(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記読み出し回路を制御して、前記対象ラインと前記ニアラインにおける画素値の読み出しを、前記走査線のスキャン順に行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像撮影システム。
前記補間手段は、前記基準画素値を用いて前記対象ラインの補間を行う場合に、前記複数の走査線のうち、前記対象ラインの前後にあるニアラインの前記暗画像データにおける画素値と、前記基準画素値との差分値を算出し、その算出結果に基づいて前記対象ラインの補間を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像撮影システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラインデータの分散を求める計算は、平均を求める計算と比較して計算量が大きく、実装するのが困難であるという問題がある。また、実装した場合であっても、回路規模が大きくなり消費電力が大きくなるという問題がある。さらに、特許文献1には、スパイク状ノイズの検出方法は開示されているが、ノイズ発生頻度を求めるための手法を提供することが目的であるため、画像へのノイズ印加影響は解決されていない。
【0005】
本発明の課題は、放射線撮影時に外乱影響を受けるノイズを検出でき、被写体の撮影画像に影響が少ないようにノイズを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、互いに交差するように配設された複数の走査線及び複数の信号線と、
二次元状に配列された複数
の検出素子と、
前記複数の走査線に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替える走査駆動手段と、
前記複数の走査線に接続され、オン電圧が印加されると前
記検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段及び前記読み出し回路を制御して前記
各検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を含
む画像撮影システムであって、
前記複数の走査線のうち、着目する対象ラインと、当該対象ラインの前後又は近傍にあるニアラインと、から読み出した同一信号線上の画素の値に基づき、これら画素間の差分値を求め、予め設定された閾値との比較により、ノイズ混入画素を検出するノイズ検出手段と、
前記対象ライン上において検出された前記ノイズ混入画素のうち、前記対象ライン上で連続する前記ノイズ混入画素の数を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された前記ノイズ混入画素の連続数を、予め設定された閾値との比較により、スパイク状ノイズの検出と見なす判定手段と、
前記ノイズ混入画素が検出された前記対象ラインの補間を行う補間手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため、請求項6に記載の発明は、互いに交差するように配設された複数の走査線及び複数の信号線と、
二次元状に配列された複数
の検出素子と、
前記複数の走査線に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替える走査駆動手段と、
前記複数の走査線に接続され、オン電圧が印加されると前
記検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段及び前記読み出し回路を制御して前記
各検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を含
む画像撮影システムであって、
前記複数の走査線のうち、読み出した対象ラインにノイズ混入画素があることを検出するノイズ検出手段と、
前記ノイズ検出手段によって前記ノイズ混入画素が検出された前記対象ラインの補間を行う補間手段と、を備え、
前記補間手段は、前記複数の走査線のうち、前記対象ラインの前後にあるニアラインの画素値を、前記対象ラインの画素値に入れ替えることで補間を行うものであり、
前記前後のニアラインのうち、前記対象ラインよりも前側にある前側ニアラインの画素値を優先して入れ替えるようにし、
前記前側ニアラインの画素値が、予め設定された閾値を超える場合に、前記対象ラインよりも後側にある後側ニアライアンの画素値を用いて入れ替えることを特徴とする
。
【0008】
上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明は、互いに交差するように配設された複数の走査線及び複数の信号線と、
二次元状に配列された複数
の検出素子と、
前記複数の走査線に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替える走査駆動手段と、
前記複数の走査線に接続され、オン電圧が印加されると前
記検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段及び前記読み出し回路を制御して前記
各検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
記憶手段と、
を含
む画像撮影システムであって、
前記複数の走査線のうち、読み出した対象ラインにノイズ混入画素があることを検出するノイズ検出手段と、
前記ノイズ検出手段によって前記ノイズ混入画素が検出された前記対象ラインの補間を行う補間手段と、を備え、
前記補間手段は、前記対象ラインの補間を、基準値として前記記憶手段に予め記憶された基準画素値を、前記対象ラインの画素値に入れ替えることで補間を行うことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、請求項8に記載の発明は、互いに交差するように配設された複数の走査線及び複数の信号線と、
二次元状に配列された複数
の検出素子と、
前記複数の走査線に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替える走査駆動手段と、
前記複数の走査線に接続され、オン電圧が印加されると前
記検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段及び前記読み出し回路を制御して前記
各検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
記憶手段と、
を含
み、
前記制御手段は、
放射線が照射された状態で前記画像データを読み出して本画像データを取得し、
放射線が照射されない状態で前記画像データを読み出して暗画像データを取得す
る画像撮影システムであって、
前記複数の走査線のうち、読み出した対象ラインにノイズ混入画素があることを検出するノイズ検出手段と、
前記ノイズ検出手段によってノイズ混入画素が検出された前記対象ラインの補間を行う補間手段と、を備え、
前記補間手段は、前記暗画像データの画素値を、基準値として前記記憶手段に予め記憶された基準画素値と、前記本画像データの画素値に基づいて算出し、その算出結果を、前記対象ラインの画素値に入れ替えることで補間を行うことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項13に記載の発明は
、画像撮影装置であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載
の画像撮影システムを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放射線撮影時に外乱影響を受けるノイズを検出し、被写体の撮影画像に影響が少ないようにノイズを軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
〔放射線画像撮影システムの構成〕
放射線画像撮影システムは、
図1に示すように、放射線照射装置10や、放射線画像撮影装置20、コンソール30、中継器40等で構成されている。
また、放射線画像撮影システムには、必要に応じて、図示しない放射線科情報システム(Radiology Information System、RIS)や、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等が接続される。
【0015】
放射線照射装置10は、放射線源10aや、ジェネレーター10b、操作卓10c等を備えている。
放射線源10aは、放射線を生成可能な図示しない回転陽極や回転陽極に電子ビームを照射するフィラメント等を有している。
ジェネレーター10bは、放射線源10aが設定された管電圧や管電流、照射時間(mAs値)等に応じた線量の放射線を照射するように制御する。
操作卓10cは、放射線技師等のユーザーUが操作可能な曝射スイッチ10dを備えている。そして、操作卓10cは、曝射スイッチ10dが操作されたことに基づいて、ジェネレーター10bに対し放射線の照射開始等を指示するようになっている。
【0016】
放射線画像撮影装置20は、放射線が照射されたことを自ら検知する非連携方式のものとなっており、放射線照射装置10から放射線の照射を受けると、画像データを読み出し、その画像データを外部(コンソール30等)へ送信するようになっている。
なお、放射線画像撮影装置20の詳細については後述する。
【0017】
コンソール30は、コンピューターや専用の装置等で構成されており、図示しない制御部や、記憶部等の他、表示部30a、操作部30b等を備えている。
表示部30aは、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等で構成されている。
操作部30bは、マウスやキーボード、タッチパネル等で構成されている。
【0018】
中継器40は、放射線画像撮影装置20とコンソール30の間で、無線方式や有線方式での通信等を中継するためのアクセスポイントやハブの機能を備えている。
なお、中継器40を介すことなく、放射線画像撮影装置20とコンソール30間で直接に送受信するように構成してもよい。
【0019】
このように構成された放射線画像撮影システムは、操作者であるユーザーUが曝射スイッチ10dを操作すると、放射線照射装置10が、操作卓10cで設定した条件で放射線を患者へと照射する。そして、患者の背後に位置する放射線画像撮影装置20が患者を透過してきた放射線を受け、それに基づいて画像データを読み出し、読み出した画像データを、中継器40を介してコンソール30に送信するようになっている。
【0020】
なお、本実施形態の放射線画像撮影システムは、例えば、
図1に示すように、固定された放射線照射装置10と組み合わせることも可能であるし、
図2に示すように、回診車60と組み合わせて用いることも可能である。回診車60と組み合わせて用いることで、放射線技師等のユーザーUが、移動が困難な患者Hがいる病室R1へと直接出向いて放射線画像の撮影を行うことが可能となっている。
【0021】
放射線画像撮影システムを病院等の建物内に設置する場合は、
図1に示すように、放射線照射装置10の放射線源10aや、ジェネレーター10b、放射線画像撮影装置20、中継器40等を撮影室Ra内に配置し、放射線照射装置10の操作卓10cや、コンソール30等を前室Rb(操作室等ともいう。)に設置するようにする。その際、放射線画像撮影装置20を、撮影台(立位撮影用の撮影台50Aや臥位撮影用の撮影台50B)のカセッテホルダー50aに装填して用いるように構成することが可能である。中継器40を撮影室Ra内に配置することで、コンソール30を前室Rbに設置しても、無線通信性能を維持したり、有線ケーブルの接続を容易にしたりすることが可能となる。
【0022】
一方、放射線画像撮影システムを回診車60と組み合わせる場合は、
図2に示すように、放射線画像撮影装置20以外の構成を回診車60の本体内に内蔵し、放射線画像撮影装置20を持ち運べるようにしておく。そして、この回診車60を用いて放射線画像の撮影を行う際には、放射線画像撮影装置20を、例えば、ベッドBとその上に横たわる患者Hとの間に差し込んだり、患者Hにあてがったりする。放射線画像撮影装置20とコンソール30間を直接通信することで、中継器40を必要としない構成としても良いし、図示しない中継器40を介して通信することも可能である。
【0023】
〔放射線画像撮影装置の構成〕
続いて、放射線画像撮影装置20の具体的構成について説明する。
図3は放射線画像撮影装置20の斜視図、
図4は放射線画像撮影装置20が備える放射線検出部3の正面図、
図5は放射線画像撮影装置20の概略回路構成を表すブロック図、
図6は放射線画像撮影装置20の一部動作を表すタイミングチャートである。
なお、ここでは、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置を例にして説明するが、本発明は、放射線を検出素子で直接電気信号に変換する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0024】
本実施形態に係る放射線画像撮影装置20は、
図3〜
図5に示したように、筐体1の他、この筐体1に収納される、シンチレーター2、放射線検出部3、走査駆動部4、読み出し部5、制御部6、記憶部7、通信部8、内蔵電源9A等を備えている。
筐体1の一側面には、
図3に示したように、電源スイッチ11や切替スイッチ12、インジケーター13、コネクター82等が設けられている。
【0025】
シンチレーター2は、板状に形成されており、放射線を受けると放射線検出部3へ向けて可視光等の放射線よりも波長の長い電磁波を発するようになっている。
【0026】
放射線検出部3は、
図4に示したように、基板31や、複数の走査線32、複数の信号線33、複数の放射線検出素子34、複数のTFT35(スイッチ素子)、複数のバイアス線36、結線37等で構成されている。
【0027】
基板31は、ガラスや、ベースフィルム、シリコン等の半導体材料等を用いて板状に形成され、シンチレーター2と並行して配置されている。
基板31上には、複数の放射線検出素子34が二次元的に配置されている。
放射線検出素子34の一方の端子には、スイッチ素子であるTFT35のドレイン端子が、他方の端子にはバイアス線36がそれぞれ接続されている。
【0028】
走査線32は、複数のTFT35のゲート端子と接続され、複数の走査線32が配置されている。この走査線32はゲート線とも呼称される。
各信号線33は、走査線32と直交するように配置され、複数のTFT35のソース端子と接続され、複数の信号線33が配置されている。
各走査線32と各信号線33のそれぞれの端部には、端子32a,33aが形成され、基板31から配線を引き出せる構成となっている。
なお、走査線は、一つの放射線画像撮影装置20につき、例えば2430本であり、信号線は1996本などである。
【0029】
複数のバイアス線36は、結線37で接続され、同様に端子37aが形成されている。
なお、本実施形態のバイアス線36は、結線37で接続する構成としているが、各バイアス線36に端子37aを構成しても良いし、所定の本数毎に結線37で接続し、複数の端子37aを構成しても良い。結線37で接続するとバイアス線36を流れる電流が集中し、配線抵抗による電圧降下が大きくなってしまうが、分割することで、電圧降下を低減する効果が得られる。
また、バイアス線36は、配線抵抗の影響を低減するため、全面に面形状となるように配置しても良いし、縦横に配置した配線が交差部で接続した井桁形状となるように配置しても良い。
【0030】
放射線検出素子34は、当該放射線検出素子に照射された放射線の線量(或いはシンチレーター2で変換された電磁波の光量)に応じた電気信号(電流、電荷)をそれぞれ発生させるもので、例えばフォトダイオードや、フォトトランジスター等で構成されている。なお、構成が異なるCCD方式で構成してもよい。
各放射線検出素子34は、複数の走査線32及び複数の信号線33によって区画された複数の領域r(画素)にそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態の放射線検出素子34は、二次元状(マトリクス状)に分布するよう配列されている。筐体1に収納された放射線検出部3の各放射線検出素子34は、シンチレーター2と対向するようになっている。
【0031】
TFT35は、放射線検出素子部(放射線検出素子34の等価容量及び当該放射線検出素子34と並列に接続した容量)に電荷を保持するためのもので、放射線検出素子34と同様、複数の領域rにそれぞれ設けられている。各TFT35は、ゲート電極が近接する走査線32に接続され、ソース電極が近接する信号線33に接続され、ドレイン電極が同じ領域r内の放射線検出素子34に接続されている。このため、放射線検出素子34は、走査線32や信号線33と間接的に接続されることとなる。
なお、TFT35は、複数の領域rの内のいくつかに対しては、放射線検出素子34と信号線33を配線で接続し、TFT35を配置しないものを設けてもよい。
また、TFT35のソース電極とドレイン電極は同じ機能をするため、入れ替えても良い。
【0032】
また、複数のバイアス線36は、各信号線33と信号線33との間に信号線33と平行になるように、かつ交差する走査線32と導通しないように設けられている。
結線37は、基板31の縁部において、走査線32と平行に延びるように設けられている。結線37には、複数のバイアス線36が接続されている。また、結線37の端部には、端子37aが形成されている。
【0033】
走査駆動部4は、
図5に示したように、電源回路41や、ゲートドライバー42等で構成されている。
電源回路41は、それぞれ電圧の異なるオン電圧とオフ電圧を生成し、ゲートドライバー42に供給するようになっている。
ゲートドライバー42は、走査線32の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で順次切り替えるようになっている。
【0034】
読み出し部5は、複数の読み出し回路51や、アナログマルチプレクサー52、A/D変換器53等を備えている。
各読み出し回路51は、各信号線33にそれぞれ接続されている。
また、各読み出し回路51は、積分回路51aと相関二重サンプリング回路(以下、CDS回路)51b等で構成されている。
【0035】
積分回路51aは、信号線33に放出された電荷を積分し、積分された電荷量に応じた電圧値をCDS回路51bへ出力するようになっている。
CDS回路51bは、信号を読み出す対象の放射線検出素子34が接続された走査線32にオン電圧を印加する前(オフ電圧を印加している間)に、積分回路51aの出力電圧をサンプリングホールドし、該当の走査線32にオン電圧を印加して放射線検出素子の信号電荷を読み出し、該当の走査線32にオフ電圧を印加した後の積分回路51aの出力電圧の差分を出力するようになっている。
なお、信号電荷を読み出した後の積分回路51aの出力電圧もサンプリングホールドして差分するようにしても良い。
【0036】
アナログマルチプレクサー52は、CDS回路51bから出力された複数の差分信号を一つずつA/D変換器53へ出力するようになっている。なお、複数の画素から1つの画素(例えば、4画素を平均化した1画素)を生成するため、入力された複数の差分信号のうち2つ以上をA/D変換器53へ出力できるようにしても良い。
A/D変換器53は、入力されたアナログ電圧値の画像データをデジタル値の画像データに順次変換するようになっている。なお、アナログマルチプレクサー52を利用する構成だけでなく、CDS回路毎にA/D変換機53を構成してもよい。
【0037】
制御部6は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。なお、専用の制御回路で構成されていてもよい。
制御部6は、所定の検知方式により放射線の照射開始を検知するようになっている。具体的な検知方法は特に限られるものでは無いが、例えば、図示しない放射線センサーや読み出し部5からの信号や、バイアス電源9Bの電流変化に基づいて行うようにすることができる。
【0038】
記憶部7は、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NAND型フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。
通信部8は、アンテナ81やコネクター82を介して外部と無線方式や有線方式で通信を行うようになっている。
内蔵電源9Aは、リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタ等で構成され、放射線検出部3や走査駆動部4等に電力を供給するようになっている。
【0039】
このように構成された放射線画像撮影装置20は、電源スイッチ11が入れられると、バイアス電源9Bから結線37やバイアス線36を介して、各放射線検出素子34にバイアス電圧を印加する。また、読み出し回路51を介して、信号線33に基準電圧を印加する。
そして、
図6に示すように、走査駆動部4から走査線32の各ラインL1〜Lxを介してTFT35にオン電圧を順次印加し、放射線検出素子34に、信号線33に印加された基準電圧とバイアス線36に印加されたバイアス電圧の差の逆バイアス電圧を印加するリセット処理を行う。最後のラインLxのリセット処理を終えたら再度最初のラインL1からリセット処理を繰り返す。
【0040】
このリセット処理を繰り返している間に、放射線の照射を検知したことに基づいて、リセット処理を終了し、少なくとも診断画像に用いる領域の走査線32へのオン電圧の印加を停止して電荷蓄積状態に移行する。すなわち、放射線の照射により各放射線検出素子34内で発生した電荷を放射線検出素子34内に蓄積する。
放射線の照射が終了した後は、画像データの読み出し処理を行う。まず、ゲートドライバー42から走査線32の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、放射線検出素子34内に蓄積されていた電荷を信号線33に放出させる。
【0041】
そして、各読み出し回路51の積分回路51aが信号線33に放出された電荷を積分し、積分された電荷の量に応じた電圧値を出力する。そして、CDS回路51bが、アナログ値の画像データを出力する。出力された各画像データは、アナログマルチプレクサー52を介してA/D変換器53に順次送信される。そして、A/D変換器53が、出力されたアナログ値の画像データをデジタル値の画像データに順次変換する。変換されたデジタル値の画像データは、記憶部7に順次保存される。このようにして、画像データの読み出し処理が行われる。
【0042】
以上のようにして画像データの読み出し処理が行われるが、信号線33ごとにオフセット成分が存在するため、放射線が照射された状態で画像データを読み出して取得できる本画像データと、放射線が照射されない状態で画像データを読み出して取得できる暗画像データとの差分を画素ごとに取ることにより、撮影画像(すなわち、オフセット成分が補正された画像であり、本実施形態においては、オフセット補正画像データとも呼称している。)を形成することができる。
また、コンソール30からのコマンドと放射線の照射を同期させずに、自動で放射線照射を検出する手段が一般的となってきている(いわゆる可搬型放射線画像撮影装置)。放射線照射の検出時においても、走査駆動部4による制御は、読み出し部5による制御と同じように行われ、
図7におけるステップS1〜ステップS6に示すように、放射線の検出動作が開始され、放射線が照射された直後に、本画像データを蓄積し、本画像データを読み出しする。その後、電荷をリセットし、暗画像データを蓄積し、暗画像データの読み出しをする。また、暗画像データの読み出し後は、電荷をリセットする(
図8のステップS7)。そして、読み出した本画像データと暗画像データの差分を取ることによって撮影画像を取得することができる。
【0043】
また、
図7に示すような処理により、本画像データと暗画像データが記憶部7に格納され、その後、各TFT35のばらつきに起因するオフセット補正処理、TFT35やシンチレーター2の特性のばらつきに起因するゲイン補正処理、放射線画像撮影装置20の画素欠陥を補正する処理、読み出し時間のずれに伴い発生するライン方向の段差補正処理など、多くの画像処理が行われて診療用途の画像(その他の補正画像データ)としてコンソール30の表示部30aに表示される。
【0044】
〔スパイク状ノイズについて〕
図2に示すような回診車60を用いた放射線画像撮影において、放射線画像撮影装置20を被写体である患者Hに近接させてポジショニングを行った後は、放射線を照射するまでに、操作者であるユーザーUが放射線画像撮影装置20に触れることはないが、放射線照射が終了すれば被爆のおそれがないため、ユーザーUは、放射線画像撮影装置20を急ぎ取り出すことが想定される。
この時、ユーザーUは、放射線画像撮影装置20に接触することになるが、この接触タイミングと暗画像データの読み出しのタイミングが一致し、かつ、ユーザーUに静電気が蓄積されていることが稀に起き、その結果、静電気が放射線画像撮影装置20に放電されて、撮影画像に、走査線32に沿う方向のスジ状のノイズ(所謂スパイク状ノイズ)となって現れることがある。スパイク状ノイズの多くはノイズとしてのレベルが高く、撮影画像を医用画像として用いるには不都合となる場合もあり、再撮影を行うこともある。
以下では、このようなスパイク状ノイズの発生を検出し、検出結果に基づいて、スパイク状ノイズをコンシールする技術について説明する。
【0045】
〔スパイク状ノイズの検出について〕
スパイク状ノイズをコンシールするには、まず、スパイク状ノイズを的確に検出する必要がある。
スパイク状ノイズの検出は、本画像データ、暗画像データ、オフセット補正画像データ、本画像データ及び暗画像データに基づいて取得可能なその他の補正画像データのうち、いずれか一つ又は複数の画像の読み出し時又は処理時に行うことができる。
本実施形態においては、特に、暗画像データの読み出し時(
図7のステップS6のタイミング)にスパイク状ノイズの検出を行う。
【0046】
本実施形態の放射線画像撮影システムは、スパイク状ノイズの検出を行うために、ノイズ混入画素を検出するノイズ検出手段と、対象ライン上で連続するノイズ混入画素の数を計測する計測手段と、スパイク状ノイズの検出を判定する判定手段と、を備える。
また、放射線画像撮影システムは、基準画素値(後述の基準データ)に基づいて、対象ラインTL及びニアラインNL1,NL2における各画素固有の画素値のばらつきを除去する第一除去手段と、ライン方向に雑音成分を除去する第二除去手段と、を備える。
さらに、放射線画像撮影システムは、ノイズ検出手段によってノイズ混入画素が検出された対象ラインTLの補間を行う補間手段を備える。
なお、これらの手段は、本実施形態においては、制御部6によって、記憶部7に記憶されたプログラムが実行されることで動作する。
【0047】
ノイズ検出手段は、複数の走査線32のうち、着目する対象ラインTLと、当該対象ラインTLの前後又は近傍にあるニアラインNL1,NL2と、から読み出した同一信号線33上の画素S0,Sa,Sbの値に基づき、これら画素S0,Sa,Sb間の差分値を求め、予め設定された閾値との比較により、ノイズ混入画素を検出する。
【0048】
計測手段は、後述するカウンタCであり、対象ラインTL上において検出されたノイズ混入画素のうち、対象ラインTL上で連続するノイズ混入画素の数を計測する。
【0049】
判定手段は、計測手段によって計測されたノイズ混入画素の連続数を、予め設定された閾値との比較により、スパイク状ノイズの検出と見なすような判定を行う。
【0050】
第一除去手段は、対象ラインTLとニアラインNL1,NL2の画素間の差分値を求める際に、基準値として記憶部7に予め記憶された基準画素値に基づいて、対象ラインTL及びニアラインNL1,NL2の各画素固有の画素値のばらつきを除去する。
【0051】
第二除去手段は、対象ラインTLとニアラインNL1,NL2との画素の差分値を求める際に、ライン方向に雑音成分を除去する。
【0052】
補間手段は、複数の走査線32のうち、対象ラインTLの前後にあるニアラインNL1,NL2の画素値を、対象ラインTLの画素値に入れ替えることで補間を行うものであり、前後のニアラインNL1,NL2のうち、対象ラインTLよりも前側にある前側ニアラインNL1の画素値を優先して入れ替えるようにし、前側ニアラインNL1の画素値が、予め設定された閾値を超える場合に、対象ラインTLよりも後側にある後側ニアライアンNL2の画素値を用いて入れ替える。
【0053】
より詳細に説明すると、
図8におけるステップS7〜ステップS19までの処理に示すように、信号線33の制御及び記憶部7の制御によって順次式に、スパイク状ノイズを検出する対象ラインTLと、当該対象ラインTLの前後又は近傍にあるニアラインNLのデータを読み出し、これに基づいて、スパイク状ノイズの検出を行う。
なお、本実施形態におけるニアラインNLには、対象ラインTLの直前に読み出した前側ニアラインNL1と、対象ラインTLの直後に読み出した後側ニアラインNL2のうち、少なくとも一方が含まれている。
【0054】
まず、上述のように、暗画像データの読み出し後は、カウンタをリセットする(
図8のステップS7)。続いて、複数の走査線32のうち、任意の1ラインのデータを読み出し、1ラインの基準データを読み出す(ステップS8)。当該1ラインは、スパイク状ノイズを検出する対象のラインTLである場合もあるが。スパイク状ノイズが検出されないラインの場合もある。
【0055】
続いて、データを読み出した対象ラインTLが、複数の走査線32における第1ラインであるか(ステップS9)、最終ラインであるかを確認する(ステップS11)。
対象ラインTLが1ラインである場合は、次の読み出し順に当たる第2ラインのデータを読み出し、当該第2ラインの基準データを読み出す(ステップS10)。
対象ラインTLが最終ラインである場合は、前の読み出し順に当たるラインのデータを読み出し、当該ラインの基準データを読み出す(ステップS12)。
そして、このように対象ラインTLが、複数の走査線32のうち、読み出し順として最初のライン(第1ライン)であるか、読み出し順として最終ラインである場合は、以下に説明する処理Bを行う(ステップS13)。
なお、ここで言う最終ラインとは、スキャン方向に次の読み出し順が不連続とならない最後のラインを指す(すなわち、上下から中央に向かってスキャンする場合の最終ライン数は2つとなり、3ライン飛ばしスキャンであれば最終ライン数は4つとなる。)同様に、最初のライン(第1ライン)とは1回または複数回のスキャンの始めのラインを指す。
処理Bについては後述する。
【0056】
対象ラインTLが、第1ラインでもなく、最終ラインでもない場合は、当該対象ラインTLの前後のライン(上述の前側ニアラインNL1及び後側ニアラインNL2)のデータを読み出し、当該ラインNL1,NL2の基準データを読み出す(ステップS14)。
【0057】
対象ラインTL、前側ニアラインNL1、後側ニアラインNL2は、同一信号線33によって読み出されたデータで、かつ信号線33が連続するように順次式に読み出す。読み出された3つのデータは、読み出し順の画像の同一カラムの上中下3画素となる(
図10参照)。
【0058】
同時に、基準データ(暗画像データの画素値の基準となる画素値のデータであり、例えば工場出荷時のオフセット成分を指す。)を記憶部7から読み出し、対象ラインTL、前側ニアラインNL1、後側ニアラインNL2の各データとの差分を取ることによって、オフセット補正を実施する(ステップS15)。
つまり、第一除去手段によって、対象ラインTL及びニアラインNL1,NL2の各画素固有の画素値のばらつきを除去する。
なお、オフセット補正を実施する際は、基準データの代わりに、
図7に示すタイミング以外に取得される暗画像データがあれば、それを用いても良い。
【0059】
その後、ライン方向にノイズ除去を目的とした移動メディアンフィルタ(対象ラインTLにおける画素S0の左右数画素の中間値)や移動平均フィルタ(対象ラインTLにおける画素S0の左右数画素の平均値)等に入力され、出力が以後の処理に用いられる(ステップS16)。
つまり、第二除去手段によって、対象ラインTLとニアラインNL1,NL2との画素の差分値を求める際に、ライン方向に雑音成分を除去する。
よって以後はオフセットとノイズ成分が軽減された画素値について処理が施される。
【0060】
続いて、ステップS17における処理Aについて説明する。
処理Aでは、まず、
図9〜
図12に示すように、同一信号線33上の対象ラインTLにおける画素S0と、前側ニアラインNL1における画素Saと、後側ニアラインNL2における画素Sbの、3つの画素のサンプル値の大小を比較し(ステップS20)、比較結果がある閾値を超えたことを判定する(ステップS21)。
より詳細に説明すると、まず、読出し順(
図10中の下向き矢印Y)に上下関係にある(同一信号線上の)3画素の値を比較する。対象ラインTLの画素値をS0、前側ニアラインNL1の画素値をSa、後側ニアラインNL2の画素値をSb、閾値をα、β(α,β>0)とすると、以下の計算式(1)の条件を満たす場合にスパイク状ノイズ混入画素と定義する。例えば、16BitのA/D変換器53によって読み出される場合は、α=β=127等とする。
(1)
S0−Sa>α かつ S0−Sb>α
または、
Sa−S0>β かつ Sb−S0>β
上記条件を満たした場合、
図12に示すように、スパイク状ノイズ混入画素を計測するカウンタCをインクリメントし(ステップS22)、満たさなかった場合はカウンタCをリセットする(ステップS24)。
【0061】
次に、画面上連続する隣接画素に対して同様の操作・判定を行い、カウンタCをインクリメントまたはリセットを行う。以下同様に連続する画素を順次式に判定していき、カウンタCをインクリメントまたはリセットを行う。
上記処理が1ラインの最終画素に達するまでに、カウンタCのカウントが閾値Lを超えた場合、対象ラインTLにスパイク状ノイズが混入したと判断し、判断の結果を保持する。
なお、閾値Lは、例えば1ライン画素数が2000であれば、L=200等とする。この値が小さすぎると、画素欠陥の集合体や画質影響の少ない外乱などをスパイク状ノイズとして誤った判定を行う場合がある。逆に値が大きすぎると、スパイク状ノイズが混入したにも拘わらず、ノイズレベルが小さい場合は見逃してしまう場合があるため、適切な値を設定することが好ましい。
【0062】
上記処理が1ラインの最終画素に達したら、カウンタCによるカウンタ結果を保持して次のラインの処理を行うようにする(
図8のステップS18)。
【0063】
次に、処理Bについて説明する。
処理Bは処理Aの特別な場合である。読み出し順の最初である第1ラインは前側ニアラインNL1が存在しない。また、読み出し順の最終ラインは後側ニアラインNL2が存在しない。このような場合の処理パターンを2つ挙げる。
第1のパターンとしては、第1ラインの判定を行う場合に、前側ニアラインNL1を後側ニアラインNL2と同一値と仮定して処理する。この場合、上記の計算式(1)では、Sa=Sbとなる。さらに、最終ラインの判定を行う場合に、後側ニアラインNL2を前側ニアラインNL1と仮定して判定する。
第2のパターンとしては、第1ラインの判定を行う場合に、前側ニアラインNL1を後側ニアラインNL2の次の読み出しラインと同一値と仮定して処理する。さらに、最終ラインの判定を行う場合に、後側ニアラインNL2を前側ニアラインNL1の前の読み出しラインと同一値と仮定して処理する。
以上の2つの処理パターンは、いずれを採用してもよい。
このような処理パターンによれば、スパイク状ノイズの検出を、加減算手段と比較手段とカウンタによって構成できるため、平均や分散を求める大規模な回路や、CPUの消費電力を余分に使うことなく実現でき経済的である。
【0064】
以上のような処理を読み出し順(複数の走査線32のスキャン順)に、全ラインに亘って繰り返すようにする。そして、放射線画像撮影装置20の一面が全て終了したら、スパイク状ノイズの検出処理が完了する。
【0065】
〔スパイク状ノイズのコンシールについて〕
スパイク状ノイズの混入がありと判断された場合、対象ラインTLの全ての画素値を読み出し順に、前側ニアラインNL1、後側ニアラインNL2の同一信号線33上の画素値Sa,Sbで補間することでコンシールを行う。すなわち、上記した補間手段によって、対象ラインTLの補間を行う。なお、ノイズ検出時とは異なり、オフセット補正や除去は行わないものとする。
コンシールの処理を行うに当たっては、対象ラインTLの画素S0にはノイズが混入しているため、読み出し順に、前側ニアラインNL1の同一信号線33上の画素Saを、対象ラインTLの画素S0と置き替え、記憶部7に記憶する。
【0066】
より詳細に説明すると、まず、対象ラインTLの画素S0と、前側ニアラインNL1の画素Saと、後側ニアラインNL2の画素Sbと、を読み出す(ステップS30)。
その後、前側ニアラインNL1の画素値が閾値γ(例えば32767)を超えたかを比較し(ステップS31)、超えなかった場合は、前側ニアラインNL1の画素値を、対象ラインTLの画素値と入れ替える(ステップS32)。
また、前側ニアラインNL1の画素値が閾値γ(例えば32767)を超えたかを比較し、超えた場合は、後側ニアラインNL2の画素値が閾値γを超えたかを比較し(ステップS33)、超えなかった場合は、後側ニアラインNL2の画素値を、対象ラインTLの画素値と入れ替える(ステップS34)。一方、超えた場合は、対象ラインTLの画素値を保持する。
対象ラインTLにおける画素値の入れ替えが完了すれば、対象ラインTLのコンシール処理(補間)は終了する(ステップS35)。
【0067】
以上のような処理によって、前後のニアラインNL1,NL2に欠陥画素があった場合に、欠陥画素を置き替えてしまわないようにすることができる。したがって、閾値γは、画素欠陥を判定できる閾値を選ぶようにする。また、前後のニアラインNL1,NL2の画素Sa,Sbとも閾値γを超えた場合に補間しないのは、該当画素のスパイク状ノイズのコンシールはできないが、影響を軽減することができるためである。
【0068】
対象ラインTLが、第1ライン又は最終ラインであった場合の処理については、検知時と同様に、第1ラインの補間を行う場合は、前側ニアラインNL1を後側ニアラインNL2と同一値と仮定して補間処理する。最終ラインの補間を行う場合は、後側ニアラインNL2を前側ニアラインNL1と仮定して補間処理する。
【0069】
前後ラインの画素から画素欠陥を考慮して補間を行うことで、本来無い画素欠陥が補間によって誤って伝搬することなく実施することができ、混入ノイズのコンシールを行うことができる。
また、対象ラインTLの全画素を補間するため、記憶部7の読み出しと、読み出し値の閾値比較、書き込みだけで処理が終了するため簡単で経済的である。
【0070】
以上に説明した補間手段の他にも、対象ラインTLの補間を行う補間手段が複数あり、以上の補間手段と置き換えてもよいものとする。
例えば、対象ラインTLの補間を、基準値として記憶部7に予め記憶された基準画素値を、対象ラインTLの画素値に入れ替えることで補間を行う補間手段を採用してもよい。
また、暗画像データの画素値を、基準値として記憶部7に予め記憶された基準画素値と、本画像データの画素値に基づいて算出し、その算出結果を、対象ラインTLの画素値に入れ替えることで補間を行う補間手段を採用してもよい。
また、基準画素値を用いて対象ラインTLの補間を行う場合に、複数の走査線32のうち、対象ラインTLの前後にあるニアラインNL1,NL2の暗画像データにおける画素値と、基準画素値との差分値を算出し、その算出結果に基づいて対象ラインTLの補間を行う補間手段を採用してもよい。
また、計測手段によって計測されたノイズ混入画素の連続数が、予め設定された閾値を超えた場合に、対象ラインTLにおける全ての画素の補間を行う補間手段を採用してもよい。
また、計測手段によって計測されたノイズ混入画素が連続する数が、予め設定された閾値を超えた場合に、少なくとも開始点から終了点までを含む対象ラインTLの一部の補間を行う補間手段を採用してもよい。
【0071】
さらに、スパイク状ノイズの検出と同様に、補間手段は、本画像データ、暗画像データ、オフセット補正画像データ、前記本画像データ及び前記暗画像データに基づいて取得可能なその他の補正画像データのうち、いずれか一つ又は複数の画像に対して補間を行うことができる。つまり、どの画像においてもスパイク状ノイズの補間を行うことができる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態によれば、複数の走査線32のうち、着目する対象ラインTLと、当該対象ラインTLの前後又は近傍にあるニアラインNL(NL1,NL2)と、から読み出した同一信号線33上の画素S0,Sa,Sbの値に基づき、これら画素S0,Sa,Sb間の差分値を求め、予め設定された閾値αとの比較により、ノイズ混入画素を検出するノイズ検出手段を備えるので、同一信号線33上の画素S0,Sa,Sbから、ノイズの疑いがある画素を抽出することができる。
また、対象ラインTL上において検出されたノイズ混入画素S0のうち、対象ラインTL上で連続するノイズ混入画素の数を計測する計測手段(カウンタC)を備えるので、スパイク状ノイズ以外のノイズ・雑音成分を誤って検出しないようにすることができる。
さらに、計測手段によって計測されたノイズ混入画素の連続数を、予め設定された閾値Lとの比較により、スパイク状ノイズの検出と見なす判定手段を備えるので、対象ラインTL上に長いノイズをスパイク状ノイズとして判定できる。
そして、このようにノイズ混入画素が検出された対象ラインTLの補間を、補間手段によって行うことができるので、放射線撮影時に外乱影響を受けるノイズを検出でき、被写体の撮影画像に影響が少ないようにノイズを軽減することができる。
【0073】
また、対象ラインTLとニアラインNL1,NL2の画素S0,Sa,Sb間の差分値を求める際に、基準値として記憶部7に予め記憶された基準画素値(基準データ)に基づいて、対象ラインTL及びニアラインNL1,NL2の各画素固有の画素値のばらつきを除去する第一除去手段を備えるので、画素S0,Sa,Sbごとのオフセットを取り除くことで、ライン方向の段差を軽減することができる。
【0074】
また、対象ラインTLとニアラインNL1,NL2との画素S0,Sa,Sbの差分値を求める際に、ライン方向に雑音成分を除去する第二除去手段を備えるので、ライン方向の雑音成分を平滑化した後で、画素S0,Sa,Sbの比較を行うことができ、画素値のデータを取得する時に発生するノイズと、混入するスパイク状ノイズのレベルに大きな差が無い場合であっても、スパイク状ノイズが疑われるノイズの検出を高い確度で行うことができる。
【0075】
また、制御部6は、読み出し回路51を制御して、対象ラインTLとニアラインNL1,NL2における画素値の読み出しを、走査線32のスキャン順に行うので、例えば対象ラインTLとニアラインNL1,NL2が位置的に連続していない場合であっても、スキャンの順に、対象ラインTLとニアラインNL1,NL2を定めることができる。
【0076】
また、判定手段は、本画像データ、暗画像データ、オフセット補正画像データ、本画像データ及び暗画像データに基づいて取得可能なその他の補正画像データのうち、いずれか一つ又は複数の画像の読み出し時又は処理時に、スパイク状ノイズの検出を行うので、スパイク状ノイズの比較的大きいものは、どの画像からも検出できることになる。
特に本実施形態においては、暗画像データの読み出し時のみにスパイク状ノイズ検出及び判定を行っており、暗画像データは、実用上、静電気ノイズが混入しやすいものの、放射線が照射される被写体や照射検知時のリセット制御の影響を受けにくいため、スパイク状ノイズが疑われるノイズの検出を高い確度で行うのに有利となる。
【0077】
また、補間手段は、複数の走査線32のうち、対象ラインTLの前後にあるニアラインNL1,NL2の画素値を、対象ラインTLの画素値に入れ替えることで補間を行うものであり、前後のニアラインNL1,NL2のうち、対象ラインTLよりも前側にある前側ニアラインNL1の画素値を優先して入れ替えるようにするので、スパイク状ノイズありと判定されたラインTLを他のラインNL1により入れ替えることでノイズをコンシールすることができる。
さらに、前側ニアラインNL1の画素値が、予め設定された閾値を超える場合に、対象ラインTLよりも後側にある後側ニアライアンNL2の画素値を用いて入れ替えるので、入れ替える値が極端に異常である場合は、別のラインの画素値で入れ替えることととなり、異常値が入れ替えたラインに伝搬することを防ぐことができる。
【0078】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
【0079】
〔変形例1〕
本変形例においては、補間手段が、対象ラインTLの補間を、基準値として記憶部7に予め記憶された基準画素値(対象ラインTLの基準画素値)を、対象ラインTLの画素値に入れ替えることで補間を行うようにしている。
【0080】
より詳細に説明すると、対象ラインTLの補間を、前後のニアラインNL1,NL2における画素Sa,Sbを用いずに、対象ラインTLにおける画素S0を、対象ラインTLにおける基準データ(基準画素値)と置き替える。
このように対象ラインTLの補間を行うことで、上述した前後のニアラインNL1,NL2における画素Sa,Sbを用いて補間する場合よりも、コンシール性能としてはやや劣るが、ノイズを視認できないレベルにまで低減できるという利点がある。
暗画像データには、本画像データの読み出し残り電荷が存在し(残像電荷)、前後のニアラインNL1,NL2のデータであれば画像の相関性が強いため、残像電荷を再現しつつ補間できるのに対し、基準データは被写体の存在がない場合のデータであるため残像の再現ができず画質に差が生ずる。しかしながら、スパイク状ノイズのような大きなノイズを低減する効果があり、記憶部7からのデータの読み出しと書き込みだけの簡単な処理・回路で実現できる。
【0081】
〔変形例2〕
本変形例においては、基準データ(基準画素値)と周囲画素を用いて対象ラインTLの補間を行うようにしている。
より詳細に説明すると、基準データは特定の日時、環境によって得られた画素値となることが多い。実際の撮影までに放射線画像撮影装置20の特性に経時変化が発生したり、撮影環境が大幅に違う(温度が高いなどの)場合も考えられ、単純に基準データを使って補間するだけではより精度の良いコンシールができない場合がある。
【0082】
対象ラインTLにスパイク状ノイズが検出された場合は、以下の手順及び計算式(2)に基づいて対象ラインTLの補間を行う。
まず、対象ラインTLの前後のニアラインNL1,NL2における画素値の平均値を信号線33ごとに求める(UA)。
続いて、対象ラインTLの前後のニアラインNL1,NL2における基準データの平均値を信号線33ごとに求める(UB)。
続いて、計算式(2)に従って補間値を定めて対象ラインTLの補間を行う。
(2)補間値=基準データ+UA−UB
【0083】
このような補間の処理を行うことで、経時変化や環境変化にも対応した対象ラインTLの補間が可能となり、単純に基準データを使って補間する場合よりも精度の高いコンシールを行うことができる。
【0084】
〔変形例3〕
本変形例においては、基準データ(基準画素値)を用いて補間する場合であって、補間を実施することが決まった場合に、画素ごとに次の計算式(3)に基づいて補間を行うようにしている。
すなわち、ξ(>0)を蓄積時間に依存する定数とすると、
(3)補間値=基準データ+(本画像データの読み出し値−基準データ)×ξ
【0085】
このような補間処理を行うことで、残像電荷を近似しながらより正確に補間できる。しかも、スパイク状ノイズの混入は暗画像データの取得時に多く発生し、暗画像には構造物が少なく、基準データは暗画像を元に作られているため、暗画像データに対して本変形例の補間手段を適用することで、ノイズ混入影響を低減することができるようになる。
【0086】
〔変形例4〕
本変形例においては、スパイク状ノイズの検出手段を用いる場合であって、計測手段であるカウンタCの値がゼロから1に変化する画素の位置を保持するメモリ(記憶部7でもよい。)と、カウンタCの値が閾値Lに達した画素の位置を保持するメモリ(記憶部7でもよい。)を有し、補間処理を、メモリに保持した位置の範囲のみ、前後のニアラインNL1,NL2の画素Sa,Sbを用いて補間を行うようにしている。
または、メモリに保持した範囲の左右±N画素の範囲を補間するようにしてもよい(Nは整数)。
これによって、スパイク状ノイズの影響を受けない対象ラインTLの画素は、対象ラインTLの画素によって画像を形成することができる。
【0087】
〔変形例5〕
上述の実施形態及び各変形例においては、ノイズ混入画素数を計測するカウンタ(計測手段)が1種類であったが、本変形例の放射線画像撮影システムにおいては、第1の閾値α、βと、第1の閾値α、βを超える画素数を計測する第1のカウンタと、第1の閾値α、βよりも小さな第2の閾値α´、β´(>0)と、第2の閾値α´、β´(>0)を超える画素数を計測する第2のカウンタを有する構成となっている。
このような構成によれば、スパイク状ノイズの検出を第1のカウンタが閾値Lを超えたことで判定するとともに、判定結果に基づいて、第2のカウンタがゼロから1に変化する画素の位置から第2のカウンタの値がLまたはL´(L´>L)に達した位置までを補間することができる。これにより、スパイク状ノイズの検出と補間の制御を、より細かくすることができ、補間精度を向上させることができる。
【0088】
〔変形例6〕
上述の実施形態及び各変形例においては、スパイク状ノイズの検出及び補間を、連続して閾値Lを超えた画素に対して行ったが、1ラインの中で、閾値α,βを超える画素の総数をカウントし、総数が別の閾値Lを超えた場合にスパイク状ノイズ混入と判断するようにしてもよい。
このような構成によれば、定常的なノイズとのレベル差が少ないスパイク状ノイズであっても検出する確度を上げることができる。
【0089】
〔変形例7〕
スパイク状ノイズの検出及び補間の処理は、コンソール30に各データが転送されてから、コンソール30のソフトウエア上で処理されてもよいし、放射線画像撮影装置20(FPD)の本体内に設けられたCPUやFPGAによって実施されてもよい。
FPD20の本体内で処理する構成を採用する場合は、画像の転送に際して圧縮転送を採用していれば、急峻なエッジ画像がコンシールされることで平坦な画像にすることが期待でき、その場合、転送符号量が減少するため、消費電力削減・高速撮影動作を行うことができる。また、転送先(コンソールの種類が異なる場合)によって間引き処理等を行ってから転送することもあるが、FPD内で検出・補間処理を行うことで、コンソール側の処理負担を軽減することができる。
また、以上においては、対象ラインTLと前後のニアラインNL1,NL2を1ラインずつ使った処理の例を示したが、複数のラインからメディアン処理や(加重)平均値を用いた処理を行っても同様の効果が得られることは言うまでもない。