【文献】
Takeshi Tsukuba, Ohji Nakagami and Teruhiko Suzuki,EE2.7-related: On secondary transform when primary transform is skipped,Joint Video Exploration Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-C0045_r1,3rd Meeting: Geneva, CH,2016年05月,pp.1-6
【文献】
Yoshitaka Morigami et al.,On Transform Skip,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JCTVC-J0184,10th Meeting: Stockholm, SE,2012年07月,pp.1-11
【文献】
Xiulian Peng et al.,Inter transform skipping,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC)of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JCTVC-J0237,10th Meeting: Stockholm, SE,2012年07月,pp.1-4
【文献】
Jie Zhao et al.,De-quantization and scaling for next generation containers,Joint Video Exploration Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-B0054,2nd Meeting: San Diego, USA,2016年02月,pp.1-5
【文献】
Jianle Chen et al.,Algorithm Description of Joint Exploration Test Model 3,Joint Video Exploration Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-C1001_v3,3rd Meeting: Geneva, CH,2016年07月,pp.i-iii, 1-34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第一の実施形態
2.第二の実施形態
3.ハードウェア構成例
4.応用例
5.まとめ
【0014】
<1.第一の実施形態>
[1−1.概要]
例えば、非特許文献1には、係数エネルギーの集中度を高める(低域に変換係数を集中させる)ために、周波数領域に変換するプライマリ変換を適用した後の変換係数に対し、セカンダリ変換を適用することが開示されている。しかし、複数の変換が適用された後の変換係数は、元の画像特性に対する周波数領域とは異なる領域に変換され得るため、周波数領域用のスケーリングリストを用いた帯域制御(スケーリングリスト処理)に影響を与える。
【0015】
図1は、プライマリ変換後の変換係数に対し、セカンダリ変換を適用する場合のスケーリングリスト処理に係る既存の処理の流れを概略的に示す説明図である。
【0016】
図1に示すように、プライマリ変換(S11)が適用された後の変換係数に対し、セカンダリ変換(S12)が適用される。続いて、セカンダリ変換後の変換係数に対し、量子化処理とスケーリングリスト処理(S13)が行われる。以上が符号化時の処理である。
【0017】
続いて、復号時には、逆量子化処理とスケーリングリスト処理(S14)が行われ、続いて逆セカンダリ変換(S15)が行われ、さらに、逆プライマリ変換(S16)が適用される。
【0018】
上述したように、非特許文献1に記載の方法では、(逆)量子化処理とスケーリングリスト処理が同時に、または連続して行われる。例えば、HEVC(High Efficiency Video Coding)では、逆量子化処理とスケーリングリスト処理が同時に行われる。以下、HEVCにおける復号時のスケーリングリスト処理について説明する。
【0019】
HEVCでは、処理ブロック中の位置(x,y)における、逆量子化後の変換係数値d[x][y]は、スケーリングリストにおける位置(x,y)に対応する要素の値であるスケーリングファクタm[x][y]を用いて、次式(1)のように算出されている。
【0021】
式(1)において、TransCoeffLevel[xTbY][yTbY][cIdx][x][y]は、処理ブロック中の位置(x,y)における量子化レベル値(量子化データ)を表している。また、式(1)において、levelScale[qP%6]<<(qP/6)、及び(1<<(bdShift-1)))>>bdShift)は、量子化パラメータqPを用いた量子化処理に係る値である。また、Clip3(coeffMin,coeffMax,X)は、数値Xを係数の最小値coeffMin以上、係数の最大値coeffMax以下に丸めた値を意味する。
【0022】
図2は、Y=Clip3(coeffMin,coeffMax,X)のグラフである。
図2に示すように、Clip3(coeffMin,coeffMax,X)の値は、coeffMin以上、かつcoeffMax以下となる。
【0023】
式(1)に示すように、HEVCでは、逆量子化処理の際に、スケーリングリストに係るスケーリングファクタm[x][y]をかけることでスケーリングリスト処理が行われていた。また、同様に、HEVCでは、量子化とスケーリングリスト処理が同時に行われていた。
【0024】
しかし、例えば非特許文献1に記載のセカンダリ変換である回転行列を適用した後の変換係数は、元の画像特性に対する周波数領域とは異なる領域に変換されてしまう。したがって、周波数領域用のスケーリングリストを用いて、(逆)量子化処理の中でスケーリングリスト処理を行った場合、適切な帯域制御を行うことが困難である。
【0025】
そこで、上記事情を一着眼点にして本開示の実施形態を創作するに至った。本実施形態による画像符号化装置、または画像復号装置は、変換情報に基づいて変換処理、またはスケーリングリスト処理を制御することで、スケーリングリスト処理による帯域制御を可能とする。
【0026】
図3は、本実施形態に係る処理の流れを概略的に示す説明図である。
図3に示すように、本実施形態では、プライマリ変換(S21)が適用された後の変換係数に対し、スケーリングリスト処理(S22)が行われる。続いて、スケーリングリスト処理後の係数に対して、セカンダリ変換(S23)が適用された後に、量子化パラメータqPを用いた量子化処理(S24)が行われる。以上が符号化時の処理である。
【0027】
続いて、復号時には、まず逆量子化処理(S25)が行われ、続いて逆セカンダリ変換(S26)が適用される。さらに、スケーリングリスト処理(S27)が行われた後に、逆プライマリ変換(S28)が適用される。
【0028】
図3に示すように、本実施形態ではプライマリ変換の直後にスケーリングリスト処理を行うことにより、元の画像特性に対する周波数領域に存在するデータに対してスケーリングリスト処理が行われるため、スケーリングリストによる帯域制御が可能となる。
【0029】
なお、本実施形態に係る変換の数は、プライマリ変換とセカンダリ変換の2つに限定されず、より多数(3以上)であってもよい。例えば、
図1に示した符号化時、及び復号時の処理を、より多数の変換処理に一般化すると、それぞれ以下の式(2)、(3)のように表すことが可能である。
【0030】
C=Q(SL(Fn*...F2*F1(R)))…(2)
R=(F’1*F’2*...F’n*SL’(DQ(C)))…(3)
【0031】
なお、Cは量子化データ、Qは量子化処理、SLは符号化時のスケーリングリスト処理、F1はプライマリ変換(DCTまたはDST等)、F2はセカンダリ変換、Fnはn番目の変換、*は畳み込み演算、Rは残差画像を意味する。また、F’aはFaの逆変換を、SL’は復号時のスケーリングリスト処理を意味する。
【0032】
また、
図3に示した本実施形態による符号化時、及び復号時の処理を、より多数の変換処理に一般化すると、それぞれ以下の式(4)、(5)のように表すことが可能である。
【0033】
C=Q*Fn*...F2*SL(F1(R))…(4)
R=(F’1*SL’(F’2*...F’n*DQ(C)))…(5)
【0034】
本実施形態によれば、変換の数が3以上であっても、上式(4)、(5)のように、プライマリ変換の直後にスケーリングリスト処理を行うことで、スケーリングリストによる帯域制御が可能となる。
【0035】
なお、本実施形態において、逆量子化後の変換係数値dnは、次式(6)のように表される。ここで、変換係数値dnは、n番目の逆変換用の変換係数値である。
【0037】
上式(6)のように、本実施形態では逆量子処理において、スケーリングファクタm[x][y]が用いられず、量子化パラメータqPを用いた処理が行われる。
【0038】
また、本実施形態において、復号時のスケーリングリスト処理により得られる逆プライマリ変換用の変換係数値d0は、次式(7)のように表される。
【0040】
ここで、d1[xTbY][yTbY][cIdx][x][y]は、逆セカンダリ変換後の係数値を意味する。なお、変換の数が1(プライマリ変換のみ)である場合、式(6)、(7)により得られる変換係数値d0[x][y]は、式(1)により得られる変換係数値d[x][y]と基本的に同一の結果が得られる。ただし、量子化レベル値(量子化データ)TransCoeffLevel[xTbY][yTbY][cIdx][x][y]がcoeffMin以上coeffMax以下の範囲に収まらない場合には、両者の結果は異なり得る。
【0041】
以上、本実施形態の概要を説明した。続いて、本実施形態に係る構成、及び処理の流れについて説明する。なお、以下では簡単のため、適用される変換の数が最大でも2である例を説明するが、上述したように、本実施形態に係る変換の数は係る例に限定されず、3以上でもよい。
【0042】
[1−2.画像符号化装置の構成]
(1)全体的な構成
図4は、本実施形態に係る画像処理装置の一態様である画像符号化装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図4を参照すると、画像符号化装置10は、並び替えバッファ11、制御部12、減算部13、処理部14、可逆符号化部16、蓄積バッファ17、逆処理部21、加算部23、デブロックフィルタ24、SAOフィルタ25、フレームメモリ26、スイッチ27、モード設定部28、イントラ予測部30及びインター予測部40を備える。
【0043】
並び替えバッファ11は、符号化すべき映像を構成する一連の画像の画像データを、符号化処理に係るGOP(Group of Pictures)構造に応じて並び替える。並び替えバッファ11は、並び替え後の画像データを制御部12、減算部13、イントラ予測部30、及びインター予測部40へ出力する。
【0044】
制御部12は、各部へ供給される符号化パラメータを、例えば、RDO(Rate-Distortion Optimization)に基づいて決定する。決定された符号化パラメータは、各ブロックへ供給される。
【0045】
例えば、符号化パラメータは、処理対象の変換ブロックに適用される変換に係る変換情報を含んでもよい。例えば、変換情報は、処理対象の変換ブロックにセカンダリ変換が適用されるか否かを示す情報(例えば、JVET-B1001、2.5.2 Secondary Transformsを参照)を含んでもよい。また、変換情報は、処理対象の変換ブロックに適用される変換の数を示す情報を含んでもよい。また、変換情報は、処理対象の変換ブロックに適用される変換の種類を示す情報を含んでもよい。
【0046】
また、符号化パラメータは、スケーリングリスト処理に用いられるスケーリングリストを示すスケーリングリスト情報(例えば、JCTVC-W1005, 7.3.4 Scaling list data syntax)を含んでもよい。また、符号化パラメータは、(逆)量子化に用いられる量子化パラメータ(qP)を含んでもよい。
【0047】
なお、制御部12が決定する符号化パラメータは任意であり、上述した情報に限定されず多様な情報を含み得る。符号化パラメータは画像にHEVCのCTU(Coding Tree Unit)、CU(Coding Unit)、TU(Transform Unit)及びPU(Prediction Unit)をどのように設定すべきかを示すブロック情報、イントラ予測に関する情報、及びインター予測に関する情報を含み得る。
【0048】
減算部13は、並び替えバッファ11から入力される画像データと予測画像データとの差分である予測誤差データを算出し、算出した予測誤差データを処理部14へ出力する。
【0049】
処理部14は、制御部12から入力される変換情報、スケーリングリスト情報、量子化パラメータ等に基づいて、直交変換処理、スケーリングリスト処理、及び量子化処理を行う。処理部14は、量子化後のデータ(以下、量子化データという)を可逆符号化部16及び逆処理部21へ出力する。なお、処理部14のより詳細な構成について、後にさらに説明する。
【0050】
可逆符号化部16は、処理部14から入力される量子化データを符号化することにより、符号化ストリームを生成する。また、可逆符号化部16は、制御部12により決定された符号化パラメータを符号化して、符号化されたパラメータを符号化ストリームのヘッダ領域に挿入する。可逆符号化部16は、生成した符号化ストリームを蓄積バッファ17へ出力する。
【0051】
蓄積バッファ17は、可逆符号化部16から入力される符号化ストリームを半導体メモリなどの記憶媒体を用いて一時的に蓄積する。そして、蓄積バッファ17は、蓄積した符号化ストリームを、伝送路の帯域に応じたレートで、図示しない伝送部(例えば、通信インタフェース又は周辺機器との接続インタフェースなど)へ出力する。
【0052】
逆処理部21、及び加算部23は、ローカルデコーダを構成する。ローカルデコーダは、符号化されたデータから原画像を再構築(リコンストラクト)する役割を有する。
【0053】
逆処理部21は、処理部14により実行された処理の逆処理を行う。例えば、逆処理部21は、制御部12から入力される変換情報、スケーリングリスト情報、量子化パラメータ等に基づいて、逆量子化処理、スケーリングリスト処理、及び逆直交変換処理を行うことにより、予測誤差データを復元する。そして、逆処理部21は、復元した予測誤差データを加算部23へ出力する。なお、逆処理部21により行われる逆処理(逆量子化処理、スケーリングリスト処理、及び逆直交変換処理)は、後述する画像復号装置において行われる逆処理と同様の処理である。したがって、当該逆処理については、画像復号装置に関する説明において、
図9を参照して後述する。
【0054】
加算部23は、逆処理部21から入力される復元された予測誤差データとイントラ予測部30又はインター予測部40から入力される予測画像データとを加算することにより、復号画像データ(リコンストラクト画像)を生成する。そして、加算部23は、生成した復号画像データをデブロックフィルタ24及びフレームメモリ26へ出力する。
【0055】
デブロックフィルタ24及びSAOフィルタ25は、それぞれ、リコンストラクト画像の画質の向上を目的とするインループフィルタである。デブロックフィルタ24は、加算部23から入力される復号画像データをフィルタリングすることによりブロック歪みを除去し、フィルタリング後の復号画像データをSAOフィルタ25へ出力する。SAOフィルタ25は、デブロックフィルタ24から入力される復号画像データにエッジオフセット処理又はバンドオフセット処理を適用することによりノイズを除去し、処理後の復号画像データをフレームメモリ26へ出力する。
【0056】
フレームメモリ26は、加算部23から入力されるフィルタリング前の復号画像データ、及びSAOフィルタ25から入力されるインループフィルタの適用後の復号画像データを記憶媒体を用いて記憶する。
【0057】
スイッチ27は、イントラ予測のために使用されるフィルタリング前の復号画像データをフレームメモリ26から読み出し、読み出した復号画像データを参照画像データとしてイントラ予測部30に供給する。また、スイッチ27は、インター予測のために使用されるフィルタリング後の復号画像データをフレームメモリ26から読み出し、読み出した復号画像データを参照画像データとしてインター予測部40に供給する。
【0058】
モード設定部28は、イントラ予測部30及びインター予測部40から入力されるコストの比較に基づいて、ブロックごとに予測符号化モードを設定する。モード設定部28は、イントラ予測モードを設定したブロックについては、イントラ予測部30により生成される予測画像データを減算部13へ出力すると共に、イントラ予測に関する情報を可逆符号化部16へ出力する。また、モード設定部28は、インター予測モードを設定したブロックについては、インター予測部40により生成される予測画像データを減算部13へ出力すると共に、インター予測に関する情報を可逆符号化部16へ出力する。
【0059】
イントラ予測部30は、原画像データ及び復号画像データに基づいて、HEVCのPU(Prediction Unit)の各々についてイントラ予測処理を実行する。例えば、イントラ予測部30は、探索範囲に含まれる予測モード候補の各々について、予測誤差及び発生する符号量に基づくコストを評価する。次に、イントラ予測部30は、コストが最小となる予測モードを最適な予測モードとして選択する。また、イントラ予測部30は、選択した最適な予測モードに従って予測画像データを生成する。そして、イントラ予測部30は、最適な予測モードを示す予測モード情報を含むイントラ予測に関する情報、対応するコスト、及び予測画像データを、モード設定部28へ出力する。
【0060】
インター予測部40は、原画像データ及び復号画像データに基づいて、HEVCのPUの各々についてインター予測処理(動き補償)を実行する。インター予測処理(動き検出及び動き補償)を実行する。例えば、インター予測部40は、HEVCにより仕様化されている探索範囲に含まれる予測モード候補の各々について、予測誤差及び発生する符号量に基づくコストを評価する。次に、インター予測部40は、コストが最小となる予測モード、即ち圧縮率が最も高くなる予測モードを、最適な予測モードとして選択する。また、インター予測部40は、選択した最適な予測モードに従って予測画像データを生成する。そして、インター予測部40は、インター予測に関する情報、対応するコスト、及び予測画像データを、モード設定部28へ出力する。
【0061】
(2)処理部
図5は、
図4に示した処理部14の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図5を参照すると、処理部14は、プライマリ変換部141、スケーリングリスト処理部142、処理制御部143、セカンダリ変換部144、及び量子化部145を有する。
【0062】
プライマリ変換部141は、減算部13から入力される予測誤差データに対して、プライマリ変換処理を実行する。プライマリ変換部141によるプライマリ変換は、例えば離散コサイン変換又は離散サイン変換などの直行変換処理であってよい。より具体的には、プライマリ変換部141は、減算部13から入力される予測誤差データを、TUごとに、空間領域の画像信号から周波数領域の変換係数データに変換する。そしてプライマリ変換部141は、変換係数データをスケーリングリスト処理部142へ出力する。
【0063】
スケーリングリスト処理部142は、プライマリ変換部141から入力された変換係数データに対してスケーリングリスト処理を行う。例えば、スケーリングリスト処理部142は制御部12が決定したスケーリングリスト情報に含まれるスケーリングリストで変換係数データを割る(除算する)ことで、スケーリングリスト処理を行ってもよい。スケーリングリスト処理部142は、スケーリングリスト処理後の係数データ(以下、スケーリングリスト係数データという)を、処理制御部143へ出力する。
【0064】
処理制御部143は、制御部12から入力される、処理対象ブロックの変換に関する変換情報に基づいて、後述するセカンダリ変換部144による変換処理、及び量子化部145による量子化処理を制御する。例えば、本実施形態に係る処理制御部143は、変換情報に基づき、処理対象のブロックに対してセカンダリ変換を行うか否かを判定してもよい。
【0065】
なお、処理制御部143が上記の判定を行うためには、例えば変換情報に処理対象のブロックに対してセカンダリ変換を行うか否かを示す情報(例えばフラグ)が含まれていてもよいし、処理対象のブロックに対する変換の数や種類を示す情報が含まれていてもよい。
【0066】
処理制御部143は、処理対象のブロックに対してセカンダリ変換を行うと判定した場合、スケーリングリスト処理部142から入力されたスケーリングリスト係数データを、セカンダリ変換部144へ出力する。係る場合、後述するように量子化部145にはセカンダリ変換部144による変換処理後の変換係数データが入力される。
【0067】
また、処理制御部143は、処理対象のブロックに対してセカンダリ変換を行わないと判定した場合、スケーリングリスト処理部142から入力されたスケーリングリスト係数データを、量子化部145へ出力する。係る場合、セカンダリ変換部144へのデータ入力はスキップされ、セカンダリ変換部144による変換処理は行わないため、量子化部145にはスケーリングリスト係数データが入力される。
【0068】
すなわち、処理制御部143は、変換情報に基づいて、セカンダリ変換部144による変換処理、及び量子化部145による量子化処理への入力を制御し得る。
【0069】
セカンダリ変換部144は、処理制御部143から、スケーリングリスト係数データが入力された場合に、プライマリ変換とは異なる他の変換(セカンダリ変換)に係る変換処理(セカンダリ変換処理)を行う。本実施形態に係るセカンダリ変換処理は特に限定されないが、例えば非特許文献1に記載されるセカンダリ変換処理のような、周波数領域以外の領域へ変換する変換処理であってもよい。また、セカンダリ変換部144が行うセカンダリ変換処理は、制御部12により決定される変換情報に基づいて、予め用意された複数の変換処理の中から特定されてもよい。セカンダリ変換部144は、セカンダリ変換処理後の変換係数データを量子化部145へ出力する。
【0070】
量子化部145は、制御部12により決定される量子化パラメータqPに基づく量子化処理を行う。量子化部145は、処理制御部143の制御に従い、セカンダリ変換部144による変換処理後の変換係数データ、またはスケーリングリスト係数データを入力データとして、量子化処理を行う。量子化部145は、量子化処理後の量子化データを可逆符号化部16及び逆処理部21へ出力する。
【0071】
上述した処理部14の構成によれば、プライマリ変換部141による周波数領域への変換処理の直後にスケーリングリスト処理が行われ得る。したがって、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。
【0072】
[1−3.符号化時の処理の流れ]
(1)既存の手法
図6は、変換の数が1の場合の既存の手法に従った符号化時の処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【0073】
図6を参照すると、まず変換処理が行われ(S32)、続いて量子化とスケーリングリスト処理が行われる(S34)。続いて、符号化処理が行われる(S36)。
【0074】
(2)新たな手法
図7は、上述した本実施形態に係る新たな手法に従った符号化時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0075】
図7を参照すると、まずプライマリ変換部141は、減算部13から入力される予測誤差データに対して、プライマリ変換処理を実行する(S102)。続いて、スケーリングリスト処理部142がプライマリ変換部141から入力された変換係数データに対してスケーリングリスト処理を行う(S104)。続いて、処理制御部143が、変換情報に基づいてセカンダリ変換を行うか否かを判定する(S106)。
【0076】
セカンダリ変換を行うと判定された場合(S106においてYES)、セカンダリ変換部144へスケーリングリスト係数データが出力され、セカンダリ変換部144がセカンダリ変換を行う(S108)。続いて、量子化部145は、セカンダリ変換部144による変換処理後の変換係数データに対して量子化処理を行う(S110)。
【0077】
一方、セカンダリ変換を行わないと判定された場合(S106においてNO)、量子化部145へスケーリングリスト係数データが出力され、量子化部145は、スケーリングリスト係数データに対して量子化処理を行う(S112)。
【0078】
最後に、可逆符号化部16がステップS110またはステップS112の処理により得られた量子化データを符号化する。また、この時、可逆符号化部16は、変換情報等を含む各種符号化パラメータを符号化する。
【0079】
なお、上述した各処理の処理単位は任意であり、互いに同一でなくてもよい。したがって、各ステップの処理は、適宜、他のステップの処理等と並行して、または、処理順を入れ替えて実行することもできる。
【0080】
以上のように各処理を実行することにより、画像符号化装置10は、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、周波数領域への変換処理の直後にスケーリングリスト処理を行うことが出来る。したがって、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。
【0081】
[1−4.画像復号装置の構成]
(1)全体的な構成
続いて、以上のように符号化された符号化データの復号について説明する。
図8は、本実施形態に係る画像処理装置の一態様である画像復号装置60の構成の一例を示すブロック図である。
図8を参照すると、蓄積バッファ61、可逆復号部62、逆処理部63、加算部65、デブロックフィルタ66、SAOフィルタ67、並び替えバッファ68、D/A(Digital to Analogue)変換部69、フレームメモリ70、セレクタ71a及び71b、イントラ予測部80並びにインター予測部90を備える。
【0082】
蓄積バッファ61は、図示しない伝送部(例えば、通信インタフェース又は周辺機器との接続インタフェースなど)を介して画像符号化装置10から受信される符号化ストリームを記憶媒体を用いて一時的に蓄積する。
【0083】
可逆復号部62は、蓄積バッファ61から入力される符号化ストリームから、符号化の際に使用された符号化方式に従って量子化データを復号する。また、可逆復号部62は、符号化ストリームのヘッダ領域に挿入されている符号化パラメータを復号する。可逆復号部62により復号される符号化パラメータは、例えば、上述した変換情報、スケーリングリスト情報、量子化パラメータ、イントラ予測に関する情報、インター予測に関する情報等を含み得る。
【0084】
可逆復号部62は、量子化データ、変換情報、スケーリングリスト情報、及び量子化パラメータを逆処理部63へ出力する。また、可逆復号部62は、イントラ予測に関する情報をイントラ予測部80へ出力する。また、可逆復号部62は、インター予測に関する情報をインター予測部90へ出力する。
【0085】
逆処理部63は、可逆復号部62から入力される量子化データに対し、符号化の際に処理部14(
図4,5)により行われた処理の逆処理を実行し、予測誤差データを生成する。逆処理部63は、生成した予測誤差データを加算部65へ出力する。なお、逆処理部63のより詳細な構成について、後にさらに説明する。
【0086】
加算部65は、逆処理部63から入力される予測誤差データと、セレクタ71bから入力される予測画像データとを加算することにより、復号画像データを生成する。そして、加算部65は、生成した復号画像データをデブロックフィルタ66及びフレームメモリ70へ出力する。
【0087】
デブロックフィルタ66は、加算部65から入力される復号画像データをフィルタリングすることによりブロック歪みを除去し、フィルタリング後の復号画像データをSAOフィルタ67へ出力する。
【0088】
SAOフィルタ67は、デブロックフィルタ66から入力される復号画像データにエッジオフセット処理又はバンドオフセット処理を適用することによりノイズを除去し、処理後の復号画像データを並び替えバッファ68及びフレームメモリ70へ出力する。
【0089】
並び替えバッファ68は、SAOフィルタ67から入力される画像を並び替えることにより、時系列の一連の画像データを生成する。そして、並び替えバッファ68は、生成した画像データをD/A変換部69へ出力する。
【0090】
D/A変換部69は、並び替えバッファ68から入力されるデジタル形式の画像データをアナログ形式の画像信号に変換する。そして、D/A変換部69は、例えば、画像復号装置60と接続されるディスプレイ(図示せず)にアナログ画像信号を出力することにより、復号された映像を表示させる。
【0091】
フレームメモリ70は、加算部65から入力されるフィルタリング前の復号画像データ、及びSAOフィルタ67から入力されるフィルタリング後の復号画像データを記憶媒体を用いて記憶する。
【0092】
セレクタ71aは、可逆復号部62により取得されるモード情報に応じて、画像内のブロックごとに、フレームメモリ70からの画像データの出力先をイントラ予測部80とインター予測部90との間で切り替える。例えば、セレクタ71aは、イントラ予測モードが指定された場合には、フレームメモリ70から供給されるフィルタリング前の復号画像データを参照画像データとしてイントラ予測部80へ出力する。また、セレクタ71aは、インター予測モードが指定された場合には、フィルタリング後の復号画像データを参照画像データとしてインター予測部90へ出力する。
【0093】
セレクタ71bは、可逆復号部62により取得されるモード情報に応じて、加算部65へ供給すべき予測画像データの出力元をイントラ予測部80とインター予測部90との間で切り替える。例えば、セレクタ71bは、イントラ予測モードが指定された場合には、イントラ予測部80から出力される予測画像データを加算部65へ供給する。また、セレクタ71bは、インター予測モードが指定された場合には、インター予測部90から出力される予測画像データを加算部65へ供給する。
【0094】
イントラ予測部80は、イントラ予測に関する情報とフレームメモリ70からの参照画像データとに基づいてイントラ予測処理を行い、予測画像データを生成する。そして、イントラ予測部80は、生成した予測画像データをセレクタ71bへ出力する。
【0095】
インター予測部90は、可逆復号部62から入力されるインター予測に関する情報とフレームメモリ70からの参照画像データとに基づいてインター予測処理を行い、予測画像データを生成する。そして、インター予測部90は、生成した予測画像データをセレクタ71bへ出力する。
【0096】
(2)逆処理部
図9は、
図8に示した逆処理部63の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図9を参照すると、逆処理部63は、逆量子化部631、処理制御部632、逆セカンダリ変換部633、スケーリングリスト処理部634、及び逆プライマリ変換部635を有する。
【0097】
逆量子化部631は、可逆復号部62から入力される量子化データを、符号化の際に使用されたものと同じ量子化パラメータqPで逆量子化し、係数データを復元する。例えば、逆量子化部631は、式(6)を参照して説明したように、逆量子化処理を行ってもよい。逆量子化部631は、復元した係数データを処理制御部632へ出力する。なお、逆量子化部631により復元される係数データは、符号化の際に、セカンダリ変換が行われたか否かによって、セカンダリ変換処理による変換係数データ、またはスケーリングリスト係数データのいずれかでありうる。
【0098】
処理制御部632は、処理対象ブロックの変換に関する変換情報に基づいて、後述する逆セカンダリ変換部633による逆変換処理、及びスケーリングリスト処理部634によるスケーリングリスト処理を制御する。例えば、本実施形態に係る処理制御部632は、変換情報に基づき、処理対象のブロックに対して逆セカンダリ変換を行うか否かを判定してもよい。
【0099】
なお、処理制御部632が上記の判定を行うためには、例えば変換情報に処理対象のブロックに対して、符号化の際にセカンダリ変換が行われたか否かを示す情報(例えばフラグ)が含まれていてもよいし、処理対象のブロックに対する変換の数や種類を示す情報が含まれていてもよい。例えば、処理制御部632は、符号化の際にセカンダリ変換が行われていれば、逆セカンダリ変換を行う、と判定し、符号化の際にセカンダリ変換が行われていなければ、逆セカンダリ変換を行わない、と判定してもよい。
【0100】
処理制御部632は、処理対象のブロックに対して逆セカンダリ変換を行うと判定した場合、逆量子化部631から入力された係数データを、逆セカンダリ変換部633へ出力する。係る場合、後述するようにスケーリングリスト処理部634には逆セカンダリ変換部633による逆セカンダリ変換処理後の係数データが入力される。
【0101】
また、処理制御部632は、処理対象のブロックに対して逆セカンダリ変換を行わないと判定した場合、逆量子化部631から入力された係数データを、スケーリングリスト処理部634へ出力する。係る場合、逆セカンダリ変換部633へのデータ入力はスキップされ、逆セカンダリ変換部633による逆変換処理は行われないため、スケーリングリスト処理部634には逆量子化後の係数データが入力される。
【0102】
すなわち、処理制御部632は、変換情報に基づく上記判定に応じて、逆セカンダリ変換部633による逆変換処理、及びスケーリングリスト処理部634によるスケーリングリスト処理への入力を制御し得る。
【0103】
逆セカンダリ変換部633は、処理制御部632から、係数データが入力された場合に、符号化時に行われたセカンダリ変換の逆変換処理(逆セカンダリ変換処理)を行う。逆セカンダリ変換部633は、セカンダリ変換処理後の係数データをスケーリングリスト処理部634へ出力する。
【0104】
スケーリングリスト処理部634は、可逆復号部62から入力されるスケーリングリスト情報に基づいて、スケーリングリスト処理を行う。スケーリングリスト処理部634は、処理制御部632の制御に従い、逆セカンダリ変換部633による変換処理後の係数データ、または逆量子化部631による逆量子化処理後の係数データを入力データとして、スケーリングリスト処理を行う。
【0105】
例えば、スケーリングリスト処理部634は式(7)を参照して説明したように、スケーリングリスト処理を行ってもよい。スケーリングリスト処理部634は、スケーリングリスト処理後の変換係数データを、逆プライマリ変換部635へ出力する。
【0106】
逆プライマリ変換部635は、符号化の際に使用されたプライマリ変換処理の変換方式に従い、スケーリングリスト処理部634から入力された変換係数データについて逆プライマリ変換を行うことにより、予測誤差データを生成する。逆プライマリ変換部635は、生成した予測誤差データを加算部65へ出力する。
【0107】
上述した逆処理部63の構成によれば、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、スケーリングリスト処理による帯域制御に応じた復号が可能となる。
【0108】
[1−5.復号時の処理の流れ]
(1)既存の手法
図10は、変換の数が1の場合の既存の手法に従った復号時の処理の流れの一例を示すフローチャート図である。なお、
図10は、復号時の処理の流れのうち、復号処理から予測誤差データの生成処理までの処理に注目した処理の流れを示している。
【0109】
図10を参照すると、まず復号処理が行われる(S52)。続いて逆量子化とスケーリングリスト処理が行われ(S54)、その後に逆変換処理が行われて予測誤差データが生成される(S56)。
【0110】
(2)新たな手法
図11は、上述した本実施形態に係る新たな手法に従った復号時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図11は、復号時の処理の流れのうち、復号処理から予測誤差データの生成処理までの処理に注目した処理の流れを示している。
【0111】
図11を参照すると、まず可逆復号部62が復号処理を行い、量子化データと符号化パラメータが取得(復号)される(S202)。ここで、取得される符号化パラメータには、変換情報、スケーリングリスト情報、量子化パラメータqP等が含まれ得る。
【0112】
続いて、逆量子化部631が可逆復号部62から入力される量子化データを、符号化の際に使用されたものと同じ量子化パラメータqPで逆量子化する(S204)。続いて、処理制御部632が、変換情報に基づいて逆セカンダリ変換を行うか否かを判定する(S206)。
【0113】
逆セカンダリ変換を行うと判定された場合(S206においてYES)、逆セカンダリ変換部633へ逆量子化処理後の係数データが出力され、逆セカンダリ変換部633が逆セカンダリ変換を行う(S208)。続いて、スケーリングリスト処理部634は、逆セカンダリ変換部633による変換処理後の係数データに対してスケーリングリスト処理を行う(S210)。
【0114】
一方、逆セカンダリ変換を行わないと判定された場合(S206においてNO)、スケーリングリスト処理部634へ逆量子化処理後の係数データが出力され、スケーリングリスト処理部634は、逆量子化処理後の係数データに対してスケーリングリスト処理を行う(S212)。
【0115】
そして、逆プライマリ変換部635が、ステップS210またはステップS212の処理により得られた変換係数データに対して逆プライマリ変換を行い、予測誤差データを生成する(S214)。
【0116】
なお、上述した各処理の処理単位は任意であり、互いに同一でなくてもよい。したがって、各ステップの処理は、適宜、他のステップの処理等と並行して、または、処理順を入れ替えて実行することもできる。
【0117】
以上のように各処理を実行することにより、画像復号装置60は、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、スケーリングリスト処理による帯域制御に応じた復号を行うことができる。
【0118】
<2.第二の実施形態>
[2−1.概要]
以上、本開示の第一の実施形態について説明した、続いて、以下では、本開示の第二の実施形態として、複数の変換が畳み込み演算による1つの変換で表現された場合について説明する。
【0119】
例えば、n個の変換の畳み込みFn*...F2*F1をFxとすると、本実施形態による符号化時、及び復号時の処理は、それぞれ以下の式(8)、(9)のように表すことが可能である。
【0120】
C=Q(SL
x(Fx(R))…(8)
R=(F’x*SL
x’(DQ(C)))…(9)
【0121】
なお、ここで、SL
xは第一の実施形態で説明した制御部12により決定されるスケーリングリストSL
convを用いて、次式(10)で表される。
【0122】
SL
x=Fx(SL
conv)…(10)
【0123】
例えば、変換の数が2であり、スケーリングリストSL
convとセカンダリ変換F2がそれぞれ以下の式(11)、(12)で表される場合、SL
xは例えば以下の式(13)のようにスケーリングリストSL
convとセカンダリ変換F2の内積演算により得られる。なお、セカンダリ変換F2の具体的な係数は、例えば複数の変換の中から、変換情報に基づいて決定され得る。
【0125】
以上、本実施形態の概要を説明した。続いて、本実施形態に係る構成、及び処理の流れについて説明する。なお、以下では簡単のため、適用される変換の数が最大でも2である例を説明するが、上述したように、本実施形態に係る変換の数は係る例に限定されず、3以上でもよい。
【0126】
[2−2.画像符号化装置の構成]
本実施形態に係る画像符号化装置10は、第一の実施形態に係る画像符号化装置10と比較して、処理部、及び逆処理部の機能構成のみが異なる。そこで、以下では、本実施形態に係る画像符号化装置10が備える処理部14−2の構成について説明する。なお、本実施形態に係る画像符号化装置10の備える逆処理部の機能構成は、後述する本実施形態に係る画像復号装置60が備える逆処理部と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0127】
図12は、本実施形態に係る画像符号化装置10が備える処理部14−2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図12を参照すると、処理部14−2は、処理制御部146、変換部147、及び量子化・スケーリングリスト処理部148を有する。
【0128】
処理制御部146は、制御部12から入力される、処理対象ブロックの変換に関する変換情報に基づいて、後述する変換部147による変換処理、及び量子化・スケーリングリスト処理部148による量子化処理、及びスケーリングリスト処理を制御する。
【0129】
例えば、本実施形態に係る処理制御部146は、
図5を参照して説明した処理制御部143と同様に、変換情報に基づき、処理対象のブロックに対してセカンダリ変換を行うか否かを判定してもよい。
【0130】
また、本実施形態に係る処理制御部146は、変換情報に基づき、変換部147により適用される変換Fを特定する。例えばセカンダリ変換を行う場合、変換Fは、プライマリ変換F1とセカンダリ変換F2の畳み込み演算による変換Fx=F2*F1であってもよい。一方、セカンダリ変換を行わない場合、変換Fは、プライマリ変換F1であってもよい。処理制御部146は、特定した変換Fの情報を変換部147へ提供する。
【0131】
また、本実施形態に係る処理制御部146は、変換情報に基づき、量子化・スケーリングリスト処理部148で行われるスケーリングリスト処理に用いられるスケーリングリストSLを特定する。例えばセカンダリ変換を行う場合、特定されるスケーリングリストSLは、制御部12により決定されるスケーリングリストSL
convとセカンダリ変換F2を用いて式(13)のように得られるスケーリングリストSL
xであってもよい。一方、セカンダリ変換を行わない場合、特定されるスケーリングリストSLは、制御部12で特定されるスケーリングリストSL
convであってもよい。処理制御部146は、特定したスケーリングリストSLの情報を量子化・スケーリングリスト処理部148へ提供する。
【0132】
変換部147は、処理制御部146から提供される変換Fの情報に基づき、減算部13から入力される予測誤差データに対して変換処理を行う。変換部147は、変換処理後の変換係数データを、量子化・スケーリングリスト処理部148へ出力する。
【0133】
量子化・スケーリングリスト処理部148は、処理制御部146から提供されるスケーリングリストSLの情報に基づき、量子化処理、及びスケーリングリスト処理を行う。なお、量子化・スケーリングリスト処理部148は、量子化パラメータqPとスケーリングリストSLを用いて、スケーリングリスト処理と量子化処理とを同時に行ってもよいし、順次に行ってもよい。量子化・スケーリングリスト処理部148は、量子化処理後の量子化データを可逆符号化部16及び逆処理部21へ出力する。
【0134】
上述した処理部14−2の構成によれば、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。また、畳み込み演算により複数の変換が1の変換で表現されるため、処理量が削減され得る。
【0135】
[2−3.符号化時の処理の流れ]
図13は、上述した本実施形態に係る符号化時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0136】
図13を参照すると、まず処理制御部146は、処理対象のブロックに対してセカンダリ変換を行うか否かを判定する(S302)。セカンダリ変換を行うと判定された場合(S302においてYES)、変換部147は、プライマリ変換とセカンダリ変換の畳み込み演算による変換処理を行う(S304)。続いて、処理制御部146によりスケーリングリストSL
xが算出され(S306)、量子化・スケーリングリスト処理部148が、算出されたスケーリングリストSL
xを用いて量子化処理とスケーリングリスト処理を行う(S308)。
【0137】
一方、セカンダリ変換を行わないと判定された場合(S302においてNO)、変換部147は、プライマリ変換を行い(S310)、量子化・スケーリングリスト処理部148は、制御部12により決定されるスケーリングリストSL
convを用いて量子化処理とスケーリングリスト処理を行う(S312)。
【0138】
最後に、可逆符号化部16がステップS308またはステップS312の処理により得られた量子化データを符号化する。また、この時、可逆符号化部16は、変換情報等を含む各種符号化パラメータを符号化する。
【0139】
なお、上述した各処理の処理単位は任意であり、互いに同一でなくてもよい。したがって、各ステップの処理は、適宜、他のステップの処理等と並行して、または、処理順を入れ替えて実行することもできる。
【0140】
以上のように各処理を実行することにより、画像符号化装置10は、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。また、畳み込み演算により複数の変換が1の変換で表現されるため、処理量が削減され得る。
【0141】
[2−4.画像復号装置の構成]
続いて、以上のように符号化された符号化データの復号について説明する。本実施形態に係る画像復号装置60は、第一の実施形態に係る画像復号装置60と比較して、逆処理部の機能構成のみが異なる。そこで、以下では、本実施形態に係る画像復号装置60が備える逆処理部63−2の構成について説明する。
【0142】
図14は、本実施形態に係る画像復号装置60が備える逆処理部63−2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図14を参照すると、逆処理部63−2は、処理制御部636、逆量子化・スケーリングリスト処理部637、及び逆変換部638を有する。
【0143】
処理制御部636は、処理対象ブロックの変換に関する変換情報に基づいて、後述する逆量子化・スケーリングリスト処理部637による量子化処理、及びスケーリングリスト処理と、逆変換部638による逆変換処理とを制御する。
【0144】
例えば、本実施形態に係る処理制御部636は、
図9を参照して説明した処理制御部632と同様に、変換情報に基づき、処理対象のブロックに対して逆セカンダリ変換を行うか否かを判定してもよい。
【0145】
また、本実施形態に係る処理制御部636は、変換情報に基づき、逆量子化・スケーリングリスト処理部637で行われるスケーリングリスト処理に用いられるスケーリングリストSLを特定する。例えば逆セカンダリ変換を行う場合、特定されるスケーリングリストSLは、式(13)のように、可逆復号部62により復号されるスケーリングリスト情報に含まれるスケーリングリストSL
convとセカンダリ変換F2の内積演算により得られるスケーリングリストSL
xであってもよい。一方、逆セカンダリ変換を行わない場合、特定されるスケーリングリストSLは、可逆復号部62により復号されるスケーリングリスト情報に含まれるスケーリングリストSL
convであってもよい。処理制御部636は、特定したスケーリングリストSLの情報を逆量子化・スケーリングリスト処理部637へ提供する。
【0146】
また、本実施形態に係る処理制御部636は、変換情報に基づき、逆変換部638により適用される逆変換F’を特定する。例えば逆セカンダリ変換を行う場合、逆変換F’は、プライマリ変換F1とセカンダリ変換F2の畳み込み演算による変換Fx=F2*F1の逆変換F’xであってもよい。一方、逆セカンダリ変換を行わない場合、逆変換Fは、プライマリ変換F1の逆変換である逆プライマリ変換F’1であってもよい。処理制御部146は、特定した逆変換F’の情報を逆変換部638へ提供する。
【0147】
逆量子化・スケーリングリスト処理部637は、処理制御部636から提供されるスケーリングリストSLの情報に基づき、逆量子化処理、及びスケーリングリスト処理を行う。なお、逆量子化・スケーリングリスト処理部637は、量子化パラメータqPとスケーリングリストSLを用いて、逆量子化処理とスケーリングリスト処理とを同時に行ってもよいし、順次に行ってもよい。逆量子化・スケーリングリスト処理部637は、逆量子化処理後の変換係数データを逆変換部638へ出力する。
【0148】
逆変換部638は、処理制御部636から提供される逆変換F’の情報に基づき、逆量子化・スケーリングリスト処理部637から入力される変換係数データに対して逆変換処理を行うことにより予測誤差データを生成する。逆変換部638は、生成した予測誤差データを加算部65へ出力する。
【0149】
上述した逆処理部63−2の構成によれば、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、スケーリングリスト処理による帯域制御に応じた復号が可能となる。また、畳み込み演算により複数の変換が1の変換で表現されるため、処理量が削減され得る。
【0150】
[2−5.復号時の処理の流れ]
図15は、上述した本実施形態に係る復号時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図15は、復号時の処理の流れのうち、復号処理から予測誤差データの生成処理までの処理に注目した処理の流れを示している。
【0151】
図15を参照すると、まず可逆復号部62が復号処理を行い、量子化データと符号化パラメータが取得(復号)される(S402)。ここで、取得される符号化パラメータには、変換情報、スケーリングリスト情報、量子化パラメータqP等が含まれ得る。
【0152】
続いて、処理制御部636は、変換情報に基づいて、処理対象のブロックに対して逆セカンダリ変換を行うか否かを判定する(S404)。
【0153】
逆セカンダリ変換を行うと判定された場合(S404においてYES)、処理制御部636によりスケーリングリストSL
xが算出される(S406)。続いて、逆量子化・スケーリングリスト処理部637が、算出されたスケーリングリストSL
xを用いて逆量子化処理とスケーリングリスト処理を行う(S408)。続いて、逆変換部638が、プライマリ変換とセカンダリ変換の畳み込み演算による変換処理の逆変換処理を行って予測誤差データを生成する(S412)。
【0154】
一方、逆セカンダリ変換を行わないと判定された場合(S404においてNO)、逆量子化・スケーリングリスト処理部637が、ステップS402で復号されたスケーリングリスト情報に含まれるスケーリングリストSL
convを用いて逆量子化処理とスケーリングリスト処理を行う(S414)
【0155】
続いて、逆変換部638が、逆プライマリ変換処理を行って予測誤差データを生成する(S416)。
【0156】
なお、上述した各処理の処理単位は任意であり、互いに同一でなくてもよい。したがって、各ステップの処理は、適宜、他のステップの処理等と並行して、または、処理順を入れ替えて実行することもできる。
【0157】
以上のように各処理を実行することにより、画像復号装置60は、処理対象ブロックに対して適用される変換の数、種類によらず、スケーリングリスト処理による帯域制御に応じた復号を行うことができる。また、畳み込み演算により複数の変換が1の変換で表現されるため、処理量が削減され得る。
【0158】
<3.ハードウェア構成例>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
【0159】
図16は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0160】
図16に示されるコンピュータ800において、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803は、バス804を介して相互に接続されている。
【0161】
バス804にはまた、入出力インタフェース810も接続されている。入出力インタフェース810には、入力部811、出力部812、記憶部813、通信部814、およびドライブ815が接続されている。
【0162】
入力部811は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部812は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部813は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部814は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ815は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア821を駆動する。
【0163】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU801が、例えば、記憶部813に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース810およびバス804を介して、RAM803にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM803にはまた、CPU801が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0164】
コンピュータ(CPU801)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア821に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア821をドライブ815に装着することにより、入出力インタフェース810を介して、記憶部813にインストールすることができる。
【0165】
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部814で受信し、記憶部813にインストールすることができる。
【0166】
その他、このプログラムは、ROM802や記憶部813に、あらかじめインストールしておくこともできる。
【0167】
<4.応用例>
上述した実施形態に係る画像符号化装置10及び画像復号装置60は、衛星放送、ケーブルTVなどの有線放送、インターネット上での配信、及びセルラー通信による端末への配信などにおける送信機若しくは受信機、光ディスク、磁気ディスク及びフラッシュメモリなどの媒体に画像を記録する記録装置、又は、これら記憶媒体から画像を再生する再生装置などの様々な電子機器に応用され得る。
【0168】
(1)第1の応用例:テレビジョン受像機
図17は、上述した実施形態を適用したテレビジョン装置の概略的な構成の一例を示している。テレビジョン装置900は、アンテナ901、チューナ902、デマルチプレクサ903、デコーダ904、映像信号処理部905、表示部906、音声信号処理部907、スピーカ908、外部インタフェース(I/F)909、制御部910、ユーザインタフェース(I/F)911、及びバス912を備える。
【0169】
チューナ902は、アンテナ901を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ902は、復調により得られた符号化ビットストリームをデマルチプレクサ903へ出力する。即ち、チューナ902は、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置900における伝送部としての役割を有する。
【0170】
デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームから視聴対象の番組の映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、分離した各ストリームをデコーダ904へ出力する。また、デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームからEPG(Electronic Program Guide)などの補助的なデータを抽出し、抽出したデータを制御部910に供給する。なお、デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームがスクランブルされている場合には、デスクランブルを行ってもよい。
【0171】
デコーダ904は、デマルチプレクサ903から入力される映像ストリーム及び音声ストリームを復号する。そして、デコーダ904は、復号処理により生成される映像データを映像信号処理部905へ出力する。また、デコーダ904は、復号処理により生成される音声データを音声信号処理部907へ出力する。
【0172】
映像信号処理部905は、デコーダ904から入力される映像データを再生し、表示部906に映像を表示させる。また、映像信号処理部905は、ネットワークを介して供給されるアプリケーション画面を表示部906に表示させてもよい。また、映像信号処理部905は、映像データについて、設定に応じて、例えばノイズ除去などの追加的な処理を行ってもよい。さらに、映像信号処理部905は、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUI(Graphical User Interface)の画像を生成し、生成した画像を出力画像に重畳してもよい。
【0173】
表示部906は、映像信号処理部905から供給される駆動信号により駆動され、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ又はOELD(Organic ElectroLuminescence Display)(有機ELディスプレイ)など)の映像面上に映像又は画像を表示する。
【0174】
音声信号処理部907は、デコーダ904から入力される音声データについてD/A変換及び増幅などの再生処理を行い、スピーカ908から音声を出力させる。また、音声信号処理部907は、音声データについてノイズ除去などの追加的な処理を行ってもよい。
【0175】
外部インタフェース909は、テレビジョン装置900と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。例えば、外部インタフェース909を介して受信される映像ストリーム又は音声ストリームが、デコーダ904により復号されてもよい。即ち、外部インタフェース909もまた、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置900における伝送部としての役割を有する。
【0176】
制御部910は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、プログラムデータ、EPGデータ、及びネットワークを介して取得されるデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、テレビジョン装置900の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部911から入力される操作信号に応じて、テレビジョン装置900の動作を制御する。
【0177】
ユーザインタフェース部911は、制御部910と接続される。ユーザインタフェース部911は、例えば、ユーザがテレビジョン装置900を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部などを有する。ユーザインタフェース部911は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部910へ出力する。
【0178】
バス912は、チューナ902、デマルチプレクサ903、デコーダ904、映像信号処理部905、音声信号処理部907、外部インタフェース909及び制御部910を相互に接続する。
【0179】
このように構成されたテレビジョン装置900において、デコーダ904が、上述した画像復号装置60の機能を有するようにしてもよい。つまり、デコーダ904が、符号化データを、以上の各実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、テレビジョン装置900は、スケーリングリスト処理による帯域制御に応じた復号が可能となる。
【0180】
また、このように構成されたテレビジョン装置900において、映像信号処理部905が、例えば、デコーダ904から供給される画像データを符号化し、得られた符号化データを、外部インタフェース909を介してテレビジョン装置900の外部に出力させることができるようにしてもよい。そして、その映像信号処理部905が、上述した画像符号化装置10の機能を有するようにしてもよい。つまり、映像信号処理部905が、デコーダ904から供給される画像データを、以上の各実施の形態において説明した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、テレビジョン装置900は、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。
【0181】
(2)第2の応用例:携帯電話機
図18は、上述した実施形態を適用した携帯電話機の概略的な構成の一例を示している。携帯電話機920は、アンテナ921、通信部922、音声コーデック923、スピーカ924、マイクロホン925、カメラ部926、画像処理部927、多重分離部928、記録再生部929、表示部930、制御部931、操作部932、及びバス933を備える。
【0182】
アンテナ921は、通信部922に接続される。スピーカ924及びマイクロホン925は、音声コーデック923に接続される。操作部932は、制御部931に接続される。バス933は、通信部922、音声コーデック923、カメラ部926、画像処理部927、多重分離部928、記録再生部929、表示部930、及び制御部931を相互に接続する。
【0183】
携帯電話機920は、音声通話モード、データ通信モード、撮影モード及びテレビ電話モードを含む様々な動作モードで、音声信号の送受信、電子メール又は画像データの送受信、画像の撮像、及びデータの記録などの動作を行う。
【0184】
音声通話モードにおいて、マイクロホン925により生成されるアナログ音声信号は、音声コーデック923に供給される。音声コーデック923は、アナログ音声信号を音声データへ変換し、変換された音声データをA/D変換し圧縮する。そして、音声コーデック923は、圧縮後の音声データを通信部922へ出力する。通信部922は、音声データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号して音声データを生成し、生成した音声データを音声コーデック923へ出力する。音声コーデック923は、音声データを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック923は、生成した音声信号をスピーカ924に供給して音声を出力させる。
【0185】
また、データ通信モードにおいて、例えば、制御部931は、操作部932を介するユーザによる操作に応じて、電子メールを構成する文字データを生成する。また、制御部931は、文字を表示部930に表示させる。また、制御部931は、操作部932を介するユーザからの送信指示に応じて電子メールデータを生成し、生成した電子メールデータを通信部922へ出力する。通信部922は、電子メールデータを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号して電子メールデータを復元し、復元した電子メールデータを制御部931へ出力する。制御部931は、表示部930に電子メールの内容を表示させると共に、電子メールデータを記録再生部929に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
【0186】
記録再生部929は、読み書き可能な任意の記憶媒体を有する。例えば、記憶媒体は、RAM又はフラッシュメモリなどの内蔵型の記憶媒体であってもよく、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はメモリカードなどの外部装着型の記憶媒体であってもよい。
【0187】
また、撮影モードにおいて、例えば、カメラ部926は、被写体を撮像して画像データを生成し、生成した画像データを画像処理部927へ出力する。画像処理部927は、カメラ部926から入力される画像データを符号化し、符号化ストリームを記録再生部929に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
【0188】
さらに、画像表示モードにおいて、記録再生部929は、記憶媒体に記録されている符号化ストリームを読み出して画像処理部927へ出力する。画像処理部927は、記録再生部929から入力される符号化ストリームを復号し、画像データを表示部930に供給し、その画像を表示させる。
【0189】
また、テレビ電話モードにおいて、例えば、多重分離部928は、画像処理部927により符号化された映像ストリームと、音声コーデック923から入力される音声ストリームとを多重化し、多重化したストリームを通信部922へ出力する。通信部922は、ストリームを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。これら送信信号及び受信信号には、符号化ビットストリームが含まれ得る。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号してストリームを復元し、復元したストリームを多重分離部928へ出力する。多重分離部928は、入力されるストリームから映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、映像ストリームを画像処理部927、音声ストリームを音声コーデック923へ出力する。画像処理部927は、映像ストリームを復号し、映像データを生成する。映像データは、表示部930に供給され、表示部930により一連の画像が表示される。音声コーデック923は、音声ストリームを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック923は、生成した音声信号をスピーカ924に供給して音声を出力させる。
【0190】
このように構成された携帯電話機920において、例えば画像処理部927が、上述した画像符号化装置10の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部927が、画像データを、以上の各実施の形態において説明した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、携帯電話機920は、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。
【0191】
また、このように構成された携帯電話機920において、例えば画像処理部927が、上述した画像復号装置60の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部927が、符号化データを、以上の各実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、携帯電話機920は、スケーリングリスト処理による帯域制御に応じた復号が可能となる。
【0192】
(3)第3の応用例:記録再生装置
図19は、上述した実施形態を適用した記録再生装置の概略的な構成の一例を示している。記録再生装置940は、例えば、受信した放送番組の音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録する。また、記録再生装置940は、例えば、他の装置から取得される音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録してもよい。また、記録再生装置940は、例えば、ユーザの指示に応じて、記録媒体に記録されているデータをモニタ及びスピーカ上で再生する。このとき、記録再生装置940は、音声データ及び映像データを復号する。
【0193】
記録再生装置940は、チューナ941、外部インタフェース942、エンコーダ943、HDD(Hard Disk Drive)944、ディスクドライブ945、セレクタ946、デコーダ947、OSD(On-Screen Display)948、制御部949、及びユーザインタフェース950を備える。
【0194】
チューナ941は、アンテナ(図示せず)を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ941は、復調により得られた符号化ビットストリームをセレクタ946へ出力する。即ち、チューナ941は、記録再生装置940における伝送手段としての役割を有する。
【0195】
外部インタフェース942は、記録再生装置940と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。外部インタフェース942は、例えば、IEEE1394インタフェース、ネットワークインタフェース、USBインタフェース、又はフラッシュメモリインタフェースなどであってよい。例えば、外部インタフェース942を介して受信される映像データ及び音声データは、エンコーダ943へ入力される。即ち、外部インタフェース942は、記録再生装置940における伝送手段としての役割を有する。
【0196】
エンコーダ943は、外部インタフェース942から入力される映像データ及び音声データが符号化されていない場合に、映像データ及び音声データを符号化する。そして、エンコーダ943は、符号化ビットストリームをセレクタ946へ出力する。
【0197】
HDD944は、映像及び音声などのコンテンツデータが圧縮された符号化ビットストリーム、各種プログラム及びその他のデータを内部のハードディスクに記録する。また、HDD944は、映像及び音声の再生時に、これらデータをハードディスクから読み出す。
【0198】
ディスクドライブ945は、装着されている記録媒体へのデータの記録及び読み出しを行う。ディスクドライブ945に装着される記録媒体は、例えばDVDディスク(DVD−Video、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等)又はBlu−ray(登録商標)ディスクなどであってよい。
【0199】
セレクタ946は、映像及び音声の記録時には、チューナ941又はエンコーダ943から入力される符号化ビットストリームを選択し、選択した符号化ビットストリームをHDD944又はディスクドライブ945へ出力する。また、セレクタ946は、映像及び音声の再生時には、HDD944又はディスクドライブ945から入力される符号化ビットストリームをデコーダ947へ出力する。
【0200】
デコーダ947は、符号化ビットストリームを復号し、映像データ及び音声データを生成する。そして、デコーダ947は、生成した映像データをOSD948へ出力する。また、デコーダ904は、生成した音声データを外部のスピーカへ出力する。
【0201】
OSD948は、デコーダ947から入力される映像データを再生し、映像を表示する。また、OSD948は、表示する映像に、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUIの画像を重畳してもよい。
【0202】
制御部949は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、記録再生装置940の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース950から入力される操作信号に応じて、記録再生装置940の動作を制御する。
【0203】
ユーザインタフェース950は、制御部949と接続される。ユーザインタフェース950は、例えば、ユーザが記録再生装置940を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部などを有する。ユーザインタフェース950は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部949へ出力する。
【0204】
このように構成された記録再生装置940において、エンコーダ943は、上述した実施形態に係る画像符号化装置10の機能を有する。また、デコーダ947は、上述した実施形態に係る画像復号装置60の機能を有する。それにより、記録再生装置940が複数の(逆)変換を適用して符号化し又は復号する際に、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。
【0205】
(4)第4の応用例:撮像装置
図20は、上述した実施形態を適用した撮像装置の概略的な構成の一例を示している。撮像装置960は、被写体を撮像して画像を生成し、画像データを符号化して記録媒体に記録する。
【0206】
撮像装置960は、光学ブロック961、撮像部962、信号処理部963、画像処理部964、表示部965、外部インタフェース966、メモリ967、メディアドライブ968、OSD969、制御部970、ユーザインタフェース971、及びバス972を備える。
【0207】
光学ブロック961は、撮像部962に接続される。撮像部962は、信号処理部963に接続される。表示部965は、画像処理部964に接続される。ユーザインタフェース971は、制御部970に接続される。バス972は、画像処理部964、外部インタフェース966、メモリ967、メディアドライブ968、OSD969、及び制御部970を相互に接続する。
【0208】
光学ブロック961は、フォーカスレンズ及び絞り機構などを有する。光学ブロック961は、被写体の光学像を撮像部962の撮像面に結像させる。撮像部962は、CCD又はCMOSなどのイメージセンサを有し、撮像面に結像した光学像を光電変換によって電気信号としての画像信号に変換する。そして、撮像部962は、画像信号を信号処理部963へ出力する。
【0209】
信号処理部963は、撮像部962から入力される画像信号に対してニー補正、ガンマ補正、色補正などの種々のカメラ信号処理を行う。信号処理部963は、カメラ信号処理後の画像データを画像処理部964へ出力する。
【0210】
画像処理部964は、信号処理部963から入力される画像データを符号化し、符号化データを生成する。そして、画像処理部964は、生成した符号化データを外部インタフェース966又はメディアドライブ968へ出力する。また、画像処理部964は、外部インタフェース966又はメディアドライブ968から入力される符号化データを復号し、画像データを生成する。そして、画像処理部964は、生成した画像データを表示部965へ出力する。また、画像処理部964は、信号処理部963から入力される画像データを表示部965へ出力して画像を表示させてもよい。また、画像処理部964は、OSD969から取得される表示用データを、表示部965へ出力する画像に重畳してもよい。
【0211】
OSD969は、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUIの画像を生成して、生成した画像を画像処理部964へ出力する。
【0212】
外部インタフェース966は、例えばUSB入出力端子として構成される。外部インタフェース966は、例えば、画像の印刷時に、撮像装置960とプリンタとを接続する。また、外部インタフェース966には、必要に応じてドライブが接続される。ドライブには、例えば、磁気ディスク又は光ディスクなどのリムーバブルメディアが装着され、リムーバブルメディアから読み出されるプログラムが、撮像装置960にインストールされ得る。さらに、外部インタフェース966は、LAN又はインターネットなどのネットワークに接続されるネットワークインタフェースとして構成されてもよい。即ち、外部インタフェース966は、撮像装置960における伝送手段としての役割を有する。
【0213】
メディアドライブ968に装着される記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、又は半導体メモリなどの、読み書き可能な任意のリムーバブルメディアであってよい。また、メディアドライブ968に記録媒体が固定的に装着され、例えば、内蔵型ハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)のような非可搬性の記憶部が構成されてもよい。
【0214】
制御部970は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、撮像装置960の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース971から入力される操作信号に応じて、撮像装置960の動作を制御する。
【0215】
ユーザインタフェース971は、制御部970と接続される。ユーザインタフェース971は、例えば、ユーザが撮像装置960を操作するためのボタン及びスイッチなどを有する。ユーザインタフェース971は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部970へ出力する。
【0216】
このように構成された撮像装置960において、画像処理部964は、上述した実施形態に係る画像符号化装置10及び画像復号装置60の機能を有する。それにより、撮像装置960が複数の(逆)変換を適用して符号化し又は復号する際に、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。
【0217】
(5)第5の応用例:ビデオセット
また、本技術は、任意の装置またはシステムを構成する装置に搭載するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
図21は、本技術を適用したビデオセットの概略的な構成の一例を示している。
【0218】
近年、電子機器の多機能化が進んでおり、その開発や製造において、その一部の構成を販売や提供等として実施する場合、1機能を有する構成として実施を行う場合だけでなく、関連する機能を有する複数の構成を組み合わせ、複数の機能を有する1セットとして実施を行う場合も多く見られるようになってきた。
【0219】
図21に示されるビデオセット1300は、このような多機能化された構成であり、画像の符号化や復号(いずれか一方でもよいし、両方でも良い)に関する機能を有するデバイスに、その機能に関連するその他の機能を有するデバイスを組み合わせたものである。
【0220】
図21に示されるように、ビデオセット1300は、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、およびフロントエンドモジュール1314等のモジュール群と、コネクティビティ1321、カメラ1322、およびセンサ1323等の関連する機能を有するデバイスとを有する。
【0221】
モジュールは、互いに関連するいくつかの部品的機能をまとめ、まとまりのある機能を持った部品としたものである。具体的な物理的構成は任意であるが、例えば、それぞれ機能を有する複数のプロセッサ、抵抗やコンデンサ等の電子回路素子、その他のデバイス等を配線基板等に配置して一体化したものが考えられる。また、モジュールに他のモジュールやプロセッサ等を組み合わせて新たなモジュールとすることも考えられる。
【0222】
図21の例の場合、ビデオモジュール1311は、画像処理に関する機能を有する構成を組み合わせたものであり、アプリケーションプロセッサ、ビデオプロセッサ、ブロードバンドモデム1333、およびRFモジュール1334を有する。
【0223】
プロセッサは、所定の機能を有する構成をSoC(System On a Chip)により半導体チップに集積したものであり、例えばシステムLSI(Large Scale Integration)等と称されるものもある。この所定の機能を有する構成は、論理回路(ハードウエア構成)であってもよいし、CPU、ROM、RAM等と、それらを用いて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)であってもよいし、その両方を組み合わせたものであってもよい。例えば、プロセッサが、論理回路とCPU、ROM、RAM等とを有し、機能の一部を論理回路(ハードウエア構成)により実現し、その他の機能をCPUにおいて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)により実現するようにしてもよい。
【0224】
図21のアプリケーションプロセッサ1331は、画像処理に関するアプリケーションを実行するプロセッサである。このアプリケーションプロセッサ1331において実行されるアプリケーションは、所定の機能を実現するために、演算処理を行うだけでなく、例えばビデオプロセッサ1332等、ビデオモジュール1311内外の構成を必要に応じて制御することもできる。
【0225】
ビデオプロセッサ1332は、画像の符号化・復号(その一方または両方)に関する機能を有するプロセッサである。
【0226】
ブロードバンドモデム1333は、インターネットや公衆電話回線網等の広帯域の回線を介して行われる有線若しくは無線(またはその両方)の広帯域通信により送信するデータ(デジタル信号)をデジタル変調する等してアナログ信号に変換したり、その広帯域通信により受信したアナログ信号を復調してデータ(デジタル信号)に変換したりする。ブロードバンドモデム1333は、例えば、ビデオプロセッサ1332が処理する画像データ、画像データが符号化されたストリーム、アプリケーションプログラム、設定データ等、任意の情報を処理する。
【0227】
RFモジュール1334は、アンテナを介して送受信されるRF(Radio Frequency)信号に対して、周波数変換、変復調、増幅、フィルタ処理等を行うモジュールである。例えば、RFモジュール1334は、ブロードバンドモデム1333により生成されたベースバンド信号に対して周波数変換等を行ってRF信号を生成する。また、例えば、RFモジュール1334は、フロントエンドモジュール1314を介して受信されたRF信号に対して周波数変換等を行ってベースバンド信号を生成する。
【0228】
なお、
図21において点線1341に示されるように、アプリケーションプロセッサ1331とビデオプロセッサ1332を、一体化し、1つのプロセッサとして構成されるようにしてもよい。
【0229】
外部メモリ1312は、ビデオモジュール1311の外部に設けられた、ビデオモジュール1311により利用される記憶デバイスを有するモジュールである。この外部メモリ1312の記憶デバイスは、どのような物理構成により実現するようにしてもよいが、一般的にフレーム単位の画像データのような大容量のデータの格納に利用されることが多いので、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)のような比較的安価で大容量の半導体メモリにより実現するのが望ましい。
【0230】
パワーマネージメントモジュール1313は、ビデオモジュール1311(ビデオモジュール1311内の各構成)への電力供給を管理し、制御する。
【0231】
フロントエンドモジュール1314は、RFモジュール1334に対してフロントエンド機能(アンテナ側の送受信端の回路)を提供するモジュールである。
図21に示されるように、フロントエンドモジュール1314は、例えば、アンテナ部1351、フィルタ1352、および増幅部1353を有する。
【0232】
アンテナ部1351は、無線信号を送受信するアンテナおよびその周辺の構成を有する。アンテナ部1351は、増幅部1353から供給される信号を無線信号として送信し、受信した無線信号を電気信号(RF信号)としてフィルタ1352に供給する。フィルタ1352は、アンテナ部1351を介して受信されたRF信号に対してフィルタ処理等を行い、処理後のRF信号をRFモジュール1334に供給する。増幅部1353は、RFモジュール1334から供給されるRF信号を増幅し、アンテナ部1351に供給する。
【0233】
コネクティビティ1321は、外部との接続に関する機能を有するモジュールである。コネクティビティ1321の物理構成は、任意である。例えば、コネクティビティ1321は、ブロードバンドモデム1333が対応する通信規格以外の通信機能を有する構成や、外部入出力端子等を有する。
【0234】
例えば、コネクティビティ1321が、Bluetooth(登録商標)、IEEE 802.11(例えばWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標))、NFC(Near Field Communication)、IrDA(InfraRed Data Association)等の無線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した信号を送受信するアンテナ等を有するようにしてもよい。また、例えば、コネクティビティ1321が、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia
Interface)等の有線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した端子を有するようにしてもよい。さらに、例えば、コネクティビティ1321が、アナログ入出力端子等のその他のデータ(信号)伝送機能等を有するようにしてもよい。
【0235】
なお、コネクティビティ1321が、データ(信号)の伝送先のデバイスを含むようにしてもよい。例えば、コネクティビティ1321が、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等の記録媒体に対してデータの読み出しや書き込みを行うドライブ(リムーバブルメディアのドライブだけでなく、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、NAS(Network Attached Storage)等も含む)を有するようにしてもよい。また、コネクティビティ1321が、画像や音声の出力デバイス(モニタやスピーカ等)を有するようにしてもよい。
【0236】
カメラ1322は、被写体を撮像し、被写体の画像データを得る機能を有するモジュールである。カメラ1322の撮像により得られた画像データは、例えば、ビデオプロセッサ1332に供給されて符号化される。
【0237】
センサ1323は、例えば、音声センサ、超音波センサ、光センサ、照度センサ、赤外線センサ、イメージセンサ、回転センサ、角度センサ、角速度センサ、速度センサ、加速度センサ、傾斜センサ、磁気識別センサ、衝撃センサ、温度センサ等、任意のセンサ機能を有するモジュールである。センサ1323により検出されたデータは、例えば、アプリケーションプロセッサ1331に供給されてアプリケーション等により利用される。
【0238】
以上においてモジュールとして説明した構成をプロセッサとして実現するようにしてもよいし、逆にプロセッサとして説明した構成をモジュールとして実現するようにしてもよい。
【0239】
以上のような構成のビデオセット1300において、後述するようにビデオプロセッサ1332に本技術を適用することができる。したがって、ビデオセット1300は、本技術を適用したセットとして実施することができる。
【0240】
(ビデオプロセッサの構成例)
図22は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332(
図21)の概略的な構成の一例を示している。
【0241】
図22の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ信号およびオーディオ信号の入力を受けてこれらを所定の方式で符号化する機能と、符号化されたビデオデータおよびオーディオデータを復号し、ビデオ信号およびオーディオ信号を再生出力する機能とを有する。
【0242】
図22に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、フレームメモリ1405、およびメモリ制御部1406を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、エンコード・デコードエンジン1407、ビデオES(Elementary Stream)バッファ1408Aおよび1408B、並びに、オーディオESバッファ1409Aおよび1409Bを有する。さらに、ビデオプロセッサ1332は、オーディオエンコーダ1410、オーディオデコーダ1411、多重化部(MUX(Multiplexer))1412、逆多重化部(DMUX(Demultiplexer))1413、およびストリームバッファ1414を有する。
【0243】
ビデオ入力処理部1401は、例えばコネクティビティ1321(
図21)等から入力されたビデオ信号を取得し、デジタル画像データに変換する。第1画像拡大縮小部1402は、画像データに対してフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行う。第2画像拡大縮小部1403は、画像データに対して、ビデオ出力処理部1404を介して出力する先でのフォーマットに応じて画像の拡大縮小処理を行ったり、第1画像拡大縮小部1402と同様のフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行ったりする。ビデオ出力処理部1404は、画像データに対して、フォーマット変換やアナログ信号への変換等を行って、再生されたビデオ信号として例えばコネクティビティ1321等に出力する。
【0244】
フレームメモリ1405は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、およびエンコード・デコードエンジン1407によって共用される画像データ用のメモリである。フレームメモリ1405は、例えばDRAM等の半導体メモリとして実現される。
【0245】
メモリ制御部1406は、エンコード・デコードエンジン1407からの同期信号を受けて、アクセス管理テーブル1406Aに書き込まれたフレームメモリ1405へのアクセススケジュールに従ってフレームメモリ1405に対する書き込み・読み出しのアクセスを制御する。アクセス管理テーブル1406Aは、エンコード・デコードエンジン1407、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403等で実行される処理に応じて、メモリ制御部1406により更新される。
【0246】
エンコード・デコードエンジン1407は、画像データのエンコード処理、並びに、画像データが符号化されたデータであるビデオストリームのデコード処理を行う。例えば、エンコード・デコードエンジン1407は、フレームメモリ1405から読み出した画像データを符号化し、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに順次書き込む。また、例えば、ビデオESバッファ1408Bからビデオストリームを順次読み出して復号し、画像データとしてフレームメモリ1405に順次書き込む。エンコード・デコードエンジン1407は、これらの符号化や復号において、フレームメモリ1405を作業領域として使用する。また、エンコード・デコードエンジン1407は、例えばマクロブロック毎の処理を開始するタイミングで、メモリ制御部1406に対して同期信号を出力する。
【0247】
ビデオESバッファ1408Aは、エンコード・デコードエンジン1407によって生成されたビデオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。ビデオESバッファ1408Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたビデオストリームをバッファリングして、エンコード・デコードエンジン1407に供給する。
【0248】
オーディオESバッファ1409Aは、オーディオエンコーダ1410によって生成されたオーディオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。オーディオESバッファ1409Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたオーディオストリームをバッファリングして、オーディオデコーダ1411に供給する。
【0249】
オーディオエンコーダ1410は、例えばコネクティビティ1321等から入力されたオーディオ信号を例えばデジタル変換し、例えばMPEGオーディオ方式やAC3(AudioCode
number 3)方式等の所定の方式で符号化する。オーディオエンコーダ1410は、オーディオ信号が符号化されたデータであるオーディオストリームをオーディオESバッファ1409Aに順次書き込む。オーディオデコーダ1411は、オーディオESバッファ1409Bから供給されたオーディオストリームを復号し、例えばアナログ信号への変換等を行って、再生されたオーディオ信号として例えばコネクティビティ1321等に供給する。
【0250】
多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化する。この多重化の方法(すなわち、多重化により生成されるビットストリームのフォーマット)は任意である。また、この多重化の際に、多重化部(MUX)1412は、所定のヘッダ情報等をビットストリームに付加することもできる。つまり、多重化部(MUX)1412は、多重化によりストリームのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームに変換する。また、例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換する。
【0251】
逆多重化部(DMUX)1413は、多重化部(MUX)1412による多重化に対応する方法で、ビデオストリームとオーディオストリームとが多重化されたビットストリームを逆多重化する。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、ストリームバッファ1414から読み出されたビットストリームからビデオストリームとオーディオストリームとを抽出する(ビデオストリームとオーディオストリームとを分離する)。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、逆多重化によりストリームのフォーマットを変換(多重化部(MUX)1412による変換の逆変換)することができる。例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等から供給されたトランスポートストリームを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。また、例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321により各種記録媒体から読み出されたファイルデータを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。
【0252】
ストリームバッファ1414は、ビットストリームをバッファリングする。例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、または外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給する。
【0253】
また、例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、または外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321等に供給し、各種記録媒体に記録させる。
【0254】
さらに、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して取得したトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、または外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
【0255】
また、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、または外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
【0256】
次に、このような構成のビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたビデオ信号は、ビデオ入力処理部1401において4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式のデジタル画像データに変換され、フレームメモリ1405に順次書き込まれる。このデジタル画像データは、第1画像拡大縮小部1402または第2画像拡大縮小部1403に読み出されて、4:2:0Y/Cb/Cr方式等の所定の方式へのフォーマット変換および拡大縮小処理が行われ、再びフレームメモリ1405に書き込まれる。この画像データは、エンコード・デコードエンジン1407によって符号化され、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに書き込まれる。
【0257】
また、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたオーディオ信号は、オーディオエンコーダ1410によって符号化され、オーディオストリームとして、オーディオESバッファ1409Aに書き込まれる。
【0258】
ビデオESバッファ1408Aのビデオストリームと、オーディオESバッファ1409Aのオーディオストリームは、多重化部(MUX)1412に読み出されて多重化され、トランスポートストリームまたはファイルデータ等に変換される。多重化部(MUX)1412により生成されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークに出力される。また、多重化部(MUX)1412により生成されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
【0259】
また、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。また、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出され、ビデオプロセッサ1332に入力されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。つまり、ビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームまたはファイルデータは、逆多重化部(DMUX)1413によりビデオストリームとオーディオストリームとに分離される。
【0260】
オーディオストリームは、オーディオESバッファ1409Bを介してオーディオデコーダ1411に供給され、復号されてオーディオ信号が再生される。また、ビデオストリームは、ビデオESバッファ1408Bに書き込まれた後、エンコード・デコードエンジン1407により順次読み出されて復号されてフレームメモリ1405に書き込まれる。復号された画像データは、第2画像拡大縮小部1403によって拡大縮小処理されて、フレームメモリ1405に書き込まれる。そして、復号された画像データは、ビデオ出力処理部1404に読み出されて、4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式にフォーマット変換され、さらにアナログ信号に変換されて、ビデオ信号が再生出力される。
【0261】
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、エンコード・デコードエンジン1407に、上述した各実施形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、エンコード・デコードエンジン1407が、上述した画像符号化装置10の機能若しくは画像復号装置60の機能またはその両方を有するようにしてもよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、
図1〜
図15を参照して上述した各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0262】
なお、エンコード・デコードエンジン1407において、本技術(すなわち、画像符号化装置10の機能若しくは画像復号装置60の機能またはその両方)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
【0263】
(ビデオプロセッサの他の構成例)
図23は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332の概略的な構成の他の例を示している。
図23の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオデータを所定の方式で符号化・復号する機能を有する。
【0264】
より具体的には、
図23に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、制御部1511、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、および内部メモリ1515を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、コーデックエンジン1516、メモリインタフェース1517、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518、ネットワークインタフェース1519、およびビデオインタフェース1520を有する。
【0265】
制御部1511は、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516等、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御する。
【0266】
図23に示されるように、制御部1511は、例えば、メインCPU1531、サブCPU1532、およびシステムコントローラ1533を有する。メインCPU1531は、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御するためのプログラム等を実行する。メインCPU1531は、そのプログラム等に従って制御信号を生成し、各処理部に供給する(つまり、各処理部の動作を制御する)。サブCPU1532は、メインCPU1531の補助的な役割を果たす。例えば、サブCPU1532は、メインCPU1531が実行するプログラム等の子プロセスやサブルーチン等を実行する。システムコントローラ1533は、メインCPU1531およびサブCPU1532が実行するプログラムを指定する等、メインCPU1531およびサブCPU1532の動作を制御する。
【0267】
ディスプレイインタフェース1512は、制御部1511の制御の下、画像データを例えばコネクティビティ1321等に出力する。例えば、ディスプレイインタフェース1512は、デジタルデータの画像データをアナログ信号に変換し、再生されたビデオ信号として、またはデジタルデータの画像データのまま、コネクティビティ1321のモニタ装置等に出力する。
【0268】
ディスプレイエンジン1513は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、その画像を表示させるモニタ装置等のハードウエアスペックに合わせるように、フォーマット変換、サイズ変換、色域変換等の各種変換処理を行う。
【0269】
画像処理エンジン1514は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、例えば画質改善のためのフィルタ処理等、所定の画像処理を施す。
【0270】
内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516により共用される、ビデオプロセッサ1332の内部に設けられたメモリである。内部メモリ1515は、例えば、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516の間で行われるデータの授受に利用される。例えば、内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、またはコーデックエンジン1516から供給されるデータを格納し、必要に応じて(例えば、要求に応じて)、そのデータを、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、またはコーデックエンジン1516に供給する。この内部メモリ1515は、どのような記憶デバイスにより実現するようにしてもよいが、一般的にブロック単位の画像データやパラメータ等といった小容量のデータの格納に利用することが多いので、例えばSRAM(Static Random Access Memory)のような比較的(例えば外部メモリ1312と比較して)小容量だが応答速度が高速な半導体メモリにより実現するのが望ましい。
【0271】
コーデックエンジン1516は、画像データの符号化や復号に関する処理を行う。このコーデックエンジン1516が対応する符号化・復号の方式は任意であり、その数は1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、コーデックエンジン1516は、複数の符号化・復号方式のコーデック機能を備え、その中から選択されたもので画像データの符号化または符号化データの復号を行うようにしてもよい。
【0272】
図23に示される例において、コーデックエンジン1516は、コーデックに関する処理の機能ブロックとして、例えば、MPEG-2 Video1541、AVC/H.2641542、HEVC/H.2651543、HEVC/H.265(Scalable)1544、HEVC/H.265(Multi-view)1545、およびMPEG-DASH1551を有する。
【0273】
MPEG-2
Video1541は、画像データをMPEG-2方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。AVC/H.2641542は、画像データをAVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.2651543は、画像データをHEVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Scalable)1544は、画像データをHEVC方式でスケーラブル符号化したりスケーラブル復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Multi-view)1545は、画像データをHEVC方式で多視点符号化したり多視点復号したりする機能ブロックである。
【0274】
MPEG-DASH1551は、画像データをMPEG-DASH(MPEG-Dynamic Adaptive Streaming
over HTTP)方式で送受信する機能ブロックである。MPEG-DASHは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)を使ってビデオのストリーミングを行う技術であり、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択し伝送することを特徴の1つとする。MPEG-DASH1551は、規格に準拠するストリームの生成やそのストリームの伝送制御等を行い、画像データの符号化・復号については、上述したMPEG-2 Video1541乃至HEVC/H.265(Multi-view)1545を利用する。
【0275】
メモリインタフェース1517は、外部メモリ1312用のインタフェースである。画像処理エンジン1514やコーデックエンジン1516から供給されるデータは、メモリインタフェース1517を介して外部メモリ1312に供給される。また、外部メモリ1312から読み出されたデータは、メモリインタフェース1517を介してビデオプロセッサ1332(画像処理エンジン1514またはコーデックエンジン1516)に供給される。
【0276】
多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、符号化データのビットストリーム、画像データ、ビデオ信号等、画像に関する各種データの多重化や逆多重化を行う。この多重化・逆多重化の方法は任意である。例えば、多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、複数のデータを1つにまとめるだけでなく、所定のヘッダ情報等をそのデータに付加することもできる。また、逆多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、1つのデータを複数に分割するだけでなく、分割した各データに所定のヘッダ情報等を付加することもできる。つまり、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、多重化・逆多重化によりデータのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、ビットストリームを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームや、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換することができる。もちろん、逆多重化によりその逆変換も可能である。
【0277】
ネットワークインタフェース1519は、例えばブロードバンドモデム1333やコネクティビティ1321等向けのインタフェースである。ビデオインタフェース1520は、例えばコネクティビティ1321やカメラ1322等向けのインタフェースである。
【0278】
次に、このようなビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからトランスポートストリームを受信すると、そのトランスポートストリームは、ネットワークインタフェース1519を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、例えば、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてファイルデータに変換され、ビデオインタフェース1520を介して例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
【0279】
さらに、例えば、コネクティビティ1321等により図示せぬ記録媒体から読み出された、画像データが符号化された符号化データのファイルデータは、ビデオインタフェース1520を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてトランスポートストリームに変換され、ネットワークインタフェース1519を介して例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給され図示せぬ他の装置に伝送される。
【0280】
なお、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の間での画像データやその他のデータの授受は、例えば、内部メモリ1515や外部メモリ1312を利用して行われる。また、パワーマネージメントモジュール1313は、例えば制御部1511への電力供給を制御する。
【0281】
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、コーデックエンジン1516に、上述した各実施形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、コーデックエンジン1516が、上述した画像符号化装置10の機能若しくは画像復号装置60の機能またはその両方を有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、
図1〜
図15を参照して上述した各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0282】
なお、コーデックエンジン1516において、本技術(すなわち、画像符号化装置10の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
【0283】
以上にビデオプロセッサ1332の構成を2例示したが、ビデオプロセッサ1332の構成は任意であり、上述した2例以外のものであってもよい。また、このビデオプロセッサ1332は、1つの半導体チップとして構成されるようにしてもよいが、複数の半導体チップとして構成されるようにしてもよい。例えば、複数の半導体を積層する3次元積層LSIとしてもよい。また、複数のLSIにより実現されるようにしてもよい。
【0284】
(装置への適用例)
ビデオセット1300は、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオセット1300は、テレビジョン装置900(
図17)、携帯電話機920(
図18)、記録再生装置940(
図19)、撮像装置960(
図20)等に組み込むことができる。ビデオセット1300を組み込むことにより、その装置は、
図1〜
図15を参照して上述した各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0285】
なお、上述したビデオセット1300の各構成の一部であっても、ビデオプロセッサ1332を含むものであれば、本技術を適用した構成として実施することができる。例えば、ビデオプロセッサ1332のみを本技術を適用したビデオプロセッサとして実施することができる。また、例えば、上述したように点線1341により示されるプロセッサやビデオモジュール1311等を、本技術を適用したプロセッサやモジュール等として実施することができる。さらに、例えば、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、およびフロントエンドモジュール1314を組み合わせ、本技術を適用したビデオユニット1361として実施することもできる。いずれの構成の場合であっても、
図1〜
図15を参照して上述した各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0286】
つまり、ビデオプロセッサ1332を含むものであればどのような構成であっても、ビデオセット1300の場合と同様に、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオプロセッサ1332、点線1341により示されるプロセッサ、ビデオモジュール1311、または、ビデオユニット1361を、テレビジョン装置900(
図17)、携帯電話機920(
図18)、記録再生装置940(
図19)、撮像装置960(
図20)等に組み込むことができる。そして、本技術を適用したいずれかの構成を組み込むことにより、その装置は、ビデオセット1300の場合と同様に、
図1〜
図15を参照して上述した各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0287】
<第6の応用例:ネットワークシステム>
また、本技術は、複数の装置により構成されるネットワークシステムにも適用することもできる。
図24は、本技術を適用したネットワークシステムの概略的な構成の一例を示している。
【0288】
図24に示されるネットワークシステム1600は、機器同士が、ネットワークを介して画像(動画像)に関する情報を授受するシステムである。このネットワークシステム1600のクラウドサービス1601は、自身に通信可能に接続されるコンピュータ1611、AV(Audio Visual)機器1612、携帯型情報処理端末1613、IoT(Internet of Things)デバイス1614等の端末に対して、画像(動画像)に関するサービスを提供するシステムである。例えば、クラウドサービス1601は、所謂動画配信(オンデマンドやライブ配信)のような、画像(動画像)のコンテンツの供給サービスを端末に提供する。また、例えば、クラウドサービス1601は、端末から画像(動画像)のコンテンツを受け取って保管するバックアップサービスを提供する。また、例えば、クラウドサービス1601は、端末同士の画像(動画像)のコンテンツの授受を仲介するサービスを提供する。
【0289】
クラウドサービス1601の物理構成は任意である。例えば、クラウドサービス1601は、動画像を保存し、管理するサーバ、動画像を端末に配信するサーバ、動画像を端末から取得するサーバ、ユーザ(端末)や課金を管理するサーバ等の各種サーバや、インターネットやLAN等の任意のネットワークを有するようにしてもよい。
【0290】
コンピュータ1611は、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、ワークステーション等のような情報処理装置により構成される。AV機器1612は、例えば、テレビジョン受像機、ハードディスクレコーダ、ゲーム機器、カメラ等のような画像処理装置により構成される。携帯型情報処理端末1613は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯電話機、スマートフォン等のような携帯型の情報処理装置により構成される。IoTデバイス1614は、例えば、機械、家電、家具、その他の物、ICタグ、カード型デバイス等、画像に関する処理を行う任意の物体により構成される。これらの端末は、いずれも通信機能を有し、クラウドサービス1601に接続し(セッションを確立し)、クラウドサービス1601と情報の授受を行う(すなわち通信を行う)ことができる。また、各端末は、他の端末と通信を行うこともできる。端末間の通信は、クラウドサービス1601を介して行うようにしてもよいし、クラウドサービス1601を介さずに行うようにしてもよい。
【0291】
以上のようなネットワークシステム1600に本技術を適用し、端末間や、端末とクラウドサービス1601との間で画像(動画像)のデータが授受される際に、その画像データを各実施の形態において上述したように符号化・復号するようにしてもよい。つまり、端末(コンピュータ1611乃至IoTデバイス1614)やクラウドサービス1601が、それぞれ、上述した画像符号化装置10や画像復号装置60の機能を有するようにしてもよい。このようにすることにより、複数の(逆)変換を適用して符号化し又は復号する際に、スケーリングリスト処理による帯域制御が可能となる。
【0292】
<5.まとめ>
以上、説明したように本開示の実施形態によれば、複数の変換が適用される場合においても、スケーリングリストを用いた帯域制御が可能である。
【0293】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0294】
以上の各実施の形態において説明した本技術に関する制御情報を符号化側から復号側に伝送するようにしてもよい。例えば、上述した本技術を適用することを許可(または禁止)するか否かを制御する制御情報を伝送するようにしてもよい。また、例えば、上述した本技術を適用することを許可(または禁止)するブロックサイズの上限若しくは下限、またはその両方を指定する制御情報を伝送するようにしてもよい。
【0295】
本技術は、プライマリ変換、セカンダリ変換、および符号化(復号、逆セカンダリ変換、および逆プライマリ変換)を行う任意の画像符号化・復号に適用することができる。つまり、変換(逆変換)、量子化(逆量子化)、符号化(復号)、予測等の仕様は任意であり、上述した例に限定されない。例えば、変換(逆変換)において、(逆)プライマリ変換および(逆)セカンダリ変換以外の(逆)変換(すなわち3以上の(逆)変換)が行われるようにしてもよい。また、符号化(復号)は、可逆な方式であってもよいし、非可逆な方式であってもよい。さらに、量子化(逆量子化)や予測等は省略するようにしてもよい。また、フィルタ処理等の上述していない処理が行われるようにしてもよい。
【0296】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0297】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
処理対象ブロックに適用された変換に関する変換情報に基づいて、スケーリングリスト処理を制御する処理制御部、を備える、画像処理装置。
(2)
前記処理制御部は、前記変換情報に基づいて、処理対象ブロックに適用された変換の逆変換に係る逆変換処理をさらに制御する、前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記処理制御部は、前記変換情報に基づいて、前記逆変換処理への入力を制御する、前記(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記処理制御部は、前記変換情報に基づいて、画像データと予測画像データとの差分である予測誤差データに対する変換とは異なる他の変換の逆変換に係る逆変換処理を行うか否かの判定を行う、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の画像処理装置。
(5)
前記処理制御部は、前記判定に応じて、前記スケーリングリスト処理への入力を制御する、前記(4)に記載の画像処理装置。
(6)
前記処理制御部は、前記逆変換処理を行うと判定した場合に、当該逆変換処理後の係数データが前記スケーリングリスト処理への入力データとなるように、前記スケーリングリスト処理への入力を制御する、前記(5)に記載の画像処理装置。
(7)
前記処理制御部は、前記逆変換処理を行わないと判定した場合に、逆量子化の係数データが前記スケーリングリスト処理への入力データとなるように、前記スケーリングリスト処理への入力を制御する、前記(5)または(6)に記載の画像処理装置。
(8)
前記処理制御部は、前記判定に応じて、前記スケーリングリスト処理に用いられるスケーリングリストを特定する、前記(4)に記載の画像処理装置。
(9)
前記処理制御部は、前記逆変換処理を行うと判定した場合に、所定のスケーリングリストと、前記他の変換との内積演算により、前記スケーリングリスト処理に用いられるスケーリングリストを特定する、前記(8)に記載の画像処理装置。
(10)
前記逆変換処理は、畳み込み演算に基づいて行われる、前記(8)または(9)に記載の画像処理装置。
(11)
前記変換情報は、前記処理対象ブロックに所定の変換が適用されたか否かを示す情報を含む、前記(1)に記載の画像処理装置。
(12)
前記変換情報は、前記処理対象ブロックに適用された変換の数を示す情報を含む、前記(1)に記載の画像処理装置。
(13)
プロセッサが、処理対象の処理対象ブロックに適用された変換に関する変換情報に基づいて、スケーリングリスト処理を制御すること、を含む、画像処理方法。
(14)
コンピュータに、
処理対象ブロックに適用された変換に関する変換情報に基づいて、スケーリングリスト処理を制御する機能を実現させるための、プログラム。