(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リン酸およびリン酸塩、ならびにアンモニアおよびアンモニウム塩、からなる群から選択されるエッチング剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のめっき鋼板の端面防錆処理液。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、鋭意検討の結果、フッ素樹脂を含む有機樹脂および第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンを含む水系処理液に、特定の化合物(以下、単に「結合促進剤」ともいう。)と、シランカップリング剤と、をさらに含有させて、端面防錆処理液とすることで、めっき鋼板の端面に形成される化成処理皮膜の耐食性がより高まることを見出した。本発明者らは、この耐食性の向上をもたらす作用効果についてさらに検討した結果、上記結合促進剤としてアジピン酸またはフタル酸と炭素数1以上3以下のアルコールとのエステル化合物およびn−メチル−2−ピロリドンが使用できることを見出し、もって本発明を完成させた。
【0023】
つまり、上記結合促進剤は、通常はエマルションとして水系処理液中に存在するフッ素樹脂を、軟質化することができる。上記結合促進剤によって軟質化したフッ素樹脂は、より融着しやすくなり、耐水性がより高い化成処理皮膜を形成するため、化成処理皮膜の耐候性がより高まると考えられる。
【0024】
1.水系処理液
上記水系処理液は、フッ素樹脂を含む有機樹脂、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンおよび上記結合促進剤を含む。上記水系処理液は、エッチング剤などのその他の成分をさらに含んでもよい。
【0025】
1−1.有機樹脂
有機樹脂は、フッ素樹脂を含む有機樹脂である。フッ素樹脂は、化成処理皮膜の耐候性(耐紫外線性および耐光性など)および耐食性(赤錆の防止など)を高めることができる。なお、有機樹脂は、化成処理皮膜の耐候性および耐食性を顕著に低下させない限りにおいて、フッ素樹脂以外の樹脂を含んでもよい。
【0026】
フッ素樹脂は、溶剤系フッ素樹脂と水系フッ素樹脂に大別される。これらのうち、揮発した溶剤の回収が問題とならない水系処理液に用いることが容易な、水系フッ素樹脂を用いることが好ましい。
【0027】
水系フッ素樹脂とは、親水性官能基を有するフッ素樹脂を意味する。親水性官能基の好ましい例には、カルボキシル基およびスルホン酸基、ならびにこれらの塩などが含まれる。カルボキシル基またはスルホン酸基の塩の例には、アンモニウム塩、アミン塩、およびアルカリ金属塩などが含まれる。
【0028】
水系フッ素樹脂は、親水性官能基の量が0.05質量%以上5質量%以下の量であることが好ましい。親水性官能基の量が0.05質量%以上5質量%以下の量であるフッ素樹脂は、乳化剤をほとんど使用せずとも、水系エマルションとすることができる。乳化剤をほとんど含まない化成処理皮膜は、耐水性に優れた化成処理皮膜とすることができる。
【0029】
水系フッ素樹脂中の親水性官能基の含有量は、水系フッ素樹脂に含まれる親水性官能基の総モル質量を、水系フッ素樹脂の数平均分子量で除して求めればよい。カルボキシル基のモル質量は45であり、スルホン酸基のモル質量は81であるので、水系フッ素樹脂に含まれるカルボキシル基およびスルホン酸基それぞれの数を求め、それぞれにモル質量を乗じることで、水系フッ素樹脂に含まれる親水性官能基の総モル質量が求まる。水系フッ素樹脂の数平均分子量はGPCで測定され得る。
【0030】
水系フッ素樹脂におけるカルボキシル基は、鋼板またはめっき層(または下地化成処理皮膜)の表面と水素結合などを形成して、化成処理皮膜と鋼板またはめっき層(または下地化成処理皮膜)表面との密着性の向上に寄与するが、H
+が解離しにくいため第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンとの架橋反応が生じにくい。一方、水系フッ素樹脂におけるスルホン酸基は、H
+が解離しやすいため第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンとの架橋反応が生じやすいものの、一方で第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンと架橋反応せずに未反応のまま皮膜中に残存すると、水分子の吸着作用が強いため化成処理皮膜の耐水性を著しく低下させてしまうおそれがある。したがって、それぞれの特徴を活かすべく、水系フッ素樹脂には、カルボキシル基およびスルホン酸基の両方を含むことが好ましい。この場合、カルボキシル基とスルホン酸基との比率は、カルボキシル基/スルホン酸基のモル比で5以上60以下の範囲内が好ましい。
【0031】
水系フッ素樹脂の数平均分子量は、1000以上が好ましく、1万以上がより好ましく、20万以上が特に好ましい。
【0032】
水系フッ素樹脂の数平均分子量の下限が上記値であると、化成処理皮膜の透水性および耐水性を十分に高めることができ、湿気や腐食性ガスなどが化成処理皮膜を貫通することによるめっき鋼板の腐食を抑制することができる。また、水系フッ素樹脂の数平均分子量の下限が上記値であると、光エネルギーなどの作用により発生したラジカルがポリマー鎖の末端に作用しにくいため、水などの相乗作用により水系フッ素樹脂が加水分解されてしまうことによる、化成処理皮膜の劣化を抑制することもできる。水系フッ素樹脂の分子量を大きくすることにより、分子間力が強くなり、化成処理皮膜の凝集力が高まるため、化成処理皮膜の耐水性をより高めることができる。また、水系フッ素樹脂の分子量を大きくすることにより、水系フッ素樹脂の主鎖における原子間の結合を安定化して、水系フッ素樹脂の加水分解による化成処理皮膜の劣化も生じにくくなる。
【0033】
一方で、水系フッ素樹脂の数平均分子量は、200万以下が好ましい。水系フッ素樹脂の数平均分子量の上限が200万以下であれば、水系処理液のゲル化などが生じにくく、水系処理液の保存安定性がより高まる。
【0034】
水系フッ素樹脂は、化成処理皮膜の耐候性および耐食性をより高める観点から、上記フッ素樹脂の全質量に対して6質量%以上のフッ素(F)原子を含むことが好ましく、8質量%以上のフッ素(F)原子を含むことがより好ましく、13質量%以上のフッ素(F)原子を含むことがさらに好ましい。また、水系フッ素樹脂は、塗料化を容易にし、かつ、化成処理皮膜の密着性および乾燥性をより高める観点から、前記フッ素樹脂の全質量に対して20質量%以下のフッ素(F)原子を含むことが好ましい。水系フッ素樹脂中のフッ素(F)原子の含有量は、蛍光X線分析装置を用いることで測定することができる。
【0035】
水系フッ素樹脂としては、フッ素含有オレフィン樹脂であることが好ましい。フッ素含有オレフィン樹脂の例には、フルオロオレフィンと親水性官能基含有モノマーとの共重合体が含まれる。
【0036】
上記フルオロオレフィンの例には、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ペンタフルオロプロピレン、2,2,3,3−テトラフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、ブロモトリフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン、および1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレンなどが含まれる。これらのフルオロオレフィンは、単独で使用されてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用されてもよい。耐紫外線性をより高める観点からは、これらのフルオロオレフィンの中でも、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンなどを含むパーフルオロオレフィン、ならびにフッ化ビニリデンなどが好ましい。なお、塩素イオンによる腐食を抑制する観点からは、クロロトリフルオロエチレンなどの塩素を含むフルオロオレフィンの含有量は少ない(たとえば0.1モル%以下)ことが好ましい。
【0037】
上記親水性官能基含有モノマーの例には、公知のカルボキシル基含有モノマーおよびスルホン酸基含有モノマーが含まれる。これらの親水性官能基含有モノマーは、単独で使用されてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0038】
上記カルボキシル基含有モノマーの一例としては、以下の式(1)に示される不飽和カルボン酸、およびこれらのエステルまたは酸無水物などを含む不飽和カルボン酸類が挙げられる。
【0039】
【化1】
(式中、R
1、R
2およびR
3は、独立に、水素原子、アルキル基、カルボキシル基またはエステル基を示す。nは0〜20の整数である。)
【0040】
上記式(1)に示される不飽和カルボン酸の具体例には、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、5−ヘキセン酸、5−ヘプテン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデシレン酸、11−ドデシレン酸、17−オクタデシレン酸、およびオレイン酸などが含まれる。
【0041】
上記カルボキシル基含有モノマーの別の例としては、以下の式(2)に示されるカルボキシル基含有ビニルエーテルモノマーが挙げられる。
【0042】
【化2】
(式中、R
4およびR
5は、独立に、飽和または不飽和の直鎖または環状アルキル基を示す。nは0または1である。mは0または1である。)
【0043】
上記式(2)に示されるカルボキシル基含有ビニルエーテルモノマーの具体例には、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−アリロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−ビニロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、および3−(2−ビニロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸などが含まれる。
【0044】
上記スルホン酸基含有モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−メタクリロイルオキシブタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホイン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、および3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
【0045】
上記フルオロオレフィンと親水性官能基含有モノマーとの共重合体には、必要に応じて、共重合可能な他のモノマーがさらに共重合されていてもよい。上記共重合可能な他のモノマーとしては、カルボン酸ビニルエステル類、アルキルビニルエーテル類、および非フッ素系オレフィン類などが挙げられる。
【0046】
上記カルボン酸ビニルエステル類は、上記水系フッ素樹脂の相溶性および化成処理皮膜の光沢を向上させたり、ガラス転移温度を上昇させたりすることができる。上記カルボン酸ビニルエステル類の例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、およびパラ−t−ブチル安息香酸ビニルなどが含まれる。
【0047】
上記アルキルビニルエーテル類は、化成処理皮膜の光沢および柔軟性を向上させることができる。上記アルキルビニルエーテル類の例には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、およびブチルビニルエーテルなどが含まれる。
【0048】
上記非フッ素系オレフィン類は、化成処理皮膜の可撓性を向上させることができる。上記非フッ素系オレフィン類の例には、エチレン、プロピレン、n−ブテン、およびイソブテンなどが含まれる。
【0049】
たとえば、上記モノマーを乳化重合法で共重合させることで、親水性官能基を有するフルオロオレフィン共重合体のエマルションを得ることができる。このとき、フルオロオレフィン共重合体が0.05質量%以上5質量%以下の量の親水性官能基を有するように、原料モノマー組成物におけるフルオロオレフィンの量を調整することで、乳化剤をほとんど使用せずにフルオロオレフィン共重合体の水系エマルションを製造することができる。乳化剤をほとんど含有しない(1質量%以下)フルオロオレフィン共重合体のエマルションを用いて形成された化成処理皮膜は、乳化剤がほとんど含まれないため、乳化剤の残留による耐水性の劣化がほとんど見られず、優れた耐水性を発揮する。
【0050】
上述のような方法で作製したフッ素樹脂は、水系処理液中でも粒子状で存在すると考えられる。フッ素樹脂のエマルションの平均粒径は、50nm以上300nm以下であることが好ましい。エマルションの平均粒径を50nm以上とすることで、水系処理液の保存安定性を高めることができる。また、エマルションの平均粒径を300nm以下とすることで、エマルションの表面積を増やして互いに融着しやすくさせ、低温(例えば55℃)で焼き付けたときの造膜をより容易にできる。たとえば、乳化重合法でエマルションを調製する際に、せん断速度や攪拌時間を最適化することで、エマルションの平均粒径を上記範囲内とすることができる。
【0051】
水系処理液中のフッ素樹脂の含有量は、水100質量部に対して、10質量部以上70質量部以下であることが好ましい。フッ素樹脂の含有量が10質量部以上であると、乾燥過程において多量の水の蒸発することによる、化成処理皮膜の成膜性および緻密性の低下がより生じにくい。一方、フッ素樹脂の含有量が70質量部以下であると、水系処理液の保存安定性がより高まる。
【0052】
また、水系処理液中のフッ素樹脂の含有量は、固形分(水その他の溶媒を除いた成分)の合計量に対して、70質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
【0053】
1−2.第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオン
第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンは、フッ素樹脂、特には水系フッ素樹脂中のカルボキシル基やスルホン酸基などの官能基と反応しやすく、水系フッ素樹脂の硬化または架橋反応を促進する。そのため、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンは、フッ素樹脂の密着性を高め、かつ、低温乾燥でも化成処理皮膜の耐水性を向上させることができる。
【0054】
第4族元素を含む化合物は、4A族金属の酸素酸塩、フッ化物、水酸化物、有機酸塩、炭酸塩、過酸化塩、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、およびアルカリ土類金属塩などとすることができる。なお、酸素酸塩は、酸素と別の元素とを有する酸(炭酸や硫酸など)との塩を意味する。酸素酸塩の例には、水素酸塩、炭酸塩、硫酸塩などが含まれる。第4族元素のイオンの例には、上記化合物に由来する、第4族元素のイオンが含まれる。
【0055】
上記第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンの例には、チタン(Ti)化合物、ジルコニウム(Zr)化合物およびハフニウム(Hf)化合物が含まれる。これらのうち、後述する光触媒による耐候性の低下を抑制する観点からは、ジルコニウム化合物が好ましい。
【0056】
第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンは、メラミン樹脂とは異なり、エステル結合やホルムエーテル結合などが酸化および加水分解などすることによる化成処理皮膜の耐候劣化を生じにくい。また、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンは、メラミン樹脂とは異なり、酸性雨に含まれる硫酸イオンや硝酸イオンなどの酸性物質によって架橋構造が切断されることによる化成処理皮膜の耐候劣化も生じにくい。
【0057】
また、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンは、イソシアネート樹脂を用いた架橋部分に形成されるウレタン結合よりも強い結合力でフッ素樹脂を架橋させるため、架橋構造の切断による耐候劣化の進行もより生じにくい。
【0058】
また、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンは、化成処理皮膜の皮膜密着性、耐水性および耐変色性も向上させる。たとえば、Al含有Zn系合金めっき鋼板の表面に第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンを含む水系処理液で化成処理皮膜を形成させると、めっき鋼板の表面に存在する強固なAl酸化物による皮膜密着性の低下を抑制することができる。また、Al含有Zn系合金めっき鋼板の表面に第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンを含む水系処理液で化成処理皮膜を形成させると、エッチング反応などにより溶出したAlイオンと第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンとが反応して生成した反応生成物が、めっき層と化成処理皮膜の界面に濃化して、めっき鋼板の初期の耐食性および耐変色性を向上させる。
【0059】
水系処理液中の第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンの金属換算での含有量は、たとえば0.5g/Lとすることができるが、水系フッ素樹脂を十分に架橋させて化成処理皮膜の密着性をより高める観点からは、2g/L以上であることが好ましい。上記観点からは、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンの含有量は、1g/L以上であることがより好ましく、2g/L以上であることがさらに好ましい。なお、化成処理皮膜が多孔質状となることによる、化成処理皮膜の加工性および耐候性の低下を抑制する観点からは、水系処理液中の第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンの含有量は、30g/L以下であることが好ましい。水系処理液中の第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンの金属換算での含有量は、蛍光X線分析装置を用いて測定することができる。
【0060】
1−3.結合促進剤
結合促進剤は、水系処理液中に存在するフッ素樹脂を軟質化することができる。上記結合促進剤によって軟質化したフッ素樹脂は、エマルションを構成する粒子同士がより密に融着しやすくなり、より水を浸透しにくい化成処理皮膜を形成する。そのため、結合促進剤を含む上記水系処理液から形成された化成処理皮膜は赤錆を発生させにくくなり、化成処理皮膜の耐食性がより高まると考えられる。また、結合促進剤は、フッ素樹脂を軟質化してエマルションを構成する粒子同士をより密に融着しやすくすることにより、より紫外線などの光によって分解しにくい化成処理皮膜を形成する。そのため、結合促進剤を含む上記水系処理液から形成された化成処理皮膜は、耐候性もより高まると考えられる。
【0061】
また、上記結合促進剤は、上述した作用により、常温程度でもフッ素樹脂をよく融着させることができる。そのため、上記結合促進剤を含む水系処理液は、加工現場などにおけるめっき鋼板の切断により生じる端面や、めっき鋼板の端面などの露出部位に、加工現場で加熱せずにより容易に化成処理皮膜を形成することができる。
【0062】
結合促進剤は、アジピン酸またはフタル酸と炭素数1以上3以下のアルコールとのエステル化合物およびn−メチル−2−ピロリドンから適宜選択して用いることができる。このような結合促進剤の例には、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジ(イソ)プロピルアジペート、ジ(イソ)ブチルアジペート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ(イソ)プロピルフタレート、ジ(イソ)ブチルフタレート、およびn−メチル−2−ピロリドンが含まれる。これらの結合促進剤のうち、耐食性、処理外観の観点からは、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジ(イソ)プロピルアジペートおよびジ(イソ)ブチルアジペートが好ましい。なお、本発明において、(イソ)プロピルとは、プロピルおよびイソプロピルを意味し、(イソ)ブチルとは、ブチルおよびイソブチルを意味する。
【0063】
水系処理液中の結合促進剤の含有量は、たとえば0.1g/L以上50g/L以下とすることができるが、上述した作用によりフッ素樹脂をより融着しやすくして、化成処理皮膜の耐食性をより高める観点からは、0.5g/L以上50g/L以下であることが好ましく、0.7g/L以上30g/L以下であることがより好ましく、1g/L以上15g/L以下であることがさらに好ましい。
【0064】
1−4.エッチング剤
エッチング剤は、基材鋼板の表面を均一化および活性化して、化成処理皮膜の密着性をより高め、化成処理皮膜からめっき鋼板への水の浸透を抑制する。そのため、結合促進剤を含む上記水系処理液から形成された化成処理皮膜は赤錆を発生させにくくなり、化成処理皮膜の耐食性がより高まると考えられる。
【0065】
具体的には、エッチング剤は、めっき層に含まれるZnおよびAlおよび基材鋼板に含まれるFeなどの金属成分を溶解し、溶解した金属成分を化成処理皮膜中に取り込むことによって、化成処理皮膜が形成されためっき鋼板の耐食性を高める。このとき、本発明では、上記取り込まれた金属成分が、上述した結合促進剤によってエマルション状のフッ素樹脂のより内部にまで取り込まれて、化成処理皮膜の密着性もより高める結果、化成処理皮膜が形成されためっき鋼板の耐食性をより高めると考えられる。
【0066】
特に、エッチング剤は、基材鋼板の露出部位を活性化する観点からは、リン酸またはリン酸塩、およびアンモニアまたはアンモニウム塩が好ましい。
【0067】
リン酸またはリン酸塩は、基材鋼板の露出部位における鉄(Fe)や、Zn系めっきに含まれる亜鉛(Zn)を均一化および活性化する。そのため、リン酸またはリン酸塩は、鋼板およびZn系めっき鋼板に特に有用である。
【0068】
リン酸またはリン酸塩は、リン酸アニオン(PO
43−)を有する水溶性の化合物であればよい。リン酸塩の例には、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カリウム、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、および四リン酸などが含まれる。これらのリン酸またはリン酸塩は、単独で使用されてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0069】
アンモニア酸またはアンモニウム塩は、基材鋼板の露出部位における鉄(Fe)や、Al系めっきやZn−Al系めっきに含まれるアルミニウム(Al)を均一化および活性化する。そのため、リン酸またはリン酸塩は、鋼板およびZn−Al系めっき鋼板に特に有用である。
【0070】
アンモニウム塩の例には、第四級アンモニウムカチオン(NH
4+)のリン酸塩、フッ化物および金属塩などが含まれる。これらのうち、第四級アンモニウムカチオンのリン酸塩を含むことが好ましく、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウムおよびリン酸二水素アンモニウムを含むことがより好ましい。
【0071】
なお、単一の水系処理液で様々な鋼板やめっき鋼板(Zn系、Al系、Zn−Al系、およびZn−Al−Mg系など)に適用可能にする観点からは、水系処理液は、リン酸またはリン酸塩と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、の双方を含むことが好ましい。また、基材鋼板の表面を均一化および活性化する効果をより高め、化成処理皮膜の耐候性をより高める観点からも、水系処理液は、リン酸またはリン酸塩と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、の双方を含むことが好ましい。これらの観点からは、エッチング剤は、第四級アンモニウムカチオンのリン酸塩が好ましく、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウムおよびリン酸二水素アンモニウムがより好ましい。
【0072】
水系処理液中のエッチング剤の含有量は、リン酸アニオン(PO
43−)の含有量が、リン酸アニオン換算で、1g/L以上であることが好ましく、2g/L以上であることがさらに好ましい。あるいは、水系処理液中のエッチング剤の含有量は、第四級アンモニウムカチオン(NH
4+)の含有量が、第四級アンモニウムカチオン換算で、1g/L以上であることが好ましく、2g/L以上であることがさらに好ましい。
【0073】
水系処理液中のエッチング剤の含有量は、エッチング剤がリン酸またはリン酸塩とアンモニアまたはアンモニウム塩との双方を含むときは、リン酸アニオン(PO
43−)および第四級アンモニウムカチオン(NH
4+)の含有量が、それぞれリン酸アニオン換算および第四級アンモニウムカチオン換算で、いずれも1g/L以上であることが好ましく、2g/L以上であることがさらに好ましい。
【0074】
1−5.シランカップリング剤
シランカップリング剤は、化成処理皮膜の密着性をより高める。
【0075】
水系処理液中のシランカップリング剤の含有量は、フッ素樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上5質量部以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量が0.5質量部以上であると、化成処理皮膜の密着性をより高めることができる。一方、シランカップリング剤の含有量が5質量部以下であると、水系処理液の保存安定性の低下を抑制できる。
【0076】
1−6.その他の成分
水系処理液は、その他の成分として、上述以外の無機化合物、シランカップリング剤以外の有機潤滑剤、無機潤滑剤、無機顔料、有機顔料、および染料などを必要に応じて添加してもよい。Mg、Ca、Sr、V、W、Mn、B、Si、Snなどの無機化合物(酸化物、リン酸塩など)は、化成処理皮膜を緻密化して耐水性を向上させる。フッ素系、ポリエチレン系、およびスチレン系などの有機潤滑剤、ならびに二硫化モリブデンおよびタルクなどの無機潤滑剤は、化成処理皮膜の潤滑性を向上させる。また、無機顔料、有機顔料、および染料などを配合することで、化成処理皮膜に所定の色調を付与することができる。
【0077】
なお、水系処理液は、バナジウム(V)イオンおよびチタン(Ti)イオンの含有量が、金属換算で500ppm以下であることが好ましい。VやTiを含む化合物は、防錆剤として用いられることがあるが、これらのイオンの含有量をより少なくすることで、VやTiの光触媒作用による化成処理皮膜の耐候性の低下を抑制することができる。
【0078】
また、水系処理液は、クロム(Cr)、特には6価クロム、の含有量が、金属換算で100ppm以下であることが好ましい。Cr(6価クロム)の含有量をより少なくすることで、人体への影響が少なく、安全性の高い化成処理皮膜を形成することができる。
【0079】
また、水系処理液は、クリアな皮膜を形成する観点から、無機顔料、有機顔料、および染料などを実質的に含まないことが好ましい。水系処理液は、フッ素樹脂を主成分とするため、リン酸のマンガンまたは鉄などの塩によりリン酸塩皮膜を形成するリン酸塩処理(パーカライジング)や、多量の亜鉛粉末により犠牲防食層を形成するジンクリッチペイントとは異なり、クリアな皮膜を形成することができる。
【0080】
1−7.水系処理液の性状
水系処理液は、水などの溶媒を除く固形分の含有量(固形分濃度)が、水系処理液の全質量に対して20質量%以上であることが好ましい。固形分の含有量が20質量%以上であると、十分な膜厚を有し、十分な耐候性を有する化成処理皮膜を形成できる。なお、固形分の含有量の上限は処理液安定性の面から、40質量%以下であることが好ましい。
【0081】
水系処理液は、pHが7.0以上9.5以下であることが好ましい。pHが7.0以上であると、Znのエッチング量を適度に調整でき、pHが9.5以下であると、Alのエッチング量を適度に調整できる。そのため、pHが7.0以上9.5以下であると、過剰なエッチングによる外観不良または耐食性の低下を抑制できる。
【0082】
水系処理液は、1液型でもよいし、フッ素樹脂のエマルションと結合促進剤を含む溶液(または分散液)とを使用時に混合する2液混合型でもよい。
【0083】
2.めっき鋼板の化成処理方法
上述した水系処理液は、めっき鋼板の化成処理に用いることができる。具体的には、上述した水系処理液を、めっき鋼板の端面に付与し、乾燥させて、化成処理皮膜を形成することができる。
【0084】
めっきが施される基材鋼板の種類は、特に限定されない。たとえば、鋼板は、低炭素鋼、中炭素鋼および高炭素鋼などを含む炭素鋼でもよいし、Mn、Cr、Si、Niなどを含有する合金鋼でもよい。また、鋼板は、Alキルド鋼などを含むキルド鋼でもよいし、リムド鋼でもよい。良好なプレス成形性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼および低炭素Nb添加鋼などを含む深絞り用鋼板が鋼板として好ましい。また、P、Si、Mnなどの量を特定の値に調整した高強度鋼板を用いてもよい。
【0085】
めっき鋼板は、上記鋼板を基材鋼板とし、公知のめっきを施したものであればよい。めっきは、溶融めっきでも蒸着めっきでもよい。めっきの種類は、特に限定されず、Zn系めっき(Znめっき、Zn−Alめっき、およびZn−Al−Mgめっきなど)、Al系めっき、ならびにNi系めっきなどを使用することができる。これらのうち、Zn系めっきおよびAl系めっきが好ましく、Zn系めっきがより好ましい。
【0086】
上述した水系処理液は、各種めっき層および基材鋼板の双方に密着性が高い化成処理皮膜を形成できるため、めっき鋼板のうち、その端面や、切断により生じる端面などの、基材鋼板が露出した部位に付与し、乾燥させて、化成処理皮膜を形成することができる。
【0087】
また、めっき鋼板には、公知の方法でプレコートの下地化成処理が施されていてもよい。
【0088】
水系処理液の塗布方法は、特に限定されず、めっき鋼板の形状などに応じて適宜選択すればよい。塗布方法の例には、ロールコート法、カーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、浸漬引き上げ法、および滴下法などが含まれる。水系処理液の液膜の厚さは、フェルト絞りやエアワイパーなどにより調整することができる。
【0089】
水系処理液の塗布量は、特に限定されないが、化成処理皮膜の膜厚が0.5μm以上10μm以下となるように調整されることが好ましい。化成処理皮膜の膜厚が0.5μm以上であると、化成処理皮膜に耐候性、耐食性および耐変色性などを十分に付与することができる。一方、膜厚を10μm超としても、膜厚の増加に伴う性能向上を期待することはできない。
【0090】
付与された水系処理液は、常温で乾燥させて、化成処理皮膜とすることができる。なお、付与された水系処理液を加熱(たとえば50℃以上に加熱)して乾燥させてもよいが、このとき、有機成分の熱分解による化成処理皮膜の性能低下を抑制する観点からは、乾燥温度は300℃以下であることが好ましい。なお、加工現場などにおいて、めっき鋼板の切断により生じる端面や、めっき鋼板の端面などの基材鋼板の露出部位に、より容易に化成処理皮膜を形成する観点からは、常温で乾燥させることが好ましい。
【0091】
3.化成処理鋼板および成形加工品
上述の水系処理液から形成された化成処理皮膜を有する化成処理鋼板は、上述のめっき鋼板と、上記めっき鋼板の端面、好ましくは上記めっき鋼板の端面の基材鋼板が露出した部位、に形成された上記化成処理皮膜と、を有する。上記化成処理鋼板は、成形加工品であってもよい。成形加工の方法は特に限定されず、プレス加工、抜き加工および絞り加工などの公知の方法から選択することができる。
【0092】
より具体的には、上記化成処理皮膜は、上述のフッ素樹脂を含む有機樹脂と、上述の第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンと、アジピン酸またはフタル酸と炭素数1以上3以下のアルコールとのエステル化合物およびn−メチル−2−ピロリドンからなる群から選択される1以上の結合促進剤と、シランカップリング剤と、を含む。
【0093】
これらの成分の含有量比は、水系処理液について上述した比率と同様である。
【0094】
化成処理皮膜の膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。膜厚が0.5μm以上であると、化成処理皮膜に耐候性、耐食性および耐変色性などを十分に付与することができる。一方、膜厚を10μm超としても、膜厚の増加に伴う性能向上を期待することはできない。
【0095】
この化成処理鋼板は、耐候性、特には長期の耐候性に優れる。また、めっき鋼板の成形加工などにより生じる基材鋼板の露出部位である端面などに、上記化成処理皮膜を有する化成処理鋼板は、上記基材鋼板の露出部位などにおける化成処理皮膜の耐候性、特には長期の耐候性に優れるため好ましい。また、上述したように、めっき層を溶かして溶接加工した溶接部に上記化成処理皮膜を有する化成処理鋼板は、溶接部の耐食性が高まる効果が顕著にみられる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【0097】
1.水系処理液の調製
各成分を混合して、表1に示す水系処理液1〜水系処理液15を調製した。
【0098】
なお、フッ素樹脂(FR)は、フッ素系樹脂(Tg:−35〜25℃、最低成膜温度(MFT):10℃)の水系エマルションを使用した。上記フッ素樹脂エマルションの固形分濃度は38質量%であり、フッ素樹脂中のフッ素原子の含有量は25質量%であり、エマルションの平均粒径は150nmであった。
【0099】
アクリル樹脂(AR)は、アクリル樹脂エマルションである、DIC株式会社製の「パテラコール」(「パテラコール」は同社の登録商標)を用意した。「パテラコール」の固形分濃度は40質量%であり、エマルションの平均粒径は10〜100nm程度と思われた。
【0100】
ウレタン樹脂(PU)は、ウレタン樹脂エマルションである、DIC株式会社製の「ハイドラン」を使用した。「ハイドラン」の固形分濃度は35質量%であり、エマルションの平均粒径は10〜100nm程度と思われた。
【0101】
エッチング剤については、リン酸量は、リン酸、リン酸水素二アンモニウムおよびリン酸二水素アンモニウムの合計量で調整し、アンモニウム量は、アンモニア(水溶液)、炭酸ジルコニウムアンモニウム、フッ化ジルコニウムアンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムおよび炭酸アンモニウムの合計量で調整した。
【0102】
シランカップリング剤(SCA)は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「SILQUEST A−186」を使用した。
【0103】
なお、表1の「F量」、「Zr量」、「添加量」、「リン酸量」、「アンモニウム量」および「SCA添加量」は、それぞれ、フッ素原子の量(質量%)、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンの金属換算での量(g/L)、結合促進剤の添加量(g/L)、リン酸またはリン酸塩のリン酸アニオン換算での含有量(g/L)、アンモニアまたはアンモニウム塩の第四級アンモニウムカチオン換算での含有量(g/L)、およびシランカップリング剤の添加量(フッ素樹脂の質量を100質量%としたときの添加量)を示す。
【0104】
また、表1の「有機樹脂」の「種類」に「FR/AR」と記載されているときは、上記フッ素樹脂と上記アクリル樹脂とをブレンドして、他の化合物とあわせた水系処理液中の固形分量が「固形分量」に記載の数値になり、かつ、フッ素原子の量が「F量」に記載の数値になるように調整したことを示す。
【0105】
【表1】
【0106】
2.評価
水系処理液1〜水系処理液15の保存安定性および水系処理液1〜水系処理液15から形成した皮膜の端面部耐食性を、以下の基準で評価した。
【0107】
2−1.保存安定性
水系処理液1〜水系処理液15を常温で180日間保管した。各水系処理液の保管前後の粘度変化量(保管後粘度から保管前粘度を差し引いた値)をフォードカップNo.4により測定し、以下の基準で保存安定性を評価した。
A 粘度変化量は10秒未満だった
B 粘度変化量は10秒以上だったが、使用に問題はなかった
C 粘度変化量は30秒以上であり、増粘により塗布が困難だった
【0108】
2−2.端面部耐食性
板厚0.6mmの普通鋼の表面に溶融Zn−6.0質量%Al−3.0質量%Mgめっき層(めっき付着量90g/m
2)を形成して、めっき鋼板とした。このめっき鋼板を幅50mm、長さ100mmに切り出したところ、切断により生じた端面の表面のうち約20%の面積がめっき層で覆われており、残りの約80%の面積は下地鋼が露出していた。
【0109】
上記めっき鋼板の上記端面に、10ml/m
2の水系処理液1〜水系処理液15を塗布し、常温で乾燥させて、試験片とした。
【0110】
試験片を大気に2年間暴露して、1年経過後および2年経過後に、試験片端面に発生した赤錆の面積率を測定し、端面の全面積のうち赤錆発生面積率WR(赤錆が発生した面積/端面全面積)を求めて、以下の基準で端面部耐食性を評価した。
A 赤錆発生面積率WRは10%以下だった
B 赤錆発生面積率WRは10%超30%以下だった
C 赤錆発生面積率WRは30%超50%以下だった
D 赤錆発生面積率WRは50%超だった
【0111】
水系処理液1〜水系処理液15の保存安定性および端面部耐食性の評価結果を、表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
フッ素樹脂を含む有機樹脂と、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンと、エッチング剤と、結合促進剤と、を含む水系処理液1〜水系処理液10は、水系処理液の保存安定性および形成された化成処理皮膜の耐食性がいずれも良好であった。
【0114】
また、エッチング剤として、リン酸またはリン酸塩と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、をいずれも含む水系処理液4〜水系処理液10を用いて化成処理皮膜を形成すると、耐食性がさらに高くなった。
【0115】
一方で、フッ素樹脂以外の樹脂を含む水系処理液11〜水系処理液13を用いて化成処理皮膜を形成すると、耐候性および耐食性が低かった。
【0116】
また、第4族元素を含む化合物または第4族元素のイオンを含まない水系処理液14を用いて化成処理皮膜を形成すると、密着性が低かった。
【0117】
また、結合促進剤を含まない水系処理液15を用いて化成処理皮膜を形成すると、耐食性が低かった。