特許第6962088号(P6962088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962088
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】商品販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/54 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   G07F11/54
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-176556(P2017-176556)
(22)【出願日】2017年9月14日
(65)【公開番号】特開2019-53468(P2019-53468A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 由人
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−198213(JP,A)
【文献】 特表2006−502474(JP,A)
【文献】 特開平08−171674(JP,A)
【文献】 特開平07−254086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 11/00−11/72
A47F 1/00− 3/14,
5/00− 8/02,
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の第1の通過孔と、前記第1の通過孔の各々の周縁から鉛直方向に延び、それぞれ前記第1の通過孔上に鉛直方向に沿って複数積み上げた1列の商品を収納可能な収納部材とが形成された第1の水平板を底部に有する商品収納部と、
前記商品収納部の下方に接続して設けられ、第2の通過孔が形成され前記第1の水平板に近接する第2の水平板を上部に有し、鉛直方向から見て前記第2の通過孔と重なる位置に第3の通過孔が形成された第3の水平板を底部に有し、前記第2の通過孔と前記第3の通過孔との間に前記商品の1つ分の高さの空間を有する中段部と、
前記中段部の下方に接続して設けられ、1つ以上の第4の通過孔が形成され前記第3の水平板に近接する第4の水平板を上部に有し、前記第4の通過孔の下方側面に商品取り出し口を有する商品取り出し部と、
前記第1の水平板および前記第4の水平板を、鉛直方向の同一の軸の周りに連動して回転させるハンドルとを備え、
前記第2の通過孔および前記第3の通過孔は、前記軸を含まない部分に形成され、
前記第1の通過孔および前記第4の通過孔は、いずれも、前記第1の水平板および前記第4の水平板を回転させたとき、前記空間に、鉛直方向から見て互いに異なるタイミングにおいて重なる部分に形成され、
前記ハンドルによる回転により、前記第1の通過孔と前記第2の通過孔とが重なり、前記商品の1つが前記商品収納部から前記中段部に移動するタイミングと、前記第3の通過孔と前記第4の通過孔とが重なり、前記商品の1つが前記中段部から前記商品取り出し部に移動するタイミングとが異なる、商品販売機。
【請求項2】
前記ハンドルによる回転につれて、
前記第1の通過孔が、いずれも前記空間に重なっておらず、各前記1列の商品が前記第2の水平板によって保持された第1の状態から、
前記第1の通過孔の1つが、前記空間に重なることで、その上に収納された前記1列の商品が下方に移動しつつ、そのうち最下段の商品の1つが前記第1の通過孔および第2の通過孔を通過して前記空間に移動し、移動した前記1列の商品がいずれも前記第4の水平板によって保持された第2の状態と、
前記第1の通過孔の前記1つと前記空間との重なりが解消し、前記最下段の商品が前記第4の水平板によって保持され、落下した前記1列の商品のうち最下段を除く商品が前記第2の水平板によって保持された第3の状態と、
前記第4の通過孔の1つが、前記空間に重なり、前記最下段の商品が、前記第3の通過孔と前記第4の通過孔とを通過して、前記商品取り出し口に移動し、移動した前記1列の商品のうち最下段を除く商品が前記第2の水平板によって保持された第4の状態とを経て、前記第1の状態に再び遷移可能な、請求項1に記載の商品販売機。
【請求項3】
前記第1の水平板の周縁であって、前記第1の状態から前記第4の状態を経て前記第1の状態に戻るまでの回転量毎に設けられた切欠き部と、
前記切欠き部と係合してハンドルによる回転を規制可能なストッパーとをさらに備え、
前記ストッパーは、所定の操作により前記切欠き部との係合を解除し、所定量の回転後に、前記切欠き部と係合することを特徴とする、請求項2に記載の商品販売機。
【請求項4】
前記商品収納部は、
前記収納部材の少なくとも一部、及び前記収納部材を収容する前記商品収納部の側面部の少なくとも一部が透明であり、前記収納部材の内部を外部から視認可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の商品販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨等の投入及び所定の操作を行うことにより収納された商品を商品取出し口に移動させて商品を取得することが可能な商品販売機が、屋内、屋外を問わず、設置されている。そのような商品販売機の中には、商品の収納方法として、商品を鉛直方向に複数積み上げて1列の状態で収納する方法を採用しているものがある。
【0003】
特許文献1には、物品格納部に格納された複数の物品を物品払出し口へ順次搬送させる自動販売機において、上下に積み重ねられるとともに円陣に配列された複数の物品列を物品落とし穴上へ順次搬送し、物品列の最下段の物品を物品落とし穴に落とし込ませて払出し口へ搬送することが記載されている。また、特許文献2には、容器配列部に収納された容器を取出口に移動させる回転式自動販売機において、容器配列部に容器を複数個1列に積み重ねたカートリッヂを回転円盤状に配列することが記載されている。また、特許文献3には、筒状の立形商品収納ケースにそれぞれ商品が上下に積重ねて収納される複数の商品コラムが画成された商品収納棚を有する自動販売機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4151386号公報
【特許文献2】特開昭58−097792号公報
【特許文献3】実開昭62−93277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3の自動販売機は、商品を収納した商品収納部と、商品を取出す商品取り出し口が設けられた商品取り出し部とが隣接して配置されているため、商品取り出し口から手を入れられて商品収納部に収納された商品が不正に抜き取られるおそれがあった。
【0006】
また、特許文献1〜3の自動販売機では、商品収納部において複数積み上げた商品の最下段の商品を商品取り出し部に落下させる際に、最下段から二番目に位置する商品の商品取り出し部への落下を防ぐためのホルダー等の特別な部材や複雑な機構が必要であり、商品の形状にも側面にテーパーを設ける必要がある等の制限があった。そのため、自動販売機の製造工程が増えたり、コストアップの要因となったりするなどの問題があった。
【0007】
本発明は、シンプルな構造で、商品取り出し口から商品を不正に抜き取られ難くし、かつ、商品の側面にテーパーを設けることなく、積み重ねた商品の最下段から二番目に位置する商品の落下を防ぐことが可能な商品販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、商品販売機であって、1つ以上の第1の通過孔と、第1の通過孔の各々の周縁から鉛直方向に延び、それぞれ第1の通過孔上に鉛直方向に沿って複数積み上げた1列の商品を収納可能な収納部材とが形成された第1の水平板を底部に有する商品収納部と、商品収納部の下方に接続して設けられ、第2の通過孔が形成され第1の水平板に近接する第2の水平板を上部に有し、鉛直方向から見て第2の通過孔と重なる位置に第3の通過孔が形成された第3の水平板を底部に有し、第2の通過孔と第3の通過孔との間に商品の1つ分の高さの空間を有する中段部と、中段部の下方に接続して設けられ、1つ以上の第4の通過孔が形成され第3の水平板に近接する第4の水平板を上部に有し、第4の通過孔の下方側面に商品取り出し口を有する商品取り出し部と、第1の水平板および第4の水平板を、鉛直方向の同一の軸の周りに連動して回転させるハンドルとを備え、第2の通過孔および第3の通過孔は、軸を含まない部分に形成され、第1の通過孔および第4の通過孔は、いずれも、第1の水平板および第4の水平板を回転させたとき、空間に、鉛直方向から見て互いに異なるタイミングにおいて重なる部分に形成され、ハンドルによる回転により、第1の通過孔と第2の通過孔とが重なり、商品の1つが商品収納部から中段部に移動するタイミングと、第3の通過孔と第4の通過孔とが重なり、商品の1つが中段部から商品取り出し部に移動するタイミングとが異なる。
【0009】
また、ハンドルによる回転につれて、第1の通過孔が、いずれも空間に重なっておらず、各1列の商品が第2の水平板によって保持された第1の状態から、第1の通過孔の1つが、空間に重なることで、その上に収納された1列の商品が下方に移動しつつ、そのうち最下段の商品の1つが第1の通過孔および第2の通過孔を通過して空間に移動し、移動した1列の商品がいずれも第4の水平板によって保持された第2の状態と、第1の通過孔の1つと空間との重なりが解消し、最下段の商品が第4の水平板によって保持され、落下した1列の商品のうち最下段を除く商品が第2の水平板によって保持された第3の状態と、第4の通過孔の1つが、空間に重なり、最下段の商品が、第3の通過孔と第4の通過孔とを通過して、商品取り出し口に移動し、移動した1列の商品のうち最下段を除く商品が第2の水平板によって保持された第4の状態とを経て、第1の状態に再び遷移可能であってもよい。
【0010】
また、第1の水平板の周縁であって、第1の状態から第4の状態を経て第1の状態に戻るまでの回転量毎に設けられた切欠き部と、切欠き部と係合してハンドルによる回転を規制可能なストッパーとをさらに備え、ストッパーは、所定の操作により切欠き部との係合を解除し、所定量の回転後に、切欠き部と係合してもよい。
【0011】
また、商品収納部は、収納部材の少なくとも一部、及び収納部材を収容する商品収納部の側面部の少なくとも一部が透明であり、収納部材の内部を外部から視認可能であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シンプルな構造で、商品取り出し口から商品を不正に抜き取られ難くし、かつ、商品の側面にテーパーを設けることなく、積み重ねた商品の最下段から二番目に位置する商品の落下を防ぐことが可能な商品販売機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る商品販売機の分解斜視図
図2】本実施形態に係る商品収納部の上面図
図3】本実施形態に係る商品販売機の図1に示す切断線A−Aに沿う断面図
図4】本実施形態に係る商品販売機の動作を説明する模式図
図5】本実施形態に係る商品販売機の動作を説明する模式図
図6】本実施形態に係る商品販売機の動作を説明する模式図
図7】本実施形態に係る商品販売機の動作を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る商品販売機の分解斜視図である。図1に示すように、商品販売機1は、鉛直方向に複数積み上げた1列の商品(不図示)を収納する商品収納部10と、商品収納部10の下方に接続して設けられた中段部20と、中段部20の下方に接続して設けられ、商品取り出し口34を有する商品取り出し部30と、中段部20に設けられたハンドル40と、商品収納部10の上端の開口を閉じる上蓋50とを備える。
【0015】
商品としては、例えば、包装容器に収納された食料品や玩具などが挙げられるが、これらに限定されない。また、商品の高さが同じであれば、商品の形状は円柱形状、角柱形状、テーパー形状など特に限定されない。
【0016】
(商品収納部)
まず、商品収納部10について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る商品収納部10は、底部としての第1の水平板11と、円筒状の部材からなる側面部12とを有する。第1の水平板11には、1つ以上の円形状の第1の通過孔13と、第1の通過孔13の各々の周縁から鉛直方向に延び、それぞれ第1の通過孔13上に鉛直方向に沿って複数積み上げた1列の商品を収納可能な収納部材14とが形成されている。また、第1の水平板11には、周縁に切欠き部15が設けられ、中央に軸穴16が設けられている。第1の水平板11は、後述する商品取り出し部30の第4の水平板31とともに、ハンドル40の回転と連動して軸穴16に嵌入する軸60(図3参照)の周りを回転する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る商品収納部10の上面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態において、第1の通過孔13は、鉛直方向から見て軸穴16を中心に放射状に略90度ずれて4つ形成されている。第1の通過孔13の数及び隣接する第1の通過孔13の中心と軸穴16の中心とを結ぶ線の角度は特に限定されず、適宜設計可能である。詳細は後述するが、第1の通過孔13と、後述する中段部20の第2の水平板21に形成された第2の通過孔25とが重なることで、当該重なった第1の通過孔13上に積み上げられた商品のうち最下段の商品が商品収納部10から中段部20に移動する。
【0018】
収納部材14は、4つ形成された第1の通過孔13の各々の周縁から鉛直方向に延びる円筒状の部材からなる。収納部材14の第1の通過孔13側である一方端から第1の通過孔13側と反対側の他方端までの距離、すなわち収納部材の高さは、商品の高さの整数倍に商品の高さの半分から2/3の値を加えた範囲であることが好ましい。収納部材14の高さを上記範囲とすることで、最上部の商品の下部が収納部材14に収容され安定するとともに、上部が収納部材14から突出するので、収納部材14に商品を充填する際、商品上部をつかむことで、充填しやすくすることができる。
【0019】
切欠き部15は、後述するストッパー24が係合することでハンドルの回転に連動する第1の水平板11の回転を規制するためのものである。切欠き部15は、第1の水平板の周縁であって、例えば隣接する第1の通過孔13の間に相当する位置に、第1の通過孔13の数と同数形成される。切欠き部15及びストッパー24による第1の水平板11の回転を規制する方法の詳細については後述する。
【0020】
商品収納部10は、側面部12及び収納部材14の少なくとも一部が透明であることが好ましい。商品収納部10の側面部12及び収納部材14の少なくとも一部を透明とすることで、商品購入希望者は収納部材14内に収納された商品を視認することができるため、商品購入時にどの商品を購入することができるかが分かる。その結果、商品購入者は欲しい商品を確実に購入することができる。また、商品販売機の管理者は、商品販売機内の商品の残存量を容易に把握することができるため、商品管理が容易となる。
【0021】
商品収納部10の側面部12及び収納部材14の材料は、透明性及び強度を有するものであれば特に限定されず、公知の材料を使用することができる。側面部12及び収納部材14の材料として、例えば、アクリル樹脂が挙げられる。
【0022】
(中段部)
次に、中段部20について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る中段部20は、商品収納部10の下方に接続して設けられ、上部に第1の水平板11に近接する第2の水平板21と、底部に第3の水平板22と、円筒状の部材からなる側面部23とを有する。側面部23の内周面には、ストッパー24が設けられている。側面部23の外周面上には、ハンドル40が設けられている。
【0023】
第2の水平板21には、円形状の第2の通過孔25が1つ形成されている。また、第3の水平板22には、円形状の第3の通過孔26が1つ形成されている。鉛直方向から見て、第2の通過孔25と第3の通過孔26とは重なる位置に形成される。第2の通過孔25の周縁と第3の通過孔26の周縁とは、ガイド部27を介して接続される。ガイド部27は円筒状の部材からなり、商品収納部10の商品が中段部20に移動する際に当該商品をガイドする役目を有している。中段部20は、第2の通過孔25と第3の通過孔26との間に商品の1つ分の高さの空間28を有する。つまり、空間28とはガイド部27の内部である。尚、中段部20にガイド部27を設けなくてもよい。また、第2の水平板21及び第3の水平板22には、第1の水平板11の軸穴16に嵌入する軸60と同じ軸60を挿入するための軸穴29a及び29bがそれぞれ形成されている。第2の通過孔25及び第3の通過孔26は、軸60を含まない部分に形成される。第2の水平板21及び第3の水平板22は、第1の水平板11とは異なり、軸60の周りを回転しない。
【0024】
ストッパー24は、側面部23の内周面に設けられ、第1の水平板11に形成された切欠き部15と係合することでハンドル40による第1の水平板11の回転を規制する。ストッパー24は、所定の操作により切欠き部15との係合を解除し、第1の水平板11の回転を許容する。ストッパー24は、第1の水平板11の所定量の回転後に切欠き部15と係合し、第1の水平板11の回転を規制する。尚、所定の操作及び第1の水平板11の回転を規制する方法の詳細については後述する。
【0025】
(商品取り出し部)
次に、商品取り出し部30について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る商品取り出し部30は、中段部20の下方に接続して設けられ、上部に第3の水平板22に近接する第4の水平板31と、円筒状の部材からなる側面部32と、底面部33と、側面部32の一部を取除いて設けられた商品取り出し口34とを有する。第4の水平板31には、1つ以上の円形状の第4の通過孔35が形成されている。また、第4の水平板31には、第1の水平板11の軸穴16に嵌入する軸60と同じ軸60を嵌入するための軸穴36が形成されている。第4の水平板31は、第1の水平板11とともに、ハンドル40の回転と連動して軸穴36に嵌合する軸60の周りを回転する。商品取り出し口34は、第4の通過孔35の下方側面に設けられる。
【0026】
図1に示すように、本実施形態において、第4の通過孔35は、鉛直方向から見て軸穴36を中心に放射状に略90度ずれて4つ形成されている。第4の通過孔35の数及び隣接する第4の通過孔35の中心と軸穴36の中心とを結ぶ線の角度は、第1の水平板11の第1の通過孔13の数及び隣接する第1の通過孔13の中心と軸穴16の中心とを結ぶ線の角度と同じであれば、特に限定されない。詳細は後述するが、中段部20の第3の水平板22に形成された第3の通過孔26と、第4の通過孔35とが重なることで、中段部20に移動した商品が中段部20から商品取り出し部30の商品取り出し口34に移動する。
【0027】
ここで、第1の通過孔13及び第4の通過孔35は、いずれも、第1の水平板11及び第4の水平板31を回転させたとき、中段部20の空間に、鉛直方向から見て互いに異なるタイミングにおいて重なる部分に形成される。つまり、鉛直方向から見て、第1の通過孔13の各々と第4の通過孔35の各々とは、軸穴16及び36を中心として所定の角度ずれて形成されている。本実施形態においては、図1に示すように、鉛直方向から見て、第4の通過孔35の各々と第1の通過孔13の各々とは、軸穴16及び36を中心として略45度ずれて形成されている。
【0028】
(ハンドルの回転と第1の水平板の回転との連動方法)
次に、ハンドル40の回転と第1の水平板11及び第4の水平板31の回転との連動方法について説明する。図3は、本実施形態に係る商品販売機の図1に示す切断線A−Aに沿う断面図である。
【0029】
図3に示すように、本実施形態において、ハンドル40の回転と第1の水平板11及び第4の水平板31の回転との連動は、ハンドル40と、第1の水平板11の裏面の周縁と接触する円柱状の回転部材41と、ハンドル40と回転部材41とを接続する水平方向のハンドル軸42とにより制御されている。ハンドル軸42は、中段部20の側面部23に形成された軸穴に挿入され、側面部23の外側にハンドル40が、側面部23の内側に回転部材41がそれぞれ設けられている。ハンドル40を回転することで、回転部材41もハンドル軸42の周りを回転する。回転部材41が回転することで、回転部材41と第1の水平板11の裏面との間に生じる摩擦力により第1の水平板11も鉛直方向の軸60の周りを回転する。第1の水平板11は、軸60により第4の水平板31と接続されているため、第1の水平板11が回転することで第4の水平板31も連動して回転する。尚、本実施形態では上述の方法でハンドル40の回転と第1の水平板11及び第4の水平板31の回転とを連動させているが、連動方法はこれに限定されない。例えば、ハンドルを回転させる構成の替わりにレバーをスライドさせる構成を採用したり、ラチェット機構を採用したりしてもよい。
【0030】
(商品の移動方法及び回転規制方法)
次に、商品収納部10の第1の通過孔13上に積み上げた商品70のうち最下段の商品1つを中段部20に移動させ、この中段部20に移動させた商品70を商品取り出し部30に移動させる方法、及びストッパー24と切欠き部15とによる回転規制方法について説明する。図4図7は、本実施形態に係る商品販売機の動作を説明する模式図である。
【0031】
図4(a)、図5(a)、図6(a)、及び図7(a)は、商品が商品収納部から中段部を経て商品取り出し部に移動するタイミングを説明するための模式図である。本実施形態においては、説明を容易にするため、商品収納部10の第1の通過孔13上に鉛直方向に商品70を3つ積み上げた1列のみを図示し、この1列を用いて説明する。また、上記図は、商品販売機1の縦断面模式図であって、商品70と、第1の水平板11〜第4の水平板31と、中段部20の空間28と、商品取り出し部30の商品取り出し口34及び底面部33とを模式的に図示したものである。
【0032】
図4(b)、図5(b)、図6(b)、及び図7(b)は、図4(a)、図5(a)、図6(a)、及び図7(a)の各々の状態において第1の通過孔及び第2の通過孔の位置を示す上面概略図であり、第1の水平板及び第1の通過孔を実線で図示し、第2の水平板及び第2の通過孔を破線で図示している。また、図4(c)、図5(c)、図6(c)、及び図7(c)は、図4(a)、図5(a)、図6(a)、及び図7(a)の各々の状態において第3の通過孔及び第4の通過孔の位置を示す上面概略図であり、第3の水平板及び第3の通過孔を実線で図示し、第4の水平板及び第4の通過孔を破線で図示している。
【0033】
図4は、1列の商品70のうちの全ての商品70が商品収納部10に収納されている第1の状態を示す図である。第1の状態では、第1の通過孔13はいずれも中段部20の空間28と重なっておらず、第1の通過孔13上の1列の商品70は第2の水平板21によって保持されている。そのため、1列の商品70のうち最下段の商品70aは商品収納部10に留まり、中段部20に移動することができない。また、第3の通過孔26は第4の通過孔35のいずれかと重なっている。
【0034】
図4(b)に示すように、第1の状態において、ストッパー24は、第1の水平板11の切欠き部15に係合している。本実施形態においては、ストッパー24は棒状の部材であり、切欠き部15において第1の水平板11の表面よりも上方に突き出ている。つまり、ストッパー24が切欠き部15から紙面手前側に突き出ることで、第1の水平板11の回転を規制している。ハンドル40の回転と第1の水平板11の回転とは連動しているため、ハンドル40を回転することはできない。
【0035】
ストッパー24は、所定の操作を行うことで切欠き部15との係合を解除する。本実施形態において、切欠き部15との係合の解除は、ストッパー24が切欠き部15において第1の水平板11の裏面よりも下方に降下することにより行われる。つまり、ストッパー24が紙面奥側に降下することで、第1の水平板11の回転規制を解除する。所定の操作としては、例えば、商品販売機1に設けられた図示しない硬貨投入口に硬貨を投入したり、図示しないカード読み取り部にカードをかざしたりすることが挙げられる。また、ストッパー24の降下及び後述する上昇は、電気的に制御してもよいし、他の公知の方法で制御してもよい。ストッパー24と切欠き部15との係合を解除することにより、ハンドル40を回転することで、ハンドル40の回転に連動して第1の水平板11及び第4の水平板31を回転することができる。
【0036】
図5は、上記第1の状態から、1列を保持したまま最下段の商品70aが中段部20の空間28に移動した第2の状態を示す図である。所定の操作を行うことでストッパー24と切欠き部15との係合を解除した後にハンドル40を所定量回転することで第1の状態から第2の状態へ移行する。ハンドル40の回転に連動して第1の水平板11が回転することで、第2の状態では、第1の通過孔13の1つが中段部20の空間28に重なる。第1の通過孔13上に収納された1列の商品70は第2の水平板21によって保持されなくなり、当該1列の商品70は下方に移動する。1列の商品70のうち最下段の商品70aは第1の通過孔13及び第2の通過孔25を通過して中段部20の空間28に移動する。
【0037】
ここで、ハンドル40の回転に連動して第4の水平板31も回転するため、第2の状態では、第3の通過孔26は第4の通過孔35のいずれとも重なっていない。そのため、移動した1列の商品70はいずれも第4の水平板31によって保持される。その結果、第2の状態において、移動した1列のうち最下段の商品70aが商品取り出し部30にまで一気に移動することはない。
【0038】
図6は、上記第2の状態から、最下段の商品70aを除く商品70bがスライドした第3の状態を示す図である。更にハンドル40を所定量回転することで第2の状態から第3の状態へ移行する。ハンドル40の回転に連動して第1の水平板11が更に回転することで、第3の状態においては、第1の通過孔13の1つと空間28との重なりが解消する。ここで、中段部20の空間28の高さは商品1つ分の高さと同じであるため、中段部20の空間28に移動した最下段の商品70aを空間28に残した状態で、落下した1列の商品70のうち最下段の商品70aを除く商品70bが第1の水平板11の回転に伴い第2の水平板21上にスライドする。これにより、落下した1列の商品70のうち最下段の商品70aを除く商品70bが第2の水平板21によって保持される。ハンドル40の回転に連動して第4の水平板31も更に回転するが、第4の通過孔35の1つが中段部20の空間28に重なる状態になる程の回転量ではないため、中段部20の空間28にある最下段の商品70aは第4の水平板31によって保持されたままである。
【0039】
図7は、上記第3の状態から、中段部20の空間28に移動した最下段の商品70aが商品取り出し部30に移動した第4の状態を示す図である。更にハンドル40を所定量回転することで第3の状態から第4の状態へ移行する。ハンドル40の回転に連動して第4の水平板31が更に回転することで、第4の状態においては、第4の通過孔35の1つが中段部20の空間28に重なる。中段部20の空間28に移動した最下段の商品70aは第4の水平板31によって保持されなくなり、当該最下段の商品70が第3の通過孔26及び第4の通過孔35を通過して商品取り出し部30の商品取り出し口34に移動する。ハンドル40の回転に連動して第1の水平板11も更に回転し、第3の状態においてスライドした最下段の商品70aを除く商品70bは第2の水平板21によって保持される。
【0040】
図7(b)に示すように、第4の状態において、ストッパー24は、第1の水平板11の切欠き部15に再び係合している。ストッパー24が切欠き部15から紙面手前側に突き出ることで再び第1の水平板11の回転を規制している。切欠き部15は、第1の水平板11における第1の状態から第4の状態までの回転量毎に設けられ、ストッパー24は、第1の水平板11の所定量の回転後に再び切欠き部15と係合する。ストッパー24の上昇のタイミングは、第4の状態において切欠き部15に再び係合することができれば、ハンドル40または第1の水平板11が所定の回転量に達したことを契機としてもよいし、切欠き部15が所定の位置に達したことを契機としてもよいし、他の条件を満たすことを契機としてもよい。これらの契機の発生は、センサーなどを用いて判定してもよいし、他の公知の手段を用いて判定してもよい。
【0041】
第4の状態においてはハンドル40を回転することができないため、再度商品を購入したい場合には、商品を商品取り出し口34から取り出した後に、再び上記所定の操作を行いストッパー24と切欠き部15との係合を解除する。
【0042】
図7に係る第4の状態と図4に係る第1の状態とは、積み上げて収納された商品70が紙面右側の第1の通過孔13上にあるか紙面左側の第1の通過孔13上にあるか、商品数、及び商品取り出し口34に商品70aが移動しているか否かが異なるが、いずれもストッパー24と切欠き部15とが係合した状態であり、鉛直方向から見た第1の通過孔13及び第4の通過孔35の位置は同じである。つまり、本実施形態に係る商品販売機1は、ハンドル40の回転につれて、第1の状態から第2の状態、第3の状態、及び第4の状態に順に移行することで、第1の状態に再び遷移する。
【0043】
本実施形態においては、説明を容易にするため、商品収納部10の第1の通過孔13上に鉛直方向に商品70を3つ積み上げた1列のみを図示し、この1列を用いて説明したが、商品収納部10の全ての第1の通過孔13上に商品70を積み上げていてもよいし、積み上げた商品70の数も限定されない。商品収納部10の全ての第1の通過孔13上に商品70を複数積み上げた場合、上記所定の操作及びハンドル40の回転を繰り返し行うことで、各第1の通過孔13上の最下段の商品70aが順次中段部20を経て商品取り出し部30に移動する。
【0044】
このように、本実施形態に係る商品販売機1は、ハンドル40による回転により、第1の通過孔13と第2の通過孔25とが重なり、商品70の1つが商品収納部10から中段部20に移動するタイミングと、第3の通過孔26と第4の通過孔35とが重なり、商品70の1つが中段部20から商品取り出し部30に移動するタイミングとが異なる。つまり、鉛直方向から見て第1の通過孔13〜第4の通過孔35の全てが同時に重ならないため、ハンドル40を回転することで第1の通過孔13上に収納された1列の商品70が落下し当該1列の商品70のうち最下段の商品70aのみが中段部20に移動し、更にハンドル40を回転することで当該最下段の商品70aが商品取り出し口34に移動するとともに当該最下段の商品70以外の商品70bが第2の水平板21上にスライドして第2の水平板21によって保持される。そのため、当該最下段の商品70a以外の商品70bの中段部20への落下を防ぐことができ、かつ、商品1つずつの商品取り出し口34への移動を確実に行うことができる。
【0045】
また、第1の状態及び第4の状態では商品70が第2の水平板21に保持され、かつ、中段部20を備えることで商品取り出し口34から商品収納部10までの距離を確保している。そのため、商品取り出し口34から手などを入れることで商品収納部10に収納された商品70を不正に抜き取ることをより防止することができる。
【0046】
以上のように、本発明に係る商品販売機よれば、シンプルな構造で、かつ、商品の形状にも側面にテーパーを設ける必要がある等の制限がなく、積み重ねた商品の最下段以外の商品の中段部への落下を防ぐことができ、かつ、商品1つずつの商品取り出し口への移動を確実に行うことができるとともに、商品取り出し口から手などを入れることで商品収納部に収納された商品を不正に抜き取ることをより防止することができる。
【0047】
尚、本実施形態では、第1の通過孔〜第4の通過孔は円形状であり、収納部材は円筒状であるが、第1の通過孔〜第4の通過孔及び収納部材の形状はこれに限定されず、第1の状態〜第4の状態において商品が第2の水平板または第4の水平板に保持され、かつ、商品の端部が引っ掛かり難い形状であればよい。
【0048】
また、中段部の空間の高さは商品の1つ分の高さと同じであるが、商品販売機で販売する商品を高さが異なる他の商品に変更する場合、中段部の空間の高さを当該他の商品の高さに調整するための高さ調整機構を設けてもよい。高さ調整機構としては、当該他の商品の高さに適合する差替え用の軸であったり、スライド機能を有する軸であったり、他の公知の高さ調節機構を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明における商品販売機は、例えば、包装容器に収納された食料品や玩具などの商品を販売するための商品販売機として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0050】
1 商品販売機
10 商品収納部
11 第1の水平板
12 側面部
13 第1の通過孔
14 収納部材
15 切欠き部
16 軸穴
20 中段部
21 第2の水平板
22 第3の水平板
23 側面部
24 ストッパー
25 第2の通過孔
26 第3の通過孔
27 ガイド部
28 空間
29a 軸穴
29b 軸穴
30 商品取り出し部
31 第4の水平板
32 側面部
33 底面部
34 商品取り出し口
35 第4の通過孔
36 軸穴
40 ハンドル
41 回転部材
42 ハンドル軸
50 上蓋
60 軸
70、70a、70b 商品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7