(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記本体の上面における上記移動部材よりも後方に配置されており、上記液体カートリッジが上記装着部に装着された状態において上記装着部に設けられた接点と接触する電気的インターフェースを備える請求項1から5のいずれかに記載の液体カートリッジ。
上記保持部は、上記液体カートリッジが上記装着部に装着された装着状態において上記装着部に係合して上記液体カートリッジを上記装着状態に維持するための係合面を備えており、
上記装着状態において、上記係合面が上記装着部に設けられた被当接部と当接する第1姿勢と、上記係合面が上記被当接部よりも下方に位置して上記被当接部と当接しない第2姿勢とに姿勢変化可能である請求項8に記載の液体カートリッジ。
上記被照射部は、上記装着部に装着された状態において、上記装着部に設けられた光学センサからの光を遮断または減衰することによって検知されるものである請求項1から9のいずれかに記載の液体カートリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0030】
また、以下の説明では、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される方向が前方向51と定義される。本実施形態において、挿入方向は重力方向と直交する方向である。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対し重力方向と直交する方向に挿入可能な姿勢である状態を、起立状態と定義する。また、前方向51と反対方向であって、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される方向が後方向52と定義される。本実施形態において、前方向51及び後方向52は水平方向であるが、前方向51及び後方向52は、重力方向と交差する方向である。また、重力方向が下方向53と定義され、重力方向と反対方向が上方向54と定義される。また、前方向51及び下方向53と直交する方向が、右方向55及び左方向56と定義される。より具体的には、インクカートリッジ30が起立状態(
図4〜
図6に示される状態)において、インクカートリッジ30を後方から前方に視た場合において、右に延びる方向が右方向55と定義され、左に延びる方向が左方向56と定義される。
【0031】
また、前方向51及び後方向52は、前後方向と定義される。また、上方向54及び下方向53は、上下方向と定義される。また、右方向55及び左方向56は、左右方向と定義される。
【0032】
また、インクカートリッジ30の起立状態において、左右方向がインクカートリッジ30の幅方向であり、上下方向がインクカートリッジ30の高さ方向であり、前後方向がインクカートリッジ30の奥行方向である。また、本実施形態において、前後方向がインクカートリッジ30のカートリッジ装着部110に対する挿抜方向である。
【0033】
また、本明細書等において、「前方を向く」とは、前方の成分を含む方向を向くことを含み、「後方を向く」とは、後方の成分を含む方向を向くことを含み、「下方を向く」とは、下方の成分を含む方向を向くことを含み、「上方を向く」とは、上方の成分を含む方向を向くことを含み、「右方を向く」とは、右方の成分を含む方向を向くことを含み、「左方を向く」とは、左方の成分を含む方向を向くことを含む。例えば、「前面が前方を向く」とは、前面が前方を向いていてもよいし、前面が前方に対して傾斜した方向を向いていてもよい。
【0034】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10(システムの一例)は、インクジェット記録方式に基づいて、用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録する。プリンタ10は、記録ヘッド21(消費部の一例)と、インク供給装置100と、インクチューブ20とを備えている。インクチューブ20は、記録ヘッド21及びインク供給装置100を接続する。インク供給装置100は、カートリッジ装着部110(装着部の一例)を備えている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30(液体カートリッジの一例)が装着され得る。カートリッジ装着部110は、その一面に開口112を備えている。インクカートリッジ30は、起立状態において、開口112を通じてカートリッジ装着部110に前方へ挿入されて装着される。インクカートリッジ30は、起立状態において、カートリッジ装着部110から後方へ抜き出される。
【0035】
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインク(液体の一例)が貯留されている。カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態、つまり装着状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とは、インクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21は、サブタンク28を備えている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。具体的には、記録ヘッド21に設けられたヘッド制御基板(不図示)から各ノズル29に対応して設けられたピエゾ素子29Aに選択的に駆動電圧が印加される。これにより、ノズル29から選択的にインクが吐出される。つまり、記録ヘッド21は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30に貯留されたインクを消費する。
【0036】
プリンタ10は、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ対25と、プラテン26と、排出ローラ対27と、排出トレイ16と、を備えている。給送トレイ15から給送ローラ23によって搬送路24へ給送された用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、用紙に画像が記録される。プラテン26を通過した用紙は、排出ローラ対27によって、搬送路24の最下流に設けられた排出トレイ16に排出される。
【0037】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100は、記録ヘッド21にインクを供給する。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、
図1においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態、つまりインクカートリッジ30が装着位置に位置する状態が示されている。つまり、
図1に示された状態は、装着状態である。すなわち、装着状態において、インクカートリッジ30は装着位置に位置する。また、装着状態において、インクカートリッジ30は起立状態である。
【0038】
[カートリッジ装着部110]
図1から
図3に示されるように、カートリッジ装着部110は、カートリッジケース101と、インクニードル102(液体供給管の一例)と、タンク103と、光学センサ113と、接点106と、を備えている。カートリッジ装着部110には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。インクニードル102、タンク103、光学センサ113、及び接点106は、4つのインクカートリッジ30それぞれに対応して設けられている。
【0039】
[カートリッジケース101]
図2に示されるように、カートリッジケース101は、カートリッジ装着部110の筐体を形成する。カートリッジケース101は、天面と、底面と、奥面と、開口112と、を有する箱形状である。天面は、カートリッジケース101の内部空間111の天部を画定する。底面は、カートリッジケース101の内部空間111の底部を画定する。奥面は、カートリッジケース101の内部空間111の前部を画定する。奥面は、カートリッジケース101の内部空間111の天部と底部とを繋いでいる。開口112は、カートリッジケース101における奥面と前後方向に対向する位置に形成されている。開口112は、ユーザがプリンタ10を使用するときに対面する面に露出し得る。
【0040】
インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジケース101の内部空間111へ挿入される。インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジケース101の内部空間111から抜き出される。カートリッジケース101の底部には、ガイド溝109が形成されている。インクカートリッジ30は、ガイド溝109にインクカートリッジ30の下端部が挿入されることによって、前後方向に沿って案内される。カートリッジケース101は、3つのプレート104を備えている。3つのプレート104は、内部空間111を上下方向に長い4つの空間に仕切り分ける。プレート104によって仕切り分けられた内部空間111のそれぞれに、インクカートリッジ30が収容される。
【0041】
[インクニードル102]
図2及び
図3に示されるように、インクニードル102は、管状の樹脂からなる。つまり、インクニードル102は、中空である。インクニードル102は、カートリッジケース101の奥面の下部に位置している。インクニードル102は、カートリッジケース101の奥面において、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34に対応する位置に配置されている。インクニードル102は、カートリッジケース101の奥面から後方へ突出している。
【0042】
インクニードル102の後端(先端)、及びインクニードル102の前端(基端)は、開口している。インクニードル102の後端は、インクカートリッジ30のインク供給口71に挿入される。インクニードル102の前端は、インクチューブ20と直接的または間接的に接続されている(
図1参照)。これにより、インクニードル102の内部空間102Aは、インクチューブ20の内部空間を通じてタンク103及び記録ヘッド21と連通されている。
【0043】
図2及び
図3に示されるように、インクニードル102の周囲には、円筒形状のガイド部105が配置されている。ガイド部105は、カートリッジケース101の奥面から後方へ突出している。ガイド部105の突出端は、開口している。インクニードル102は、ガイド部105の中心に配置されている。ガイド部105は、インクカートリッジのインク供給部34が内方に進入する形状である。
【0044】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に前方へ挿入される過程において、つまりインクカートリッジ30が装着位置へ移動する過程において、インクカートリッジ30のインク供給部34がガイド部105に進入する(
図3参照)。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に前方へ挿入されると、インクニードル102が、前方からインク供給部34に形成されたインク供給口71を通じてインクバルブ室35に進入する。これにより、インクニードル102とインク供給部34とは連結され、インクニードル102の内部空間102Aは、インク供給部34に形成されたインクバルブ室35と連通される。そして、インクカートリッジ30の内部に形成された第2貯留室33に貯留されたインクは、インクバルブ室35、インクニードル102の内部空間102Aを通じて、タンク103(
図1参照)に流出される。タンク103に流出されたインクは、インクチューブ20(流路の一例)を通じて記録ヘッド21に流出される。
【0045】
なお、インクニードル102の先端は、平坦であってもよく、尖っていてもよい。また、ガイド部105の形状は、インクカートリッジ30が装着位置に位置することが可能であれば、如何なる形状であってもよいし、ガイド部105がカートリッジ装着部110に設けられなくてもよい。
【0046】
[接点106]
図3に示されるように、カートリッジケース101の各内部空間111(
図2参照)の天面に、4つの接点106が設けられている。4つの接点106は、カートリッジケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して、4組設けられている。
【0047】
接点106は、インクニードル102より後方に位置する。接点106は、天面からカートリッジケース101の内部空間111へ向けて下方に突出している。接点106は、下方を向いている。接点106は、導電性及び弾性を有する部材で構成されている。接点106は、上方へ弾性的に変形可能である。各図には詳細に示されていないが、各内部空間111に設けられた4つの接点106は、左右方向に並んで且つ左右方向に間隔を空けて配置されている。4つの接点106の配置は、後述されるインクカートリッジ30の4つの電極65の配置に対応している。なお、接点106の個数及び電極65の個数は任意である。
【0048】
接点106は、電気回路を介してプリンタ10の制御部1(
図1参照)に電気的に接続されている。制御部1は、例えばCPU,ROM,RAMなどからなるものである。接点106と対応する電極65とが接触して電気的に導通されることによって、電圧Vcが電極65に印加されたり、電極65がアースされたり、電極65に電力が供給されたりする。接点106と対応する電極65との電気的な導通により、インクカートリッジ30のICに格納されたデータにアクセス可能となる。電気回路からの出力は制御部1に入力される。
【0049】
[ロッド125]
図3に示されるように、カートリッジケース101の奥面におけるインクニードル102より上方に、ロッド125が形成されている。ロッド125は、カートリッジケース101の奥面から後方へ突出している。ロッド125は、円筒形状である。ロッド125は、装着状態において、つまりインクカートリッジ30が装着位置に位置する状態において、後述する大気連通口96へ挿入される。
【0050】
[光学センサ113]
図3に示されるように、カートリッジケース101の天面に、光学センサ113が配置されている。光学センサ113は、ロッド125よりも後方且つ接点106よりも前方に位置している。光学センサ113は、発光部及び受光部を備える。発光部は、受光部よりも右方または左方に、受光部と間隔を空けて配置さている。カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の遮光板67(
図4参照)は、発光部及び受光部の間に位置する。換言すると、発光部及び受光部は、カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30の遮光板67を挟んで対向配置されている。
【0051】
光学センサ113は、発光部から左右方向に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる検知信号を制御部1(
図1参照)へ出力する。例えば、光学センサ113は、発光部から照射された光が受光部で受光できない(つまり、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号を制御部1へ出力する。一方、光学センサ113は、発光部から出力された光が受光部で受光できた(つまり、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号を制御部1へ出力する。
【0052】
[ロックシャフト145]
図3に示されるように、ロックシャフト145(被当接部の一例)が、カートリッジケース101の天面付近且つ開口112付近において、カートリッジケース101の左右方向に延出されている。ロックシャフト145は、接点106より後方に位置する。ロックシャフト145は、左右方向に沿って延びる棒状の部材である。ロックシャフト145は、例えば、金属の円柱である。ロックシャフト145の左右方向の両端は、カートリッジケース101の左右方向の両端を画定している壁に固定されている。したがって、ロックシャフト145は、カートリッジケース101に対して回動等の相対移動をしない。ロックシャフト145は、内部空間111におけるインクカートリッジ30が収容可能な4つの空間に亘って左右方向に延びている。インクカートリッジ30が収容される各空間において、ロックシャフト145の周囲には空間が存在する。したがって、ロックシャフト145に対して、上方へ向かって、また、後方へ向かってアクセスすることができる。
【0053】
ロックシャフト145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着位置に保持するためのものである。インクカートリッジ30は、カートリッジ装着部110に挿入されて、
図8に示される第2姿勢から
図3に示される第1姿勢に回動されることにより、ロックシャフト145に係合される。これにより、ロックシャフト145は、インクカートリッジ30のコイルばね78、98がインクカートリッジ30を後方へ押す力に抗して、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110内に保持する。
【0054】
[位置決め部107]
図3に示されるように、位置決め部107が、カートリッジケース101の天面付近に設けられている。位置決め部107は、前後方向において、接点106とロックシャフト145との間に設けられている。位置決め部107は、カートリッジケース101の天面から下方へ突出する凸形状である。位置決め部107は、カートリッジケース101と一体に形成されている。位置決め部107の下端面が、インクカートリッジ30の当接面84と当接し得る。位置決め部107の下端面は、接点106の下端より若干上方に位置する。
【0055】
[タンク103]
図1に示されるように、カートリッジケース101の前方に、タンク103が設けられている。タンク103は、内部にインクを貯留可能な箱形状である。タンク103の上部は、大気連通ポート124によって外部へ開口している。これにより、タンク103の内部空間は、大気開放されている。タンク103の内部空間は、インクニードル102の内部空間102Aと連通している。これにより、インクニードル102を通じてインクカートリッジ30から流出したインクがタンク103に貯留される。タンク103には、インクチューブ20が接続されている。これにより、タンク103の内部空間に貯留されたインクがインクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ供給される。
【0056】
[インクカートリッジ30]
図4〜
図6に示されるインクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。
図4〜
図6に示されているインクカートリッジ30の状態は、起立状態である。後述するように、インクカートリッジ30は、前壁40と、後壁41と、上壁39と、下壁42と、一対の側壁37、38とを備える筐体31(本体の一例)を有するが、装着状態において、後壁41から前壁40に向かう方向が前方向51に一致し、前壁40から後壁41に向かう方向が後方向52に一致し、上壁39から下壁42に向かう方向が下方向53に一致し、下壁42から上壁39に向かう方向が上方向54に一致し、側壁38から側壁37へ向かう方向が右方向55に一致し、側壁37から側壁38へ向かう方向が左方向56に一致する。また、装着状態において、前壁40の前面は前方を向き、後壁41の後面は後方を向き、下壁42の下面は下方を向き、上壁39の上面は上方を向き、側壁37の右面は右方を向き、側壁38の左面は左方を向く。
【0057】
以下のインクカートリッジ30の説明において、装着状態であるとして、つまりインクカートリッジ30が起立状態であるとして、上下方向、前後方向、及び左右方向が規定される。
【0058】
インクカートリッジ30は、略直方体形状の筐体31を有する。本実施形態においては、筐体31は、下ケース31Lと上カバー31Uとを備える。下ケース31Lは、その内部にインクを貯留する第1貯留室32及び第2貯留室33(
図7参照)を備える。上カバー31Uは、下ケース31Lより上方に位置する。上カバー31Uは、下ケース31Lに嵌合される。
【0059】
筐体31は、全体として、左右方向に沿った寸法が細く、上下方向及び前後方向それぞれに沿った寸法が、左右方向に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。
【0060】
筐体31は、前壁40と、後壁41と、上壁39と、下壁42と、一対の側壁37、38とを備える。前壁40と後壁41とは前後方向に離れている。上壁39と下壁42とは上下方向に離れている。一対の側壁37、38は左右方向に離れている。上壁39と下壁42とは、前後方向において前壁40と後壁41との間に形成されている。側壁37と側壁38とは、前後方向において前壁40と後壁41との間に形成されており、且つ上下方向において上壁39と下壁42との間に形成されている。前壁40、後壁41、上壁39、下壁42、及び一対の側壁37、38の各々は、第1貯留室32、第2貯留室33、または大気バルブ室36の少なくとも一つを画定している。
【0061】
筐体31において、下ケース31Lにおける少なくとも後壁41が、第1貯留室32及び第2貯留室33に貯留されたインクの液面を外部から視認可能な透光性を有する。
【0062】
なお、本実施形態では、筐体31は、下ケース31L及び上カバー31Uによって外面を構成するが、1個の箱形のケースによって筐体31が構成されてもよい。また、筐体31は、貯留室を画定する内ケースと、外壁を構成する外ケースとに分かれており、外ケース内に内ケースが収容される入れ子構造であってもよい。
【0063】
図6に示されるように、後壁41の後面は、上部分41Uと下部分41Lとを備える。上部分41Uは、下部分41Lよりも上方に位置する。下部分41Lは、上部分41Uよりも前方に位置する。上部分41U及び下部分41Lは、いずれも平面である。上部分41U及び下部分41Lは、相互に直交せずに交差している。下部分41Lは、下壁42に近づくほど前壁40に近くなるように上下方向に対して傾斜している。
【0064】
下壁42の下面は、前端が後端よりも下方に位置するように、前後方向に対して傾斜した傾斜面である。下壁42の下面の傾斜角は、水平方向に対して2°〜4°が好ましい。下壁42の前端は、後述するロック面151よりも前方に位置している。下壁42の後端は、後壁41の下部分41Lの下端と繋がっている。
【0065】
筐体31は、サブ下壁48を有する。サブ下壁48は、下壁42より上方に位置している。サブ下壁48は、前壁40の下端と連続して後方へ延びている。サブ下壁48の前端はインク供給部34の前端よりも前方に位置し、サブ下壁48の後端はインク供給部34の前端より後方に位置する。下壁42とサブ下壁48とはサブ前壁49によって連続している。インク供給部34は、サブ下壁48の下方、且つ下壁42の上方において、サブ前壁49から前方へ延びている。なお、サブ下壁48の前端の位置は任意であり、例えば、インク供給部34の前端よりも後方に位置していてもよい。
【0066】
なお、インクカートリッジ30の前壁、後壁、上壁、下壁、及び一対の側壁は、必ずしも1つの壁で構成されている必要はない。例えば、本実施形態の場合、後述するサブ前壁49及びサブ前壁95は、前壁40と共に、インクカートリッジ30の前壁を構成している。また、サブ下壁48は、下壁42と共に、インクカートリッジ30の下壁を構成している。また、後述するサブ上壁91(
図6参照)は、上壁39と共に、インクカートリッジ30の上壁を構成している。
【0067】
また、インクカートリッジ30の前壁40の前面、後壁41の後面、上壁39の上面、下壁42の下面、側壁37の右面、及び側壁38の左面は、必ずしも1つの平面をなしている必要はない。
【0068】
前壁40の前面は、起立状態のインクカートリッジ30を前方から後方に視たときに視認し得る面であり、且つ、起立状態のインクカートリッジ30の前後方向の中心よりも前方に位置する面である。本実施形態において、下壁42とサブ下壁48とをつなぐサブ前壁49の前面は、サブ下壁48と上壁39とをつなぐ前壁40の前面とともに、前壁の前面の一部をなしているといえる。また、インクカートリッジ30は、サブ下壁48有しなくてもよい。換言すると、インクカートリッジ30の前壁40の前面は、上壁39と下壁42とを連続的につなぐ一つの面であってもよい。
【0069】
後壁41の後面は、起立状態のインクカートリッジ30を後方から前方に視たときに視認し得る面であり、且つ、起立状態のインクカートリッジ30の前後方向の中心よりも後方に位置する面である。
【0070】
上壁39の上面は、起立状態のインクカートリッジ30を上方から下方に視たときに視認し得る面であり、且つ、起立状態のインクカートリッジ30の上下方向の中心よりも上方に位置する面である。
【0071】
下壁42の下面は、起立状態のインクカートリッジ30を下方から上方に視たときに視認し得る面であり、且つ、起立状態のインクカートリッジ30の上下方向の中心よりも下方に位置する面である。
【0072】
側壁37の右面は、起立状態のインクカートリッジ30を右方から左方に視たときに視認し得る面であり、且つ、起立状態のインクカートリッジ30の左右方向の中心よりも右方に位置する面である。
【0073】
側壁38の左面は、起立状態のインクカートリッジ30を左方から右方に視たときに視認し得る面であり、且つ、起立状態のインクカートリッジ30の左右方向の中心よりも左方に位置する面である。
【0074】
[保持部]
図4〜
図6に示されるように、筐体31の上壁39に、凸部43と操作部90とが設けられている。操作部90は、筐体31の上壁39においてロック面151(係合面の一例)より後方に設けられている。凸部43は、保持部の一例である。
【0075】
凸部43は、前後方向に沿って延びている。凸部43において後方且つ下方を向く面がロック面151である。ロック面151は、上壁39よりも上方に位置している。ロック面151は、上下方向に沿って延びている。ロック面151は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態において、ロックシャフト145と後方へ向かって接触し得る面である。ロック面151がロックシャフト145と後方へ向かって接触することにより、つまりロック面151がロックシャフト145と係合することにより、インクカートリッジ30がコイルばね78、98の付勢力に抗してカートリッジ装着部110に保持される。なお、本実施形態においてロック面151は前後方向(挿入方向)と交差する面であるが、このような形態に限られない。例えば、ロック面を前後方向に水平に延びる面とし、装着状態でロックシャフトに下方から当接するようにしてもよい。この場合、ロックシャフト145とロック面との間にコイルばね78、98の付勢力に抗する摩擦力が発生する必要があるが、そのような摩擦力によってインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に保持することができれば、水平面をロック面としてもよい。
【0076】
凸部43においてロック面151より前方に、水平面154がロック面151と連続して設けられている。水平面154は、左右方向と前後方向に沿って拡がる面である。水平面154より前方に、傾斜面155が水平面154と連続して設けられている。傾斜面155は、上方且つ前方を向いている。傾斜面155の水平方向に対する傾斜角は、15°〜25°が好ましい。水平面154を介してロック面151と傾斜面155とが連続しているため、ロック面151と傾斜面155との境界が尖った山形状とならない。傾斜面155は、前後方向において、後述されるIC基板64とロック面151との間に位置する。傾斜面155及び水平面154により、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程において、ロックシャフト145が傾斜面155及び水平面154に当接しながらロック面151より後方まで円滑に案内される。
【0077】
上壁39の前端及び後端に、上壁39の前後方向の中央部分より下方に位置するサブ上壁91が形成されている。上壁39の後端に位置するサブ上壁91の上方に、サブ上壁91と空間を隔てて操作部90が配置されている。操作部90は、上壁39とサブ上壁91との境界付近から上方へ向けて凸部43と同程度まで上方へ突出し、さらに後方且つ下方へ斜め下方向に折れ曲がった平板形状である。操作部90とサブ上壁91との間に、リブ94が設けられている。リブ94は、操作部90及びサブ上壁91に連続しており、且つ後方へ延びている。左右方向に沿ったリブ94の寸法は、左右方向に沿った操作部90の寸法及びサブ上壁91の寸法のそれぞれより小さい。
【0078】
操作部90において、上方且つ後方を向く面が操作面92である。操作面92とサブ上壁91とは、前後方向における位置が重複している。換言すれば、インクカートリッジ30を下方に視たとき、操作面92とサブ上壁91とは重複した位置にある。さらに換言すれば、上下方向及び左右方向に延びる仮想面上に、操作面92とサブ上壁91とが含まれる。
【0079】
操作面92には、複数の突起が、前後方向に間隔を隔てて形成されている。複数の突起により、ユーザが操作面92を認識しやすくなる。また、ユーザが操作面92を指で操作するときに、指が操作面92に対して滑りにくくなる。
【0080】
操作面92は、インクカートリッジ30を下方に視たときに視認可能であり、且つ、インクカートリッジ30を前方に視たときに視認可能である。操作面92は、カートリッジ装着部110によって装着位置に保持されたインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110から取り出すために、ユーザが操作するための面である。なお、操作部90は、筐体31と一体に成型されるなどして、筐体31に対して固定されており、筐体31に対して回動などの相対移動をしないように構成されている。したがって、操作面92にユーザから加えられる力は、方向を変えずに筐体31にそのまま伝達される。
【0081】
[凸部83]
図4〜
図6に示されるように、筐体31の上壁39の上面における凸部43の前方に、凸部83が設けられている。凸部83の左右方向の位置は凸部43と同じである。凸部83は、凸部43の前端と連続して前方へ延びている。凸部83の上端面が当接面84である。当接面84は、傾斜面155の下端と連続しており、上方を向いている。当接面84は、前後方向において、後述されるIC基板64とロック面151との間に位置する。
【0082】
図3に示されるように、当接面84は、装着状態において下方から位置決め部107と当接することによって、インクカートリッジ30の上下方向における位置決めの基準となる。当接面84は、上カバー31Uと同一の部材に形成されている。なお、傾斜面155は任意の構成であり、当接面84とロック面151との間が連続した面で構成されていなくてもよい。例えば、当接面84を構成する凸部83と、ロック面151を構成する凸部43とが、連続せずに独立して各々が上方に突出していてもよい。
【0083】
[遮光板67]
図7に示されるように、筐体31は、上壁39から下方へ凹んだ凹部68を備えている。遮光板67(移動部材の一例)と、第1コイルばね69(付勢部材及び第1弾性体の一例)と、第2コイルばね70(付勢部材及び第2弾性体の一例)とが、凹部68に配置されている。
【0084】
遮光板67の下部は、凹部68に配置されている。一方、遮光板67の上部は、凹部68よりも上方へ突出している。
【0085】
遮光板67は、IC基板64よりも前方かつ下方に位置している。遮光板67は、インクカートリッジ30のインク供給口71よりも後方に位置する。
【0086】
図4及び
図5に示されるように、遮光板67は、上下方向及び前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い板状の部材である。なお、遮光板67の形状は、当該板状に限らず、光学センサ113から照射された光が発光部から受光部へ進むのを遮断または減衰することができる形状であればよい。
【0087】
図7に示されるように、遮光板67は、遮光部67A(被照射部の一例)と、湾曲面67Bとを備える。
【0088】
遮光部67Aは、遮光板67のうち、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、光学センサ113と左右方向に対向する部分である。また、遮光部67Aは、遮光板67の上端67Dを含む。つまり、遮光板67の上端67Dは、遮光部67Aの上端でもある。本実施形態において、遮光部67Aは、遮光板67の後部に位置している。具体的には、遮光部67Aは、遮光板67の右面及び左面のうち、
図7に示される一点鎖線で囲まれた範囲である。
【0089】
遮光部67Aは、例えば光を吸収可能な色材料(黒色顔料)を含む樹脂製である。なお、遮光板67のうち少なくとも遮光部67Aが、当該樹脂製であればよい。例えば、遮光板67の全体が当該樹脂製であってもよいし、遮光板67のうち遮光部67Aのみが当該樹脂製であってもよい。
【0090】
その他の形態としては、遮光部67Aは、光を透過可能な板の側面にアルミ箔などの光が透過不能な材料が貼り付けられたものであってもよい。なお、遮光板67のうち少なくとも遮光部67Aに、当該材料が貼り付けられていればよい。例えば、遮光板67の全体に当該材料が貼り付けられていてもよいし、遮光板67のうち遮光部67Aのみに当該材料が貼り付けられていてもよい。
【0091】
遮光部67Aは、インクカートリッジ30が起立状態において、左右方向に進行する光学センサ113の光を遮断し得る。詳細には、光学センサ113の発光部から出力された光が受光部に到達するまでの間に遮光部67Aに当たることによって、受光部に到達する光の強度が所定の強度未満、例えば、ゼロとなる。遮光部67Aは、光が発光部から受光部に進むのを遮断してもよいし減衰させてもよい。また、発光部から受光部に進む光の進む方向を変えるようにしてもよい。
【0092】
遮光板67の上面は、左右方向に視て、上に凸となるように湾曲している。この上面が、湾曲面67Bである。湾曲面67Bの前端部は、前方及び上方を向いた第1傾斜面72(第1面の一例)となっている。湾曲面67Bの後端部は、後方及び上方を向いた第2傾斜面73(第2面の一例)となっている。湾曲面67Bの前後方向の中央が、遮光板67の上端67D(遮光部67Aの上端)である。
【0093】
第1コイルばね69及び第2コイルばね70は、凹部68に配置されている。第1コイルばね69は、第2コイルばね70よりも前方に位置する。第1コイルばね69及び第2コイルばね70の一端は、凹部68の底面68Aに取り付けられている。第1コイルばね69及び第2コイルばね70の他端は、遮光板67の下面67Cに取り付けられている。詳細には、第1コイルばね69は、遮光板67の前後方向の中央より前において、下面67Cに取り付けられており、第2コイルばね70は、遮光板67の前後方向の中央より後において、下面67Cに取り付けられている。
【0094】
つまり、第1コイルばね69は、遮光板67の前後方向の中央より前において遮光板67を支持している。第2コイルばね70は、遮光板67の前後方向の中央より後において遮光板67を支持している。
【0095】
遮光板67は、
図7に実線で示される第1位置と、
図7に破線で示される第2位置とに移動可能に、第1コイルばね69及び第2コイルばね70を介して筐体31によって支持されている。
【0096】
本実施形態において、第1位置は、第2位置の上方の位置である。換言すると、第1位置と第2位置とは、上下方向に沿って並んだ位置である。本実施形態において、遮光板67は、上下方向に沿って移動可能である。
【0097】
遮光板67が第1位置のとき、遮光板67の上端67D(遮光部67Aの上端)は、上壁39の上面の上方に位置する。詳細には、遮光板67が第1位置のとき、上壁39から遮光板67の上端67Dまでの上下方向に沿った長さは、L1である。
【0098】
遮光板67が第2位置のときの遮光板67の上端67Dは、遮光板67が第1位置のときの遮光板67の上端67Dよりも下方に位置する。詳細には、遮光板67が第2位置のとき、上壁39から遮光板67の上端67Dまでの上下方向に沿った長さは、L1よりも短いL2である。
【0099】
なお、上壁39から遮光板67の上端67Dまでの上下方向に沿った長さL1、L2を決定する場合に基準となる上壁39は、上壁39のうち凹部68の縁を画定している部分である。つまり、上壁39の上面が、上下方向の位置が異なる複数の平面で構成されている場合、当該複数の平面のうち、凹部68の縁を画定している平面を基準として、突出長L1、L2が決定される。
【0100】
遮光板67が第1位置のとき、遮光板67の下端部のみが凹部68に収容されており、下端部を除いたその他の部分は凹部68から上方に突出している。遮光板67が第2位置のとき、遮光板67の上端部のみが凹部68から上方に突出しており、上端部を除いたその他の部分は凹部68に収容されている。つまり、遮光板67が第1位置のときに、遮光板67のうちの凹部68に収容された部分の体積は、遮光板67が第2位置のときに、遮光板67のうちの凹部68に収容された部分の体積よりも小さい。
【0101】
第1コイルばね69及び第2コイルばね70が自然長の状態において、遮光板67は第1位置に位置する。つまり、遮光板67は、外部から力が付与されていない状態において、第1位置に位置する。
【0102】
第1コイルばね69及び第2コイルばね70が収縮すると、遮光板67は第1位置から第2位置へ向けて移動する。つまり、遮光板67は下方へ移動する。このとき、第1コイルばね69及び第2コイルばね70には、自然長へ戻ろうとする復元力が作用している。つまり、第1コイルばね69及び第2コイルばね70は、遮光板67を第1位置へ付勢している。本実施形態では、第2位置は、第1コイルばね69及び第2コイルばね70が最も収縮したときの遮光板67の位置である。
【0103】
[大気連通口96]
図4に示されるように、上壁39の上面のうち前端部にあるサブ上壁91の後端から、サブ前壁95が上方へ延びている。サブ前壁95は前方を向く面である。サブ前壁95に、大気連通口96が形成されている。大気連通口96は、筐体31の上下方向の寸法の中心より上方に配置されている。大気連通口96は、サブ前壁95に形成された略円形の開口である。大気連通口96の内径は、カートリッジ装着部110のロッド125(
図3参照)の外径より大きい。
【0104】
図3に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される過程において、ロッド125が大気連通口96に進入する。大気連通口96に進入したロッド125は、大気連通口96を封止するバルブ97をコイルばね98の付勢力に抗して後方へ移動させる。バルブ97が後方へ移動して大気連通口96から離れることにより、第1貯留室32が大気開放される。なお、大気連通口96を封止する部材は、バルブ97に限定されない。例えば、サブ前壁95から剥離可能なシールによって大気連通口96が封止されてもよい。
【0105】
[IC基板64]
図4〜
図6に示されるように、凸部83の上端に、IC基板64(電気的インターフェースの一例)が設けられている。IC基板64は、遮光板67より後方且つ保持部(凸部43)より前方に設けられている。つまり、IC基板64は、前後方向において遮光板67と保持部との間に設けられている。IC基板64は、当接面84より前方に設けられている。IC基板64は、インクカートリッジ30が起立状態において、上方を向いて配置されている。IC基板64は、インクカートリッジ30が起立状態において、左右方向及び前後方向に延びる板である。
【0106】
IC基板64は、当接面84より前方に位置して下方へ凹む凹空間において、凸部83に下方から支持されている。各図には詳細に現れていないが、凸部83の凹空間には光硬化性樹脂が充填されており、IC基板64が凸部83に接着されている。なお、IC基板64は、光硬化性樹脂以外の接着剤によって凸部83に接着されていてもよいし、嵌合などの接着以外の手段によって凸部83に取り付けられていてもよい。
【0107】
図3に示されるように、IC基板64は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程において接点106と接触して電気的に導通し、且つインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された装着状態においても接点106と接触して電気的に導通する。
【0108】
図5に示されるように、IC基板64は、シリコンやガラスエポキシなどで形成された基板に、IC(各図には現れていない)と、4つの電極65が搭載されたものである。なお、IC基板64は、可橈性を有するフレキシブル基板であってもよい。
【0109】
ICは、半導体集積回路である。インクカートリッジ30に関する情報が、ICに読み出し可能に格納されている。インクカートリッジ30に関する情報は、例えば、ロット番号や製造年月日、インク色などの情報を示すデータである。
【0110】
各電極65はICと電気的に接続されている。各電極65は、それぞれが前後方向に沿って延出されている。各電極65は、IC基板64の上面に、左右方向に離間されて並んで配置されている。各電極65は、IC基板64の上面に電気的にアクセス可能に露出されている。
【0111】
図7に示されるように、IC基板64は、
図7において一点鎖線で示される第1仮想線165(仮想線の一例)よりも下方に位置する。第1仮想線165は、左右方向に視て、凸部43よりなる保持部と、第1位置の遮光板67とを通る仮想線のうち最も上方に位置する線である。本実施形態では、第1仮想線165は、凸部43の上端と、第1位置の遮光板67の上端付近とを通る線である。もちろん、第1仮想線165の位置及び方向は、保持部の位置及び形状と、遮光板67の位置及び形状とによって変わり得る。
【0112】
また、IC基板64は、
図7において二点鎖線で示される第2仮想線166よりも上方に位置する。第2仮想線166は、左右方向に視て、凸部43よりなる保持部と、第2位置の遮光板67とを通る仮想線のうち最も上方に位置する線である。本実施形態では、第2仮想線166は、凸部43の上端と、第2位置の遮光板67の上端付近とを通る線である。もちろん、第2仮想線166の位置及び方向は、保持部の位置及び形状と、遮光板67の位置及び形状とによって変わり得る。なお、IC基板64は、第2仮想線166よりも下方に位置していてもよい。
【0113】
第2仮想線166より下方にIC基板64がある場合、筐体31の上面が下になる姿勢でインクカートリッジ30が平面に落下したときに、遮光板67が第2位置、すなわち遮光板67の位置が第1位置から最大限変化した場合でも、IC基板64に直接平面が当接する可能性を低減させることができる。また、第2仮想線166よりもIC基板64が上方にあっても、IC基板64に及ぶ落下衝撃を遮光板67が低減させることができるので、IC基板64の破損の可能性を低減させることができる。
【0114】
[筐体31の内部構造]
図7に示されるように、筐体31の内部には、第1貯留室32、第2貯留室33、インクバルブ室35、及び大気バルブ室36が形成されている。第1貯留室32、第2貯留室33、及び大気バルブ室36は、内部空間の一例である。インクバルブ室35は、液体流路の一例である。第1貯留室32、第2貯留室33、インクバルブ室35、及び大気バルブ室36には、インクが貯留可能である。筐体31の内部には、第1貯留室32と大気バルブ室36とを隔てる隔壁44と、第1貯留室32と第2貯留室33とを隔てる下壁45とが設けられている。隔壁44及び下壁45は、それぞれが前後方向及び左右方向に拡がる壁である。隔壁44と下壁45とは、上下方向に対向して配置されている。
【0115】
第1貯留室32は、隔壁44の下面により上部が画定され、下壁45の上面により下部が画定され、前壁40、後壁41、及び側壁37、38それぞれの内面により前部、後部、右部、及び左部がそれぞれ画定された空間である。隔壁44には貫通孔46が形成されている。貫通孔46によって、第1貯留室32と大気バルブ室36とが連通されている。
【0116】
第2貯留室33は、第1貯留室32の下方に位置する。第2貯留室33がインクを貯留可能な容積は、第1貯留室32がインクを貯留可能な容積より小さい。
【0117】
第2貯留室33は、下壁45の下面により上部が画定され、下壁42の上面により下部が画定され、後壁41及び側壁37、38の各内面により後部、右部、及び左部がそれぞれ画定された空間である。第2貯留室33とインクバルブ室35との間には隔壁50が形成されている。隔壁50によって第2貯留室33の前部が画定されている。第2貯留室33は、下壁45に形成された連通口(不図示)によって第1貯留室32と連通されている。また、第2貯留室33は、隔壁50に形成された貫通孔99によって、インクバルブ室35と連通されている。
【0118】
図3に示されるように、大気バルブ室36には、バルブ97及びコイルばね98が収容されている。大気バルブ室36は、サブ前壁95に形成された大気連通口96によって外部と連通している。バルブ97は、大気連通口96を封止する閉位置と、大気連通口96から離れた開位置とに移動可能である。コイルばね98は、前後方向に沿って伸縮可能に配置されており、バルブ97を大気連通口96へ当接する方向、すなわち前方へ付勢している。コイルばね98のバネ定数は、インク供給部34のコイルばね78のバネ定数よりも小さい。
【0119】
インク供給部34は、円筒形状の外形をなしている。インク供給部34は、前端が開口された筒75と、パッキング76と、を備えている。筒75は、サブ前壁49から前方へ突出している。つまり、インク供給部34は、サブ前壁49に設けられている。筒75の内部空間が、インクバルブ室35である。インクバルブ室35は、インクカートリッジ30が起立状態において、前後方向に延びる空間である。インクバルブ室35の後端は、貫通孔99によって第2貯留室33と連通されている。筒75の前端は、インクカートリッジ30の外部に開口している。つまり、インクバルブ室35は、第2貯留室33とインクカートリッジ30の外部とを連通する。換言すると、インクバルブ室35は、第2貯留室33のインクを外部に対し前方に向かって流出可能に延びている。筒75の前端には、パッキング76が設けられている。つまり、パッキング76は、インクバルブ室35の前端部に配置されている。
【0120】
インクバルブ室35には、バルブ77及びコイルばね78が収容されている。バルブ77は、前後方向に沿って移動することにより、パッキング76の中央に貫通されたインク供給口71を開閉する。コイルばね78はバルブ77を前方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態において、バルブ77は、パッキング76のインク供給口71を閉じている。
【0121】
パッキング76は、中央に貫通孔が形成された円盤形状の部材である。パッキング76は、例えば、ゴムやエラストマのような弾性材料から形成されている。パッキング76の中央が前後方向に貫通されることにより、筒状の内周面が形成されている。当該筒状の内周面により、インク供給口71が形成されている。インク供給口71の内径は、インクニードル102の外径より若干小さい。インク供給口71は、筒75の内部空間(インクバルブ室35)とインクカートリッジ30の外部とを連通している。つまり、インクバルブ室35は、前方へ開口したインク供給口71を通じて第2貯留室33とインクカートリッジ30の外部とを連通している。
【0122】
バルブ77がインク供給口71を閉じている状態において、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、
図3に示されるように、インク供給口71にインクニードル102が進入する。インクニードル102は、パッキング76を弾性変形しつつ、その外周面がインク供給口71を画定する内周面に液密に接触する。つまり、インクバルブ室35とインクカートリッジ30の外部とのインク供給口71を介した連通が、液密に封止される。インクニードル102の先端がパッキング76に形成されたインク供給口71を通過してインクバルブ室35へ進入すると、バルブ77に当接する。さらにインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されることにより、インクニードル102がバルブ77をコイルばね78の付勢力に抗して後方へ移動させる。これにより、インクバルブ室35に貯留されているインクがインクニードル102の内部空間102Aへ流通することが可能となる。
【0123】
なお、インク供給口71は、バルブ77に代えてフィルムによって封止されていてもよい。その場合、インク供給口71は、パッキング76ではなく筒75の前端であってもよい。また、インク供給口71は、貫通孔を有しない弾性樹脂などのシール部材において、ニードルなどが穿刺されることによって形成されてもよい。この場合、インク供給口71は、ニードルがシール部材から抜き出されると、シール部材の弾性によって封止されるように構成されてもよい。また、インク供給部34は、円筒形状の部材として実現される必要はない。例えば,筐体31の前壁40に、前壁40を前後方向に貫く貫通孔が形成されてもよい。この場合、インク供給部34は、この貫通孔が形成された前壁40によってその一部が構成される。
【0124】
[インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される動作]
以下、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される動作が説明される。
【0125】
図7に示されるように、カートリッジ装着部110に装着される前のインクカートリッジ30において、バルブ77は、パッキング76のインク供給口71を閉じている。これにより、インクバルブ室35からインクカートリッジ30の外部へのインクの流通は遮断されている。また、図示されていないが、バルブ97は、大気連通口96を閉じている。これにより、第1貯留室32は、大気開放されていない。
【0126】
インクカートリッジ30は、起立状態で、カートリッジ装着部110の開口112を通じてカートリッジケース101(
図2参照)へ挿入される。筐体31の後壁41の上部分41Uは下部分41Lよりも後方に位置している(
図6参照)。つまり、上部分41Uは下部分41Lよりもユーザの近くに位置している。そのため、ユーザは、上部分41Uを押しつつインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に対して前方へ挿入する。インクカートリッジ30の下部は、カートリッジケース101の下方のガイド溝109(
図2参照)に進入した状態となる。
【0127】
図8に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジケース101へ挿入されると、インク供給部34がガイド部105に進入する。また、ロッド125が大気連通口96に進入する。また、光学センサ113の発光部と受光部との間に、遮光板67の遮光部67A(
図7参照)が位置する。
【0128】
インクカートリッジ30の前壁40がカートリッジケース101の奥面付近まで挿入されると、インクニードル102がインク供給口71を通じてインクバルブ室35に進入して、バルブ77をコイルばね78の付勢力に抗してパッキング76から離間させる。これにより、インク供給部34が位置決めされる。また、インクバルブ室35に貯留されているインクがインクニードル102の内部空間102Aへ流通することが可能となる。また、大気連通口96に進入したロッド125は、バルブ97と当接して、コイルばね98の付勢力に抗してバルブ97を大気連通口96から離間させる。これにより、第1貯留室32が貫通孔46、大気バルブ室36、及び大気連通口96を介して大気開放される。
【0129】
インクカートリッジ30には、圧縮されたコイルばね78、98により生ずる後方への付勢力が作用する。各コイルばね78、98によりそれぞれ生ずる付勢力の大きさは、バネ定数と自然長から圧縮された距離とにより決まる。コイルばね98のバネ定数は、コイルばね78のバネ定数より小さく、また、コイルばね78が圧縮された距離(バルブ77がインク供給口71から離れた距離)は、コイルばね98が圧縮された距離(バルブ97が大気連通口96から離れた距離)よりも長い。その結果、コイルばね78により生ずる付勢力の大きさは、コイルばね98により生ずる付勢力の大きさより大きい。
【0130】
また、凸部43がロックシャフト145へ到達し、傾斜面155がロックシャフト145に対して摺動する。インクカートリッジ30には、後壁41の上部分41Uをユーザが前方へ押すことにより、
図8における反時計回りに回転モーメントが加わっている。しかし、傾斜面155とロックシャフト145との当接により、この回転モーメントに反して、インクカートリッジ30は、インクニードル102が挿入されたパッキング76のインク供給口71の中心Cを回動中心として回動する。インクカートリッジ30における中心Cの位置は、インクニードル102の形状とインク供給口71の形状によるが、インクニードル102と筒状のインク供給部34の内面とが接触する部分の中心が仮想的な回動中心である。本実施形態では、インクニードル102における、インク供給口71を画定するパッキング76の内周面が接触している部分の中心を仮想的な回動中心として時計回りに回動する。このときのインクカートリッジ30の姿勢(
図8に示されるインクカートリッジ30の姿勢)が第2姿勢と称される。
【0131】
筐体31の下壁42が前後方向に対して傾斜した傾斜面であることにより、下壁42とカートリッジケース101のガイド溝109の底面との間には、前述した回動(時計回りの回動)のためのスペースがある。また、ロッド125の外径よりも大気連通口96の内径が大きいので、ロッド125と大気連通口96との間には、前述した回動(時計回りの回動)のためのスペースが有り、装着位置のインクカートリッジ30において、ロッド125と大気連通口96とは当接しない。つまり、ロッド125と大気連通口96との間においては、上下方向の位置決めがなされていない。
【0132】
インクカートリッジ30がカートリッジケース101に挿入されることにより、接点106の下方にIC基板64が到達する。前述した回動によって、第2姿勢のインクカートリッジ30において、IC基板64の電極65と接点106との間には上下方向において空間が存在する。つまり、電極65と接点106とは離間している。また、位置決め部107の下方に当接面84が到達するが、第2姿勢のインクカートリッジ30において、位置決め部107と当接面84との間には上下方向において空間が存在する。つまり、位置決め部107と当接面84とは離間している。
【0133】
コイルばね78の付勢力に抗して、インクカートリッジ30が前方へ挿入されると、凸部43の傾斜面155及び水平面154がロックシャフト145よりカートリッジケース101の奥面に近い位置となる。つまり、インクカートリッジ30が装着位置に位置し、装着状態となる。この状態のときの第2姿勢のインクカートリッジ30において、ロック面151は、ロックシャフト145より下方に位置する。
【0134】
インクカートリッジ30には、後壁41の上部分41Uをユーザが前方へ押すことにより、
図8における反時計回りに回転モーメントが加わっている。よって、傾斜面155及び水平面154がロックシャフト145と当接しなくなることにより、ユーザの力によって、コイルばね98の付勢力に抗して、インクカートリッジ30は、インクニードル102が挿入されたパッキング76のインク供給口71の中心Cを回動中心として
図8における反時計回りに回動する。そして、当接面84が下方から位置決め部107と当接する(
図3参照)。
【0135】
インクカートリッジ30が
図3に示される姿勢にあるときに、ロック面151は、後方へ向かってロックシャフト145と向かい合う。ユーザがインクカートリッジ30を前方へ押し込むことを止めると、インクカートリッジ30は、コイルばね78の付勢力によって後方へ移動する。ロック面151は後方へ向かってロックシャフト145と向かい合っているので、インクカートリッジ30が後方へ移動すると、ロック面151が前方からロックシャフト145と当接する。これにより、インクカートリッジ30が後方へ移動することが規制される。また、当接面84が下方から位置決め部107と当接することにより、インクカートリッジ30が上方へ移動すること、すなわち中心Cを回動中心として反時計回りに回動することが規制される。その結果、インクカートリッジ30はカートリッジ装着部110内に位置決めされて装着が完了した状態となる。このときのインクカートリッジ30の姿勢(
図3に示されるインクカートリッジ30の姿勢)が第1姿勢と称される。
【0136】
以上より、インクカートリッジ30は、装着状態において、中心Cを回動中心として回動することによって、第1姿勢と第2姿勢とに姿勢変化可能である。
【0137】
装着状態のとき、IC基板64は、インクニードル102より後方に位置する。また、装着状態且つインクカートリッジ30が第1姿勢のとき、IC基板64の電極65は、下方から接点106に当接している。つまり、電極65は、接点106を上方へ弾性変形させつつ電気的に接触している。
【0138】
また、装着状態のとき、遮光板67の遮光部67Aは、光学センサ113の発光部と受光部との間に位置する。これにより、遮光板67の遮光部67Aは、光が発光部から受光部に進むのを遮断している。つまり、遮光板67の遮光部67Aは、装着状態において、発光部から照射される光の光路上に位置している。よって、光学センサ113は、ローレベルの検知信号(遮光板67の遮光部67Aが検知されたことを示す信号)を制御部1(
図1参照)へ出力する。つまり、遮光板67の遮光部67Aは、装着状態において、光学センサ113からの光を遮断することによって検知されるものである。もちろん、上述したように、遮光板67の遮光部67Aは、装着状態において、光学センサ113からの光を減衰することによって検知されてもよい。
【0139】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜されるときには、ユーザは、操作面92を下方へ押す。インクカートリッジ30が第1姿勢である状態において、操作面92は、上方かつ後方を向いている。そのため、ユーザが操作面92を操作すると、インクカートリッジ30には下方及び前方へ力が作用する。当該力によって、インクカートリッジ30は
図3における時計回りに回動する。これにより、
図8に示されるように、当接面84が位置決め部107から離間する。また、ロック面151がロックシャフト145よりも下方に位置する。すなわち、インクカートリッジ30が第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化する。そうすると、コイルばね78の付勢力によって、インクカートリッジ30はカートリッジ装着部110に対して後方へ移動する。これにより、ユーザはインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110から取り出すことができる。
【0140】
[インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への装着検知]
以下、
図9及び
図10に示されるフローチャートを参照しつつ、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入検知が説明される。
【0141】
図9に示されるように、制御部1(
図1参照)は、インクカートリッジ30のIC基板64にアクセス可能か否かを判定する(S10)。接点106がIC基板64に接触して電気的に導通している場合、制御部1はIC基板64にアクセス可能である。接点106がIC基板64に接触していない場合、制御部1はIC基板64にアクセス不可能である。
【0142】
制御部1は、IC基板64にアクセス不可能である場合(S10:No)、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着されていないと判定する(S20)。この場合、制御部1は、プリンタ10の筐体に設けられた表示パネル(不図示)へのメッセージの表示や、スピーカー(不図示)からのブザーや音声などによって、ユーザへ「インクカートリッジ30が装着されていない」旨を報知する。
【0143】
一方、制御部1は、IC基板64にアクセス可能である場合(S10:Yes)、光学センサ113が制御部1へ出力した信号がハイレベル及びローレベルの何れかであるかを判定する。光学センサ113の発光部と受光部との間に遮光板67の遮光部67Aが位置する場合、光学センサ113はローレベル信号を制御部1へ出力する。光学センサ113の発光部と受光部との間に遮光板67の遮光部67Aが位置しない場合、光学センサ113はハイレベル信号を制御部1へ出力する。
【0144】
制御部1は、光学センサ113が制御部1へ出力した信号がハイレベルである場合(S30:High)、カートリッジ装着部110に正常でないインクカートリッジ30が装着されていると判定する(S40)。この場合、制御部1は、プリンタ10の筐体に設けられた表示パネル(不図示)へのメッセージの表示や、スピーカー(不図示)からのブザーや音声などによって、ユーザへ「正常でないインクカートリッジ30が装着されている」旨を報知する。
【0145】
一方、制御部1は、光学センサ113が制御部1へ出力した信号がローレベルである場合(S30:Low)、カートリッジ装着部110に正常なインクカートリッジ30が装着されていると判定する(S50)。
【0146】
図9のフローチャートでは、制御部1は、IC基板64へのアクセスの可否に基づいてカートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着の有無を判定し、光学センサ113から出力された信号のレベルに基づいてカートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30が正常なものであるか否かを判定した。
【0147】
しかしながら、制御部1は、光学センサ113から出力された信号のレベルに基づいてカートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着の有無を判定し、IC基板64へのアクセスの可否に基づいてカートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30が正常なものであるか否かを判定してもよい。以下、この場合の判定手順が、
図10のフローチャートを参照しつつ説明される。
【0148】
図10に示されるように、制御部1は、光学センサ113が制御部1へ出力した信号がハイレベル及びローレベルの何れかであるかを判定する(S110)。
【0149】
制御部1は、光学センサ113が制御部1へ出力した信号がハイレベルである場合(S110:High)、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着されていないと判定する(S120)。この場合、
図9のステップS20と同様に、ユーザへ「インクカートリッジ30が装着されていない」旨を報知する。
【0150】
一方、制御部1は、光学センサ113が制御部1へ出力した信号がローレベルである場合(S110:Low)、インクカートリッジ30のIC基板64にアクセス可能か否かを判定する(S130)。
【0151】
制御部1は、IC基板64にアクセス不可能である場合(S130:No)、カートリッジ装着部110に正常でないインクカートリッジ30が装着されていると判定する(S140)。この場合、
図9のステップS40と同様に、ユーザへ「正常でないインクカートリッジ30が装着されている」旨を報知する。
【0152】
一方、制御部1は、IC基板64にアクセス可能である場合(S130:Yes)、カートリッジ装着部110に正常なインクカートリッジ30が装着されていると判定する(S150)。
【0153】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、上壁39の上面が下になる姿勢でインクカートリッジ30が落下することによって、遮光板67が外部から衝撃を受けると、遮光板67は第1コイルばね69及び第2コイルばね70の付勢力に抗して第1位置から第2位置へ向けて移動する。これにより、遮光板67は当該衝撃を吸収することができる。その結果、遮光板67の破損の可能性を低くすることができる。
【0154】
また、本実施形態によれば、遮光板67は、外部から力を付与されていない状態において、第1コイルばね69及び第2コイルばね70に付勢されることによって第1位置に位置している。ここで、第1位置の遮光板67の遮光部67Aの上端は、第2位置の遮光板67の遮光部67Aの上端よりも上方に位置している。これにより、遮光板67が外部から力を付与されていない状態において、遮光部67Aを外部からの光を照射され易い位置とすることができる。
【0155】
また、本実施形態によれば、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して前方へ挿入される過程において、カートリッジ装着部110が前方から第1傾斜面72に当接した場合に、カートリッジ装着部110が第1傾斜面72に沿って案内されることによって、遮光板67を第1位置から第2位置へ移動させることができる。これにより、遮光板67がカートリッジ装着部110に当接した場合であっても、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に装着することができる。
【0156】
また、本実施形態によれば、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して後方へ脱抜される過程において、カートリッジ装着部110が後方から第2傾斜面73に当接した場合に、カートリッジ装着部110が第2傾斜面73に沿って案内されることによって遮光板67を第1位置から第2位置へ移動させることができる。これにより、遮光板67がカートリッジ装着部110に当接した場合であっても、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110から脱抜することができる。
【0157】
また、本実施形態によれば、カートリッジ装着部110が前方または後方から遮光板67に当接した場合に、カートリッジ装着部110が湾曲した面に沿って案内されることによって、遮光板67は容易に第1位置から第2位置へ移動可能である。
【0158】
また、本実施形態によれば、遮光板67は第1コイルばね69及び第2コイルばね70の2つの弾性体によって支持されている。そのため、遮光板67の姿勢を安定させることができる。
【0159】
また、本実施形態によれば、第1コイルばね69及び第2コイルばね70が凹部68に配置されているため、第1コイルばね69及び第2コイルばね70が外部からの衝撃によって破損する可能性を低くすることができる。また、遮光板67の少なくとも一部が凹部68に収容されるため、遮光板67の上面からの突出量を必要最小限に抑えることができる。
【0160】
また、本実施形態によれば、遮光板67は、IC基板64よりも下方に位置する。そのため、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程において、カートリッジ装着部110に設けられた接点106が遮光板67に接触する可能性を低くすることができる。
【0161】
また、本実施形態によれば、IC基板64は、第1仮想線165よりも下方に位置する。そのため、上壁39の上面が下になる姿勢でインクカートリッジ30が落下したときに、遮光板67をIC基板64よりも優先して地面などに衝突させることができる。遮光板67が地面などに衝突して第1位置から第2位置へ向けて移動することによって、その後にIC基板64が地面などに衝突したとしても、IC基板64に及ぶ衝撃を小さくすることができる。
【0162】
[変形例]
上記実施形態では、
図7に示されるように、第1コイルばね69は、遮光板67の前後方向の中央より前において、下面67Cに取り付けられており、第2コイルばね70は、遮光板67の前後方向の中央より後において、下面67Cに取り付けられていた。しかし、第1コイルばね69及び第2コイルばね70の取り付け位置は、
図7に示される位置に限らない。例えば、第1コイルばね69及び第2コイルばね70の双方が、遮光板67の前後方向の中央において左右方向に並んで配置されていてもよい。
【0163】
上記実施形態では、第1コイルばね69及び第2コイルばね70が、遮光板67を第1位置へ付勢していた。しかし、遮光板67を第1位置へ付勢するのは、第1コイルばね69及び第2コイルばね70に限らない。
【0164】
例えば、1個のコイルばねが遮光板67を第1位置へ付勢してもよいし、3個以上のコイルばねが遮光板67を第1位置へ付勢してもよい。
【0165】
また、例えば、板ばねやゴムなどのコイルばね以外のものが、遮光板67を第1位置へ付勢してもよい。
【0166】
上記実施形態では、遮光板67の上面は、左右方向に視て、上に凸となるように湾曲していた(
図7参照)。しかし、遮光板67の上面は、湾曲していなくてもよい。例えば、
図11に示されるように、遮光板67の上面は、前方及び上方を向いた第1傾斜面72と、第1傾斜面72の後端から後方へ延びた水平面74と、水平面74の後端から延びており、後方及び上方を向いた第2傾斜面73とで構成されていてもよい。
図11の構成の場合、遮光板67の上端67D(遮光部67Aの上端)は、水平面74の上下方向の位置である。つまり、上記実施形態の場合、遮光板67の上端67Dは左右方向に視て点であったが、
図11の構成の場合、遮光板67の上端67Dは左右方向に視て点ではなく線である。
【0167】
上記実施形態では、遮光板67が第1位置のとき、遮光板67の一部(下端部)が凹部68に収容されていた。しかし、遮光板67が第1位置のとき、遮光板67の全部が凹部68より上方に位置していてもよい。つまり、遮光板67が第1位置のとき、遮光板67は凹部68に収容されていなくてもよい。なお、遮光板67の全部が凹部68より上方に位置する場合、付勢部材(例えば第1コイルばね69及び第2コイルばね70)の一部が、凹部68より上方に位置し得る。
【0168】
上記実施形態では、遮光板67が第2位置のとき、遮光板67の一部(上端部)が凹部68から上方に突出していた。しかし、遮光板67が第2位置のとき、遮光板67が凹部68から上方に突出していなくてもよい。つまり、遮光板67が第2位置のとき、遮光板67の全部が凹部68に収容されていてもよい。すなわち、第2位置の遮光板67の少なくとも一部が、凹部68に収容されていればよい。
【0169】
上記実施形態では、筐体31は、凹部68を備えていなくてもよい。例えば、
図12に示されるように、遮光板67は、上壁39の上面に、付勢部材(例えば第1コイルばね69及び第2コイルばね70)を介して支持されていてもよい。この場合、
図12に実線で示される第1位置の遮光板67の遮光部67Aは、光学センサ113の発光部と受光部との間に位置する。
図12に破線で示される第2位置の遮光板67の遮光部67Aは、光学センサ113より下方に位置する。
図12の構成の場合、遮光板67の上端67D(遮光部67Aの上端)は、遮光板67の上面(上に凸の湾曲面)の上下方向の中央である。
【0170】
上記実施形態では、第1位置及び第2位置は上下方向に沿って並んだ位置であり、遮光板67は上下方向に沿って移動可能であった。しかし、第1位置及び第2位置の位置関係は上下方向に沿った位置関係に限らず、遮光板67の移動方向は上下方向に限らない。
【0171】
例えば、第1位置は、第2位置の前方且つ上方に位置しており、遮光板67は、上下方向に対して傾斜した方向に沿って移動可能であってもよい。
【0172】
また、例えば、
図13に示されるように、遮光板67は、回動可能に構成されていてもよい。以下に、
図13に示される構成が詳述される。遮光板67は、遮光部67Aと、一対の突起67Eとを備える。一対の突起67Eは、遮光板67の右面及び左面から左右方向へ突出している。一対の突起67Eは、凹部68の右部及び左部を画定する一対の側面66に形成された孔66Aに挿入されている。これにより、遮光板67は、一対の側面66によって、一対の突起67Eの中心を回動軸として回動可能に支持されている。遮光板67は、
図13に実線で示された第1位置と、
図13に破線及び二点鎖線でそれぞれ示された第2位置とに回動可能である。遮光板67は、外部から力が作用していない状態において、第1位置に位置する。遮光板67は、後方から力が作用したとき、矢印57の方向に沿って、第1位置から
図13に二点鎖線で示された第2位置へ回動する。遮光板67は、前方から力が作用したとき、矢印58の方向に沿って、第1位置から
図13に破線で示された第2位置へ回動する。遮光板67は、ねじりコイルばねなどを用いた公知の手段によって、破線で示された第2位置から第1位置への向きと、二点鎖線で示された第2位置から第1位置への向きとの双方の向きへ付勢されている。よって、遮光板67は、作用していた力が除かれたとき、第2位置から第1位置へ回動する。
図13の構成の場合、遮光板67の上端67D(遮光部67Aの上端)は、遮光板67の回動先端面である。上記実施形態の場合、遮光板67の上端67Dは左右方向に視て点であったが、
図11の構成の場合、遮光板67の上端67Dは左右方向に視て点ではなく線である。
【0173】
なお、
図13に示された構成では、遮光板67は、第1傾斜面72及び第2傾斜面73を備えていない。つまり、遮光板67は、第1面及び第2面を備えていなくてもよい。
【0174】
インクカートリッジ30は、
図4〜
図6に示されたような構成に限らない。例えば、インクカートリッジ30は、
図14に示されるような構成であってもよい。
図14に示されるように、インクカートリッジ30の筐体31の外形は、概ね直方体に構成されている。筐体31は、前面131、後面132、上面133、下面134、右面135、及び左面136を備えている。インクカートリッジ30は、その内部に、インクが貯留される内部空間32と、前後方向に延びており前面131に形成されたインク供給口71を通じて内部空間32とインクカートリッジ30の外部とを連通するインク流路35と、を備えている。インクカートリッジ30は、凸部83、保持部(凸部43)、操作部90などを備えていない。
【0175】
図14に示されるインクカートリッジ30は、上面133から下方へ凹んだ凹部68を備えている。遮光板67と、第1コイルばね69と、第2コイルばね70とが、凹部68に配置されている。
図14の構成の場合、遮光板67の上端67D(遮光部67Aの上端)は、遮光板67の上面(上に凸の湾曲面)の上下方向の中央である。
【0176】
図14に示されるインクカートリッジ30は、上面133にIC基板64を備えている。IC基板64は、遮光板67の後方に位置している。
【0177】
図14に示されるインクカートリッジ30は、保持部を備えていない。しかし、
図14に示されるインクカートリッジ30は、装着状態において、インク供給口71に進入したインクニードル102(
図2参照)のパッキング76(
図14には示されていない)の内周面に対する摺動抵抗によって、カートリッジ装着部110に装着された状態に保持可能である。または、筐体31の外表面、例えば上面133や下面134をカートリッジ装着部110に当接させ、その摺動抵抗によって保持されるようにしてもよい。
【0178】
つまり、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態に保持する構成は、インクカートリッジ30の第1姿勢及び第2姿勢への回動とロック面151とによるものに限らない。
【0179】
また、
図14に示される構成のインクカートリッジ30は、コイルばね78、98を備えていない。つまり、インクカートリッジ30は、後方へ向かう付勢力に抗してカートリッジ装着部110に挿入されるものでなくてもよい。
【0180】
また、インクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の構成要素の位置関係は、上記実施形態の位置関係に限らない。例えば、遮光板67は、IC基板64より上方に位置していてもよい。また、例えば、IC基板64は、第1仮想線165よりも上方に位置していてもよい。
【0181】
また、上記実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、インクに代えて、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液が液体カートリッジに貯留されていてもよい。また、記録ヘッド21を洗浄するための水が液体カートリッジに貯留されていてもよい。