(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0017】
[非水電解液二次電池]
図1は、本実施形態にかかる非水電解液二次電池の模式図である。
図1に示す非水電解液二次電池100は、捲回体10と外装体20とを備える。捲回体10は、外装体20に設けられた収容空間Kに収容される。
図1では、理解を容易にするために、捲回体10が外装体20内に収容される直前の状態を図示している。
【0018】
(捲回体)
図2は、本実施形態にかかる非水電解液二次電池における捲回体10を展開した図である。
図2は、捲回した際に外周となる側の端部を拡大している。捲回体10は、
図2に示す電極体群5を捲回して作製される。電極体群5は、捲回した後の最後の一周をなす最外周部R1と、それより内側の外周部R2と、蓄電を行う中心部R3とを有する。中心部R3、外周部R2、最外周部R1の順に、捲回体10の捲き中心に近づく。
【0019】
電極体群5は、正極1と負極2とセパレータ3とを備える。セパレータ3は、電極体群5を捲回した際に、正極1と負極2との間に位置する。正極1は、板状(膜状)の正極集電体1Aと正極活物質層1Bとを有する。正極活物質層1Bは、正極集電体1Aの少なくとも一面に形成されている。負極2は、板状(膜状)の負極集電体2Aと負極活物質層2Bとを有する。負極活物質層2Bは、負極集電体2Aの少なくとも一面に形成されている。
【0020】
電極体群5は、一方向に延在する正極1、負極2及びセパレータ3が積層してなる。電極体群5の最外周部R1には、正極1及び負極2が延在していない。すなわち、最外周部R1はセパレータ3からなる。また電極体群5の外周部R2には、正極活物質層1B及び負極活物質層2Bが形成されていない。すなわち、外周部R2は正極集電体1Aと負極集電体1Bとセパレータ3とからなる。電極体群5の中心部R3は、正極1と負極2とセパレータ3からなる。中心部R3が発電を行う。
【0021】
図3は、本実施形態にかかる非水電解液二次電池の断面模式図である。
図3に示すように、捲回体10を捲回の軸方向から見ると、最外周領域A1はセパレータ3からなる。最外周領域A1は、電極体群5における最外周部R1に対応する。最外周領域A1は、捲回体10の外周に位置し、セパレータ3のみが捲回された部分である。最外周領域A1は、捲回体10の少なくとも外周から1周以上の領域であることが好ましく、外周から2周以上の領域であることがより好ましい。一方で、放熱性の観点から最外周領域A1は、捲回体10の少なくとも外周から3周以内の領域であることが好ましく、2周以内の領域であることがより好ましい。
【0022】
捲回体10に釘等の金属体が刺さった場合、まず最外周領域A1のセパレータ3に刺さる。その際、セパレータ3は釘等の金属体に纏わりつく。セパレータ3は絶縁性を有するため、釘等の金属体が刺さった場合でも、内部短絡を抑制する。
【0023】
また
図3に示す捲回体10は、軸方向から見た際に、最外周領域A1より内側に、外周領域A2を有する。外周領域A2は、電極体群5における外周部R2に対応する。外周領域A2は、捲回体10の外周に位置し、正極集電体1Aと負極集電体2Aとセパレータ3とが捲回された部分である。
【0024】
正極集電体1A及び負極集電体2Aは金属の箔であり、放熱性に優れる。そのため、外周領域A2を設けることで、捲回体10の発熱を抑制できる。また外周領域A2に釘等の金属体が刺さって短絡した場合でも、低抵抗な金属箔同士が短絡することで、捲回体10の異常発熱を抑制できる。外周領域A1は、捲回体10の最外周領域R1から1周以上の領域であることが好ましい。一方で、捲回体10が大型化することを防ぐためには、外周領域A1は、最外周領域R1から3周以内の領域であることが好ましく、2周以内の領域であることがより好ましい。
【0025】
また
図3に示す捲回体10は、軸方向から見た際に、中心に中心領域A3を有する。中心領域A3は、電極体群5における中心部R3に対応する。中心領域A3は、セパレータ3を介して正極活物質層1Aと負極活物質層2Aとが対向配置された領域である。正極活物質層1Aと負極活物質層2Aとの間でイオンが伝導することで、中心領域A3で蓄電が生じる。
【0026】
正極集電体1Aは、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。また正極集電体1Aの表面には、例えば酸化アルミニウム等の絶縁性の被覆膜を形成することが好ましい。被覆膜の厚みは、50μm以下とすることが好ましい。被覆膜を形成すると、内部短絡をより抑制できる。なお、被覆膜は正極集電体1Aの導電性を若干低下させるが、全体に影響を及ぼすほどではない。
【0027】
正極活物質層1Bに用いる正極活物質は、イオンの吸蔵及び放出、イオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、イオンとカウンターアニオンのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。イオンには、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン等を用いることができ、リチウムイオンを用いることが特に好ましい。
【0028】
例えばリチウムイオン二次電池の場合、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2)、マンガン酸リチウム(LiMnO
2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn
2O
4)、及び、一般式:LiNi
xCo
yMn
zM
aO
2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV
2O
5)、オリビン型LiMPO
4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)、LiNi
xCo
yAl
zO
2(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどを、正極活物質として用いることができる。
【0029】
正極活物質層1Bは、導電材を有していてもよい。導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層1Bは導電材を含んでいなくてもよい。
【0030】
正極活物質層1Bは、バインダーを含む。バインダーは、公知のものを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、が挙げられる。
【0031】
上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
【0032】
負極活物質層2Bに用いる負極活物質は、イオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の非水電解液二次電池に用いられる負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属、イオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウム等の金属と化合することのできる金属、SiO
x(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)等を含む粒子が挙げられる。
【0033】
負極集電体2A、導電材及びバインダーは、正極1と同様のものを用いることができる。負極に用いるバインダーは正極に挙げたものの他に、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
【0034】
正極1及び負極2のそれぞれには、外部との電気的接続のための正極端子12と負極端子14とが設けられている(
図1参照)。正極端子12及び負極端子14は、アルミニウム、ニッケル、銅等の導電材料から形成されている。正極端子12は正極1と接続され、負極端子14は負極2と接続される。接続方法は、溶接でもネジ止めでもよい。正極端子12及び負極端子14は短絡を防ぐために、絶縁テープで保護することが好ましい。
【0035】
セパレータ3は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
【0036】
セパレータ3は、巻中心から外周に渡って同じ部材である必要はない。例えば、最外周部R1をなすセパレータとその他の部分をなすセパレータとが別部材でもよい。最外周部R1は、捲回体10の最外周領域A1をなし、この部分のセパレータ3は短絡を防ぐことを目的としている。他方、その他の部分(例えば中心領域A3)をなすセパレータ3は、正極1と負極2との電気的な分離を目的としている。最外周部R1をなすセパレータとその他の部分をなすセパレータとを別部材とすることで、目的に適したものを選択することができる。
【0037】
最外周部をなすセパレータの厚みは、その他の部分をなすセパレータの厚みより厚いことが好ましい。発電を担う中心領域A3におけるセパレータ3の厚みは5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上25μm以下であることがより好ましく、10μmであることがさらに好ましい。これに対し、短絡を防ぐ最外周領域A1におけるセパレータ3の厚みは5μm以上40μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下であることがより好ましい。
【0038】
(非水電解液)
非水電解液には、リチウム塩等を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液) を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解液溶液)であることが好ましい。
【0039】
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
【0040】
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。環状カーボネートは、プロピレンカーボネートを少なくとも含むことが好ましい。
【0041】
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
【0042】
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
【0043】
電解質としては、金属塩を用いることができる。例えば、LiPF
6、LiClO
4、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiCF
3CF
2SO
3、LiC(CF
3SO
2)
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(CF
3CF
2SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)、LiN(CF
3CF
2CO)
2、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、電解質としてLiPF
6を含むことが好ましい。
【0044】
LiPF
6を非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
【0045】
LiPF
6をその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPF
6からのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
【0046】
(外装体)
外装体20は、その内部に捲回体10及び電解液を密封するものである。外装体20は、電解液の外部への漏出や、外部からの非水電解液二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
【0047】
例えば、外装体20として、金属箔を高分子膜で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔としては例えばアルミ箔を、高分子膜としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
【0048】
外装体20と捲回体10との間には、粘着性物質を含む粘着部30を備えることが好ましい。粘着部30には、電解液耐性のある両面テープ等を用いることができる。例えば、ポリプロピレン基材にポリイソブチレンゴムの粘着層が形成された物、ブチルゴム等のゴム、飽和炭化水素樹脂等を用いることができる。釘等の金属体が刺さった場合においても、粘着性物質が釘等の金属体に纏わりつき、短絡を抑制する。
【0049】
[非水電解液二次電池の製造方法]
まず、正極1及び負極2を作製する。正極1と負極2とは、活物質となる物質が異なるだけであり、同様の製造方法で作製できる。
【0050】
正極活物質、バインダー及び溶媒を混合して塗料を作製する。必要に応じ導電材を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。正極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で80wt%〜90wt%:0.1wt%〜10wt%:0.1wt%〜10wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。
【0051】
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記塗料を、正極集電体1Aに塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。負極についても、同様に負極集電体2A上に塗料を塗布する。
【0052】
続いて、正極集電体1A及び負極集電体2A上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体1A及び負極集電体2Aを、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。そして、正極1及び負極2が完成する。
【0053】
次いで、作製した正極1及び負極2の間と、捲きこむ際に外側となる部分にセパレータ3を配設する。そして、正極1、負極2及びセパレータ3の一端側を軸として、これらを捲回する。
【0054】
最後に、捲回体10を外装体20に封入する。非水電解液は外装体20内に注入する。非水電解液を注入後に減圧、加熱等を行うことで、捲回体10内に非水電解液が含浸する。外装体20は、熱等を加えて封止する。
【0055】
上述のように、本実施形態にかかる非水電解液二次電池100は、捲回体10の最外周領域A1がセパレータ3のみからなる。そのため、釘等の金属体が刺し込まれた場合でも、金属体の表面に絶縁性のセパレータ3が纏わりつくことで、非水電解液二次電池100の短絡を抑制できる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0057】
例えば、非水電解液二次電池100は、外周領域A2を有していなくてもよい。最外周領域A1のみでも短絡を抑制する効果は発揮される。
【実施例】
【0058】
「実施例1」
(正極の作製)
正極活物質には、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)を用いた。この正極活物質を1.90質量部と、アセチレンブラックを5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5質量部と、をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミ箔の両面に塗布した。塗工量は0.325g/1540.25mm
2である。その後、温度140℃で30分間乾燥した。
【0059】
次に、ロールプレス装置を用いて線圧1000kgf/cmでプレス処理し正極のロールを得た。そして、正極のロールから一端側に10mm角のタブ溶接箇所を有する正極1を切り出した。正極1の長さは802mm、幅は77mmとした(
図4(a))。そして正極のタブ溶接箇所から正極活物質(塗膜)を、メチルエチルケトン(MEK)を染み込ませた綿棒で擦り剥がした。
【0060】
(負極の作製)
天然黒鉛粉末(負極活物質)を90質量部と、PVDFを10質量部とを、NMP中に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗布し、銅箔の一方の面は、0.162g/1540.25mm
2の塗布量で塗布した。その後温度140℃で30分間減圧乾燥した。
【0061】
次いで、ロールプレス装置を用いてプレス処理することにより、負極ロールを得た。負極ロールから一端側に10mm角のタブ溶接箇所を有する負極2を切り出した。負極2の長さは954mm、幅は79mmであった(
図4(b))。そして負極のタブ溶接箇所から負極活物質(塗膜)を、MEKを染み込ませた綿棒で擦り剥がし、負極を得た。
【0062】
(セパレータの準備)
膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(空孔率:40%、シャットダウン温度:134℃)を用意した。このセパレータを長さ1100mm、幅80mmに切り出した。
【0063】
(捲回体の作製)
セパレータ3を2枚用意し揃えて重ねた。そして、これらの間に負極2をセパレータ3の先端から5mmのところに負極2の一端がくるように重ねた。また正極1は、負極2の一端から5mmのところに正極1の一端がくるように重ねた(
図4(c))。すなわち、捲回体の最外周となる側の一端には、141mm幅でセパレータ3のみからなる最外周部が形成された。
【0064】
幅67mm、厚み2mmのSUS板4に、これらを巻きつけて捲回体を得た。セパレータの最外周端は、テープで留めて固定した。セパレータ3は負極2の終端部から1周さらに捲回されている。最後に、タブ部分にリードを超音波溶接で付け、捲回体を作製した。リードは正極がAl、負極がNiを用いた。
【0065】
(非水電解液)
電解質としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒に、LiPF
6を1.0mol/Lとなるように溶解させた非水電解質溶液を用意した。混合溶媒におけるECとDECとの体積比は、EC:DEC=30:70とした。
【0066】
(電池の作製)
捲回体を非水電解液と共にアルミラミネートに封入し、実施例1の電池セルを作製した。
【0067】
(電池の表面温度の測定)
作製した実施例1の電池セルを0.1Cの定電流密度で充電終止電圧である4.3V(vs.Li/Li
+)まで充電を行った。さらに4.3V(vs.Li/Li
+)の定電圧を維持し、電流値が0.05Cの電流密度に低下するまで定電圧充電を行った。なお、電流密度は1Cを158mA/gとして測定を行った。そして、電池の表面の到達温度を測定した。
【0068】
(釘刺し試験)
充電状態の電池に直径2.5mmの釘を150mm/sのスピードで刺し、釘刺し試験を行った。試験は5セルに対して行い、目視で評価した。
【0069】
捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0070】
「実施例2」
実施例2は、正極活物質をLiNi
0.83Co
0.12Al
0.05O
2にした点以外は、実施例1と同様にした。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0071】
「実施例3」
実施例3は、正極活物質をLiNi
0.6Co
0.2Al
0.2O
2にした点以外は、実施例1と同様にした。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0072】
「実施例4」
正極を捲回した際の終端部から280mmの長さで、正極活物質の未塗布部分を設け、負極を捲回した際の終端部から140mmの長さで、負極活物質の未塗布部分を設け、セパレータの長さを1240mmとした点以外は、実施例1と同様にした。電極の長さが不ぞろいのところは切断し調整した。捲回体は、外周領域として活物質が未塗布の正極が2周、負極が1周巻かれた領域を有し、最外周領域としてセパレータが1周巻かれた領域をもつ。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0073】
「実施例5」
捲回体と外装体の間に粘着層を設けた点以外は、実施例1と同様とした。粘着層は蓄電素子の面積よりも大きくした。粘着層には、アクリル系樹脂を用いた。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0074】
「実施例6」
実施例6は、正極活物質をLiNi
0.83Co
0.12Al
0.05O
2にした点以外は、実施例5と同様にした。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0075】
「実施例7」
実施例7は、正極活物質をLiNi
0.6Co
0.2Al
0.2O
2にした点以外は、実施例5と同様にした。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0076】
「実施例8」
実施例8は、捲回体と外装体の間に粘着層を設けた点以外は、実施例4と同様とした。粘着層は蓄電素子の面積よりも大きくした。粘着層には、アクリル系樹脂を用いた。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0077】
「比較例1」
セパレータの長さを810mmにしたこと以外は、実施例1と同様にした。比較例1の捲回体の最外周は負極であった。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0078】
「比較例2」
比較例2は、正極活物質をLiNi
0.83Co
0.12Al
0.05O
2にした点以外は、比較例1と同様にした。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0079】
「比較例3」
比較例3は、正極活物質をLiNi
0.6Co
0.2Al
0.2O
2にした点以外は、比較例1と同様にした。捲回体の具体的な構成の要点を表1にまとめ、電池の表面温度及び釘指し試験の結果を表2にまとめた。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】