(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作内容判断部は、前記操作画面に入力されるジョブ設定操作内容またはジョブ実行操作内容をジョブ実行に直結する操作内容と判断し、前記操作画面に入力される画像遷移操作内容をジョブ実行に直結しない操作内容と判断する
請求項1に記載の画像形成システム。
前記画像形成装置はWebサーバ部を有し、前記Webサーバ部は、前記端末装置の要求に応じて前記端末装置の操作画面に表示する画面情報を生成して前記端末装置に送信する
請求項1に記載の画像形成システム。
前記画像形成装置とは別の場所に設置された外部Webサーバを備え、前記端末装置は前記外部Webサーバにアクセスすることにより、前記外部Webサーバで生成された前記操作画面に表示する画面情報を取得する
請求項1に記載の画像形成システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成システムの実施の形態例(以下、本例と言う。)を、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0013】
<装置構成>
図1は、本例の画像形成システム1を構成する画像形成装置100と端末装置200の概念図であり、画像形成装置の一例であるMFP(Multi-Functional Peripheral)100の構成と、端末装置の一例である操作端末200の構成を表わしたブロック図である。
【0014】
図1に示すように、MFP100は、画像形成装置の全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)10と、CPU10で実行するプログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)11と、CPU10でプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)12とを有する本体制御部9と、画像データなどの各種データを記憶するためのHDD(Hard Disk Drive)を有する記憶部13と、を備えている。
【0015】
また、MFP100は、パネル画像生成部14と、画像形成部15と、画像読取部16と、表示部17と、センサー部18と、入出力部19と、電源部20と、無線通信部101と、操作内容判断部102と、距離測定部103と、電力モード決定部104と、電力状態制御部105と、タイマー制御部107と、端末装着検知部108と、を含む。
【0016】
操作内容判断部102は、操作端末200からの操作内容の情報を受け付けると、当該操作端末200から要求される画像形成動作の操作内容を特定する。
【0017】
電力モード決定部104は、操作内容判断部102で特定された操作内容に基づいて、MFP100に必要な電力供給を行う電力モードを決定する。また、電力モード決定部104は、記憶部13に記憶されている各種データを参照して電力モードを決定する。さらに、電力モード決定部104は、距離測定部103で導出した距離を考慮して電力モードを決定してもよい。
【0018】
電力状態制御部105は、電源回路20によるMFP100の各部への電力供給を制御することで、MFP100の電力状態を制御する。すなわち、電力供給制御部105は、操作端末200から要求される画像形成動作の操作内容に基づいて、MFP100を所定の電力状態とする。
【0019】
距離測定部103は、当該MFP100から操作端末200までの距離を導出する。距離測定部103が当該MFP100から操作端末200までの距離を導出する方法は特定の方法に限定されない。一例として、距離測定部103は、MFP100と操作端末200との間の通信(電波)の強度から上記距離を検知することで上記距離を導出する。他の例として、距離測定部103は、GPS(Global Positioning System)を利用して得られた当該MFP100の位置と操作端末200から送信された当該操作端末200の位置とから上記距離を算出することで上記距離を導出してもよい。他の例として、距離測定部103は、赤外線センサーなどを利用して上記距離を検知することで上記距離を導出してもよい。さらに、距離測定部103は、導出した距離が設定されている所定の距離閾値を超えているか否かを判定する距離閾値判定部113を備えている。なお、距離閾値は、MFP100と操作端末200との位置関係(距離)に応じて適宜設定されるものである。
【0020】
また、距離測定部103は、操作端末200が複数ある場合には、最後にMFP100に通信した操作端末200の位置に基づいて、MFP100までの距離を導出する。
【0021】
タイマー制御部107は、MFP100が通常電力状態から省電力状態に移行するまでの待機時間を決めたタイマー設定時間の経過時間を計測するタイマーを有している。また、タイマー制御部107は、操作内容に応じて、タイマーによる経過時間の計測を初めからやり直すタイマーリスタートを行う。また、タイマー制御部107は、計測した経過時間がタイマー設定時間(待機時間)を超えたか否かを判定するタイマー終了判定部121を備えている。
【0022】
端末装着検知部108は、操作パネル21がMFP100に着脱可能に構成されている場合に、操作パネル21がMFP100に装着されているか否かを検知する。
ここで、
図2を用いて、端末装着検知部108について説明する。
図2は、端末検出装置117を備えたMFP100の概略構成図である。
図2に示すように、端末装着検知部108はMFP100に設けられた端末検出装置117を有している。端末検出装置117は、操作パネル21がMFP100に装着されている場合はONの信号を、操作パネル21がMFP100から取り外されて操作端末200として使用されている場合にはOFFの信号を本体制御部9に送信することにより、操作パネル21がMFP100に装着されているか否かを検知する。
【0023】
なお、端末装着検知部108がMFP100に操作パネル21が装着されていることを検知した場合には、距離測定部103で導出した距離を所定値(距離閾値)以下に変更することで、MFP100の電力状態を省電力状態に移行しにくくして、ユーザーの操作性を確保してもよい。
【0024】
記憶部13には、動作処理に必要な各種のデータ及びテーブルが記憶されている。
【0025】
パネル画像生成部14は、表示部17及び端末表示部217に表示する操作画面の画像を生成する。
【0026】
表示部17は、表示装置としての操作パネル21とLED(Light Emitting Diode)22とを含む。操作パネル21はタッチパネルを含み、当該タッチパネルに重ねて操作画面を表示する。LED22は、点灯/消灯で動作状況に応じた報知を行なう。
【0027】
画像形成部15としてのプリンターは、印刷動作を行なうための機構全般を含む。たとえば、プリンター15が電子写真方式である場合、プリンター15は、画像データに基づいて感光体上に静電画像を形成することでトナー画像を生成し、該トナー画像を用紙に定着させて当該用紙を排出する、までの一連の動作を行なうための機構を含む。具体的には、プリンター15は、感光体を駆動させるための駆動機構、転写体を駆動させるための駆動機構、用紙を搬送するための搬送機構、用紙上のトナー画像の該用紙への熱定着のために当該用紙を加熱するための加熱機構などを含む。
【0028】
画像読取部16としてのスキャナーは、スキャン動作を行なうための機構全般を含む。たとえば、スキャナー16が自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)を含む場合、スキャナー16は、セットされた原稿を読取位置まで搬送するための搬送機構、読取位置に配されたセンサーを動作させるための機構などを含む。
【0029】
センサー部18としてのセンサーは、人感センサー23および用紙センサー24を含む。人感センサー23は、MFP100から規定範囲内のユーザーの存在を検知する。人感センサー23は、たとえば赤外線、超音波、可視光、またはこれらの組み合わせなどを利用してユーザーの存在を検知する。用紙センサー24はスキャナー16の原稿をセットする位置に配置されて、スキャナー16にセットされた原稿の存在を検知する。用紙センサー24は、たとえば、可視光や反射光などを利用して用紙の存在を検知する。
【0030】
電源部20としての電源回路は、商用電源からコンセントなどを介して供給された電力を各部に適した形態に変換した上で、各部に供給する。電源回路20は、CPU10からの指示に従って、各画像形成動作に必要な部分であるパネル画像生成部14、プリンター15、スキャナー16に電力を供給する。
【0031】
操作端末200は、端末無線通信部201、端末制御部209、端末表示部217、端末記憶部219、端末電源部220と、を備えている。操作端末200としては、例えば、スマートフォンのようなモバイル機器や、上述したようにMFP100から着脱可能に構成された操作パネル21を用いることができる。
【0032】
MFP100と操作端末200とは、無線通信部101、端末無線通信部201を介して、相互に無線通信が可能である。すなわち、操作端末200は、MFP100と通信することでMFP100を遠隔操作することが可能である。
【0033】
<全体制御概要>
MFP100は、操作端末200からの遠隔操作を受け付ける。
【0034】
MFP100は、複数種類の画像形成動作が実行可能であり、複数の画像形成動作はコピー、スキャン、およびプリントを含む。コピー動作は、スキャナー16で原稿を読み取って、得られた画像データをプリンター15で用紙にプリントする動作を指す。スキャン動作は、スキャナー16で原稿を読み取って、得られた画像データを指定されたメモリー(たとえばBOXなどとも呼ばれるユーザーに関連付けられたメモリーなど)に格納したり、指定された宛先に送信したりする動作を指す。プリント動作は、上記BOXなどの指定されたメモリーから読み出した画像データ、または他の装置から受信した画像データをプリンター15で用紙にプリントする動作を指す。
【0035】
MFP100の電力状態制御部105は、上記のコピー、スキャン、およびプリントの動作を実行する際に、複数の電力状態のモード(以下、電力モードともいう)を有する。複数の電力モードは、印刷動作のためのモーター駆動等のメカニカルな動作を必要とするため消費電力量が大きいジョブ実行状態と、定着ヒーター温度を印刷可能な状態に保ち即時印刷開始できる状態であるが消費電力量がジョブ実行状態よりも少ない通常状態(たとえばスタンバイ状態)と、通常状態よりも消費電力量の少ない省電力状態(たとえばスリープ状態)とを含んでいる。MFP100は、操作端末200から遠隔操作によって要求された画像形成動作の操作内容に応じて電力モードを決定し、その電力モードに基づいてMFP100の電力制御を行なう。
【0036】
図3は、本例の画像形成システム1における電力制御の全体の流れを説明するためのフローチャート図である。
図3に示すように、操作端末200は、ユーザーからの入力操作を受け付けると、指定されたMFP100に対して接続を要求する(ステップS1)。このとき、操作端末200は、端末表示部217で表示するための表示画面情報も要求する。
【0037】
操作端末200から接続要求を受けたMFP100は、接続要求に応じて、端末操作200で表示する表示画面情報を生成し(ステップS2)、生成した表示画面情報を端末装置200に返信する(ステップS3)。
【0038】
表示画面情報としてのメニュー画面には、例えば、「コピー」、「スキャン」、および「プリント」のアイコンなどが考えられるが、それぞれ画面は「画面遷移操作」「情報取得操作」等の下位の操作を行うために階層化されている。当該メニュー画面において画像形成動作の操作内容を受け付けることで、MFP100に要求する画像形成動作の操作内容を特定できる。
【0039】
ユーザーにより指定されたMFP100で実行する画像形成動作の操作内容の情報をMFP100に送信する(ステップS4)。
MFP100の操作内容判断部102は、操作端末200から要求された画像形成動作の操作内容に応じた操作モードを特定する(ステップS5)。そして、MFP100は、特定された操作モードに基づいて電力モードを決定し(ステップS6)、決定された電力モードに基づいて供給する電力を制御してMFP100の電力状態を制御する(ステップS7)。
【0040】
操作モードを特定する際には、記憶部13に予め記憶された操作モード決定テーブルを用いる。表1は、本例で使用する操作モード決定テーブルの一例である。
【0042】
表1の操作モードにおいて、「ジョブ実行に直結する」とは、すぐに画像形成動作が実行される可能性が高い操作内容であり、MFP100の電力状態を通常状態にする必要がある操作モードである。また、「ジョブ実行に直結しない」とは、すぐに画像形成動作が実行される可能性が低い操作内容であり、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させても支障がない操作モードである。
【0043】
上記ステップS6で、MFP100の電力モード決定部104は、表1の機能モード、操作キー、操作内容に応じて決定された操作モード(判定結果)に基づいて電力モードを決定し、電力状態制御部105により、MFP100の電力状態が制御される。
【0044】
また、MFP100の距離測定部103は操作端末200までの距離を導出し、さらに当該距離を考慮して電力モードを決定するようにしてもよい。この際には、記憶部13に記憶されている距離決定テーブルを用いる。表2は、本例で使用する距離決定テーブルの一例である。
【0046】
本例では、MFP100が通常電力状態から省電力状態へ移行する省電力移行条件を複数有しており、少なくとも、第1移行条件と、第1移行条件よりも省電力状態へ移行し易い第2移行条件とを備えている。例えば、第1移行条件は、ユーザーの操作入力毎にタイマーによるリスタートを行い、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させにくくする。第2移行条件は、ユーザーの操作入力があってもタイマーによるリスタートは行わず、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させやすくする。
【0047】
また、異なるタイマー設定時間が設定されている複数の操作端末を用いる場合には、第1移行条件として、タイマー設定時間が長い方を選択して、MFP100の電力状態を省電力状態へ移行させにくくしてもよい。また、第2移行条件として、タイマー設定時間が短い方を選択し、MFP100の電力状態を省電力状態へ移行させやすくしてもよい。
【0048】
また、ユーザーの指定した操作内容が「ジョブ実行に直結する」場合には、距離測定部103が導出した距離に関わらず、電力モードとして第1移行条件を決定する。これにより、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させにくくして、ユーザーの操作性を確保することができる。
【0049】
また、ユーザーの指定した操作内容が「ジョブ実行に直結しない」であって、距離測定部103で導出した距離が所定の値に設定された距離閾値よりも小さい場合には、操作内容が「ジョブ実行に直結しないもの」であっても、ユーザーがMFP100の近くにいるため装置が使用される可能性が高い。この場合には、電力モードとして第1移行条件を決定し、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させにくくすることで、ユーザーの操作性を確保する。一方、距離測定部103で導出した距離が所定の距離閾値よりも大きい場合には、装置がすぐに使用される可能性は低いため、電力モードとして第2移行条件を決定し、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させやすくして、省エネルギーを図る。
【0050】
また、電力モードを決定する際に使用される距離閾値は、予め記憶部13に記憶されている閾値決定テーブルを用いて決定される。表3は、本例で使用する閾値決定テーブルの一例である。
【0052】
表3において、MFP100のヒーター温度(例えば定着部の温度)が高い場合には、省電力状態から通常状態への起ち上がり時間が短いので、距離閾値は小さく設定されている。一方、MFP100のヒーター温度が低い場合には、起ち上がり時間が長いので、距離閾値が大きく設定されている。
【0053】
すなわち、起ち上がり時間が短い場合は距離閾値を小さくすることで、ユーザーが比較的MFPの近くにいる場合であっても、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させやすくして、省エネルギーを図る。なお、この場合はすぐに装置を起ち上げることができるので、ユーザーの操作性についての問題は生じない。一方、起ち上がり時間が長い場合には、距離閾値を大きく設定することで、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させにくくする。これにより、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させにくくして、ユーザーの待ち時間を減らして操作性を確保できる。
【0054】
そして、MFP100は、ユーザーが指定した操作内容に従った画像形成処理を実行する(ステップS8)。
【0055】
<電力状態制御>
図4は、本例のMFP100における電力状態の制御を行う際のフローチャート図である。
図4に示すように、MFP100の起動時には、MFP100の電力状態を通常状態に移行させる(ステップS11)。
【0056】
MFP100の電力状態を通常状態へ移行させると同時に、タイマー制御部107は、タイマーにより、通常電力状態から省電力状態へ移行するまでの待機時間を設定したタイマー設定時間における経過時間の計測を開始する(ステップS12)。
【0057】
次に、入出力部19により、操作端末200の操作画面におけるパネル操作入力の有無が判断される(ステップS13)。ステップS13において操作入力が無かった場合には(ステップS13でNO)、タイマー制御部107は、タイマーによる経過時間の計測を継続する。次に、ステップS14において、タイマー終了判定部121により、タイマーにより計測した経過時間とタイマー設定時間との比較判定がなされる(ステップS14)。
【0058】
ステップS14において、タイマー終了判定部121により経過時間>タイマー設定時間との判定がなされた場合には(ステップS14でYES)、電力状態制御部105は、MFP100の電力状態を通常状態から省電力状態に移行させる(ステップS15)。その後、MFP100は省電力状態のまま、ステップS13において、入出力部19による操作端末200の操作画面における操作入力の有無が判断される。
【0059】
ステップS14において、タイマー終了判定部121により経過時間<待機時間の判定がなされた場合には(ステップS14でNO)、MFP100の電力状態は通常電力状態のままタイマーによる計測が継続され、ステップS13において、入出力部19による操作端末200の操作画面における操作入力の有無が判断される。
【0060】
ステップS13において、操作端末200の操作画面における操作入力があった場合には(ステップS13のYES)、操作内容判断部102により、操作画面に入力された操作内容が「ジョブ実行指示」であるか否かが判断される(ステップS16)。ここで、「ジョブ実行指示」とは、MFP100において即時画像形成動作を実行させる必要のある操作内容を言う。
【0061】
ステップS16において、操作画面に入力された情報(操作内容)が「ジョブ実行指示」であると判断された場合には(ステップS16のYES)、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の計測を中止して(ステップS20)、本体制御部9により、操作画面に入力された操作内容のジョブを即時実行する(ステップS21)。
【0062】
ステップS16において、操作画面に入力された操作内容が「ジョブ実行指示」でないと判断された場合には(ステップS16のNO)、操作内容判断部102により、操作画面に入力された操作内容が「ジョブ実行関連指示」であるか否かが判断される(ステップS17)。ここで「ジョブ実行関連指示」とは、操作画面で行われるジョブ設定操作またはジョブ実行操作等のジョブ実行に直結する操作内容の指示を言う。
【0063】
ステップS17において、操作画面に入力された操作内容が「ジョブ実行関連指示」であると判断された場合には(ステップS17のYES)、タイマー制御部107により、タイマーによるタイマー設定時間の計測を最初からやり直すリスタートを行う。これにより、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させにくくして、ユーザーの操作性を確保することができる。
【0064】
ステップS17において、操作画面に入力された操作内容が「ジョブ実行関連指示」でないと判断された場合には(ステップS17のNO)、距離閾値判定部113により、距離測定部103により測定されたMFP100と操作端末200との間の距離が所定の距離閾値を超えているか否かが判定される(ステップS18)。
【0065】
ここで、
図5を用いて、距離閾値と、距離測定部103により測定されたMFP100と操作端末200との間の距離との関係について説明する。
図5は、MFP100と操作端末200との間の距離S1、S2と、設定された距離閾値Sとの関係を表した概念図である。
【0066】
図5に示すように、ステップS18において、距離閾値判定部113により、MFP100と操作端末200aとの間の距離S1が、所定の距離閾値Sを超えていないと判定された場合には(ステップS18のYES)、操作端末200aがMFP100の近距離にあると判断される。操作端末200aがMFP100の近距離にあると判断されると、ステップS19において、タイマー制御部107によりリスタートが行われる。これにより、MFP100の電力状態を省電力状態へ移行させにくくして、装置をすぐに使用できる状態に保ち、ユーザーの操作性を確保する。
【0067】
また、距離閾値判定部113により、MFP100と操作端末200bとの間の距離S2が所定の閾値Sを超えていると判定された場合には(ステップS18のNO)、操作端末200bがMFP100の遠距離にあると判断される。操作端末200bがMFP100から遠距離にあると判断されると、ステップS19におけるタイマー制御部107によるリスタートは行われない。すなわち、タイマーによる経過時間の計測が継続されるため、MFP100の電力状態が省電力状態に移行しやすくなり、省エネルギーを図ることができる。
【0068】
本例によれば、操作端末200とMFP100との間の距離を考慮することで、ユーザーの操作性の向上と省エネルギーを図ることができる。すなわち、操作端末200がMFP100の近距離にある場合は、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させにくくして原稿をセットする際のユーザーの操作性を確保し、操作端末200がMFP100の遠距離にある場合は、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させやすくして省エネルギーを図ることができる。また、原稿をセットする必要がない作業(例えばBOXプリント)を実行する場合においても、操作端末200がMFP100の遠距離にある場合は、ユーザーがMFP100に到達するまでに時間がかかるのでその間はMFP100を省電力状態に移行させやすくして、ユーザーに違和感を与えることなく省電力効果を高めることができる。
【0069】
また、本例によれば、操作端末200の操作画面に入力される操作内容を考慮することにより、ユーザーの操作性の向上と省エネルギーを図ることができる。操作端末200に入力された操作内容がジョブ実行関連操作の場合には、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させにくくしてユーザーの操作性を確保し、操作端末200に入力された操作内容がジョブ実行関連操作でない場合には、MFP100の電力状態を省電力状態に移行させやすくして、MFP100で消費される電力量を最小限に抑えることで省エネルギーを図ることができる。
【0070】
<実施例>
図6は、操作端末200をMFP100の近距離で操作する場合におけるMFP100の電力状態の遷移を説明するための図である。
縦軸はMFP100の電力状態を示すものであり、下から省電力状態、通常状態、ジョブ実行状態を表す。また、横軸は時間軸に沿って、ユーザーが操作端末200の操作画面に入力した操作内容を示す。なお、図中の矢印の長さはタイマー設定時間の長さを表し、階段状の実線はMFP100の電力状態の遷移状態を表す。
【0071】
図6に示すように、MFP100の起動時t1には、電力状態制御部105によりMFP100の電力状態が通常状態に移行されると同時に、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の計測が開始される。次に、BOXプリントの操作入力時t2には、タイマー制御部107により、タイマーによるタイマー設定時間の計測を最初からやり直すリスタートが行われる。次に、リスト表示の操作入力時t3には、タイマー制御部107により、リスタートが行われる。同様に、スクロールの操作入力時t4、t5においてもタイマー制御部107によるリスタートが行われ、この間、MFP100の電力状態は通常状態に維持される。
【0072】
次に、「ジョブ実行関連指示」であるジョブ選択の操作入力時t6には、タイマー制御部107によりリスタートが行われるが、「ジョブ実行指示」であるジョブ実行の操作入力時t7には、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の計測が中止され、電力状態制御部105により、指示されたジョブを即時実行するために、MFP100の電力状態がジョブ実行状態へ移行される。
【0073】
図7は、操作端末200をMFP100の遠距離で操作する場合におけるMFP100の電力状態の遷移を説明するための図である。
図7に示すように、MFP100の起動時t1は、電力状態制御部105によりMFP100の電力状態が通常状態に移行されると同時に、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の計測が開始される。次に、BOXプリントの操作入力時t2には、タイマー制御部107により、タイマーによるリスタートは行われない。従って、タイマー設定時間経過後に、電力状態制御部105により、MFP100の電力状態が省電力状態に移行される。その後、リスト表示の操作入力時t3、スクロールの操作入力時t4、t5が行われる間、MFP100の電力状態は省電力状態に維持される。
【0074】
その後、「ジョブ実行関連指示」であるジョブ選択の操作入力時t6には、電力状態制御部105によりMFP100の電力状態が通常状態に復帰されると同時に、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の計測が開始される。そして、「ジョブ実行指示」であるジョブ実行の操作入力時t7には、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の測定が中止され、電力状態制御部105により、MFP100の電力状態がジョブ実行状態へ移行される。
【0075】
本例では、MFP100から近距離で操作端末200を使用する場合には、すぐにMFP100が使用される可能性が高いため、MFP100の電力状態を通常状態に維持し易くすることで、ユーザーの操作性を確保する。その一方で、MFP100から遠距離で操作端末200を使用する場合は、すぐにMFP100が使用される可能性が低いため、MFP100の電力状態を積極的に省電力状態に移行させて省エネルギーを図る。
【0076】
図8は、距離の異なる場所で複数の操作端末200を使用した場合におけるMFP100の電力状態の遷移を説明するための図である。ここでは、
図5に示すように操作端末200aがMFP100の近距離S1で使用され、操作端末200bがMFP100の遠距離S2で使用される場合に基づいて説明する。
【0077】
図8に示すように、MFP100の起動時t1は、電力状態制御部105によりMFP100の電力状態が通常状態に移行されると同時に、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の計測が開始される。次に、近距離にある操作端末200aへのBOXプリントの操作入力時t2には、タイマー制御部107によりリスタートが行われる。次に、遠距離に位置する操作端末200bへのリスト表示の操作入力時t3においては、タイマー制御部107によるリスタートは行われない。このため、待機時間が経過した後に、電力状態制御部105により、MFP100の電力状態が省電力状態に移行される。
【0078】
次に、操作端末200aの操作画面へのリスト表示の操作入力時t4には、電力状態制御部105によりMFP100の電力状態が通常状態に復帰されると同時に、タイマー制御部107により、タイマーによる待機時間における経過時間の測定が開始される。操作端末200bの操作画面へのリスト表示の操作入力時t5には、タイマー制御部107による経過時間の計測を最初からやり直すリスタートは行われない。このため、待機時間が経過した後に、電力状態制御部105により、MFP100の電力状態は省電力状態に移行される。
【0079】
その後、操作端末200bへのジョブ選択の操作入力時t6には、電力状態制御部105によりMFP100の電力状態が通常状態に復帰されると同時に、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の計測が開始される。そして、操作端末200bへのジョブ実行の操作入力時t7には、タイマー制御部107により、タイマーによる経過時間の計測が中止され、電力状態制御部105により、入力された操作内容のジョブを即時実行するために、MFP100の電力状態がジョブ実行状態へ移行される。
【0080】
本例では、複数の操作端末が使用される場合において、端末装置がMFP100の近距離で使用される場合には、MFP100の電力状態を通常状態に維持し易くすることで操作性の向上を図り、端末装置がMFP100の遠距離で使用される場合には、MFP100の電力状態を積極的に省電力状態に移行させることにより省エネルギーを図る。
【0081】
図9は、複数の端末装置200を使用する場合であって、それぞれのタイマー設定時間(待機時間)が異なる場合におけるMFP100の電力状態の移り変わりを説明するための図である。ここでは、MFP100の近距離で使用される操作端末200aのタイマー設定時間T1(第1待機時間)が、MFP100の遠距離で使用される端末装置200bのタイマー設定時間T2(第2待機時間)よりも長い場合に基づいて説明する。
【0082】
図9に示すように、MFP100の起動時t1には、電力状態制御部105によりMFP100の電力状態が通常状態に移行されると同時に、タイマー制御部107により、タイマーによる第1設定時間T1における経過時間の計測が開始される。次に、操作端末200aへのBOXプリントの操作入力時t2には、タイマー制御部107により、第1設定時間T1によるリスタートが行われる。
【0083】
次に、操作端末200bへBOXプリントの操作入力時t3には、タイマー終了判定部121により、第1設定時間S1の残時間と第2待機時間T2との比較が行われる。ここでは、第2待機時間T2の方が第1待機時間T1の残時間よりも長いため、タイマー制御部107により、第2待機時間T2によるリスタートが行われる。次に、操作端末200aへのリスト表示の操作入力時t4には、タイマー制御部107により、第1待機時間T1によるリスタートが行われる。
【0084】
次に、操作端末200bへのリスト表示の操作入力時t5には、タイマー終了判定部121により、第1待機時間T1の残時間と第2待機時間T2との比較が行われる。ここでは、第1待機時間T1の残時間の方が第2待機時間T2よりも長いため、タイマー制御部107により、第2待機時間T2によるリスタートは行われない。このため、第1待機時間T1経過後に、電力状態制御部107により、MFP100の電力状態が省電力状態に移行される。
【0085】
その後、操作端末200aへジョブ選択の操作入力時t6には、電力状態制御部107によりMFP100の電力状態が通常状態に復帰されると同時に、タイマー制御部105により、第1待機時間T1における経過時間の計測が開始される。そして、操作端末200aへのジョブ実行の操作入力時t7には、タイマー制御部105により、タイマーによる経過時間の計測が中止され、電力状態制御部107により、MFP100の電力状態がジョブ実行状態へ移行される。
【0086】
本例では、複数の操作端末200a、200bが使用される場合において、それぞれの操作端末のタイマー設定時間T1、T2を比較することにより、タイマー制御部107によるリスタートの回数を減らし、装置の制御負荷を減らすことができる。
【0087】
また、本例では、第1待機時間T1を第1移行条件として用い、第2待機時間T2を第2移行条件として用いることにより異なる移行条件を設定している。このように、省電力状態から通常電力状態へ移行する移行条件を複数設けることにより、例えば、移行条件として第2待機時間T2を用いることで、MFP100の電力状態を通常電力状態から省電力状態へ移行させやすくできる。
【0088】
図10は、MFP100の電力状態の遷移と操作端末200の操作パネル21の明るさの遷移を比較した図である。なお、
図10Aは、
図7と同じ遷移状態を示すものであり、ここでは説明を省略する。
【0089】
図10Bは、操作パネル21の明るさの遷移状態を説明するための図である。
図10Bの縦軸は操作パネル21の明るさ状態を示すものであり、通常よりも暗め状態、通常の明るさ状態を表す。また、横軸は時間軸に沿って、ユーザーが操作パネル21に入力した操作内容を示す。なお、図中の階段状の実線は、操作パネル21の明るさ状態の遷移を表す。
【0090】
図10に示すように、本例では、MFP100の電力状態と操作パネル21の明るさ状態を同期させる。
図10Aに示すようにMFP100の電力状態が通常状態から省電力状態に移行すると、
図10Bに示すように操作パネル21の明るさ状態も通常の明るさ状態から通常よりも暗い状態に移行する。また、MFP100の電力状態が省電力状態に維持されている場合は、操作パネル21の明るさ状態も通常よりも暗めの状態に維持される。その後、MFP100の電力状態が通常状態に復帰すると、操作パネル21の明るさの状態も通常の明るさ状態に復帰する。
【0091】
また、MFP100の電力状態がジョブ実行状態に移行して所定の期間経過した後、操作パネル21の明るさ状態は通常よりも暗めの状態に移行する。
【0092】
本例では、MFP100の電力状態が通常状態の場合には、ユーザーが使用する可能性が高いため、操作パネル21の明るさ状態を通常の明るさに維持して、ユーザーの操作性を確保する。また、MFP100の電力状態が省電力状態の場合には、ユーザーに使用される可能が低いため、操作パネル21の明るさ状態を通常よりも暗くして、省エネルギーを図る。すなわち、MFP100の電力状態と操作パネル21の明るさ状態を同期させることにより、ユーザーの操作性を保つとともに、省エネルギーを図ることができる。さらには、MFP100の電力状態がジョブ実行状態に移行した後は、ユーザーが操作パネル21を操作する可能性が低くなるので、操作パネル21の明るさ状態を通常よりも暗い状態に移行させることにより、より一層の省エネルギーを実現することができる。
なお、操作パネル21がMFP100から取り外して使用されている場合においても、MFP100の電力状態と操作パネル21の明るさ状態を同期させてもよい。
【0093】
以上説明したように、本例の画像形成システムおよび画像制御システムの制御方法によれば、画像形成装置におけるユーザーの操作性の向上と省エネルギーを達成することができる。また、本例の画像形成システムおよび画像制御システムの制御方法によれば、端末装置の操作画面において「ジョブ実行に直結しない操作」が行われている場合には、画像形成装置の電力状態を積極的に省電力状態とすることで、省エネルギーを実現することができる。
【0094】
なお、上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成について他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0095】
例えば、
図11に示すように、MFP100の内部にあるパネル画像生成部14にWebサーバとしての機能を持たせ、操作端末200に生成した操作画面の画像情報を渡すようにしてもよい。また、
図12に示すようにMFP100とは別に外部Webサーバを設置して、操作端末200に生成した操作画面の画像情報を渡すようにしてもよい。