特許第6962077号(P6962077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962077
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】操作パネル構造および自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/60 20190101AFI20211025BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20211025BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   G07D11/60
   G06K7/10 264
   H04M1/02 H
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-168322(P2017-168322)
(22)【出願日】2017年9月1日
(65)【公開番号】特開2019-46137(P2019-46137A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 守
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−163441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/60
G06K 7/10
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を表示する表示部と、
前記表示部の近傍に設けられ、操作者に対して音声により操作案内を行うハンドセットと、
前記ハンドセットの隣に配置され、非接触IC媒体から情報を読み取る非接触IC読取部と、を備え、
前記非接触IC読取部の読取面と、待ち受け位置における前記ハンドセットの背面とで、前記非接触IC媒体の載置部を構成し、
前記ハンドセットの背面は、送話部から受話部にかけて曲面を呈しており、前記読取面は、前記背面に設定される基準点の接平面上に設けられている、
ことを特徴とする操作パネル構造。
【請求項2】
前記読取面の縁部から前記基準点までの距離は、前記非接触IC媒体の端部から重心までの長さよりも短い、ことを特徴とする請求項に記載の操作パネル構造。
【請求項3】
前記読取面には、前記非接触IC媒体の落下を防止する壁部が形成されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の操作パネル構造。
【請求項4】
前記ハンドセットの背面で前記非接触IC媒体と当接する当接部には、滑止め部材が設けられている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項の何れか一項に記載の操作パネル構造。
【請求項5】
請求項1ないし請求項の何れか一項に記載の操作パネル構造を備えることを特徴とする自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネル構造および自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関などで利用されている自動取引装置(ATM:Automated /Automatic Teller Machine)の中には、非接触ICリーダを備えるものがある(特許文献1参照)。非接触ICリーダは、非接触IC媒体に内蔵されるICチップに記憶される情報を、電磁波を利用して読み取る装置である。ここで、「非接触IC媒体」は、カード型のものだけでなく、携帯電話機、タブレット端末、スマートフォンなどの電子装置を含む意図である。ここで、ICチップに記憶される情報を非接触ICリーダで確実に読み取るために、操作パネル上に非接触IC媒体を載置する場所を確保するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−129795号公報(段落0015〜0016、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された自動取引装置の構成では、操作パネルや自動取引装置のさらなる小型化を実現したいという要望に応えることが難しかった。つまり、自動取引装置の操作パネルには非接触ICリーダの他に液晶ディスプレイやハンドセットなどを配置する必要があるので余分なスペースがなく、非接触ICリーダ(非接触IC媒体を載置する場所)を大型化することはそのまま操作パネルや自動取引装置のサイズの拡大につながる。
近年では、スマートフォンが大型化の傾向にあり、表示画面が6インチを超える大きさのものも存在する。この大型のスマートフォンを非接触IC媒体として利用する場合には、操作パネル上にはこの大型のスマートフォンと同等のスペースが必要になる。そのため、特に問題になる。
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも小型化を実現可能である操作パネル構造および自動取引装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る操作パネル構造は、各種情報を表示する表示部と、前記表示部の近傍に設けられ、操作者に対して音声により操作案内を行うハンドセットと、前記ハンドセットの隣に配置され、非接触IC媒体から情報を読み取る非接触IC読取部と、を備え、前記非接触IC読取部の読取面と、待ち受け位置における前記ハンドセットの背面とで、前記非接触IC媒体の載置部を構成し、前記ハンドセットの背面は、送話部から受話部にかけて曲面を呈しており、前記読取面は、前記背面に設定される基準点の接平面上に設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る自動取引装置は、前記操作パネル構造を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来よりも小型化を実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る自動取引装置の外観斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る自動取引装置の側面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る操作パネルの側面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る操作パネルの側面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る操作パネルの側面図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る操作パネルの側面図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る操作パネルの要部拡大斜視図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る操作パネルの側面図である。
図9】本発明の第三実施形態に係る操作パネルの側面図である。
図10】本発明の第四実施形態に係る操作パネルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施するための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
[第一実施形態]
≪第一実施形態に係る自動取引装置の構成≫
図1および図2を参照して、第一実施形態に係る自動取引装置1の構成を説明する。図1および図2に示す自動取引装置1(ATM:Automated /Automatic Teller Machine)は、顧客に対して金融サービスを提供するためのアクセスポイントとしての役割を果たすものである。自動取引装置1は、例えば銀行の支店などに設置され、ネットワークNWを介して銀行ホストシステムに接続されている。
【0012】
自動取引装置1は、前面が開口した箱型の筺体2と、筺体2の前面下部に配設される前面扉3と、筺体2の前面上部に配設されており、顧客により操作される操作パネル10とを備えて構成されている。以下では、自動取引装置1を操作する顧客を、特に「操作者」と呼ぶことにする。
【0013】
筺体2は、内部に各種のユニット(例えば、紙幣入出金機や硬貨入出金機)を収納する。筺体2の前面側上部は凹んだ形状を呈しており、筺体2の底面には四本の脚部2aが設けられている。
前面扉3は、筺体2の前面下部を覆う部材であり、保守時において筺体2に収納されるユニットを操作する場合に開放される。
【0014】
操作パネル10は、筺体2の凹みに合わせて成形された側面視でL字形状を呈するフロントカバー10d(図2参照)に、取引に必要な種々の構成要素が設けられたものである。操作パネル10は、略垂直面を形成する第一操作面10aと、略水平面を形成する第二操作面10bとを有する。
【0015】
操作パネル10の第一操作面10aには、通帳入出口11と、カード入出口12とが設けられている。通帳入出口11は、通帳の挿入や排出を行う開口部である。カード入出口12は、キャッシュカードや振込カード等のカード媒体の挿入や排出を行う開口部である。
【0016】
操作パネル10の第二操作面10bには、硬貨入出金口13と、紙幣入出金口14と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイ(表示部)15と、非接触ICリーダライタ部(非接触IC読取部)16と、ハンドセット17とが設けられている。硬貨入出金口13は、硬貨の投入や排出を行う開口部である(図1ではシャッタが閉じられた状態)。紙幣入出金口14は、紙幣の投入や排出を行う開口部である(図1ではシャッタが閉じられた状態)。
【0017】
液晶ディスプレイ15は、各種の画面を表示すると共に各種の指示や情報等の入力を受け付ける構成要素である。なお、各種の画面を表示する機能のみを備えるものであってもよい。非接触ICリーダライタ部16は、非接触IC媒体9に内蔵されるICチップと近距離無線通信することで、ICチップ内の情報を読み込んだり、更新したりする構成要素である。ここでの非接触IC媒体9は、カード型のもの(符号9aで示す)だけでなく、スマートフォン9bなどの電子装置を含む。なお、ICチップ内の情報の読み込み、書き込みの何れか一方の機能を備えるものであってもよい。ハンドセット17は、例えば視覚障害者用に設けられ、各種の案内情報を音声で顧客に通知する構成要素である。ハンドセット17は、不使用時において操作パネル10に形成されるハンドセット用凹部10cに収納されている。
【0018】
自動取引装置1は、車いすを利用する操作者が使用し易いように設計されている。例えば、自動取引装置1に車いすを接近して操作を行うことができるように、前面扉3の上部が前方に緩やかに突出したオーバーハング形状3aを呈する。また、自動取引装置1に車いすを近づけやすいように、前面扉3の上部側面には手を掛けて車いすを引き寄せるための凹部4bが形成されている。また、低い目線からでも液晶ディスプレイ15を見やすいように、第二操作面10bは前部が低くなるように水平面に対して傾斜している。
【0019】
図3を参照して(適宜図1参照)、第一実施形態に係る操作パネル10のより詳細な構成を説明する。図3は、第一実施形態に係る操作パネル10の側面図であり、ハンドセット用凹部10c(図1参照)に収納された状態のハンドセット17と、ハンドセット用凹部10cから持ち上げられた状態のハンドセット17との二つの状態を示している。
【0020】
図3に示すように、ハンドセット17は、受話部17aと、送話部17bと、連結部17cとからなる。受話部17aは、電気信号を元の音声に変換する部分であり、通話時において操作者の耳に近づけられる。送話部17bは、音声を電気信号に変換する部分であり、通話時において操作者の口に近づけられる。連結部17cは、受話部17aおよび送話部17bを連結する部分であり、通話時において操作者に把持される。
【0021】
以下では、ハンドセット17の説明において、ハンドセット17の使用時において操作者に臨む面を「正面」と称し、反対側の面を「背面」と称する。ここでは、ハンドセット17の背面17eは、送話部17bから受話部17aにかけて緩やかな曲面を呈しているが、背面17eの一部領域または全領域が平面であってもよい。また、背面17eは、曲率の異なる複数の曲面が組み合わさって構成されていてもよい。なお、ハンドセット17の正面17dの形状は特に限定されず、任意の形状であってよい。
【0022】
ハンドセット17は、不使用時(待ち受け位置)において正面17dを第二操作面10bに向けた状態でハンドセット用凹部10c(図1参照)に収納される。ハンドセット用凹部10cに収納された状態で、受話部17aおよび送話部17bは第二操作面10bに埋没し、ハンドセット17の背面17eは第二操作面10bよりも上方に位置する。ここでは、背面17eの全領域が第二操作面10bよりも上方に位置しているが、少なくとも一部が第二操作面10bよりも上方に位置していればよい。
【0023】
図3に示すように(適宜図1参照)、非接触ICリーダライタ部16は、本体部16aと、読取面16cとを主に備えて構成されている。
本体部16aは、決められた通信手順に従って非接触IC媒体9との間でデータ伝送を行う装置である。本体部16aは、例えばアンテナと、交信に必要な高周波を発生する発振回路と、送信データを搬送波に重畳して変調する変調回路と、変調した搬送波(信号)を増幅してアンテナに供給する送信回路とを備える。また、本体部16aは、例えばアンテナを介して受信した信号を検波して増幅する受信回路と、信号から受信データを復調する復調回路とを備える。なお、アンテナの種類や形状は特に限定されない。
【0024】
読取面16cは、非接触ICリーダライタ部16の外装をなす部分であり、ここでは操作パネル10の第二操作面10bから上方に張り出すようにして一体的に成形されている。読取面16cの下部には、本体部16aが埋設されており、本体部16aのアンテナから送信される電磁波は読取面16cを介して(通過して)上方に放射される。そのため、非接触IC媒体9を読取面16cに近づけることで通信可能であるが、ここでは通信の安定を保つために操作者によって非接触IC媒体9が読取面16cに載置される。
【0025】
読取面16cは、図3に示すように、ハンドセット17の背面17eに設定される基準点Pの接平面K上に設けられているため、読取面16cの延長線上にハンドセット17の背面17eの一部が位置することになる。そのため、図4に示すように、スマートフォンなどの大型の非接触IC媒体9を読取面16cからハンドセット17に亘って載置することができる。つまり、本実施形態では、ハンドセット17は、待ち受け位置において非接触IC媒体9の一部に背面17eが当接することで、読取面16c上における非接触IC媒体9の載置状態を補助する。これにより、読取面16cとハンドセット17の背面17eとで非接触IC媒体9の載置部を構成する。
【0026】
なお、基準点Pは、接平面Kの接点となることで、非接触IC媒体9を安定して載置することができればよく、背面17eの任意の位置であってよい。例えば、ハンドセット17の形状、待ち受け位置における取り付け角度、非接触IC媒体9の形状や大きさなどによって基準点Pを設定するのがよい。以下では、図5を参照して、基準点Pの設定方法の一例を説明する。
【0027】
ここでの非接触IC媒体9は、平面視で長方形を呈した薄板状をなしており、長辺の長さを符号sで表すことにする。この場合、読取面16cの後方側の縁部16eから基準点Pまでの距離lを非接触IC媒体9の端部から重心Gまでの距離tよりも小さくするのがよい(距離l<距離t)。このようにすると、図6に示すように、重心Gが読取面16c上に位置するように載置された場合(非接触IC媒体9の端部が基準点Pに到達しない場合)には非接触IC媒体9を読取面16cで支持することが可能である。一方、図4に示すように、重心Gが読取面16c上から外れて載置された場合(非接触IC媒体9の端部が基準点Pに到達する場合)には非接触IC媒体9を読取面16cおよびハンドセット17の背面17eを用いて支持することが可能である。重心Gが非接触IC媒体9の長手方向の中央に位置する場合、基準点Pの位置は「距離l<長さs/2」である。なお、縁部16eから基準点Pまでの距離lが短すぎると、非接触IC媒体9の安定度が低下するのであまり好ましくない。
【0028】
なお、複数の大きさの非接触IC媒体9が自動取引装置1で使用される場合には、小さいサイズの非接触IC媒体9を基準にして基準点Pの位置を決定するのがよい。この場合、重心Gが読取面16c上から外れて載置されないことが明らかな非接触IC媒体9については、基準点Pの位置を決定するものから除外するのがよい。例えば読取面16cの前後方向の幅m(前方側の縁部16dから後方側の縁部16eまでの距離)よりも長手方向の長さsが小さい非接触IC媒体9や読取面16cの前後方向の幅mよりも長手方向の長さsが少しだけ大きい非接触IC媒体9については、基準点Pの位置を決定するものから除外するのがよい。例えば、カード型の非接触IC媒体9は除外してもよい。
【0029】
≪第一実施形態に係る自動取引装置の動作≫
図1ないし図4を参照して、第一実施形態に係る自動取引装置1による顧客の認証動作を説明する。顧客が自動取引装置1の前まで近づくと、図示しない顧客センサが顧客(操作者)の存在を検知する。自動取引装置1は、液晶ディスプレイ15にメニュー画面を表示し、実施したい取引を操作者に選択させる。続いて、自動取引装置1は、操作者情報(口座情報など)の入力を促す操作者情報入力画面を表示する。ここでは、非接触IC媒体9を用いて情報の入力を行う場合を想定し、自動取引装置1は、非接触IC媒体9を非接触ICリーダライタ部16およびハンドセット17に亘って載置することを促す操作者情報入力画面を液晶ディスプレイ15に表示する。操作者は、この操作者情報入力画面に従って非接触IC媒体9を非接触ICリーダライタ部16およびハンドセット17に亘って載置する(図4参照)。そして、非接触ICリーダライタ部16は、非接触IC媒体9に内蔵されるICチップと近距離通信を行い、ICチップ内の情報を読み込む。
【0030】
次に、自動取引装置1は、暗証番号の入力を促す暗証番号入力画面を液晶ディスプレイ15に表示し、操作者は、液晶ディスプレイ15をタッチ操作することで暗証番号の入力を行う。自動取引装置1は、入力された暗証番号が正しければ取引を開始し、間違っていれば暗証番号の再入力を操作者に対して促す。
【0031】
以上のように、第一実施形態に係る操作パネル10および自動取引装置1は、非接触ICリーダライタ部16の読取面16cの延長線上にハンドセット17の背面17eの一部が位置するので、読取面16cに大型の非接触IC媒体9が載置された場合に読取面16cからはみ出した部分がハンドセット17の背面17eに当接する。これにより、操作パネル10上に非接触IC媒体9と同様のスペースがなくても、読取面16cとハンドセット17の背面17eとで非接触IC媒体9を支持するので、非接触IC媒体9が安定する。そのため、操作パネル10上に非接触IC媒体9と同様のスペースを確保する必要がなく、操作パネル10や自動取引装置1の小型化を実現可能である。
【0032】
上記効果は、非接触ICリーダライタ部16をオプションとして搭載する場合に特に有効である。つまり、磁気を用いたキャッシュカードの需要がいまだに根強くあり、自動取引装置1を管理する管理者(例えば、銀行)によっては、非接触ICリーダライタ部16が必要ないと考える場合もある。その場合、非接触ICリーダライタ部16を配置するスペースが無駄になるが、第一実施形態に係る操作パネル10および自動取引装置1によれば、無駄になるスペースが少なくてすむ。なお、非接触ICリーダライタ部16を搭載するか否かにより基本構造を変更することも考えられるが、製造コストを考えると実用的ではない。
【0033】
[第二実施形態]
第一実施形態では、図3に示すように、読取面16cをハンドセット17の背面17eに設定される基準点Pの接平面K上に設けていた。そのため、読取面16cが水平面に対して傾斜する場合があり、この傾斜角度θによっては非接触IC媒体9が読取面16cから自重で滑り落ちることも想定される。第二実施形態では、非接触IC媒体9が読取面16cから滑り落ちるのを防止する。
【0034】
≪第二実施形態に係る自動取引装置の構成≫
第二実施形態に係る自動取引装置1A(図示せず)の構成を図7を参照して説明する。図7は、第二実施形態に係る操作パネル10Aの要部拡大斜視図である。
第二実施形態に係る操作パネル10Aは、第一実施形態に係る操作パネル10と比較して、非接触ICリーダライタ部16Aの構成が異なる。
【0035】
図7に示すように、非接触ICリーダライタ部16Aは、読取面16cの前方側の縁部16d(図5参照)に沿って前側壁部16fが立設されている。前側壁部16fの中央には、正面視で矩形状の凹部16gが形成されている。
【0036】
図8に示すように、操作者によって読取面16cに非接触IC媒体9が載置された場合に、非接触IC媒体9が読取面16cから自重で前方(矢印α方向)に移動したとしても前側壁部16fに突き当たる。そのため、非接触IC媒体9が読取面16cから自重で滑り落ちることを防止できる。なお、非接触IC媒体9を読取面16cから回収する場合に、操作者は、指を凹部16gに入れて後方に押すことで、容易に持ち上げることができる。
【0037】
以上のように、第二実施形態に係る操作パネル10Aおよび自動取引装置1Aは、第一実施形態に係る操作パネル10および自動取引装置1と略同等の効果を得ることができる。また、第二実施形態に係る操作パネル10Aおよび自動取引装置1Aは、図8に示すように非接触IC媒体9が読取面16cから自重で前方(矢印α方向)に移動したとしても前側壁部16fに突き当たるので、読取面16cから滑り落ちることがない。そのため、操作パネルの操作性が向上する。
【0038】
[第三実施形態]
第二実施形態では、図8に示すように、前側壁部16fを設けることで非接触IC媒体9が読取面16cから滑り落ちることを防止していた。第三実施形態では、他の手段で非接触IC媒体9の落下を防止する。
【0039】
≪第三実施形態に係る自動取引装置の構成≫
第三実施形態に係る自動取引装置1B(図示せず)の構成を図9を参照して説明する。図9は、第三実施形態に係る操作パネル10Bの側面図である。
第三実施形態に係る操作パネル10Bは、第一実施形態に係る操作パネル10と比較して、ハンドセット17の背面17eに滑止め部材18が設けられている点が異なる。
【0040】
滑止め部材18は、ハンドセット17の背面17eであって非接触IC媒体9に当接する領域(基準点Pの周辺)に設けられている。滑止め部材18は、非接触IC媒体9が自重で前方に移動するのを摩擦力によって防止することができればよく、その材質や形状は特に限定されない。滑止め部材18は、操作者がハンドセット17を使用した際に違和感をもたない程度に薄いことが望ましく、例えば、ハンドセット17の背面17eに貼り付けるシールであってよい。
【0041】
なお、非接触IC媒体9を非接触ICリーダライタ部16およびハンドセット17に亘って載置することの説明書き(図形も含む)を滑止め部材18の表面に記載するのがよい。このようにすると、操作者による操作誤りを低減させることが可能であり、操作者は、非接触IC媒体9を確実に非接触ICリーダライタ部16およびハンドセット17に亘って載置することができる。
【0042】
以上のように、第三実施形態に係る操作パネル10Bおよび自動取引装置1Bは、第一実施形態に係る操作パネル10および自動取引装置1と略同等の効果を得ることができる。また、第三実施形態に係る操作パネル10Bおよび自動取引装置1Bは、図9に示すように非接触IC媒体9が読取面16cから自重で前方に移動することを防止できるので、操作パネルの操作性が向上する。
【0043】
[第四実施形態]
第一ないし第三実施形態では、読取面16cをハンドセット17の背面17eに設定される基準点Pの接平面K上に設けていた。しかしながら、設計上の理由により読取面16cとハンドセット17の位置関係をこのようにできない場合も考えられる。第四実施形態では、他の手段で非接触IC媒体9を読取面16c上に安定して載置する。
【0044】
≪第四実施形態に係る自動取引装置の構成≫
第四実施形態に係る自動取引装置1C(図示せず)の構成を図10を参照して説明する。図10は、第四実施形態に係る操作パネル10Cの側面図である。
第四実施形態に係る操作パネル10Cは、第一実施形態に係る操作パネル10と比較して、読取面16cと共に非接触IC媒体9を支持する構成要素をハンドセット17の近傍に設けた点が異なる。
【0045】
側壁部19は、ハンドセット17の両側面に設けられた板状部材であり、側壁部19の上端部19aは、読取面16cの延長線上に位置する。側壁部19の上端部19aは、非接触IC媒体9の一部に当接することで、読取面16c上における非接触IC媒体9の載置状態を補助する。これにより、読取面16cと側壁部19とで非接触IC媒体9の載置部を構成する。なお、側壁部19は、操作者によるハンドセット17を持ち上げる動作を邪魔しない形状になっているのがよい。
【0046】
以上のように、第四実施形態に係る操作パネル10Cおよび自動取引装置1Cは、第一実施形態に係る操作パネル10および自動取引装置1と略同等の効果を得ることができる。つまり、第四実施形態に係る操作パネル10Cおよび自動取引装置1Cは、非接触ICリーダライタ部16の読取面16cの延長線上に側壁部19の上端部19aが位置するので、読取面16cに大型の非接触IC媒体9が載置された場合に読取面16cからはみ出した部分が側壁部19の上端部19aに当接する。これにより、操作パネル10C上に非接触IC媒体9と同様のスペースがなくても、読取面16cと側壁部19の上端部19aとで非接触IC媒体9を支持するので、非接触IC媒体9が安定する。そのため、操作パネル10C上に非接触IC媒体9と同様のスペースを確保する必要がなく、操作パネル10Cや自動取引装置1Cの小型化を実現可能である。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。
【0048】
例えば、各実施形態では、ハンドセット17の手前側に非接触ICリーダライタ部16,16Aを配置していたが、ハンドセット17と非接触ICリーダライタ部16,16Aとの位置関係はこれに限定されるものではない。ハンドセット17と非接触ICリーダライタ部16,16Aとは隣接して配置されていればよく、例えばハンドセット17の奥側に非接触ICリーダライタ部16,16Aを配置してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,1A,1B,1C 自動取引装置
9 非接触IC媒体
10,10A,10B,10C 操作パネル
15 液晶ディスプレイ(表示部)
16,16A 非接触ICリーダライタ部(非接触IC読取部)
16a 本体部
16c 読取面(載置部)
16f 前側壁部
17 ハンドセット
17a 受話部
17b 送話部
17e 背面(載置部)
18 滑止め部材
19 側壁部
P 基準点
K 接平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10