(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
積層された複数の誘電体層と積層された複数の内部電極層とを含み、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、積層方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を含む積層体と、
前記積層体の少なくとも前記第1の側面上に配置される第1の外部電極と、前記第1の外部電極と離れて設けられ、少なくとも前記第1の側面上に配置される第2の外部電極と、を備える電子部品本体と、
前記第1の外部電極に接続される第1の金属端子と、前記第2の外部電極に接続される第2の金属端子と、
を有する積層セラミック電子部品であって、
前記内部電極層は、第1の内部電極層と第2の内部電極層とを含み、
前記第1の内部電極層は、前記第2の内部電極層と対向する第1の対向部と前記第1の側面の少なくとも一部に引き出される第1の引出し部とを有し、
前記第2の内部電極層は、前記第1の内部電極層と対向する第2の対向部と前記第1の内部電極層の第1の引出し部とは重ならないように形成される少なくとも前記第1の側面の一部に引き出される第2の引出し部とを有し、
前記電子部品本体は、前記第1の側面もしくは前記第2の側面が、前記積層セラミック電子部品を実装するべき実装基板の実装面と対向するように配置され、前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層は、前記実装面に対して略垂直になるように配置されており、
前記第1の金属端子は、前記第1の外部電極に接続される第1の接合部と、前記第1の接合部に接続される第1の延長部と、前記第1の延長部に接続され、前記電子部品本体から遠ざかるように延びる第1の実装部とを有し、
前記第2の金属端子は、前記第2の外部電極に接続される第2の接合部と、前記第2の接合部に接続される第3の延長部と、前記第3の延長部に接続され、前記電子部品本体から遠ざかるように延びる第2の実装部とを有し、
前記第1の側面の一部と、前記第1の外部電極および前記第2の外部電極と、前記第1の金属端子の一部および前記第2の金属端子の一部と、が外装材で覆われているとともに、それ以外の部分は前記外装材で覆われていないこと、
を特徴とする、積層セラミック電子部品。
前記電子部品本体は、間を隔てるようにして2つ以上設けられており、2つ以上の電子部品本体の前記第1の主面同士もしくは前記第2の主面同士もしくは前記第1の主面および前記第2の主面が対向するように配置されていること、を特徴とする、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
前記第1の金属端子および前記第2の金属端子は、端子本体と前記端子本体の表面に形成されるめっき膜とを有し、前記端子本体の母材は熱伝導率の高い無酸素銅もしくはCu系合金からなること、を特徴とする、請求項1または請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
前記第1の金属端子は、前記第1の外部電極に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面に対向する第1の接合部と、前記第1の接合部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と略平行となる方向に、かつ、前記第1の端面および前記第2の端面を結ぶ長さ方向に、前記積層セラミック電子部品本体から遠ざかるように延びる第1の延長部と、前記第1の延長部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と前記実装面との間に隙間を設けるために、前記実装面の側に延びる第2の延長部と、前記第2の延長部に接続され、前記実装基板に実装されることとなる前記実装面に略平行に延びる第1の実装部と、を有し、
前記第2の金属端子は、前記第2の外部電極に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と対向する第2の接合部と、前記第2の接合部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と略平行となる方向に、かつ、前記第1の端面および前記第2の端面を結ぶ長さ方向に、前記積層セラミック電子部品本体から遠ざかるように延びる第3の延長部と、前記第3の延長部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と前記実装面との間に隙間を設けるために、前記実装面の側に延びる第4の延長部と、前記第4の延長部に接続され、前記実装基板に実装されることとなる前記実装面に略平行に延びる第2の実装部と、を有していること、
を特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
積層された複数の誘電体層と積層された複数の内部電極層とを含み、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、積層方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を含む積層体と、
前記積層体の少なくとも前記第1の側面上に配置される第1の外部電極と、前記第1の外部電極と離れて設けられ、少なくとも前記第1の側面上に配置される第2の外部電極と、を備える2つ以上の電子部品本体と、
一方の前記電子部品本体の前記第1の外部電極に接続される第1の金属端子と、
他方の前記電子部品本体の前記第2の外部電極に接続される第2の金属端子と、
一方の前記電子部品本体の前記第2の外部電極と他方の前記電子部品本体の前記第1の外部電極とに跨って接続される第3の金属端子と、
を有する積層セラミック電子部品であって、
2つ以上の前記電子部品本体は、間を隔てるようにそれぞれの電子部品本体の前記第1の端面同士もしくは前記第2の端面同士もしくは前記第1の端面および前記第2の端面が対向するように配置され、
2つ以上の前記電子部品本体のそれぞれの前記内部電極層は、第1の内部電極層と第2の内部電極層とを含み、
前記第1の内部電極層は、前記第2の内部電極層と対向する第1の対向部と前記第1の側面の少なくとも一部に引き出される第1の引出し部とを有し、
前記第2の内部電極層は、前記第1の内部電極層と対向する第2の対向部と前記第1の内部電極層の第1の引出し部とは重ならないように形成される少なくとも前記第1の側面の一部に引き出される第2の引出し部とを有し、
2つ以上の前記電子部品本体は、前記第1の側面もしくは前記第2の側面が、前記積層セラミック電子部品を実装するべき実装基板の実装面と対向するように配置され、2つ以上の前記電子部品本体の前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層は、前記実装面に対して略垂直となるように配置されており、
前記第1の金属端子は、前記第1の外部電極に接続される第1の接合部と、前記第1の接合部に接続される第1の延長部と、前記第1の延長部に接続され、前記電子部品本体から遠ざかるように延びる第1の実装部とを有し、
前記第2の金属端子は、前記第2の外部電極に接続される第2の接合部と、前記第2の接合部に接続される第3の延長部と、前記第3の延長部に接続され、前記電子部品本体から遠ざかるように延びる第2の実装部とを有し、
2つ以上の前記電子部品本体のそれぞれの前記第1の側面の一部と、2つ以上の前記電子部品本体のそれぞれの前記第1の外部電極および前記第2の外部電極と、前記第1の金属端子の一部および前記第2の金属端子の一部および前記第3の金属端子と、が外装材で覆われているとともに、それ以外の部分は前記外装材で覆われていないこと、
を特徴とする、積層セラミック電子部品。
前記第1の金属端子および前記第2の金属端子および前記第3の金属端子は、端子本体と前記端子本体の表面に形成されるめっき膜とを有し、前記端子本体の母材は熱伝導率の高い無酸素銅もしくはCu系合金からなること、を特徴とする、請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
前記第1の金属端子は、前記第1の外部電極に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面に対向する第1の接合部と、前記第1の接合部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と略平行となる方向に、かつ、前記第1の端面および前記第2の端面を結ぶ長さ方向に、2つ以上の前記積層セラミック電子部品本体から遠ざかるように延びる第1の延長部と、前記第1の延長部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と前記実装面との間に隙間を設けるために、前記実装面の側に延びる第2の延長部と、前記第2の延長部に接続され、前記実装基板に実装されることとなる前記実装面に略平行に延びる第1の実装部と、を有し、
前記第2の金属端子は、前記第2の外部電極に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と対向する第2の接合部と、前記第2の接合部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と略平行となる方向に、かつ、前記第1の端面および前記第2の端面を結ぶ長さ方向に、2つ以上の前記積層セラミック電子部品本体から遠ざかるように延びる第3の延長部と、前記第3の延長部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と前記実装面との間に隙間を設けるために、前記実装面の側に延びる第4の延長部と、前記第4の延長部に接続され、前記実装基板に実装されることとなる前記実装面に略平行に延びる第2の実装部と、を有し、
前記第3の金属端子は、一方の前記電子部品本体の前記第2の外部電極に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と対向する第3の接合部と、前記第3の接合部に接続され、前記第1の側面もしくは前記第2の側面と略平行となる方向に2つ以上の前記電子部品本体に跨るように延びる第5の延長部と、前記第5の延長部に接続され、他方の電子部品本体の前記第1の外部電極に接続される前記第1の側面もしくは前記第2の側面と対向する第4の接合部と、を有していること、
を特徴とする、請求項5または請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.積層セラミック電子部品
(第1の実施の形態)
この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品について説明する。
図1は、この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品の一例を示す外観斜視図である。
図2は
図1の線II−IIにおける断面図であり、
図3は
図1の線III−IIIにおける断面図である。
図4は
図1の線IV−IVにおける断面図であり、
図5は
図1に示した積層セラミック電子部品の平面図である。
【0015】
図1に示すように、積層セラミック電子部品10Aは、たとえば、電子部品本体12と、2つの金属端子から成る第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bと、外装材15とにより構成される。電子部品本体12と第1の金属端子40A、および、電子部品本体12と第2の金属端子40Bは、それぞれ接合材によって接続されている。
【0016】
電子部品本体12は、直方体状の積層体14を含む。積層体14は、積層された複数のセラミック層16と複数の内部電極層18とを有する。さらに、積層体14は、積層方向xに相対する第1の主面14aおよび第2の主面14bと、積層方向xに直交する幅方向yに相対する第1の側面14cおよび第2の側面14dと、積層方向xおよび幅方向yに直交する長さ方向zに相対する第1の端面14eおよび第2の端面14fとを有する。
【0017】
電子部品本体12は、
図2および
図3に示すように、少なくとも第1の側面14c上に配置される第1の外部電極24aと、第1の外部電極24aと離れて形成され、少なくとも第1の側面14c上に配置される第2の外部電極24bと、を備えている。
【0018】
電子部品本体12は、第1の側面14cまたは第2の側面14dが、積層セラミック電子部品10Aを実装するべき実装基板の実装面と対向するように、言い換えると、実装面と平行になるように配置される。
【0019】
積層体14には、角部および稜線部に丸みがつけられていることが好ましい。なお、角部とは、積層体の隣接する3面が交わる部分のことであり、稜線部とは、積層体の隣接する2面が交わる部分のことである。
【0020】
図4に示すように、積層体14は、複数枚のセラミック層16から構成される外層部16aと単数もしくは複数枚のセラミック層16とそれらの上に配置される複数枚の内部電極層18から構成される内層部16bとを含む。外層部16aは、積層体14の第1の主面14a側および第2の主面14b側に位置し、第1の主面14aと最も第1の主面14aに近い内部電極層18との間に位置する複数枚のセラミック層16、および第2の主面14bと最も第2の主面14bに近い内部電極層18との間に位置する複数枚のセラミック層16の集合体である。そして、両外層部16aに挟まれた領域が内層部16bである。
【0021】
セラミック層16は、たとえば、誘電体材料により形成することができる。誘電体材料としては、たとえば、BaTiO
3、CaTiO
3、SrTiO
3またはCaZrO
3などの成分を含む誘電体セラミックを用いることができる。上記の誘電体材料を主成分として含む場合、所望する電子部品本体12の特性に応じて、たとえば、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの主成分よりも含有量の少ない成分を添加したものを用いてもよい。
【0022】
なお、積層体14に、圧電体セラミックを用いた場合、電子部品本体は、セラミック圧電素子として機能する。圧電セラミック材料の具体例としては、たとえば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミック材料などが挙げられる。
また、積層体14に、半導体セラミックを用いた場合、電子部品本体は、サーミスタ素子として機能する。半導体セラミック材料の具体例としては、たとえば、スピネル系セラミック材料などが挙げられる。
また、積層体14に、磁性体セラミックを用いた場合、電子部品本体は、インダクタ素子として機能する。また、インダクタ素子として機能する場合は、内部電極層18は、コイル状の導体となる。磁性体セラミック材料の具体例としては、たとえば、フェライトセラミック材料などが挙げられる。
【0023】
焼成後のセラミック層16の厚みは、0.5μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0024】
図2および
図3に示すように、積層体14は、複数の内部電極層18として、たとえば略矩形状の複数の第1の内部電極層18aおよび複数の第2の内部電極層18bを有する。複数の第1の内部電極層18aおよび複数の第2の内部電極層18bは、積層体14の積層方向xに沿って等間隔に交互に配置されるように埋設されている。
【0025】
第1の内部電極層18aおよび第2の内部電極層18bの各電極面は、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bが延びる面に対して略垂直になるように配置されており、かつ、積層セラミック電子部品10Aを実装するべき実装基板の実装面に対しても略垂直になるように配置される。
【0026】
第1の内部電極層18aは、第2の内部電極層18bと対向する第1の対向部19aと、第1の側面14cの少なくとも一部に引き出される第1の引出し部20aとを有する。第2の内部電極層18bは、第1の内部電極層18aと対向する第2の対向部19bと第1の内部電極層18aの第1の引出し部20aとは重ならないように形成される少なくとも第1の側面14cの一部に引き出される第2の引出し部20bを有する。具体的には、第1の内部電極層18aの第1の引出し部20aは、積層体14の第1の側面14cの左側の位置に露出している。また、第2の内部電極層18bの第2の引出し部20bは、積層体14の第1の側面14cの右側の位置に露出している。これにより、第1の内部電極層18aの第1の引出し部20aおよび第2の内部電極層18bの第2の引出し部20bが第1の側面14cのみに引き出される構造となり、第1の側面14cの部分を非導電性の外装材で被覆することによって、効率的に放電の沿面距離を長くすることが可能となる。
【0027】
第1の対向部19aおよび第2の対向部19bおよび第1の引出し部20aおよび第2の引出し部20bの形状は、特に限定されないけれども、矩形形状であることが好ましい。ただし、角は直角でなくでもよく、丸まっていてもよい。さらに、例えば第1の対向部19aと第1の引出し部20aとの接続部も、直角に交わっていてもよく、丸みを帯びて交わっていてもよい。
【0028】
第1の実施の形態では、第1の内部電極層18aの第1の引出し部20aおよび第2の内部電極層18bの第2の引出し部20bが、実装基板の実装面に対向する積層体14の第1の側面14cに引き出されているため、対向する第1の金属端子40Aと第2の金属端子40Bとの間の距離が近づくため、等価直列インダクタンス(ESL)低減の効果を得ることができる。さらに、第1の側面14cの部分のみを非導電性の外装材で被覆することによって、静電容量の密度を向上させる設計を実現することができる。
【0029】
積層体14は、セラミック層16の内層部16bにおいて、第1の内部電極層18aの第1の対向部19aと第2の内部電極層18bの第2の対向部19bとが対向する対向電極部22aを含む。また、積層体14は、対向電極部22aの幅方向yの一端と第1の側面14cとの間および対向電極部22aの幅方向yの他端と第2の側面14dとの間に形成される積層体14の側部(以下、「Wギャップ」という。)22bを含む。さらに、積層体14は、対向電極部22aの長さ方向zの一端と第1の端面14eとの間および対向電極部22aの長さ方向zの他端と第2の端面14fとの間に形成される積層体14の端部(以下、「Lギャップ」という。)22cを含む。
【0030】
内部電極層18は、たとえば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の一種を含む、たとえば、Ag−Pd合金などの合金を含有している。内部電極層18は、さらにセラミック層16に含まれるセラミックスと同一組成系の誘電体粒子を含んでいてもよい。
内部電極層18の厚みは、0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0031】
図2および
図3に示すように、積層体14の第1の側面14cの左側および右側には、外部電極24が配置される。外部電極24は、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bを有する。
第1の外部電極24aは、積層体14の第1の側面14cの左側の表面に配置され、第1の側面14cから延伸して第1の主面14aおよび第2の主面14bのそれぞれの一部分を覆うように形成されることが好ましい。この場合、第1の外部電極24aは、第1の内部電極18aの第1の引出し部20aと電気的に接続される。
第2の外部電極24bは、積層体14の第1の側面14cの右側の表面に配置され、第1の側面14cから延伸して第1の主面14aおよび第2の主面14bのそれぞれの一部分を覆うように形成されることが好ましい。この場合、第2の外部電極24bは、第2の内部電極18bの第2の引出し部20bと電気的に接続される。
ただし、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bは、第1の側面14cの表面にのみ形成されていてもよい。
【0032】
積層体14内においては、各対向電極部22aで、第1の内部電極層18aの第1の対向部19aと第2の内部電極層18bの第2の対向部19bとがセラミック層16の内層部16bを介して対向することにより、静電容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層18aが接続された第1の外部電極24aと第2の内部電極層18bが接続された第2の外部電極24bとの間に、静電容量を得ることができる。したがって、このような構造の電子部品本体はコンデンサ素子として機能する。
【0033】
第1の外部電極24aは、
図2および
図3に示すように、積層体14側から順に、第1の下地電極層28aと第1の下地電極層28aの表面に配置された第1のめっき層30aとを有する。同様に、第2の外部電極24bは、積層体14側から順に、第2の下地電極層28bと第2の下地電極層28bの表面に配置された第2のめっき層30bとを有する。
【0034】
第1の下地電極層28aおよび第2の下地電極層28bは、それぞれ、焼付け層や樹脂層や薄膜層などから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0035】
第1の下地電極層28aおよび第2の下地電極層28bの焼付け層は、ガラスと金属とを含む。焼付け層の金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。また、焼付け層のガラスとしては、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。なお、ガラスの代わりにセラミック層16と同種の誘電体材料を用いてもよい。焼付け層は、複数層であってもよい。焼付け層は、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体14に塗布して焼き付けたものであり、セラミック層16および内部電極層18と同時に焼成したものでもよく、セラミック層16および内部電極層18を焼成した後に焼き付けたものでもよい。内部電極層18と同時に焼成する場合には、ガラスの代わりにセラミック層16と同種の誘電体材料を用いることが好ましい。焼付け層のうちの最も厚い部分の厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0036】
具体的には、積層体14の第1の側面14cに形成される焼付け層の長さ方向zの中央部における厚みは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。また、焼付け層が、第1の側面14cから延伸して第1の主面14aの一部および第2の主面14bの一部を覆うように形成される場合には、幅方向yの中央部における厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0037】
第1の下地電極層28aおよび第2の下地電極層28bの樹脂層は、例えば、導電性金属と熱硬化性樹脂を含む。樹脂層は、焼付け層の表面に形成されてもよいし、焼付け層を形成しないで積層体14の第1の側面14cの表面に直接に形成されてもよい。また、樹脂層は、複数層であってもよい。
【0038】
樹脂層は、熱硬化性樹脂を含むため、例えばめっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミック電子部品10Aに物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、樹脂層が緩衝層として機能し、積層セラミック電子部品10Aにクラックが発生することを防止する。
【0039】
樹脂層に含まれる導電性金属としては、Ag、Cuまたはそれらの合金が使用される。また、導電性金属粉の表面にAgがコーティングされたものを使用することもできる。導電性金属粉の表面にAgがコーティングされたものを使用する際には、導電性金属粉としてCuやNiを用いることが好ましい。また、Cuに酸化防止処理を施したものを使用することもできる。
【0040】
導電性金属にAgの導電性金属粉を用いる理由としては、Agは金属の中でもっとも比抵抗が低いため電極材料に適しており、Agは貴金属であるため酸化せず対抗性が高いためである。なお、Agがコーティングされた導電性金属を用いる理由としては、Agの特性は保ちつつ、母材の導電性金属を安価なものにすることができるからである。
【0041】
樹脂層に含まれる導電性金属は、導電性樹脂全体の体積に対して、35vol%以上75vol%以下であることが好ましい。導電性金属の形状は、特に限定されないため、導電性フィラーは球状や扁平状等であってもよい。特に、球状フィラーと扁平状フィラーとを混合して用いることが好ましい。導電性金属の平均粒径は、特に限定されないため、導電性フィラーの平均粒径は、例えば0.3μm以上10μm以下であってもよい。導電性金属は、主に樹脂層の通電性を担う。具体的には、導電性フィラー同士が接触することにより、樹脂層内部に通電経路が形成される。
【0042】
なお、樹脂層に含まれる導電性金属は、1種類からなる導電性金属粉を用いても良く、複数種類、例えば、第1の導電性金属成分と第2の導電性金属成分からなる導電性金属粉を用いても良い。特に、下地電極層を設けて、導電性樹脂層を形成する場合には、1種類からなる導電性金属粉を用いることが好ましい。
【0043】
そして、下地電極層を設けないで、導電性樹脂層を形成する場合には、第1の導電性金属成分と第2の導電性金属成分からなる導電性金属粉を用いることが好ましい。この場合、第1の導電性金属成分の融点が相対的に低く、例えば550℃以下であることが好ましく、180℃以上340℃以下であることがさらに好ましい。一方、第2の導電性金属成分の融点は、相対的に高く、例えば850℃以上1050℃以下であることが好ましい。
【0044】
第1の導電性金属成分は、例えばSn、In、Biまたはこれらの金属の少なくとも一種を含む合金からなることが好ましい。特に、第1の導電性金属成分は、SnまたはSnを含む合金からなることがより好ましい。Snを含む合金の具体例としては、例えばSn−Ag、Sn−Bi、Sn−Ag−Cu等が挙げられる。第1の導電性金属成分は、熱処理時、比較的低い温度で軟化して流動し、内部電極18を構成する金属と化合物を形成する。
【0045】
第2の導電性金属成分は、例えばCu、Ag、Pd、Pt、Au等の金属やこれらの金属のうちの少なくとも一種を含む合金からなることが好ましい。特に、第2の金属成分は、CuまたはAgであることが好ましい。第2の導電性金属成分は、主に第1の導電性金属成分の通電性を担う。具体的には、第2の導電性金属成分同士が接触する、あるいは第1の導電性金属成分と第2の導電性金属成分とが接触することにより、外部電極24の内部に通電経路が形成される。第1の導電性金属および第2の導電性金属の形状は、特に限定されないため、導電性フィラーは球状や扁平状等であってもよい。
【0046】
樹脂層の熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の公知の種々の熱硬化性樹脂が使用される。特に、耐熱性および耐湿性および密着性などに優れたエポキシ樹脂は最も適切な樹脂の一つである。
【0047】
樹脂層に含まれる熱硬化性樹脂は、導電性樹脂全体の体積に対して、25vol%以上65vol%以下で含まれていることが好ましい。また、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール系、アミン系、酸無水物系またはイミダゾール系など公知の種々の化合物が使用される。
【0048】
樹脂層のうちの最も厚い部分の厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。積層体14の第1の側面14cに位置する樹脂層の長さ方向zの中央部における厚みは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。また、樹脂層が、第1の側面14cから延伸して第1の主面14aの一部および第2の主面14bの一部を覆うように形成される場合には、幅方向yの中央部における厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0049】
第1の下地電極層28aおよび第2の下地電極層28bの薄膜層は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
【0050】
第1の外部電極24aの第1のめっき層30aは、第1の下地電極層28aを覆うように配置される。具体的には、第1のめっき層30aは、第1の下地電極層28aの表面の第1の側面14cの左側に配置され、第1の下地電極層28aの表面の第1の主面14aおよび第2の主面14bにも至るように設けられていることが好ましい。
同様に、第2の外部電極24bの第2のめっき層30bは、第2の下地電極層28bを覆うように配置される。具体的には、第2のめっき層30bは、第2の下地電極層28bの表面の第1の側面14cの右側に配置され、第2の下地電極層28bの表面の第1の主面14aおよび第2の主面14bにも至るように設けられていることが好ましい。
【0051】
また、第1のめっき層30aおよび第2のめっき層30b(以下、単にめっき層ともいう)としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金が用いられる。
めっき層は、複数層によって形成されてもよい。この場合、めっき層は、Niめっき層とSnめっき層の2層構造であることが好ましい。Niめっき層が、下地電極層の表面を覆うように設けられることで、電子部品本体12を金属端子40と接合する際のはんだによって侵食されることを防止するために用いられる。また、Niめっき層の表面に、Snめっき層を設けることにより、電子部品本体12を金属端子40と接合する際に、実装に用いられるはんだの濡れ性が向上し、容易に実装することができる。
【0052】
めっき層一層当たりの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。積層体14の第1の側面14cに位置するめっき層の長さ方向zの中央部における厚みは、1μm以上10μm以下であることが好ましい。また、めっき層が、第1の側面14cから延伸して第1の主面14aの一部および第2の主面14bの一部を覆うように形成される場合には、幅方向yの中央部における厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0053】
なお、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bのそれぞれは、下地電極層を設けないで、積層体14の第1の側面14cの表面にめっき電極層が直接形成され、第1の内部電極18aまたは第2の内部電極18bに電気的に接続される構造であってもよい。この場合、積層体14の第1の側面14cの表面に前処理として触媒を配設した後で、めっき電極層が形成される。
【0054】
めっき電極層は、積層体14の第1の側面14cの表面に形成される下層めっき電極と、当該下層めっき電極の表面に形成される上層めっき電極とを含むことが好ましい。下層めっき電極および上層めっき電極は、例えば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、Bi、Znなどから選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金を含むことが好ましい。
【0055】
下層めっき電極は、はんだバリア性能を有するNiを用いて形成されることが好ましい。上層めっき電極は、はんだ濡れ性が良好なSnやAuを用いて形成されることが好ましい。また、内部電極18がNiを用いて形成される場合、下層めっき電極は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。なお、上層めっき電極は必要に応じて形成されればよく、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bは、下層めっき電極のみで構成されてもよい。また、上層めっき電極を最外層としてもよいし、上層めっき電極の表面にさらに他のめっき電極を形成してもよい。
【0056】
めっき電極層一層当たりの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。また、めっき電極層は、ガラスを含まないことが好ましい。さらに、めっき電極層は、単位体積あたりの金属割合が99体積%以上であることが好ましい。
【0057】
図2および
図3に示すように、電子部品本体12の第1の側面14cの左側に位置する第1の外部電極24aには、第1の金属端子40Aが接合材によって接続されている。電子部品本体12の第1の側面14cの右側に位置する第2の外部電極24bには、第2の金属端子40Bが接合材によって接続されている。
【0058】
接合材は、はんだであることが好ましく、特に高融点のPbフリーはんだであることが好ましい。これにより、電子部品本体12と第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bとの接合強度を確保しつつ、基板実装時のフローまたはリフロー温度に対する接合部の耐熱性を確保することができる。高融点のPbフリーはんだとしては、例えばSn−Sb系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Cu系、Sn−Bi系などの鉛フリーはんだが好ましい。特に、Sn−10Sb〜Sn−15Sbはんだが好ましい。これにより、実装時における接合部の耐熱性を確保することができる。
【0059】
第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40B(以下、単に金属端子40ともいう)は、積層セラミック電子部品10Aを、実装基板に表面実装するために設けられる。金属端子40には、例えば板状のリードフレームが用いられる。この板状のリードフレームにより形成される金属端子40は、外部電極24に接続される第1の主面400と、第1の主面400に対向する第2の主面(電子部品本体12とは反対側の面)402と、第1の主面400と第2の主面402との間の厚みを形成する周囲面404と、を有する。
【0060】
第1の金属端子40Aは、第1の外部電極24aに接続され、第1の側面14cもしくは第2の側面14dに対向する第1の接合部42と、第1の接合部42に接続され、積層体14の第1の側面14c(実装面側の側面)と略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、電子部品本体12から左側へ遠ざかるように延びる第1の延長部44と、第1の延長部44に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるために、電子部品本体12とは反対側に位置する前記実装面の側に延びる第2の延長部46と、第2の延長部46に接続され、実装基板に実装されることとなる第1の実装部48と、を有している。ただし、延長部の構成は、上記の構成に限定されず、さらに湾曲する延長部を有していてもよい。
【0061】
第2の金属端子40Bは、第2の外部電極24bに接続され、第1の側面14cもしくは第2の側面14dに対向する第2の接合部52と、第2の接合部52に接続され、積層体14の第1の側面14c(実装面側の側面)と略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、電子部品本体12から右側へ遠ざかるように延びる第3の延長部54と、第3の延長部54に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるために、電子部品本体12とは反対側に位置する前記実装面の側に延びる第4の延長部56と、第4の延長部56に接続され、実装基板に実装されることとなる第2の実装部58と、を有している。ただし、延長部の構成は、上記の構成に限定されず、さらに湾曲する延長部を有していてもよい。
【0062】
第1の金属端子40Aの第1の接合部42は、電子部品本体12の第1の側面14cの左側に設けられた第1の外部電極24aに、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに延びるように接続される部分である。第1の接合部42は、第1の外部電極24aに対応するように接続されていればよく、第1の外部電極24aの全面を覆うように接続されていることが好ましい。言い換えると、第1の接合部42は、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zにおいて、その先端が第1の外部電極24aから突出しないように配置され、かつ、第1の外部電極24aの長さに対応するように設けられていることが好ましい。また、第1の接合部42は、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、その寸法が第1の外部電極24aの寸法と略等しくなるように設計されている。これにより、より一層低い等価直列抵抗(ESR)を実現できる。
【0063】
第2の金属端子40Bの第2の接合部52は、電子部品本体12の第1の側面14cの右側に設けられた第2の外部電極24bに、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに延びるように接続される部分である。第2の接合部52は、第2の外部電極24bに対応するように接続されていればよく、第2の外部電極24bの全面を覆うように接続されていることが好ましい。言い換えると、第2の接合部52は、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zにおいて、その先端が第2の外部電極24bから突出しないように配置され、かつ、第2の外部電極24bの長さに対応するように設けられていることが好ましい。また、第2の接合部52は、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、その寸法が第2の外部電極24bの寸法と略等しくなるように設計されている。これにより、より一層低い等価直列抵抗(ESR)を実現できる。
【0064】
第1の金属端子40Aの第1の延長部44は、第1の接合部42の一端に接続され、積層体14の第1の側面14cと略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、電子部品本体12から左側へ遠ざかるように延びている。第2の金属端子40Bの第3の延長部54は、第2の接合部52の一端に接続され、積層体14の第1の側面14cと略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、電子部品本体12から右側へ遠ざかるように延びている。
【0065】
これにより、外装材15で覆われている距離を長くすることができる。その結果、第1の金属端子40Aと第2の金属端子40Bとの間の絶縁表面距離(沿面距離)を確保することができる。また、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bを曲げ加工するときの曲げ代を確保することもできる。
【0066】
第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zにおいて、第1の金属端子40Aの第1の延長部44の長さD2は、第1の接合部42の長さD1と比較して短く形成されていることが好ましい。具体的には、第1の延長部44の長さD2は、第1の接合部42の長さD1の50%以上90%以下であることが好ましい。同様に、第2の金属端子40Bの第2の延長部54の長さD2は、第2の接合部52の長さD1と比較して短く形成されていることが好ましい。具体的には、第2の延長部54の長さD2は、第2の接合部52の長さD1の50%以上90%以下であることが好ましい。これにより、外装材15の樹脂モールド時の樹脂流入口を下側に確保することができ、最適な樹脂流動性を確保することができる。また、金属端子40の材料の量を低減することができ、コスト削減効果が得られる。
【0067】
なお、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第1の延長部44の長さおよび第2の延長部54の長さは、それぞれ第1の接合部42および第2の接合部52と同じ長さで引き出されていてもよいけれども、階段状に段階的に長さを短くしてもよいし、テーパ状に長さを短くしてもよい。
【0068】
第1の延長部44の一部および第2の延長部54の一部は、表面が凹状に加工されており、加工部において金属端子40の母材が露出していてもよい。金属端子40の母材が露出している凹状の加工部は、はんだの濡れ性が低下するため、仮に、第1の接合部42および第2の接合部52における接合材が溶融したとしても、凹状の加工部で接合材の流出が止められ、溶融した接合材が外装材15の外に流れ出ることを抑制することができる。
【0069】
さらに、第1の延長部44および第2の延長部54には、切り欠き部が形成されていてもよい。これにより、金属端子40の材料の量を低減することができ、コスト削減効果が得られる。また、積層セラミック電子部品10Aを実装基板に実装した後、実装基板からの応力を緩和する効果が得られる。
【0070】
第1の金属端子40Aの第2の延長部46は、第1の延長部44に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるように、実装面の方向に延びている。具体的には、第1の延長部44の終端から湾曲して実装面の方向に延びている。第2の金属端子40Bの第4の延長部56は、第2の延長部54に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるように、実装面の方向に延びている。具体的には、第2の延長部54の終端から湾曲して実装面の方向に延びている。なお、湾曲部分の角度は緩やかに湾曲していてもよく、略直角となるように湾曲していてもよい。
【0071】
なお、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第2の延長部46の長さおよび第4の延長部56の長さは、特に限定されないけれども、それぞれ第1の延長部44の長さおよび第3の延長部54の長さと同じ長さで形成されていることが好ましい。
ただし、
図6に示すように、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第2の延長部46の長さおよび第4の延長部56の長さが、それぞれ第1の延長部44の長さおよび第3の延長部54の長さより短く形成されていてもよい。
【0072】
第2の延長部46が実装面へ延びる長さおよび第4の延長部56が実装面へ延びる長さは、特に限定されないが、後に説明する外装材15と実装基板の実装面との隙間が、0.15mm以上2mm以下になるように設けられることが好ましい。このように第1の側面14cが外装材15に被覆された電子部品本体12を実装基板の実装面から浮かすことによって、電子部品本体12と実装基板との間の距離を長くすることができ、実装基板からの応力を緩和する効果が得られる。また、電子部品本体12の下側の第1の側面14cに配置されている外装材15の厚みを厚くすることができ、絶縁性を確保することができる。
【0073】
第2の延長部46の一部および第4の延長部56の一部は、表面が凹状に加工されており、加工部において金属端子40の母材が露出していてもよい。金属端子40の母材が露出している凹状の加工部は、はんだの濡れ性が低下するため、仮に、第1の接合部42および第2の接合部52における接合材が溶融したとしても、凹状の加工部で接合材の流出が止められ、溶融した接合材が外装材15の外に流れ出ることを抑制することができる。
【0074】
さらに、第2の延長部46の中央部および第4の延長部56の中央部に切り欠き部が形成され、第2の延長部46および第4の延長部56がそれぞれ二つ以上に分割されていてもよい。これにより、積層セラミック電子部品10Aを実装基板に実装した後、実装基板からの応力を緩和する効果が得られる。
【0075】
また、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第2の延長部46の両端部の一部および第2の延長部46の両端部の一部に、上記とは別の切り欠き410が設けられていてもよい(
図1参照)。これにより、金属端子40の曲げ加工時の材料逃げを確保することができ、曲げ性を良好にすることができる。
【0076】
第1の金属端子40Aの第1の実装部48は、第2の延長部46に接続され、実装基板に実装されることとなる部分であり、実装面と略平行になるように延びている。第2の金属端子40Bの第2の実装部58は、第4の延長部56に接続され、実装基板に実装されることとなる部分であり、実装面と略平行になるように延びている。
【0077】
第1の金属端子40Aの第1の実装部48および第2の金属端子40Bの第2の実装部58は、それぞれ連続的な矩形形状であってもよい。また、第1の実装部48および第2の実装部58の中央部には、切り欠きが設けられ、二股形状やそれ以上に分割されていてもよい。これにより、金属端子40の材料の量が低減でき、コスト削減効果が得られる。さらに、積層セラミック電子部品10Aを実装基板に実装した後、実装基板からの応力を緩和する効果が得られる。
なお、切り欠きは、第1の実装部48および第2の実装部58のそれぞれの中央部に設けられていてもよいけれども、それぞれ最も外側に位置する第1の実装部48の端部および第2の実装部58の端部は、第2の延長部46の端部および第4の延長部56の端部と揃うように形成されていることが好ましい。
【0078】
また、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第1の実装部48の長さおよび第2の実装部58の長さは、特に限定されないけれども、それぞれ第2の延長部46の長さおよび第4の延長部56の長さと同じ長さで形成されていることが好ましい。
【0079】
さらに、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第1の実装部48の長さおよび第2の実装部58の長さは、「積層セラミック電子部品10Aの底面の金属端子40の実装部の面積(mm
2)≧積層セラミック電子部品10Aの重量(g)×2/はんだの凝集力」となるようにすることが好ましい。これにより、積層セラミック電子部品10Aの重力質量に対して、実装基板と積層セラミック電子部品10Aとの接着強度を十分に確保することができるため、実装基板からの積層セラミック電子部品10Aの落下が抑制される。なお、はんだの凝集力は、引っ張り試験により積層セラミック電子部品10Aを実装基板から引っ張り、積層セラミック電子部品10Aが実装されるはんだを起点に、積層セラミック電子部品10Aが実装基板からはがれた際の力とする。
【0080】
第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bは、端子本体と端子本体の表面に形成されるめっき膜とを有する。
【0081】
端子本体は、Ni、Fe、Cu、Ag、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。具体的には、たとえば、端子本体の母材の金属をFe−42Ni合金やFe−18Cr合金やCu−8Sn合金とすることができる。放熱性の観点からは、熱伝導率の高い無酸素銅やCu系合金が好ましい。このように、金属端子の材料を熱伝導の良い銅系にすることで、低ESR化や低熱抵抗化を実現することができる。
端子本体の厚みは、約0.05mm〜0.5mmであることが好ましい。
【0082】
めっき膜は、例えば、下層めっき膜と上層めっき膜とを有する。
下層めっき膜は、端子本体の表面に形成されており、上層めっき膜は、下層めっき膜の表面に形成されている。なお、下層めっき膜および上層めっき膜のそれぞれは、複数のめっき層により構成されていてもよい。
【0083】
さらに、めっき膜は、少なくとも第1の金属端子40Aの第1の延長部44および第2の延長部46および第1の実装部48の周囲面404、並びに、第2の金属端子40Bの第3の延長部54および第4の延長部56および第2の実装部58の周囲面404においては形成されていなくてもよい。これにより、積層セラミック電子部品10Aを実装基板にはんだを用いて実装する際に、はんだの第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bへの濡れ上がりを抑制することができる。そのため、電子部品本体12と第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bとの間(浮き部分)にはんだが濡れ上がることを抑制することができるため、浮き部分にはんだが充填されることを防止することができる。よって、浮き部分の空間を十分に確保することができる。従って、第1の金属端子40Aの第1の延長部44および第2の延長部、並びに、第2の金属端子40Bの第3の延長部54が弾性変形し易くなるため、交流電圧が加わることでセラミック層16に生じる機械的歪みをより吸収することができる。これにより、このとき生じる振動が、外部電極24を介して実装基板に伝達することを抑制することができる。従って、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bを備えることで、より安定してアコースティックノイズ(鳴き)の発生を抑制することができる。なお、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bの全周囲面404においてめっき膜が形成されていなくても良い。
【0084】
第1の金属端子40Aの第1の延長部44および第2の延長部46および第1の実装部48、並びに、第2の金属端子40Bの第3の延長部54および第4の延長部56および第2の実装部58、または、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bの全周囲面404のめっき膜を除去する場合、機械による除去(切削、研磨)方法、レーザートリミングによる除去方法、めっき剥離剤(たとえば水酸化ナトリウム)による除去方法、または、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bのめっき膜形成前に、レジスト膜でめっきを形成しない部分を覆い、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bにめっき膜を形成した後にレジスト膜を除去する方法が考えられる。
【0085】
下層めっき膜は、Ni、Fe、Cu、Ag、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。さらに好ましくは、下層めっき膜は、Ni、Fe、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなる。下層めっき膜を、高融点のNi、Fe、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金により形成することにより、外部電極24の耐熱性を向上させることができる。下層めっき膜の厚みは0.2μm以上5.0μm以下程度であることが好ましい。
【0086】
上層めっき膜は、Sn、Ag、Auまたhこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。さらに好ましくは、上層めっき膜は、SnまたはSnを主成分として含む合金からなる。上層めっき膜をSnまたはSnを主成分として含む合金により形成することにより、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bと外部電極24とのはんだ付き性を向上させることができる。上層めっき膜の厚みは、1.0μm以上5.0μm以下程度であることが好ましい。
【0087】
外装材15は、電子部品本体12の第1の側面14cと第2の側面14dとを結ぶ幅方向yに相対する第1の主面(その一部は電子部品本体12から少しはみ出している)15aおよび第2の主面15bと、電子部品本体12の第1の主面14aおよび第2の主面14bとを結ぶ積層方向xに相対する第1の側面15cおよび第2の側面15dと、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fとを結ぶ長さ方向zに相対する第1の端面15eおよび第2の端面15fを含む。
なお、外装材15の形状は特に限定されないけれども、直方体形状や台形形状で形成されることが好ましい。コーナー部の形状は、特に限定されることなく、丸められていてもよい。
【0088】
外装材15は、例えば、液状や粉状のシリコーン系やエポキシ系などの樹脂を塗装して形成されている。また、外装材15は、エンジニアリングプラスチックをインジェクションモールド法やトランスファーモールド法などによりモールドしてもよい。特に、外装材15は、熱硬化型エポキシ樹脂からなることが好ましい。これにより、電子部品本体12および金属端子40の密着性が確保され、耐電圧および耐湿性能の向上効果が得られる。
【0089】
外装材15は、第1の主面15aが電子部品本体12の第1の側面14cと接している。従って、外装材15は、電子部品本体12の第1の側面14cの一部と、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bと、第1の金属端子40Aの一部(第1の接合部42の全体と第1の延長部44の一部)および第2の金属端子40Bの一部(第2の接合部52の全体と第3の延長部54の一部)と、を覆うように配置されている。
【0090】
第1の金属端子40Aは、外装材15の第1の端面15eから、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向z(左側方向)に導出している。第2の金属端子40Bは、外装材15の第2の端面15fから、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向z(右側方向)に導出している。
【0091】
以上の構成により、本発明では、外装材15が、電子部品本体12の第1の側面14cの一部と、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bと、第1の金属端子40Aの一部および第2の金属端子40Bの一部と、を覆っているため、長い沿面距離(絶縁表面距離)を確保することができ、沿面放電を抑制することができる。
【0092】
また、フィルムコンデンサではなく、積層セラミックコンデンサを用いることで、積層セラミック電子部品10Aの小型化が可能となる。また、金属端子40を備えているため、実装基板への表面実装を可能とすることができる。
【0093】
さらに、第1の実施の形態は、実装面側に位置する積層体14の一部と実装面側に位置する外部電極24と金属端子40の一部のみを外装材15で覆い、それ以外の部分は外装材15で覆わない。従って、電子部品本体12の全体を外装材15で被覆する場合と比べて放熱性が向上すると共に、材料費の削減によるコストダウンの効果も得られる。さらに、外装材15を設けなかった部分の外装材15の厚み分を省略でき、設計に余裕ができる。その分、電子部品本体12の設計の自由度が増え、静電容量の密度を向上させることができ、大容量化を図ることができる。
【0094】
次に、第1の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品10Aについて説明する。
【0095】
図1に示すように、電子部品本体12の第1の端面14eと第2の端面14fとを結ぶ方向の対向する面(言い換えると、金属端子40が延びている方向の対向する面)が、積層セラミック電子部品10Aの第1の端面および第2の端面と称される。また、電子部品本体12の第1の主面14aと第2の主面14bとを結ぶ方向の対向する面が、積層セラミック電子部品10Aの第1の側面および第2の側面と称される。さらに、電子部品本体12の第1の側面14cと第2の側面14dとを結ぶ方向の対向する面(言い換えると、実装面と対向する面)が、積層セラミック電子部品10Aの第1の主面および第2の主面と称される。
【0096】
電子部品本体12と外装材15と第1の金属端子40Aと第2の金属端子40Bとを含む長さ方向zの寸法は、積層セラミック電子部品10AのL寸法とする。言い換えると、電子部品本体12の第1の端面14eと第2の端面14fとを結ぶ方向に延びる積層セラミック電子部品10Aの長さ方向zが、L方向とされる。L寸法は、10mm以上15mm以下であることが好ましい。
【0097】
電子部品本体12と外装材15と第1の金属端子40Aと第2の金属端子40Bとを含む積層方向xの寸法は、積層セラミック電子部品10AのW寸法とする。言い換えると、電子部品本体12の第1の主面14aと第2の主面14bとを結ぶ方向に延びる積層セラミック電子部品10Aの積層方向xが、W方向とされる。W寸法は、3.0mm以上5.5mm以下であることが好ましい。
【0098】
電子部品本体12と外装材15と第1の金属端子40Aと第2の金属端子40Bとを含む幅方向yの寸法は、積層セラミック電子部品10AのT寸法とする。言い換えると、電子部品本体12の第1の側面14cと第2の側面14dとを結ぶ方向に延びる積層セラミック電子部品10Aの幅方向yが、T方向とされる。T寸法は、1.0mm以上5.5mm以下であることが好ましい。
【0099】
(第2の実施の形態)
この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品について説明する。
図7は、この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品の一例を示す平面図である。
図8は、
図7の線VIII−VIIIにおける断面図である。
【0100】
なお、第2の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品10Bは、第1の実施の形態で説明した電子部品本体12を、間を隔てるようにして2つ並列に設けたものである。従って、電子部品本体12と同一部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
2つの電子部品本体12は、第1の主面14a同士、第2の主面14b同士または第1の主面14aおよび第2の主面14bが隙間を確保して対向するように配置される。この時、2つの電子部品本体12の隙間は、0.45mm以上1.0mm以下であることが好ましい。これにより、隙間の断熱性が確保され、樹脂の発熱が抑制される。
また、第2の実施の形態は、2つの電子部品本体12で構成しているが、2つ以上設けられていてもよいことは言うまでもない。
【0101】
図7に示すように、積層セラミック電子部品10Bは、2つの電子部品本体12と、2つの金属端子から成る第1の金属端子140Aおよび第2の金属端子140B(以下、金属端子140ともいう)と、外装材150とにより構成される。積層セラミック電子部品10Bに用いられる第1の金属端子140Aおよび第2の金属端子140Bは、並置された2つの電子部品本体12に接続され、積層セラミック電子部品10Bを、実装基板に表面実装するために設けられる。具体的には、第1の金属端子140Aは、2つの電子部品本体12のそれぞれの第1の外部電極24aに跨るように配置されている。第2の金属端子140Bは、2つの電子部品本体12のそれぞれの第2の外部電極24bに跨るように配置されている。
【0102】
第1の金属端子140Aは、2つの電子部品本体12のそれぞれの第1の外部電極24aに接続され、第1の側面14cもしくは第2の側面14dに対向する第1の接合部142と、第1の接合部142に接続され、積層体14の第1の側面14c(実装面側の側面)と略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、電子部品本体12から左側へ遠ざかるように延びる第1の延長部144と、第1の延長部144に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるために、電子部品本体12とは反対側に位置する前記実装面の側に延びる第2の延長部146と、第2の延長部146に接続され、実装基板に実装されることとなる第1の実装部148と、を有している。
【0103】
第2の金属端子140Bは、2つの電子部品本体12のそれぞれの第2の外部電極24bに接続され、第1の側面14cもしくは第2の側面14dに対向する第2の接合部152と、第2の接合部152に接続され、積層体14の第1の側面14c(実装面側の側面)と略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、電子部品本体12から右側へ遠ざかるように延びる第3の延長部154と、第3の延長部154に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるために、電子部品本体12とは反対側に位置する前記実装面の側に延びる第4の延長部156と、第4の延長部156に接続され、実装基板に実装されることとなる第2の実装部158と、を有している。
【0104】
第1の金属端子140Aの第1の接合部142は、2つの電子部品本体12のそれぞれの第1の側面14cの左側に設けられた第1の外部電極24aを連続的に接続するように、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xに延びるように設けられている部分である。第1の接合部142の形状は、特に限定されないけれども、2つの電子部品本体12のそれぞれの第1の外部電極24aを連続的に接続可能な矩形形状が好ましい。この場合、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第1の接合部142の長さは、2つの電子部品本体12のそれぞれの第1の外部電極24aを全て覆うように設定されていることが好ましい。具体的には、第1の接合部142が、一方の電子部品本体12から他方の電子部品本体12に渡って、2つの電子部品本体12の隙間も含めて、第1の外部電極24aを連続的に覆うように設けられている。
【0105】
第2の金属端子140Bの第2の接合部152は、2つの電子部品本体12のそれぞれの第1の側面14cの右側に設けられた第2の外部電極24bを連続的に接続するように、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xに延びるように設けられている部分である。第2の接合部152の形状は、特に限定されないけれども、2つの電子部品本体12のそれぞれの第2の外部電極24bを連続的に接続可能な矩形形状が好ましい。この場合、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第2の接合部152の長さは、2つの電子部品本体12のそれぞれの第2の外部電極24bを全て覆うように設定されていることが好ましい。具体的には、第2の接合部152が、一方の電子部品本体12から他方の電子部品本体12に渡って、2つの電子部品本体12の隙間も含めて、第2の外部電極24bを連続的に覆うように設けられている。
【0106】
さらに言い換えると、第1の金属端子140Aの第1の接合部142は、2つの電子部品本体12のそれぞれの第1の外部電極24aに跨るように配置されることが好ましい。第2の金属端子140Bの第2の接合部152は、2つの電子部品本体12のそれぞれの第2の外部電極24bに跨るように配置されることが好ましい。
【0107】
この場合、
図8に示すように、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第1の金属端子140Aの第1の接合部142の一方の側の端(右端)が、一方の(右側)の電子部品本体12の第1の側面14cに位置する第1の外部電極24aの右縁端よりも、寸法D3=0.05mm以上0.25mm以下だけ突出して設けられていることが好ましい。同様に、第1の金属端子140Aの第1の接合部142の他方の側の端(左端)が、他方の(左側)の電子部品本体12の第1の側面14cに位置する第1の外部電極24aの左縁端よりも、寸法D4=0.05mm以上0.25mm以下だけ突出して設けられていることが好ましい。さらに、第2の金属端子140Bの第2の接合部152と第2の外部電極24bとの関係も同様であることが好ましい。これにより、各電子部品本体12と金属端子140との接合面積を一定にすることができ、接合強度ならびに金属端子140の抵抗値を一定範囲に制御することができる。
【0108】
あるいは、
図9および
図10に示すように、2つの電子部品本体12の間の隙間に、第1の金属端子140Aの第1の接合部142を2つに区分する切欠き143と、第2の金属端子140Bの第2の接合部152を2つに区分する切欠き153とが設けられてもよい。
図9は、
図7に示した積層セラミック電子部品10Bの変形例を示す外観斜視図である。
図10は、
図9の線X−Xにおける断面図である。
【0109】
第1の接合部142は、接合部142aおよび接合部142bを含み、それぞれが2つの電子部品本体12の第1の外部電極24aに対して独立して設けられている。この場合、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、接合部142aおよび接合部142bの長さは、2つの電子部品本体12のそれぞれの第1の外部電極24aに対応するように独立して設けられていることが好ましい。
【0110】
第2の接合部152は、接合部152aおよび接合部152bを含み、それぞれが2つの電子部品本体12の第2の外部電極24bに対して独立して設けられている。この場合、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、接合部152aおよび接合部152bの長さは、2つの電子部品本体12のそれぞれの第2の外部電極24bに対応するように独立して設けられていることが好ましい。
【0111】
また、
図10に示すように、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第1の金属端子140Aの第1の接合部142の一方の側の端(右端)が、一方の(右側)の電子部品本体12の第1の側面14cに位置する第1の外部電極24aの右縁端よりも、寸法D3=0.1mm以上0.2mm以下だけ突出して設けられていることが好ましい。同様に、第1の金属端子140Aの第1の接合部142の他方の側の端(左端)が、他方の(左側)の電子部品本体12の第1の側面14cに位置する第1の外部電極24aの左縁端よりも、寸法D4=0.1mm以上0.2mm以下だけ突出して設けられていることが好ましい。さらに、第2の金属端子140Bの第2の接合部152と第2の外部電極24bとの関係も同様であることが好ましい。これにより、各電子部品本体12と金属端子140との接合面積を一定にすることができ、接合強度ならびに金属端子140の抵抗値を一定範囲に制御することができる。なお、上記の突出の量に応じて、2つの電子部品本体12の間の隙間を調整する。
【0112】
第1の金属端子140Aの第1の延長部144は、第1の接合部142の一端に接続され、積層体14の第1の側面14cと略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、電子部品本体12から左側へ遠ざかるように延びている。第2の金属端子140Bの第3の延長部154は、第2の接合部152の一端に接続され、積層体14の第1の側面14cと略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、電子部品本体12から右側へ遠ざかるように延びている。
【0113】
これにより、外装材150で覆われている距離を長くすることができる。その結果、第1の金属端子140Aと第2の金属端子140Bとの間の絶縁表面距離(沿面距離)を確保することができる。また、第1の金属端子140Aおよび第2の金属端子140Bを曲げ加工するときの曲げ代を確保することもできる。
【0114】
第1の金属端子140Aの第2の延長部146は、第1の延長部144に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるように、実装面の方向に延びている。具体的には、第1の延長部144の終端から湾曲して実装面の方向に延びている。第2の金属端子140Bの第4の延長部156は、第2の延長部154に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるように、実装面の方向に延びている。具体的には、第2の延長部154の終端から湾曲して実装面の方向に延びている。
【0115】
なお、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第2の延長部146の長さおよび第4の延長部156の長さは、特に限定されないけれども、それぞれ第1の延長部144の長さおよび第3の延長部154の長さと同じ長さで形成されていることが好ましい。
ただし、前記第1の実施の形態で説明した
図6に示すように、第1の主面14aおよび第2の主面14bを結ぶ積層方向xにおいて、第2の延長部146の長さおよび第4の延長部156の長さが、それぞれ第1の延長部144の長さおよび第3の延長部154の長さより短く形成されていてもよい。
【0116】
第1の金属端子140Aの第1の実装部148は、第2の延長部146に接続され、実装基板に実装されることとなる部分であり、実装面と略平行になるように延びている。第2の金属端子140Bの第2の実装部158は、第4の延長部156に接続され、実装基板に実装されることとなる部分であり、実装面と略平行になるように延びている。
【0117】
外装材150は、2つの電子部品本体12の第1の側面14cと第2の側面14dとを結ぶ幅方向yに相対する第1の主面(その一部は2つの電子部品本体12から少しはみ出している)150aおよび第2の主面150bと、電子部品本体12の第1の主面14aおよび第2の主面14bとを結ぶ積層方向xに相対する第1の側面150cおよび第2の側面150dと、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fとを結ぶ長さ方向zに相対する第1の端面150eおよび第2の端面150fを含む。
【0118】
外装材150は、第1の主面150aが2つの電子部品本体12の第1の側面14cと接している。従って、外装材150は、2つの電子部品本体12の第1の側面14cの一部と、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bと、第1の金属端子140Aの一部(第1の接合部142の全体と第1の延長部144の一部)および第2の金属端子140Bの一部(第2の接合部152の全体と第3の延長部154の一部)と、を覆うように配置されている。
【0119】
第1の金属端子140Aは、外装材150の第1の端面150eから、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向z(左側方向)に導出している。第2の金属端子140Bは、外装材150の第2の端面150fから、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向z(右側方向)に導出している。
【0120】
以上の構成により、本発明では、外装材150が、2つの電子部品本体12の第1の側面14cの一部と、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bと、第1の金属端子140Aの一部および第2の金属端子140Bの一部と、を覆っているため、長い沿面距離(絶縁表面距離)を確保することができ、沿面放電を抑制することができる。
【0121】
次に、本発明にかかる積層セラミック電子部品10Bについて説明する。
【0122】
電子部品本体12の第1の端面14eと第2の端面14fとを結ぶ方向の対向する面(言い換えると、金属端子140が延びている方向の対向する面)が、積層セラミック電子部品10Bの第1の端面および第2の端面と称される。また、電子部品本体12の第1の主面14aと第2の主面14bとを結ぶ方向の対向する面が、積層セラミック電子部品10Bの第1の側面および第2の側面と称される。さらに、電子部品本体12の第1の側面14cと第2の側面14dとを結ぶ方向の対向する面(言い換えると、実装面と対向する面)が、積層セラミック電子部品10Bの第1の主面および第2の主面と称される。
【0123】
2つの電子部品本体12と外装材150と第1の金属端子140Aと第2の金属端子140Bとを含む長さ方向zの寸法は、積層セラミック電子部品10BのL寸法とする。言い換えると、電子部品本体12の第1の端面14eと第2の端面14fとを結ぶ方向に延びる積層セラミック電子部品10Bの長さ方向zが、L方向とされる。L寸法は、10mm以上15mm以下であることが好ましい。
【0124】
2つの電子部品本体12と外装材150と第1の金属端子140Aと第2の金属端子140Bとを含む積層方向xの寸法は、積層セラミック電子部品10BのW寸法とする。言い換えると、電子部品本体12の第1の主面14aと第2の主面14bとを結ぶ方向に延びる積層セラミック電子部品10Bの積層方向xが、W方向とされる。W寸法は、4.5mm以上9.0mm以下であることが好ましい。
【0125】
2つの電子部品本体12と外装材150と第1の金属端子140Aと第2の金属端子140Bとを含む幅方向yの寸法は、積層セラミック電子部品10BのT寸法とする。言い換えると、電子部品本体12の第1の側面14cと第2の側面14dとを結ぶ方向に延びる積層セラミック電子部品10Bの幅方向yが、T方向とされる。T寸法は、1.0mm以上5.5mm以下であることが好ましい。
【0126】
以上の構成により、第2の実施の形態の積層セラミック電子部品10Bは、前記第1の実施の形態の積層セラミック電子部品10Aの効果を発揮しながら、より高い静電容量化を図ることができる。
【0127】
(第3の実施の形態)
この発明の第3の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品について説明する。
図11は、この発明の第3の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品の一例を示す平面図である。
図12は、
図11の線XII−XIIにおける断面図である。
【0128】
なお、第3の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品10Cは、第1の実施の形態で説明した電子部品本体12を、間を隔てるようにして2つ縦列に設けたものである。従って、電子部品本体12と同一部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
2つの電子部品本体12は、第1の端面14e同士、第2の端面14f同士または第1の端面14eおよび第2の端面14fが隙間を確保して対向するように配置される。
また、第3の実施の形態は、2つの電子部品本体12で構成しているが、2つ以上設けられていてもよいことは言うまでもない。
【0129】
図11および
図12に示すように、積層セラミック電子部品10Cは、2つの電子部品本体12と、3つの金属端子から成る第1の金属端子240Aおよび第2の金属端子240Bおよび第3の金属端子240Cの(以下、金属端子240ともいう)と、外装材250とにより構成される。
【0130】
積層セラミック電子部品10Cに用いられる第1の金属端子240Aおよび第2の金属端子240Bは、縦置された2つの電子部品本体12に接続され、積層セラミック電子部品10Cを、実装基板に表面実装するために設けられる。具体的には、第1の金属端子240Aは、一方(左側)の電子部品本体12の第1の外部電極24aに接続されている。第2の金属端子240Bは、他方(右側)の電子部品本体12の第2の外部電極24bに接続されている。第3の金属端子240Cは、一方(左側)の電子部品本体12の第2の外部電極24bと他方(右側)の電子部品本体12の第1の外部電極24aとに跨って接続されている。
【0131】
第1の金属端子240Aは、一方(左側)の電子部品本体12の第1の外部電極24aに接続され、第1の側面14cもしくは第2の側面14dに対向する第1の接合部242と、第1の接合部242に接続され、積層体14の第1の側面14c(実装面側の側面)と略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、一方(左側)の電子部品本体12から左側へ遠ざかるように延びる第1の延長部244と、第1の延長部244に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるために、電子部品本体12とは反対側に位置する前記実装面の側に延びる第2の延長部246と、第2の延長部246に接続され、実装基板に実装されることとなる第1の実装部248と、を有している。
【0132】
第2の金属端子240Bは、他方(右側)の電子部品本体12の第2の外部電極24bに接続され、第1の側面14cもしくは第2の側面14dに対向する第2の接合部252と、第2の接合部252に接続され、積層体14の第1の側面14c(実装面側の側面)と略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、他方(右側)の電子部品本体12から右側へ遠ざかるように延びる第3の延長部254と、第3の延長部254に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるために、電子部品本体12とは反対側に位置する前記実装面の側に延びる第4の延長部256と、第4の延長部256に接続され、実装基板に実装されることとなる第2の実装部258と、を有している。
【0133】
第3の金属端子240Cは、一方(左側)の電子部品本体12の第2の外部電極24bに接続され、第1の側面14cもしくは第2の側面14dに対向する第3の接合部262と、第3の接合部262に接続され、第1の側面14cもしくは第2の側面14dと略平行となる方向に2つ電子部品本体12に跨るように延びる第5の延長部264と、第5の延長部264に接続され、他方(右側)の電子部品本体12の第1の外部電極24aに接続される第1の側面14cもしくは第2の側面14dと対向する第4の接合部266と、を有している。
【0134】
第1の金属端子240Aの第1の接合部242は、一方(左側)の電子部品本体12の第1の側面14cの左側に設けられた第1の外部電極24aに、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに延びるように接続される部分である。第2の金属端子240Bの第2の接合部252は、他方(右側)の電子部品本体12の第1の側面14cの右側に設けられた第2の外部電極24bに、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに延びるように接続される部分である。
【0135】
第3の金属端子240Cの第3の接合部262は、一方(左側)の電子部品本体12の第1の側面14cの右側に設けられた第2の外部電極24bに、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに延びるように接続される部分である。第3の金属端子240Cの第4の接合部266は、他方(右側)の電子部品本体12の第1の側面14cの左側に設けられた第1の外部電極24aに、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに延びるように接続される部分である。
【0136】
第1の金属端子240Aの第1の延長部244は、第1の接合部242の一端に接続され、積層体14の第1の側面14cと略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、一方(左側)の電子部品本体12から左側へ遠ざかるように延びている。第2の金属端子240Bの第3の延長部254は、第2の接合部252の一端に接続され、積層体14の第1の側面14cと略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに、他方(右側)の電子部品本体12から右側へ遠ざかるように延びている。
【0137】
第3の金属端子240Cの第5の延長部264は、一方(左側)の端部が第3の接合部262に接続され、他方(右側)の端部が第4の接合部266に接続され、積層体14の第1の側面14cと略平行となる方向に、かつ、第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向zに延びている。
【0138】
第1の金属端子240Aの第2の延長部246は、第1の延長部244に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるように、実装面の方向に延びている。具体的には、第1の延長部244の終端から湾曲して実装面の方向に延びている。第2の金属端子240Bの第4の延長部256は、第2の延長部254に接続され、第1の側面14cと実装基板の実装面との間に隙間を設けるように、実装面の方向に延びている。具体的には、第2の延長部254の終端から湾曲して実装面の方向に延びている。
【0139】
第1の金属端子240Aの第1の実装部248は、第2の延長部246に接続され、実装基板に実装されることとなる部分であり、実装面と略平行になるように延びている。第2の金属端子240Bの第2の実装部258は、第4の延長部256に接続され、実装基板に実装されることとなる部分であり、実装面と略平行になるように延びている。
【0140】
外装材250は、2つの電子部品本体12の第1の側面14cと第2の側面14dとを結ぶ幅方向yに相対する第1の主面(その一部は2つの電子部品本体12から少しはみ出している)250aおよび第2の主面250bと、電子部品本体12の第1の主面14aおよび第2の主面14bとを結ぶ積層方向xに相対する第1の側面250cおよび第2の側面250dと、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fとを結ぶ長さ方向zに相対する第1の端面250eおよび第2の端面250fを含む。
【0141】
外装材250は、第1の主面250aが2つの電子部品本体12の第1の側面14cと接している。従って、外装材250は、2つの電子部品本体12の第1の側面14cの一部と、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bと、第1の金属端子240Aの一部(第1の接合部242の全体と第1の延長部244の一部)および第2の金属端子240Bの一部(第2の接合部252の全体と第3の延長部254の一部)と、第3の金属端子240Cの全体を覆うように配置されている。
【0142】
第1の金属端子240Aは、外装材250の第1の端面250eから、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向z(左側方向)に導出している。第2の金属端子240Bは、外装材250の第2の端面250fから、電子部品本体12の第1の端面14eおよび第2の端面14fを結ぶ長さ方向z(右側方向)に導出している。
【0143】
以上の構成により、第3の実施の形態の積層セラミック電子部品10Cは、2つの電子部品本体12を直列に接続することにより、耐電圧の向上を図ることができる。沿面距離(絶縁表面距離)も
図12に示すように、さらに増加するため、より高圧の用途でも使用できるようになる。
一方、2つの電子部品本体12を直列に接続することで静電容量は低下するけれども、電子部品本体12の外部電極24が第1の側面14Cの上にのみ形成されることにより、静電容量密度が高められるため、この静電容量低下が抑制される。言い換えると、通常の直列接続に比べて相対的に静電容量密度を向上させることができる。
【0144】
2.積層セラミック電子部品の製造方法
次に、以上の構成からなる積層セラミック電子部品の製造方法の一実施の形態について、積層セラミック電子部品10Aを例にして説明する。
【0145】
まず、電子部品本体12の製造方法が説明される。セラミックグリーンシート、内部電極層18を形成するための内部電極用導電性ペーストおよび外部電極24を形成するための外部電極用導電性ペーストが準備される。なお、セラミックグリーンシート、内部電極用導電性ペーストおよび外部電極用導電性ペーストには、有機バインダおよび溶剤が含まれるが、公知の有機バインダや有機溶剤を用いることができる。
【0146】
そして、セラミックグリーンシート上に、たとえば、所定のパターンで内部電極用導電性ペーストが印刷され、内部電極パターンが形成される。なお、内部電極用導電性ペーストは、スクリーン印刷やグラビア印刷などの公知の方法により印刷することができる。
【0147】
次に、内部電極パターンが印刷されていない外層用セラミックグリーンシートが所定枚数積層され、その上に、内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートが順次積層され、その上に、外層用セラミックグリーンシートが所定枚数積層され、積層体シートが作製される。続いて、この積層体シートは、静水圧プレスなどの手段によって積層方向xに圧着させて、積層体ブロックを作製する。
【0148】
その後、積層体ブロックが所定の形状寸法に切断され、生の積層体チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより生の積層体の角部や稜部に丸みをつけてもよい。続いて、切り出された生の積層体チップが焼成され、積層体14が生成される。なお、焼成温度は、セラミックの材料や内部電極用導電性ペーストの材料に依存するが、900℃以上1300℃以下であることが好ましい。
【0149】
次に、外部電極24の焼付け層を形成するために、積層体14の第1の側面14cの左側に露出している第1の内部電極18aの第1の引出し部20aに外部電極用導電性ペーストが塗布されて焼き付けらる。同様に、積層体14の第1の側面14cの右側に露出している第2の内部電極18bの第2の引出し部20bに外部電極用導電性ペーストが塗布されて焼き付けらる。このとき、焼き付け温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。ここで、樹脂層を設ける場合には、樹脂層用の金属成分と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂ペーストが塗布されて硬化される。薄膜層やめっき層によって下地電極層が形成される場合は、蒸着法やめっき法によって形成される。
【0150】
その後、焼付け層の表面に1層以上のめっき層が形成されて外部電極24が形成され、電子部品本体12が製造される。
【0151】
続いて、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bの取り付け方法が説明される。まず、所定の形状に切断加工された第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bが準備される。
【0152】
次に、電子部品本体12の第1の側面14cに形成されている第1の外部電極24aに接合材によって第1の金属端子40Aが取り付けられると共に、第2の外部電極24bに接合材によって第2の金属端子40Bが取り付けられる。ここでは、接合材としてはんだが用いられる。はんだ付け温度は、リフローにて例えば270℃以上290℃以下の熱が30秒間以上与えられる。
【0153】
次に、外装材15が形成される。外装材15は、例えばトランスファーモールド工法によって形成される。金型に外装材15の樹脂が充填された後、それに電子部品本体12が配置され、樹脂が硬化される。これにより、所定の部分(電子部品本体12の第1の側面14cの一部と、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bと、第1の金属端子40Aの一部および第2の金属端子40Bの一部)に外装材15が設けられる。
【0154】
第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bの不要な部分がカットされる。例えば、打ち抜き金型を使い、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bの不要な部分のカットが実施される。
【0155】
次に、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bが所望の形状に折り曲げ加工される。例えば、曲げ金型を使い、第1の金属端子40Aおよび第2の金属端子40Bが所望の形状に折り曲げられる。
【0156】
上述のようにして、
図1に示す積層セラミック電子部品10Aが製造される。
【0157】
なお、この発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。また、電子部品本体のセラミック層の厚み、層数、対向電極面積および外形寸法は、これに限定されるものではない。