特許第6962328号(P6962328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6962328炭化水素含有カルボン酸、炭化水素含有スルホン酸、炭化水素含有硫酸エステル又はこれらの塩、界面活性剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962328
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】炭化水素含有カルボン酸、炭化水素含有スルホン酸、炭化水素含有硫酸エステル又はこれらの塩、界面活性剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/716 20060101AFI20211025BHJP
   C07C 69/34 20060101ALI20211025BHJP
   C07C 305/10 20060101ALI20211025BHJP
   C07C 235/12 20060101ALI20211025BHJP
   B01F 17/10 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   C07C69/716CSP
   C07C69/34
   C07C305/10
   C07C235/12
   B01F17/10
【請求項の数】8
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2018-542899(P2018-542899)
(86)(22)【出願日】2017年9月29日
(86)【国際出願番号】JP2017035372
(87)【国際公開番号】WO2018062450
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2018年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-195062(P2016-195062)
(32)【優先日】2016年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-73087(P2017-73087)
(32)【優先日】2017年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】米田 聡
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
(72)【発明者】
【氏名】石原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】青山 博一
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−157354(JP,A)
【文献】 特開2011−190184(JP,A)
【文献】 特開平11−140484(JP,A)
【文献】 特開昭63−142350(JP,A)
【文献】 特公昭28−001975(JP,B1)
【文献】 国際公開第2011/079459(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/061101(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04432363(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04340042(DE,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103623740(CN,A)
【文献】 特開2013−129642(JP,A)
【文献】 特開2002−167313(JP,A)
【文献】 特開2001−181250(JP,A)
【文献】 特開平09−227479(JP,A)
【文献】 The Journal of Physical Chemistry B,2004年,108,p.1790-1797
【文献】 Journal of Oleo Science,2013年,62(6),p.409-414
【文献】 Journal of Oleo Science,2005年,54(1),p.51-57
【文献】 Jornal of Surfactants and Detergents,2010年,13,p.399-407
【文献】 Chinese Journal of Chemistry,2011年,29,p.2003-2006
【文献】 KOLLOIDNYI ZHURNAL,1983年,45(3),p.546-549
【文献】 HUAXUE SHIJI,2006年,28(8),p.483-484,506
【文献】 Green Chemistry,2016年06月13日,18,p.3962-3971
【文献】 European Journal of Organic Chemistry,2002年,p.1397-1406
【文献】 Journal of Organic Chemistry,1963年,28,p.1082-1086
【文献】 REGISTRY(STN)[online],2009.04.17[検索日 2017.12.07]CAS登録番号 1135685-31-2
【文献】 REGISTRY(STN)[online],2009.04.17[検索日 2017.12.07]CAS登録番号 1135684-39-7
【文献】 REGISTRY(STN)[online],2009.04.16[検索日 2017.12.07]CAS登録番号 1135422-78-4
【文献】 REGISTRY(STN)[online],2009.04.16[検索日 2017.12.07]CAS登録番号 1135361-73-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 69/00
C07C 305/00
C07C 235/00
B01F 17/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1−2)又は一般式(1−3)で示されることを特徴とする化合物。
一般式(1−2):
【化1】
一般式(1−3):
【化2】
(一般式(1−2)及び一般式(1−3)中、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR、イミダゾリウム、ピリジニウム又はホスホニウム、Rは、H又はC1−10のアルキル基);
一般式:−X−Aで示される基は、各出現において同一又は異なって、
−COOM、
−R12COOM
OSO
12OSOM、
−OCO−R12−COOM
OCO−R12−OSOM、
−COO−R12−COOM
COO−R12−OSOM、
−CONR−R12−COOM
CONR−R12−OSOM、
−NRCO−R12−COOM、又は
NRCO−R12−OSO
式中、Rは、H又はC1−10のアルキル基、Mは、上記のとおり、R12はC1−10のアルキレン基);
Yは、−OCO−
は、各出現において同一又は異なって、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、又は、
一般式:−R11で示される基、
(式中、R10はアルキレン基、R11はアルキル基);
一般式:−Y−Rで示される基は、各出現において同一又は異なって、
一般式:−COO−R10−CO−R11で示される基、又は、
一般式:−COO−R11で示される基、
(式中、R10及びR11は上記のとおり。);
は、H、OH又はC1−20のアルキル基;
及びRは、独立に、H又はC1−4のアルキル基;
を表す。
ただし、Rが−R11で示される基である場合は、Xは、エステル基、及びアミド基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基である。)
【請求項2】
11がC1−20のアルキル基である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
10がC1−20のアルキレン基である請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
MがH、Na、K、Li又はNHである請求項1、2又は3記載の化合物。
【請求項5】
MがNa、K又はNHである請求項1、2、3又は4記載の化合物。
【請求項6】
MがNHである請求項1、2、3、4又は5記載の化合物。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の化合物を含む界面活性剤。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の化合物を含む水系分散剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素含有カルボン酸、炭化水素含有スルホン酸、炭化水素含有硫酸エステル又はこれらの塩、界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、次の構造を有するジェミニ界面活性剤が記載されている。
【化1】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Durga P. Acharya、外3名、「Phase and Rheological Behavior of Novel Gemini−Type Surfactant Systems」、J.Phys.Chem.B、2004、108(5)、pp1790−1797
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な炭化水素含有カルボン酸、炭化水素含有スルホン酸、炭化水素含有硫酸エステル又はこれらの塩、界面活性剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一般式(1)で示されることを特徴とする化合物である。
一般式(1):
【化2】
【0006】
(式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。
また、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基;
は、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基;
を表す。
〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
ただし、Rがカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基のいずれをも含まない場合は、Xはカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基である。)
【0007】
上記化合物は、一般式(1−1)で示される化合物又は一般式(1−2)で示される化合物であることが好ましい。
【0008】
一般式(1−1):
【化3】
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
【0009】
一般式(1−2):
【化4】
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
【0010】
及びRは、いずれも、H又はC1−4のアルキル基であることが好ましい。
【0011】
MがH、Na、K、Li又はNHであることが好ましい。
【0012】
MがNa、K又はNHであることがより好ましい。
【0013】
MがNHであることが更に好ましい。
【0014】
本発明は、上記化合物を含む界面活性剤でもある。
【0015】
本発明は、上述の化合物を含む水系分散剤でもある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化合物は、界面活性作用を示す化合物であり、アニオン性界面活性剤や水系分散剤として好適に利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0018】
本明細書中、特に断りのない限り、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO−、
RaCO−、
RaSO−、
RaCOO−、
RaNRaCO−、
RaCONRa−、
RaSONRa−、
RaNRaSO−、
RaOCO−、及び
RaOSO
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
【0019】
また、本明細書中、特に断りのない限り、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、及び、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
【0020】
上記脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられる。
【0021】
上記芳香族基は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族基としては、炭素数6〜12、好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基、例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセチルアミノフェニル基、4−メタンスルホニルフェニル基等が挙げられる。
【0022】
上記ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記ヘテロ環基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜10の5〜6員へテロ環、例えば2−テトラヒドロフリル基、2−ピリミジル基等が挙げられる。
【0023】
上記アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアシル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、3−ピリジンカルボニル基等が挙げられる。
【0024】
上記アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜8のアシルアミノ基、総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
【0025】
上記脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(t)−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0026】
上記カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、へテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2〜5のアルキルカルバモイル基、例えばN−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0027】
上記脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1〜6、好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル等が挙げられる。
【0028】
上記芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6〜10のアリールスルホニル基、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。
【0029】
上記アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。
【0030】
上記アシルアミノ基は、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは総炭素原子数2〜8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
【0031】
上記脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2−ピリジンスルホンアミド基等であってもよい。
【0032】
上記スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1〜9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6〜11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のヘテロ環スルファモイル基、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4−ピリジンスルファモイル基等が挙げられる。
【0033】
上記脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
【0034】
上記芳香族アミノ基、へテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したへテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基、総炭素原子数1〜4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1〜4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2〜4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
【0035】
上記脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1〜8、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
【0036】
上記カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ、4−ピリジンカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
【0037】
本発明の化合物は、一般式(1)で示されることを特徴とする。
【0038】
一般式(1):
【化5】
【0039】
式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。R〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
【0040】
としての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0041】
としての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0042】
としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
【0043】
一価の置換基としては、一般式:−Y−Rで示される基、一般式:−X−Aで示される基、−H、置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基、−NH、−NHR(Rは有機基)、−OH、−COOR(Rは有機基)又は−OR(Rは有機基)が好ましい。上記アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。
【0044】
としては、C1−10のアルキル基又はC1−10のアルキルカルボニル基が好ましく、C1−4のアルキル基又はC1−4のアルキルカルボニル基がより好ましい。
【0045】
式中、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手を表す。
ただし、Rがカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基のいずれをも含まない場合は、Xはカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基である。
【0046】
Xとしては、−CO−、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−S(=O)−O−、−O−S(=O)−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む2価の連結基、C1−10のアルキレン基、又は、結合手が好ましい。RはH又は有機基を表す。
【0047】
としては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、Hが更に好ましい。
【0048】
式中、Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、RはH又は有機基である。4つのRは、同一でも異なっていてもよい。)を表す。
【0049】
としては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
【0050】
Mとしては、H、金属原子又はNRが好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNRがより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
【0051】
式中、Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基を表す。
【0052】
Yとしては、結合手、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基が好ましく、結合手、−COO−及び−OCO−からなる群より選択される2価の連結基がより好ましい。
【0053】
としては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、Hが更に好ましい。
【0054】
式中、Rは、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。上記Rの有機基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。
【0055】
のアルキル基は、炭素−炭素原子間にカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を1又は2以上含むことができるが、上記アルキル基の末端にこれらの基を含まない。上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0056】
としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−R11で示される基、
一般式:−R10−NRCO−R11で示される基、又は、
一般式:−R10−CONR−R11で示される基、
(式中、RはH又は有機基を表す。R10はアルキレン基、R11は置換基を有してもよいjアルキル基)が好ましい。
としては、一般式:−R10−CO−R11で示される基がより好ましい。
【0057】
としては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、Hが更に好ましい。
【0058】
10のアルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、20以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。また、R10のアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、3〜10が更に好ましい。
【0059】
11のアルキル基の炭素数は、1〜20であってよく、1〜15が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜8が更により好ましく、1〜6が殊更好ましく、1〜3が尚更に好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。また、上記R11のアルキル基は、1級炭素、2級炭素、3級炭素のみで構成されていることが好ましく、1級炭素、2級炭素のみで構成されるのが特に好ましい。すなわち、R11としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、特にメチル基が最も好ましい。
【0060】
本発明の化合物としては、一般式(1−1)で示される化合物、一般式(1−2)で示される化合物又は一般式(1−3)で示される化合物が好ましく、一般式(1−1)で示される化合物又は一般式(1−2)で示される化合物がより好ましい。
【0061】
一般式(1−1):
【化6】
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
【0062】
一般式(1−2):
【化7】
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
【0063】
一般式(1−3):
【化8】
(式中、R、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
【0064】
一般式:−X−Aで示される基としては、
−COOM、
−R12COOM、
−SOM、
−OSOM、
−R12SOM、
−R12OSOM、
−OCO−R12−COOM、
−OCO−R12−SOM、
−OCO−R12−OSO
−COO−R12−COOM、
−COO−R12−SOM、
−COO−R12−OSOM、
−CONR−R12−COOM、
−CONR−R12−SOM、
−CONR−R12−OSOM、
−NRCO−R12−COOM、
−NRCO−R12−SOM、
−NRCO−R12−OSOM、
−OS(=O)−R12−COOM、
−OS(=O)−R12−SOM、又は
−OS(=O)−R12−OSO
(式中、R及びMは、上記のとおり。R12はC1−10のアルキレン基。)が好ましい。
上記R12のアルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
【0065】
一般式:−Y−Rで示される基としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−COO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−COO−R11で示される基で示される基、
一般式:−NRCO−R10−CO−R11で示される基、又は、
一般式:−CONR−R10−NRCO−R11で示される基
(式中、R、R10及びR11は上記のとおり。)が好ましい。
【0066】
式中、R及びRとしては、独立に、H又はC1−4のアルキル基が好ましい。
上記R及びRのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0067】
一般式(1−1)におけるRとしては、H又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、Hが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0068】
一般式(1−3)におけるRとしては、H、OH又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H、OH又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、H又はOHが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0069】
本発明の化合物は、式:R−COOH(式中、Rは上述のとおり。)で示されるカルボン酸と、ハロゲン化剤とを反応させて、式:R−COZ(式中、Rは上述のとおり。Zはハロゲン原子。)で示されるカルボン酸ハライドを得る工程(11)、及び、
上記カルボン酸ハライドと、式:
【化9】
(式中、R〜R、X及びAは、上記のとおり。Z11は―CHO−、−O−又は−NH−。)で示される化合物を反応させて、式:
【化10】
(式中、R〜R、X、A及びZ11は、上記のとおり。)で示される化合物(12)を得る工程(12)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0070】
上記酸化合物の式におけるRとしては、一般式:−Z11H(式中、Z11は上記のとおり。)で示される基、又は、−Hが好ましい。Rが一般式:−Z11Hで示される基である場合、工程(12)において上記基が上記カルボン酸ハライドと反応し、一般式:−Z11−CO−R(式中、R及びZ11は上記のとおり。)で示される基が生成する。
【0071】
工程(11)で使用するハロゲン化剤としては、塩化オキサリル、塩化チオニル、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、Deoxo−Fluor(デオキソフルオル)、1,1,2,2−tetrafluoro−N,N−dimethylethylamine(TFEDMA)等が挙げられる。
【0072】
Zとしては、F又はClが好ましく、Clがより好ましい。
【0073】
工程(11)において、上記カルボン酸と上記ハロゲン化剤との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記カルボン酸1モルに対して、上記ハロゲン化剤が0.6〜5.0モルであることが好ましく、0.8〜2.0モルであることがより好ましい。また、0.5〜10モルであることが好ましく、0.6〜5.0モルであることがより好ましい。
【0074】
工程(11)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、エステル、ケトン、芳香族炭化水素、エーテル、含窒素極性有機化合物、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、ピリジン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
【0076】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0077】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0078】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0079】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0080】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0081】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0082】
工程(11)における反応の温度としては、0〜150℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。また、−78〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0083】
工程(11)における反応の圧力としては、0〜5MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0084】
工程(11)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0085】
工程(12)において、上記カルボン酸ハライドと上記酸化合物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記カルボン酸ハライド1モルに対して、上記酸化合物が0.5〜10モルであることが好ましく、0.6〜5.0モルであることがより好ましく、0.8〜2.0モルであることが更に好ましい。
【0086】
工程(12)における反応は、酸の存在下に実施することが好ましい。上記酸としては、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等があげられ、なかでも、硫酸が好ましい。
【0087】
工程(12)における上記酸の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記カルボン酸ハライド1モルに対して、0.00001〜1.0モルが好ましく、0.0001〜1.0モルがより好ましく、0.00005〜0.1モルが更に好ましく、0.001〜0.1モルが特に好ましい。
【0088】
工程(12)における反応の温度としては、0〜150℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。
【0089】
工程(12)における反応の圧力としては、0〜5MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0090】
工程(12)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0091】
本発明の化合物は、また、式:
【化11】
(式中、R〜Rは上記のとおり。Z11は−CHO−、−O−又は−NH−。)で示される化合物(20)と、式:
【化12】
(式中、nは1〜5の整数。)で示される酸無水物とを反応させて、式:
【化13】
(式中、R〜R、Z11、M及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(21)を得る工程(21)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0092】
化合物(20)の式におけるRとしては、一般式:−Z11H(式中、Z11は上記のとおり。)で示される基、又は、−Hが好ましい。Rが一般式:−Z11Hで示される基である場合、工程(21)において上記基が上記酸無水物と反応し、一般式:−Z11−CO−(CH−COOM(式中、Z11、M及びnは上記のとおり。)で示される基が生成する。化合物(20)は、上記式で示される構造を含むものであれば、塩酸塩、硫酸塩等であってもよい。
【0093】
工程(21)において、化合物(20)と上記酸無水物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(20)1モルに対して、上記酸無水物が0.5〜10モルであることが好ましく、0.6〜5.0モルであることがより好ましく、1.2〜10モルであることが更に好ましく、1.6〜4.0モルであることが特に好ましい。
【0094】
工程(21)における反応は、塩基の存在下で実施できる。
【0095】
上記塩基としては、アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0096】
上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられ、ピリジン又はトリエチルアミンが好ましい。
【0097】
工程(21)における反応の温度としては、0〜150℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。また、−78〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0098】
工程(21)における反応の圧力としては、0〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
【0099】
工程(21)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0100】
本発明の化合物は、また、式:
【化14】
(式中、R及びRは上記のとおり。)で示される酒石酸エステルと、式:R−NH(式中、R及びRは上記のとおり。)で示されるアミンとを反応させて、式:
【化15】
(式中、R〜R及びRは上記のとおり。)で示される化合物(31)を得る工程(31)、及び、
化合物(31)と式:
【化16】
(式中、Mは、上記のとおり。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
【化17】
(式中、R〜R、R及びMは上記のとおり。)で示される化合物(32)を得る工程(32)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0101】
工程(31)において、上記酒石酸エステルと上記アミンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記酒石酸エステル1モルに対して、上記アミンが0.5〜10モルであることが好ましく、0.6〜5.0モルであることがより好ましく、1.2〜5モルであることが更に好ましく、1.6〜5.0モルであることが特に好ましい。
【0102】
工程(31)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物又はニトリルが更に好ましい。
【0103】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0104】
上記エーテルとしては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0105】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0106】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0107】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
【0108】
工程(31)における反応の温度としては、0〜150℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。
【0109】
工程(31)における反応の圧力としては、0〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
【0110】
工程(31)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0111】
工程(32)において、化合物(31)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(31)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1.0〜50モルであることが好ましく、1.6〜20モルがより好ましい。
【0112】
工程(32)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等が挙げられ、なかでも、アミンが好ましい。
【0113】
工程(32)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミンが好ましい。
【0114】
工程(32)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(31)1モルに対して、0.1〜50モルが好ましく、1.0〜20モルがより好ましい。
【0115】
工程(32)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、ニトリル、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルホラン、含窒素極性有機化合物又はエーテルが更に好ましい。
【0116】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0117】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0118】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0119】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
【0120】
工程(32)における反応の温度としては、−78〜150℃が好ましく、−78〜100℃がより好ましく、−20〜100℃が更に好ましく、10〜50℃が特に好ましい。
【0121】
工程(32)における反応の圧力としては、0〜5MPaが好ましく、0.1〜1.0Paがより好ましい。
【0122】
工程(32)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0123】
本発明の化合物は、また、式:
【化18】
(式中、R及びR〜Rは上記のとおり。)で示されるアルコールと、式:
【化19】
(式中、nは1〜5の整数。)で示される酸無水物とを反応させて、式:
【化20】
(式中、R、R〜R、M及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(41)を得る工程(41)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0124】
工程(41)において、上記アルコールと上記酸無水物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルコール1モルに対して、上記酸無水物が0.5〜10モルであることが好ましく、0.6〜4.0モルであることがより好ましく、1.2〜4.0モルであることが更に好ましく、1.6〜4.0モルであることが特に好ましい。
【0125】
工程(41)における反応は、塩基の存在下で実施できる。
【0126】
上記塩基としては、アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0127】
上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられ、ピリジン又はトリエチルアミンが好ましい。
【0128】
工程(41)における反応の温度としては、−78〜150℃が好ましく、0〜150℃がより好ましく、0〜100℃が更に好ましく、20〜80℃が特に好ましい。
【0129】
工程(41)における反応の圧力としては、0〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
【0130】
工程(41)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0131】
本発明の化合物は、また、式:
【化21】
(式中、R及びRは上記のとおり。)で示される酒石酸エステルと、式:R−NH(式中、R及びRは上記のとおり。)で示されるアミンとを反応させて、式:
【化22】
(式中、R〜R及びRは上記のとおり。)で示される化合物(31)を得る工程(31)、及び、
化合物(31)と、式:
【化23】
(式中、nは1〜5の整数。)で示される酸無水物とを反応させて、式:
【化24】
(式中、R〜R、R、M及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(51)を得る工程(51)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0132】
工程(51)において、化合物(31)と上記酸無水物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(31)1モルに対して、上記酸無水物が0.5〜10モルであることが好ましく、0.6〜4.0モルであることがより好ましく、1.2〜4.0モルであることが更に好ましく、1.6〜4.0モルであることが特に好ましい。
【0133】
工程(51)における反応は、塩基の存在下で実施できる。
【0134】
上記塩基としては、アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0135】
上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられ、ピリジン又はトリエチルアミンが好ましい。
【0136】
工程(51)における反応の温度としては、−78〜150℃が好ましく、0〜150℃がより好ましく、0〜100℃が更に好ましく、20〜80℃が特に好ましい。
【0137】
工程(51)における反応の圧力としては、0〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
【0138】
工程(51)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0139】
本発明の化合物は、また、式:R−OH(式中、Rは上述のとおり。)で示されるアルコールと、フマル酸ハロゲン化物とを反応させて、式:
【化25】
(式中、Rは上述のとおり。)で示される化合物(61)を得る工程(61)、及び、
化合物(61)と、亜硫酸水素ナトリウムなどのスルホン酸化剤とを反応させて、式:
【化26】
(式中、R及びXは上述のとおり。)で示される化合物(62)を得る工程(62)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0140】
工程(61)で使用するフマル酸ハロゲン化物としては、フマリルクロリド、フマリルフルオリド、フマリルブロミド等が挙げられる。
【0141】
工程(61)において、上記アルコールと上記フマル酸ハロゲン化物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルコール1モルに対して、上記フマル酸ハロゲン化物が0.1〜10モルであることが好ましく、0.1〜2.0モルであることがより好ましく、0.1〜2.0モルであることが更に好ましく、0.2〜0.7モルであることが特に好ましい。
【0142】
工程(61)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、エステル、ケトン、芳香族炭化水素、エーテル、含窒素極性有機化合物、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、ピリジンまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0143】
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
【0144】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0145】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0146】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0147】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0148】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0149】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0150】
工程(61)における反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
【0151】
工程(61)における反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0152】
工程(61)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0153】
工程(62)では、二重結合を有する化合物(61)と亜硫酸水素ナトリウムなどのスルホン化剤との付加反応によって、化合物(62)が生成する。
【0154】
工程(62)において、化合物(61)と上記スルホン化剤との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(61)1モルに対して、上記スルホン化剤が0.5〜20.0モルであることが好ましく、0.6〜10.0モルであることがより好ましく、0.8〜10.0モルであることが更に好ましく、1.2〜10.0モルであることが特に好ましい。
【0155】
工程(62)は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水溶性溶媒が好ましく、水、アルコール、エーテル、ニトリル等が挙げられる。
【0156】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0157】
上記エーテルとしては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0158】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0159】
工程(62)における反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
【0160】
工程(62)における反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0161】
工程(62)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0162】
本発明の化合物は、また、式:
【化27】
(式中、R10、R11及びYは、上記のとおり。)で示される化合物(70)を硫酸エステル化して、式:
【化28】
(式中、R10、R11及びYは、上記のとおり。A100は−OH又は−OSOM。Mは上記のとおり。)で示される化合物(71)を得る工程(71)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0163】
工程(71)における硫酸エステル化は、化合物(70)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施できる。上記硫酸化試薬としては、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体等の三酸化硫黄アミン錯体、三酸化硫黄ジメチルホルムアミド錯体等の三酸化硫黄アミド錯体、硫酸−ジシクロヘキシルカルボジイミド、クロロ硫酸、濃硫酸、スルファミン酸等が挙げられる。上記硫酸化試薬の使用量としては、化合物(70)1モルに対して、0.5〜10モルが好ましく、0.5〜5モルがより好ましく、0.7〜4モルが更に好ましい。上記硫酸化試薬の使用量を調整することにより、化合物(20)が有する2つの−OH基の一方又は両方を硫酸エステル化させられる。
【0164】
工程(71)における硫酸エステル化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ピリジン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトリル等が挙げられる。
【0165】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0166】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0167】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0168】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0169】
工程(71)における硫酸エステル化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
【0170】
工程(71)における硫酸エステル化の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0.1〜5MPaがより好ましい。
【0171】
工程(71)における硫酸エステル化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0172】
化合物(70)は、また、式:
【化29】
(式中、R10及びYは、上記のとおり。R100は、アルキル基である。)で示される化合物(100)をヒドロキシ化して、式:
【化30】
(式中、R10、R100及びYは、上記のとおり。)で示される化合物(101)を得る工程(101)、及び、
化合物(101)を酸化して、化合物(70)を得る工程(102)を含む製造方法により製造できる。
【0173】
100としてのアルキル基は、R100−CH−として、上述したR11を構成する。
【0174】
工程(101)におけるヒドロキシ化は、例えば、(1)酸素雰囲気中で化合物(100)にフタロシアニン鉄(II)(Fe(Pc))及び水素化ホウ素ナトリウムを作用させる方法や、(2)化合物(100)にイソピノカンフェイルボラン(IpcBH)を作用させた後、得られる中間体(ジアルキルボラン)を酸化する方法により実施できる。
【0175】
方法(1)において、フタロシアニン鉄(II)の量は、触媒量であってよく、化合物(100)1モルに対して、0.001〜1.2モルの量で使用できる。
【0176】
方法(1)において、水素化ホウ素ナトリウムは、化合物(100)1モルに対して、0.5〜20モルの量で使用できる。
【0177】
方法(1)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、含窒素極性有機化合物等が挙げられる。
【0178】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0179】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0180】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0181】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0182】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0183】
方法(1)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
【0184】
方法(1)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0185】
方法(1)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0186】
方法(2)において、イソピノカンフェイルボランは、化合物(100)1モルに対して、0.1〜10.0モルの量で使用できる。
【0187】
化合物(100)とイソピノカンフェイルボランとの反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0188】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0189】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0190】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0191】
化合物(100)とイソピノカンフェイルボランとの反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
【0192】
化合物(100)とイソピノカンフェイルボランとの反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0193】
化合物(100)とイソピノカンフェイルボランとの反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0194】
方法(2)における酸化は、上記中間体に酸化剤を作用させることにより実施できる。上記酸化剤としては、過酸化水素等が挙げられる。上記酸化剤は、上記中間体1モルに対して、0.7〜10モルの量で使用できる。
【0195】
方法(2)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられ、なかでも水が好ましい。
【0196】
方法(2)における酸化の温度としては、−78〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましく、10〜80℃が更に好ましい。
【0197】
方法(2)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0198】
方法(2)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0199】
工程(102)において、化合物(101)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO/HSO)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5〜6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH、Al[OCH(CH等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
【0200】
工程(102)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水および有機溶媒が好ましく、水、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
【0201】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0202】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0203】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0204】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0205】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0206】
工程(102)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0207】
工程(102)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0208】
工程(102)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0209】
化合物(70)は、また、式:
【化31】
(式中、R10、R11及びYは、上記のとおり。R101は、有機基である。)で示される化合物(200)をオゾン分解して、化合物(70)を得る工程(201)を含む製造方法により製造できる。
【0210】
101としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。4個のR101は、同一でも異なっていてもよい。
【0211】
工程(201)におけるオゾン分解は、化合物(200)にオゾンを作用させた後、還元剤で後処理することにより実施できる。
【0212】
オゾンは、酸素ガス中の無声放電によって発生させることができる。
【0213】
上記後処理に用いる還元剤としては、亜鉛、ジメチルスルフィド、チオウレア、ホスフィン類等が挙げられ、なかでもホスフィン類が好ましい。
【0214】
工程(201)におけるオゾン分解は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水および有機溶媒が好ましく、水、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0215】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
【0216】
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【0217】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0218】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0219】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0220】
工程(201)におけるオゾン分解の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
【0221】
工程(201)におけるオゾン分解の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0222】
工程(201)におけるオゾン分解の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0223】
化合物(70)は、また、式:
【化32】
(式中、R10及びYは、上記のとおり。R100は、アルキル基である。)で示される化合物(300)をエポキシ化して、式:
【化33】
(式中、R10、R100及びYは、上記のとおり。)で示される化合物(301)を得る工程(301)、
化合物(301)と、R102CuLi(R102は、アルキル基)で示されるジアルキル銅リチウムとを反応させて、式:
【化34】
(式中、R10、R100、R102及びYは、上記のとおり。)で示される化合物(302)を得る工程(302)、及び、
化合物(302)を酸化して、化合物(70)を得る工程(303)を含む製造方法により製造できる。
【0224】
100及びR102としての上記アルキル基は、R100102−CH−として、上述したR11を構成する。
【0225】
2個のR100は、同一でも異なっていてもよい。2個のR102は、同一でも異なっていてもよい。
【0226】
工程(301)におけるエポキシ化は、化合物(300)にエポキシ化剤を作用させることにより実施できる。
【0227】
上記エポキシ化剤としては、メタクロロ過安息香酸(m−CPBA)、過安息香酸、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキソド等の過酸、ジメチルジオキシラン、メチルトリフルオロメチルジオキシラン等が挙げられ、なかでも過酸が好ましく、メタクロロ過安息香酸がより好ましい。
上記エポキシ化剤は、化合物(300)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
【0228】
工程(301)におけるエポキシ化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、ピリジン、含窒素極性有機化合物、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、なかでもジクロロメタンが好ましい。
【0229】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0230】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0231】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0232】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0233】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0234】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0235】
工程(301)におけるエポキシ化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
【0236】
工程(301)におけるエポキシ化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0237】
工程(301)におけるエポキシ化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0238】
工程(302)において、上記ジアルキル銅リチウムは、化合物(301)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
【0239】
工程(302)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0240】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0241】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0242】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0243】
工程(302)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
【0244】
工程(302)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0245】
工程(302)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0246】
工程(303)において、化合物(302)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO/HSO)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5〜6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH、Al[OCH(CH等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
【0247】
工程(303)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水および有機溶媒が好ましく、水、ケトン、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
【0248】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0249】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
【0250】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0251】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0252】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0253】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0254】
工程(303)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0255】
工程(303)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0256】
工程(303)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0257】
化合物(70)は、また、式:
【化35】
(式中、R10及びYは、上記のとおり。R100は、アルキル基である。)で示される化合物(400)を酸化して、化合物(70)を得る工程(401)を含む製造方法により製造できる。
【0258】
工程(401)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(400)に酸化剤を作用させることにより実施できる。
【0259】
上記酸化剤としては、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、トリフルオロメタンチオール銅等の一価または二価の銅塩、塩化鉄、酢酸鉄、シアン化鉄、トリフルオロメタンチオール鉄、ヘキサシアノ鉄等の鉄塩、1,4−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン等のベンゾキノン類、H、MnO、KMnO、RuO、m−クロロ過安息香酸、酸素等、またはそれらの組み合わせが挙げられる。なかでも、銅塩、鉄塩、ベンゾキノン類が好ましく、塩化銅、塩化鉄、1,4−ベンゾキノンがより好ましい。
上記酸化剤は、化合物(400)1モルに対して、0.001〜10モルの量で使用できる。
【0260】
上記水の量は、化合物(400)1モルに対して、0.5〜1000モルの量で使用できる。
【0261】
上記パラジウム化合物としては、二塩化パラジウムが挙げられる。上記パラジウム化合物の量は、触媒量であってよく、化合物(400)1モルに対して、0.0001〜1.0モルの量で使用できる。
【0262】
工程(401)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。
【0263】
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
【0264】
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられ、なかでも、シクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
【0265】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0266】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0267】
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【0268】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0269】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0270】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
【0271】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0272】
工程(401)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
【0273】
工程(401)における酸化の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0.1〜5.0MPaがより好ましい。
【0274】
工程(401)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0275】
化合物(100)、化合物(300)及び化合物(400)は、式:
【化36】
(式中、R10及びYは、上記のとおり。R100は、アルキル基である。)で示されるアルデヒドに還元剤を作用させて、化合物(100)を得る工程(501)を含む製造方法により製造できる。
【0276】
工程(501)では、還元的カップリング反応により、上記アルデヒトが二量化して、化合物(100)、化合物(300)及び化合物(400)が生成する。工程(501)で使用する還元剤としては、二ヨウ化サマリウム、二塩化チタン、三塩化バナジウム、四塩化チタン、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、銅、マグネシウム、亜鉛、ナトリウム、三塩化セリウム、酸化クロム、水素化トリフェニルスズ等が挙げられる。上記還元剤は組み合わせで用いてもよい。上記還元剤の使用量としては、上記アルデヒト1モルに対して、0.001〜10モルが好ましく、0.01〜5モルがより好ましく、0.1〜2モルが更に好ましい。
【0277】
工程(501)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、ピリジン、ニトリル、芳香族炭化水素等がより好ましい。
【0278】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0279】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0280】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0281】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0282】
工程(501)における反応は、アルコールの存在下で実施することが好ましい。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0283】
工程(501)における反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜100℃がより好ましい。
【0284】
工程(501)における反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
【0285】
工程(501)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
【0286】
上述したいずれの製造方法においても、各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。また、得られる化合物が−COOH、−SOH、−OSOH等のMがHである化合物である場合は、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリと接触させることにより、これらの基を塩型に変換できる。
【0287】
化合物(12)、化合物(21)、化合物(32)、化合物(41)、化合物(51)、化合物(62)及び化合物(71)は、それぞれ、新規化合物である。
【実施例】
【0288】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0289】
実施例1
反応器に4−oxopentanoic acid(50.8g)、塩化メチレン、触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、ここに室温撹拌下、塩化オキサリル(58.3g)の塩化メチレン溶液を滴下、さらに室温で撹拌した。撹拌終了後溶媒を留去する事で、1,4−dichloro−1,4−dioxobutane−2,3−diyl bis(4−oxopentanoate)58.5gを収率90%で得た。
【0290】
次に、反応器に1,4−dichloro−1,4−dioxobutane−2,3−diyl bis(4−oxopentanoate)(15.0g)、酒石酸(5.0g)、濃硫酸(0.14g)を加え、撹拌下、75℃で撹拌した。生成した反応混合物を再結晶する事で、目的物の前駆体である2,3−bis((4−oxopentanoyl)oxy)succinic acid 8.9g(収率77%)を得た。
【0291】
この2,3−bis((4−oxopentanoyl)oxy)succinic acid(173mg)のメタノール(MeOH)溶液に、冷却下2M NH in MeOH(0.5ml)を滴下、撹拌後、室温で減圧下溶媒留去し、目的のアンモニウム塩185mgを白色固体として得た。
【0292】
実施例2
反応器に5−methoxy−5−oxopentanoic acid(25.0g)、触媒量DMFを加え、室温下塩化チオニル(40.7g)を滴下ロートを用いて滴下。撹拌終了後、エバポレーターを用いてO,O’−(1,4−dichloro−1,4−dioxobutane−2,3−diyl) dimethyl diglutarateを収率90%で合成した。
【0293】
次に反応器を用いてO,O’−(1,4−dichloro−1,4−dioxobutane−2,3−diyl) dimethyl diglutarate(5.22g)、酒石酸(2.38g)、硫酸を加え70℃で撹拌した。撹拌後、精製し、目的生成物の2,3−bis((5−methoxy−5−oxopentanoyl)oxy)succinic acidを収率52%で得た。
【0294】
次に反応器に2,3−bis((5−methoxy−5−oxopentanoyl)oxy)succinic acid(3.23g)にMeOHを加え撹拌、室温下で2M NH in MeOH(7.95mL)を滴下した。撹拌後、乾燥させ、目的のアンモニウム塩を収率90%で得た。
【0295】
実施例3
反応器に酒石酸(19.1g)とMeOHを加えて撹拌。塩化チオニル(79.1g)を室温下で滴下。撹拌終了後溶媒留去し、酒石酸ジメチルを収率93%で得た。
【0296】
次に反応器に酒石酸ジメチル(4.0g)、無水コハク酸(4.49g)、ピリジン(3.54g)を加えて100℃で撹拌した。その後撹拌した後、トルエンを投入し、析出した固体を濾過し採取した。その後真空乾燥を実施し、4,4’−((1,4−dimethoxy−1,4−dioxobutane−2,3−diyl)bis(oxy))bis(4−oxobutanoic acid)を収率86%で得た。
【0297】
実施例4
反応器にレブリン酸クロライド(6.2g)、リンゴ酸(5.0g)、触媒量の濃硫酸を加え、撹拌下、70℃で12時間撹拌した。生成した固体状の反応混合物を精製し、2−((4−oxopentanoyl)oxy)succinic acid3.9g(収率45%)を得た。
【0298】
この2−((4−oxopentanoyl)oxy)succinic acid(186mg)のMeOH溶液に、2M NH in MeOH(0.8ml)を滴下、撹拌後、減圧下溶媒留去し、目的のアンモニウム塩210mgを白色固体として得た。
【0299】
実施例5
反応器に酒石酸ジエチル(8.24g)、N−アセチルエチレンジアミン(2.2eq.)、エタノールを加え、室温下にて撹拌した。アセトンを加えたのちに濾過し、中間体(N1,N4−bis(2−acetamidoethyl)−2,3−dihydroxysuccinamide)を得た(9.4g、74%)。つづいて、反応器に中間体(1.0g)、アセトニトリルを加え、氷浴下にてクロロスルホン酸(8eq.)を滴下した。室温下にて撹拌後濾過しスルホ体を得た。その後、水を加えたのちに炭酸ナトリウムを加え室温で撹拌したのちに濃縮し、sodium 2,7,10,15−tetraoxo−3,6,11,14−tetraazahexadecane−8,9−diyl bis(sulfate)を得た(1.0g、30%)。
【0300】
実施例6
10−ウンデセナール(1.1g)、テトラヒドロフラン(THF)(100mL)、メタノール(1mL)、ヨウ化サマリウム0.1M溶液(90mL)の混合物を室温下2時間撹拌した。塩酸(1M)溶液100mLに加え、ジエチルエーテルで抽出後、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、ドコサ−1,21−ジエン−11,12−ジオール(1.0g)を得た。得られたドコサ−1,21−ジエン−11,12−ジオールのスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl) δppm:1.08(J=6.8,m,10H)、1.32(m,2H)、1.45(m,2H)、1.98(s,3H)、2.33(J=7.6,t,2H)、3.83(J=6.5,t,2H)
【0301】
ドコサ−1,21−ジエン−11,12−ジオール(16g)、1,4−ベンゾキノン(10.2g)、DMF(160mL)、水(16mL)、PdCl(0.34g)の混合物を90℃で12時間加熱撹拌した。
【0302】
その後減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を1MNaOHaq/トルエン溶液で分液後、有機相を抽出し、溶媒を減圧下に留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、11,12−ジヒドロキシドコサ−2,21−ジオール(15.4g)を得た。得られた11,12−ジヒドロキシドコサ−2,21−ジオールのスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl) δppm:1.29−1.49(m,14H)、2.08(s,3H)、2.45(J=7.6,t,2H)、3.51(J=6.5,t,2H)
【0303】
11,12−ジヒドロキシドコサ−2,21−ジオール(13g)、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体(13.9g)、テトラヒドロフラン(140mL)の混合物を50℃下12時間撹拌した。ナトリウムメトキシド(3.8g)/メタノール溶液を反応液に滴下した。
【0304】
析出固体を減圧濾過し、2,21−ジオキソドコサ−11,12−ジイルビス硫酸ナトリウム(15.5g)を得た。得られた2,21−ジオキソドコサ−11,12−ジイルビス硫酸ナトリウムのスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl)δppm:1.08(J=6.8,m,10H)、1.32(m,2H)、1.45(m,2H)、1.98(s,3H)、2.33(J=7.6,t,2H)、3.83(J=6.5,t,2H)
【0305】
実施例7
5−methoxy−5−oxopentanoic acidの代わりに6−methoxy−6−oxohexanoic acidを使用した以外は、実施例2と同様の方法で、2,3−bis((6−methoxy−6−oxohexanoyl)oxy)succinic acidのアンモニウム塩を合成した。
【0306】
実施例8
5−methoxy−5−oxopentanoic acidの代わりに8−methoxy−8−oxooctanoic acidを使用した以外は、実施例2と同様の方法で、2,3−bis((8−methoxy−8−oxooctanoyl)oxy)succinic acidのアンモニウム塩を合成した。
【0307】
実施例9
5−methoxy−5−oxopentanoic acidを、6−methoxy−6−oxohexanoic acid及び8−methoxy−8−oxooctanoic acidに変更した点を除いて、実施例2と同様の方法で、2−((6−methoxy−6−oxohexanoyl)oxy)−3−((8−methoxy−8−oxooctanoyl)oxy)succinic acidのアンモニウム塩、2,3−bis((6−methoxy−6−oxohexanoyl)oxy)succinic acidのアンモニウム塩、及び、2,3−bis((8−methoxy−8−oxooctanoyl)oxy)succinic acidのアンモニウム塩の混合物を合成した。
【0308】
実施例10
反応器にDimethyl L−Aspartate Hydrochloride(8.1g)、無水コハク酸(5.0g)、トリエチルアミン(12.2g)、ジクロロメタンを加えて室温下にて撹拌した。その後、分液、再結晶の処理を行い、4−((1,4−dimethoxy−1,4−dioxobutan−2−yl)amino)−4−oxobutanoic acidを収率22%で得た。
【0309】
実施例11
3口フラスコに11−Hydroxy−undecan−2−one(587mg 3.15mmol)とトルエン(4ml)を投入し撹拌。その後室温下でフマリルクロリド(241mg 1.58mmol)を滴下した。
80℃加熱撹拌を3時間行った。反応終了後、トルエン溶媒をエバポレーターによって留去し、目的生成物のジエステル体を収率89%(637.8mg 1.41mmol)で得た。
次に3口フラスコ容器内にNaHSO(529mg 5.08mmol)、EtOH/HO/THF=20ml/20ml/10mlを投入し撹拌。ジエステル体(767mg 1.69mmol)を10mlのTHFに溶解し室温下滴下した。
【0310】
その後、反応溶液を還流下で3時間撹拌した。その後エバポレーターを用いて反応溶液の濃縮を行い、カラムクロマトグラフィーで精製し、収率88%(824mg 1.48mmol)で1,4−ジオキソ−1,4−ビス((10−オキソウンデシル)オキシ)ブタン−2−硫酸ナトリウム(824mg)を得た。
【0311】
実施例12
実施例6と同様の方法で三酸化硫黄トリエチルアミン錯体の量を13.9gから6.9gに変更することで12−hydroxy−2,21−dioxodocosan−11−yl hydrogen sulfateのナトリウム塩を合成した。
【0312】
実施例13
11−Hydroxy−undecan−2−oneの代わりに5−hydroxypentan−2−oneを使用した以外は、実施例11と同様の方法で、1,4−ジオキソ−1,4−ビス((10−オキソペンチル)オキシ)ブタン−2−硫酸ナトリウムを合成した。
【0313】
実施例14
11−Hydroxy−undecan−2−oneの代わりに7−hydroxyheptan−2−oneを使用した以外は、実施例11と同様の方法で、1,4−ジオキソ−1,4−ビス((6−オキソヘプチル)オキシ)ブタン−2−硫酸ナトリウムを合成した。
【0314】
実施例15
6−ヘプテン−1−オール48gのDMF 128ml、水26ml溶液に、p−ベンゾキノン 46g、塩化パラジウム 1.5gを加え、75℃で1.5時間加熱した。反応液を分液し、有機層を濃縮後、得られた粗体を減圧蒸留、さらに精製する事により、7−ヒドロキシヘプタン−2−オン 15g(収率 26%)を得た。4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボニルジクロライド 3gのTHF 10ml溶液を氷冷し、7−ヒドロキシヘプタン−2−オン3.8gの脱水THF15ml溶液を添加、さらにトリエチルアミン 2.9gをゆっくり添加後そのまま1時間、さらに室温で6時間撹拌した。反応混合物を分液後、濃縮した。得られた粗体を精製する事により、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス−(6−オキソヘプチル)エステル 4.1g(収率50%)を得た。4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス−(6−オキソヘプチル)エステル 1.8gの水27ml、アセトン27ml溶液に、氷冷下、60%硫酸水3.5ml、過マンガン酸カリウム 2.9gを添加、そのまま氷冷下2時間撹拌後ゆっくり昇温、室温で12時間撹拌した。析出物をろ別後、ろ過液を分液し、その後濃縮し、1.7gのジカルボン酸を得た。この粗体に水3mlを加え懸濁後、1N KOH水溶液6.8mlを添加し、減圧下濃縮した。この粗体を精製する事により、目的のジカルボン酸カリウム塩、3,4−ビス−(6−オキソヘプチロキシカルボニル)−ヘキサン二酸カリウム 0.96g(収率39%)を得た。
【0315】
実験例
各実施例で得られた化合物を表1に記載の濃度になるように水に溶解させ、表面張力を測定した。上記表面張力は、20℃で、ウィルヘルミー法により測定した。結果を表1に示す。
【0316】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0317】
本発明の化合物は、好適に水の表面張力を低下させることができる。
本発明の化合物は、界面活性剤として好適に使用できる。
本発明の化合物は、界面促進剤(特に、塗料、ラッカー、又は接着剤等における界面促進剤)として好適に使用できる。
本発明の化合物は、また例えば、粘性低下剤として好適に使用できる。
本発明の化合物は、また例えば、分散剤、特に水系分散剤として好適に使用できる。
本発明の化合物は、また例えば、乳化剤として好適に使用できる。