【実施例】
【0018】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る設定情報入力制御方法、設定情報入力制御プログラム及び設定情報入力システムについて、
図2乃至
図9を参照して説明する。
図2は、本実施例の設定情報入力システムの構成を示す模式図であり、
図3は、情報入力装置の構成を示すブロック図、
図4は、画像形成装置の構成を示すブロック図である。また、
図5は、印刷設定情報(第1の母集団)の一例であり、
図6及び
図7は、本実施例の情報入力装置の動作を示すフローチャート図である。また、
図8及び
図9は、本実施例の情報入力装置に表示される画面の一例である。
【0019】
図2に示すように、本実施例の設定情報入力システム10は、情報入力装置20、記憶装置30、画像形成装置40などで構成され、これらはイーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク50を介して接続されている。以下、各装置について説明する。
【0020】
[情報入力装置]
情報入力装置20は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であり、ジョブを作成して画像形成装置40に送信する。この情報入力装置20は、
図3(a)に示すように、制御部21、記憶部25、ネットワークI/F部26、表示部27、操作部28などで構成される。
【0021】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)22とROM(Read Only Memory)23やRAM(Random Access Memory)24などのメモリとで構成され、CPU22は、ROM23や記憶部25に記憶した制御プログラムをRAM24に展開して実行することにより、情報入力装置20全体の動作を制御する。
【0022】
上記制御部21は、
図3(b)に示すように、第1解析部21a、判定部21b、第2解析部21c、表示制御部21d、ジョブ生成部21eなどとして機能する。
【0023】
第1解析部21aは、1又は複数の入力部(例えば、後述する印刷設定画面や条件入力画面の項目)に対する設定情報の入力を受け付け、データベースから、入力された設定情報を含むジョブを抽出して第1の母集団を作成する。そして、第1の母集団を用いて他の入力部の設定候補を特定し、入力された設定情報と特定した設定候補とを対応付けるルールを作成する。なお、ルールとは、第1の入力部に第1の情報が入力された場合は第2の入力部に第2の情報を入力するという時系列の情報の組み合わせを定めるものである。また、入力される設定情報は、例えば、印刷物の種別(名称や製品分類、得意先名など)、ジョブを抽出する期間などである。また、第1解析部21aは、他の入力部の設定候補が選択された場合、当該選択された設定候補を入力された設定情報として取り扱って第1の母集団を作成する。
【0024】
判定部21bは、設定情報と設定候補との関連性を示す評価値(アソシエーション分析における支持度、確信度、リフト値など)を算出し、評価値が予め定めた所定値以上となる設定候補があるかを判定する。なお、評価値は、ルールを評価するための指標であり、例えば、ある設定情報が入力される事象を条件部、ある設定候補が選択される事象を結論部とすると、支持度、確信度、リフト値は各々、次のように定義される。
支持度=(条件部と結論部を共に含むデータ数)/全データ数
確信度=(条件部と結論部を共に含むデータ数)/条件部を含むデータ数
リフト値=確信度/結論部を含むデータ数
【0025】
第2解析部21cは、評価値が所定値以上となる設定候補がない場合に、所定の時間条件(例えば、現在から遡る期間や繰り返し周期など)で第1の母集団を切り出して第2の母集団を作成する。そして、第2の母集団を用いて他の入力部の設定候補を特定し、設定情報と設定候補とを対応付けるルールを再度作成する。その際、例えば、現在から遡る期間で第1の母集団を切り出して第2の母集団を作成し、当該第2の母集団を用いて特定した設定候補に対して算出した評価値が所定値以上にならない場合は、所定の時間条件を変更して、第2の母集団を作成し直す。また、評価値が所定値以上になる場合は、現在から遡る期間を順次長くして第2の母集団を作成し直し、当該第2の母集団に基づいて評価値を順次算出して比較し、評価値が低下した場合は、評価値が低下する直前の期間で第1の母集団を切り出して第2の母集団を作成する。また、評価値を比較した結果、評価値が高くなった場合は、所定の繰り返し周期で第1の母集団を切り出して第2の母集団を作成する。また、第2の母集団の作成結果を表示して当該第2の母集団の適否の判断を受け付け、第2の母集団が適切でないと判断された場合は、所定の時間条件を変更して、第2の母集団を作成し直す。
【0026】
表示制御部21dは、他の入力部に対する入力操作が行われた場合(例えば、印刷設定画面で他の項目が指定された場合)に、第2解析部21cが再度作成したルール(評価値が所定値以上の場合は第1解析部21aが作成したルール)に従って、他の入力部に第2解析部21cが特定した設定候補(評価値が所定値以上の場合は第1解析部21aが特定した設定候補)を表示する。
【0027】
ジョブ生成部21eは、各入力部の設定情報(例えば、印刷設定画面で設定された印刷設定情報)に従って、画像形成装置40に印刷を指示するジョブを生成する。
【0028】
なお、上記第1解析部21a、判定部21b、第2解析部21c、表示制御部21d、ジョブ生成部21eはハードウェアとして構成してもよいし、制御部21を、第1解析部21a、判定部21b、第2解析部21c、表示制御部21d、ジョブ生成部21e(特に、第1解析部21a、判定部21b、第2解析部21c、表示制御部21d)として機能させる設定情報入力制御プログラムとして構成し、当該設定情報入力制御プログラムをCPU22に実行させるようにしてもよい。
【0029】
上記設定情報入力制御プログラムは、プリンタドライバ又はダイレクトプリントユーティリティに含めることができる。例えば、PJL(Printer Job Language)やPS(PostScript)、PCL(Printer Control Language)等のページ記述言語で記述されたPDL(Page Description Language)のジョブを生成する場合は、プリンタドライバに設定情報入力制御プログラムを含め、プリンタドライバが表示する印刷設定画面に対して設定候補を表示することができる。また、PDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)、OOXML(Office Open XML)、ODF(OpenDocument Format)などのダイレクトプリントが可能なジョブを生成する場合は、ダイレクトプリントユーティリティに設定情報入力制御プログラムを含め、ダイレクトプリントユーティリティが表示する印刷設定画面に対して設定候補を表示することができる。
【0030】
記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU22が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、後述する印刷設定画面や条件入力画面、第2の母集団の作成結果などの画面データ、画像形成装置40に送信するジョブ、データベースから作成した第1の母集団、第1の母集団を切り出して作成した第2の母集団などを記憶する。
【0031】
ネットワークI/F部26は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、情報入力装置20を通信ネットワーク50に接続し、記憶装置30に記憶されたデータベースを利用できるようにしたり、画像形成装置40にジョブを送信したりする。
【0032】
表示部27は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置などで構成され、印刷設定画面や条件入力画面、第2の母集団の作成結果などを表示する。
【0033】
操作部28は、マウスやキーボードなどで構成され、印刷設定画面や条件入力画面の各項目に対する設定情報の入力操作や設定候補の選択操作などを可能にする。
【0034】
[記憶装置]
記憶装置30は、情報入力装置20が利用する各種情報をデータベースとして記憶する装置である。本実施例では、特に、過去に印刷したジョブの印刷設定情報を時間に関連付けてデータベースとして保存し、このデータベースを情報入力装置20に提供して各入力部に表示する設定候補を特定可能にする。
【0035】
[画像形成装置]
画像形成装置40は、MFP(Multi-Functional Peripherals)などであり、情報入力装置20から受信したジョブに基づいて印刷処理を実行する。この画像形成装置40は、
図4に示すように、制御部41、記憶部45、ネットワークI/F部46、表示操作部47、画像処理部48、印刷処理部49などで構成される。
【0036】
制御部41は、CPU42とROM43やRAM44などのメモリとで構成され、CPU42は、ROM43や記憶部45に記憶した制御プログラムをRAM44に展開して実行することにより、画像形成装置40全体の動作を制御する。
【0037】
記憶部45は、HDDやSSDなどで構成され、CPU42が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、情報入力装置20から受信したジョブ、画像処理部48が生成した画像データなどを記憶する。
【0038】
ネットワークI/F部46は、NICやモデムなどで構成され、画像形成装置40を通信ネットワーク50に接続し、情報入力装置20からジョブを受信可能にする。
【0039】
表示操作部47は、表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどであり、印刷処理に関する各種画面を表示し、印刷に関する各種操作を可能にする。
【0040】
画像処理部48は、RIP部(Raster Image Processor)として機能し、ジョブを翻訳して中間データを生成し、レンダリングを行ってビットマップ形式の画像データを生成する(この一連の処理をRIP処理と呼ぶ。)。また、画像処理部48は、必要に応じて、画像データに対して、スクリーン処理、階調補正、濃度バランス調整、細線化、網点処理などを行う。そして、画像処理部48は、生成した画像データを印刷処理部49に出力する。
【0041】
印刷処理部49は、画像データに基づいて印刷処理を実行する。この印刷処理部49は、画像データに基づいてレーザ光を照射して露光する露光部と、感光体ドラムと現像部と帯電部と感光体クリーニング部と1次転写ローラとを備え、CMYKの各色のトナー像を形成する画像形成部と、ローラによって回転され、画像形成部で形成されたトナー像を用紙に搬送する中間転写体として機能する中間ベルトと、中間ベルト上に形成されたトナー像を用紙に転写する2次転写ローラと、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部と、用紙を搬送する給紙ローラやレジストローラ、ループローラ、反転ローラ、排紙ローラ等の搬送部などで構成される。
【0042】
なお、
図2乃至
図4は、本実施例の設定情報入力システム10の一例であり、本実施例の設定情報の入力制御が実施可能な限りにおいて、各装置の構成や制御は適宜変更可能である。例えば、
図2では、情報入力装置20と記憶装置30とを別々の装置としたが、記憶装置30を情報入力装置20に含める(情報入力装置20の記憶部25にデータベースを保存する)場合は、記憶装置30を省略してもよい。また、情報入力装置20が作成したジョブを記憶装置に保存する場合は画像形成装置40を省略してもよいし、ジョブを管理するコントローラを追加してもよい。
【0043】
以下、「月間フットボール」という仮想の月刊誌を例にして説明する。
図5は、ある印刷会社に蓄積された印刷設定情報の一例であり、データベースに保存された全てのジョブの印刷設定情報の中から「月間フットボール」という品名で抽出した第1の母集団を示している。この「月間フットボール」という雑誌は、以下に示す特徴があり、この特徴に対して以下に示す手法で第2の母集団を作成し、設定候補を特定する。
【0044】
[特徴1]
2017年1月以降、用紙種はFine_NからCoat_Nに、用紙サイズは182×257mmから220×282mmにリニューアルされている(図の太線の枠参照)。
図5の全データを対象にすると、用紙種はFine_NとCoat_Nとがほぼ同数であるので、条件部となるLHS(Left Hand Side)から支持度、確信度、リフト値などの評価値が高い用紙種や用紙サイズを導き出すことはできない(すなわち、設定候補を特定することができない)。
【0045】
(1)そこで、ある時期(月)から印刷物の構成が変更になったと想定し、過去の最新の履歴(2017年7月)から順次遡って結論部となるRHS(Right Hand Side)を導き出す。その際、臨時増刊号等の可能性があるため、最低3ヶ月分のデータを採用することとする。例えば、2017年5月以降(5〜7月)のデータを採用すると、評価値の高い用紙種、用紙サイズを導き出すことができる。更に順次遡り、2017年1月以降(1〜7月)のデータを採用しても、同等の評価値を得ることができる。一方、2016年12月以前のデータを含めると、順次評価値が下がることが分かる。以上の結果から、2017年1月以降に構成が変更になったと判断することができ、2017年1月以降の7ヶ月分のデータを第2の母集団として採用する。なお、評価値を検証するデータは過去1年分(2016年8月以降)とする。
【0046】
(2)上記(1)では7ヶ月分のデータを対象としているため、季節単位、或いは特定の月単位で構成が変更になっている場合、その構成の変更が評価値に反映されていない可能性がある。そこで、過去数年間(例えば、3年間)の同月(又は同季節)のデータを採用して用紙種、用紙サイズの評価値を算出する。例えば、2017年7月、2016年7月、2015年7月のデータを採用した場合の用紙種、用紙サイズの評価値は低いことから、月毎の属性がないことが分かる。
【0047】
上記(1)、(2)の結果より、「月間フットボール」は、2017年1月以降に構成(用紙種、用紙サイズ)が変更になったとみなし、2017年1月以降のデータを第2の母集団として採用し、この第2の母集団を用いて設定候補(用紙種に対してCoat_N、用紙サイズに対して220×282mm)を特定し、所定の入力部(品名)に対して「月間フットボール」が入力された場合は、他の入力部(用紙種、用紙サイズ)に対して設定候補としてCoat_N、220×282mmを表示するというルールを作成する。
【0048】
[特徴2]
フットボールのシーズンオフ(1月〜3月)は発行部数がシーズン中に比べて少ない。
図5の全データを対象にすると、部数は50000部と100000部とが混在するので、LHSから支持度、確信度、リフト値などの評価値が高い用紙種、部数を導き出すことができない(すなわち、設定候補を特定することができない)。
【0049】
(1)そこで、ある時期(月)から印刷物の構成が変更になったと想定し、過去の最新の履歴(2017年7月)から順次遡ってRHSを導き出す。その際、臨時増刊号等の可能性があるため、上記と同様に、最低3ヶ月分のデータを採用することとする。例えば、2017年4月以降(4〜7月)のデータを採用すると、評価値の高い部数を導き出すことができる。更に順次遡り、2017年1〜3月のデータを含めると順次評価値が下がることが分かる。一方、それ以前のデータ(2016年8〜12月)を含めると順次評価値が上がるため、上記の想定は誤っているとみなす。
【0050】
(2)ある時期(月)から部数が変更になったわけではないことが明らかになったが、季節単位、或いは特定の月単位で構成が変更になっている場合、その構成の変更が評価値に反映されていない可能性がある。そこで、過去数年間(例えば、3年間)の同月(又は同季節)のデータを採用して部数の評価値を算出する。例えば、2017年7月、2016年7月、2015年7月のデータを採用した場合の評価値や2017年1月、2016年1月、2015年1月のデータを採用した場合の評価値は同等となっており、評価値が高いことから、特定の月毎の属性があることが分かる。
【0051】
上記(1)、(2)の結果より、「月間フットボール」は、特定の月単位(季節単位)で部数の設定が変更されているとみなし、1〜3月は50000部、4〜12月は100000部のように、過去の同じ月(季節)のデータを第2の母集団として採用し、この第2の母集団を用いて設定候補(部数に対して50000部又は100000部)を特定し、所定の入力部(品名)に対して「月間フットボール」が入力された場合は、他の入力部(部数)に対して設定候補として現在の日時に応じて50000部又は100000部を表示するというルールを作成する。
【0052】
以下、本実施例の情報入力装置20の動作について具体的に説明する。情報入力装置20のCPU22は、ROM23又は記憶部25に記憶した設定情報入力制御プログラムをRAM24に展開して実行することにより、
図6及び
図7のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、記憶装置30には予め、過去に印刷したジョブの印刷設定情報が時間に関連付けてデータベースとして保存されているものとする。
【0053】
[全体処理]
図6に示すように、情報入力装置20の制御部21は、データの更新を監視し(S101)、データの更新があったら(S101のYes)、機械学習による最適ルールの作成を開始する(S102)。
【0054】
まず、制御部21(第1解析部21a)は、設定情報の入力を受け付ける(S103)。例えば、表示部27に、
図8に示す印刷設定画面60や
図9に示す条件入力画面61などを表示させて、1又は複数の入力部に対する設定情報の入力を受け付ける。なお、データの更新があった場合に直ちに条件入力画面61を表示させてもよいが、印刷設定画面60に設けた所定のボタン(ここでは「環境設定」ボタン)が押下されたら、条件入力画面61を表示させるようにしてもよい。また、入力される設定情報は、記憶装置30に保存されたデータベースから第1の母集団を作成するために利用される情報であり、例えば、品名や製品分類、得意先、ジョブを抽出する期間などとすることができるが、設定情報はこれらに限定されない。そして、制御部21(第1解析部21a)は、データベースから入力された設定情報を含むジョブを抽出して第1の母集団を作成する(S104)。
【0055】
次に、制御部21(第1解析部21a)は、第1の母集団を使用して他の入力部の設定候補を特定し、入力された設定情報と他の入力部の各設定候補とを対応付けるルールを作成する(S105)。そして、制御部21(判定部21b)は、各々のルールに対して設定情報と各設定候補との関連性を示す評価値を算出し、所定値以上の評価値が得られるか(評価値が所定値以上となる設定候補があるか)を判定する(S106)。
【0056】
所定値以上の評価値が得られる(評価値が所定値以上となる設定候補がある)場合は(S106のYes)、S109に遷移し、所定値以上の評価値が得られない(評価値が所定値以上となる設定候補がない)場合は(S106のNo)、制御部21(第2解析部21c)は、第1の母集団を所定の時間条件に基づく分割方法に従って切り出して第2の母集団を作成する(S107)。このステップの詳細は後述する。次に、制御部21(第2解析部21c)は、第2の母集団を使用して他の入力部の設定候補を特定し、設定情報と設定候補とを対応付けるルールを作成する(S108)。
【0057】
そして、制御部21(表示制御部21d)は、他の入力部に対する入力操作が行われた場合(例えば、印刷設定画面で他の項目が指定された場合)に、S105で第1の母集団を使用して作成されたルール、又は、S108で第2の母集団を使用して作成されたルールに従って、他の入力部に設定候補を選択可能に表示し(S109)、各入力部の設定が終了したら、制御部21(ジョブ生成部21e)は、各入力部の設定情報に従ってジョブを生成し、生成したジョブを画像形成装置40に出力して印刷を指示する(S110)。
【0058】
次に、上記S107の第2の母集団の作成処理について、
図7のフローチャート図を参照して説明する。
【0059】
[第2の母集団作成処理]
まず、制御部21(第2解析部21c)は、第1の母集団を分割する方法(所定の時間条件)を決定する(S201)。ここでは、第1の母集団を分割する方法を、(1)ある時期からの構成変更を想定した方法、(2)特定の月単位の構成変更を想定した方法の2つとし、この優先順位に従って第1の母集団を分割する。
【0060】
具体的には、制御部21(第2解析部21c)は、ある時期からの構成変更を想定し、最新の月から3ヶ月分のデータを使用して他の入力部の設定候補を特定し、設定情報と他の入力部の各設定候補とを対応付けるルールを作成する(S202)。そして、制御部21(判定部21b)は、作成したルールに対する評価値を算出し、所定値以上の評価値が得られるかを判定する(S203)。
【0061】
所定値以上の評価値が得られない場合は(S203のNo)、制御部21(第2解析部21c)は、ある時期からの構成変更とはみなさず、次の母集団分割方法を採用し(S204)、S210に遷移する。一方、所定値以上の評価値が得られる場合は(S203のYes)、制御部21(第2解析部21c)は、前月のデータを追加して他の入力部の設定候補を特定し、設定情報と他の入力部の各設定候補とを対応付けるルールを作成する(S205)。そして、制御部21(判定部21b)は、作成したルールに対する評価値を算出し、同等の評価値が得られるかを判定する(S206)。
【0062】
同等の評価値が得られない場合は(S206のNo)、制御部21(判定部21b)は、評価値が低下したかを判断する(S209)。同等の評価値が得られる場合(S206のYes)、及び、評価値が低下した場合(S209のYes)は、制御部21(第2解析部21c)は、対象データが12ヶ月以上であるかを判断する(S207)。対象データが12ヶ月以上でない場合は(S207のNo)、S205に戻って更に前月のデータを追加する。対象データが12ヶ月以上の場合は(S207のYes)、制御部21(第2解析部21c)は、評価値が低下した前月に構成変更になった(若しくは12ヶ月前以降に構成変更になった)と判断し(S208)、構成変更後の月のデータを用いて第2の母集団を作成する(S214)。
【0063】
一方、評価値が低下しない(向上した)場合は(S209のNo)、制御部21(第2解析部21c)は、特定の月単位の構成変更を想定し、過去数年間(ここでは過去5年間)の同月のデータを使用して他の入力部の設定候補を特定し、設定情報と他の入力部の各設定候補とを対応付けるルールを作成する(S210)。そして、制御部21(判定部21b)は、作成したルールに対する評価値を算出し、所定値以上の評価値が得られるかを判定する(S211)。所定値以上の評価値が得られる場合は(S211のYes)、制御部21(第2解析部21c)は、特定の月単位で構成変更になったと判断し(S212)、過去数年間の同月のデータを用いて第2の母集団を作成する(S214)。一方、所定値以上の評価値が得られない場合は(S211のNo)、制御部21(第2解析部21c)は、特定の月単位の構成変更とはみなさず、別の母集団分割方法を採用し(S213)、S201に戻って同様の処理を実行する。
【0064】
S214で第2の母集団を作成した後、制御部21(第2解析部21c)は、必要に応じて、第2の母集団の作成結果を表示(例えば、第2の母集団のデータを一覧表示する画面を表示部27などに表示)して、第2の母集団が適切であるかをユーザに判断させ(S215)、第2の母集団が適切でないと判断された場合は(S215のNo)、S201に戻って第1の母集団を分割する方法を決定し直す。
【0065】
このように、ある時期からの構成変更や特定の月単位の構成変更を想定するなどして、第1の母集団を分割する方法を決定し、その分割方法に従って第1の母集団を切り出し、切り出したデータに対して算出した評価値の変化に基づいて想定を検証し、検証結果に基づいて第2の母集団を作成し、第2の母集団を用いて設定候補を特定し、入力された設定情報と特定した設定候補とを対応付けるルールを作成することにより、各入力部に表示する設定候補の精度を向上させることができる。そして、データベースのデータが更新(データが追加)される度に、上記処理を繰り返し実行する(すなわち、機械学習により最適ルールを作成する)ことにより、より確度の高い設定候補を表示することができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、設定情報入力システムの構成や制御は適宜変更可能である。
【0067】
例えば、上記実施例では、所定の入力部に対して設定情報が入力された場合に、他の入力部に対する設定候補を特定する場合について記載したが、他の入力部の中の第1の入力部に対して設定候補が選択されたら、選択された設定候補を入力された設定情報と見なして、他の入力部の中の第2の入力部に対する設定候補を順次特定する(すなわち、複数の入力部に対して入力又は選択された設定情報に基づいて、更に他の入力部に対する設定候補を順次特定する)場合も、同様の方法で実現することができる。
【0068】
また、上記実施例では、印刷設定情報を入力する場合について記載したが、複数の入力部に任意の設定情報を入力する場合に対して、本発明の設定情報入力制御方法を同様に適用することができる。