【文献】
「フィンテック」の浸透で何かが変わる? 資産運用の未来,日経マネー,日本,日経BP社,2016年03月21日,No. 407,104-105頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
また、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の一実施形態による情報処理システムの概要
2.構成
2−1.保険事業者サーバの構成
2−2.保険選定サーバの構成
3.動作処理
4.表示例
5.ハードウェア構成例
5−1.車両制御システムの構成例
5−2.情報処理装置の構成例
5−3.その他
6.まとめ
【0017】
<<1.本開示の一実施形態による情報処理システムの概要>>
本開示の一実施形態による情報処理システムは、車両情報等に基づいて算出された複数の車両保険を現状に応じて選定することで、より適切な車両保険を提供することを可能とする。以下、本開示の情報処理システムに至る背景について説明する。
【0018】
(背景)
自動車保険の本質は、事故の発生確率の予測と事故時の損害量の予測であるため、これらと関係の深い各種の属性、例えば運転者の年齢、車種、および年間走行距離を用いて予測をより精緻化し、適正な保険料を算出しようという試みが行われてきた。自動車側からリアルタイムに必要十分な情報を収集することができれば、事故の発生確率や損害量の予測等をより正確に行うことは可能である。しかしながら、事故の発生には不確定性がつきものであって、同じ情報に基づいても予測方法や予測の主体によって、予測結果にある程度のばらつきが生じる場合がある。このような場合、予測結果の正当性は市場メカニズムに委ねることが健全である。
【0019】
そこで、本実施形態では、リアルタイムの車両情報等に基づいて算出された複数の車両保険を現状に応じて選定することで、より適切な車両保険を提供する情報処理システムを提案する。具体的には、本実施形態による情報処理システムでは、リアルタイムの車両情報等を用いて保険契約の一部または全部をリアルタイムに売り買いするための市場を提供する。
【0020】
また、本実施形態による情報処理システムでは、リアルタイムの車両情報等に限定されず、さらに過去の履歴情報を用いることで、より正確に保険を算出することが可能となる。
【0021】
ここで、
図1を参照して本実施形態による情報処理システムの概要について説明する。
図1は、本開示の一実施形態による情報処理システムの概要について説明する図である。
【0022】
本実施形態による情報処理システムは、
図1に示すように、保険選定サーバ2、保険事業者サーバ3(3A〜3C)、車両10、およびユーザ端末11を含む。保険選定サーバ2は、ネットワーク(不図示)を介して車両10、ユーザ端末11、および保険事業者サーバ3と各々接続し、データの送受信を行う。
【0023】
ユーザ端末11は、スマートフォン、携帯電話端末、タブレット端末、ウェアラブル装置、またはPC(パーソナルコンピュータ)等の通信端末であって、ユーザにより入力されたユーザ情報や車両情報を保険選定サーバ2へ送信する。ユーザ情報としては、例えばユーザ(保険の契約者)を特定するための情報、ユーザの連絡先、決済に関わる情報、およびその他保険契約に必要な情報が含まれる。また、車両に関わる情報としては、例えば車両を一意に特定する情報、車種、型式、搭載ハードウェアの詳細、コンフィギュレーション、搭載ソフトウェアの種別とバージョン等を特定する情報、および当該車両にアクセスして必要な情報を取り出すためのアクセスキー等が含まれる。また、ユーザ端末11は、ユーザが期待する保険内容または最大支払い可能保険料等の保険に関する条件も保険選定サーバ2へ送信する。
【0024】
車両10には、車両または搭乗者に関する様々な情報を取得し得る各種センサが設けられ、各種センサで取得されたセンサ情報はリアルタイムで保険選定サーバ2へ送信される。車両10で得られるセンサ情報は、例えば運転者であるユーザのバイタル情報、同乗者の人数、車両の速度、アクセルおよびブレーキ等の操作値、車外環境情報、当該車両の走行プラン(出発地、出発時刻、現在地、目的地、および走行ルート)、自動運転モードの使用状況等が含まれる。また、車両10は、センサ情報の他、車両10の車種、型式、搭載ハードウェアの詳細、コンフィギュレーション、搭載ソフトウェアの種別、バージョン、自動運転車両であるか否か等の情報を送信してもよい。また、車両が通信に使用する通信事業会社の情報も保険料に影響する場合があるため(例えば通信環境が整備されている通信事業会社を使用している場合は保険料が安く、格安の電波状況が悪い通信事業会社を使用している場合は保険料が上がる等)、車両が通信に使用する通信事業会社の情報(若しくは通信環境の情報)も保険選定サーバ2へ送信され得る。また、車両10が運転時に使用するアプリケーションやエージェントの情報も保険選定サーバ2へ送信され得る。例えば優秀なナビアプリケーションを使用している場合は保険料が安くなり、また、運転中に音楽や動画のアプリケーションを使用している場合は保険料が高くなるといったことも想定されるためである。
【0025】
保険選定サーバ2は、車両10から取得したリアルタイム情報等を保険事業者サーバ3A〜3Cへ提供する。
【0026】
保険事業者サーバ3A〜3Cは、保険選定サーバ2から提供されたリアルタイム情報等に基づいて自動車保険の算出を行う機能を有する。なお
図1では、一例として3つの保険事業者サーバ3A〜3Cを示しているが、本実施形態はこれに限定されず、保険事業者サーバ3の数はいくつであってもよい。具体的には、保険事業者サーバ3A〜3Cは、保険選定サーバ2から提供されたリアルタイム情報等を用いて、対象車両の事故の発生確率の予測や事故時の損害量の予測を行い、適正な保険料を算出する。
【0027】
そして、保険選定サーバ2は、各保険事業者サーバ3A〜3Cで算出された保険から適切な保険を1つまたは複数落札する(契約する)処理を行う。例えば保険選定サーバ2は、最も安い保険料を1つ選び、2番目に安い保険料の価格で契約する手法(セカンドプライスオークション)を用いてもよいし、ユーザから予め入力された保険条件を満たす保険を選択するようにしてもよい。
【0028】
本実施形態による情報処理システムでは、以上説明したような保険料の算出および落札処理を、車両10が走行している間に所定時間毎(例えば1時間毎)に行うことで、状況の変化に応じて適宜適切な保険を提供することが可能となる。
【0029】
また、保険事業者サーバ3A〜3Cは、車両10等のリアルタイムの情報だけでなく、車両10やユーザの過去の履歴情報も参照して保険料の算出を行うことも可能である。過去の履歴情報は、保険選定サーバ2のデータベースに格納され得る。保険事業者サーバ3A〜3Cは、車両10や運転者であるユーザを特定するユニークID、車両10に搭載されているハードウェアおよびソフトウェアを特定する情報、走行時間帯や地域、走行ルート、若しくは現在の季節、気候、天候などを検索キーとして用いて、履歴情報を参照する。
【0030】
また、本実施形態による情報処理システムでは、保険選定サーバ2により選定された1または複数の自動車保険の他、算出の根拠となった事故確率の予測結果や事故損害量の予測結果をユーザに提示(フィードバック)してもよい。これにより、ユーザが、予測結果を考慮して走行経路の変更やドライブ計画の変更(例えば、より安全な経路、時間帯を選択する)、運転の仕方の変更(例えば速度を落とす、車間距離を取る)等を行って事故確率を低下させる行動を取ることが期待される。
【0031】
また、本実施形態による情報処理システムでは、車両10の付近を走行中の他の車両に関する情報(例えば他の車両の事故確率予測結果、保険加入有無等)を車両10のユーザに提示してもよい。これによって、ユーザは、事故確率予測の高い、危険運転をする可能性のある車両を避けてより安全な運転を行うことができる。
【0032】
また、本実施形態により算出された多数の事故確率の予測結果や保険料を分析することで、危険な走行時間帯や走行経路、天候(およびそれらの組み合わせ)、車種との相関など有用な分析が可能となる。ただし、個別化された保険情報はプライバシー上の懸念があるため、分析用のデータとして安易に流通させることは好ましくない。したがって、保険選定サーバ2は、保険情報の中から運転者IDなど個人を直接特定する情報を削除し、出発地や目的地、ルートなどはk-匿名化の技術を用いる等してプライバシー懸念がないように加工して、市場データとして第3者(例えば保険事業者)に提供することも可能である。
【0033】
以上、本実施形態による情報処理システムの概要について説明した。
図1に示す例では車両10として「自動車両」を図示しているが、本実施形態はこれに限定されず、車両10は「自動二輪車両」や「軽車両」であってもよい。
【0034】
<<2.構成>>
次に、上述した情報処理システムに含まれる保険事業者サーバ3および保険選定サーバ2の構成について、
図2〜
図3を参照して説明する。
【0035】
<2−1.保険事業者サーバの構成>
図2は、本実施形態による保険事業者サーバ3の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、保険事業者サーバ3は、制御部30、通信部31、および記憶部32を含む。
【0036】
制御部30は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って保険事業者サーバ3の動作全般を制御する。制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、本実施形態による制御部30は、保険料算出部301および通信制御部302として機能する。
【0037】
保険料算出部301は、保険選定サーバ2から送信された車両10やユーザのリアルタイムのセンサ情報や、ユーザ情報(属性情報)、車両情報(属性情報)に基づいて保険料の算出を行う。具体的には、例えば保険料算出部301は、リアルタイム情報等に基づいて、車両10の事故確率や損害額(すなわち、被害額または保険金支払額)をリアルタイムに予測し、予測結果に応じて保険料を算出する。この際、保険料算出部301は、車両10が目的地に到着するまで、または所定時間後(例えば1時間)までの事故確率や損害額を予測し、当該予測の結果に基づいて車両10が目的地に到着するまでの自動車保険料、または所定時間後までの自動車保険料を算出し得る。また、本実施形態では、事故確率や損害額を学習し、予測の精度を高めることも可能である。なお保険料算出方法のアルゴリズムについては特に限定しないが、例えば以下のようなパターンが考えられる。また、保険料算出方法は保険事業者毎に異なることが想定される。
【0038】
(保険料算出のパターン例1)
保険契約者(主に運転をする者)の年齢や過去の事故履歴、保険対象の車種、年間走行距離区分などを用いて年間保険料を算出し、さらに今回の保険対象区間(時間や距離)の年間走行に対する割合等を勘案して算出する。今回の保険対象区間は、車両10においてユーザが入力した目的地の設定や選択経路に基づいて算出される走行時間や走行距離である。具体的には、例えば下記式1により求められる。
保険料=(今回走行予定距離)/(年間走行予定距離)*(年間保険料) ・・・式1
【0039】
(保険料算出のパターン例2)
リアルタイムのセンサ情報等に基づいてリアルタイムの事故確率を算出し、ベースラインの事故確率に対する割合を用いて算出する。具体的には、例えば下記式2により求められる。
保険料=(リアルタイム事故確率)/(ベースライン事故確率)*(ベースライン保険料)
・・・式2
【0040】
なお、ベースラインとする事故確率の算出には、保険契約者(主に運転をする者)の年齢や保険対象の車種、年間走行距離区分等によって決まる母集団の平均を用いてもよいし、走行予定地域での事故発生頻度等を勘案してもよい。
【0041】
また、リアルタイム事故確率は、例えば車両10またはユーザ(運転者)に関する特徴量に基づいて予測されてもよい。事故確率の予測には、ひとつ以上の特徴量の組み合わせである特徴量ベクトルが用いられ得る。事故確率の予測は多様な方法が考え得るが、一例として、ロジスティック回帰モデルを用いた予測方法が考え得る。
【0042】
(保険料算出のパターン例3)
上記パターン例2と同様にリアルタイムの事故確率を算出し、さらにこれまでの事故確率算出結果の履歴情報から、将来の保険期間中における事故確率の推移を予測し、保険期間中に事故が発生する確率とその被害の程度を推定して保険料が算出される。具体的には、例えば下記式3により求められる。ここで、マージンとは、保険事業者の売上利益である。
保険料=(期間中の事故発生確率)*(推定損害額)*(マージン) ・・・式3
【0043】
また、保険料算出部301による保険料の算出に用いられるリアルタイム情報は、例えば下記の情報が想定される。ここでは、保険選定サーバ2から送信されるリアルタイム情報の一例について列挙する。
【0044】
(運転者に関わる情報)
・運転者(ユーザ)を特定するユニークID、若しくはユニークIDを生成するための情報
・年齢、性別
・運転免許証番号
・運転者のバイタル情報(心拍、脈拍、血圧、体温、血糖値、呼気アルコール濃度、血中アルコール濃度、血中酸素濃度、覚醒度、集中度、感情、情動、脳波など。)
・運転者の姿勢、視線、体動情報など、運動または行動状態に関わる情報
【0045】
(同乗者に関わる情報)
・人数、年齢、性別、座席位置、またシートベルト等の安全装置の使用状況
・前記同乗者のバイタル情報(心拍、脈拍、血圧、体温、血糖値、呼気アルコール濃度、血中アルコール濃度、血中酸素濃度、覚醒度、集中度、感情、情動、脳波など。)
・前記同乗者の姿勢、視線、体動情報など、運動や行動状態に関わる情報
【0046】
(車中環境に関わる情報)
・車内(運転席、助手席ほか、各座席位置で)の環境測定値(気温、湿度、風量、振動、騒音、照度、酸素濃度など。)
【0047】
(車両の特定に関わる情報)
・車両を特定するユニークID、若しくはユニークIDを生成するための情報
・車両の搭載ハードウェアおよびソフトウェアを特定する情報(搭載ソフトウェアのバージョン情報、運転時に使用されるアプリケーション(ナビゲーションアプリ等)やエージェントの情報、搭載センサの種別および個数・配置などのコンフィギュレーション情報など)
・自動運転車両であるか否か
【0048】
(車両の運動に関わるリアルタイムの情報)
・車両の位置、進行方向(及びそれらの測定精度)
・車両の速度、角速度、加速度、角加速度(及びそれらの測定精度)
・アクセル、ブレーキ、操舵に関する操作値
・ABS(Antilock Brake System)、TCS(Traction Control System)、LKAS(Lane Keep Assist System:車線維持支援システム)、ACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)などの安全装置の作動状況、故障関連の情報、警告情報やエラー情報。
・自動運転モードの使用状況
・使用する通信事業会社の情報
・使用するアプリケーション、エージェントの情報
【0049】
(車外環境に関わる情報)
・車両周辺の近接車両(自動二輪車を含む)の位置および進行方向、また、速度、角速度、加速度、角加速度(およびそれらの測定精度)と過去の測定履歴
・車両周辺の近接車両(自動二輪車を含む)のブレーキランプ、ウィンカー、ハザードランプ等の作動状況と過去の測定履歴
・車両周辺の近接車両(自動二輪車を含む)からのV2V通信データ
・車両周辺の軽車両の位置および進行方向、また、速度、角速度、加速度、角加速度(及びそれらの測定精度)と過去の測定履歴
・車両周辺の歩行者の位置および進行方向、また、速度、角速度、加速度、角加速度(及びそれらの測定精度)と過去の測定履歴
・車両周辺、特に前方の信号の状態。また、当該自動車が走行する道路における事故や工事、レーン閉鎖等に関する情報
・車両周辺の歩行者あるいは車外インフラから受信したV2X通信データ
・車両が走行する地域の気候および天候に関する情報
・車両が周辺の自動車や車外施設に対して送信したV2V、V2X通信データ
・車両に搭載されたセンサにより検知されたセンサ生データと、その認識結果などセンサ出力を処理して得られたデータと過去の測定履歴など
【0050】
(車両の走行プランに関わる情報)
・出発地および出発時刻、または目的地(複数の候補であってもよい)、走行する予定の地域等
・現在地および現在時刻
・出発地から目的地(候補)までの走行(予定)ルート
・保険開始時刻とその時点での(予想)走行位置、また保険終了時刻とその時点での(予想)走行位置
【0051】
以上、保険選定サーバ2から送信され、保険事業者サーバ3で利用され得るリアルタイム情報の一例を説明した。
【0052】
通信制御部302は、保険料算出部301により算出された保険料を通信部31を介して保険選定サーバ2へ送信するよう制御する。また、この際、通信制御部302は、保険料算出に用いた事故確率や損害額の予測結果を併せて保険選定サーバ2へ送信してもよい。
【0053】
通信部31は、有線/無線により他の装置との間でデータの送受信を行うための通信モジュールである。
【0054】
記憶部32は、制御部30の処理に用いられるプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)により実現される。
【0055】
<2−2.保険選定サーバの構成>
図3は、本実施形態による保険選定サーバ2の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、保険選定サーバ2は、制御部20、通信部21、ユーザ/車両情報DB22、車両保険条件記憶部23、および車両センサ情報DB24を含む。
【0056】
制御部20は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って保険選定サーバ2の動作全般を制御する。制御部30は、例えばCPU、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、本実施形態による制御部20は、選定部201、および通信制御部202として機能する。
【0057】
選定部201は、保険事業者サーバ3A〜3Cにより算出され、送信された各自動車保険から適切な1または複数の自動車保険を選定する。具体的には、選定部201は、ユーザにより予め設定された車両保険条件や、車両10、ユーザ(運転者)、および搭乗者の属性情報や、車両10から取得したリアルタイムのセンサ情報や移動経路情報等に基づいて選定し得る。車両保険条件は、車両保険条件記憶部23に蓄積されている。車両10、ユーザ(運転者)、および搭乗者の属性情報等は、ユーザ/車両情報DB22に蓄積されている。車両10から取得したリアルタイムのセンサ情報や移動経路情報等は、車両センサ情報DB24に蓄積されている。
【0058】
例えば、選定部201は、保険料が最も安い保険を選択してもよいし、その際の保険料は2番目に安い保険にしてもよいし(セカンドプライス)、ユーザにより設定された車両保険条件を満たす保険から選択してもよい。このように、選定部201が複数の自動車保険から1または複数の適切な自動車保険を選定することで、リアルタイム保険市場を実現することができる。
【0059】
通信制御部202は、保険事業者サーバ3からの要求に応じて、自動車保険の算出に必要な情報を送信するよう制御する。
【0060】
通信部21は、有線/無線により他の装置との間でデータの送受信を行うための通信モジュールである。例えば通信部21は、ユーザ端末11からユーザに関する情報を受信したり、車両10から車両10のリアルタイムのセンサ情報、同乗者情報、運転者(ユーザ)情報等を受信する。
【0061】
ユーザ/車両情報DB22、車両保険条件記憶部23、および車両センサ情報DB24は、保険選定サーバ2に設けられる記憶部(不図示)に含まれる。記憶部は、制御部20の処理に用いられるプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAMにより実現される。
【0062】
ユーザ/車両情報DB22は、ユーザや車両10に関する情報が蓄積されている。例えば、ユーザに関する情報としては。ユーザID、氏名、性別、年齢、運転歴等が想定される。また、車両10に関する情報としては、車種、総走行距離、燃費報等が想定される。
【0063】
車両保険条件記憶部23は、ユーザがユーザ端末11等から入力した車両保険条件(保険料の限度額、免責事項、補償内容等)に関する情報が蓄積されている。
【0064】
車両センサ情報DB24は、車両10に搭載された各種センサにより検知された情報やユーザに入力された経路情報、目的地情報等が蓄積されている。
【0065】
以上、本開示の一実施形態による保険事業者サーバ3、および保険選定サーバ2の構成について具体的に説明した。
【0066】
なお、本実施形態による制御部20は、過去に売買対象となった自動車保険契約に付随するリアルタイム情報等を一定期間ログしておき、保険事業者サーバ3からのリクエストに応じてログから情報を抽出し、送信してもよい。
【0067】
また、制御部20は、リアルタイム情報が一時的な通信の不調など何らかの理由により欠損した場合、過去の履歴情報等を用いて欠損部分を補完し、保険事業者サーバ3からののリクエストに応じて情報を送信してもよい。
【0068】
また、制御部20は、売買対象の自動車保険に対する応札状況や落札情報(選定され、成約した自動車保険の情報)を、売買当事者(例えば保険事業者)だけでなく、車両10やユーザ端末11、車両10の搭乗者(ユーザ、同乗者)に送信してもよい。応札状況とは、自動車保険の売買に参加している各保険事業者サーバ3の応札情報(保険料、補償内容等)である。送信する情報としては、例えば下記が考えられる。
・引き受け保険料
・引き受け保険内容(補償タイプや補償限度額など)
・事故確率の予測値若しくは危険度のレーティング情報
【0069】
また、制御部20は、車両10の近傍を走行中の車両の保険契約に関する情報を集約し、周辺自動車の危険度レーティング情報を車両10に送信してもよい。
【0070】
また、制御部20は、選定部201により選定した自動車保険をユーザに提示し、ユーザからの許可を得た場合に契約を成立させてもよいし、選定した複数の自動車保険をユーザに提示して選択させてもよい。また、制御部20は、選定部201により選定した自動車保険で(ユーザに確認を取らずに)契約を成立させてもよい。
【0071】
また、制御部20は、成約した保険契約に関する情報を集約、匿名化することで、自動車の位置や走行経路、走行時間帯、または保険期間、車種等に関連付けて分析できるようにすることができる。保険契約に関する情報には、事故確率の予測結果も含まれているため、例えば位置や走行経路に関連付けて事故確率を分析することで、事故が起こりやすい場所を把握することが可能となる。
【0072】
続いて、本実施形態による情報処理システムの動作処理について
図4を参照して説明する。
【0073】
<<3.動作処理>>
図4は、本実施形態による動作処理を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、ユーザ端末11は、ユーザ操作に応じてユーザ情報や車両情報と、車両保険条件を保険選定サーバ2へ送信する(ステップS103)。ユーザ情報や車両情報には、契約者を特定するための情報(例えばユーザID)、連絡先、決済に関わる情報、その他保険契約に必要な情報が含まれる。また車両情報は、保険契約対象となる車両10の情報であって、例えば車両10を一意に特定する情報(例えば車両ID)、車種、型式、搭載ハードウェアの詳細やコンフィギュレーション、搭載ソフトウェアの種別、バージョン等に関する情報、車両10が保有する情報へのアクセスキーを含んでもよい。また、車両保険条件は、ユーザが期待する保険内容(最低限の補償内容)や、最大支払い可能保険料(支払限度額)に関する条件を含んでもよい。
【0074】
次いで、保険選定サーバ2は、保険対象の車両10にアクセスして追加で必要な情報を取得する。車両10は、保険選定サーバ2からの要求に応じて、車両情報を保険選定サーバ2へ送信する(ステップS106)。追加で取得する情報としては、例えば車両10の車種、型式、搭載ハードウェアの詳細やコンフィギュレーション、搭載ソフトウェアの種別とバージョン等を特定する情報、また、車両10の走行プランに関わる情報(出発地、出発時刻、目的地、走行ルート等)などが考えられる。
【0075】
次に、車両10からリアルタイム情報が保険選定サーバ2に送信される(ステップS109)。リアルタイム情報は、上述したように、運転者に関わる情報、同乗者に関わる情報、車中環境に関わる情報、車両の運動に関わるリアルタイムの情報、車外環境に関わる情報、または車両の走行プランに関わる情報が含まれる。かかるリアルタイム情報は、保険選定サーバ2の車両センサ情報DB24に格納される。なお、格納されるリアルタイム情報は、データ取得時刻と共に格納され得る。「データ取得時刻」は、情報量が無駄に冗長にならない範囲で出来るだけ密で等間隔であることが望ましい。また、適切な「データ取得時刻」に対応するデータが見当たらない場合、保険選定サーバ2の制御部20がデータを補完して作成し、保存・格納してもよい。補完に際しては、時刻的に最も近いk個のデータを用いる。例えば1個のデータを用いて補完する場合、制御部20は、最近傍のものを複製して補完する。また、2個のデータを用いて補完する場合、制御部20は、線形補完を行う。また、3個のデータを用いて補完する場合、制御部20は、例えば2次関数で補完する。補完対象が実数値である場合は、このように任意の補完アルゴリズムを使用できる。なお補完対象が離散値であり、有意な演算が定義できない場合、最近傍k個のデータの投票に基づくk−近傍法を用いる。
【0076】
次いで、保険事業者サーバ3は、保険選定サーバ2(リアルタイム保険市場)にアクセスし、入札されている保険契約案件に関する情報として、車両保険条件(車両情報、運転者情報、期待する補償内容、保険期間等を含む)を取得する(ステップS112)。この際、保険対象車(車両10)に関わるリアルタイム情報のログDB(車両センサ情報DB24)へのアクセスキーが保険事業者サーバ3に与えられる。
【0077】
続いて、保険事業者サーバ3は、自奏者保険の算出に必要な情報を、上記アクセスキーを用いて、保険選定サーバ2から取得する。具体的には、例えば保険事業者サーバ3は、車両10に関わる最新のリアルタイム情報やその過去履歴を取得する(ステップS115、S118)。
【0078】
次に、保険事業者サーバ3は、取得した情報に基づいて、自動車保険の算出を行う(ステップS121)。具体的には、保険事業者サーバ3は、保険料算出部301により保険対象車(車両10)の保険期間中の事故確率や損害額を予測し、予測結果に基づいて適正な保険料を算出して応札する。なお保険料(応札金額)が固定されている場合には、保険料算出部301は、金額に見合う保険内容(すなわち補償内容)を算出してもよい。
【0079】
次いで、保険事業者サーバ3は、算出した保険に関する情報(保険情報:保険料、補償内容、保険期間等の情報を含む)を保険選定サーバ2へ送信する(ステップS124)。この際、保険事業者サーバ3は、併せて算出の根拠となった事故確率の予測結果を送信してもよい。
【0080】
次に、保険選定サーバ2は、各保険事業者サーバ3から送信された保険の選定を行う(ステップS127)。具体的には、例えば保険選定サーバ2は、保険開始時刻までに保険事業者サーバ3により算出された各保険(応札された各保険)から適切なものを1つまたは複数選び、成約する。例えば、保険選定サーバ2は、最も安い保険料の保険を1つ選び、2番目に安い保険料の金額で契約する手法(セカンドプライスオークション)を用いて契約を行ってもよい。
【0081】
そして、保険選定サーバ2は、選定結果を保険事業者サーバ3や車両10、ユーザ端末11へ送信する(ステップS130、S133)
【0082】
以上説明した保険選定処理は、所定期間繰り返され、保険事業者サーバ3により車両10から取得されるリアルタイム情報に基づいてその都度保険料が算出される。例えば地点Gへ移動する車両10に対する10分間の保険料が保険選定サーバ2によって選定され他後、次の10分間の保険料の選定が行われ、このような選定処理が、車両10が地点Gへ到着するまで繰り返される。また、走行プラン(経路情報を含む)に基づいて保険料が算出されている場合、走行プランが変更されると保険料も変わるため、車両10の走行プランに変更が生じた際には割込み的に次の保険の選定が行われ得る。
【0083】
<<4.表示例>>
続いて、本実施形態による各UIについて
図5〜
図10を用いて説明する。
【0084】
図5は、本実施形態による保険条件入力画面の一例を示す図である。図示された例では、画面40に、契約者(氏名およびユーザID)、車種(車種番号および車両ID)、走行プラン(日時、目的地、経由地指定)、保険情報(保険内容、保険期間、保険更新)といったデータが入力される。画面40に表示される地図画像は、走行プランに基づいたルートが表示されている。かかる画面40は、ユーザ端末11や、車両10に搭載されたディスプレイに表示され、画面40のSubmitボタンが選択されると、入力されたデータがネットワークを介して保険選定サーバ2へ送信される。
【0085】
図6は、本実施形態による保険提示画面の一例を示す図である。図示された例では、画面41に、保険選定サーバ2によって選定され成立した保険内容として、契約者、車種、走行プラン(日時、目的地、経由地指定)、保険内容、保険期間、保険事業者、保険料、およびレーティングが表示されている。ここで、レーティングとは、事故確率予測値や事故時の損害(保険の種類、車種など)に基づく危険度の一例であって、レーティングや色で表すことで視認性をよくする。また、ここでは、レーティングAが危険度が最も低く(事故確率が低い、損害額が大きい等)、レーティングB、レーティングC・・・となる程、危険度が高くなる(事故確率が高い、損害額が小さい等)。また、本実施形態による自動車保険の保険期間は、「2015/8/31 8:00−14:00」といったように、1年等の年数契約による自動車保険と異なり、走行プランに従った所定時間となる。
【0086】
なお、本実施形態による保険選定サーバ2は、選定部201により選定した1以上の自動車保険をユーザに提示し、ユーザからの許可を得た保険で契約を成立するようにしてもよい。自動車保険の候補をユーザに提示して選択させる場合の画面表示例を
図7に示す。図示された例では、画面42に、保険選定サーバ2によって選定され保険の候補として、例えば3つの保険が提示される。提示される情報としては、例えば保険事業者名、保険内容、および保険料が想定される。ユーザは、これらの保険から契約したい保険を選び、選択結果が保険選定サーバ2に送信される。また、保険選定サーバ2は、複数の自動車保険の候補をユーザに提示する際に、予めユーザに入力された保険条件により近い保険をおすすめプランとして表示することも可能である。
【0087】
以上説明した保険提示画面(画面41、画面42)は、ユーザ端末11や車両10に搭載されたディスプレイに表示される。
【0088】
図8は、本実施形態による近傍走行中の車両情報の提示例を示す図である。本実施形態による保険選定サーバ2は、ユーザの車両10Aの周辺を走行する他の車両10B、10Cの事故確率や保険加入情報を取得し、周辺車両の危険度レーティングをユーザに提示することが可能である。具体的には、
図8に示すように、車両10Aのフロントガラス12に、各車両を特定するよう車両10B、車両10Cを囲むように表示される枠画像45、47と、各車両に対して入力された危険度のレーティング(例えばリアルタイムの事故確率の予測値や保険加入有無、保険内容に基づいて算出され得る)を表示する画像46、48がAR表示される。これにより、車両10Aの運転者や同乗者は、周辺を走る車両の危険度を容易に知ることができる。他車両のレーティング情報は、車両10Aが他車両10B、10Cから直接受信してもよい(車車間通信の利用)。
【0089】
なお本実施形態による危険度のレーティング情報の表示方法は、
図8に示したようなフロントガラスでのAR表示に限定されず、例えばステアリング周辺に設置された表示装置(スマートフォン等のユーザ端末11を固定したものであってもよい)において、例えばCG(computer graphics)で生成したBird View画面やTop View画面を表示してもよい。Bird ViewやTop Viewで表示することで、ユーザ車両と周囲の車両との位置関係を容易に把握させることが可能となる。ここで、
図9に、周辺を走行する他車両の危険度レーティング情報がTop View画面で表示される場合について説明する図を示す。
【0090】
図9に示すユーザ端末11のディスプレイにおいて、ユーザ車両(車両10A)と、周辺の車両10B、10Cが地図上に表示されている。なおユーザ端末11は、運転者が運転中に視線を前方からあまり逸らさずに視認できるようステアリング周辺に設置される。ユーザ端末11に表示される画像は、例えば保険選定サーバ2の制御部20により生成され得る。また、各車両の位置関係は、各車両から受信した信号や車両10Aに設けられた周辺環境を撮像するカメラにより撮像した画像に基づいて把握され得る。
【0091】
そして、危険度のレーティング情報を表示する画像50、51は、車両10B、10Cに対応するよう表示される。これにより、車両10Aのユーザは、周辺の車両の危険度レーティング情報を容易に把握することができる。
【0092】
図10は、時間毎の保険料の推移を表示する画面例を示す図である。図示された例では、画面53に時間毎の保険料の推移が表示されている。ここでは、一例として60分毎に自動車保険が契約されており、時間によって保険料や保険内容が異なる。画面53は、ユーザ端末11や車両10に搭載されたディスプレイに表示される。これにより、車両10を運転するユーザは、保険料の推移を時間毎に確認することができる。
【0093】
<<5.ハードウェア構成例>>
以上説明した本実施形態による情報処理システムは、保険選定サーバ2により保険の選定が行われ、ユーザ端末11や車両10に搭載されたディスプレイを介して成立した保険に関する情報が提示される。ここで、保険選定サーバ2による機能の少なくとも一部が、車両10に搭載された車両制御システム900(不図示)で実現されるようにしてもよい。車両制御システム900は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車などのいずれかの種類の車両に搭載されるシステムとして実現される。また、車両制御システム900の少なくとも一部の構成要素は、車両に搭載される装置のためのモジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)において実現されてもよい。
【0094】
図11は、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システム900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。車両制御システム900は、電子制御ユニット902、ストレージ装置904、入力装置906、車外センサ908、車両状態センサ910、搭乗者センサ912、通信IF914、出力装置916、動力生成装置918、制動装置920、ステアリング922及びランプ作動装置924を備える。
【0095】
電子制御ユニット902は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って車両制御システム900内の動作全般を制御する。電子制御ユニット902は、後述するストレージ装置904と合わせて、ECU(Electronic Control Unit)として形成され得る。ECU(即ち、電子制御ユニット902及びストレージ装置904)は、車両制御システム900内に複数含まれてもよい。例えば、各種センサ類又は各種駆動系の各々に、それらを制御するためのECUが設けられ、それら複数のECUを協調的に制御するECUがさらに設けられてもよい。これら複数のECU間は、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexray等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークを介して接続される。
【0096】
ストレージ装置904は、車両制御システム900の記憶部の一例として形成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置904は、例えば、HDD等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により実現される。ストレージ装置904は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。このストレージ装置904は、電子制御ユニット902が実行するプログラムや各種データ及び外部から取得した各種のデータ等を格納する。
【0097】
入力装置906は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ及びレバー等、搭乗者(ドライバー又は同乗者)によって情報が入力される装置によって実現される。また、入力装置906は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム900の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器であってもよい。また、入力装置906は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。さらに、入力装置906は、例えば、上記の入力手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、電子制御ユニット902に出力する入力制御回路などを含んでいてもよい。搭乗者は、この入力装置906を操作することにより、車両制御システム900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0098】
車外センサ908は、車外の情報を検出するセンサによって実現される。例えば、車外センサ908は、ソナー装置、レーダ装置、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置、カメラ、ステレオカメラ、ToF(Time Of Flight)カメラ、赤外線センサ、環境センサ、マイク等を含んでいてもよい。
【0099】
車両状態センサ910は、車両状態に関する情報を検出するセンサによって実現される。例えば、車両状態センサ910は、アクセル開度、ブレーキ踏圧力、又はステアリング操舵角等の運転者による操作を検出するセンサを含んでいてもよい。また、車両状態センサ910は、内燃機関又はモータの回転数又はトルク等の、動力源の状態を検出するセンサを含んでいてもよい。また、車両状態センサ910は、ジャイロセンサ又は加速度センサ等の車両の動きに関する情報を検出するためのセンサを含んでいてもよい。また、車両状態センサ910は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して装置の緯度、経度及び高度を含む位置情報を測定するGNSSモジュールを含んでもよい。なお、位置情報に関しては、車両状態センサ910は、Wi−Fi(登録商標)、携帯電話・PHS・スマートフォン等との送受信、又は近距離通信等により位置を検知するものであってもよい。
【0100】
搭乗者センサ912は、搭乗者に関する情報を検出するセンサによって実現される。例えば、搭乗者センサ912は、車内に設けられたカメラ、マイク、環境センサを含んでいてもよい。また、搭乗者センサ912は、搭乗者の生体情報を検出する生体センサを含んでいてもよい。生体センサは、例えば座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングを握るドライバーの生体情報を検出可能である。
【0101】
なお、車外センサ908、車両状態センサ910、及び搭乗者センサ912といった各種センサは、それぞれ検出結果を示す情報を電子制御ユニット902へ出力する。これら各種センサは、電子制御ユニット902による制御に基づいて、センシング範囲又は精度等の設定を行ってもよい。また、これら各種センサは、例えば撮像された撮像画像に含まれる白線位置に基づいて、道路における自車両の走行位置を認識する処理等の、生データに基づく認識処理を行う認識モジュールを含んでいてもよい。
【0102】
通信IF914は、車両制御システム900による他の装置との通信を仲介する通信インタフェースである。通信IF914は、例えばV2X通信モジュールを含み得る。なお、V2X通信とは、車車間(Vehicle to Vehicle)通信及び路車間(Vehicle to Infrastructure)通信を含む概念である。他にも、通信IF914は、無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi(登録商標)、3G、LTE(Long Term Evolution)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)のための通信モジュールを含んでいてもよい。この通信IF914は、例えばインターネット又は車外の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。
【0103】
出力装置916は、取得した情報を搭乗者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で実現される。このような装置として、インストルメントパネル、ヘッドアップディスプレイ、プロジェクタ又はランプ等の表示装置や、スピーカ又はヘッドホン等の音声出力装置がある。具体的には、表示装置は、車両制御システム900が行った各種処理により得られた結果を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。その際、AR(Augmented Reality)オブジェクト等の仮想的なオブジェクトが表示されてもよい。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0104】
動力生成装置918は、車両の駆動力を生成するための装置である。動力生成装置918は、例えば内燃機関により実現されてもよい。その場合、動力生成装置918は、電子制御ユニット902からの制御指令に基づいて、始動制御、停止制御、スロットルバルブの開度の制御、燃料噴射制御、又はEGR(Exhaust Gas Recirculation)制御等を行う。また、動力生成装置918は、例えばモータ、インバータ及びバッテリーにより実現されてもよい。その場合、動力生成装置918は、電子制御ユニット902からの制御指令に基づき、インバータを介してバッテリーからモータへ電力を供給し、正のトルクを出力させるモータ動作(いわゆる力行)と、モータにトルクを吸収させて発電し、インバータを介してバッテリーの充電を行う回生動作と、を行い得る。
【0105】
制動装置920は、車両に制動力を付与し、あるいは、車両を減速又は停止させるための装置である。制動装置920は、例えば各ホイールに設置されるブレーキ、及びブレーキペダルの踏圧力をブレーキに伝達するためのブレーキパイプ又は電気回路等を含み得る。また、制動装置920は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等のブレーキ制御による滑走又は横滑り防止機構を作動させるための制御装置を含んでいてもよい。
【0106】
ステアリング922は、車両の進行方向(操舵角)を制御するための装置である。ステアリング922は、例えばステアリングホイール、ステアリングシャフト、ステアリングギア、及びタイロッド等を含み得る。また、ステアリング922は、ドライバーによる操舵を支援するためのパワーステアリングを含み得る。さらに、ステアリング922は、自動的な操舵を実現するためのモータ等の動力源を含み得る。
【0107】
ランプ作動装置924は、ヘッドライト、ウィンカー、車幅灯、フォグライト、又はストップランプ等の各種ランプの作動させる装置である。ランプ作動装置924は、例えばランプの明滅、光量、又は照射方向等を制御する。
【0108】
なお、動力生成装置918、制動装置920、ステアリング922、及びランプ作動装置924は、ドライバーによる手動操作に基づいて動作してもよいし、電子制御ユニット902による自動操作に基づいて動作してもよい。
【0109】
<<6.まとめ>>
以上、
図1〜
図11を参照して、本開示の一実施形態について詳細に説明した。上述したように、本開示の実施形態による情報処理システムでは、車両保険を現状に応じて選定することで、より適切な車両保険を提供することが可能となる。
【0110】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0111】
例えば、上述した保険選定サーバ2に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、保険選定サーバ2の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【0112】
また、保険事業者サーバ3による保険料算出処理を保険選定サーバ2で実現するようにしてもよい。
【0113】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0114】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
設定された車両保険条件と、車両およびユーザの属性情報と、移動経路情報を含む車両の実時間の特性情報とに基づいて算出された1または複数の保険から、前記車両に適用する保険を選定する選定部を備える、情報処理装置。
(2)
前記選定部は、算出された各保険の保険料に基づいて、1または複数の保険を選定する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記選定部は、入札価格決定手法を用いて前記保険の選定を行う、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記選定部は、保険開始時刻までに提示された保険の中から選定する、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(5)
前記保険は、前記車両から検出される実時間の特性情報に応じて保険を算出し、
前記選定部は、再度算出された保険の中から次の保険を選定する、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(6)
前記情報処理装置は、
前記選定した保険に関する情報をユーザに提示するよう送信する送信部をさらに備える、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(7)
前記車両の属性情報は、車両を特定するID、および車種を含み、
前記ユーザの属性情報は、ユーザを特定するID、および年齢を含む、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(8)
前記車両の実時間の特性情報は、運転者であるユーザに関わる情報、同乗者に関わる情報、車中環境に関わる情報、車両の運動に関わる情報、車外環境に関わる情報、または車両の走行プランに関わる情報を含む、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(9)
前記車両保険条件は、保険料の限度額、および最低限の補償内容に関する条件である、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(10)
前記情報処理装置は、
前記車両保険条件と、車両および搭乗者の属性情報と、移動経路情報を含む車両の実時間の特性情報とに基づいて保険を算出する算出部をさらに備える、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(11)
前記算出部は、前記実時間の特性情報に基づいて算出されたリアルタイムの事故確率または損害額の少なくともいずれかの予測結果を参照して前記保険を算出する、前記(10)に記載の情報処理装置。
(12)
前記車両の実時間の特性情報は、自動運転に関する情報を含み、
前記算出部は、前記自動運転に関する情報を参照して前記保険を算出する、前記(10)または(11)に記載の情報処理装置。
(13)
プロセッサが、
設定された車両保険条件と、車両およびユーザの属性情報と、移動経路情報を含む車両の実時間の特性情報とに基づいて算出された1または複数の保険から、前記車両に適用する保険を選定することを含む、情報処理方法。
(14)
コンピュータを、
設定された車両保険条件と、車両およびユーザの属性情報と、移動経路情報を含む車両の実時間の特性情報とに基づいて算出された1または複数の保険から、前記車両に適用する保険を選定する選定部として機能させるための、プログラム。
(15)
車両保険条件と、車両およびユーザの属性情報と、移動経路情報を含む車両の実時間の特性情報とに基づいて保険を算出する算出部と、
前記算出された1または複数の保険から、前記車両に適用する保険を選定する選定部と、
を備える、情報処理システム。