特許第6962288号(P6962288)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962288
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】制御盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   H02B3/00 M
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-142713(P2018-142713)
(22)【出願日】2018年7月30日
(65)【公開番号】特開2020-22230(P2020-22230A)
(43)【公開日】2020年2月6日
【審査請求日】2020年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓磨
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−226017(JP,A)
【文献】 特開2012−196073(JP,A)
【文献】 特開2010−259137(JP,A)
【文献】 特開2017−022946(JP,A)
【文献】 米国特許第04152750(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設IOと、
新設IOと、
一端が前記新設IOに取り付けられた新設IO用盤内線ケーブルと、
中柱に実装され、既設外線ケーブルに接続する既設IOユニットと、
前記既設IOユニットの前方に取り付けられ、前記既設IOと前記既設IOユニットとの間に装着されて前記既設IOと前記既設外線ケーブルとを電気的に接続し、かつ、前記新設IO用盤内線ケーブルの他端が取り付けられて前記新設IOと前記既設外線ケーブルとを電気的に接続する中継アダプタと、を備え
前記中継アダプタは、後部に前記既設IOユニットに接続する既設IOユニット用コネクタを、前部に前記既設IOに接続する既設IO用コネクタを、側部に前記新設IO用盤内線ケーブルの他端が接続する新設IO用コネクタを有すること、
を特徴とする制御盤。
【請求項2】
制御盤の筐体の前面開口部に装着された筐体前方増設枠と、
前記筐体前方増設枠に取り付けられた新設IOユニットと、をさらに備え、
前記新設IOは、前記新設IOユニットに収納されること、
を特徴とする請求項1記載の制御盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御盤に関する。
【背景技術】
【0002】
図6を参照して、既設の制御盤の構成について説明する。既設制御盤の筐体11の前面開口部には、前面メンテナンス用の扉13が取付けられている。筐体11の内部には、中柱12および中柱12に実装された各機器が収められている。中柱12には、既設IOユニット14、既設電源取付パネル16、既設電気用品取付パネル17が実装されている。既設IOユニット14には、さらに既設IOユニット用外線コネクタ19が実装されている。既設IOユニット用外線コネクタ19には、外部に接続する既設外線ケーブル18が配線されている。既設外線ケーブル18は、制御盤外部との信号送受信や電力供給のために用いられる。また、既設IOユニット14には既設IO15が収納されている。既設IO15は、既設IOユニット14を介して既設外線ケーブル18に電気的に接続している。
【0003】
図7を参照して、従来の制御盤更新手法にて既設IOを新設IOに更新する場合の更新後の構成について説明する。従来の制御盤更新手法では、新設制御盤を既設制御盤と同一の電気室のスペースに設置する(特許文献1等)。新設制御盤の筐体21の中柱22には、新設IOユニット34が実装される。既設制御盤の筐体11内の既設IOユニット14(図6)は撤去され、中柱12には、更新用中継端子台25が実装される。既設IOユニット14に配線されていた既設外線ケーブル18は、更新用中継端子台25に配線し直される。更新用中継端子台25と新設IOユニット34の間は、追加外線ケーブル28で結線される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−311631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の制御盤更新手法では、既設外線ケーブルを流用するために、既設制御盤内の既設IOユニットを撤去し、そのあと既設制御盤を中継端子台化している。中継端子台化するためには、現地での改造期間を十分に確保する必要がある。また、既設IOユニットが撤去されて既設制御盤に戻すことができないこと、および、既設IOユニットを撤去した後にしか新設IOの動作確認を行うことができないことから、現地での更新に際して十分なシステム試験期間を確保する必要がある。そのため、設備停止期間が長期化する問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、既設IOの撤去前に新設IOを用いたシステム試験を行うことができ、既設設備を短期間で更新できる制御盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の達成のため、本発明に係る制御盤は、既設IO、新設IO、新設IO用盤内線ケーブル、既設IOユニット、中継アダプタを備える。
【0008】
新設IO用盤内線ケーブルは、一端が新設IOに取り付けられ、他端が中継アダプタに取り付けられる。既設IOユニットは、既設IOユニット用外線コネクタを有し、該コネクタを介して既設外線ケーブルに接続する。
【0009】
中継アダプタは、既設IOと既設IOユニットとの間に装着されて既設IOと既設外線ケーブルとを電気的に接続する。さらに、中継アダプタは、新設IO用盤内線ケーブルの他端が取り付けられて新設IOと既設外線ケーブルとを電気的に接続する。なお、中継アダプタは他の機器(既設IO、既設IOユニット、新設IO用盤内線ケーブル)とワンタッチで接続できることが好ましい。
【0010】
このような中継アダプタを用いることで、従来の制御盤更新手法のように、既設制御盤を中継端子台化して既設外線ケーブルを接続し直す作業が不要になる。また、中継アダプタを用いることで、既設IOユニットを撤去することなく、既設IOと新設IOの両方を既設外線ケーブルに接続することができる。そのため、既設IOで設備を運転している期間に新設IOの動作確認を行うことができ、システム試験における設備停止期間を短縮することができる。また、新旧システムの切換によるシステム試験を行うことにより、設計品質を向上させることができる。
【0011】
1つの態様では、制御盤は、筐体前方増設枠と新設IOユニットとをさらに備える。筐体前方増設枠は、制御盤の筐体の前面開口部に装着される。新設IOユニットは、筐体前方増設枠に取り付けられる。新設IOは、新設IOユニットに収納される。
【0012】
このような筐体前方増設枠を用いることで、既設制御盤に新設IOを増設できるため、従来の制御盤更新手法における新設制御盤を設ける必要がない。そのため、既設制御盤と外部の新設制御盤との間を結線する追加外線ケーブル28(図7)は不要である。追加外線ケーブル28よりも長さの短い新設IO用盤内線ケーブル(例えば、数m)で新設IOと中継アダプタとを結線すれば足りる。このため、更新コスト、設置スペースともに改善が図られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る制御盤によれば、既設IOの撤去前に新設IOを用いたシステム試験を行うことができ、容易かつ短期間に既設設備を更新できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る筐体前方増設枠を筐体に装着する前の制御盤の構成図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る筐体前方増設枠を筐体に装着した後の制御盤の構成図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る中継アダプタの正面図と右側面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る中継アダプタの配線図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る中継アダプタ周辺の接続状態を説明するための図である。
図6】既設制御盤の構成図である。
図7】従来の制御盤更新手法にて既設IOを新設IOに更新する場合の更新後の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
実施の形態1.
本実施形態に係る既設制御盤のIOの更新について説明する。
【0017】
図1は、筐体前方増設枠を筐体に装着する前の制御盤の構成図である。制御盤の筐体11の内部構成は、次の点を除き上述した図6と同じである。図1では、筐体11の前面の扉13(図6)が取り外されている。また、既設IO15と既設IOユニット14との間には、中継アダプタ36が装着されている。また、上述した図7と比較すると、本実施形態ではIO更新後においても、既設IOユニット14は中柱12に実装されている。そして既設IOユニット14の既設IOユニット用外線コネクタ19には、既設外線ケーブル18が結線されたままである。
【0018】
次に、前面メンテナンス用の筐体前方増設枠31について説明する。筐体前方増設枠31の背面側は開口しており、扉13が取り外された筐体11の前面開口部に取り付け可能である。筐体前方増設枠31の前面側は開口しており、外扉33が取り付けられている。筐体前方増設枠31には、新設IOユニット34が取り付けられている。新設IOユニット34は、既設IOユニット14の正面に取付けることが望ましい。新設IOユニット34には、新設IO35が収納されている。
【0019】
図2は、筐体前方増設枠31を筐体に装着した後の制御盤の構成図である。筐体11の前面開口部に筐体前方増設枠31の背面開口部が装着される。新設IO用盤内線ケーブル38は、一端が新設IO35に取り付けられ、他端が中継アダプタ36に取り付けられる。新設IOユニット34を既設IOユニット14の正面に取付けることで、新設IO用盤内線ケーブル38の長さは最も短くて済む。
【0020】
このような筐体前方増設枠31を用いることで、既設制御盤に新設IO35を増設でき、また、長さの短い新設IO用盤内線ケーブル38(例えば、数m)で新設IO35と中継アダプタ36とを結線できる。このため、更新コスト、設置スペースともに改善が図られる。
【0021】
図3図5を参照して、中継アダプタ36の接続状態について説明する。図3に示すように、中継アダプタ36は、既設IO用コネクタ51、既設IOユニット用コネクタ52、新設IO用コネクタ53を備える。
【0022】
図4は、中継アダプタ36の配線図である。中継アダプタ36を既設IOユニット14に収納することにより、既設IOユニット用外線コネクタ19と既設IOユニット用コネクタ52とが結線される。既設IOユニット用コネクタ52と既設IO用コネクタ51は、中継アダプタ36の内部で結線されている。また、既設IOユニット用コネクタ52と新設IO用コネクタ53も、中継アダプタ36の内部で結線されている。これにより、既設IOユニット用外線コネクタ19は、既設IO用コネクタ51および新設IO用コネクタ53にそれぞれ電気的に接続される。
【0023】
図5は、中継アダプタ36周辺の接続状態を説明するための図である。中継アダプタ36は、既設IO用コネクタ51(図4)により既設IO15に直接接続している。中継アダプタ36は、既設IOユニット用コネクタ52(図4)により既設IOユニット14に直接接続している。既設IOユニット14の既設IOユニット用外線コネクタ19は既設外線ケーブル18に接続している。中継アダプタ36は、新設IO用コネクタ53(図4)により新設IO用盤内線ケーブル38に接続し、新設IO用盤内線ケーブル38を介して新設IO35に接続している。
【0024】
そのため、既設IO15と新設IO35の両方が、中継アダプタ36と既設IOユニット14とを介して、既設外線ケーブル18と電気的に接続している。したがって、既設外線ケーブル18から既設IOユニット14へ入力される信号は、既設IO15と新設IO35とに入力される。そのため、既設IO15で設備を運転している期間に新設IO35の動作確認を行うことができ、システム試験における設備停止期間を短縮することができる。また、新旧システムの切換によるシステム試験を行うことにより、設計品質を向上させることができる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0026】
11、21 筐体
12、22 中柱
13 扉
14 既設IOユニット
15 既設IO
16 既設電源取付パネル
17 既設電気用品取付パネル
18 既設外線ケーブル
19 既設IOユニット用外線コネクタ
25 更新用中継端子台
28 追加外線ケーブル
31 筐体前方増設枠
33 外扉
34 新設IOユニット
35 新設IO
36 中継アダプタ
38 新設IO用盤内線ケーブル
51 既設IO用コネクタ
52 既設IOユニット用コネクタ
53 新設IO用コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7