(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1導電路及び第2導電路に電気的に接続されるとともに前記第1導電路及び前記第2導電路のいずれか一方を入力側導電路とし、他方を出力側導電路とし、前記入力側導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記出力側導電路に出力する車載用のDCDCコンバータであって、
PWM信号が与えられることに応じてオンオフ動作するスイッチング素子を備え、前記スイッチング素子のオンオフ動作により前記入力側導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記出力側導電路に出力する電圧変換部と、
前記出力側導電路の電圧値を検出する電圧検出部と、
フィードバック演算で使用する使用ゲインを設定するゲイン設定部と、
少なくとも前記電圧検出部で検出された電圧値と前記ゲイン設定部で設定された前記使用ゲインとに基づいて前記出力側導電路の電圧値を目標電圧値に近づけるようにPWM信号のデューティを算出するフィードバック演算を繰り返し行う演算部を備え、前記演算部がフィードバック演算を行う毎に、フィードバック演算で算出された算出デューティに基づいて使用デューティを決定するデューティ決定部と、
前記デューティ決定部で決定した前記使用デューティに応じたPWM信号を前記スイッチング素子に向けて出力する駆動部と、
を有し、
前記ゲイン設定部は、前記電圧検出部で検出された電圧値に基づいて前記使用ゲインを設定し、
前記ゲイン設定部は、前記電圧検出部で検出された電圧値と前記目標電圧値との差が所定閾値未満である場合に第1ゲインを前記使用ゲインとして設定し、前記電圧検出部で検出された電圧値と前記目標電圧値との差が前記所定閾値以上である場合に前記第1ゲインよりも大きい第2ゲインを前記使用ゲインとして設定し、
前記デューティ決定部は、
前記演算部がフィードバック演算を行う場合において、
前記電圧検出部で検出された電圧値と前記目標電圧値との差が前記所定閾値よりも大きい第2閾値以上である場合、前記第2ゲインに基づくフィードバック演算で算出された前記算出デューティに対し所定の加算処理で得られた加算値を加算して前記使用デューティを決定し、
前記電圧検出部で検出された電圧値と前記目標電圧値との差が前記所定閾値以上であって且つ前記第2閾値未満である場合、前記第2ゲインに基づくフィードバック演算で算出された前記算出デューティを前記使用デューティとして決定する車載用のDCDCコンバータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の望ましい形態を以下に例示する。
ゲイン設定部は、電圧検出部で検出された電圧値と目標電圧値との差が所定閾値未満である場合に第1ゲインを使用ゲインとして設定し、電圧検出部で検出された電圧値と目標電圧値との差が所定閾値以上である場合に第1ゲインよりも大きい第2ゲインを使用ゲインとして設定する構成であってもよい。
【0010】
このように構成された車載用のDCDCコンバータは、電圧変換部が実際に電圧変換を行っているとき、出力電圧値と目標電圧値との差が一定程度以上に大きい場合には、相対的に大きい第2ゲインを用いてフィードバック演算を行うことで、出力電圧値と目標電圧値との差を減少させる速度を大きくすることができ、出力電圧値をより迅速に目標電圧値に近づけることができる。一方で、出力電圧値と目標電圧値との差が一定程度未満に小さい場合には、相対的に小さい第1ゲインを用いてフィードバック演算を行うことで、オーバーシュートやアンダーシュートを抑えながら出力電圧値を目標電圧値に近づけることができる。
【0011】
デューティ決定部は、演算部がフィードバック演算を行う場合において、
電圧検出部で検出された電圧値と目標電圧値との差が所定閾値よりも大きい第2閾値以上である場合、第2ゲインに基づくフィードバック演算で算出された算出デューティに対し所定の加算処理で得られた加算値を加算して使用デューティを決定し、電圧検出部で検出された電圧値と目標電圧値との差が所定閾値以上且つ第2閾値未満である場合、第2ゲインに基づくフィードバック演算で算出された算出デューティを使用デューティとして決定する構成であってもよい。
このように構成された車載用のDCDCコンバータは、出力電圧値と目標電圧値との差がより大きい場合(第2閾値以上である場合)、相対的に大きい第2ゲインを用いてフィードバック演算を行う動作と、デューティに加算値(所定の加算処理で得られた値)を加算してデューティを増大させる動作とを併用することができる。つまり、出力電圧値と目標電圧値との差がより大きい場合には、出力電圧値と目標電圧値との差を減少させる速度を一層大きくすることができる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1について説明する。
図1で示すDCDCコンバータ1は、例えば、車載用の昇降圧型DCDCコンバータとして構成されており、第1導電路91又は第2導電路92の一方の導電路に印加された直流電圧を昇圧又は降圧して他方の導電路に出力する構成をなすものである。
【0013】
DCDCコンバータ1は、電力線としての第1導電路91及び第2導電路92を備える。第1導電路91は、高圧電源部である第1電源部101の高電位側の端子に電気的に接続され、この高電位側の端子と導通する配線であり、第1電源部101から所定の直流電圧が印加される構成をなす。第2導電路92は、低圧電源部である第2電源部102の高電位側の端子に電気的に接続され、この高電位側の端子と導通する配線であり、第2電源部102から所定の直流電圧が印加される構成をなす。
【0014】
第1電源部101、第2電源部102は、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、その他の蓄電部など、公知の蓄電手段によって構成されている。第1電源部101の出力電圧は、第2電源部102の出力電圧よりも高い電圧であればよく、それぞれの出力電圧の具体的な値は特に限定されない。第1電源部101及び第2電源部102の低電位側の端子は図示しないグラウンド部に電気的に接続され、所定のグラウンド電位(0V)に保たれている。
【0015】
第1電源部101に電気的に接続された第1導電路91には、車載負荷111が電気的に接続されており、車載負荷111は第1電源部101から電力供給を受ける構成をなす。第2電源部102に電気的に接続された第2導電路92には、車載負荷112が電気的に接続されており、車載負荷112は第2電源部102から電力供給を受ける構成をなす。車載負荷111、112は、公知の車載用の電気部品であり、特に種類は限定されない。
【0016】
電圧変換部6は、スイッチング素子T1,T2,T3,T4のオンオフ動作により入力された電圧を昇圧又は降圧して出力する機能を有する。電圧変換部6は、第1導電路91と第2導電路92との間に設けられ、降圧動作を行う降圧機能と、昇圧動作を行う昇圧機能とを有している。以下の説明では、電圧変換部6において、第1導電路91に印加された電圧を降圧して第2導電路92に出力する降圧機能と、第2導電路92に印加された電圧を昇圧して第1導電路91に出力する昇圧機能とが実行され得る例について説明する。
【0017】
電圧変換部6は、Hブリッジ構造で配置されたスイッチング素子T1,T2,T3,T4と、インダクタLと、を備え、いわゆる双方向型のDCDCコンバータとして機能する。スイッチング素子T1,T2,T3,T4は、いずれもNチャネル型のMOSFETとして構成されている。インダクタLは、公知のコイルとして構成されている。なお、第1導電路91には、コンデンサ81の一方の電極が電気的に設けられ、コンデンサ81の他方の電極はグラウンドに電気的に接続されている。第2導電路92には、コンデンサ82の一方の電極が電気的に接続され、コンデンサ82の他方の電極はグラウンドに電気的に接続されている。
【0018】
電圧変換部6において、スイッチング素子T1のドレインには、第1導電路91が電気的に接続され、スイッチング素子T1のソースには、スイッチング素子T2のドレイン及びインダクタLの一端が電気的に接続されている。スイッチング素子T3のドレインには、第2導電路92が電気的に接続され、スイッチング素子T3のソースには、スイッチング素子T4のドレイン及びインダクタLの他端が電気的に接続されている。スイッチング素子T2,T4のそれぞれのソースはグラウンドに電気的に接続されている。スイッチング素子T1,T2,T3,T4のそれぞれのゲートには、後述する駆動部8からの各信号がそれぞれ入力される。
【0019】
電圧検出部20は、電圧検出部21,22を備える。電圧検出部21,22はいずれも、公知の電圧検出回路として構成されている。電圧検出部21は、第1導電路91の電圧を示す値(例えば第1導電路91の電圧値、又は第1導電路91の電圧値を分圧回路によって分圧した値等)を検出値として制御部12に入力する。電圧検出部22は、第2導電路92の電圧を示す値(例えば第2導電路92の電圧値、又は第2導電路92の電圧値を分圧回路によって分圧した値等)を検出値として制御部12に入力する。制御部12は、電圧検出部21から入力された値(電圧検出部21の検出値)に基づいて第1導電路91の電圧値を特定することができ、電圧検出部22から入力された値(電圧検出部21の検出値)に基づいて第2導電路92の電圧値を特定することができる。
【0020】
電流検出部30は、電流検出部31,32を備える。電流検出部31,32はいずれも、公知の電流検出回路として構成されている。電流検出部31は、第1導電路91を流れる電流を検出する電流検出回路であり、例えば第1導電路91に設けられたシャント抵抗と、シャント抵抗の両端電圧を増幅して出力する差動増幅器とによって構成されている。電流検出部32は、第2導電路92を流れる電流を検出する電流検出回路であり、例えば第2導電路92に設けられたシャント抵抗と、シャント抵抗の両端電圧を増幅して出力する差動増幅器とによって構成されている。制御部12は、電流検出部31から入力された値(電流検出部31の検出値)に基づいて第1導電路91を流れる電流の値を特定し、電流検出部32から入力された値(電流検出部32の検出値)に基づいて第2導電路92を流れる電流の値を特定する。
【0021】
制御部12は、例えばマイクロコンピュータとして構成され、電圧検出部20及び電流検出部30から入力される電圧値及び電流値と、目標電圧値とに基づいて公知の方法でフィードバック制御を行い、電圧変換部6に与えるPWM信号のデューティを設定する。そして、設定されたデューティのPWM信号を駆動部8に出力する。目標電圧値は、制御部12で設定される値であってもよく、外部ECUなどの外部装置から指示される値であってもよい。
【0022】
駆動部8は、スイッチング素子T1,T2,T3,T4をオンオフさせる制御信号を出力する回路である。この駆動部8は、制御部12で設定されたデューティのPWM信号を電圧変換部6に出力する機能を有する。
【0023】
降圧モードでは、制御部12及び駆動部8の動作により、スイッチング素子T1,T2の各ゲートに対してデッドタイムを設定した形でPWM信号を相補的に出力するように同期整流制御を行う。具体的には、スイッチング素子T1へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、スイッチング素子T2へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力され、スイッチング素子T2へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、スイッチング素子T1へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力されるように同期整流制御が行われる。この制御により、第1導電路91に印加された直流電圧(入力電圧)を降圧する動作がなされ、第2導電路92には、第1導電路91に印加された入力電圧よりも低い出力電圧が印加される。第2導電路92に印加される出力電圧は、スイッチング素子T1のゲートに与えるPWM信号のデューティに応じて定まる。なお、降圧モードでは、スイッチング素子T3のゲートにはオン信号が継続的に入力され、スイッチング素子T3はオン状態で維持される。また、スイッチング素子T4のゲートにはオフ信号が継続的に入力され、スイッチング素子T4はオフ状態で維持される。
【0024】
降圧モードでは、制御部12により公知方式のフィードバック制御がなされる。具体的には、制御部12の一部をなす演算部49が、電圧検出部22(降圧モードでの出力電圧検出部)によって検出された出力電圧に基づいて第2導電路92(降圧モードでの出力側導電路)の電圧を目標電圧値に近づけるようにPWM信号(制御信号)のデューティを算出するフィードバック演算を周期的に繰り返す。周期的に実行されるフィードバック演算では、出力電圧値と目標電圧値との偏差に基づいてPID演算やPI演算などの公知のフィードバック演算処理を行い、出力電圧値を目標電圧値に近づけるための新たなデューティを決定する。制御部12は、降圧モード中にPWM信号(制御信号)を継続的に出力し、演算部49がフィードバック演算を行う度に、PWM信号(制御信号)のデューティをフィードバック演算で新たに得られたデューティに変化させる。駆動部8は、制御部12から与えられるPWM信号を取得し、そのPWM信号と同周期及び同デューティのPWM信号をスイッチング素子T1のゲートに出力する。駆動部8からスイッチング素子T1のゲートに出力されるPWM信号は、オン信号(Hレベル信号)の電圧がスイッチング素子T1をオン動作させ得る適切なレベルに調整される。そして、駆動部8は、スイッチング素子T1のゲートに出力するPWM信号と相補的なPWM信号をスイッチング素子T2のゲートに出力し、同期整流制御を行う。
【0025】
なお、降圧モードでは、第1導電路91が入力側導電路の一例に相当し、第2導電路92が出力側導電路の一例に相当する。
【0026】
昇圧モードでは、制御部12及び駆動部8の動作により、スイッチング素子T1,T2の各ゲートに対してデッドタイムを設定した形でPWM信号を相補的に出力するように同期整流制御を行う。具体的には、スイッチング素子T2へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、スイッチング素子T1へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力され、スイッチング素子T1へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、スイッチング素子T2へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力されるように同期整流制御が行われる。この制御により、第2導電路92に印加された直流電圧(入力電圧)を昇圧する動作がなされ、第1導電路91には、第2導電路92に印加された入力電圧よりも高い出力電圧が印加される。第1導電路91に印加される出力電圧は、スイッチング素子T2のゲートに与えるPWM信号のデューティに応じて定まる。なお、昇圧モードでは、スイッチング素子T3のゲートにはオン信号が継続的に入力され、スイッチング素子T3はオン状態で維持される。また、スイッチング素子T4のゲートにはオフ信号が継続的に入力され、スイッチング素子T4はオフ状態で維持される。
【0027】
昇圧モードでは、制御部12により公知方式のフィードバック制御がなされる。具体的には、制御部12の一部をなす演算部49が、電圧検出部21(昇圧モードでの出力電圧検出部)によって検出された出力電圧に基づいて第1導電路91(昇圧モードでの出力側導電路)の電圧を目標電圧値に近づけるようにPWM信号(制御信号)のデューティを算出するフィードバック演算を周期的に繰り返す。フィードバック演算は、降圧モードと同様に行うことができる。制御部12は、昇圧モード中にPWM信号(制御信号)を継続的に出力し、演算部45がフィードバック演算を行う度に、PWM信号(制御信号)のデューティをフィードバック演算で新たに得られたデューティに変化させる。駆動部8は、制御部12から与えられるPWM信号を取得し、そのPWM信号と同周期及び同デューティのPWM信号をスイッチング素子T2のゲートに出力する。駆動部8からスイッチング素子T2のゲートに出力されるPWM信号は、オン信号(Hレベル信号)の電圧がスイッチング素子T2をオン動作させ得る適切なレベルに調整される。そして、駆動部8は、スイッチング素子T2のゲートに出力するPWM信号と相補的なPWM信号をスイッチング素子T1のゲートに出力し、同期整流制御を行う。
【0028】
なお、昇圧モードでは、第2導電路92が入力側導電路の一例に相当し、第1導電路91が出力側導電路の一例に相当する。
【0029】
図2のように、制御部12は、主として、マイクロコンピュータ40、デューティ決定部41、ゲイン設定部42などを備える。
【0030】
マイクロコンピュータ(マイコン)40は、例えばCPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ等を備える。マイクロコンピュータ40には、フィードバック演算に用いるゲインの値、出力電圧値Voutの大きさ判定に用いる閾値(第1上限閾値、第1下限閾値、第2上限閾値、第2下限閾値)、デューティ加算値の算出プログラム等が記憶されている。
【0031】
デューティ決定部41は、電圧変換部6からの出力を設定された目標値とするようにフィードバック演算を行い、PWM信号のデューティを決定する回路である。例えば、降圧モードのときには、第2導電路92の電流値Iout及び電圧値Voutと、出力電流の目標値Ita(目標電流値)及び出力電圧の目標値Vta(目標電圧値)とに基づき、公知のPI制御方式によるフィードバック演算によって制御量(デューティ)を決定する。そして、決定したデューティのPWM信号を、電圧変換部6に対して出力する。
【0032】
ゲイン設定部42は、判定部としての機能を有するとともに、電圧検出部20で検出された電圧値に基づいてフィードバック演算で使用する使用ゲインを設定するように機能する。具体的には、ゲイン設定部42は、電圧検出部20で検出された出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが所定閾値(第1閾値)未満である場合に使用ゲインを第1ゲインに設定し、電圧検出部20で検出された出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが所定閾値(第1閾値)以上である場合に使用ゲインを第1ゲインよりも大きい第2ゲインに設定する。「出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔV」は、目標電圧値Vtaから出力電圧値Voutを差し引いた値(Vta−Vout)の絶対値である。
【0033】
更に、本構成では、ゲイン設定部42と加算部48とが加算値の生成・加算を行い得る。具体的には、ゲイン設定部42は、電圧検出部20で検出された出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが所定閾値(第1閾値)よりも大きい第2閾値以上である場合に、加算値を算出する所定の加算処理を行う。この場合、加算部48は、演算部49によって算出された算出デューティに対してゲイン設定部42で算出された加算値を加算した値を使用デューティとし、この使用デューティのPWM信号を出力する。一方で、加算部48は、電圧検出部20で検出された出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第2閾値未満である場合、加算値を加算せず、演算部49によって算出された算出デューティを使用デューティとし、この使用デューティのPWM信号を出力する。
【0034】
図3等を参照し、制御部12によるフィードバック制御について説明する。
図3のフィードバック制御は、デューティ決定部41によって実行される制御であり、短い時間間隔で周期的に繰り返される処理である。デューティ決定部41は、所定の動作開始条件の成立に伴い、
図3の流れで制御を行う。動作開始条件は、例えばイグニッション信号のオフからオンへの切り替わり等であり、これ以外の動作開始条件であってもよい。なお、以下で説明するフィードバック制御は、電圧変換部6を降圧モードで動作させる場合でも、昇圧モードで動作させる場合でも、同様に適用できる。
【0035】
まず、電流検出部30から出力される出力電流値Iout、及び電圧検出部20から出力される出力電圧値Voutを取得する(S1)。例えば、
図3の処理を
図2で示すハードウェア回路で実現する場合、偏差算出回路43が出力電流値Ioutを取得し、偏差算出回路44が出力電圧値Voutを取得する。更に、偏差算出回路43は、マイクロコンピュータ40で設定される電流目標値Itaを取得し、偏差算出回路44は目標電圧値Vtaを取得する(S2)。
【0036】
なお、マイクロコンピュータ40は、例えば、定常出力状態のときに電流目標値Itaを所定の固定電流値に設定し、DCDCコンバータ1の動作開始直後に行われるソフトスタート中は電流目標値Itaを、0から上記固定電流値となるまで時間経過に応じて徐々に上昇させるようになっている。同様に、定常出力状態のときに目標電圧値Vtaを所定の固定電圧値に設定し、ソフトスタート中は目標電圧値Vtaを、0から上記固定電圧値となるまで時間経過に応じて徐々に上昇させるようになっている。
【0037】
ステップS2の後には、ゲイン設定部42(判定部)は、S1で取得された出力電圧値Voutを用いた判定処理を行う(S3)。この判定処理は、
図4のような流れで行う。ゲイン設定部42は、ステップS3の判定処理の開始に伴い、まず、マイクロコンピュータ40から閾値を取得する(S21)。ステップS21で取得する閾値は、第1閾値及び第2閾値である。第1閾値は、目標電圧値と第1上限閾値との差であり、目標電圧値と第1下限閾値との差でもある。この第1閾値によって第1上限閾値及び第1下限閾値が特定される。
図5に示すように、第1上限閾値は目標電圧値Vtaよりも第1閾値(第1の所定値)だけ大きい値であり、第1下限閾値は目標電圧値Vtaよりも第1閾値(第1の所定値)だけ小さい値である。第2閾値は、目標電圧値と第2上限閾値との差であり、目標電圧値と第2下限閾値との差でもある。この第2閾値によって第2上限閾値及び第2下限閾値が特定される。第2上限閾値は目標電圧値Vtaよりも第2閾値(第2の所定値)だけ大きい値であり、第2下限閾値は目標電圧値Vtaよりも第2閾値(第2の所定値)だけ小さい値である。第2閾値(第2の所定値)は第1閾値(第1の所定値)よりも大きい値である。
【0038】
ステップS21の後、ゲイン設定部42は、出力電圧値Voutを取得する(S22)。ステップS22では、ステップS1で取得及び記憶保持した出力電圧値Voutを読み出す。ステップS22の後、ゲイン設定部42は、ステップS22で取得した出力電圧値Voutが目標電圧値Vtaに対して第1閾値の範囲内か否か、即ち、その出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第1閾値(所定閾値)未満であるか否か判定する(S23)。ステップS22で取得した出力電圧値Voutが第1上限閾値未満であり且つ第1下限閾値よりも大きい場合、ゲイン設定部42は、出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第1閾値(所定閾値)未満であると判定し、この場合、使用ゲインを第1ゲインに変更するようにゲインの変更指示信号を出力する(S23でY、S24)。例えば、
図5で示す出力電圧波形における時間t2からt3までの期間、又は時間t4より後の期間では、出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaの差ΔVが第1閾値未満であるため、ゲイン設定部42は、使用ゲインを第1ゲインに変更するようにゲインの変更指示信号を出力することになる。ステップS24の後、ゲイン設定部42は、デューティ加算値の加算指示信号を出力することなく(S25)、
図4の制御を終了する。
【0039】
ゲイン設定部42は、ステップS23において出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第1閾値(所定閾値)以上であると判定した場合(即ち、ステップS22で取得した出力電圧値Voutが第1上限閾値以上又は第1下限閾値以下である場合)、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtaに対して第2閾値の範囲内か否か、即ち、ステップS22で取得した出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第2閾値未満であるか否かを判定する(S23でN、S26)。ステップS22で取得した出力電圧値Voutが第2上限閾値未満であり且つ第2下限閾値よりも大きい場合、ゲイン設定部42は、出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第2閾値未満であると判定し、この場合、使用ゲインを第2ゲインに変更するようにゲインの変更指示信号を出力する(S26でY、S27)。例えば、
図5で示す出力電圧波形における時間t1からt2までの期間、又は時間t3からt4までの期間では、出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaの差ΔVが第1閾値以上かつ第2閾値未満であるため、使用ゲインを第2ゲインに変更するようにゲインの変更指示信号を出力する。続いて、ゲイン設定部42は、デューティ加算値の加算指示信号を出力することなく(S28)、
図4の制御を終了する。
【0040】
ゲイン設定部42は、ステップS26において出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第2閾値の範囲内でないと判定した場合、即ち、ステップS22で取得した出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第2閾値以上であると判定した場合、使用ゲインを第2ゲインに変更するようにゲインの変更指示信号を出力する(S26でN、S29)。例えば、
図5で示す出力電圧波形では、DCDCコンバータ1の駆動開始後から時間t1に至るまでの期間において出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの差ΔVが第2閾値以上であるため、ゲイン設定部42は、時間t1よりも前の期間では、使用ゲインを第2ゲインに変更するようにゲインの変更指示信号を出力する。ステップS29の後、ゲイン設定部42は、デューティ加算値の加算指示信号を出力する(S30)。
【0041】
ゲイン設定部42は、ステップS30の処理を行う場合、ステップS22で取得した入力電圧値Vin(即ち、ステップS1で検出された入力電圧値Vin)と目標電圧値Vtaと、加算割合α(0よりも大きく1未満の定数)とに基づき、加算値を算出する。具体的には、目標電圧値Vtaと入力電圧値Vinとに基づいて所定のデューティ算出式で算出されるデューティ計算値Dに対して加算割合αを乗じた値を加算値Xa(Xa=α×D)として算出する。例えば、降圧モードにおいて電流連続モードでは、Xa=α×Vta/Vinで得られる値Xaを加算値として算出する。また、降圧モードにおいて電流不連続モードでは、Xa=α×(a/(Vin−b)+c)/Vta)で得られる値Xaを加算値として算出する。なお、a、b、cは所定の係数(定数)である。S30の処理後、
図4の制御を終了する。
【0042】
図4のような判定処理の後、
図3で示すステップS4において、第2演算部46は、ゲイン設定部42からゲインの変更指示信号が出力されているか否かを判定する。ゲイン設定部42からゲインの変更指示信号が出力されていない場合(S4でNの場合)には、第2演算部46は、第1ゲインを選択し(S5)、ゲイン設定部42からゲインの変更指示信号が出力されている場合(ステップS4でYの場合)には、第2ゲインを選択する(S6)。第1ゲインは、第1の比例ゲインと第1の積分ゲインとを含み、ステップS5で第1ゲインを選択した場合、比例ゲインとして第1の比例ゲインを用い、積分ゲインとして第1の積分ゲインを用いる。また、第2ゲインは、第2の比例ゲインと第2の積分ゲインとを含み、ステップS6で第2ゲインを選択した場合、比例ゲインとして第2の比例ゲインを用い、積分ゲインとして第2の積分ゲインを用いる。なお、第2の比例ゲインは、第1の比例ゲインよりも大きい値であり、例えば、第1の比例ゲインの2倍の値を用いることができる。第2の積分ゲインは、第1の積分ゲインよりも大きい値であり、例えば、第1の積分ゲインの2倍の値を用いることができる。なお、第1の比例ゲイン、第2の比例ゲイン、第1の積分ゲイン、第2の積分ゲイン、のそれぞれの値は、例えば図示しない記憶部に予め記憶しておくことができる。第2演算部46は、ステップS5で第1ゲインを選択した場合、ステップS7では、第1の比例ゲイン及び第1の積分ゲインを使用ゲインとして設定し、ステップS6で第2ゲインを選択した場合、ステップS7では、第2の比例ゲイン及び第2の積分ゲインを使用ゲインとして設定する。
【0043】
ステップS7の後、第1演算部45は、電流制御演算を行い(S8)、第2演算部46は、電圧制御演算を行う(S9)。S8の処理では、第1演算部45は、偏差算出回路43から出力される出力電流値Ioutと電流目標値Itaとの偏差を取得し、その偏差と、予め設定された比例ゲイン、積分ゲインとに基づき、公知のPI演算式により出力電流を電流目標値Itaに近づけるための操作量(デューティの増減量)を決定する。S9の処理では、第2演算部46は、偏差算出回路44から出力される出力電圧値Voutと目標電圧値Vtaとの偏差を取得し、その偏差と、S7で設定された比例ゲイン、積分ゲインに基づき、公知のPI演算式により出力電圧を目標電圧値Vtaに近づけるための操作量(デューティの増減量)を決定する。
【0044】
ステップS9の後、調停部47(調停回路)は、電流・電圧制御の調停を行う(S10)。この処理では、調停部47が、電流制御又は電圧制御のいずれを優先させるかを決定する。具体的には、第1演算部45で決定した操作量と、第2演算部46で決定した操作量のいずれを優先させるかを決定する。いずれを優先させるかの決定方法は様々に考えられ、例えば、演算部45,46で決定した各操作量のうち、小さい操作量を優先させる方法が考えられる。なお、調停方法はこの方法に限定されず、公知の他の方法を用いてもよい。調停部47(調停回路)は、このようにして演算部45,46のいずれの操作量を優先させるかを決定した後、現在の制御量(変更前のデューティ)に対し、優先させる操作量(デューティの増減量)を加え、新たなデューティを算出する。ステップS10の後、加算部48は、ステップS10で算出されたデューティに対して、デューティ加算値の加算処理を行う。具体的には、ステップS30の処理によりゲイン設定部42から加算指示信号が出力されている場合、加算部48は、ステップS30で決定した加算値(デューティ加算値)をゲイン設定部42から取得し、取得した加算値をステップS10で算出されたデューティ(算出デューティ)に加算する。この場合、加算部48は、ステップS10で算出されたデューティ(算出デューティ)にゲイン設定部42から与えられた加算値を加算したデューティを使用デューティとして設定する(S12)。一方、ゲイン設定部42から加算指示信号が出力されていない場合、加算部48は加算値の加算処理を行わず、この場合、ステップS10で算出されたデューティ(算出デューティ)を使用デューティとして設定する(S12)。
【0045】
制御部12は、ステップS12で設定された使用デューティをデューティとするPWM信号を駆動部8に出力するようになっており、加算部48によって使用デューティが更新される毎に、駆動部8に対して出力するPWM信号のデューティを更新後の使用デューティに切り替え、駆動部8は、制御部12から与えられるPWM信号と同デューティのPWM信号を上述の方式で出力する。
【0046】
次に、本構成の効果を例示する。
上述の車載用のDCDCコンバータ1は、電圧検出部20で検出された出力電圧値に基づいて使用ゲインを設定することができるため、電圧変換部6が実際に電圧変換を行っているときの出力電圧値に合わせたゲインでフィードバック演算を行うことができる。
【0047】
ゲイン設定部42は、電圧検出部20で検出された出力電圧値と目標電圧値との差が所定閾値(第1閾値)未満である場合に第1ゲインを使用ゲインとして設定し、電圧検出部20で検出された出力電圧値と目標電圧値との差が所定閾値(第1閾値)以上である場合に第1ゲインよりも大きい第2ゲインを使用ゲインとして設定するようになっている。この構成では、電圧変換部6が実際に電圧変換を行っているとき、出力電圧値と目標電圧値との差が一定程度以上に大きい場合には、相対的に大きい第2ゲインを用いてフィードバック演算を行うことで、出力電圧値と目標電圧値との差を減少させる速度を大きくすることができ、出力電圧値をより迅速に目標電圧値に近づけることができる。一方で、出力電圧値と目標電圧値との差が一定程度未満に小さい場合には、相対的に小さい第1ゲインを用いてフィードバック演算を行うことで、オーバーシュートやアンダーシュートを抑えながら出力電圧値を目標電圧値に近づけることができる。
【0048】
デューティ決定部41は、演算部49がフィードバック演算を行う場合において、電圧検出部20で検出された出力電圧値と目標電圧値との差が所定閾値(第1閾値)よりも大きい第2閾値以上である場合、第2ゲインに基づくフィードバック演算で算出された算出デューティに対し所定の加算処理で得られた加算値を加算して使用デューティを決定し、電圧検出部20で検出された出力電圧値と目標電圧値との差が所定閾値(第1閾値)以上且つ第2閾値未満である場合、第2ゲインに基づくフィードバック演算で算出された算出デューティを使用デューティとして決定するようになっている。この構成では、出力電圧値と目標電圧値との差がより大きい場合(第2閾値以上である場合)、相対的に大きい第2ゲインを用いてフィードバック演算を行う動作と、デューティに加算値(所定の加算処理で得られた値)を加算してデューティを増大させる動作とを併用することができる。つまり、出力電圧値と目標電圧値との差がより大きい場合には、出力電圧値と目標電圧値との差を減少させる速度を一層大きくすることができる。
【0049】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わせてもよい。
【0050】
実施例1では、デューティ決定部41は、PI制御方式によるフィードバック演算によって制御量(デューティ比)を決定したが、PID制御方式によるフィードバック演算を行ってもよい。この場合、第2演算部46では、例えば、第1ゲインとして第1比例ゲイン、第1積分ゲイン、第1微分ゲインを用い、第2ゲインとして、第1比例ゲインよりも大きい(例えば2倍大きい)第2比例ゲイン、第1積分ゲインよりも大きい(例えば2倍大きい)第2積分ゲイン、第1微分ゲインよりも大きい(例えば2倍大きい)第2微分ゲインを用いるようにすればよい。
【0051】
実施例1では、ステップS30で用いる加算値(デューティ加算値)が、所定の演算式に基づいて算出されたが、図示しない記憶部に予め記憶された固定値をであってもよい。
【0052】
実施例1では、DCDCコンバータの一例として双方向型の昇降圧DCDCコンバータを例示したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、降圧DCDCコンバータであってもよく、昇圧DCDCコンバータであってもよく、昇降圧DCDCコンバータであってもよい。また、実施例1のように入力側と出力側とを変更し得る双方向型のDCDCコンバータであってもよく、入力側と出力側が固定化された一方向型のDCDCコンバータであってもよい。
【0053】
実施例1では、単相型のDCDCコンバータを例示したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、多相型のDCDCコンバータとしてもよい。
【0054】
実施例1では、同期整流式のDCDCコンバータを例示したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、一部のスイッチング素子をダイオードに置き換えたダイオード方式のDCDCコンバータとしてもよい。
【0055】
実施例1では、DCDCコンバータのスイッチング素子として、Nチャネル型のMOSFETとして構成されるスイッチング素子T1,T2,T3,T4を例示したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、スイッチング素子は、Pチャネル型のMOSFETであってもよいし、バイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子であってもよい。
【0056】
実施例1では、制御部12がマイクロコンピュータとその他のハードウェア回路によって構成されていたが、制御部12全体がマイクロコンピュータによって構成されていてもよい。
【0057】
実施例1では、ステップS30において所定の演算式に基づいて加算値を算出したが、実施例1とは異なる演算式を用いてステップS30の処理を行うようにしてもよい。例えば、目標電圧値Vtaと出力電圧値Voutとを用い、Xa=(Vta−Vout)×eで得られる値Xaを加算値として決定してもよい。なお、eは、所定の係数(定数)である。このようにすれば、目標電圧値Vtaと出力電圧値Voutとのかい離に応じて加算値を決定することができる。