特許第6962228号(P6962228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6962228画質検査用カメラシステム、印刷装置及び光源調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962228
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】画質検査用カメラシステム、印刷装置及び光源調整方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20211025BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20211025BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H04N1/04 101
   B41J29/393 101
   B41J2/01 451
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-24222(P2018-24222)
(22)【出願日】2018年2月14日
(65)【公開番号】特開2019-140611(P2019-140611A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100187539
【弁理士】
【氏名又は名称】藍原 由和
(72)【発明者】
【氏名】多津田 哲男
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−174280(JP,A)
【文献】 特開2017−103763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04− 1/207
G06T 1/00
B41J 2/01
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の媒体に光を照射するN個(N≧2)の光源と、
前記媒体を撮影するカメラと、
制御部と
を備え、
前記制御部は、i番目の光源(i=1〜N)を基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された撮影データに基づいて、i番目の光源の画質検査時駆動信号を設定する設定処理を実行し、
前記設定処理は、
i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値に基づく所定の代表輝度値算出処理を行ってi番目の代表輝度値を算出することと、
i番目の代表輝度値が所定の目標輝度値条件を満たすように前記基準駆動信号を調整することでi番目の光源の画質検査時駆動信号を決定することと、
を含む、
画質検査用カメラシステム。
【請求項2】
印刷対象の媒体に光を照射するN個(N≧2)の光源と、
前記媒体を撮影するカメラと、
制御部と
を備え、
前記制御部は、i番目の光源(i=1〜N)を基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された撮影データに基づいて、i番目の光源の画質検査時駆動信号を設定する設定処理を実行し、
前記設定処理は、
i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値に基づく所定の代表輝度値算出処理を行ってi番目の代表輝度値を算出することと、
i番目の代表輝度値が所定の目標輝度値条件を満たすように前記基準駆動信号を調整することでi番目の光源の仮の駆動信号を仮決定することと、
i番目の光源を対応する前記仮の駆動信号で点灯させることでN個の光源を点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値に基づいて、各光源の前記仮の駆動信号を調整してi番目の光源の画質検査時駆動信号を決定することと、
を含む、
画質検査用カメラシステム。
【請求項3】
前記代表輝度値算出処理は、
i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値をM個(M≧2)ずつ集約した撮影データを算出することと、
前記集約された撮影データに基づいてi番目の代表輝度値を算出することと、
を含む、
請求項1又は2に記載の画質検査用カメラシステム。
【請求項4】
前記画質検査用カメラシステムは、印刷装置のキャリッジ部に設けられ、
前記代表輝度値算出処理は、
前記キャリッジ部の主走査方向への移動中において、i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラが撮影した複数回の撮影データについて、対応するピクセルの輝度値を平均化した撮影データを算出することと、
前記平均化された撮影データに基づいてi番目の代表輝度値を算出することと、
を含む、
請求項1又は2に記載の画質検査用カメラシステム。
【請求項5】
前記画質検査用カメラシステムは、印刷装置のキャリッジ部に設けられ、
前記代表輝度値算出処理は、
前記キャリッジ部の主走査方向への移動中において、i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラが撮影した複数回の撮影データについて、対応するピクセルの輝度値を平均化し、且つ、各ピクセルの輝度値をM個(M≧2)ずつ集約した撮影データを算出することと、
前記平均化及び前記集約がなされた撮影データに基づいてi番目の代表輝度値を算出することと、
を含む、
請求項1又は2に記載の画質検査用カメラシステム。
【請求項6】
i番目の代表輝度値を算出することは、前記撮影データに含まれる各ピクセルの輝度値のヒストグラムのうち、中央値より高輝度であり、最高輝度値より低輝度となる、所定の上位頻度の輝度値を代表輝度値として算出することである、
請求項1〜5の何れか一項に記載の画質検査用カメラシステム。
【請求項7】
前記制御部は、画質検査用印刷の前の状態の前記媒体に対して前記光量設定処理を行う、
請求項1〜6の何れか一項に記載の画質検査用カメラシステム。
【請求項8】
前記N個の光源は、少なくとも2個の光源を含み、
前記2個の光源は、発光正面方向が互いに前記媒体に対して正反射の位置に設置され、
前記カメラは、光軸を前記正反射の反射位置に向けて設置された、
請求項1〜7の何れか一項に記載の画質検査用カメラシステム。
【請求項9】
前記制御部は、i番目の光源を、前記設定処理により設定された前記画質検査時駆動信号で駆動することで、前記N個の光源を全て点灯させて画質検査処理を行う、
請求項1〜8の何れか一項に記載の画質検査用カメラシステム。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の画質検査用カメラシステムを備えた印刷装置。
【請求項11】
印刷装置に設置された画質検査用カメラシステムにおける光源調整方法であって、
前記画質検査用カメラシステムは、
印刷対象の媒体に光を照射するN個(N≧2)の光源と、
前記媒体を撮影するカメラと、
を備えており、
i番目の光源(i=1〜N)を基準駆動信号で点灯させることと、
i番目の光源を点灯させたときに前記カメラで撮影された撮影データに基づいて、i番目の光源の画質検査時駆動信号を設定することと、
i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値に基づく所定の代表輝度値算出処理を行ってi番目の代表輝度値を算出することと、
i番目の代表輝度値が所定の目標輝度値条件を満たすように前記基準駆動信号を調整することでi番目の光源の画質検査時駆動信号を決定することと、
を含む、
光源調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画質検査用の光源とカメラとを有する画質検査用カメラシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置では、特にサイネージなど高画質が求められる印刷物を印刷するとき、印刷を行う前に画質検査及び印刷制御の調整処理である、いわゆる「キャリブレーション」を行うことが知られている。キャリブレーションの結果が印刷品質に大きく影響するため、印刷結果を向上させ得るキャリブレーション方法の開発が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1では、パッチ画像などのテストパターンを用いてキャリブレーションを行う過程において、テストパターン領域以外のノイズデータが含まれる領域を読み取らせないようにラインセンサーの光量を調整する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−237780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷媒体は、紙や布、プラスティックシートなどがあり、用途に応じて選択される。印刷媒体の表面は、平滑に限らず媒体に特有のテクスチャーと呼ばれる凹凸形状がある。再現するカラー画像が同じでも、テクスチャーが異なればできあがった印刷物の見栄えも変わる。そのため、キャリブレーションによってテクスチャーに応じた印刷制御の初期設定が行われることとなるが、キャリブレーションを実行する際にはテクスチャーが不明な状態であるため、テクスチャーに関わらず良好なキャリブレーションを実現できる必要がある。
【0006】
例えば、キャリブレーション用の光源が1つの場合、テクスチャーにあたる光の方向が限られるためにテクスチャーの微細な凹凸に応じた印影が浮かび上がり、キャリブレーションの結果に影響を与える場合がある。そこで、光源を複数設けることでテクスチャーにあたる光の方向依存性を下げ、安定したキャリブレーションを実現可能とする方法が考えられる。しかし、特許文献1では、複数光源が想定されておらず、良好なキャリブレーションを実現するための光源の光量調整や、複数光源を使用する場合のノイズの削減については開示されていない。つまり、キャリブレーションをするためのキャリブレーションとも言える、キャリブレーションをするための光源調整が必要となるが、特許文献1には開示されていない。
【0007】
本発明は、こうした背景を元に考案されたものであって、その目的とするところは、複数の光源とカメラとを使って良好なキャリブレーションを実現する新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための第1の発明は、印刷対象の媒体に光を照射するN個(N≧2)の光源と、前記媒体を撮影するカメラと、制御部とを備え、前記制御部は、i番目の光源(i=1〜N)を基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された撮影データに基づいて、i番目の光源の画質検査時駆動信号を設定する設定処理を実行し、前記設定処理が、i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値に基づく所定の代表輝度値算出処理を行ってi番目の代表輝度値を算出することと、i番目の代表輝度値が所定の目標輝度値条件を満たすように前記基準駆動信号を調整することでi番目の光源の画質検査時駆動信号を決定することと、を含む、画質検査用カメラシステムである。
【0009】
第1の発明によれば、光源別に点灯させた場合の撮影データに基づいて、光源別に画質検査時用駆動信号を設定することができる。また、各光源を別個に点灯させたときに撮影される画像の代表輝度値が共通の目標輝度値条件を満たすように各光源を調整することができる。よって、各光源の光量の差によってキャリブレーション用に撮影される画像中に生じ得るムラを抑制することができ、良好なキャリブレーションを実現できる。
【0010】
第2の発明は、印刷対象の媒体に光を照射するN個(N≧2)の光源と、前記媒体を撮影するカメラと、制御部とを備え、前記制御部は、i番目の光源(i=1〜N)を基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された撮影データに基づいて、i番目の光源の画質検査時駆動信号を設定する設定処理を実行し、前記設定処理が、i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値に基づく所定の代表輝度値算出処理を行ってi番目の代表輝度値を算出することと、i番目の代表輝度値が所定の目標輝度値条件を満たすように前記基準駆動信号を調整することでi番目の光源の仮の駆動信号を仮決定することと、i番目の光源を対応する前記仮の駆動信号で点灯させることでN個の光源を点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値に基づいて、各光源の前記仮の駆動信号を調整してi番目の光源の画質検査時駆動信号を決定することと、を含む、画質検査用カメラシステムである。
【0011】
第2の発明によれば、光源別に点灯させた場合の撮影データに基づいて、光源別に画質検査時用駆動信号を設定することができる。また、各光源を別個に点灯させたときに撮影される画像の代表輝度値が共通の目標輝度値条件を満たすように各光源を調整した後、さらに各光源を同時点灯させて再調整を行うため、光量調整の精度を高めることができる。よって、各光源の光量の差によってキャリブレーション用に撮影される画像中に生じ得るムラを抑制することができ、良好なキャリブレーションを実現できる。
【0012】
第3の発明は、前記代表輝度値算出処理が、i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値をM個(M≧2の整数)ずつ集約した撮影データを算出することと、前記集約された撮影データに基づいてi番目の代表輝度値を算出することと、を含む、第1又は第2の発明の画質検査用カメラシステムである。
【0013】
第3の発明によれば、カメラのイメージセンサーに搭載されている多数のピクセルのうちの幾つかが不良であったとしてもその影響を低減して、安定して良質な光量調整を実現できる。
【0014】
第4の発明は、前記画質検査用カメラシステムが、印刷装置のキャリッジ部に設けられ、前記代表輝度値算出処理は、前記キャリッジ部の主走査方向への移動中において、i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラが撮影した複数回の撮影データについて、対応するピクセルの輝度値を平均化した撮影データを算出することと、前記平均化された撮影データに基づいてi番目の代表輝度値を算出することと、を含む、第1又は第2の発明の画質検査用カメラシステムである。
【0015】
また、第5の発明は、前記画質検査用カメラシステムが、印刷装置のキャリッジ部に設けられ、前記代表輝度値算出処理は、前記キャリッジ部の主走査方向への移動中において、i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラが撮影した複数回の撮影データについて、対応するピクセルの輝度値を平均化し、且つ、各ピクセルの輝度値をM個(M≧2)ずつ集約した撮影データを算出することと、前記平均化及び前記集約がなされた撮影データに基づいてi番目の代表輝度値を算出することと、を含む、第1又は第2の発明の画質検査用カメラシステムである。
【0016】
第4又第5の発明によれば、印刷方向に沿って複数回撮影してそれぞれについてサンプル撮影データを取得し、それらを平均化して調整の基礎となる撮影データを得ることができる。よって、印刷対象の媒体のテクスチャーが有する微細な凹凸の影響を軽減した良好な光量調整を実現できる。
【0017】
第6の発明は、i番目の代表輝度値を算出することは、前記撮影データに含まれる各ピクセルの輝度値のヒストグラムのうち、中央値より高輝度であり、最高輝度値より低輝度となる、所定の上位頻度の輝度値を代表輝度値として算出することである、第1〜第5の何れかの発明の画質検査用カメラシステムである。
【0018】
第6の発明によれば、撮影に必要な明るさを確保しつつも、白飛びを適切に抑制した光量調整を実現できる。
【0019】
第7の発明は、前記制御部が、画質検査用印刷の前の状態の前記媒体に対して前記光量設定処理を行う、第1〜第6の何れかの発明の画質検査用カメラシステムである。
【0020】
第7の発明によれば、画質検査用印刷をする前に光量を適切に設定することができる。
【0021】
第8の発明は、前記N個の光源が、少なくとも2個の光源を含み、前記2個の光源は、発光正面方向が互いに前記媒体に対して正反射の位置に設置され、前記カメラは、光軸を前記正反射の反射位置に向けて設置された、第1〜第7の何れかの発明の画質検査用カメラシステムである。
【0022】
第8の発明によれば、カメラに光源の直接反射が入射するのを抑制し、カメラから見て陰影が生じ難くすることができるため、適切な光量調整を実現できる。
【0023】
第9の発明は、前記制御部が、i番目の光源を、前記設定処理により設定された前記画質検査時駆動信号で駆動することで、前記N個の光源を全て点灯させて画質検査処理を行う、第1〜第8の何れかの発明の画質検査用カメラシステムである。
【0024】
第9の発明によれば、光源個別の光量調整の結果をもとに全光源を点灯させて画質検査処理を実行するため、検査に十分な光量を確保しつつ、光の方向依存性を低減して、良好なキャリブレーションを実現できる。
【0025】
第10の発明は、第1〜第9の何れかの発明の画質検査用カメラシステムを備えた印刷装置である。
【0026】
第10の発明によれば、第1〜第9の何れかの発明と同様の効果が得られる印刷装置を実現できる。
【0027】
第11の発明は、印刷装置に設置された画質検査用カメラシステムにおける光源調整方法であって、前記画質検査用カメラシステムは、印刷対象の媒体に光を照射するN個(N≧2の整数)の光源と、前記媒体を撮影するカメラと、を備えており、i番目の光源(i=1〜N)を基準駆動信号で点灯させることと、i番目の光源を点灯させたときに前記カメラで撮影された撮影データに基づいて、i番目の光源の画質検査時駆動信号を設定することと、i番目の光源を前記基準駆動信号で点灯させたときに前記カメラで撮影された各ピクセルの輝度値に基づく所定の代表輝度値算出処理を行ってi番目の代表輝度値を算出することと、i番目の代表輝度値が所定の目標輝度値条件を満たすように前記基準駆動信号を調整することでi番目の光源の画質検査時駆動信号を決定することと、を含む、光源調整方法である。
【0028】
第11の発明によれば、第1の発明と同様の効果が得られる光源調整方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】印刷装置の構成例を示す正面図。
図2】キャリッジの構成例の概要を説明するための概略配置図。
図3】画質検査用カメラシステムの構成例を示す図。
図4】画質検査用カメラシステムのブロック図。
図5】設定処理の内容とその流れを説明するための図。
図6】設定処理の内容とその流れを説明するための図。
図7】不揮発性記憶部に記憶される情報の例を示す図。
図8】揮発性記憶部に記憶される情報の例を示す図。
図9】印刷装置における画質検査処理の流れを説明するためのフローチャート。
図10】設定処理における処理の流れを説明するためのフローチャート。
図11図10より続くフローチャート。
図12】設定処理の変形例における処理の流れを説明するためのフローチャート。
図13図12より続くフローチャート。
図14】画質検査用カメラシステムの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
【0031】
図1は、本実施形態における印刷装置10の構成例を示す正面図である。印刷装置10は、紙、布、プラスチックなどを材料とするシート状の印刷対象の媒体3に対して、染料や顔料といった印刷インクの液滴を吐出することでカラー画像を形成するインクジェット式のカラープリンターである。
【0032】
具体的には、印刷装置10は、印刷機制御ボード12と、キャリッジ部20とを搭載する。
印刷機制御ボード12は、当該印刷機の動作を統合的に制御する制御基板である。
印刷装置10は、印刷機制御ボード12の制御によってキャリッジ部20を所定の主走査方向Dsに沿って移動させながら印刷インクを媒体3に噴射して印刷を行う。
【0033】
なお、本実施形態の印刷装置10は、印刷対象の媒体3としてA2サイズ以上を扱うことができるLFP(Large Format Printer:大判プリンター)とするが、中型・小型のインクジェット式の印刷装置であってもよい。
【0034】
図2は、本実施形態におけるキャリッジ部20の構成例の概要を説明するための概略配置図であって、キャリッジ部20を上から見た図に相当する。
キャリッジ部20は、キャリッジ部コントローラー22と、印刷ヘッドユニット群24と、画質検査用カメラシステム30と、を搭載する。
【0035】
キャリッジ部コントローラー22は、印刷機制御ボード12からの制御信号を受けてキャリッジの動作を統合的に制御する。キャリッジ部の制御基板に相当する。
【0036】
印刷ヘッドユニット群24は、インクジェット式のプリンターヘッドである。使用される印刷インクの色数や種類に応じて搭載する印刷ヘッドの数や相対位置は適宜設定可能である。
【0037】
画質検査用カメラシステム30は、印刷ヘッドユニット群24の印刷制御を、印刷装置10にセットされた媒体3に最適化するいわゆる「キャリブレーション」を行うための撮影を行うユニットである。
【0038】
図3は、本実施形態における画質検査用カメラシステム30の構成例を示す図であって、システムの内部構造を示す縦断面図である。
画質検査用カメラシステム30は、下方に開口部を有する箱型のケース31に、第1光源41及び第2光源42と、カメラ50と、システム制御ボード60と、を搭載する。勿論、これら以外の要素も適宜含めることができる。
【0039】
第1光源41と第2光源42は、印刷対象の媒体3に撮影用の光を照射するN個(N≧2)の光源であって、それぞれの発光正面方向DL1,DL2が互いに印刷対象の媒体3に対して正反射の位置に設置されている。また、第1光源41と第2光源42は、本実施形態では白色の発光ダイオードであり、駆動用の電圧・電流がシステム制御ボード60によって制御されることで、光量が制御される。
【0040】
なお、第1光源41と第2光源42の発光体は、白色の発光ダイオードに限らない。他の色の発光ダイオードであっても良いし、発光体の種類も適宜設定可能である。また、本実施形態では光源の数Nを2個としているが、複数であれば3個以上であってもよい。
【0041】
カメラ50は、光軸Dcが第1光源41と第2光源42との正反射の反射位置に向けて設置されている。カメラ50は、レンズ等の光学素子を含むレンズユニットと、イメージセンサー52とを搭載し、システム制御ボード60に接続されている。本実施形態では、イメージセンサー52は白黒イメージセンサーとするが、カラーイメージセンサーであってもよい。また、イメージセンサー52の画素数は200万画素程度とするが、画素数及びピッチは適宜設定可能である。
【0042】
図4は、画質検査用カメラシステム30のブロック図である。システム制御ボード60は、制御部61と、揮発性記憶部62と、不揮発性記憶部63と、インターフェース回路部64と、ドライバー回路部65とを搭載する。その他、適宜、電源や通信に関する構成要素を搭載する。
【0043】
制御部61は、画質検査用カメラシステムを統合的に制御するための各種演算処理を実行する。本実施形態では、FPGA(field programmable gate array)で実現するが、所謂CPU(Central Processing Uni)に不揮発性記憶部63に記憶させているプログラムを実行させることで実現するとしてもよい。
【0044】
揮発性記憶部62は、制御部61の演算領域として利用される。本実施形態では、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)で実現するが、RAM(Random access memory)の種類や数は適宜選択することができる。
【0045】
不揮発性記憶部63は、制御部61の演算処理に必要なプログラムやデータを不揮発に記憶する。本実施形態では、ROM(Read only memory)で実現される。保持しているデータを消去可能なROMであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)や、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory )、フラッシュメモリーなどにより実現することもできる。
【0046】
インターフェース回路部64は、制御部61が外部装置との信号の入出力を行うためのインターフェースを実現する回路部である。いわゆる、インターフェースICや通信端子、などにより実現できる。本実施形態では、キャリッジ部コントローラー22や、印刷機制御ボード12との間でデータ通信を可能にする。
【0047】
ドライバー回路部65は、第1光源41及び第2光源42を駆動する電力を供給する駆動回路であり、第1光源41及び第2光源42に対して別々に用意されている。ドライバー回路部65は、制御部61から出力された駆動制御信号に基づき、駆動信号となる直流電圧及び直流電流を、対応する光源へ出力する。駆動信号となる直流電圧及び直流電流は、制御部61によって制御可能となっている。
【0048】
そして、本実施形態では、複数の光源とカメラとを使って良好なキャリブレーションを実現するために、制御部61が、各光源の画質検査時駆動信号を設定する設定処理を実行する。
【0049】
図5図6は、設定処理の内容とその流れを説明するための図である。
先ず図5に示すように、制御部61は、設定処理として、光源毎に設定の元となる撮影データを用意して、そこから画質検査時駆動信号の仮設定値を決める。
【0050】
具体的には、対象とするi番目(i=自然数)の光源のみを所定の基準駆動信号で点灯させることを撮影条件として、カメラ50で印刷対象の媒体3を撮影する。本実施形態では光源が2つであるため、iは1又は2となる。
【0051】
基準駆動信号は、当該光源の発光制御に係り予め用意されている設定値である基準駆動信号設定値に基づいて出力される駆動信号である。
【0052】
カメラ50で印刷対象の媒体3を撮影する場合は、キャリッジ部20を主走査方向へ移動させてキャリッジ部20の位置を変えて複数回撮影し、撮影毎にサンプル撮影データ502(502a,502b,…)を作成する。本実施形態では、撮影回数を「8」とするが2回以上であれば「4」でもよいし「10」でもよく、適宜設定可能である。
【0053】
サンプル撮影データ502のデータフォーマットは特に限定されない。イメージセンサー52の撮影画素別(ピクセル別)の検出値のデジタル値を識別可能に格納できるデータフォーマットであれば何れのデータフォーマットを採用してもよい。
【0054】
i番目の光源について、複数のサンプル撮影データ502(502a,502b,…)を取得できたならば、制御部61は、ピクセル別に各サンプル撮影データ502(502a,502b,…)から輝度値を読み出して平均値を求めて、1つの平均化撮影データ504を作成する。
【0055】
複数のサンプル撮影データ502(502a,502b,…)から平均化撮影データ504を作成することで、印刷対象の媒体3のテクスチャーに微小な凹凸がある場合でも、その凹凸を撮影した輝度値を均すことでキャリブレーションに与える影響を低減できる。平均化撮影データ504を作成しないとするならば、たまたまサンプル撮影したその位置のテクスチャーの状態にキャリブレーションが最適化されることとなる。その場合、本実施形態よりもキャリブレーションの品質において劣ることとなる。
【0056】
さて、平均化撮影データ504を作成したならば、そのデータ圧縮を行う。具体的には、8ピクセル×8ピクセルの輝度値を平均して1ピクセルに置き換えて、1つの集約撮影データ506を算出する。なお、本実施形態では、8×8=64ピクセルの輝度値を集約したが、集約するピクセル数M(M≧2の整数)は適宜変更することができる。例えば4×4=16ピクセルの輝度値を集約することとしてもよいし、12×12=144ピクセルの輝度値を集約することとしてもよい。
【0057】
集約撮影データ506を生成することで、イメージセンサー52が具備する多数の撮影画素のうち幾つかが機能不全であったとしても、集約化・圧縮化することで、キャリブレーションの品質に与える影響を低減できる。
【0058】
集約撮影データ506を作成したならば、代表輝度値算出処理を行ってi番目の光源における代表輝度値を算出する。具体的には、集約撮影データ506の全ピクセルの輝度値のヒストグラムのうち、中央値より高輝度であり、最高輝度値より低輝度となる、所定の上位頻度の輝度値を代表輝度値として算出する。本実施形態では、全ピクセルを輝度順にソートするための輝度順ソートデータ508を作成し、上位から所定番目(例えば2000番目でもよいし2500番目でもよい)のピクセルの輝度値を代表輝度値とする。勿論、ヒストグラムのデータを作成して代表輝度値を算出するとしても良い。
【0059】
次いで、制御部61は、i番目の光源に係る代表輝度値と、所定の目標輝度値条件を満たす目標輝度値との輝度差を求める。目標輝度値条件は、理想的な集約撮影データに対する上位から所定番目のピクセルの輝度値として取り得る条件であり、1つの輝度値として設定してもよいし、値の幅をある程度有する条件として設定してもよい。後者の場合には、代表輝度値が目標輝度値条件を満たすまでの最小の値の差が輝度差となる。
【0060】
そして、輝度差が求められたならば、所定の調整倍率算出関数636を参照して、この輝度差を無くす調整倍率6を求める。調整倍率算出関数636は、輝度差に対する正比例の関数として定めることとしてもよいし、二次関数として定めることもできる。そして、基準駆動信号を実現するための基準駆動信号設定値634に調整倍率6を乗算することで調整して、i番目の光源の仮の駆動信号を実現するための設定値、すなわち仮駆動信号設定値522を仮決定する。
【0061】
前述のように、こうしたサンプル撮影データ502(502a,502b,…)の取得から仮駆動信号設定値522の決定までは光源別に実行される。本実施形態では、光源は2つなので、仮駆動信号設定値522は光源別に2つ得られることになる。
【0062】
光源別の仮駆動信号設定値522が取得できたならば、図6に示すように、制御部61は、全光源を、それぞれの仮駆動信号設定値522に基づく仮駆動信号で点灯させた撮影条件で、印刷対象の媒体3を撮影してサンプル撮影データ542(542a,542b,…)を取得する。
【0063】
次いで、サンプル撮影データ542(542a,542b,…)から、先程と同様にして、平均化撮影データ544と、集約撮影データ546と、を作成し、輝度順ソートデータ548から代表輝度値を求める。そして、代表輝度値と目標輝度値との輝度差から、調整倍率6ALを求める。
【0064】
全光源点灯の撮影条件で得られた調整倍率6ALは、全ての光源に共通して適用される。制御部61は、各光源の仮駆動信号設定値522がそれぞれ調整倍率6ALで調整されて、最終的な各光源の画質検査時駆動信号を実現する画質検査時駆動信号設定値552を算出する。本実施形態では第1光源41と第2光源42の2つの光源を備えるので、2つの画質検査時駆動信号設定値552が算出されることになる。
【0065】
本実施形態の各光源の光量調整、すなわち光源調整は以上のようにして行われる。その後、キャリブレーションにおいて、第1光源41と第2光源42は、それぞれの画質検査時駆動信号設定値552が適用された画質検査時駆動信号で点灯される。
【0066】
図7は、不揮発性記憶部63に記憶される情報の例を示す図である。
不揮発性記憶部63は、基準駆動信号設定データ632と、調整倍率算出関数636と、を記憶する。基準駆動信号設定データ632は、光源番号633と対応づけて、基準駆動信号設定値634を格納する。勿論、不揮発性記憶部63には、これら以外のプログラムやデータを適宜記憶しているとしてもよい。例えば、制御部61をFPGAではなくCPUを用いて実現する場合には、上述の設定処理を実行可能にするプログラム631を記憶する。
【0067】
図8は、揮発性記憶部62に記憶される情報の例を示す図である。
揮発性記憶部62は、仮設定用データ500と、仮駆動信号設定データ520と、本設定用データ540と、画質検査時駆動信号設定データ550と、を記憶する。勿論、これら以外の情報も適宜含めることができる。
【0068】
仮設定用データ500は、仮設定に係り点灯される光源別に用意される。つまり、i番目の光源毎に用意され、仮駆動信号設定値522の設定に必要な各種データを格納する。具体的には、仮設定用データ500は、撮影条件501と、サンプル撮影データ502と、平均化撮影データ504と、集約撮影データ506と、輝度順ソートデータ508と、代表輝度値509と、を含む。
【0069】
仮駆動信号設定データ520は、光源番号521と対応づけて仮駆動信号設定値522を格納する。
【0070】
本設定用データ540は、画質検査時駆動信号の設定値を設定するために必要とされる各種データを格納する。例えば、撮影条件541と、サンプル撮影データ542と、平均化撮影データ544と、集約撮影データ546と、輝度順ソートデータ548と、代表輝度値549と、を含む。
【0071】
画質検査時駆動信号設定データ550は、光源番号551と対応づけて画質検査時駆動信号設定値552を格納する。
【0072】
図9は、印刷装置10における画質検査処理である光源調整方法の流れを説明するためのフローチャートである。印刷装置10は、印刷対象の媒体3が取り付けられていることを確認すると(ステップS2)、制御部61に所定の設定処理実行信号を送信して設定処理を実行させる。
【0073】
図10図11は、設定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図10に示すように、設定処理において、制御部61は先ず、光源別にループAを実行する(ステップS10〜ステップS26)。
【0074】
具体的には、ループAでは、制御部61は、処理対象とされる光源の仮設定用データ500を作成し、基準駆動信号設定値634を読み出して、基準駆動信号で当該光源を点灯させる(ステップS12)。
【0075】
次いで、制御部61は、キャリッジ部コントローラー22に適宜キャリッジを主走査方向へ移動させつつ、印刷対象の媒体3を複数回撮影して、サンプル撮影データ502を生成・記憶する(ステップS14)。
【0076】
次に、制御部61は、処理対象の光源についてのサンプル撮影データ502に基づいて平均化撮影データ504を作成し(ステップS16)、平均化撮影データ504から集約撮影データ506を作成する(ステップS18)。そして、集約撮影データ506から処理対象の光源に係る代表輝度値509を算出する(ステップS20)。
【0077】
次に、代表輝度値509と目標輝度値との輝度差を求め、調整倍率算出関数636を参照して調整倍率6(図5参照)を決定して(ステップS22)、処理対象の光源の基準駆動信号設定値634に当該調整倍率を乗算して、同光源の仮駆動信号設定値522を決定する(ステップS24)。そして、ループAを終了する(ステップS26)。
【0078】
全ての光源についてループAを実行したならば、図11に移って、制御部61は、本設定用データ540を作成し、それぞれに仮駆動信号設定値522に基づく仮駆動信号で各光源を点灯させる(ステップS40)。
【0079】
次で、キャリッジ部コントローラー22に適宜キャリッジの主走査方向への移動制御を要求しつつ、印刷対象の媒体3を複数回撮影して、サンプル撮影データ542を生成・記憶する(ステップS42)。
【0080】
次に、制御部61は、サンプル撮影データ542に基づいて平均化撮影データ544を作成し(ステップS44)、平均化撮影データ544から集約撮影データ546を作成する(ステップS46)。そして、集約撮影データ546から全光源を点灯した場合における代表輝度値549を算出する(ステップS48)。
【0081】
次に、代表輝度値549と目標輝度値との輝度差を求め、調整倍率算出関数636を参照して共通の調整倍率6AL(図6参照)を決定して(ステップS50)、各光源の仮駆動信号設定値522に当該共通の調整倍率6ALをそれぞれ乗算して、各光源の画質検査時駆動信号設定値552を決定し(ステップS52)、設定処理を終了する。
【0082】
図9に戻って、印刷機制御ボード12は、制御部61に画質検査時駆動信号設定値552を適用した画質検査時駆動信号で全光源を点灯させて(ステップS70)、各印刷ヘッドの吐出量の調整を行い(ステップS72)、画質検査用印刷を実行する(ステップS74)。
【0083】
以上、本実施形態によれば各光源の光量をキャリブレーションに適した光量に調整することができるため、複数の光源とカメラとを使った良好なキャリブレーションを実現することができる。
【0084】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0085】
〔変形例その1〕
例えば、上記実施形態において、ステップS40〜S52を省略して、ステップS24で仮駆動信号設定値522の決定をもって、これを画質検査時駆動信号設定値552の決定とする構成も可能である。図6を参照して説明した処理を省略し、図5を参照して説明した処理の仮駆動信号設定値522の決定をもって画質検査時駆動信号設定値552の決定とする構成である。
【0086】
〔変形例その2〕
また例えば、上記実施形態では、サンプル撮影データ502→平均化撮影データ504→集約撮影データ506の順に撮影データを派生させて、集約撮影データ506から代表輝度値509を算出するとしたが、平均化と集約の順を逆にすることもできる。
【0087】
具体的には、例えば図12に示すように、上記実施形態のステップS16に換えて、サンプル撮影データ502(502a,502b,…)毎にデータ圧縮を行って、それぞれの集約撮影データ506(506a,506b,…)を作成するステップS17を実行する。次いで、上記実施形態のステップS18に代えて、複数の集約撮影データ506(506a,506b,…)からピクセル別の平均化を行って、1つの平均化撮影データ504を作成するステップS19を実行する。そして、上記実施形態のステップS20に代えて、平均化撮影データ504のピクセルの輝度順ソートデータ508を作成して代表輝度値509を決定するステップS21を実行するとしてもよい。
【0088】
同様に、図13に示すように、上記実施形態のステップS44に換えて、サンプル撮影データ542(542a,542b,…)毎にデータ圧縮を行って、それぞれの集約撮影データ546(546a,546b,…)を作成するステップS45を実行する。次いで、上記実施形態のステップS46に代えて、複数の集約撮影データ546(546a,546b,…)からピクセル別の平均化を行って、1つの平均化撮影データ544を作成するステップS47を実行する。そして、上記実施形態のステップS48に代えて、平均化撮影データ544のピクセルの輝度順ソートデータ548を作成して代表輝度値549を決定するステップS49を実行するとしてもよい。
【0089】
〔変形例その3〕
また、上記実施形態では、光源の数を2つとしたが3つ以上とすることもできる。
図14は、画質検査用カメラシステムの変形例における光源の配置位置関係の例を示す略図であって、ケース31の開口部側から見た下面図に相当する。図3における下側から下面図に相当する。当該構成では、上記実施形態と同様にして第1光源41と第2光源42とを有するのに加え、第3光源43と第4光源44とを有する。そして、これら4つの光源は、それぞれの発光正面方向DL1〜DL4がカメラ50の光軸Dcを四方から囲むように配置されている。
【0090】
なお、図14の例では、第3光源43と第4光源44とは、それぞれLED43a,44aから導光材43b,44bに光が導かれることで線状光源や面状光源として機能する構成を示した、第1光源41や第2光源42と同様の点光源としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
3…媒体、6…調整倍率、10…印刷装置、12…印刷機制御ボード、20…キャリッジ部、22…キャリッジ部コントローラー、24…印刷ヘッドユニット群、30…画質検査用カメラシステム、41…第1光源、42…第2光源、43…第3光源、44…第4光源、50…カメラ、52…イメージセンサー、60…システム制御ボード、61…制御部、62…揮発性記憶部、63…不揮発性記憶部、65…ドライバー回路部、500…仮設定用データ、502…サンプル撮影データ、504…平均化撮影データ、506…集約撮影データ、508…輝度順ソートデータ、509…代表輝度値、520…仮駆動信号設定データ、522…仮駆動信号設定値、540…本設定用データ、542…サンプル撮影データ、544…平均化撮影データ、546…集約撮影データ、548…輝度順ソートデータ、549…代表輝度値、550…画質検査時駆動信号設定データ、552…画質検査時駆動信号設定値、632…基準駆動信号設定データ、634…基準駆動信号設定値、636…調整倍率算出関数。DL1〜DL4…発光正面方向、Dc…光軸、Ds…主走査方向
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図14