(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端面と直交する方向において、前記端部の前記端面側の少なくとも一部が、前記押圧部材の外側に位置していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板の端部強度検査方法。
前記端面と直交する方向において、前記弾性部材が、前記押圧部材の内側に位置していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板の端部強度検査方法。
前記押圧部材の押し込みに応じて前記端部に作用する応力を測定すると共に、その測定結果に基づいて前記押圧部材の押し込み圧を変更することを特徴とする請求項8に記載のガラス板の端部強度検査方法。
前記ガラス板の端面を加工する端面加工工程と、前記ガラス板を洗浄する洗浄工程とを更に備え、前記検査工程が、前記端面加工工程の後であって、かつ、前記洗浄工程の前に行われることを特徴とする請求項10に記載のガラス板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示のガラス板の端部強度検査は、二本の搬送ローラと、その間に配置された一本の押圧ローラとによって、ガラス板の端部を曲げる構成であるため、二本の搬送ローラにガラス板が跨った状態にする必要がある。そのため、ガラス板の検査対象となる辺の搬送方向の一方端(例えば前端)近傍と他方端(例えば後端)近傍とにおいては、ガラス板を曲げることができない部分が必然的に生じ、これら領域において、ガラス板の端部強度を評価できない。その結果、端部強度検査で合格と判定されても、ガラス板の検査対象となる辺の一方端近傍及び/又は他方端近傍で破損の原因となり得る有害な欠陥が見逃され、製造工程中において、これら欠陥に起因するガラス板の破損が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、検査対象のガラス板の端部の端面に沿う方向における略全域で端部強度検査を確実に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、ガラス板の端部強度検査方法であって、押圧部材と、押圧部材に倣って変形可能な弾性部材とでガラス板の両主表面を挟み込んだ状態で、押圧部材を弾性部材に押し込むことによってガラス板の端面を含む端部を局所変形させながら、押圧部材とガラス板とを端面に沿う方向に相対移動させることを特徴とする。このような構成によれば、押圧部材と弾性部材とでガラス板の両主表面を挟み込んだ状態で、押圧部材を弾性部材に押し込むことによって、弾性部材が押圧部材に倣って変形する。その結果、押圧部材と弾性部材とに挟み込まれたガラス板もその端部が局所変形する。すなわち、押圧部材と弾性部材とでガラス板の両主表面を挟み込んだ位置に対応するガラス板の端部に局所変形を生じさせることができるため、ガラス板の端部の端面に沿う方向における一方端近傍や他方端近傍においても、ガラス板の端部に局所変形を生じさせることができる。従って、押圧部材とガラス板との相対移動により、ガラス板の端部の端面に沿う方向における略全域で端部強度検査を確実に行うことができる。
【0009】
上記の構成において、ガラス板と接触する押圧部材の接触部が、円筒面をなすことが好ましい。このようにすれば、ガラス板の端部における局所変形が円筒面に倣った曲げ変形となるため、局所変形の形状が安定する。その結果、端部強度検査を効率よく行うことができる。
【0010】
この場合、押圧部材が、円柱状の回転体(ローラ)であることが更に好ましい。このようにすれば、ガラス板に対して押圧部材が転動可能となるため、ガラス板と押圧部材との相対移動がスムーズになり、端部強度検査を効率よく行うことができる。また、ガラス板に不要な擦り傷が生じにくくなるという利点もある。
【0011】
上記の構成において、弾性部材が、端面に沿って延びる長尺部材であることが好ましい。ここで、長尺部材としては、例えば、帯状部材、棒状部材等が挙げられる。このようにすれば、弾性部材が、端面に沿った長尺な領域で予めガラス板と接触した状態となるため、押圧部材とガラス板とを端面に沿う方向に相対移動させても、弾性部材に対する押圧部材の押し込み状態が安定する。
【0012】
上記の構成において、弾性部材が、スポンジであることが好ましい。このようにすれば、押圧部材を押し込んだ際に、弾性部材が押圧部材に倣って変形しやすくなる。そのため、ガラス板の端部における局所変形の形状が安定する。
【0013】
上記の構成において、端面と直交する方向において、端部の端面側の少なくとも一部が、押圧部材の外側に位置していることが好ましい。すなわち、端部の端面側が押圧部材の外側に位置していない場合、局所変形に伴ってガラス板の端部に作用する応力(例えば引張応力)にばらつきが生じる場合がある。これは、押圧部材の外形寸法のばらつきが、ガラス板の端部に作用する応力に影響しやすくなるためと推定される。従って、端部の端面側の少なくとも一部を押圧部材の外側に位置させ、局所変形に伴ってガラス板の端部に作用する応力にばらつきが生じるのを防止することが好ましい。
【0014】
上記の構成において、端面と直交する方向において、弾性部材が、押圧部材の内側に位置していることが好ましい。すなわち、弾性部材の一部が押圧部材の外側に位置していると、押圧部材と弾性部材の食み出し部との境界近傍でガラス板が破損するおそれがある。従って、弾性部材を押圧部材の内側に位置させ、このようなガラス板の破損を防止することが好ましい。
【0015】
上記の構成において、押圧部材の押し込み圧が変更可能であることが好ましい。このようにすれば、ガラス板の端部の強度検査で評価する強度を変更することができる。
【0016】
この場合、押圧部材の押し込みに応じて端部に作用する応力(例えば引張応力)を測定すると共に、その測定結果に基づいて押圧部材の押し込み圧を変更することが更に好ましい。このようにすれば、端部に実際に作用する応力に応じて、押圧部材の押し込み圧を変更することができる。従って、より正確なガラス板の端部強度検査を行うことができる。
【0017】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、ガラス板の製造方法であって、上記の方法によってガラス板の端部の強度を検査する検査工程を含むことを特徴とする。
【0018】
上記の構成において、ガラス板の端面を加工する端面加工工程と、ガラス板を洗浄する洗浄工程とを更に備え、検査工程が、端面加工工程の後であって、かつ、洗浄工程の前に行われることが好ましい。このようにすれば、端面加工されたガラス板の端部強度検査を行うことができる。また、押圧部材が接触することによる汚れの転写等を洗浄によって除去することもできる。
【0019】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、ガラス板の端部強度検査装置であって、ガラス板の一方の主表面を押し込む押圧部材と、押圧部材と対向する位置でガラス板の他方の主表面と接触すると共に、押圧部材の押し込みによってガラス板の端面を含む端部が局所変形するように、押圧部材に倣って変形可能な弾性部材と、押圧部材とガラス板とを端面に沿う方向に相対移動させる移動機構とを備えていることを特徴とする。このような構成によれば、前述の対応する構成と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検査対象のガラス板の端部の端面に沿う方向における略全域で端部強度検査を確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、図中のXYZは直交座標系である。X方向及びY方向は水平方向であり、X方向は幅方向とする。Z方向は鉛直方向である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る端部強度検査装置1は、ガラス板Gの上面(一方の主表面)と接触する押圧部材2と、押圧部材2と対向する位置でガラス板Gの下面(他方の主表面)と接触すると共に、押圧部材2に倣って変形可能な弾性部材3と、押圧部材2を検査対象となる辺に沿って移動させる移動機構4とを備えている。
【0024】
ガラス板Gは矩形形状の枚葉状である。ガラス板Gの一辺の大きさは100mm〜3000mmであることが好ましい。ガラス板Gの厚みは、5μm〜1000μmであることが好ましく、50μm〜700μmであることがより好ましい。特に、ガラス板Gは、厚みが500μm以下であることが好ましい。ここで、本実施形態では、ガラス板Gの四辺のうち、幅方向と直交する二辺が検査対象の辺とされる。ただし、幅方向と平行な残りの二辺についても、同様に端部強度検査を行ってもよい。
【0025】
押圧部材2は、幅方向と平行な回転軸を有する円柱状の押圧ローラ(フリーローラ)であり、ガラス板Gの幅方向端部Ga近傍でガラス板Gの上面と接触する。なお、押圧部材2は、ガラス板Gとの間の相対移動に応じて従動回転するものに限らず、駆動回転するものであってもよい。また、押圧部材2の形状としては、円柱状以外に、例えば、球状、太鼓状(幅方向中央部を幅方向両端部に比べて大径とした形状)なども使用することができる。ただし、ガラス板Gの幅方向端部Gaの変形を安定させる観点からは、ガラス板と接触する押圧部材2の接触部の形状が、例えば円柱状の場合のように、幅方向に湾曲成分を実質的に有さない円筒面であることが好ましい。
【0026】
押圧部材2の接触部の曲率半径、すなわち、円柱状部材の半径は、1〜200mmであることが好ましく、5〜50mmであることがより好ましい。
【0027】
押圧部材2は、例えば、プラスチックなどの樹脂で形成される。
【0028】
押圧部材2は、上下方向に延びるアーム部5の先端部5aに保持されている。アーム部5は、錘6を受ける受け部5bを備えている。詳細には、アーム部5は、上下方向に延びる柱状部材であり、その柱状部材の一部が拡径することで受け部5bが形成されている。錘6は、アーム部5に挿入可能な筒状部材であり、アーム部5の基端側(上端側)から挿入されると共に受け部5bで係止されている。
【0029】
アーム部5は、移動機構4に対して上下動可能に保持されており、錘6の重さを変えることで、押圧部材2のガラス板Gに対する押し込み圧が変更できるようになっている。この場合、錘6の重さを大きくするほど、押圧部材2の押し込み圧は大きくなる。なお、押圧部材2の押し込み圧を変更する機構はこれに限定されない。例えば、押圧部材2の上下方向の位置を制御(調整)する機構により、押圧部材2の押し込み圧を変更するようにしてもよい。この場合、押圧部材2の押し込み位置を下げるほど、押圧部材2の押し込み圧は大きくなる。
【0030】
弾性部材3は、幅方向と直交する方向に延びる棒状の長尺体であり、ガラス板Gの幅方向端部Ga近傍でガラス板Gの下面と接触する。本実施形態では、弾性部材3は、定位置に配置された状態で、幅方向と直交する方向におけるガラス板Gの全長と接触する。そのため、押圧部材2を幅方向と直交する方向に移動させても、押圧部材2に対応する位置で、ガラス板Gの幅方向端部Ga近傍の一部を押圧部材2と弾性部材3とで挟み込むことができる。このようにガラス板Gを介在させた状態で押圧部材2を弾性部材3に押し込むと、弾性部材3は、押圧部材2に倣って凹曲面状に変形し、ガラス板Gの端面Geを含む幅方向端部Gaに局所的な曲げ変形が生じる(詳細は後述する
図3の湾曲部Gxを参照)。この際、ガラス板Gの幅方向中央部Gbを幅方向端部Gaと同様に湾曲させてもよいし、湾曲させることなく平板状に維持させてもよい。なお、弾性部材3及びガラス板Gの変形量は、押圧部材2の押し込み圧が大きくなるほど大きくなる。
【0031】
弾性部材3の材質は、例えば、ブラシ、ゴム、スポンジ(多孔質体)などが使用可能であるが、本実施形態ではスポンジが使用されている。スポンジの硬度は、アスカーC8〜C35であることが好ましい。スポンジ硬度は、アスカーC型のスポンジ硬度計で測定した値とする。
【0032】
移動機構4は、ガラス板Gの幅方向の両外側方で幅方向と直交する方向に延びるレール部7と、それぞれのレール部7にスライド可能に保持された脚部8と、それぞれの脚部8の間に跨るように幅方向に延びる梁部9とを備えている。押圧部材2を保持するアーム部5は、梁部9に上下動可能に保持されると共に、梁部9と一緒に幅方向と直交する方向に移動可能になっている。なお、移動機構4の構成は、ガラス板Gと押圧部材2とを幅方向と直交する方向に相対移動可能であれば特に限定されない。
【0033】
本実施形態では、端部強度検査装置1は、ガラス板Gの幅方向中央部Gbを下面側から支持する支持部材10を更に備えている。支持部材10は、ガラス板Gの幅方向中央部Gbが下方に垂れ下がるのを防止するためのものであり、例えば、定盤、ブラシ、ゴム、スポンジ、ローラなどが使用可能であるが、本実施形態ではスポンジが使用されている。支持部材10は、押圧部材2の押し込みによるガラス板Gの幅方向端部Gaの曲げ変形を阻害しないように、弾性部材3から離して配置されることが好ましい。なお、支持部材10は、ガラス板Gの幅方向寸法が小さく、ガラス板Gの幅方向中央部Gが下方に垂れ下がらない場合には配置しなくてもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係るガラス板の製造方法を説明する。この製造方法は、以上のように構成された端部強度検査装置1を用いて端部強度検査を行う検査工程を含む。なお、以下では、検査工程において、ガラス板Gの幅方向と直交する一対の辺に沿って端部強度検査をする場合を説明するが、残り一対の辺に沿っても同様の方法で端部強度検査が行われる。
【0035】
検査工程では、まず、押圧部材2を上方に退避させた状態で、弾性部材3と支持部材10との上にガラス板Gを横姿勢(好ましくは水平姿勢)で載置する。その後、ガラス板Gの幅方向と直交する方向の前端部Gcかつ幅方向端部Ga近傍において(
図1参照)、押圧部材2を下方に移動させ、押圧部材2と弾性部材3とによりガラス板Gの両主表面を挟み込む(
図2参照)。この際、
図3に示すように、ガラス板Gを介在させた状態で押圧部材2を弾性部材3に押し込むことにより、弾性部材3を押圧部材2に倣って凹曲面状に弾性変形させる。これにより、ガラス板Gの端面Geを含む幅方向端部Gaに局所的な曲げ変形を生じさせ、湾曲部Gxを形成する。そして、移動機構4により、押圧部材2をガラス板Gの幅方向と直交する方向の後端部Gdに向かって移動させることにより、湾曲部Gxの形成位置を端面Geに沿って移動させる。
【0036】
このようにすれば、湾曲部Gxの下面側には引張応力、上面側には圧縮応力が作用するため、これら湾曲部Gxに作用する応力(特に引張応力)によってガラス板Gの幅方向端部Gaを起点とした破損が生じるか否かを判定することができる。すなわち、ガラス板Gの幅方向端部Ga(特に端面Ge)に破損に繋がるような有害な欠陥がある場合には、検査工程でガラス板Gの幅方向端部Gaを起点とした破損が生じるため、ガラス板Gの端部強度が所定の合格基準を満たさないと判定することができる。
【0037】
一方、ガラス板Gの幅方向端部Gaに破損に繋がるような有害な欠陥がない場合には、検査工程でガラス板Gの幅方向端部Gaを起点とした破損は生じないため、ガラス板Gの端部強度が所定の合格基準を満たすと判定することができる。
【0038】
そして、このような検査工程は、ガラス板Gの幅方向端部Gaにおける前端部Gcから後端部Gdの間で湾曲部Gxの形成位置を順次移動させながら行うため、幅方向端部Gaにおける幅方向と直交する方向の略全域で端部強度検査を行うことができる。なお、このような検査工程は、製造される全てのガラス板Gに対して行ってもよいし、製造されるガラス板Gの中から抜き出した一枚又は複数枚のガラス板Gに対してのみ行ってもよい。
【0039】
ここで、ガラス板Gの幅方向端部Gaに作用する機械的応力や熱的応力の大きさは、ガラス板Gに対して行われる搬送工程や熱処理工程の内容に基づいて予め推測可能である。そのため、押圧部材2でガラス板Gの端部に作用させる引張応力は、推定される応力と同程度以上に設定される。具体的には、本実施形態では、ガラス板Gを用いた電子デバイスの製造工程に含まれる搬送工程で、ガラス板Gに対して種々支持条件で搬送されるため、この搬送時に作用する応力に対応させて、押圧部材2の押し込み圧によりガラス板Gの下面に80MPa(好ましくは100MPa)の引張応力が作用するように、錘6の重さを調整している。この場合、検査工程で合格基準を満たしたガラス板Gは、端部に80MPa以下(あるいは100MPa以下)の引張応力が作用しても破損しないという特徴を有する。なお、ガラス板Gの下面に作用する引張応力は、例えば、ガラス板Gの下面に歪ゲージ等を配置することで測定することができる。このようにすれば、幅方向端部Gaに実際に作用する応力の測定結果に基づいて、押圧部材2の押し込み圧を適切に調整することができる。
【0040】
本実施形態では、
図2に示すように、幅方向において、幅方向端部Gaの端面Ge側の少なくとも一部が、押圧部材2の外側に食み出している。このようにすれば、例えば、
図4に示すように、幅方向において、幅方向端部Gaの端面Geが、押圧部材2の外側の端面と同一平面上に位置している場合に比べて、押圧部材2の押し込み圧によってガラス板Gの幅方向端部Gaに作用する応力の大きさがばらつきにくくなる。これは、幅方向端部Gaの端面Ge側に食み出し部を形成することで、押圧部材2とガラス板Gの端面Geとが離れ、押圧部材2の外形寸法のばらつきがガラス板Gの端面Geに影響しにくくなるためと推定される。もちろん、本発明は、
図4に示す態様を除外するものではなく、幅方向において、幅方向端部Gaの端面Geが押圧部材2の外側の端面と同一平面上に位置していてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、幅方向において、弾性部材3が、押圧部材2の内側に位置している。換言すれば、押圧部材2が、弾性部材3よりも幅広であり、かつ、弾性部材3の幅方向両端部が、押圧部材2の幅方向外側に食み出していない。ここで、
図5に示すように、幅方向において、弾性部材3の一部が押圧部材2の外側に食み出していると、押圧部材2と弾性部材3の食み出し部との境界P近傍でガラス板Gが破損するおそれがある。従って、弾性部材3を押圧部材2の内側に位置させ、このようなガラス板Gの破損を防止することが好ましい。もちろん、本発明は、
図5に示す態様を除外するものではなく、幅方向において、弾性部材3の一部が押圧部材2の外側に食み出していてもよい。
【0042】
更に、本実施形態に係るガラス板の製造方法は、検査工程の前に、例えば、成形工程と、徐冷工程と、採板工程と、切断工程と、端面加工工程とを備えている。また、本実施形態に係るガラス板の製造方法は、例えば、検査工程の後に、洗浄工程(乾燥工程を含む)と、最終検査工程と、梱包工程とを備えている。すなわち、検査工程は、端面加工工程の後、洗浄工程の前に行われる。そのため、押圧部材2や弾性部材3との接触による汚れの転写等を洗浄により除去することができる。なお、検査工程の後に熱処理工程を行ってもよい。
【0043】
成形工程では、オーバーフローダウンドロー法やフロート法等の公知の方法によって、溶融ガラスからガラスリボンを成形する。
【0044】
徐冷工程では、成形されたガラスリボンの反り及び内部歪を低減するために、成形されたガラスリボンを徐冷する。
【0045】
採板工程では、徐冷されたガラスリボンを所定の長さごとに切断し、複数枚の元ガラス板を得る。
【0046】
切断工程では、元ガラス板を所定サイズに切断し、一枚又は複数枚のガラス板Gを得る。元ガラス板の切断方法としては、例えば、切断予定線に沿って形成されたスクライブ線を曲げ応力によって進展させる曲げ応力割断、切断予定線の一部に形成された初期クラックをレーザー照射と急冷によって生じた熱応力で切断予定線に沿って進展させるレーザー割断、レーザー照射によって溶融しながら切断予定線に沿って切断するレーザー溶断等を利用することができる。
【0047】
端面加工工程では、切断工程において所定サイズに切断されたガラス板Gに対して端面の研削、研磨及びコーナーカットを含む端面加工を行う。
【0048】
熱処理工程では、例えば熱処理炉において、ガラス板Gに対して熱処理を行う。
【0049】
洗浄工程では、ガラス板Gを傾斜姿勢で搬送しながら洗浄した後に乾燥させる。もちろん、水平姿勢のガラス板Gに対して洗浄工程を行ってもよい。
【0050】
最終検査工程では、洗浄されたガラス板Gの表面に傷、塵、汚れ等がないか、及び/又は、気泡、異物等の内部欠陥がないかを検査する。検査は、カメラ等の光学検査装置を用いて行う。
【0051】
梱包工程では、検査の結果、所望の品質を満たすガラス板Gを梱包する。梱包は、所定のパレットに対して、複数枚のガラス板Gを平置きで積層したり、縦置きで積層したりすることによって行う。この場合、ガラス板Gの積層方向の相互間には、合紙や発泡樹脂等からなる保護シートを介在させることが好ましい。
【実施例】
【0052】
以下の実施例に係る方法と、比較例に係る方法とにより、大きさが100mm×300mmで、厚み0.5mmの日本電気硝子株式会社製のOA−11を検査対象ガラス板として端部強度の検査を行った。なお、検査対象ガラス板の端面には、研磨により端面加工を施した。
【0053】
実施例では、押圧部材として直径20mmの円柱状のプラスチック製ローラを用いると共に、弾性部材として厚み50mmの棒状のスポンジ(ミスミ製SGNB)を用いた。ガラス板を定位置に配置した状態で押圧部材を3m/minで移動させた。
【0054】
比較例では、引用文献1に開示の検査方法を再現すべく、直径20mmの円柱状のプラスチック製ローラを5本用いた。詳細には、3本のローラを幅方向と直交する方向に50mm間隔でガラス板の下方に配置し、残りの2本のローラを同方向に50mm間隔でガラス板の上方かつ前述の3本のローラの間に位置するように配置した。そして、これら5本のローラの間にガラス板を蛇行させながら3m/minで移動させた。
【0055】
その結果、比較例に係る方法では、ガラス板の検査対象の辺の未測定領域は、辺の前端部と後端部にそれぞれ形成され、全長の17%(前端部:8.5%、後端部:8.5%)であった。これに対し、実施例に係る方法では、ガラス板の検査対象の辺の未測定領域は、全長の略0%であり、辺の全長の略全域を測定することができた。
【0056】
本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に種々なる形態で実施し得る。
【0057】
上記の実施形態において、ガラス板の上下面を反転させて、検査工程を再度行ってもよい。すなわち、ガラス板の第一主表面を上にして押圧部材を接触させると共に、第二主表面を下にして弾性部材を接触させた状態で、検査工程を行った後、ガラス板の第二主表面を上にして押圧部材を接触させると共に、第一主表面を下にして弾性部材を接触させた状態で、同様の検査工程を行ってもよい。このようにすれば、第一主表面と第二主表面のそれぞれに引張応力が作用するため、端部強度の検査精度を向上させることができる。
【0058】
上記の実施形態では、ガラス板を定位置に配置した状態で、押圧部材を幅方向と直交する方向に移動させる場合を説明したが、押圧部材を定位置に配置した状態で、ガラス板を幅方向と直交する方向に移動させてもよい。
【0059】
この場合の具体的な態様の一例を
図6に示す。同図に示すように、押圧部材は押圧ローラ11から構成され、弾性部材はスポンジやゴム等からなる弾性ローラ12から構成される。ガラス板Gを介して押圧ローラ11を弾性ローラ12に押し込んだ状態で、これらローラ11,12によってガラス板Gの幅方向端部の両主表面を挟み込む。この状態で、図示しない搬送機構(例えば、ガラス板の下面を吸着可能なコンベアなど)によりガラス板Gを幅方向と直交する方向に移動させながら、この移動に伴ってローラ11,12を従動回転又は駆動回転させる。ここで、このようにガラス板を幅方向と直交する方向に移動させながら端部強度検査を行う場合、ガラス板は矩形形状の枚葉状に限定されない。例えば、ガラス板は、長尺なガラス板をロール状に巻き取ったガラスロールから連続的に供給されるものであってもよい。
【0060】
なお、
図6に示す態様は、ガラス板を定位置に配置した状態で、押圧部材を幅方向と直交する方向に移動させる場合にも適用できる。この場合、押圧ローラと弾性ローラとを一緒に幅方向と直交する方向に移動させる。
【0061】
上記の実施形態では、押圧部材が押圧ローラ(回転体)である場合を説明したが、押圧部材は非回転体であってもよい。この場合、押圧部材は、ガラス板との間の相対移動により、ガラス板の主表面上を摺動する。
【0062】
上記の実施形態において、ガラス板の下面に押圧部材を接触させると共に、ガラス板の上面に弾性部材を接触させた状態で、押圧部材を上方に押し込んでもよい。