特許第6962100号(P6962100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962100
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20211025BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H01F17/00 D
   H01F17/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-183980(P2017-183980)
(22)【出願日】2017年9月25日
(65)【公開番号】特開2019-62026(P2019-62026A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】永井 雄介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英和
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】角田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】石間 雄也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 聖樹
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−028143(JP,A)
【文献】 特開2017−059749(JP,A)
【文献】 特開平08−083715(JP,A)
【文献】 特開2015−018852(JP,A)
【文献】 再公表特許第2008/004633(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層構造を有し、絶縁性素体の内部にコイルを含む積層コイル部品であって、
前記積層構造を構成する複数の層それぞれにおいて延在し、前記コイルの一部を構成する層状の複数のコイル部を備え、
前記コイルは、積層方向において隣り合う前記コイル部が階段状に重なり合う階段構造を有し、
前記階段構造には、前記コイル部が複数層重なった第1の部分と、前記積層方向と直交する層方向において前記第1の部分と隣り合うとともに前記第1の部分の層数より少ない第2の部分とが存在し、
前記第1の部分および前記第2の部分のうち、少なくとも前記第1の部分に重なる応力緩和部が設けられており、
前記第1の部分および前記第2の部分のうち、前記第1の部分にのみ重なる前記応力緩和部が設けられている、積層コイル部品。
【請求項2】
前記コイルが複数のターンを有し、
積層方向において隣り合う一対のターンの一方にのみ前記応力緩和部が設けられている、請求項1に記載の積層コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コイルの一部を構成する層状の内部導体が素体内において積層された構成を有する積層コイル部品が知られている。下記特許文献1には、内部導体の表面に接するように応力緩和部が設けられた積層コイル部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−59749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術に係る積層コイル部品では、内部導体は積層方向に関する長さ(厚さ)が均一であるため、熱環境の変化(たとえば部品製造時の焼成)による内部導体の収縮量も実質的に均一である。
【0005】
発明者らは、内部導体が階段状に重なり合う階段構造をコイルが有する構成について研究を重ね、このような構成においては、内部導体が重なる部分と重ならない部分とでは厚さに差が生じているため、このような内部導体の厚さ差が生じている箇所の近傍の素体にクラックが生じやすくなるとの知見を得た。発明者らは、鋭意研究の末、コイルが階段構造を有する場合であっても、クラックを抑制することができる技術を新たに見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、コイルが階段構造を有する場合であってもクラックを抑制することができる積層コイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る積層コイル部品は、積層構造を有し、絶縁性素体の内部にコイルを含む積層コイル部品であって、積層構造を構成する複数の層それぞれにおいて延在し、コイルの一部を構成する層状の複数のコイル部を備え、コイルは、積層方向において隣り合うコイル部が階段状に重なり合う階段構造を有し、階段構造には、コイル部が複数層重なった第1の部分と、積層方向と直交する層方向において第1の部分と隣り合うとともに第1の部分の層数より少ない第2の部分とが存在し、第1の部分および第2の部分のうち、少なくとも第1の部分に重なる応力緩和部が設けられている。
【0008】
発明者らは、階段構造において、コイル部の層数が異なる部分が隣り合うことで、層数が多い部分と層数が少ない部分とで収縮量に差が生じ、その収縮量の差に起因する内部応力によってクラックが生じやすいとの知見を得た。そこで、収縮量の多い部分に重なる応力緩和部を設けることで、内部応力を緩和する技術を見出した。すなわち、上記積層コイル部品においては、層数の多い第1の部分に重なる応力緩和部により階段構造における内部応力が緩和されて、クラックを抑制することができる。
【0009】
他の形態に係る積層コイル部品は、第1の部分および第2の部分のうち、第1の部分にのみ重なる応力緩和部が設けられている。応力緩和部は、第1の部分において高い応力緩和の効果を発揮する。そのため、第2の部分に応力緩和部を設けないことで応力緩和部の形成領域を縮小しつつ、実用上十分に内部応力を緩和することができ、効率よくクラックを抑制することができる。
【0010】
他の形態に係る積層コイル部品は、コイルが複数のターンを有し、積層方向において隣り合う一対のターンの一方にのみ応力緩和部が設けられている。積層方向において隣り合う一対のターンの間に生じるクラックについては、一対のターンの一方にのみ応力緩和部を設けることで抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コイルが階段構造を有する場合であってもクラックを抑制することができる積層コイル部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る積層コイル部品を示した概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す積層コイル部品の絶縁性素体の内部構造を示した概略斜視図である。
図3図3は、図2に示す絶縁性素体のIII−III線断面図である。
図4図4は、図1に示す積層コイル部品の層構成の一部を示した図である。
図5図5は、図1に示す積層コイル部品の下コイル部と接続部との位置関係を示した図である。
図6図6は、図1に示す積層コイル部品の上コイル部、下コイル部および接続部の位置関係を示した図である。
図7図7は、積層コイル部品に生じるクラックの様子を示した図である。
図8図8は、異なる態様の積層コイル部品を示した図である。
図9図9は、異なる態様の積層コイル部品を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0014】
まず、実施形態に係る積層コイル部品1の全体構成について、図1、2を参照しつつ説明する。
【0015】
積層コイル部品1は、図1に示すように、略直方体形状の外形を有する絶縁性素体10と、その内部に構成されたコイル20とで構成されている。また、積層コイル部品1は、図2に示すように、層L1〜L20を含む積層構造を有している。なお、絶縁性素体10の対向する一対の端面10a、10bには、外部端子電極12A、12Bが設けられる。積層コイル部品1は、一例として、長辺2.0mm、短辺1.6mm、高さ0.9mmの寸法で設計される。
【0016】
説明の便宜上、図示のようにXYZ座標を設定する。すなわち、積層コイル部品1の積層方向をZ方向、外部端子電極12A、12Bが設けられる端面10a、10bの対面方向をX方向、Z方向とX方向とに直交する方向をY方向と設定する。
【0017】
絶縁性素体10は、絶縁性を有しており、絶縁被覆された粒状の磁性材料で構成されている。磁性材料としては、金属磁性材料(Fe、Fe−Si、Fe−Si−Cr、Fe−Ni−Si、Fe−Ni−Si−Co、Fe−Si−Al合金等)を採用し得る。積層コイル部品1を構成する層L1〜L20のうち、最上層L1および最下層L20のカバー層は、全体的に上記磁性材料で構成されている。また、その他の層L2〜L19についても、後述するコイル部および応力緩和部40以外は、上記磁性材料で構成されている。
【0018】
コイル20は、最上層L1および最下層L20を除く層L2〜L19に含まれる複数のコイル部によって構成されている。各コイル部は、コイル20を構成する層L1〜L20において、積層方向(Z方向)と直交する層方向(X−Y面方向)に延びる層状を有する。各コイル部は、コイル20の一部を構成する導電層である。導体層の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Pd等の金属やPdAg合金などを用いることができる。導体層には、Ti化合物、Zr化合物、Si化合物などを添加してもよい。このような導体層は、印刷法や薄膜成長法により形成することができる。
【0019】
コイル20は、コイル20を構成するコイル部として、図3に示すように、外部端子電極12Aが設けられる一方の端面10aまで延びる引出電極21Aと、外部端子電極12Bが設けられる他方の端面10bまで延びる引出電極21Bとを有している。
【0020】
また、コイル20は、図3、4に示すように、コイルの1ターン分を構成するコイル導体部22を複数有している。各コイル導体部22は、コイル20を構成するコイル部である上コイル部23および下コイル部24の2層で構成されている。各コイル導体部22は、コイル導体部22は、積層方向から見て、一部に分断部25を有する略環状の形状を有しており、図4に示すようなC字状であってもよい。そして、各コイル導体部22は、分断部25を挟み、分断部25に関して対向する第1の端部22aおよび第2の端部22bで構成された端部対を有する。
【0021】
ただし、上コイル部23における分断部25の位置と、下コイル部24における分断部25は、第1の端部22aと第2の端部22bとの対向方向(すなわち、X方向)にずれている。そのため、コイル導体部22は、分断部25の近傍では上コイル部23と下コイル部24とが重ならない1層構成となっており、分断部25の近傍以外は上コイル部23と下コイル部24とが重なった2層構成となっている。
【0022】
さらに、コイル20は、コイル20を構成するコイル部として、コイル導体部22同士を接続する接続部28を有している。本実施形態では、同一形状のコイル導体部22と、同一形状の接続部28とが、積層方向に交互に並んでいる。接続部28は、コイル導体部22の分断部25の位置に対応する位置に配置されており、コイル導体部22の端部対22a、22bの対向方向に沿って(すなわち、分断部25の形状に沿って)延びる長方形形状を有している。
【0023】
接続部28は、積層方向において上下に隣り合うコイル導体部22同士を接続する。より詳しくは、接続部28は、上側に位置するコイル導体部22の下コイル部24と階段状に重なり合うとともに、下側に位置するコイル導体部22の上コイル部23と階段状に重なり合っている。それにより、接続部28周辺では階段構造が形成されている。
【0024】
以下、接続部28周辺における階段構造について、図5および図6を参照しつつ説明する。図5は、コイル導体部22の端部対22a、22bが対向する対向方向(X方向)に平行な縦断面(X−Z断面)における下コイル部24および接続部28の構成を示した図である。図6は、上記縦断面(X−Z断面)における下コイル部24、接続部28および上コイル部23の構成を示した図である。
【0025】
図5に示すように、積層方向に関して接続部28の直上に位置する下コイル部24は、その端部24aが接続部28の一方の端部28aと重なり合って、階段構造を形成している。この階段構造では、下コイル部24の端部24aと接続部28の端部28aとが重なった2層構成の最大膜厚部(第1の部分)31Aが形成されている。また、最大膜厚部31Aの両端には、X−Y面方向(本実施形態ではX方向)において隣り合うようにして、下コイル部24または接続部28の1層構成の最小膜厚部32(第2の部分)が形成されている。そして、最大膜厚部31に対応する接続部28の端部28aの下面に、応力緩和部40が設けられている。
【0026】
応力緩和部40は、粉体が存在している空間であり、接続部28の端部28aの下面に接している。応力緩和部40は、絶縁性素体10の素体領域とコイル部との間に介在することで、絶縁性素体10内に生じる内部応力を緩和する。応力緩和部40の空間内に存在する粉体はたとえばZrO粉末である。ZrOの融点は、たとえば約2700℃以上であって、金属磁性材料の焼成温度よりかなり高い。粉体の平均粒径はたとえば0.1μm以下である。
【0027】
また、図6に示すように、積層方向に関して接続部28の直下に位置する上コイル部23も、その端部23aが接続部28の他方の端部28bと重なり合って、階段構造を形成しており、上コイル部23の端部23aと接続部28の端部28bとが重なった2層構成の最大膜厚部31Bが形成されている。また、最大膜厚部31Bの両端には、X−Y面方向(本実施形態ではX方向)において隣り合うようにして、上コイル部23または接続部28の1層構成の最小膜厚部32が形成されている。そして、最大膜厚部31Bに対応する上コイル部23の端部23aの下面にも、上述した応力緩和部40が設けられている。
【0028】
発明者らは、図5および図6に示したような階段構造では、最大膜厚部31A、31Bと最小膜厚部32のようにコイル部(すなわち、上コイル部23、下コイル部24、接続部28)の層数が異なる部分が隣り合うことで、層数が多い最大膜厚部31A、31Bと層数が少ない最小膜厚部32とで収縮量に差が生じ、その収縮量の差に起因する内部応力によってクラックが生じやすいとの知見を得た。この場合、図7に示すように、たとえば積層方向において上下に隣り合う最大膜厚部31A間またはその近傍の絶縁性素体10にクラックC1が生じると考えられる。そこで、上記積層コイル部品1においては、収縮量の多い最大膜厚部31A、31Bに重なる応力緩和部40を設け、それにより階段構造における内部応力が緩和して、クラックC1の抑制が実現されている。
【0029】
なお、応力緩和部40は、粉体でその全体が充たされていてもよく、粉体同士の間に空隙等が形成されていてもよい。すなわち、粉体は、コイル部や素体に接するように応力緩和部40内に密集して存在させるようにしてもよく、コイル部23、24、28や絶縁性素体10の少なくとも一方との間に空隙を有するように存在していてもよい。空隙等は、たとえば応力緩和部40を形成するための材料に含有させた有機溶剤等が焼成時に消失すること等に起因して形成される。
【0030】
応力緩和部40は、公知の方法により形成することができる。一例として、絶縁性素体10となるべきグリーンシート上に、コイル部23、24、28に対応する導体パターンの形成前に、応力緩和部40に対応する粉体パターンを形成することで形成することができる。具体的には、上記グリーンシート上に、スクリーン印刷等によってZrO等のペーストを付与することで、焼成後に応力緩和部40となるべき粉体パターンが形成され得る。ZrO等のペーストは、ZrO粉末と有機溶剤および有機バインダ等とを混合して得られる。続いて、グリーンシート上に形成された粉体パターン上に、スクリーン印刷等によって上記の導電性ペーストを付与することで、焼成後にコイル部23、24、28となるべき導体パターンが形成される。導電性ペーストは、導体粉末と有機溶剤及び有機バインダ等とを混合して作製され得る。導体パターンは、所定の焼成処理により焼結されてコイル部23、24、28となる。粉体パターンは、焼成により粉体が存在する応力緩和部40となる。応力緩和部40に存在する粉体は、焼成前の粉体パターンの形成に用いられるZrO粉末の平均粒径と略同じである。
【0031】
なお、層方向において隣り合う最大膜厚部31A、31Bと最小膜厚部32のうちの最大膜厚部31A、31Bにのみ応力緩和部40を設ける態様の他、最大膜厚部31A、31Bと最小膜厚部32の両方に応力緩和部40を設ける態様であってもよい。この場合も、積層コイル部品1の階段構造における内部応力が緩和して、クラックC1の抑制が図られる。ただし、応力緩和部40は、最大膜厚部31A、31Bにおいて高い応力緩和の効果を発揮する。そのため、最小膜厚部32に応力緩和部40を設けないことで応力緩和部40の形成領域を縮小しつつ、実用上十分に内部応力を緩和することができ、効率よくクラックC1を抑制することができる。
【0032】
応力緩和部40は、コイルの1ターン分を構成するコイル導体部22の下面(すなわち、下コイル部24の下面)に全体的に設けることができる。この場合、図7に示すように、たとえば積層方向において上下に隣り合うコイル導体部22間(すなわち、コイル20のターン間)の絶縁性素体10に生じるクラックC2を抑制することができる。一対のコイル導体部22間に生じるクラックC2については、図8に示すように、積層方向において隣り合う一対のコイル導体部22の一方にのみ応力緩和部40を設けることで抑制することができる。なお、図8では、下面に応力緩和部40が設けられたコイル導体部22と、下面に応力緩和部40が設けられていないコイル導体部22とが、交互に積層された構成を示している。下面に応力緩和部40が設けられたコイル導体部22を2層おきや3層おきに配置した構成であってもよく、下面に応力緩和部40が設けられたコイル導体部22を積層方向に関する中央部分にのみ配置した構成であってもよい。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他に適用してもよい。
【0034】
たとえば、コイル部の階段構造については、上述した実施形態のように1つの接続部によりコイル導体部22を接続する態様ではなく、複数の接続部によりコイル導体部22を接続する態様であってもよい。図9に、コイル導体部22を2つの接続部(第1の接続部28Aおよび第2の接続部28B)で接続した態様を示す。図9に示した階段構造では、下コイル部24と第1の接続部28Aと第2の接続部28Bとが重なった3層構成の最大膜厚部31Cが形成されている。また、第1の接続部28Aと第2の接続部28Bと上コイル部23とが重なった3層構成の最大膜厚部31Dが形成されている。さらに、最大膜厚部31C、31Dの両端には、X方向において隣り合うようにして、2層構成の中間膜厚部33が形成されている。また、中間膜厚部33の両端には、X方向において隣り合うようにして、上コイル部23または下コイル部24の1層構成の最小膜厚部32が形成されている。この場合、たとえば、膜厚がより厚い部分(たとえば最大膜厚部31C、31D)に選択的にまたは優先的に応力緩和部40を設けることで、上述した実施形態同様、階段構造における内部応力が緩和されてクラックC1の抑制が図られる。
【0035】
また、応力緩和部は、必ずしもコイル部の下面に設ける必要はなく、上面に設けてもよい。さらに、コイル部の下面と上面の両方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…積層コイル部品、20…コイル、22…コイル導体部、23…上コイル部、24…下コイル部、28、28A、28B…接続部、31A、31B、31C、31D…最大膜厚部、32…最小膜厚部、33…中間膜厚部、40…応力緩和部、C1、C2…クラック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9