【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る増幅装置の斜視図である。
図1のように、実施例1の増幅装置100は、ベース金属板12と側壁14とを含む筐体10内に、増幅部20、入力側整合部30、及び出力側整合部40が設けられている。ベース金属板12と側壁14は、例えば銅などの金属で形成され、グランド電位となっている。筐体10の内側から外側に延在して入力基板80及び出力基板85が設けられている。入力基板80上には、入力側整合部30にボンディングワイヤ82で電気的に接続された入力電極81が設けられている。出力基板85上には、出力側整合部40にボンディングワイヤ87で電気的に接続された出力電極86が設けられている。入力電極81及び出力電極86は、外部回路との接続に用いられる。入力電極81及び出力電極86と側壁14との間には絶縁膜89が介在していて、入力電極81及び出力電極86は筐体10に接していない。
【0012】
図2(a)及び
図2(b)は、実施例1における増幅部、入力側整合部、及び出力側整合部の斜視図である。なお、
図2(b)は、
図2(a)に対して金属部材62、固定部材68、及び接合部材60の図示を省略した図となっている。
図3(a)は、実施例1における増幅部、入力側整合部、及び出力側整合部の上面図、
図3(b)は、
図3(a)のA−A間の断面図である。なお、以下において、入力側整合部30、増幅部20、及び出力側整合部40が並んだ方向を第1方向とし、ベース金属板12の上面に平行であって第1方向に交差(例えば直交)する方向を第2方向とする。
【0013】
図2(a)から
図3(b)のように、増幅部20、入力側整合部30、及び出力側整合部40は、ベース金属板12上に設けられている。増幅部20は、複数のトランジスタ21が第2方向に並んで集積されたトランジスタチップである。トランジスタ21は、例えば電界効果トランジスタであるが、バイポーラトランジスタなど、その他のトランジスタであってもよい。
【0014】
入力側整合部30は、誘電体基板32と、誘電体基板32の上面に設けられた伝送線路34と、を含む。伝送線路34の一端は入力電極81にボンディングワイヤ82によって電気的に接続され(
図1参照)、他端は増幅部20の入力電極22(ゲート電極)にボンディングワイヤ36によって電気的に接続されている。誘電体基板32の下面はベース金属板12に接している。入力側整合部30は、入力電極81に接続される外部回路の出力インピーダンスと増幅部20の入力インピーダンスとの間で、増幅装置100で処理される高周波(例えばマイクロ波)の基本波に対してインピーダンス整合を行う。誘電体基板32は、例えば厚さが100μm〜300μm程度のアルミナ基板である。伝送線路34は、例えば金又は銅などの金属で形成された配線パターンである。ボンディングワイヤ36は、例えば金ワイヤ又は銅ワイヤなどの金属ワイヤである。
【0015】
出力側整合部40は、整合回路基板42と、整合回路基板42の上面に交差して設けられた整合回路基板52と、を含む。整合回路基板42は、ベース金属板12の上面に設けられた誘電体基板44と、誘電体基板44の上面に設けられた伝送線路46と、を含む。整合回路基板52は、誘電体基板54と、誘電体基板54を挟んで設けられた金属膜56及び58と、を含む。金属膜56は、誘電体基板54の一方の側面の全面に設けられている。金属膜58は、伝送線路46に接しないように、誘電体基板54の他方の側面のうちの下側領域以外の領域に設けられている。誘電体基板44及び54は、同じ材料で形成されていて、例えば厚さが100μm〜300μm程度のアルミナ基板である。伝送線路46と金属膜56及び58とは、例えば金又は銀などの金属で形成された金属パターンである。
【0016】
伝送線路46の一端は出力電極86にボンディングワイヤ87によって電気的に接続され(
図1参照)、他端は増幅部20の出力電極24(ドレイン電極)にボンディングワイヤ48によって電気的に接続されている。ボンディングワイヤ48は、例えば金ワイヤ又は銅ワイヤなどの金属ワイヤである。誘電体基板44の下面はベース金属板12に接している。伝送線路46は、第2方向において増幅部20の一端側から他端側にかけて延びて設けられている。すなわち、伝送線路46は、第2方向に並んだ複数のトランジスタ21の一端側のトランジスタ21から他端側のトランジスタ21にかけて延びて設けられている。
【0017】
金属膜56は、一端が伝送線路46に接続し、他端が開放されている。金属膜56の一端は、導電性ペースト(例えば銀ペースト)又は半田などの接合部材60によって伝送線路46に接合されている。金属膜56は、第2方向において増幅部20の一端側から他端側にかけて延びて設けられ、第2方向に並んだ複数のトランジスタ21の一端側のトランジスタ21から他端側のトランジスタ21にかけて延びて設けられている。金属膜56は、第2方向において、増幅部20の一端側から他端側にかけて増幅部20に略平行となって伝送線路46に接続されている。
【0018】
金属膜58の誘電体基板54とは反対側の面に、導電性ペースト又は半田などの接合部材によって金属部材62が接合されている。金属部材62は、例えば銅などで形成されている。金属部材62は、例えばネジなどの固定部材68によってベース金属板12に固定されている。これにより、金属膜58はグランド電位となっている。誘電体基板44と54は同じ材料で形成されていることから、金属膜56は、一端が伝送線路46に接続され且つ他端が開放された、オープンスタブとしての機能を有する。
【0019】
金属部材62は、金属膜58に接合して誘電体基板54に平行に設けられた第1部分64と、第1部分64の上面に接合し、第2方向で誘電体基板44を跨ぐ橋状の第2部分66と、を含む。第2部分66には、ベース金属板12に対向して孔70が設けられている。孔70は、固定部材68よりも第1方向で大きな形状をしている。金属部材62は、孔70に固定部材68が差し込まれることでベース金属板12に固定されている。
【0020】
出力側整合部40は、出力電極86に接続される外部回路の入力インピーダンスと増幅部20の出力インピーダンスとの間で、増幅装置100で処理される高周波の基本波に対してインピーダンス整合を行う。さらに、出力側整合部40は、基本波の周波数の2倍の周波数を有する2倍高調波に対するインピーダンス整合も行う。
【0021】
金属膜56の伝送線路46に接続されている一端と開放されている他端との間の長さLは、例えば増幅部20の出力の基本波における波長の1/8となっている。言い換えると、金属膜56の長さLは、例えば増幅部20から発生する2倍高調波における波長の1/4となっている。
【0022】
入力電極81に入力された高周波信号は、入力側整合部30で基本波のインピーダンスが整合された後に増幅部20の入力電極22に入力されて増幅部20で増幅される。増幅部20で増幅された高周波信号は、増幅部20の出力電極24から出力され、出力側整合部40で基本波及び2倍高調波のインピーダンスが整合される。出力側整合部40でインピーダンス整合された基本波は出力電極86から出力される。
【0023】
図4は、増幅部と出力側整合部を示す回路図である。
図4のように、増幅部20に含まれるトランジスタ21のドレイン電極に、伝送線路46を介して、出力側整合部40に形成された整合回路41が接続されている。伝送線路46には、金属膜56からなるオープンスタブ43の一端が接続されている。金属膜56の長さLが増幅部20から発生する2倍高調波における波長の1/4であることから、オープンスタブ43の線路長は2倍高調波における波長の1/4となっている。
【0024】
ここで、オープンスタブ43の線路長を2倍高調波における波長の1/4とする理由を説明する。供給電力に対する高周波電力への変換効率が良好な増幅方法として逆F級増幅が知られている。逆F級増幅では、トランジスタの出力端でのドレイン電流が矩形波で、ドレイン電圧が半波整流波となるようにトランジスタを動作させる。矩形波のドレイン電流は奇数次高調波の重ね合わせであり、半波整流波のドレイン電圧は偶数次高調波の重ね合わせであることがフーリエ変換から導出される。したがって、偶数次高調波のインピーダンスを無限大に近づけ、奇数次高調波のインピーダンスを0に近づけることで、逆F級増幅を実現でき、効率を向上させることができる。偶数次高調波のインピーダンスと奇数次高調波のインピーダンスの両方を調整することが好ましいが、片方だけを調整することでも効率を向上させることができる。
【0025】
オープンスタブ43の線路長を2倍高調波における波長の1/4とすることで、オープンスタブ43のインピーダンスは2倍高調波にとって0となる。このようなオープンスタブ43がトランジスタ21のドレイン電極から伝送線路46を介して接続されていることで、トランジスタ21から整合回路41を見たときの2倍高調波のインピーダンスを大きく見せることができる。これにより、逆F級増幅に近づけることができ、増幅装置100の効率を向上させることができる。
【0026】
図5は、比較例1に係る増幅装置の上面図である。
図5のように、比較例1の増幅装置500では、出力側整合部40は整合回路基板42上に整合回路基板52を有さない。整合回路基板42は、誘電体基板44上に伝送線路46と一端が伝送線路46に接続されたオープンスタブ49とが設けられている。オープンスタブ49は、伝送線路46の外側に配置されている。オープンスタブ49の線路長は、例えば増幅部20から発生する2倍高調波における波長の1/4となっている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0027】
比較例1の増幅装置500では、オープンスタブ49は、誘電体基板44上であって伝送線路46の外側に配置されている。このため、矢印のように、増幅部20の複数のトランジスタ21からオープンスタブ49までの伝送線路長が異なり、位相差が生じてしまう。このため、高調波の処理を良好に行うのが難しく、効率が低下してしまう。
【0028】
一方、実施例1によれば、
図2(b)のように、誘電体基板44の上面に伝送線路46が設けられた整合回路基板42に交差して整合回路基板52が設けられている。整合回路基板52は、一端が伝送線路46に接続され他端が開放された金属膜56とグランド電位の金属膜58とが誘電体基板54を挟んで設けられた2倍高調波のインピーダンス整合用の整合回路基板である。金属膜56は、第2方向において、増幅部20の一端側から他端側にかけて増幅部20に略平行となって伝送線路46に接続されている。これにより、
図2(b)の矢印のように、増幅部20の複数のトランジスタ21から金属膜56までの伝送線路長を同程度にすることができる。よって、高調波の処理を良好に行うことができ、効率を向上させることができる。例えば、比較例1の増幅装置500の効率と実施例1の増幅装置100の効率をシミュレーションで求めた所、実施例1の増幅装置100は、比較例1の増幅装置500に対して、効率が6.5%程度改善した結果となった。なお、略平行とは、製造誤差程度の違いを含むものであり、高調波処理を良好に行うことができる範囲であればよく、例えば金属膜56の増幅部20に対する傾きが10°以下であり、5°以下が好ましく、3°以下が更に好ましい。
【0029】
図3(a)及び
図3(b)のように、出力側整合部40は、金属膜58に接合し且つグランド電位のベース金属板12に固定部材68で固定された金属部材62を含むことが好ましい。これにより、整合回路基板42及び52を共通のグランドに接続させることができる。また、整合回路基板52がベース金属板12に金属部材62によって固定されることで、整合回路基板52の機械的強度を向上させることができる。整合回路基板52の機械的強度などの点から、金属部材62は、整合回路基板42を第2方向で跨ぎ、整合回路基板42の第2方向の両側で固定部材68によってベース金属板12に固定されることが好ましい。
【0030】
図3(a)のように、金属部材62は、固定部材68が金属部材62に形成された孔70に差し込まれることでベース金属板12に固定されていることが好ましい。孔70は、固定部材68よりも第1方向で大きな形状をしていることが好ましい。これにより、金属膜56の伝送線路46に対する位置を第1方向に移動させることができ、高調波処理の調整を容易に行うことができる。
【0031】
図2(a)及び
図3(b)のように、金属膜56は、伝送線路46に例えば導電性ペースト又は半田などの接合部材60によって接合されていることが好ましい。例えば、金属膜56の伝送線路46に対する位置を第1方向に移動させて調整を行った後に、金属部材62を固定部材68によってベース金属板12に固定する、その後、金属膜56を伝送線路46に接合部材60で接合する。これにより、金属膜56と伝送線路46の電気的な接続を良好にすることができる。
【0032】
図4で説明したように、整合回路基板52は、金属膜56によって、増幅部20から発生する2倍高調波における波長の1/4の長さの線路長を有するオープンスタブ43が形成されていることが好ましい。言い換えると、整合回路基板52は、金属膜56によって、増幅部20の出力の基本波における波長の1/8の長さの線路長を有するオープンスタブ43が形成されていることが好ましい。これにより、トランジスタ21から整合回路41を見たときの2倍高調波のインピーダンスを大きく見せることができるため、逆F級増幅に近づけることができる。
【実施例2】
【0033】
図6は、実施例2における増幅部、入力整合部、及び出力整合部の斜視図である。なお、
図6では、図の明瞭化のために、金属部材62及び接合部材60などの図示を省略している。
図6のように、実施例2の増幅装置200では、伝送線路46のうちの増幅部20と金属膜56との間に位置する部分が第1方向に延在するスリット72によって第2方向で複数の線路パターン46a〜46dに分割されている。金属膜56も複数の金属パターン56a〜56dに分割されていて、複数の金属パターン56a〜56dは、複数の線路パターン46a〜46dに対応して接続されている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0034】
実施例1では、複数のトランジスタ21間で伝送線路46を介して意図しないループが生じ、その結果、意図しない発振が起こることがあり得る。そこで、実施例2では、伝送線路46のうちの増幅部20と金属膜56との間に位置する部分を、第1方向に延在するスリット72によって複数の線路パターン46a〜46dに分割している。これにより、複数のトランジスタ21間で伝送線路46を介した意図しないループを抑制でき、意図しない発振を抑えることができる。
【0035】
また、実施例2によれば、金属膜56は、複数の線路パターン46a〜46dに対応して接続された複数の金属パターン56a〜56dに分割されている。これにより、複数のトランジスタ21間で意図しないループが生じることを更に抑制できる。
【0036】
実施例1及び実施例2において、逆F級増幅の場合を例に示したが、F級増幅の場合でもよい。F級増幅では、トランジスタの出力端でのドレイン電圧が矩形波でドレイン電流が半波整流波となるようにトランジスタを動作させる。したがって、偶数次高調波のインピーダンスを0に、奇数次高調波のインピーダンスを無限大に近づけることで、F級増幅を実現できる。この場合、整合回路基板52は、金属膜56によって、増幅部20の出力の基本波における波長の1/12の長さの線路長を有するオープンスタブ43が形成されることが好ましい。これにより、トランジスタ21から整合回路41を見たときの3倍高調波のインピーダンスを大きく見せることができるため、F級増幅に近づけることができる。
【0037】
実施例1及び実施例2では、誘電体基板44及び54が同じ材料で形成されている場合を例に示したが、この場合に限られる訳ではない。誘電体基板54は、誘電体基板44よりも誘電率の高い材料で形成されていてもよい。例えば、誘電体基板44がアルミナ基板であり、誘電体基板54がジルコニア基板又はチタン酸バリウムストロンチウム基板である場合でもよい。この場合、整合回路基板52は、金属膜56及び58で挟まれた誘電体基板54によって、大きな容量が形成される。例えば、誘電体基板54によって形成される容量は、2倍高調波又は3倍高調波に対して無視し得るインピーダンスとなるような十分に大きな容量であることが好ましい。言い換えると、誘電体基板54によって形成される容量は、2倍高調波又は3倍高調波に対して十分に小さいインピーダンスとなる容量であることが好ましい。この場合、
図4におけるオープンスタブ43に代わって2倍高調波又は3倍高調波に対して十分に小さいインピーダンスとなる容量が接続され、トランジスタ21から整合回路41を見たときの2倍高調波又は3倍高調波のインピーダンスを大きく見せることができる。よって、逆F級増幅又はF級増幅に近づけることができる。
【0038】
誘電体基板54によって2倍高調波又は3倍高調波に対して十分に小さいインピーダンスとなる容量が形成される場合、金属膜58は誘電体基板54の高さ方向の中央よりも上側(伝送線路46とは反対側)のみに位置して設けられていてもよい。これにより、金属膜56のうちの金属膜58に対向しない部分がインダクタとなるため、この対向しない部分の長さによってインダクタンスの調整を行うことができる。
【実施例3】
【0039】
図7は、実施例3に係る電磁波照射装置を示す図である。
図7のように、実施例3の電磁波照射装置300は、発振器90と、ドライバアンプ92と、実施例1の増幅装置100と、アンテナ94と、を備える。発振器90は、例えばPLL(Phase Locked Loop)発振器であり、高周波(例えばマイクロ波)を発振する。ドライバアンプ92は、発振器90で発振した高周波を増幅する。ドライバアンプ92は、高周波を増幅装置100が駆動できる電力まで増幅する。増幅装置100は、ドライバアンプ92で増幅された高周波を所定の電力まで増幅する。アンテナ94は、増幅装置100で増幅された高周波を外部に放射する。
【0040】
実施例3の電磁波照射装置300は、実施例1の増幅装置100を備えている。このため、効率が向上した電磁波照射装置300が得られる。なお、実施例3では、実施例1の増幅装置100を備える場合を例に示したが、実施例2の増幅装置200を備える場合でもよい。
【0041】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0042】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)グランド電位のベース金属板と、前記ベース金属板上に設けられ、複数のトランジスタを含む増幅部と、前記ベース金属板上に前記増幅部に接続されて設けられ、前記増幅部の出力のインピーダンス整合を行う整合部と、を備え、前記整合部は、前記増幅部の出力電極に接続された伝送線路を上面に有する第1誘電体基板が前記ベース金属板の上面に設けられた第1整合回路基板と、前記第1整合回路基板に交差して設けられ、一端が前記伝送線路に接続され他端が開放された第1金属膜とグランド電位の第2金属膜とが第2誘電体基板を挟んで設けられた高調波のインピーダンス整合用の第2整合回路基板と、を含み、前記第1金属膜は、前記増幅部と前記第1整合回路基板とが並んだ第1方向に交差する第2方向において、前記増幅部の一端側から他端側にかけて前記増幅部に略平行となって前記伝送線路に接続されている、増幅装置。
(付記2)前記整合部は、前記第2金属膜に接合し且つ前記ベース金属板に固定部材で固定された金属部材を含む、付記1記載の増幅装置。
(付記3)前記金属部材は、前記第1整合回路基板を前記第2方向で跨ぎ、前記第1整合回路基板の前記第2方向の両側で前記固定部材によって前記ベース金属板に固定されている、付記2記載の増幅装置。
(付記4)前記金属部材は、前記固定部材が前記金属部材に形成された孔に差し込まれることで前記ベース金属板に固定されていて、前記孔は、前記固定部材よりも前記第1方向で大きな形状をしている、付記2または3記載の増幅装置。
(付記5)前記伝送線路のうちの前記増幅部と前記第1金属膜との間に位置する部分は、前記第1方向に延在するスリットによって複数の第1パターンに分割されている、付記1から4のいずれか一項記載の増幅装置。
(付記6)前記第1金属膜は、前記複数の第1パターンに対応して接続された複数の第2パターンに分割されている、付記5記載の増幅装置。
(付記7)前記第1金属膜は、前記伝送線路に接合部材で接合されている、付記1から6のいずれか一項記載の増幅装置。
(付記8)前記接合部材は、導電性ペースト又は半田である、付記7記載の増幅装置。
(付記9)前記第2整合回路基板は、前記第1金属膜によって、基本波の波長の1/8又は1/12の長さの線路長を有するオープンスタブが形成されている、付記1から8のいずれか一項記載の増幅装置。
(付記10)前記第1誘電体基板と前記第2誘電体基板は同じ材料で形成されている、付記1から9のいずれか一項記載の増幅装置。
(付記11)前記第2整合回路基板は、前記第1金属膜と前記第2金属膜とで挟まれ且つ前記第1誘電体基板よりも高誘電率の材料で形成された前記第2誘電体基板によって容量が形成されている、付記1から8のいずれか一項記載の増幅装置。
(付記12)前記第2整合回路基板は、前記第2誘電体基板によって、2倍高調波又は3倍高調波に対して十分に小さいインピーダンスとなる前記容量が形成されている、付記11記載の増幅装置。
(付記13)前記第2金属膜は、前記第2誘電体基板の高さ方向の中央よりも上側に位置して設けられている、付記11又は12記載の増幅装置。
(付記14)前記複数のトランジスタは、電界効果トランジスタ又はバイポーラトランジスタである、付記1から13のいずれか一項記載の増幅装置。
(付記15)高周波を発振する発振器と、前記発振器の出力を増幅するアンプと、前記アンプの出力を増幅する増幅装置と、前記増幅装置の出力を放射するアンテナと、を備え、前記増幅装置は、グランド電位のベース金属板と、前記ベース金属板上に設けられ、複数のトランジスタを含む増幅部と、前記ベース金属板上に前記増幅部に接続されて設けられ、前記増幅部の出力のインピーダンス整合を行う整合部と、を備え、前記整合部は、前記増幅部の出力電極に接続された伝送線路を上面に有する第1誘電体基板が前記ベース金属板の上面に設けられた第1整合回路基板と、前記第1整合回路基板に交差して設けられ、一端が前記伝送線路に接続され他端が開放された第1金属膜とグランド電位の第2金属膜とが第2誘電体基板を挟んで設けられた高調波のインピーダンス整合用の第2整合回路基板と、を含み、前記第1金属膜は、前記増幅部と前記第1整合回路基板とが並んだ第1方向に交差する第2方向において、前記増幅部の一端側から他端側にかけて前記増幅部に略平行となって前記伝送線路に接続されている、電磁波照射装置。