特許第6962086号(P6962086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962086
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】管理システム、および、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20211025BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20211025BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20211025BHJP
【FI】
   G06F3/12 373
   B41J29/38 801
   G06Q30/02 318
   G06F3/12 303
   G06F3/12 329
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-175034(P2017-175034)
(22)【出願日】2017年9月12日
(65)【公開番号】特開2019-53347(P2019-53347A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 礼加
(72)【発明者】
【氏名】池田 茂夫
【審査官】 豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−170646(JP,A)
【文献】 特開2015−170216(JP,A)
【文献】 特開2004−078273(JP,A)
【文献】 特開2004−272670(JP,A)
【文献】 特開2004−272671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターにより制御される印刷装置と、情報処理装置と、を備える管理システムであって、
前記印刷装置は、前記コンピューターが出力する印刷データに従って印刷ジョブを実行し、実行た印刷ジョブに関して、少なくとも、1種類以上の印刷媒体の単位面積あたりの媒体価格ならびに1種類以上のインクの消費量を含む印刷ジョブ情報を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記印刷ジョブ情報を前記印刷装置から取得する取得部と、
前記印刷ジョブ情報に含まれる前記媒体価格および前記消費量をもとに、印刷ジョブのコストを算出する算出部と、
前記印刷ジョブ情報、及び、前記算出部により算出されたコストを、前記印刷ジョブを実行した前記印刷装置を識別する情報に対応付けて記憶する記憶部と、を備え、
前記算出部は、前記印刷ジョブのコストに基づき、前記印刷装置が所定の印刷媒体を成果物とする印刷ジョブを所定時間実行することで得られる利益の指標値を算出する、管理システム
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記印刷装置を指定する印刷装置指定部と、前記印刷装置指定部により指定された前記印刷装置が実行した前記印刷ジョブの情報を出力する出力部と、を備える請求項1記載の管理システム
【請求項3】
前記情報処理装置は、対象とする前記印刷ジョブの期間を指定する期間指定部を備え、前記出力部は、前記期間指定部で指定された条件に該当する前記印刷ジョブの情報を出力する、請求項記載の管理システム
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記記憶部に記憶された前記印刷ジョブ情報を対象として、前記成果物の販売価格の算出に採用するか否かに関する指定を印刷ジョブごとに行う指定部備え、
前記算出部は、前記指定部による指定に従って算出対象の印刷ジョブを選択し、選択した印刷ジョブに関する前記印刷ジョブ情報に基づき前記指標値を算出する請求項3記載の管理システム
【請求項5】
前記情報処理装置は、入力を受け付ける入力部を備え、
前記指定部は、前記入力部で受け付けた入力に基づいて、前記指標値の算出に採用しない印刷ジョブを指定し、
前記算出部は、前記指定部により指定された印刷ジョブを除く印刷ジョブを、算出対象の印刷ジョブとして選択する請求項4記載の管理システム
【請求項6】
前記算出部は、前記印刷媒体の種類ごとに前記指標値を算出する請求項から5のいずれか1項に記載の管理システム
【請求項7】
前記取得部は、前記印刷装置が前記印刷ジョブを行した実行時間を含む前記印刷ジョブ情報を取得し、
前記算出部は、所定期間に前記印刷装置により実行された印刷ジョブに関する前記印刷ジョブ情報をもとに、前記所定期間における前記印刷媒体の種類ごとの前記実行時間を算出する請求項6記載の管理システム
【請求項8】
前記出力部は、前記算出部により算出された、前記印刷媒体の種類ごとの前記指標値、および、前記印刷媒体の種類ごとの前記実行時間を、前記印刷媒体の種類で対応付けたフォーマットで出力す請求項7記載の管理システム
【請求項9】
前記出力部は、前記所定期間に前記印刷装置が印刷ジョブを実行した稼働時間を前記印刷媒体の種類ごとに区分した区分状態と、区分された各々の時間に対応する前記指標値とを含む画像、または、前記画像を表示するための表示情報を出力する請求項記載の管理システム
【請求項10】
コンピューターにより制御される印刷装置によって、前記コンピューターが出力する印刷データに従って印刷ジョブを実行し、
前記印刷装置により実行された印刷ジョブに関して、少なくとも、1種類以上の印刷媒体の単位面積あたりの媒体価格ならびに1種類以上のインクの消費量を含む印刷ジョブ情報を、前記印刷装置から情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置によって、
前記印刷ジョブ情報を取得し、
前記印刷ジョブ情報に含まれる前記媒体価格および前記消費量をもとに、印刷ジョブのコストを算出し、
前記印刷ジョブ情報、及び、算出された前記コストを、前記印刷ジョブを実行した前記印刷装置を識別する情報に対応付けて記憶し、
算出したコストに基づき、前記印刷装置が所定の印刷媒体を成果物とする印刷ジョブを所定時間実行することで得られる利益の指標値を算出する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、および、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置によって実行した印刷ジョブのコストを計算する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ロール紙の単位面積当たりの価格およびインクの単位量当たりの価格に基づいて、印刷ジョブの印刷コストを計算する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−170216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷物を商材とするビジネスにおいて適切に利益を得るためには、印刷コストを考慮して利益を見積もる必要がある。しかしながら、用紙やインクの種類に応じて販売価格を設定する場合など、印刷コストと販売価格との関係が複雑な場合には、利益を見積もる作業または処理が困難であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、印刷物を商材とする場合の利益を見積もる作業または処理を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、印刷装置により実行された印刷ジョブに関して、少なくとも、1種類以上の印刷媒体の単位面積あたりの媒体価格ならびに1種類以上のインクの消費量を含む情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された情報に含まれる前記媒体価格および前記消費量をもとに、印刷ジョブのコストを算出する算出部と、を備え、前記算出部は、前記印刷ジョブのコストに基づき、前記印刷装置が所定の印刷媒体を成果物とする印刷ジョブを所定時間実行することで得られる利益の指標値を算出する。
本発明によれば、印刷装置の成果物と印刷装置を稼働させる時間とに対応する指標値を算出することができ、この指標値は、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もるために有用な情報である。従って、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もる作業または処理を、有用な情報を提供することによって支援できる。
【0006】
また、本発明は、前記算出部は、前記指標値として、前記印刷装置により印刷ジョブを実行する場合の前記印刷装置の稼働時間あたりの利益の平均値を算出する構成であってもよい。
本発明によれば、印刷装置の稼働時間あたりの利益の平均値を算出することにより、より一層有用な情報を提供できる。
【0007】
また、本発明は、前記算出部は、前記成果物の販売価格をもとに、前記指標値を算出する構成であってもよい。
本発明によれば、指標値として、利益の見積もりの精度を向上させることが可能な情報を提供できる。この指標値を用いることで、高い精度で利益を見積もることができる。
【0008】
また、本発明は、前記取得部により取得された前記情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記情報を対象として、前記成果物の販売価格の算出に採用するか否かに関する指定を印刷ジョブごとに行う指定部と、を備え、前記算出部は、前記指定部による指定に従って算出対象の印刷ジョブを選択し、選択した印刷ジョブに関する前記情報に基づき前記指標値を算出する構成であってもよい。
本発明によれば、印刷装置が実行した印刷ジョブのうち印刷コストに反映させる印刷ジョブを選択できるので、利益の見積を行うユーザー等の意図に従って指標値を求めることができる。これにより、ユーザー等の意図に対応して、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もることが可能となる。
【0009】
また、本発明は、入力を受け付ける入力部を備え、前記指定部は、前記入力部で受け付けた入力に基づいて、前記指標値の算出に採用しない印刷ジョブを指定し、前記算出部は、前記指定部により指定された印刷ジョブを除く印刷ジョブを、算出対象の印刷ジョブとして選択する構成であってもよい。
本発明によれば、印刷装置が実行した印刷ジョブのうち印刷コストに反映させない印刷ジョブを入力により指定できる。これにより、ユーザー等の意図をより明確に反映して、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もることが可能となる。
【0010】
また、本発明は、前記算出部は、前記印刷媒体の種類ごとに前記指標値を算出する構成であってもよい。
本発明によれば、印刷に使用する印刷媒体の種類ごとに指標値を算出するので、この指標値を用いることで、成果物の種類に対応して、利益を詳細に見積もることができる。従って、利益を見積もる作業または処理について、より一層有用な情報を提供できる。
【0011】
また、本発明は、前記取得部は、前記印刷装置により実行された印刷ジョブを前記印刷装置が実行した稼働時間を含む前記情報を取得し、前記算出部は、所定期間に前記印刷装置により実行された印刷ジョブに関して前記取得部により取得された情報をもとに、前記所定期間における前記印刷媒体の種類ごとの前記稼働時間を算出する構成であってもよい。
本発明によれば、印刷装置による印刷ジョブの稼働時間を印刷媒体の種類ごとに算出するので、この情報を利用すれば、印刷装置が複数の印刷媒体に印刷する場合に、印刷装置により得られる利益を的確に見積もることが可能となる。これにより、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もる作業または処理を、より効果的に支援できる。
【0012】
また、本発明は、前記算出部により算出された、前記印刷媒体の種類ごとの前記指標値、および、前記印刷媒体の種類ごとの前記稼働時間を、前記印刷媒体の種類で対応付けたフォーマットで出力する出力部を備える構成であってもよい。
本発明によれば、指標値等の情報を、印刷媒体の種類で対応付けたフォーマットで出力するので、出力される情報に基づいて、印刷成果物を商材とする場合の利益を、より詳細かつ容易に見積もることができる。
【0013】
また、本発明は、前記出力部は、前記所定期間に前記印刷装置が印刷ジョブを実行した稼働時間を前記印刷媒体の種類ごとに区分した区分状態と、区分された各々の時間に対応する前記指標値とを含む画像、または、前記画像を表示するための表示情報を出力する構成であってもよい。
本発明によれば、印刷装置の稼働時間と印刷媒体の種類とを反映した詳細な情報を画像として表示することが可能となる。このため、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もる作業または処理を、より効果的に支援できる。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明は、印刷装置により実行された印刷ジョブに関して、少なくとも、1種類以上の印刷媒体の単位面積あたりの媒体価格ならびに1種類以上のインクの消費量を含む情報を取得し、取得した情報に含まれる前記媒体価格および前記消費量をもとに、印刷ジョブのコストを算出し、算出したコストに基づき、前記印刷装置が所定の印刷媒体を成果物とする印刷ジョブを所定時間実行することで得られる利益の指標値を算出する。
本発明によれば、印刷装置の成果物と印刷装置を稼働させる時間とに対応する指標値を算出することができ、この指標値は、印刷装置を商材とする場合の利益を見積もるために有用な情報である。従って、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もる作業または処理を、有用な情報を提供することによって支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る管理システムの構成を示す図。
図2】単価情報の構成例を示す模式図。
図3】管理サーバーの表示例として単価設定画面を示す図。
図4】管理サーバーの表示例として単価設定画面を示す図。
図5】印刷ジョブDBに格納されるレコードの構成例を示す模式図。
図6】管理システムの動作例を示すシーケンス図。
図7】管理システムの別の動作例を示すシーケンス図。
図8】管理サーバーの動作を示すフローチャート。
図9】管理サーバーの表示例としてジョブ情報画面を示す図。
図10】管理サーバーの表示例としてジョブ詳細情報画面を示す図。
図11】管理サーバーの動作を示すフローチャート。
図12】管理サーバーの表示例として利益解析結果画面を示す図。
図13】管理システムの別の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[1.管理システムの構成]
図1は、管理システム1の構成を示す図である。管理システム1は、プリンター120(印刷装置)と、プリンター120を制御するホストコンピューター140と、管理サーバー200(情報処理装置)と、を有する。図1には、管理システム1が2台のプリンター120を含む構成例を示すが、プリンター120の数は任意である。また、ホストコンピューター140の数も任意である。
【0017】
本実施形態の管理システム1は、プリンター120を所有または使用する事業体(個人、法人を問わない)が、プリンター120により印刷される印刷物(成果物)を販売または提供するビジネスを営む場合に、印刷により得られる利益に関する情報を提供する。
管理システム1のユーザーは、プリンター120を操作するオペレーター、管理サーバー200を操作または管理するユーザー等を含むが、これらを総称してユーザーと呼ぶ。
【0018】
プリンター120は、印刷媒体に対して印刷を行う印刷部122と、印刷部122を制御して印刷を実行する制御部121とを備える。プリンター120の印刷方式には特に制限はないが、本実施形態では、インクを印刷媒体の印刷面に吐出するインクジェット式のプリンター120を例示する。プリンター120は、インクを貯留するインクカートリッジ(図示略)を着脱可能に構成され、印刷部122は、インクカートリッジ(図示略)から供給されるインクを噴射するインクジェット式の印刷ヘッド123を備える。また、印刷部122は、印刷ヘッド123にインクを供給するインク供給部124、及び、印刷媒体を搬送する搬送部125を備える。
【0019】
制御部121は、CPU(Central Processing Unit)やマイコン等のプロセッサー(図示略)を備え、このプロセッサーによってプログラムを実行することにより、プリンター120の各部を制御する。制御部121は、プロセッサーのほか、図示しないRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えてもよい。また、これらを統合した半導体デバイスにより制御部121を構成してもよい。RAMは、プロセッサーが実行するプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。ROMは、プロセッサーが実行する制御プログラム(ファームウェア)や各種設定値などを含むデータを不揮発的に記憶する。
【0020】
また、プリンター120は、通信部127を備える。通信部127は、ホストコンピューター140に接続され、ホストコンピューター140が出力する印刷データを受信する。通信部127は、RS−232CインターフェイスやUSB(Universal Serial Bus)インターフェイスなど、ホストコンピューター140と1対1で接続される構成であってもよい。また、通信部127は、イーサネット(登録商標)等の通信インターフェイスを備え、通信ネットワークを介して、ホストコンピューター140及び他の装置と通信可能な構成であってもよい。本実施形態では、通信部127は、ネットワーク110に接続され、ネットワーク110を介してホストコンピューター140及び管理サーバー200と通信を実行する。
【0021】
ネットワーク110は、イーサネットにより構成される有線通信ネットワーク、或いは、無線通信ネットワークであり、プリンター120、ホストコンピューター140、及び管理サーバー200を相互に通信可能に接続する。ネットワーク110は、その全体がLAN(Local Area Network)で構成されてもよいし、公衆回線網や広域ネットワークを含む構成であってもよい。また、ルーターやスイッチ等のネットワーク機器(図示略)を含んでもよい。
【0022】
制御部121は、通信部127により印刷データを受信した場合に、受信した印刷データに従って印刷部122を制御して、印刷ジョブを実行する。印刷データは、プリンター120に対して印刷を指示するコマンドや、印刷する画像やテキストのデータを含み、複数の印刷データに従ってプリンター120が一つの印刷物を印刷する場合もある。
プリンター120が実行する印刷ジョブは、一つの印刷物を印刷するための一連の動作を指し、例えば、印刷データで指定された画像やテキストの全部を印刷した後、印刷媒体を搬送する動作を含む。1つの印刷ジョブを構成する印刷データの数は制限されない。また、1つの印刷ジョブで印刷される印刷物を、1つの印刷成果物とする。
【0023】
制御部121は、印刷ジョブに関する動作を終了した場合に、印刷ジョブのステータスを、印刷データを送信したホストコンピューター140に通知する。印刷ジョブのステータスは、例えば、「Completed」、「Aborted」、「Canceled」、「Unknown」等である。「Completed」は、正常に印刷ジョブが完了したことを示す。「Aborted」は正常に印刷ジョブが完了しなかったことを示し、例えば、印刷ジョブの実行中のインク切れ、印刷媒体切れ、印刷媒体の詰まり等が要因となる。「Canceled」は印刷ジョブが実行前または実行中にキャンセルされたことを示す。また、「Unknown」はステータスが不明であることを示す。
【0024】
また、制御部121は、印刷ジョブの実行結果を示す印刷ジョブ情報を、管理サーバー200に送信する。印刷ジョブ情報の内容は後述する。制御部121は、印刷ジョブが完了する都度、或いは、予め設定された周期で、印刷ジョブ情報を送信する。
【0025】
ホストコンピューター140は、プリンター120を制御して印刷を実行させる装置であり、例えば、デスクトップ型、ラップトップ型、或いはタブレット型のパーソナルコンピューターである。ホストコンピューター140は、POS(Point of Sales)端末装置であってもよい。また、ホストコンピューター140は、プリンター120を制御するための専用のコンピューターであってもよい。
ホストコンピューター140は、制御部141、入力部142、表示部143、通信部144、及び、記憶部150を備える。
【0026】
制御部141は、CPU等のプロセッサー(図示略)を備え、このプロセッサーによってプログラムを実行することにより、ホストコンピューター140の各部を制御する。制御部141は、プロセッサーのほか、RAM(図示略)、ROM(図示略)等を備えてもよい。また、これらを統合した半導体デバイスにより制御部141を構成してもよい。RAMは、プロセッサーが実行するプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。ROMは、プロセッサーが実行する制御プログラムや各種設定値などを含むデータを不揮発的に記憶する。
【0027】
記憶部150は、制御部141により実行されるプログラムや、制御部141により処理されるデータを不揮発的に記憶する。記憶部150は、対象データ151、及び印刷データ152を記憶する。対象データ151は、プリンター120により印刷される画像やテキストのデータである。印刷データ152は、制御部141によって対象データ151をもとに生成されるデータであり、プリンター120に送信される。
【0028】
制御部141は、記憶部150が記憶する対象データ151をもとに、プリンター120に印刷を実行させるための印刷データ152を生成する。
印刷データ152は、プリンター120に対して印刷を指示するコマンド、印刷媒体の搬送を指示するコマンド、印刷に関するパラメーターの設定を指示するコマンド、印刷形態を指定するコマンド等を含む。印刷データ152は、コマンドに対応するパラメーターを含んでもよい。
【0029】
印刷データ152は、プリンター120が印刷ヘッド123により形成する画像や文字に関するデータを含む。本実施形態では、制御部141は、対象データ151をもとに画像や文字が配置された印刷領域全体の画像を生成し、この画像を印刷するために印刷ヘッド123が形成するドットに関するデータを含む印刷データ152を生成する。ドットに関するデータとは、例えば、印刷ヘッド123が吐出するインクの種類ごとに、インク吐出量を指定するデータを含む。印刷データ152をプリンター120に送信すると、制御部121は、印刷データに従って、印刷ヘッド123のノズル(図示略)からインクを吐出する量およびインクを吐出する位置を決定できる。
【0030】
制御部121は、例えば、プリンター120を制御するデバイスドライバープログラムを実行することにより、プリンター120に適合する印刷データ152を生成する。管理システム1が複数のプリンター120を含み、各々のプリンター120の機種が異なる場合、ホストコンピューター140は、少なくともいずれかの機種のプリンター120に対応するデバイスドライバープログラムを実行できる。また、ホストコンピューター140は、複数の機種のプリンター120に対応するデバイスドライバープログラムを、それぞれ実行可能であってもよい。
【0031】
制御部141は、印刷データ152を生成した場合、この印刷データ152をプリンター120に送信して印刷を実行させる。ここで、制御部141は、管理システム1が有する複数のプリンター120のいずれかを指定して、印刷データ152を送信してもよい。また、印刷を実行させるプリンター120を特定し、このプリンター120に適合するデバイスドライバープログラムにより印刷データ152を生成し、印刷データ152を送信する動作を、連続して実行してもよい。
【0032】
入力部142は、マウスやキーボード等の入力デバイス(図示略)に接続され、これら入力デバイスによる入力を受け付ける。入力部142は、受け付けた入力を示すデータを制御部141に出力する。
表示部143は、液晶ディスプレイ等の表示装置(図示略)に接続され、制御部141の制御に従って表示装置に各種画像を表示させる。
【0033】
通信部144は、ネットワーク110を介してプリンター120に接続される。通信部144は、制御部141の制御に従ってプリンター120と通信し、例えば、印刷データ152をプリンター120に送信する。
【0034】
[2.管理サーバーの構成]
管理サーバー200は、制御部210、記憶部220、入力部201、表示部204、インターフェイス(I/F)205、及び、通信部206を備える。
制御部210は、CPU等のプロセッサー(図示略)を備え、このプロセッサーによってプログラムを実行することにより、管理サーバー200の各部を制御する。制御部210は、プロセッサーのほか、RAM(図示略)、ROM(図示略)等を備えてもよい。また、これらを統合した半導体デバイスにより制御部210を構成してもよい。RAMは、プロセッサーが実行するプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。ROMは、プロセッサーが実行する制御プログラムや各種設定値などを含むデータを不揮発的に記憶する。
【0035】
入力部201は、マウスやキーボード等の入力デバイス(図示略)に接続され、これら入力デバイスの操作を検出することにより、入力を受け付ける。入力部201は、受け付けた入力内容を示すデータを制御部210に出力する。
表示部204は、液晶ディスプレイ等の表示装置(図示略)に接続され、制御部210の制御に従って表示装置に各種画像を表示させる。
【0036】
I/F205は、USBメモリーやカード型記憶媒体等の記憶デバイス(図示略)に接続されるインターフェイスである。I/F205は、制御部210の制御に従って、記憶デバイスにデータを出力する。また、I/F205は、他のコンピューターに接続可能な構成であってもよい。また、I/F205は、Bluetooth(登録商標)等、無線通信により外部のデバイスに接続される構成であってもよい。
【0037】
通信部206は、ネットワーク110を介してプリンター120に接続される。通信部144は、制御部141の制御に従ってプリンター120と通信し、例えば、プリンター120が送信する情報を受信する。また、通信部206は、ネットワーク110を介してホストコンピューター140と通信を行ってもよい。
【0038】
表示部204、I/F205、及び通信部206は、いずれも出力部203として機能させることが可能である。すなわち、制御部210は、図11を参照して後述する動作により、利益表示用のデータを出力する場合、出力部203のいずれかを利用できる。
【0039】
制御部210は、プログラムを実行することで、ソフトウェアとハードウェアとの協働により各種機能部を構成する。具体的には、制御部210は、通信制御部211、設定部212、取得部213、指定部214、算出部215、及び、出力制御部216を有し、これらの機能部はプログラムの実行により実現される。
【0040】
記憶部220は、制御部210により実行されるプログラムや、制御部210により処理されるデータを不揮発的に記憶する。記憶部220は、単価情報221、印刷ジョブデータベース(DB)225、及び、プリンター情報229を記憶する。
【0041】
単価情報221は、インクや印刷媒体の単価を含む。印刷ジョブDB225は、記憶部220の記憶領域の一部で構成されるデータベースであり、プリンター120が実行した印刷ジョブに関する複数のレコードを格納する。ここで、印刷ジョブDB225は、制御部210によりアクセス可能であればよいので、例えば、管理サーバー200の外部のデータベースサーバー(図示略)が印刷ジョブDB225を有する構成であってもよい。プリンター情報229は、プリンターの機種に対応付けて、プリンターで使用可能なインクの種類、印刷媒体の種類等に関する情報を含む。プリンター情報229に含まれる情報は、管理システム1に含まれるプリンター120の機種に対応する情報に限定されない。例えば、プリンター情報229は、管理システム1に含まれていない機種に関する情報を含んでもよい。
【0042】
通信制御部211は、通信部206を制御して、プリンター120との間のデータ通信を実行する。通信制御部211は、プリンター120が送信する印刷ジョブ情報を通信部206により受信し、一時記憶する。
【0043】
設定部212、取得部213、指定部214、算出部215、及び出力制御部216は、管理サーバー200が、プリンター120が実行した印刷ジョブを解析する機能のための機能部である。より具体的には、管理サーバー200は、プリンター120により実行される印刷ジョブのコストを算出する処理を実行する。さらに、管理サーバー200は、プリンター120が所定の印刷媒体を成果物とする印刷ジョブを所定時間実行することで得られる利益の指標値を算出する。これらの処理のために制御部210の各機能部が利用される。
【0044】
設定部212は、入力部201の操作や通信部206により受信したデータ等に基づいて、管理サーバー200の動作に関する設定のための入力が行われた場合に、入力に基づいて設定を実行する。具体的には、設定部212は、印刷ジョブのコストの算出に用いられる印刷媒体の単価やインクの単価が設定された場合に、設定された単価を含む単価情報221を生成して記憶部220記憶させ、或いは単価情報221を更新する。
【0045】
また、設定部212は、例えば、後述する単価設定画面300(図2図3)を表示するなど、設定入力を支援する機能を実行する。
【0046】
取得部213は、プリンター120の印刷コストや利益の指標値の算出に用いられる情報を取得する。取得部213が取得する情報は、プリンター120により実行された印刷ジョブに関して、少なくとも、1種類以上の印刷媒体の単位面積あたりの媒体価格ならびに1種類以上のインクの消費量を含む。具体的には、プリンター120が送信する印刷ジョブ情報が該当する。取得部213は、通信制御部211が受信して一時記憶した情報に、印刷ジョブ情報が含まれる場合、この印刷ジョブ情報を取得する。
【0047】
指定部214は、プリンター120が実行した印刷ジョブに関して取得部213が取得した情報のうち、印刷コストの算出や利益の指標値の算出に利用する印刷ジョブ、或いは、利用しない印刷ジョブを指定する。指定部214は、例えば、後述するジョブ情報画面350(図9)を表示部204により表示させて、印刷ジョブを指定する入力を支援する。指定部214は、入力部201により検出される入力に従って、印刷ジョブを指定する。
【0048】
算出部215は、印刷ジョブDB225に含まれる情報のうち指定部214によって指定された印刷ジョブの情報、または、指定された印刷ジョブを除外した情報に基づいて、印刷コストや利益の指標値を算出する。
【0049】
出力制御部216は、算出部215により算出された印刷コストや利益の指標値に関するデータを出力する。出力制御部216は、出力部203を構成する表示部204、I/F205、または通信部206により、算出部215の処理結果のデータを出力する。また、出力制御部216は、算出部215の処理結果を画像として表示するための表示情報(表示データ)を出力する。
【0050】
図2は、記憶部220が記憶する単価情報221の構成例を示す模式図である。
図2に示すように、本実施形態の単価情報221は、インク単価情報222、及び、媒体単価情報223を含む。
【0051】
インク単価情報222は、インクの種類に対応するインクの単価(インク単価)を含む。インク単価情報222は、図2に示すように複数のインクの種類についてインク単価を含むことができ、例えば、プリンター120で使用されない種類のインクに対応するインク単価を含んでもよい。
【0052】
インク単価情報222に含まれるインク単価は、プリンター120を使用する事業体がインクを購入するために要する金額(インク調達コストともいえる)を、インクの単位量あたりの単価に換算した金額である。インク単価は、プリンター120を使用する事業体にとって、原価に相当する。
【0053】
媒体単価情報223は、印刷媒体の種類に対応付けて、印刷媒体の単価(媒体単価)と、販売価格とを含む。
媒体単価情報223に含まれる媒体単価は、プリンター120を使用する事業体が印刷媒体を購入するために要する金額(媒体調達コストともいえる)を、印刷媒体の単位量あたりの単価に換算した金額である。媒体単価は、プリンター120を使用する事業体にとって、原価に相当する。これに対し、販売価格は、プリンター120を使用する事業体が、成果物の販売または提供の対価として得る金額であり、プリンター120を使用する事業体にとっては収入(売上)に相当する。
【0054】
本実施形態で説明する例では、印刷媒体の媒体調達コストが、印刷媒体の材質とサイズとの両方により異なる。印刷媒体の材質とは、紙、コーティングが施された特殊紙、布地、合成樹脂製のシートなど、印刷媒体を構成する材料を指す。具体的な例としては、普通紙、インクジェット紙、フォト用紙、帆布生地、テント生地、ニット生地、ターポリン、トロマット等が挙げられる。以下の説明では、印刷媒体の材質を、印刷媒体の「種類」と呼ぶ。
印刷媒体のサイズは、プリンター120を使用する事業体が仕入れる(調達する)印刷媒体のサイズに対応して決定される。
【0055】
プリンター120を使用する事業体は、印刷媒体の種類ごと、印刷媒体のサイズごとに、媒体調達コストを考慮して、利益が得られるように販売価格を設定する。
販売価格の区分は事業体が任意に設定することができ、印刷媒体の種類ごとに販売価格を設定してもよいし、印刷媒体の種類とサイズとで販売価格を区分してもよい。販売価格の区分の方法または区分の態様は、媒体単価情報223により、制御部210が検出可能である。また、販売価格の区分の方法または区分の態様を示す情報を、媒体単価情報223に含めてもよい。
【0056】
制御部210は、インク単価情報222及び媒体単価情報223を、入力部201が受け付ける入力、または、I/F205あるいは通信部206から制御部210が取得する情報に基づき、生成する。
【0057】
図3および図4は、管理サーバー200の表示例として、単価設定画面300を示す図である。
単価設定画面300は、単価に関する入力を行う場合に、制御部210の制御により、表示部204によって表示される。
【0058】
単価設定画面300は、媒体単価タブ301、インク単価タブ302、及び他費用タブ303を有し、これらのタブに対する操作に応じて、制御部210は画面構成を切り替える。
【0059】
媒体単価タブ301が選択されると、単価設定画面300には、図3に示すように、媒体単価設定部310が表示される。媒体単価設定部310は、印刷媒体の単価に関する情報を入力するための領域であり、入力ボックス311、312、313、314を含む。入力ボックス311には印刷媒体の種類(Media Type)が入力される。入力ボックス312には印刷媒体のサイズ(Paper Sizeが入力される。図3の例で、入力ボックス312は、印刷媒体の幅(Width)を入力する入力ボックスと、長さ(Length)を入力する入力ボックスとを含む。
【0060】
入力ボックス313には、印刷媒体の単価(Unit Price)が入力される。入力ボックス313に入力される単価は、媒体調達コストを印刷媒体の単位量あたりの金額に換算した値である。また、入力ボックス314には、成果物の販売価格(Sales Price)が入力される。販売価格は、プリンター120を使用する事業者が設定する対価を、印刷媒体の単位量あたりの金額に換算した値である。ここで、印刷媒体の種類やサイズは、予め用意された候補から選択することも可能であり、入力ボックス311および入力ボックス312は、選択用のプルダウンメニューとして構成してもよい。
【0061】
媒体単価設定部310には登録ボタン315が配置される。制御部210は、登録ボタン315の操作に応じて、入力ボックス311、312、313、314に入力された内容を対応付けて、媒体単価情報223に登録する。
【0062】
媒体単価設定部310に配置される媒体リスト表示部316には、登録済みの情報がリスト形式で表示される。媒体リスト表示部316には、印刷媒体の種類、サイズ(幅、長さ)、単価、販売価格がそれぞれ対応づけられて表示される。
【0063】
インク単価タブ302が操作されると、単価設定画面300には、図4に示すように、インク情報を入力するための画面が表示される。
【0064】
図4の単価設定画面300には、インク単価設定部320が表示される。インク単価設定部320は、プリンターの機種を入力するプリンター指定部321と、インクの種類ごとの単価を入力可能なインク情報入力部322と、インクリスト表示部328とを含む。
【0065】
制御部210は、プリンター指定部321の入力に対応して、インク情報入力部322を、プリンター指定部321に入力された機種に対応するインクに関する入力が可能な状態とする。
【0066】
インク情報入力部322は、入力ボックス324、325、326及び登録ボタン327を含む。入力ボックス324にはインクの色(Color)が入力され、入力ボックス325には、インクカートリッジの容量(Capacity)が入力され、入力ボックス326にはインクの単価(Price)が入力される。
【0067】
管理サーバー200が管理可能なインクの種類に特に制限はなく、インク情報入力部322によって多くの種類のインクについて情報を入力可能である。管理サーバー200は、ユーザーによる入力を支援するため、入力ボックス324を、所定数の候補からインクの種類(色)を選択するプルダウンメニューで構成する。このプルダウンメニューに表示されるインクの種類は、プリンター指定部321に入力されたプリンターの機種に対応する種類である。制御部210は、プリンターの機種に対応するインクの種類を、プリンター情報229(図1)に基づき取得し、入力ボックス324の表示に反映させる。
【0068】
インクの調達コストはインクカートリッジの容量によって異なることが多いことから、入力ボックス325に、インクカートリッジの容量を入力可能に構成される。つまり、管理サーバー200に対しては、同一種類(色)のインクについて、インクカートリッジの容量ごとに、インク単価を入力し、設定できる。
入力ボックス326に入力される単価は、上述のように、インク調達コストをインクの単位量あたりの単価に換算した金額である。
【0069】
制御部210は、登録ボタン327の操作に応じて、入力ボックス324、325、326に入力された内容を対応付けて、インク単価情報222に登録する。
【0070】
インクリスト表示部328には、登録済みの情報がリスト形式で表示される。インクリスト表示部328には、インクの種類(色)、インクカートリッジの容量、単価がそれぞれ対応づけられて表示される。
【0071】
また、単価設定画面300において他費用タブ303に対する操作が行われると、印刷に要するコストであってインクおよび印刷媒体以外のコストを設定可能となる。これらのコストを、以下の説明では他費用という。他費用は、例えば、プリンター120が使用するインク及び印刷媒体以外の消耗品のコスト、プリンター120の点検を含むメンテナンスのコスト、電気料金等のプリンター120の動作に要するコスト等が挙げられる。これらのコストは、プリンター120を使用する事業体のニーズに合わせて適宜に入力、設定され、設定された情報は記憶部220に記憶される。
【0072】
図5は、印刷ジョブDB225に登録されるレコード225Rの構成例を示す模式図である。
印刷ジョブDB225に登録される各レコード225Rは、プリンター120が実行した1件の印刷ジョブに関する情報を含む。レコード225Rは、識別情報フィールド225A、時刻情報フィールド225B、インク消費情報フィールド225C、媒体消費情報フィールド225D、他費用フィールド225E、及び、総コストフィールド225Fを含む。
【0073】
識別情報フィールド225Aに格納され情報は、印刷ジョブを実行したプリンター120を識別するプリンターID、印刷ジョブを識別するジョブ名、印刷ジョブを実行したユーザーを識別するユーザー名、及び、印刷ジョブのステータスを含む。プリンターIDは、管理サーバー200が接続可能な全てのプリンター120から一意にプリンター120を識別できればよく、名称であってもよい。ジョブ名は、印刷ジョブに対して、プリンター120または印刷データを生成したホストコンピューター140が付与する名称或いは識別符号である。ジョブ名は、プリンターIDと組み合わせることで印刷ジョブを特定できる情報であればよい。ユーザー名は、プリンター120の管理者として指名される、事業体のスタッフの氏名である。ユーザー名はIDや符号であってもよい。また、ユーザー名は、プリンター120に設定されてもよいし、ホストコンピューター140がプリンター120に送信する印刷データに含まれてもよい。ステータスは、上述したように、印刷ジョブの実行結果を示す。
【0074】
なお、管理サーバー200は、印刷ジョブDB225を、プリンター120ごとに構成してもよい。すなわち、複数のプリンター120の情報を一つの印刷ジョブDB225に一括して格納してもよいし、管理サーバー200が接続するそれぞれのプリンター120に対応して、複数の印刷ジョブDB225を記憶部220に設けてもよい。印刷ジョブDB225がプリンター120ごとに分けられている場合、印刷ジョブDB225からプリンターIDを格納しなくてもよい。
【0075】
時刻情報フィールド225Bには、印刷ジョブの開始時刻と終了時刻とが格納される。時刻情報フィールド225Bに、開始時刻と、印刷ジョブを実行した時間とを格納してもよい。
【0076】
インク消費情報フィールド225Cには、インク種類とインク使用量とが対応付けて格納される。インク消費情報フィールド225Cには、印刷ジョブで使用(消費)された少なくとも一部のインク、好ましくは全ての色のインクについて、インク使用量が含まれる。
媒体消費情報フィールド225Dには、印刷ジョブで使用された印刷媒体の種類(媒体の種類)、印刷媒体のサイズ(媒体サイズ)、及び、印刷媒体の使用量(媒体使用量)が含まれる。
【0077】
他費用フィールド225Eには、他費用を示す情報格納される。また、総コストフィールド225Fには、レコード225Rの印刷ジョブに要したコストの合計である総コストが格納される。総コストは、後述する処理によって制御部210が算出する。
【0078】
レコード225Rのうち識別情報フィールド225A、時刻情報フィールド225B、インク消費情報フィールド225C、及び媒体消費情報フィールド225Dに格納される情報は、プリンター120が取得または生成できる。本実施形態では、プリンター120が、印刷ジョブについて印刷ジョブ情報を生成して送信し、この印刷ジョブ情報を管理サーバー200が取得して、レコード225Rに格納する。
【0079】
[3.管理システムの動作]
図6は、管理システム2の動作例を示すシーケンス図である。
ホストコンピューター140が、対象データ151に基づき印刷データ152を生成して、プリンター120に送信すると(ステップS11)、プリンター120は印刷データ152を受信して印刷ジョブを実行する(ステップS12)。
【0080】
プリンター120は、印刷ジョブの実行後に、ホストコンピューター140に対して印刷ジョブのステータスを通知する(ステップS13)。プリンター120は、印刷ジョブが、例えばプリンター120の操作パネル(図示略)の操作や、ホストコンピューター140から入力されるコマンドによりキャンセル或いは中止された場合は、印刷部122を停止させてからステップS13の通知を行う。
【0081】
プリンター120は、印刷ジョブ情報を生成し(ステップS14)、管理サーバー200に送信する(ステップS15)。プリンター120は、印刷ジョブを実行するごとにステップS15の動作を行ってもよい。また、プリンター120は、ステップS14で生成した印刷ジョブ情報を一時的に記憶しておき、予め設定された周期で、記憶していた印刷ジョブ情報をまとめて管理サーバー200に送信(ステップS15)してもよい。
【0082】
管理サーバー200は、プリンター120から送信される印刷ジョブ情報を受信し、受信した印刷ジョブ情報に基づき情報を生成し、印刷ジョブDB225に登録する処理(ステップS16)を実行する。ステップS16で実行される印刷ジョブ情報登録処理は図8を参照して後述する。
【0083】
図7は、管理システム2の別の動作例を示すシーケンス図である。
上記のシーケンス図(図6)にはプリンター120が印刷ジョブ情報を送信する動作例を示したが、印刷ジョブ情報をホストコンピューター140が管理サーバー200に送信する構成であってもよい。
【0084】
図7の動作例では、プリンター120が印刷ジョブのステータスを通知した後(ステップS13)、ホストコンピューター140が印刷ジョブ情報を生成し(ステップS21)、管理サーバー200に送信する(ステップS22)。この場合、プリンター120は、ステップS13で、印刷ジョブのステータスとともに、印刷ジョブの開始時刻と終了時刻を示す情報を送信してもよい。
【0085】
管理サーバー200は、プリンター120から送信される印刷ジョブ情報を受信し、受信した印刷ジョブ情報に基づき情報を生成し、印刷ジョブDB225に登録する処理(ステップS23)を実行する。ステップS23の印刷ジョブ情報登録処理は、ステップS16と同様の処理である。
【0086】
このように、プリンター120が実行する印刷ジョブに関する印刷ジョブ情報は、プリンター120が生成して管理サーバー200に送信してもよいし、ホストコンピューター140が生成して送信してもよい。また、プリンター120が印刷ジョブ情報を生成し、ホストコンピューター140を経由して管理サーバー200に送信してもよく、最終的に管理サーバー200が印刷ジョブ情報を取得できればよい。
【0087】
[4.管理サーバーの動作]
図8は、管理サーバー200の動作を示すフローチャートであり、ステップS16(図6)、S23(図7)の印刷ジョブ情報登録処理を示す。
【0088】
制御部210は、通信制御部211によって印刷ジョブ情報を受信し(ステップSA11)、受信した印刷ジョブ情報を取得部213によって取得して、一時的に記憶する(ステップSA12)。算出部215は、単価情報221を参照し、一時記憶した印刷ジョブ情報に基づいて印刷ジョブの総コストを算出する(ステップSA13)。
【0089】
ステップSA13で、算出部215は、印刷ジョブ情報に含まれるインク種類からインク単価情報222のインク単価を参照し、このインク単価と、印刷ジョブ情報に含まれるインク使用量とをもとに、インクコストを算出する。また、算出部215は、印刷ジョブ情報に含まれる媒体の種類および媒体サイズから媒体単価情報223の媒体単価を参照し、この媒体単価と、印刷ジョブ情報に含まれる媒体使用量とをもとに、媒体コストを算出する。ここで、算出部215は、記憶部220に記憶された他費用に関する情報に基づいて、他費用を算出または取得してもよい。算出部215は、インクコストと、媒体コストと、他費用とを合計した総コストを算出する。
【0090】
制御部210は、算出部215により算出された総コストを含むデータ(例えば、図5のレコード225R)を生成し、印刷ジョブDB225に登録する(ステップSA14)。
このように、管理サーバー200は、プリンター120が実行した印刷ジョブに関する情報として、総コストを含む情報を、印刷ジョブDB225に登録する。
【0091】
図9は、管理サーバー200の表示例としてジョブ情報画面350を示す図である。ジョブ情報画面350は、管理サーバー200が、印刷ジョブDB225に格納されたデータに基づき表示する画面である。
【0092】
ジョブ情報画面350は、管理サーバー200に接続されるプリンター120のいずれかについて、プリンター120が実行した印刷ジョブに関する情報について、集計及び/または解析を含む処理の結果を表示する画面である。
【0093】
このため、ジョブ情報画面350には、プリンター120を指定するプリンター指定部353が配置される。プリンター指定部353は、表示対象のプリンター120を候補から選択して指定できればよく、例えばプルダウンメニューで構成される。
制御部210は、プリンター指定部353で指定された表示対象のプリンター120について印刷ジョブDB225を検索し、表示対象のプリンター120で使用された印刷媒体およびインクの総量を総計情報表示部351に表示する。
【0094】
ジョブ情報画面350には、印刷ジョブDB225の情報のうち集計及び解析の対象とする印刷ジョブの期間を指定する期間指定部354が配置される。期間指定部354は、対象とする期間を指定できればよく、例えば入力ボックス等で構成される。
【0095】
制御部210は、期間指定部354で指定された期間内に実行された(開始及び終了された)印刷ジョブに関するレコード225Rを、印刷ジョブDB225から抽出して、処理対象のレコードとする。
【0096】
ジョブ情報画面350に配置されるジョブ情報表示部360は、期間指定部354の期間で絞り込まれたレコード225Rをリスト表示する。ジョブ情報表示部360には、レコード225Rに含まれる情報と、これらの情報をもとに算出された情報とが表示される。
【0097】
詳細には、ジョブ情報表示部360は、ジョブ名称表示部361、総コスト表示部362、媒体種類表示部363、媒体使用量表示部364、インク使用量表示部365、印刷終了時刻表示部366、ステータス表示部367、及びユーザー名表示部368を含む。また、ジョブ情報表示部360には除外設定部369が設けられ、除外設定部369には、各ジョブに対応付けてチェックボックス370が配置される。
【0098】
制御部210は、ジョブ名称表示部361及びユーザー名表示部368に、それぞれ、識別情報フィールド225A(図5)に含まれるジョブ名とユーザー名とを表示する。総コスト表示部362には、総コストフィールド225F(図5)に含まれる総コストを表示する。媒体種類表示部363及び媒体使用量表示部364には、媒体消費情報フィールド225D(図5)に含まれる媒体の種類と媒体使用量とをそれぞれ表示する。
【0099】
インク使用量表示部365には、インク消費情報フィールド225C(図5)に含まれるインク種類ごとのインク使用量を、算出部215によって全色について合計した量を、表示する。
印刷終了時刻表示部366には、時刻情報フィールド225B(図5)に含まれる終了時刻を表示し、ステータス表示部367には識別情報フィールド225Aに含まれるステータスを表示する。
【0100】
このように、ジョブ情報表示部360には、プリンター指定部353及び期間指定部354で指定された条件に該当する印刷ジョブの情報が、印刷ジョブごとに表示される。
ジョブ情報表示部360に表示されたいずれかの印刷ジョブを指定する操作が行われると、制御部210は、表示部204により、指定された印刷ジョブについて詳細な情報を含むジョブ詳細情報画面380を表示する。
【0101】
図10は、管理サーバー200の表示例としてジョブ詳細情報画面380を示す図である。図10に示すように、ジョブ詳細情報画面380は、情報を表示する表示領域として、ジョブ情報表示部381、インク消費情報表示部382、媒体消費情報表示部383、他費用表示部384、及び、総コスト表示部385を含む。
【0102】
制御部210は、ジョブ情報表示部381に、プリンター120のプリンターID、ジョブ名、ユーザー名、ステータスなど、識別情報フィールド225Aに含まれる情報を表示する。さらに、制御部210は、時刻情報フィールド225Bに格納される開始時刻および終了時刻と、開始時刻および終了時刻から算出した印刷時間(Printing Time)をジョブ情報表示部381に表示する。ここで、印刷時間は、印刷ジョブを実行した実行時間であり、プリンター120の稼働時間ともいえる。
【0103】
また、制御部210は、インク消費情報表示部382に、インク消費情報フィールド225Cに格納されるインク種類、インク使用量、及び、これらの情報とインク単価情報222とから算出部215が算出したインクコストを表示する。
【0104】
また、制御部210は、媒体消費情報表示部383に、媒体消費情報フィールド225Dに格納される媒体の種類、媒体サイズ、媒体使用量、及び、これらの情報と媒体単価情報223とから算出部215が算出した媒体コストを表示する。
【0105】
また、制御部210は、他費用表示部384に、他費用フィールド225Eに格納される他費用を表示する。さらに、制御部210は、総コスト表示部385に、媒体コストと、インクコストと、他費用と、これらを算出部215により合計した総コストとを表示する。総コストは、総コストフィールド225Fに含まれる情報を表示してもよい。
【0106】
管理サーバー200は、解析処理を実行することで、印刷ジョブDB225に格納された情報を解析し、プリンター120の稼働により得られる利益に関して情報提供を行う機能を有する。解析処理により、管理サーバー200は、図11を参照して後述するように、成果物の販売価格、印刷コスト、及び印刷時間を総合的に解析し、解析結果を出力する。解析処理では、成果物の販売価格を算出する際に印刷ジョブDB225の情報を利用するが、全ての印刷ジョブの情報を使用しなくてもよい。
【0107】
図9のジョブ情報表示部360には、除外設定部369にチェックボックス370が配置される。除外設定部369は、ジョブ情報表示部360に情報が表示された各印刷ジョブを、解析処理(図11)の対象とするか否かを指定する入力部である。指定部214は、除外設定部369に対する入力を受け付けて、受け付けた入力に従って、解析処理の対象の印刷ジョブを指定する。
【0108】
管理サーバー200に対しては、解析処理の対象とする印刷ジョブを指定する方法、及び、解析処理の対象から除外する印刷ジョブ(解析処理の対象としない印刷ジョブ)を指定する方法のいずれも採用できる。本実施形態では、ユーザーが、除外設定部369のチェックボックス370にチェックを付する操作により、解析処理の対象から除外する印刷ジョブを指定できる。すなわち、チェックボックス370にチェックが付された印刷ジョブは、解析処理の対象から除外される。
【0109】
解析処理の対象から除外される印刷ジョブは、例えば、成果物により収入を得られなかった印刷ジョブである。収入を得られなかった要因としては、人為的なミスやプリンター120以外の装置の不具合、プリンター120のエラー等、様々な要因が挙げられる。成果物により収入を得られない例としては、成果物にラミネート加工等の印刷後の加工(いわゆる後加工)を施して商品とする場合、後加工のミスや不具合により成果物が商品とならない例が挙げられる。また、受注管理の誤りによって、注文された成果物とは異なる画像やテキストを印刷した場合、検品基準を厳格にしたことで不具合品が生じた場合、印刷ジョブが「Canceled」や「Aborted」となった場合等が想定できる。
【0110】
管理サーバー200が、制御部210により、印刷ジョブのステータスに基づいて解析処理の対象から除外する印刷ジョブを自動的に指定してもよい。しかしながら、正常に完了した印刷ジョブの中にも、上記のように収入を得られない印刷ジョブがある。そこで、本実施形態の管理サーバー200は、ジョブ情報表示部360を利用して、解析処理の対象から除外する印刷ジョブを指定できるようにしている。
【0111】
図11は、管理サーバー200の動作を示すフローチャートであり、制御部210が実行する解析処理を示す。
制御部210は、プリンター指定部353(図9)により指定された対象期間を取得し(ステップSB11)、対象期間に実行された印刷ジョブをジョブ情報表示部360(図9)に一覧表示させる(ステップSB12)。
【0112】
制御部210は、解析処理の対象から除外する印刷ジョブを選択する入力を受け付けて(ステップSB13)、この入力に基づいて、指定部214が、販売価格を算出する対象の印刷ジョブを選択する(ステップSB14)。
【0113】
算出部215は、ステップSB14で選択した各々の印刷ジョブのコスト、及び、販売価格を算出する(ステップSB15)。算出部215は、ステップSB15で、少なくとも総コストを算出し、インクコスト、媒体コストおよび他費用を算出してもよい。また、算出部215は、販売価格を、印刷ジョブDB225に格納された印刷ジョブの媒体の種類、媒体サイズ、及び媒体使用量と、媒体単価情報223に含まれる販売価格とに基づいて算出する。
【0114】
算出部215は、ステップSB14で選択した各々の印刷ジョブの利益を算出する(ステップSB16)。算出部215は、ステップSB15で算出した各印刷ジョブの総コストと、販売価格との差を、印刷ジョブの利益として求める。
【0115】
算出部215は、ステップSB16で求めた利益と、印刷ジョブを実行した印刷時間とを、媒体の種類ごとに集計する(ステップSB17)。ステップSB17で、算出部215は、販売価格の設定区分に対応して利益および印刷時間を集計する。従って、媒体単価情報223において、販売価格が、媒体サイズによらず媒体の種類ごとに設定されている場合、算出部215は、媒体の種類ごとに利益および印刷時間を集計する。また、媒体単価情報223において、販売価格が、媒体サイズごと、かつ、媒体の種類ごとに設定されている場合、算出部215は、媒体サイズごと、かつ、媒体の種類ごとに利益および印刷時間を集計する。
【0116】
算出部215は、媒体の種類ごとに、印刷時間あたりの利益の指標値を算出する(ステップSB18)。印刷時間あたりの利益の指標値は、複数の印刷ジョブの利益を合計した金額を、これらの印刷ジョブのプリンター120の印刷時間(実行時間)の合計で除算することで求められ、稼働時間あたりの利益の平均値である。
【0117】
ステップSB18の処理は、ステップSB17と同様に、販売価格の設定区分に対応して実行される。販売価格が、媒体サイズによらず媒体の種類ごとに設定されている場合、算出部215は、媒体の種類ごとに利益の指標値を算出する。また、媒体単価情報223において、販売価格が、媒体サイズごと、かつ、媒体の種類ごとに設定されている場合、算出部215は、媒体サイズごと、かつ、媒体の種類ごとに利益の指標値を算出する。
【0118】
出力制御部216は、利益の指標値を表示するための利益表示用のデータを生成する(ステップSB19)。
ここで、出力制御部216は、ステップSB19で生成したデータを外部に出力するか否かを判定する(ステップSB20)。例えば、利益表示用のデータをI/F205または通信部206から出力するよう予め設定されている場合(ステップSB20;Yes)、出力制御部216は、利益表示用のデータを所定フォーマットのデータとして、出力する(ステップSB21)。その後、出力制御部216は、表示部204によって、利益表示用のデータに基づく表示を行う(ステップSB22)。
【0119】
また、利益表示用のデータを出力しない場合(ステップSB20;No)、出力制御部216はステップSB22に移行して画面表示を行う。
【0120】
制御部210は、解析処理を終了するか否かを判定し(ステップSB23)、終了しない場合は(ステップSB23;No)、ステップSB11に戻る。また、解析処理を終了する場合は(ステップSB23;Yes)、ステップSB19で生成したデータを保存して本処理を終了する。
【0121】
なお、ステップSB17及びSB18で、算出部215は、販売価格の設定区分と異なる区分で、印刷ジョブの利益、印刷時間、印刷時間あたりの利益の指標値を算出してもよい。例えば、販売価格が、媒体サイズごと、かつ、媒体の種類ごとに設定されている場合に、算出部215は、媒体サイズによらず媒体の種類ごとに、印刷ジョブの利益、印刷時間、利益の指標値を算出してもよい。
【0122】
図12は、管理サーバー200の表示例として利益解析結果画面390を示す図である。
利益解析結果画面390は、図11の解析処理で算出される、媒体の種類ごとの利益の指標値を表示する画面として、制御部210の制御により表示される。
利益解析結果画面390は、媒体の種類ごとの利益の指標値を表示する解析結果表示部391を有する。図12の例では、媒体の種類ごとの利益の指標値を、図表(ここでは円グラフ)で表示する指標値表示部392が、解析結果表示部391に配置される。また、解析結果表示部391には、指標値表示部392における媒体の種類を示す媒体種類表示部393が表示される。
【0123】
指標値表示部392の円グラフは、媒体の種類ごとに、解析処理の対象である印刷ジョブを実行したプリンター120の印刷時間を区分したグラフである。円グラフの領域392Aは、プリンター120の印刷時間の合計のうち、普通紙(Normal)を印刷した印刷時間の割合を示す。同様に、領域392Bは、プリンター120の印刷時間の合計のうち、インクジェット紙(Inkjet Paper)を印刷した印刷時間の割合を示す。領域392Cは、プリンター120の印刷時間の合計のうち、樹脂フィルム(Plastic Film)を印刷した印刷時間の割合を示し、領域392Dは、耐水紙(Waterproof Paper)を印刷した印刷時間の割合を示す。領域392Eは、プリンター120の印刷時間の合計のうち、フォト用紙(Photo Paper)を印刷した印刷時間の割合を示す。
【0124】
媒体の種類に対応する領域392A〜392Eには、それぞれ、ステップSB18で媒体の種類に対応して算出された利益の指標値が表示される。図12の例では、普通紙の利益の指標値は10000.00円/hであり、インクジェット紙の利益の指標値は0.50円/hであり、樹脂フィルムの利益の指標値は20000.00円/hである。また、耐水紙の利益の指標値は500.00円/hであり、フォト用紙の利益の指標値は3.00円/hである。
【0125】
このように、プリンター120の稼働時間に応じて得られると見込まれる利益(指標値)を、稼働時間の割合とともに図表等により表示することで、プリンター120の成果物で収益を得るビジネスについて、有用な情報を提供できる。
【0126】
制御部210は、図11に示した解析処理をプリンター120ごとに実行してもよいが、複数のプリンター120に対応して一括して解析処理を実行してもよい。この場合、制御部210は、複数のプリンター120に関して算出した利益の指標値を、同時に出力してもよい。例えば、図12に示した利益解析結果画面390に、複数のプリンター120の利益の指標値を同時に表示してもよい。さらに、複数のプリンター120の利益の指標値を比較する別の図表を、利益解析結果画面390に表示してもよい。
【0127】
以上説明したように、本発明を適用した管理サーバー200は、取得部213と、算出部215とを備える。取得部213は、プリンター120により実行された印刷ジョブに関して、少なくとも、1種類以上の印刷媒体の単位面積あたりの媒体価格ならびに1種類以上のインクの消費量を含む情報を取得する。算出部215は、取得部213により取得された情報に含まれる媒体価格および消費量をもとに、印刷ジョブのコストを算出する。算出部215は、印刷ジョブのコストに基づき、プリンター120が所定の印刷媒体を成果物とする印刷ジョブを所定時間実行することで得られる利益の指標値を算出する。
【0128】
本発明の情報処理装置、および、情報処理方法を適用した管理サーバー200によれば、プリンター120の成果物とプリンター120を稼働させる時間とに対応する指標値を算出することができる。この指標値は、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もるために有用な情報である。従って、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もる作業または処理を、有用な情報を提供することによって支援できる。
【0129】
また、算出部215は、指標値として、印刷ジョブを実行する場合のプリンター120の稼働時間あたりの利益の平均値を算出する。これにより、プリンター120の稼働時間あたりの利益の平均値を算出することにより、より一層有用な情報を提供できる。
【0130】
また、算出部215は、成果物の販売価格をもとに、指標値を算出する。これにより、指標値として、利益の見積もりの精度を向上させることが可能な情報を提供できる。この指標値を用いることで、高い精度で利益を見積もることができる。
【0131】
また、管理サーバー200は、取得部213により取得された情報を記憶する印刷ジョブDB225を備える記憶部220を有する。また、管理サーバー200は、記憶部220に記憶された印刷ジョブDB225の情報を対象として、成果物の販売価格の算出に採用するか否かに関する指定を印刷ジョブごとに行う指定部214を備える。算出部215は、指定部214による指定に従って算出対象の印刷ジョブを選択し、選択した印刷ジョブに関する情報に基づき指標値を算出する。これにより、プリンター120が実行した印刷ジョブのうち印刷コストに反映させる印刷ジョブを選択できるので、利益の見積を行うユーザー等の意図に従って指標値を求めることができる。これにより、ユーザー等の意図に対応して、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もることが可能となる。
【0132】
また、管理サーバー200は、入力を受け付ける入力部201を備える。指定部214は、入力部201で受け付けた入力に基づいて、指標値の算出に採用しない印刷ジョブを指定し、算出部215は、指定部214により指定された印刷ジョブを除く印刷ジョブを、算出対象の印刷ジョブとして選択する。これにより、プリンター120が実行した印刷ジョブのうち印刷コストに反映させない印刷ジョブを入力により指定できる。これにより、ユーザー等の意図をより明確に反映して、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もることが可能となる。
【0133】
また、算出部215は、印刷媒体の種類ごとに指標値を算出する。これにより、印刷に使用する印刷媒体の種類ごとに指標値を算出するので、この指標値を用いることで、成果物の種類に対応して、利益を詳細に見積もることができる。従って、利益を見積もる作業または処理について、より一層有用な情報を提供できる。
【0134】
また、取得部213は、プリンター120により実行された印刷ジョブをプリンター120が実行した稼働時間を含む情報を取得する。算出部215は、所定期間にプリンター120により実行された印刷ジョブに関して取得部213により取得された情報をもとに、所定期間における印刷媒体の種類ごとの稼働時間を算出する。これにより、プリンター120による印刷ジョブの稼働時間を印刷媒体の種類ごとに算出するので、この情報を利用すれば、プリンター120が複数の印刷媒体に印刷する場合に、プリンター120により得られる利益を的確に見積もることが可能となる。従って、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もる作業または処理を、より効果的に支援できる。
【0135】
また、管理サーバー200は、算出部215により算出された、印刷媒体の種類ごとの指標値、および、印刷媒体の種類ごとの稼働時間を、印刷媒体の種類で対応付けたフォーマットで出力する出力部203を備える。これにより、指標値等の情報を、印刷媒体の種類で対応付けたフォーマットで出力するので、出力される情報に基づいて、印刷成果物を商材とする場合の利益を、より詳細かつ容易に見積もることができる。
【0136】
また、出力部203は、所定期間にプリンター120が印刷ジョブを実行した稼働時間を印刷媒体の種類ごとに区分した区分状態と、区分された各々の時間に対応する指標値とを含む画像、または、画像を表示するための表示情報を出力する。これにより、プリンター120の稼働時間と印刷媒体の種類とを反映した詳細な情報を画像として表示することが可能となる。このため、印刷成果物を商材とする場合の利益を見積もる作業または処理を、より効果的に支援できる。
【0137】
本発明に係る管理サーバー200は、より大規模なシステムにも適用可能であり、図13に一例を示す。
【0138】
[5.管理システムの変形例]
図13は、管理システム1の別の構成例として、管理システム2の構成を示す図である。
管理システム2は、プリンター120及びホストコンピューター140がネットワーク110によって接続されたローカルネットワーク3を、管理サーバー200に接続して構成される。管理サーバー200は、インターネット等の広域ネットワーク4を介して、複数のローカルネットワーク3に接続され、各々のローカルネットワーク3を構成するプリンター120と、通信を行うことが可能である。
【0139】
図13に示す管理システム2においては、それぞれのプリンター120が実行する印刷ジョブについて、管理サーバー200により管理を実行し、印刷ジョブ情報を取得し、印刷ジョブDB225を作成できる。
このような構成では、例えば、ローカルネットワーク3を管理するユーザーが、管理サーバー200を管理する管理者に対し、プリンター120における媒体の種類ごとの利益の指標値等の情報の提供を要求してもよい。この場合、管理者は、管理サーバー200によって、利益表示用のデータを生成し、生成したデータをホストコンピューター140に送信すればよい。これにより、ローカルネットワーク3を管理するユーザーは、ホストコンピューター140において、プリンター120における媒体の種類ごとの利益の指標値等を、図表等により見ることができる。
【0140】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、プリンター120の稼働により得られる利益の指標値を、印刷媒体の種類ごとの、稼働時間あたりの利益の平均値とする構成は一例である。印刷ジョブに重み付けを行って販売価格と印刷ジョブのコストとを集計し、得られた利益を求めてもよいし、その他の統計処理によって利益の指標値を求めてもよい。
【0141】
また、出力部203による利益の指標値の出力形態は、図12に示した利益解析結果画面390に限定されない。出力形態の他の例としては、稼働時間を軸に設定した棒グラフ、縦軸と横軸に稼働時間および稼働時間あたりの利益を設定した座標、テーブル形式の図表など、種々の形態が挙げられる。また、印刷媒体の種類および印刷媒体のサイズで区分された、稼働時間あたりの利益の指標値を出力してもよい。
【0142】
例えば、管理サーバー200が実行する解析処理の対象の印刷ジョブ、または、解析処理の対象から除外する印刷ジョブを指定部214が指定する方法は、上述した方法に限定されない。管理サーバー200に対し、他の装置(例えば、ホストコンピューター140)から解析処理の対象の印刷ジョブ、または、解析処理の対象から除外する印刷ジョブを指定するコマンドやデータを送信して、指定してもよい。この場合、指定部214は、コマンドやデータに従って指定を行う。また、予め設定されたルールに従って、指定部214が、解析処理の対象の印刷ジョブ、または、解析処理の対象から除外する印刷ジョブを指定してもよい。また、解析処理の対象の印刷ジョブ、または、解析処理の対象から除外する印刷ジョブを指定するデータを管理サーバー200が読み込んで、このデータに基づき指定部214が一括して指定を行ってもよい。
【0143】
例えば、上記実施形態では、印刷ジョブのコストとして、インクコスト、媒体コスト及び他費用を算出する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、成果物に施される後加工のコストを印刷ジョブのコストに含めてもよい。また、プリンター120の本体のコストを印刷ジョブのコストに含めてもよい。また、管理サーバー200による管理等、プリンター120の保守運用に関する各種のコストを、印刷コストに含めてもよい。また、印刷ジョブのコストを、インクコスト及び/または媒体コストに限定してもよい。
【0144】
また、印刷ジョブに関するプリンター120の稼働時間は、印刷ジョブを実行する時間として説明したが、印刷ジョブの実行中または印刷ジョブの間に実行されるフラッシングやクリーニング等のメンテナンス動作の時間を、稼働時間に含めてもよい。この場合、フラッシングやクリーニング等に要した時間を、指標値表示部392(図12)のグラフ等に反映させてもよい。また、印刷ジョブの実行中に行われたメンテナンス動作に要した時間を、印刷ジョブの実行時間から除外してもよい。この場合、管理サーバー200は、プリンター120が送信する印刷ジョブ情報の開始時間および終了時間から印刷ジョブの実行時間を求めた上で、メンテナンス動作の時間を除いて、印刷ジョブの実行時間を求めてもよい。この場合、プリンター120が送信する印刷ジョブ情報に、メンテナンス動作に要した時間に関する情報を含めてもよい。
【0145】
また、例えば、プリンター120が使用する消耗品の一部のコストを印刷ジョブのコストから除外してもよく、例えば、一部の色のインクを、インクコストを算出する処理から除外してもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、プリンター120がインクジェットプリンターである例を説明したが、本発明はこれに限定されない。管理サーバー200は、プリンター120と同様に、ドットインパクト式、熱昇華式、サーマル式などの各種のプリンター、及び、他の装置(例えば、複合機)に組み込まれたプリンターに接続できる。この場合において、管理サーバー200は、各プリンターの印刷方式や仕様に応じて、各プリンターの消耗品の種類と単価を単価情報221により管理すればよい。
【0147】
また、管理サーバー200の機能を他のコンピューターに統合することも可能であり、例えば、ホストコンピューター140が管理サーバー200の機能を具備する構成であってもよい。また、プリンター120が、管理サーバー200の機能として説明した各種の処理を実行してもよい。また、管理サーバー200の機能を複数のサーバー装置やコンピューターにより実現することも可能であり、例えば、クラウドコンピューティング技術によって、管理サーバー200をクラウドサーバーとして構成してもよい。
【0148】
また、上記実施形態で説明および図示した印刷媒体の種類、サイズ、単価、販売価格等は一例に過ぎず、印刷媒体の種類やサイズの数は任意であり、販売価格が設定される区分も適宜変更可能である。
また例えば、図1に示した各機能ブロックはハードウェアとソフトウェアの協働により任意に実現可能であり、特定のハードウェア構成を示唆するものではない。また、管理サーバー200は、外部接続される記憶媒体に記憶させたプログラムを実行することにより、各種動作を実行してもよい。
【符号の説明】
【0149】
1、2…管理システム、110…ネットワーク、120…プリンター(印刷装置)、121…制御部、122…印刷部、123…印刷ヘッド、124…インク供給部、125…搬送部、127…通信部、140…ホストコンピューター、141…制御部、144…通信部、150…記憶部、200…管理サーバー(情報処理装置)、201…入力部、203…出力部、205…インターフェイス、206…通信部、210…制御部、211…通信制御部、212…設定部、213…取得部、214…指定部、215…算出部、216…出力制御部、220…記憶部、221…単価情報、222…インク単価情報、223…媒体単価情報、225…印刷ジョブデータベース、300…単価設定画面、350…ジョブ情報画面、360…ジョブ情報表示部、369…除外設定部、370…チェックボックス、380…ジョブ詳細情報画面、390…利益解析結果画面、391…解析結果表示部、392…指標値表示部、392A、392B、392C、392D、392E…領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13