特許第6962304号(P6962304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962304
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】計測ユニット
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20211025BHJP
   B65G 49/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B65G1/00 521D
   B65G49/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-195263(P2018-195263)
(22)【出願日】2018年10月16日
(65)【公開番号】特開2020-63120(P2020-63120A)
(43)【公開日】2020年4月23日
【審査請求日】2020年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】福島 秀基
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−52919(JP,A)
【文献】 特開2016−60583(JP,A)
【文献】 特開2006−206223(JP,A)
【文献】 特開2007−297196(JP,A)
【文献】 特開2008−159734(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0042248(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置によって物品を搬送する物品搬送設備において用いられる計測ユニットであって、
前記搬送装置によって搬送される支持部と、
前記支持部に支持されて、計測対象を計測する計測装置と、
前記支持部に支持されて、予め設定された撮像範囲を撮像する撮像装置と、
前記計測装置によって計測された計測内容を表示する表示部と、
前記撮像装置によって撮像された撮像情報を記録する記録部と、を備え、
前記撮像範囲は、前記表示部と、前記支持部の周囲の景色とを含んでいる、計測ユニット。
【請求項2】
前記撮像範囲は、前記支持部を搬送中の前記搬送装置及び当該搬送装置の周囲の景色の少なくとも一方を含み、
前記撮像情報は、前記支持部を搬送中の前記搬送装置の動作状況を含んでいる、請求項1に記載の計測ユニット。
【請求項3】
前記表示部は、前記計測内容に加えて、現時刻を表示する、請求項1又は2に記載の計測ユニット。
【請求項4】
前記支持部は、前記搬送装置による搬送対象である前記物品と同等の外形を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の計測ユニット。
【請求項5】
前記計測対象は、前記計測装置の周囲における、パーティクルの量、温度、湿度、及び、振動の少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の計測ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置によって物品を搬送する物品搬送設備において用いられる計測ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1(特開2007−297196号公報)には、液晶ディスプレイやプラズマパネル等の基板を自動的に搬送して保管する自動倉庫(物品搬送設備)において用いられる計測ユニット(2)が開示されている(背景技術の説明において括弧内に付す符号は特許文献1のものである。)。計測ユニット(2)は、スタッカークレーン(40)によって自動倉庫内の各所に搬送され、搬送されている状態で振動を計測したり、自動倉庫内に設けられたラック(22)に保管されている状態でパーティクルの数や大きさ等を計測している。そして、このように計測された計測データは、記憶部(54)に記憶される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような計測データは、実際に計測された場所と対応づけられることにより、設備内の各場所の環境(振動の生じ易さやパーティクルの量などに基づく設備環境)を把握可能となる。しかしそれには、例えば、計測ユニットにより取得した計測データの時間変化と当該計測ユニットの搬送時間などに基づく計測場所の特定作業や、搬送装置の動作状況の特定作業など、複雑な解析作業が必要であった。また、計測ユニットによる計測から当該計測された計測データが記憶部に記憶されるまでの間に、時間的な誤差がある場合には、解析作業を行うに際してそのような誤差も考慮する必要があり、解析作業が更に複雑化することとなっていた。
【0005】
上記実状に鑑みて、計測対象が実際に計測された場所と当該計測対象の計測情報とを対応させた情報を容易に取得可能な計測ユニットの実現が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る計測ユニットは、搬送装置によって物品を搬送する物品搬送設備において用いられる計測ユニットであって、前記搬送装置によって搬送される支持部と、前記支持部に支持されて、計測対象を計測する計測装置と、前記支持部に支持されて、予め設定された撮像範囲を撮像する撮像装置と、前記計測装置によって計測された計測内容を表示する表示部と、前記撮像装置によって撮像された撮像情報を記録する記録部と、を備え、前記撮像範囲は、前記表示部と、前記支持部の周囲の景色とを含んでいる。
【0007】
本構成によれば、計測対象が計測されることに伴って表示部に計測内容が表示された状態での当該表示部と、当該計測内容が表示された際における支持部の周囲の景色とを、一つの画像中に含めて撮像することができる。従って、計測対象が実際に計測された場所と当該計測対象の計測情報とを対応させた情報を容易に取得することができる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】物品搬送設備の平面模式図
図2】搬送装置の一例を示す説明図
図3】搬送対象である物品の斜視図
図4】計測ユニットの斜視図
図5】計測ユニットの構成を示す模式図
図6】搬送装置による搬送中における計測ユニットによる計測状態を示す説明図
図7】撮像情報の一例を示す図
図8】設備内における計測ユニットによる計測箇所の例を示す説明図
図9】保管部における計測ユニットによる計測状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る計測ユニット100について図面を参照して説明する。計測ユニット100(図4等参照)は、図1に示すように、搬送装置8によって物品Wを搬送する物品搬送設備Fにおいて用いられ、例えば、設備内におけるパーティクル、温度、湿度、或いは振動など、予め計測対象として設定されているものを計測する。以下、計測ユニット100について説明する前に、計測ユニット100が用いられる物品搬送設備Fの一例について概略的に説明する。
【0011】
〔物品搬送設備の概要〕
図1に示す物品搬送設備Fは、例えば有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを製造する設備に用いられるものである。この物品搬送設備Fでは、フラットパネルディスプレイの製造に用いられるガラス基板の搬送、処理、及び保管等が行われる。
【0012】
ガラス基板は、専用の容器に収容されて、物品搬送設備Fの各所に設けられた処理部(不図示)又は保管倉庫9等に搬送される。そして、ガラス基板は、処理部において各種の工程によって処理され、或いは、保管倉庫9において一時的または長期的に保管される。なお、ガラス基板を処理するための処理部は、保管倉庫9の内部に設けられている場合もある。本実施形態では、物品搬送設備Fにおいて搬送対象とされる物品Wは、このようなガラス基板を収容するための容器である。
【0013】
保管倉庫9は、物品搬送設備F内の各所に設けられている。図2は、保管倉庫9の一部を示す平面図である。図2に示す例では、保管倉庫9は、互いに間隔を開けて対向する一対の保管棚90を有している。保管棚90には、複数の保管部91が上下方向および当該保管棚90の長手方向(左右方向)に亘って並んで配置されている。本例では、保管棚90は、複数の載置板92と複数の支柱93とを含んで構成されており、支柱93によって載置板92が支持されている。図示の例では、保管部91は、保管棚90の長手方向において隣り合う支柱93の間の空間に形成されている。そして、各保管部91は、一対の載置板92を有し、物品Wは、一対の載置板92によって下方から支持された状態で保管部91に保管される。
【0014】
物品搬送設備Fには、物品Wを搬送するための各種の搬送装置8が備えられている。搬送装置8は、例えば、設備内の床上を走行する床上搬送車、設備内の天井付近に設置されたレール(天井走行レール)を走行する天井搬送車、物品Wを上下方向に沿って搬送するリフタ、載置面に載置された物品Wを連続的に搬送するコンベヤ、保管棚90に沿って走行すると共に保管棚90の複数の保管部91との間で物品Wを移載するスタッカークレーン等、各種の搬送手段によって物品Wを搬送する装置である。床上搬送車としては、軌道(床上走行レール)上を走行する有軌道式、又は磁気等により誘導される無軌道式であってよい。天井搬送車としては、物品Wを昇降させる昇降機能を有すると共に物品Wを吊下げた状態で搬送する吊下げ搬送式、又は物品Wを載置した状態で搬送する載置搬送式であってよい。リフタとしては、設備内の同じ階において物品Wを昇降させる態様(例えば、床上とそれよりも上の天井搬送車との間で物品Wを受け渡しする態様)であってもよいし、設備内の異なる階に亘って物品Wを昇降させる階間搬送を行う態様であってもよい。コンベヤとしては、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、或いはチェーンコンベヤ等の各種構成のコンベヤであってよい。物品搬送設備Fは、複数種類の搬送装置8によって物品Wを搬送する。以下、搬送装置8の一例として、スタッカークレーン80の構成について説明する。
【0015】
本実施形態では、図2に示すように、スタッカークレーン80は、保管倉庫9における一対の保管棚90の間に設けられた走行レールR(棚間走行レール)を走行する。スタッカークレーン80は、走行レールRに案内されて保管棚90の長手方向(左右方向)に沿って走行自在な走行台車81と、走行台車81に立設されたマスト82に案内されて上下方向に移動自在な(すなわち昇降自在な)昇降体83と、昇降体83に支持されて保管棚90に配置された複数の保管部91のそれぞれとの間で物品Wを移載する移載部84と、を備えている。
【0016】
スタッカークレーン80は、移載部84により、物品Wを移載する移載動作を行う。本実施形態では、移載部84は、物品Wを下方から支持するフォーク部84aと、フォーク部84aを支持すると共に伸縮動作によって当該フォーク部84aを保管部91に対して出退させるアーム部84bと、を含んで構成されている。このように構成された移載部84により、スタッカークレーン80は、保管部91に保管されている物品W(一対の載置板92によって下方から支持されている物品W)を掬う掬い動作、及び、保管部91に物品Wを降ろす(一対の載置板92に物品Wを支持させる)降ろし動作を行う。掬い動作及び降ろし動作は、移載部84(フォーク部84a)の出退動作と昇降動作との組み合わせによって実現される。スタッカークレーン80は、保管部91から物品Wを取り出して入出庫口99へ搬送し、或いは、入出庫口99で受け取った物品Wを保管部91に収納(保管)する。
【0017】
以上では、搬送装置8として、スタッカークレーン80の構成を例に挙げて説明した。ここで、上述の床上搬送車、天井搬送車、リフタ等についても、物品Wを移載するための移載部を備えていてもよい。そして、そのような移載部としては、上述のような掬い動作や降ろし動作を行うものに限られない。例えば、移載部は、物品Wを把持する把持動作及び当該把持を解除する把持解除動作を行うように構成されていてもよく、或いは、物品Wの姿勢を変更するために、物品Wを旋回させる旋回動作を行うように構成されていてもよい。また、例えば、上述した吊下げ搬送式の天井搬送車が移載部を備える場合には、自車よりも下方にある移載箇所と自車との間で物品Wを昇降させる昇降動作も移載動作に含まれる。すなわち、「物品Wを移載する移載動作」には、各種の搬送装置8のそれぞれにおいて物品Wを移載するために必要な各種動作が含まれる。
【0018】
ここで、本例における物品搬送設備Fにおいて搬送対象とされる物品Wについて説明する。本例では、物品Wは、ガラス基板を収容するための容器である。図3に示す例では、物品Wは、直方体状の外形を有している。本実施形態では、物品Wは、容器の上側部分(上面部分)を構成する容器上枠部Waと、下側部分(下面部分)を構成する容器下枠部Wbと、対向する一対の横側部分(側面部分)のそれぞれを構成する容器側枠部Wcと、後側部分(後面部分)を構成する容器後枠部Wdと、前側部分(前面部分)において開口する容器開口部Weと、を有している。
【0019】
本実施形態では、容器上枠部Wa及び容器下枠部Wbは、平面視において矩形状を成す外枠を有する格子状に形成されている。容器側枠部Wcは、容器上枠部Waと容器下枠部Wbとを連結する複数本(図示の例では5本)の縦枠を有して構成されている。容器後枠部Wdは、容器上枠部Waと容器下枠部Wbとを連結する一対の縦枠と、当該一対の縦枠を水平方向に連結する一対の横枠と、を有して構成されている。そして、容器開口部Weは、物品W(容器)の内部と外部との間で被収容物(ここではガラス基板)を出し入れするための出入口部として構成されている。図示するように、容器開口部Weには、例えば容器後枠部Wdが有するような枠は設けられていない。
【0020】
また、図示の例では、物品Wは、容器後枠部Wdから物品W(容器)の内部に向かって水平方向に突出する第1支持部材Wf1と、一対の容器側枠部Wcのそれぞれから物品Wの内部に向かって水平方向に突出する第2支持部材Wf2と、を更に有している。第1支持部材Wf1と第2支持部材Wf2とは、互いに同じ高さに配置されており、被収容物であるガラス基板を支持するように構成されている。そして、このような第1支持部材Wf1と第2支持部材Wf2との組が、上下方向に沿って複数組配置されている。これにより、物品Wとしての容器は、複数のガラス基板を上下方向の複数段に亘って収納することが可能となっている。
【0021】
〔計測ユニット〕
次に、計測ユニット100について説明する。計測ユニット100は、物品搬送設備Fにおいて用いられ、物品Wの代わりに搬送装置8によって搬送されて物品搬送設備Fの各所において計測対象を計測する。
【0022】
図4及び図5に示すように、計測ユニット100は、搬送装置8(図1参照)によって搬送される支持部1と、支持部1に支持されて、計測対象を計測する計測装置2と、支持部1に支持されて、予め設定された撮像範囲IR(図6等参照)を撮像する撮像装置3と、計測装置2によって計測された計測内容MC(図7参照)を表示する表示部4と、撮像装置3によって撮像された撮像情報II(図7参照)を記録する記録部5と、を備えている。
【0023】
〔支持部〕
支持部1は、搬送装置8によって搬送され、計測装置2と撮像装置3と表示部4とを支持する。本実施形態では、支持部1は、搬送装置8による搬送対象である物品Wと同等の外形を有している。すなわち本実施形態では、支持部1は、直方体状の外形を有する物品Wと同様に、直方体状の外形を有している。但し、このような構成に限定されることなく、支持部1は、物品Wとは異なる外形を有していてもよい。
【0024】
本実施形態では、支持部1は、計測装置2と撮像装置3と表示部4とを支持する支持板10と、支持部1の上側部分(上面部分)を構成する上枠部11と、下側部分(下面部分)を構成する下枠部12と、対向する一対の横側部分(側面部分)のそれぞれを構成する側枠部13と、後側部分(後面部分)を構成する後枠部14と、前側部分(前面部分)において開口する開口部15と、を有している。図示の例では、支持板10は、下枠部12に載置されている。また本例では、支持板10には、表示部4が配置される位置よりも高い高さを有する支持台10aが設けられている。そして、撮像装置3は、支持台10aの上面において支持されている。従って本実施形態では、支持板10は、支持台10aを介して間接的に撮像装置3を支持している。
【0025】
本実施形態では、上枠部11及び下枠部12は、平面視において矩形状を成す外枠を有する格子状に形成されている。側枠部13は、上枠部11と下枠部12とを連結する複数本(図示の例では5本)の縦枠を有して構成されている。後枠部14は、上枠部11と下枠部12とを連結する一対の縦枠と、当該一対の縦枠を水平方向に連結する一対の横枠と、を有して構成されている。なお、開口部15には、例えば後枠部14が有するような枠は設けられていない。このように、本例では、支持部1は、外形を構成する部分である、上枠部11、下枠部12、側枠部13、及び後枠部14が、搬送対象である物品Wと同等の形状を有している。但し、支持部1は、上述のような物品Wに設けられる第1支持部材Wf1及び第2支持部材Wf2(図3参照)を有していない。そして、支持部1は、物品Wには設けられていない支持板10(及び支持台10a)を有している。従って、本例では、物品W(容器)から、第1支持部材Wf1及び第2支持部材Wf2を取り除くと共に支持板10(及び支持台10a)を追加することで、支持部1を形成することができる。
【0026】
〔計測装置〕
計測装置2は、予め設定された計測対象を計測する。本実施形態では、計測対象は、計測装置2の周囲におけるパーティクルの量であり、計測装置2は、空気中の塵、埃、異物、ダスト等を計測する微粒子計(いわゆるパーティクルカウンタ)である。本例では、計測装置2は、当該計測装置2の周囲の空気を吸引し、その中に含まれるパーティクルの大きさ及び数量を計測する。但し、上記のような構成に限定されることなく、計測対象は、計測装置2の周囲における、パーティクルの量、温度、湿度、及び、振動の少なくとも1つを含んでいればよい。従って、計測装置2は、微粒子計、温度計、湿度計、及び振動計の少なくとも1つの機能を有していればよい。計測装置2が温度を計測する場合、当該計測装置2は設置場所の周囲の気温を計測する。計測装置2が湿度を計測する場合、当該計測装置2は設置場所の周囲の空気の湿度を計測する。計測装置2が振動を計測する場合、当該計測装置2は設置場所である支持部1(支持板10)の振動を計測する。この場合、計測装置2は、例えば、振動の大きさ(振幅)や振動数等を計測する。
【0027】
本実施形態では、計測装置2は、支持部1における支持板10に支持されている。但し、このような構成に限定されることなく、計測装置2は、支持部1におけるいずれかの部分に支持されていていればよい。計測装置2が支持される箇所は、計測対象を計測するのに適した箇所となるように、計測対象に応じて適宜設定するとよい。
【0028】
図示の例では、計測装置2は、支持板10における中央領域を挟んで、撮像装置3が配置された領域とは反対側の領域に配置されている。より具体的には、計測装置2は、支持板10における後枠部14の側の領域に配置された撮像装置3よりも、支持板10における開口部15の側の領域に配置されている。
【0029】
〔表示部〕
図7に示すように、表示部4は、計測装置2によって計測された計測内容MCを表示する。本実施形態では、計測内容MCは、パーティクルの大きさ及び数量である。但し、これに限定されることなく、計測内容MCは、計測装置2が計測する計測対象に応じて定まる。例えば、計測内容MCは、計測装置2が温度を計測する場合には温度であり、湿度を計測する場合には湿度であり、振動である場合には振動の大きさ(振幅)や振動数等である。
【0030】
本実施形態では、表示部4は、計測装置2による計測対象の計測後、即時に計測内容MCを表示する。具体的には、計測装置2は一定の計測周期で(例えば1秒毎に)計測対象の計測を行っており、表示部4は、このような計測装置2による計測周期毎に、得られた計測結果に基づいて更新した計測内容MCを表示する。これにより、表示部4は、計測装置2によって計測された計測内容MCの変化を随時表示する。
【0031】
本実施形態では、図7に例示するように、表示部4は、計測内容MCに加えて、現時刻Tを表示する。これにより、計測対象が計測された計測時刻を容易に把握することが可能となっている。
【0032】
ここで、図4図6に示すように、表示部4は、撮像装置3の撮像範囲IR(図6参照)に収まるように配置されている。本実施形態では、表示部4は、支持部1(直方体状の支持部1)によって囲まれた空間に配置されている。図示の例では、表示部4は、当該空間において、撮像装置3よりも開口部15の側に配置されている。そして、表示部4は、当該空間において、後枠部14の側に配置された撮像装置3と対向するように配置されている。
【0033】
本実施形態では、表示部4は、計測装置2と一体的に構成されている。より具体的には、表示部4は、計測装置2の一部を構成している。そして、本例では、表示部4及び計測装置2の双方が、撮像装置3の撮像範囲IRに収まるように配置されている。但し、上記のような構成に限定されることなく、表示部4と計測装置2とは、別々に設けられて、それぞれ異なる位置に配置されていてもよい。この場合、表示部4は撮像装置3の撮像範囲IRに収まるように配置されるが、計測装置2については、撮像範囲IRの外に配置されていてもよい。
【0034】
〔撮像装置〕
撮像装置3は、予め定められた撮像範囲IRを撮像する。本実施形態では、撮像装置3は、撮像範囲IRの動画を撮像する。撮像装置3が撮影する画角は、広い方が支持部1の周囲の景色を広く撮影できるため好適である。撮像装置3の画角は、例えば60°以上であるとよい。撮像装置3として、全方位を同時に撮影可能な全天球カメラや特定面に対して一方側の全体を同時に撮影可能な半球カメラ等を用いても好適である。或いは、撮像装置3として、異なる方向に向けて設置した複数台の広角カメラを用いてもよい。本例では、撮像装置3は、計測装置2が配置された方向を向く画角120°程度の広角カメラ1台で構成されている。また、撮像装置3は、暗い場所でも適切に撮像可能な暗視機能を有していると更によい。撮像装置3としては、例えばアクションカメラなど、振動耐久性の高いものを用いると好適である。また、撮像装置3として、撮像機能と映像記録機能とを有するもの(いわゆるドライブレコーダ等)を用いてもよい。
【0035】
〔記録部〕
記録部5は、撮像装置3によって撮像された撮像情報II(図7参照)を記録する。記録部5は、撮像装置3自体が備えていてもよいし、撮像装置3とは別に設けられて、有線又は無線により当該撮像装置3と通信可能に構成されていてもよい。
【0036】
〔撮像範囲、撮像情報〕
次に、撮像装置3が撮像する撮像範囲IR、及び、撮像により取得される撮像情報IIについて、主に図6及び図7を参照して説明する。
【0037】
図6は、保管倉庫9の内部において、搬送装置8としてのスタッカークレーン80が計測ユニット100を搬送中である状態の一例を示している。図7は、撮像情報IIの一例であり、図6に示された状態で撮像装置3により取得される撮像情報IIを示している。ここで、撮像情報IIは、撮像装置3が撮像範囲IRを撮像することによって取得される画像情報(動画情報)である。すなわち、撮像情報IIは、各撮像時点における撮像範囲IRの画像情報である。
【0038】
撮像範囲IRは、表示部4と、支持部1の周囲の景色とを含んでいる。これにより、表示部4と、支持部1の周囲の景色とが、撮像情報IIに含まれる。撮像情報IIに表示部4が含まれていることにより、物品搬送設備Fの保守等を行う作業者は、撮像情報IIを確認すれば表示部4の状態を把握することができる。すなわち本例では、計測装置2によって随時計測されたパーティクルの大きさ及び数量の変化の状態を、撮像情報IIを介して作業者が把握することが可能となっている。また、撮像情報IIに支持部1の周囲の景色が含まれていることで、当該撮像情報IIが取得された際の支持部1(計測ユニット100)の物品搬送設備F内における位置を作業者が把握することが可能となっている。これにより、作業者は、撮像情報IIを確認することで、計測装置2による計測内容MCの状態変化と、当該状態変化が生じた際の支持部1の位置とを関連付けて認識することができる。図6に示す例では、撮像範囲IRには、支持部1の周囲の景色として保管部91が含まれている。よって、図7に示す撮像情報IIにも、保管部91が含まれている。従って、図示の例では、撮像情報IIを確認した作業者は、当該撮像情報IIが取得された際の計測ユニット100の位置が、保管倉庫9(図1等参照)の内部であることを容易に認識できる。
【0039】
本実施形態では、撮像範囲IRは、支持部1を搬送中の搬送装置8及び当該搬送装置8の周囲の景色の少なくとも一方を含んでいる。これにより、支持部1を搬送中の搬送装置8及び当該搬送装置8の周囲の景色の少なくとも一方が、撮像情報IIに含まれる。支持部1を搬送中の搬送装置8が撮像情報IIに含まれていることにより、物品搬送設備Fの保守等を行う作業者は、撮像情報IIを確認すれば、支持部1を搬送中の搬送装置8の種類(例えば、スタッカークレーン80、天井搬送車、或いは床上搬送車などの種類)や、当該搬送装置8の動作状態等を把握することができる。そして、支持部1を搬送中の搬送装置8の周囲の景色が撮像情報IIに含まれることで、当該撮像情報IIを介して、搬送装置8の位置や動作状況を把握することができる。このように、撮像情報IIは、支持部1を搬送中の搬送装置8の動作状況を含んでいると好適である。例えば、撮像情報IIにおいて、支持部1を搬送中の搬送装置8の周囲の景色が変化する場合には、搬送装置8が移動するなど何らかの動作を行っている状況であることを把握できる。反対に、搬送装置8の周囲の景色が変化しない場合には、搬送装置8が停止中の状況であることを把握できる。例えば図7に示す撮像情報IIにおいて、スタッカークレーン80(図6参照)の周囲の景色に含まれる保管部91が、スタッカークレーン80に対して図中左右方向に移動するように変化している場合には、作業者は、当該スタッカークレーン80が走行レールRに沿って走行している状況であることを認識できる。
【0040】
また本実施形態では、搬送装置8の動作状況には、搬送装置8(移載部)による移載動作の状況が含まれる。例えば図7に示す撮像情報IIにおいて、スタッカークレーン80(図6参照)の周囲の景色に含まれる保管部91が、スタッカークレーン80に対して図中奥行方向に近づくように又は遠ざかるように変化している場合には、作業者は、当該スタッカークレーン80が出退動作(移載動作)を行っている状況であることを認識できる。
【0041】
ここで上述のように、本実施形態では、物品搬送設備Fには、複数種類の搬送装置8が備えられており、これら搬送装置8のそれぞれが行う移載動作には、複数種類の動作が含まれる。例えば、スタッカークレーン80の場合には、移載動作として、上述したような出退動作に加えて、物品Wや支持部1を昇降させる掬い動作や降ろし動作が含まれる。搬送装置8が天井搬送車の場合には、移載動作として、上述したような、把持動作、把持解除動作、及び昇降動作などが含まれる。これらの各動作が行われている状況は、撮像情報IIに基づいて、支持部1を搬送中の搬送装置8の周囲の景色の変化により把握できる。或いは、当該搬送装置8自体が撮像情報IIに含まれる場合には、搬送装置8の各動作状況を当該撮像情報IIから直接的に把握することができる(すなわち搬送装置8の動作自体を確認できる。)。例えば、上述の天井搬送車(搬送装置8)による把持動作や把持解除動作は、天井搬送車(搬送装置8)の周囲の景色の変化を伴わない場合があるが、撮像情報IIに天井搬送車(搬送装置8)の把持動作を行う部分が含まれていれば、そのような動作状況も撮像情報IIから容易に把握することができる。
【0042】
上述のように、本実施形態では、表示部4は、支持部1によって囲まれた空間において、撮像装置3よりも開口部15の側に配置され、後枠部14の側に配置された撮像装置3と対向するように配置されている。すなわち図7に示すように、撮像装置3の側から表示部4を見て、表示部4の後方は、支持部1の開口部15となっている。この配置構成としたことにより、撮像情報IIに含まれる支持部1の周囲の景色が、当該支持部1を構成する部材によって遮られることを少なくすることができる。すなわち、作業者が撮像情報IIを確認した場合に、支持部1の周囲の景色、又は支持部1を搬送中の搬送装置8の周囲の景色を把握し易くなっている。
【0043】
更に、上述のように、本実施形態では、撮像装置3は、表示部4が配置される位置よりも高い高さを有する支持台10aの上面に支持されている。すなわち本例では、撮像装置3の配置される位置が、表示部4の配置される位置よりも上方となっている。これにより、表示部4よりも上方の位置から当該表示部4を下に見るように撮像範囲IRを設定することができる。従って、支持部1の周囲の景色、又は支持部1を搬送中の搬送装置8の周囲の景色を俯瞰的に把握し易い撮像情報IIを取得可能となっている。
【0044】
また、上述のように、本実施形態では、表示部4は、計測内容MCに加えて、現時刻Tを表示する。そのため、図7に示すように、撮像情報IIには、計測内容MCに加えて、現時刻Tが含まれる。これにより、作業者は、撮像情報IIに基づいて、計測内容MCを、当該計測内容MCが計測された計測時刻と対応づけて把握することができる。
【0045】
以上説明した計測ユニット100によれば、物品搬送設備F内において、計測装置2により計測された計測内容MCを、計測が行われた場所、時刻、及びその時の搬送装置8の動作状況に対応づけて把握することが可能となる。そして、例えば計測装置2によってパーティクル(パーティクルの大きさ及び数量)を計測する構成である場合には、物品搬送設備Fの保守等を行う作業者が、パーティクルの発生場所や発生要因等を特定する作業を容易に行うことが可能となる。
【0046】
また、上述のように、本実施形態では、表示部4は、計測装置2による計測対象の計測後、即時に(リアルタイムに)計測内容MCを表示する。このため、計測装置2による計測対象の計測内容MCの変化を、表示部4に随時表示することができる。これにより、作業者が、撮像情報IIに基づいて、計測対象が計測された場所、時刻、及びその時の搬送装置8の動作状況等を精度高く特定することが可能となる。
【0047】
また、以上では、支持部1(計測ユニット100)を搬送する搬送装置8として、主にスタッカークレーン80を例に挙げて説明した。しかし、図8に示すように、計測ユニット100は、物品搬送設備Fに備えられる複数種類の搬送装置8のそれぞれによって搬送することができる。上述のように、撮像装置3の撮像範囲IRには、支持部1(計測ユニット100)を搬送中の搬送装置8及び当該搬送装置8の周囲の景色の少なくとも一方が含まれる。そのため、計測対象が計測された場所のみならず、支持部1(計測ユニット100)を搬送中の搬送装置8の種類や当該搬送装置8の動作状況を、作業者は撮像情報IIを介して把握することができる。例えば、計測対象がパーティクル(パーティクルの大きさ及び数量)である場合には、搬送対象がどの種類の搬送装置8によって搬送されている際にパーティクルが発生し易いか、或いは、搬送装置8のどのような動作によってパーティクルが発生し易いか等を、作業者は撮像情報IIを確認して適切に把握することができる。
【0048】
また、以上では、支持部1(計測ユニット100)が搬送装置8によって搬送されている状態を例に挙げて説明したが、計測ユニット100は、搬送されているか否かに関係なく、物品搬送設備F内のいずれかに在る状態で、計測対象を計測することができる。例えば図9に示すように、計測ユニット100は、保管倉庫9の保管部91に保管されている状態で計測対象を計測することもできる。この場合、計測ユニット100は、走行レールRの側に配置された搬送装置8(図示の例ではスタッカークレーン80)が撮像範囲IRに含まれるように、保管部91に保管されるとよい。このような計測ユニット100によれば、計測ユニット100が搬送装置8によって搬送されていない状態であっても、撮像情報IIを確認した作業者は、周辺の搬送装置8の動作状況等を把握することができる。従って、当該作業者は、保管部91において計測された計測内容MCを、当該周辺の搬送装置8の動作状況等と対応づけて把握することができる。
【0049】
2.その他の実施形態
次に、計測ユニットのその他の実施形態について説明する。
【0050】
(1)上記の実施形態では、表示部4が、計測内容MCに加えて現時刻Tを表示する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、表示部4は、現時刻Tを表示しなくてもよい。この場合には、撮像情報IIを記録する記録部5が、当該撮像情報IIと関連付けた状態で現時刻Tの情報を記録する機能を有していてもよい。そして、このように記録された現時刻Tの情報は、撮像情報IIと合わせて作業者によって確認できるようにされていると好適である。また、表示部4は、現時刻Tに代えて、又は現時刻Tに加えて、現時刻T以外の各種情報を表示してもよい。
【0051】
(2)上記の実施形態では、計測ユニット100が用いられる物品搬送設備Fが、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを製造する設備に用いられる場合を例に挙げて説明した。しかし、このような例に限定されることなく、計測ユニット100が用いられる物品搬送設備Fは、例えば各種工業製品や各種食料品などを製造又は加工する設備等に用いられるものであってもよい。
【0052】
(3)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0053】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した計測ユニットの概要について説明する。
【0054】
本開示に係る計測ユニットは、搬送装置によって物品を搬送する物品搬送設備において用いられる計測ユニットであって、前記搬送装置によって搬送される支持部と、前記支持部に支持されて、計測対象を計測する計測装置と、前記支持部に支持されて、予め設定された撮像範囲を撮像する撮像装置と、前記計測装置によって計測された計測内容を表示する表示部と、前記撮像装置によって撮像された撮像情報を記録する記録部と、を備え、前記撮像範囲は、前記表示部と、前記支持部の周囲の景色とを含んでいる。
【0055】
本構成によれば、計測対象が計測されることに伴って表示部に計測内容が表示された状態での当該表示部と、当該計測内容が表示された際における支持部の周囲の景色とを、一つの画像中に含めて撮像することができる。従って、計測対象が実際に計測された場所と当該計測対象の計測情報とを対応させた情報を容易に取得することができる。
【0056】
ここで、
前記撮像範囲は、前記支持部を搬送中の前記搬送装置及び当該搬送装置の周囲の景色の少なくとも一方を含み、前記撮像情報は、前記支持部を搬送中の前記搬送装置の動作状況を含んでいると好適である。
【0057】
本構成によれば、支持部を搬送中の搬送装置の移動、停止、移載などの動作状況に対応した計測情報を容易に取得することができる。
【0058】
また、
前記表示部は、前記計測内容に加えて、現時刻を表示すると好適である。
【0059】
本構成によれば、計測が行われた時刻や計測内容の時間的な変化等を、計測情報として取得することができる。
【0060】
ここで、
前記支持部は、前記搬送装置による搬送対象である前記物品と同等の外形を有すると好適である。
【0061】
本構成によれば、実際に物品が搬送されている際の状況と近い状況における計測情報を取得することができる。
【0062】
また、
前記計測対象は、前記計測装置の周囲における、パーティクルの量、温度、湿度、及び、振動の少なくとも1つを含むと好適である。
【0063】
本構成によれば、計測ユニットが搬送される搬送経路の各所における、パーティクルの量、温度、湿度、及び、振動の少なくとも1つを、計測情報として取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示に係る技術は、搬送装置によって物品を搬送する物品搬送設備において用いられる計測ユニットに利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
100 :計測ユニット
1 :支持部
2 :計測装置
3 :撮像装置
4 :表示部
5 :記録部
8 :搬送装置
II :撮像情報
IR :撮像範囲
MC :計測内容
T :現時刻
F :物品搬送設備
W :物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9