのギヤと連結している。
【0082】
図6(a)に示すように、現像ローラ18の表面は、トナーTを介して感光体ドラム60の表面に接触する。現像ローラ18を回転させた場合、現像ローラ18の表面と、感光体ドラム60の表面のトナーTを介した接触による摩擦力F1(動摩擦力)が発生する。この摩擦力F1と感光体ドラム60の半径R1の積R1・F1が、現像ローラ18の表面と感光体ドラム60の表面との摩擦により感光体ドラム60を回転させるトルクTQ2である。
【0083】
前記した抵抗発生部材70による抵抗トルクTQ1は、このトルクTQ2(=R1・F1)よりも小さい。すなわち、プロセスカートリッジ10は、現像ローラ18の表面が感光体ドラム60の表面にトナーTを介して接触した状態で駆動力に従って現像ローラ18が回転した場合においても、TQ1<TQ2である。これにより、感光体ドラムを回転させるのに必要な駆動力を小さくすることができる。
【0084】
また、転写ローラ13は、転写ローラ駆動ギヤ64と転写ローラギヤ13Aとの噛み合いにより、感光体ドラム60により回転させられるので、感光体ドラム60にとっては、転写ローラ13を回転させるためのトルクTQ3は、抵抗となる。そして、感光体ドラム60が回転する際の抵抗となる、抵抗トルクTQ1とトルクTQ3の和の大きさは、トルクTQ2の大きさよりも小さい。すなわち、TQ1+TQ3<TQ2である。これにより、現像ローラ18の回転に、感光体ドラム60を連れ回り(従動)させることができる。
【0085】
TQ1−TQ2は、−2[Ncm]以下であることが望ましい。さらに、TQ1−TQ2は、−3〜−7[Ncm]であることがより望ましい。
これにより、感光体ドラム60を現像ローラ18に連れ回りさせたときに、感光体ドラム60の回転ムラを小さくすることができる。
【0086】
以上のように構成されたプロセスカートリッジ10およびレーザプリンタ1の作用効果について説明する。
モータ21を駆動して、カップリング92を介して現像ローラ18を回転させると、現像ローラ18は、感光体ドラム60の約1.5倍の周速で回転する。このとき、現像ローラ18の表面と感光体ドラム60の表面の摩擦力F1により、感光体ドラム60の表面は、現像ローラ18の表面の進行方向に引っ張られる。
図6(a)においては、現像ローラ18は、反時計回りに回転するので、感光体ドラム60の表面は、現像ローラ18の表面により、時計回り方向に引っ張られる。
なお、現像ローラ18にとっては、現像ローラ18の表面と感光体ドラム60の表面の摩擦力は、現像ローラ18の回転の抵抗、いわば、ブレーキとして働く。
【0087】
そして、前記したようにプロセスカートリッジ10は、TQ1+TQ3<TQ2を満たしており、摩擦によるトルクTQ2は、感光体ドラム60が回転するときのすべての抵抗よりも大きいので、周速の速い現像ローラ18に、感光体ドラム60をに連れ回りさせることができる。
【0088】
ここで、第1ギヤ63は、第2ギヤ88に噛み合っているため、第2ギヤ88によって速度が制限される。すなわち、第2ギヤ88は、モータ21の回転速度に従った回転速度により回転しているのであるが、第1ギヤ63を駆動するのではなく、第1ギヤ63が速く回りすぎないように、第1ギヤ63の速度を制限するように働く。いわば、第2ギヤ88は、第1ギヤ63の速度規制ギヤとして機能する。
【0089】
このため、
図6(b)に拡大して示すように、駆動力に従って現像ローラ18が回転している状態において、第1ギヤ63の複数のギヤ歯63Aのうち少なくとも1つのギヤ歯63Aの回転方向下流側の歯面63Dは、第2ギヤ88の複数のギヤ歯88Aのうち少なくとも1つのギヤ歯88Aの回転方向上流側の歯面88Uと接触する。
【0090】
なお、従来技術の場合、バネ73の力が強く、TQ1>TQ2であった。このため、現像ローラは、感光体ドラムを連れ回りさせることはできなかった。そして、主として装置本体のギヤの駆動力が感光体ドラムを回転させ、現像ローラの表面と感光体ドラムの表面の摩擦力は、感光体ドラムの回転を補助するように機能していた。
また、従来技術では、抵抗トルクTQ1が大きいため、これに打ち勝つだけの駆動力を第2ギヤ88および現像ローラ18から感光体ドラム60に入力する必要があった。
【0091】
しかし、本実施形態のプロセスカートリッジ10においては、抵抗トルクTQ1が、トルクTQ2よりも小さいので、感光体ドラム60を回転させるのに必要な駆動力を小さくすることができる。このため、現像ローラ18と感光体ドラム60を回転させるのに必要な駆動力を小さくすることができる。
【0092】
また、感光体ドラム60を現像ローラ18に連れ回りさせることができることで、感光体ドラム60を積極的に回転させる駆動力を第2ギヤ88から感光体ドラム60に入力する必要が無い。
【0093】
そして、感光体ドラム60を回転させるための駆動をギアで受ける場合は、ギヤの製造誤差などにより、感光体ドラム60の回転にムラが発生し、バンディングに繋がるおそれがあった。しかし、本実施形態では、現像ローラ18がカップリング92を介して駆動力を受け、感光体ドラム60が現像ローラ18に従動することで回転するので、感光体ドラム60の回転ムラを抑制し、バンディングを低減することができる。
【0094】
そして、特に、TQ1−TQ2が−2[Ncm]以下であり、望ましくは、TQ1−TQ2が、−3〜−7[Ncm]であることで、感光体ドラム60の回転ムラを効果的に抑制することができる。
図7は、このことを出願人が実験で確認した結果である。この実験においては、第1ギヤ63および第2ギヤ88として下記のものを用いた。
【0095】
第1ギヤ(インボリュートはすば歯車)
モジュール 0.8
歯数 33
圧力角 20°
ねじれ角 18°
【0096】
第2ギヤ(インボリュートはすば歯車)
モジュール 0.8
歯数 30
圧力角 20°
ねじれ角 18°
【0097】
図7においてFは、バネ73の付勢力である。バネ73として、付勢力Fが0.1[N]〜7.0[N]の5種類のものを用意し、TQ1−TQ2ごとに感光体ドラム60の回転ムラを測定した。
【0098】
その結果、TQ1−TQ2が0付近では、回転ムラが発生するが、TQ1−TQ2が−2[Ncm]以下の領域では、回転ムラは比較的小さい値に安定した。特に、TQ1−TQ2が、−3〜−7[Ncm]の領域で、感光体ドラム60の回転ムラが小さくなった。
【0099】
また、第1ギヤ63の複数のギヤ歯63Aの歯厚を小さめに設定することで、感光体ドラム60の回転ムラを抑制することができる。
図8は、このことを出願人が実験で確認した結果である。この実験においては、第1ギヤ63および第2ギヤ88として上記のものと同じものを使用し、第1ギヤ63の歯形の製造誤差ごとに回転ムラを測定した。なお、第2ギヤ88は、第1ギヤ63と同等の歯形誤差のものを組み合わせて用いた。
図8においては、歯形誤差がプラスであることは、理想のインボリュート曲線に対し、歯厚が大きくなる側に歯形に誤差があることを示し、歯形誤差がマイナスであることは、理想のインボリュート曲線に対し、歯厚が小さくなる側に歯形の誤差があることを示す。
【0100】
図8に示すように、歯形誤差がマイナスの領域では、プラスの領域よりも、マイナスの領域の方が回転ムラが小さく、歯形誤差が変化しても回転ムラの変化が少なかった。
【0101】
また、複数のギヤ歯63Aは、歯面の理想のインボリュート曲線からのずれ量が、歯元から歯先に行くに従い、大きくなっているので、感光体ドラム60の回転ムラをより抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態のプロセスカートリッジ10は、トナーTとして、粉砕トナーを用いている。そのため、感光体ドラム60の表面と現像ローラ18の表面の摩擦係数を大きくさせやすく、TQ1<TQ2を実現しやすい。また、粉砕トナーを用いる場合に、TQ1<TQ2とするような発想の転換をすることで、感光体ドラム60と現像ローラ18を駆動するのに必要な駆動力を特に小さくすることができる。
【0103】
また、本実施形態のレーザプリンタ1は、モータ21が現像ローラ18を駆動するだけでなく、搬送ローラ23,33などの他の被駆動部材をも駆動するように構成されている。そのため、被駆動部材を動かすためのトルク(慣性)が第2ギヤ88の速度変動の抵抗となる。従って、感光体ドラム60の回転ムラをより抑制することができる。
【0104】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
【0105】
前記実施形態においては、感光体ドラムに接触する部材は、現像ローラと転写ローラだであったが、感光体ドラムの回転の抵抗となりにくい部材であれば、他の部材が接触していてもよい。例えば、帯電ローラやクリーニングローラが感光体ドラムに接触していてもよい。
【0106】
前記実施形態においては、プロセスカートリッジが、現像カートリッジとドラムカートリッジに分離するタイプであったが、プロセスカートリッジは、現像カートリッジとドラムカートリッジが一体であって、分離できないタイプであってもよい。また、トナーを収容するトナーカートリッジが、現像ローラを有する現像カートリッジから分離するタイプのプロセスカートリッジに本発明を適用することもできる。
【0107】
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0108】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。