(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
なお、以下に示す説明において、監視システム40の検出手段44は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。監視システム40の検出手段44は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0015】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る監視方法を説明するための図である。本方法では、対象物の表面のうち塗料の塗膜20が付された領域から放射される赤外線が赤外線センサ42で検出される。塗膜20は、多孔質のセラミック粒子22と、バインダー24とを含み、セラミック粒子22は、A
aR
bAl
cO
4、A
aR
bGa
cO
4、R
xAl
yO
12、およびR
xGa
yO
12のいずれかの組成式で表される化合物を含む。ここで、AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素である。また、aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下である。そして、セラミック粒子22の空孔率は20%以上40%以下である。以下に詳しく説明する。
【0016】
図2(a)、
図2(b)、
図3(a)および
図3(b)は、対象物10の例を示す図である。対象物10はたとえば構造物10a、建築物10b、または移動体10cである。構造物10aとしては、橋、トンネル、路面、鉄柱、鉄塔、堤防、塀、プラットホーム、遊戯設備等が挙げられる。建築物10bとしては、ビル、家屋、倉庫、その他の施設等が挙げられる。移動体10cとしては、船舶、車両、航空機等が挙げられる。対象物10の表面を構成する材料としては、特に限定されないが、コンクリート、磁器、プラスチック、石、金属、木材等が挙げられる。対象物10は、
図2(a)の例において橋であり、
図2(b)の例においてトンネルであり、
図3(a)の例においてビルであり、
図3(b)の例において船舶である。各例において、たとえば対象物10の面11を監視対象とすることができる。
【0017】
赤外線センサ42はたとえばフォトダイオードを用いたセンサや赤外線カメラである。本実施形態に係る塗料に含まれるセラミック粒子22は、赤外線帯域の特定波長における光の放射率や透過率が小さいという特性を有する。したがって、赤外線センサ42で検出される赤外線強度は塗膜20の表面では小さい。一方、塗膜20に、割れ、亀裂、剥がれ、ヨレ等の欠陥が生じた場合、塗膜20の隙間からは赤外線が放射される。そして、赤外線センサ42の検出結果では、塗膜20が形成されている領域と、亀裂等が生じている領域とのコントラストが強く現れる。よって、微細なクラック等も容易に発見することができる。
【0018】
また、本実施形態に係る方法では、劣化検知のための振動センサや歪みセンサを設置する必要がなく、電源確保や電池交換の必要もない。赤外線センサ42を用いて所定のタイミングで(たとえば定期的に)、予め塗膜20が形成された表面を検査すればよい。たとえば赤外線センサ42を遠隔操作が可能な飛行体に取り付けて移動させながら検査を行うことで、人が作業しにくい場所の監視も可能となる。
【0019】
さらに、塗料の成分やセラミック粒子22の構造を調整することにより塗膜20の強度を調整し、対象物10の表面よりも塗膜20に欠陥が入りやすくしてもよい。そうすれば、実際に対象物10に、引っ張り応力、圧縮応力、歪み等の負荷によるヒビ等が生じる前に、その予兆を検知することができる。
【0020】
セラミックスは、特定波長領域において放射率が小さいという特性を持つ。しかし、セラミックスは透過性も有するために、セラミックスの裏面に存在する材料の放射を透過してしまうという課題があった。本実施形態に係る塗料に含まれるセラミック粒子22は、赤外線帯域の特定波長における光の放射率や透過率が小さいという特性を有する。具体的には、セラミック粒子22の空孔率が20%以上である。これにより、光が透過される前に赤外線を散乱させることができるため赤外線の透過が少ない。したがって、塗料を塗布した表面は特定波長における赤外線放出が少なくなる。
【0021】
セラミック粒子22は空孔と緻密部を有する。緻密部は、セラミック結晶の焼結体からなり、空孔は、セラミック結晶の隙間に形成されている。すなわち、セラミック粒子22は多結晶焼結体であるといえる。たとえば空孔は、セラミック粒子22の内部で連結しているが直線的に連続していない部分を含む。セラミック粒子22の空孔の大きさは特に限定されないが、たとえば空孔の断面積は5μm
2以下である。空孔の断面積は、たとえば電子顕微鏡でセラミック粒子22の断面を観察することで確認できる。
【0022】
塗膜20の熱放射特性の例について、以下に説明する。たとえば、本実施形態における塗膜20の800nm以上1100nm以下の波長領域における放射強度の最大値は、1100nmより長波長側の領域における放射強度の2倍以上であり、より好ましくは3倍以上である。ここで、放射強度を測定する温度は特に限定されず、全温度領域でこのような波長選択性を有する必要は無い。少なくとも一つの温度条件の下で塗膜20の熱放射特性が、上記の波長選択性を有していればよい。ただし、800nm以上1100nm以下の波長領域における放射強度を測定する温度と、1100nmより長波長側の領域における放射強度を測定する温度は同一とする。
【0023】
ここで、1100nmより長波長側の波長領域とは、たとえば1100nm超過1700nm以下の波長領域である。また、800nm以上1100nm以下の波長領域における放射強度の最大値が、1100nmより長波長側の波長領域における放射強度の2倍以上であるとは、たとえば800nm以上1100nm以下の波長領域における放射強度の最大値が、1100nmより長波長側の波長領域における放射強度の最大値の2倍以上であることをいう。
【0024】
上記した通り、セラミック粒子22は、A
aR
bAl
cO
4、A
aR
bGa
cO
4、R
xAl
yO
12、およびR
xGa
yO
12のいずれかの組成式で表される化合物を含む。この化合物はたとえば結晶である。特に、セラミック粒子22の主成分が上記の組成で表される結晶であることが好ましく、たとえばセラミック粒子22において、A
aR
bAl
cO
4、A
aR
bGa
cO
4、R
xAl
yO
12、およびR
xGa
yO
12のいずれかの組成式で表される結晶の含有率が75重量%以上であることが好ましい。ここで、AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素である。なかでもRはたとえばランタノイドとすることができる。ランタノイドはたとえばPr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、およびYbからなる群から選択される一以上である。ランタノイドイオンの放射は、例えばセンサやカメラのキャリブレーションに使用できる。また、RをランタノイドのYbとすることで、Yb
3+イオンの放射を示したまま、それ以外の近赤外領域の放射を低減できる。
【0025】
A
aR
bAl
cO
4またはA
aR
bGa
cO
4の組成で表される結晶はたとえばK
2NiF
4型構造を有する。また、R
xAl
yO
12またはR
xGa
yO
12の組成で表される結晶はたとえばガーネット型構造を有する。セラミック粒子22に含まれる結晶の組成および構造は、たとえばX線回折法によって確認できる。
【0026】
上記した通り、セラミック粒子22の空孔率は20%以上40%以下である。セラミック粒子22の空孔率を20%以上とすることにより対象物10からの放射の透過に起因する赤外線の放出を十分低減できる。また、セラミック粒子22の空孔率を40%以下とすることにより、塗料中でのセラミック粒子22の強度を保つことができると共に、R
3+の放射を保つことができる。セラミック粒子22の空孔率は35%以下であることがより好ましい。一方、塗膜20に欠陥が生じやすくし、対象物10の損傷の予兆を検知しやすくする観点から、セラミック粒子22の空孔率は25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。
【0027】
セラミック粒子22の「空孔率」は、セラミック粒子22の全体積に対するセラミック粒子22内に存在する隙間の全体積の割合である。空孔率は以下の式を用いて算出される。
空孔率=1−(セラミックの実密度/セラミックの理論密度)
【0028】
ここで、セラミック粒子22の空孔率の測定は、たとえば以下のように行うことができる。
【0029】
まず、セラミック粒子22の表面に樹脂を塗布し、乾燥させ、空気中での重量を測定する。次いで、樹脂を塗布したセラミック粒子22を液体中に入れ、液体中での重量を測定する。これらを用いて、セラミック粒子22の実密度を測定する。
【0030】
また、セラミック粒子22の重量、結晶構造、体積から理論密度を計算により求める。セラミック粒子22の理論密度は、セラミック粒子22に空孔が存在しないと仮定した場合の理論的な密度である。上記の実密度と理論密度とを用いて、セラミック粒子22の空孔率を求めることができる。
【0031】
本測定において、セラミック粒子22の表面に樹脂を塗布することにより、空孔への液体の侵入を防ぐことができる。セラミック粒子22の表面に塗布する樹脂の種類は特に限定されない。ただし、表面に塗布することから、比重が小さく粘性の高いものであることが好ましい。また、アルキメデス法に用いる液体と反応しないことが好ましい。樹脂としては、例えばアクリル樹脂やセルロース系樹脂などを用いることができる。
【0032】
セラミック粒子22はたとえば以下のように製造できる。セラミック粒子22に含まれる元素を含有する複数の材料、たとえば酸化物を準備し、上記したいずれかの組成式の結晶を得るような量論比に秤量する。ただし、空気中での安定性の観点から、アルカリ土類金属の元素を含有する材料としては、炭酸塩が好適に用いられる。アルカリ土類金属の炭酸塩は、空気中での焼成時に酸化物に変化するので、アルカリ土類金属の量論比で秤量すればよい。
【0033】
そして、材料を混合して焼成することにより多結晶体を得る。その後、多結晶体を粉砕して一次粒子を得る。さらに一次粒子をプレス成型してたとえば再度焼成(焼結)し、ペレットを得る。ペレットを粗く砕くことにより、セラミック粒子22が得られる。
【0034】
多結晶体を粉砕して得る一次粒子は、その粒径サイズが大きいことが好ましい。そうすれば一次粒子と一次粒子との間に隙間が形成されやすく、大きな空孔を作ることができる。くわえて、塗膜20に欠陥が生じやすくすることができ、対象物10の損傷の予兆を検知しやすくなる。
【0035】
また、一次粒子は、粒径ばらつきが大きいことが好ましい。粒径の小さな粒子を含むことにより、一次粒子と一次粒子との連結が容易になるため焼結しやすくなる。一方、一次粒子の粒径ばらつきが小さく、かつ、粒径サイズが大きい場合には、高温下または長時間での焼結が必要となる。なお、空孔率と焼結時間とのバランスを考慮して、粒径の大きな粒子の割合が、粒径の小さな粒子の割合よりも多いことが好ましい。
【0036】
また、たとえば一次粒子の粒径やプレス成型での圧力、ペレット形成時の焼成温度等を調整することにより、セラミック粒子22の空孔率を調整することができる。たとえば、セラミック粒子22に含まれる化合物が組成式A
aR
bAl
cO
4で表される場合、ペレット形成時の焼結温度は1350℃以上1400℃以下であることが好ましい。また、セラミック粒子22に含まれる化合物が組成式A
aR
bGa
cO
4で表される場合、ペレット形成時の焼結温度は1250℃以上1300℃以下であることが好ましい。焼結温度を下限以上とすることで、焼結時間を短く抑え、コスト低減が図れる。焼結温度を上限以下とすることで、空孔率が低下したり、焼成体が溶融したりすることなく、好適な空孔率の焼結体を安定して得られる。
【0037】
セラミック粒子22の粒径は特に限定されないが、セラミック粒子22の粒径分布曲線における最大ピークは、5μm以上100μm以下の範囲内に位置することが好ましい。そうすれば、セラミック粒子22が対象物10に対して均一に固定されやすくなるとともに、塗膜20に欠陥が生じやすくなり、対象物10の損傷の予兆を検知しやすくすることができる。セラミック粒子22の粒径分布曲線における最大ピークは、10μm以上60μm以下の範囲内に位置することがより好ましく、20μm以上50μm以下の範囲内に位置することがさらに好ましい。
【0038】
また、塗料の塗膜20に対するセラミック粒子22の含有率は、75重量%以上92重量%以下であることが好ましい。そうすれば、バインダー24でセラミック粒子22を十分結合することができるとともに、対象物10からの赤外線をセラミック粒子22で十分遮蔽できる。塗料の塗膜20に対するセラミック粒子22の含有率は、たとえば塗料の塗膜20を高温加熱し、バインダー24等の成分を灰化させ、その後、灰化の前後の重量の比率を計算することにより求めることができる。
【0039】
バインダー24は塗料の塗膜20においてセラミック粒子22を互いに結合する。たとえばバインダー24は樹脂を含む。セラミック粒子22の赤外線帯域における光の放射率や透過率を低く維持するために、塗料および塗料の塗膜20において、セラミック粒子22の空孔にはバインダー24が入り込んでいないことが好ましい。ただし、バインダー24の状態は特に限定されず、バインダー24は塗料および塗料の塗膜20の少なくとも一方において、セラミック粒子22の空孔の少なくとも一部に入り込んでいても良い。また、バインダー24の屈折率は1.0以上1.4以下であることが好ましい。バインダー24の屈折率が1.0以上1.4以下であれば、空孔にバインダー24が入り込んだ場合にもセラミック粒子22の赤外線帯域における光の透過抑制効果に対する影響が小さい。
【0040】
バインダー24としては、フッ素樹脂が挙げられる。なかでもバインダー24は非晶性フッ素樹脂を含むことが好ましく、非晶性フッ素樹脂であることがより好ましい。そうすれば、バインダー24の屈折率を低くすることができる。
【0041】
バインダー24の光の吸収率は1200nm以上1700nm以下の波長範囲にわたって、0.1以下であることが好ましい。物質の吸収率と放射率とは等しくなることから、1200nm以上1700nm以下の波長範囲における吸収率を0.1以下とすることにより、バインダー24の赤外線の放射率を低くすることができる。ひいては、塗膜20の赤外線の放射を低減することができる。
【0042】
塗料は、セラミック粒子22およびバインダー24の他に顔料、溶剤、可塑剤、分散材、増粘剤、その他の添加剤を含んでも良い。これらの添加剤の含有量の合計は、たとえば塗料の塗膜20に対して5重量%以下である。
【0043】
塗料は、セラミック粒子22、バインダー24および必要に応じてその他の成分を混合することにより得ることができる。
【0044】
塗料は、対象物10の表面に塗布して用いることができる。対象物10はバインダー24が固化又は硬化することにより塗料の塗膜20で覆われる。そうすると、たとえば対象物10を撮像した赤外線検出画像において、塗膜20のクラック等を容易に発見でき、ひいては、対象物10の損傷を早期に発見したり、対象物10の損傷の予兆を検知したりすることができる。
【0045】
対象物10からの赤外線の透過を抑制する観点から、塗膜20の厚さは50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。一方、塗膜20の厚さは500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。そうすれば、塗膜20に欠陥が生じやすくすることができ、対象物10の損傷の予兆を検知しやすくなる。
【0046】
図4は、本実施形態に係る監視システム40の機能構成を例示するブロック図である。本実施形態の監視方法は、たとえば以下のような監視システム40により実現される。監視システム40は、赤外線センサ42および検出手段44を備える。赤外線センサ42は、対象物10の表面のうち塗料の塗膜20が付された領域から放射される赤外線を検出する。検出手段44は、赤外線センサ42の検出結果を分析することにより、塗膜20の劣化を検出する。上記した通り、塗膜20は、多孔質のセラミック粒子22と、バインダー24とを含み、セラミック粒子22は、A
aR
bAl
cO
4、A
aR
bGa
cO
4、R
xAl
yO
12、およびR
xGa
yO
12のいずれかの組成式で表される化合物を含む。ここで、AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素である。また、aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下である。そして、セラミック粒子22の空孔率は20%以上40%以下である。以下に詳しく説明する。
【0047】
検査対象とする領域の少なくとも一部には、塗膜20が予め形成されている。赤外線センサ42が赤外線カメラである場合、赤外線センサ42は検出結果として画像データを出力する。この画像では、検出された赤外線強度に応じたコントラストが示されている。
【0048】
図5は、監視システム40のハードウエア構成を例示する図である。本図において、検出手段44は集積回路100を用いて実装されている。集積回路100は、例えば SoC(System On Chip)である。
【0049】
集積回路100は、バス102、プロセッサ104、メモリ106、ストレージデバイス108、入出力インタフェース110、及びネットワークインタフェース112を有する。バス102は、プロセッサ104、メモリ106、ストレージデバイス108、入出力インタフェース110、及びネットワークインタフェース112が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ104などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ104は、マイクロプロセッサなどを用いて実現される演算処理装置である。メモリ106は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現されるメモリである。ストレージデバイス108は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを用いて実現されるストレージデバイスである。
【0050】
入出力インタフェース110は、集積回路100を周辺デバイスと接続するためのインタフェースである。本図において、入出力インタフェース110には赤外線センサ42、表示部46、および入力部48が接続されている。表示部46は、たとえば検出手段44の処理結果を表示するモニタであり、入力部48は、たとえば検出手段44に処理を指示する入力装置である。
【0051】
ネットワークインタフェース112は、集積回路100を通信網に接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えば CAN(Controller Area Network)通信網である。なお、ネットワークインタフェース112が通信網に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0052】
ストレージデバイス108は、検出手段44の機能を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ104は、このプログラムモジュールをメモリ106に読み出して実行することで、検出手段44の機能を実現する。
【0053】
集積回路100のハードウエア構成は本図に示した構成に限定されない。例えば、プログラムモジュールはメモリ106に格納されてもよい。この場合、集積回路100は、ストレージデバイス108を備えていなくてもよい。
【0054】
図4に戻り、監視システム40の動作について以下に説明する。監視システム40において、赤外線センサ42は固定カメラでも良いし、撮像する領域を変化させることができる可動カメラでも良い。
【0055】
検出手段44は赤外線センサ42から画像データを取得し、処理することで、塗膜20の劣化を検出し、対象物10の劣化の有無を監視する。検出手段44が塗膜20の劣化を検出する方法の例について、以下に説明する。
【0056】
図6は、赤外線センサ42により得られた画像の例を示す図である。本図において、検出された強度が高い部分を黒で、低い部分を白で表してる。たとえば、塗膜20が形成されている領域は、赤外線の放射や透過が少ないことから、画像中で白く表示される。一方、塗膜20にひび割れが生じた場合、本図のように塗膜20に隙間ができ、対象物10からの赤外線の透過が大きくなる。したがって、赤外線が強い強度で検出され、黒く表示される。
【0057】
たとえば検出手段44は具体的には赤外線センサ42から取得した画像を二値化する。そして、二値化した画像のうち、赤外線強度が高い領域を、塗膜20が形成されていない領域として抽出する。ここで、塗膜20が形成されている領域における赤外線の検出強度は特に小さいことから、塗膜20が形成されている領域と、形成されていない領域とを低ノイズで分離することができる。
【0058】
さらに検出手段44は、抽出した塗膜20が形成されていない領域の面積を画像から算出し、算出した面積が予め定められた基準面積よりも大きい場合、対象物10に劣化が生じていると判定する。基準面積を示す情報は、たとえば予めストレージデバイス108に保持されており、それを検出手段44が読み出して用いることができる。なお、対象物10に劣化が生じている場合とは、対象物10にすでにヒビや割れなどの欠陥が生じている場合と、まだ対象物10に欠陥は生じていないが近いうちに欠陥が生じると推測される場合とを含んでよい。また、検出手段44は、画像に対してパターンマッチングを行い、ヒビや剥がれを検出してもよい。
【0059】
また、検出手段44は、塗膜20が形成されていない領域の形状パターンに基づいて、対象物10に加わっている負荷の種類を判定してもよい。たとえば、二値化した画像に対して予めストレージデバイス108に記憶されたパターンでのマッチング処理を行う。具体的にはたとえば検出手段44は、塗膜20が形成されていない領域がおよそ平行な方向の線状領域を複数含む場合、対象物10にせん断応力や引張応力が加わっていると判定し、塗膜20が形成されていない領域が面状領域、すなわち、塗膜20が剥がれた領域を含む場合、対象物10に圧縮応力が加わっていると判定できる。
【0060】
また、本実施形態に係る監視方法は、以下のような構造物10a、建築物10b、または移動体10cを用いて実現される。構造物10a、建築物10b、または移動体10cは、表面の少なくとも一部に塗料の塗膜20を有する。上記した通り、塗膜20は、多孔質のセラミック粒子22と、バインダー24とを含み、セラミック粒子22は、A
aR
bAl
cO
4、A
aR
bGa
cO
4、R
xAl
yO
12、およびR
xGa
yO
12のいずれかの組成式で表される化合物を含む。ここで、AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素である。また、aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下である。そして、セラミック粒子22の空孔率が20%以上40%以下である。
【0061】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態に係る監視方法によれば、セラミック粒子22は赤外線の放出が少ない。また、対象物10からの赤外線もセラミック粒子22が散乱(反射)することにより遮ることができる。したがって、塗膜20の表面からは赤外線放出が少なくなる。そして、対象物10に予めこのような塗膜20を形成し、赤外線センサや赤外線カメラによる検出を行うことにより、対象物10の劣化を容易に検知することができる。
【実施例】
【0062】
以下、本実施形態を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0063】
図7は、実施例に係るYb
3Al
5O
12ペレットの放射特性を示す図である。本図中、1107℃のSiCセラミックスの表面からの放射強度を実線で示し、1070℃のYb
3Al
5O
12ペレットの表面からの放射強度を破線で示している。SiCセラミックスは、放射率約0.9の灰色体である。Yb
3Al
5O
12ペレットは、Yb
3Al
5O
12の組成式で表される結晶の多結晶焼結体であり、ペレット状に成形されている。Yb
3Al
5O
12ペレットの測定では、ペレット裏面に熱源となるSiCセラミックスを設置して測定した。本図では、SiCからの放射がペレットを透過した成分も、ペレットからの放射とみなして示している。
【0064】
図8は、Yb
3Al
5O
12ペレットの表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。本図から、ペレットが一次粒子からなる緻密部222aと、空孔221aとを有することが分かる。
【0065】
図7から分かるように、各スペクトルはYb
3+の4f電子の
2F
5/2→
2F
7/2遷移に相当するピークを800nm以上1200nm以下の波長範囲に有する。そして、1200nm以上1700nm以下の波長帯の放射率が特に低くなっている。なお、空孔率が保持される限り、ペレットに限らず、粒子状の多結晶であっても同様の特性を奏する。
【0066】
本ペレットを粉砕して、セラミック粒子を得、バインダーと混合して実施形態で説明したような塗料を作製した。なお、セラミック粒子の空孔率は20%以上40%以下の範囲内であった。この塗料を基材に塗布して赤外線カメラで撮影したところ、塗料を塗布していない場合に比べて検出される赤外線強度が小さかった。
【0067】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0068】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
1−1.
対象物の表面のうち塗料の塗膜が付された領域から放射される赤外線を赤外線センサで検出し、
前記塗膜は、多孔質のセラミック粒子と、バインダーとを含み、
前記セラミック粒子は、A
aR
bAl
cO
4、A
aR
bGa
cO
4、R
xAl
yO
12、およびR
xGa
yO
12のいずれかの組成式で表される化合物を含み、
AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、
Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素であり、
aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下であり、
前記セラミック粒子の空孔率が20%以上40%以下である監視方法。
1−2. 1−1.に記載の監視方法において、
前記塗膜の厚さは200μm以下である監視方法。
1−3. 1−1.または1−2.に記載の監視方法において、
前記セラミック粒子の粒径分布曲線における最大ピークは、5μm以上100μm以下の範囲内に位置する監視方法。
1−4. 1−1.から1−3.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記セラミック粒子の空孔率が30%以上である監視方法。
1−5. 1−1.から1−4.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記塗膜に対する前記セラミック粒子の含有率は、75重量%以上92重量%以下である監視方法。
1−6. 1−1.から1−5.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記バインダーの屈折率は1.0以上1.4以下である監視方法。
1−7. 1−1.から1−6.のいずれか一つに記載の監視方法において、
1200nm以上1700nm以下の波長範囲にわたって、前記バインダーの光の吸収率が0.1以下である監視方法。
1−8. 1−1.から1−7.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記バインダーは樹脂を含む監視方法。
1−9. 1−8.に記載の監視方法において、
前記バインダーは、非晶性フッ素樹脂を含む監視方法。
1−10. 1−1.から1−9.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記セラミック粒子は多結晶焼結体である監視方法。
1−11. 1−1.から1−10.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記対象物は、構造物、建築物、または移動体である監視方法。
2−1. 対象物の表面のうち塗料の塗膜が付された領域から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、
前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記塗膜の劣化を検出する検出手段とを備え、
前記塗膜は、多孔質のセラミック粒子と、バインダーとを含み、
前記セラミック粒子は、A
aR
bAl
cO
4、A
aR
bGa
cO
4、R
xAl
yO
12、およびR
xGa
yO
12のいずれかの組成式で表される化合物を含み、
AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、
Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素であり、
aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下であり、
前記セラミック粒子の空孔率が20%以上40%以下である監視システム。
2−2. 2−1.に記載の監視システムにおいて、
前記塗膜の厚さは200μm以下である監視システム。
2−3. 2−1.または2−2.に記載の監視システムにおいて、
前記セラミック粒子の粒径分布曲線における最大ピークは、5μm以上100μm以下の範囲内に位置する監視システム。
2−4. 2−1.から2−3.のいずれか一つに記載の監視システムにおいて、
前記セラミック粒子の空孔率が30%以上である監視システム。
2−5. 2−1.から2−4.のいずれか一つに記載の監視システムにおいて、
前記塗膜に対する前記セラミック粒子の含有率は、75重量%以上92重量%以下である監視システム。
2−6. 2−1.から2−5.のいずれか一つに記載の監視システムにおいて、
前記バインダーの屈折率は1.0以上1.4以下である監視システム。
2−7. 2−1.から2−6.のいずれか一つに記載の監視システムにおいて、
1200nm以上1700nm以下の波長範囲にわたって、前記バインダーの光の吸収率が0.1以下である監視システム。
2−8. 2−1.から2−7.のいずれか一つに記載の監視システムにおいて、
前記バインダーは樹脂を含む監視システム。
2−9. 2−8.に記載の監視システムにおいて、
前記バインダーは、非晶性フッ素樹脂を含む監視システム。
2−10. 2−1.から2−9.のいずれか一つに記載の監視システムにおいて、
前記セラミック粒子は多結晶焼結体である監視システム。
2−11. 2−1.から2−10.のいずれか一つに記載の監視システムにおいて、
前記対象物は、構造物、建築物、または移動体である監視システム。
3−1. 表面の少なくとも一部に塗料の塗膜を有し、
前記塗膜は、多孔質のセラミック粒子と、バインダーとを含み、
前記セラミック粒子は、A
aR
bAl
cO
4、A
aR
bGa
cO
4、R
xAl
yO
12、およびR
xGa
yO
12のいずれかの組成式で表される化合物を含み、
AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、
Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素であり、
aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下であり、
前記セラミック粒子の空孔率が20%以上40%以下である構造物、建築物または移動体。
3−2. 3−1.に記載の構造物、建築物または移動体において、
前記塗膜の厚さは200μm以下である構造物、建築物または移動体。
3−3. 3−1.または3−2.に記載の構造物、建築物または移動体において、
前記セラミック粒子の粒径分布曲線における最大ピークは、5μm以上100μm以下の範囲内に位置する構造物、建築物または移動体。
3−4. 3−1.から3−3.のいずれか一つに記載の構造物、建築物または移動体において、
前記セラミック粒子の空孔率が30%以上である構造物、建築物または移動体。
3−5. 3−1.から3−4.のいずれか一つに記載の構造物、建築物または移動体において、
前記塗膜に対する前記セラミック粒子の含有率は、75重量%以上92重量%以下である構造物、建築物または移動体。
3−6. 3−1.から3−5.のいずれか一つに記載の構造物、建築物または移動体において、
前記バインダーの屈折率は1.0以上1.4以下である構造物、建築物または移動体。
3−7. 3−1.から3−6.のいずれか一つに記載の構造物、建築物または移動体において、
1200nm以上1700nm以下の波長範囲にわたって、前記バインダーの光の吸収率が0.1以下である構造物、建築物または移動体。
3−8. 3−1.から3−7.のいずれか一つに記載の構造物、建築物または移動体において、
前記バインダーは樹脂を含む構造物、建築物または移動体。
3−9. 3−8.に記載の構造物、建築物または移動体において、
前記バインダーは、非晶性フッ素樹脂を含む構造物、建築物または移動体。
3−10. 3−1.から3−9.のいずれか一つに記載の構造物、建築物または移動体において、
前記セラミック粒子は多結晶焼結体である構造物、建築物または移動体。
4−1. 対象物の表面のうち塗料の塗膜が付された領域から放射される赤外線を赤外線センサで検出し、
前記塗膜は、多孔質のセラミック粒子と、バインダーとを含み、
前記セラミック粒子は、AaRbAlcO4、AaRbGacO4、RxAlyO12、およびRxGayO12のいずれかの組成式で表される化合物を含み、
AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、
Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素であり、
aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下であり、
前記セラミック粒子の空孔率が20%以上40%以下である監視方法。
4−2. 4−1.に記載の監視方法において、
前記塗膜の厚さは200μm以下である監視方法。
4−3. 4−1.または4−2.に記載の監視方法において、
前記セラミック粒子の粒径分布曲線における最大ピークは、5μm以上100μm以下の範囲内に位置する監視方法。
4−4. 4−1.から4−3.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記セラミック粒子の空孔率が30%以上である監視方法。
4−5. 4−1.から4−4.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記塗膜に対する前記セラミック粒子の含有率は、75重量%以上92重量%以下である監視方法。
4−6. 4−1.から4−5.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記バインダーの屈折率は1.0以上1.4以下である監視方法。
4−7. 4−1.から4−6.のいずれか一つに記載の監視方法において、
1200nm以上1700nm以下の波長範囲にわたって、前記バインダーの光の吸収率が0.1以下である監視方法。
4−8. 4−1.から4−7.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記バインダーは樹脂を含む監視方法。
4−9. 4−8.に記載の監視方法において、
前記バインダーは、非晶性フッ素樹脂を含む監視方法。
4−10. 4−1.から4−9.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記セラミック粒子は多結晶焼結体である監視方法。
4−11. 4−1.から4−10.のいずれか一つに記載の監視方法において、
前記対象物は、構造物、建築物、または移動体である監視方法。
4−12. 4−1.から4−11.のいずれか一つに記載の監視方法において、
検出手段によって、前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記塗膜の劣化を検出する監視方法。
4−13. 4−12.に記載の監視方法において、
前記検出手段によって、前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記塗膜が形成されていない領域の面積を算出し、算出された面積に基づいて、前記塗膜の劣化の有無を判定する監視方法。
4−14. 4−13.に記載の監視方法において、
前記検出手段によって、前記赤外線センサにより得られた画像を二値化し、二値化された画像に基づいて、前記塗膜が形成されていない領域の面積を算出する監視方法。
4−15. 4−1.から4−11.のいずれか一つに記載の監視方法において、
検出手段によって、前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記対象物に加わっている負荷の種類を判定する監視方法。
4−16. 4−15.に記載の監視方法において、
前記検出手段によって、前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記塗膜が形成されていない領域の形状パターンを抽出し、抽出された形状パターンに基づいて、前記負荷の種類を判定する監視方法。
4−17. 4−16.に記載の監視方法において、
前記検出手段によって、前記赤外線センサにより得られた画像を二値化し、二値化された画像に基づいて、前記塗膜が形成されていない領域の形状パターンを抽出する監視方法。
4−18. 対象物の表面のうち塗料の塗膜が付された領域から放射される赤外線を検出する赤外線センサを備え、
前記塗膜は、多孔質のセラミック粒子と、バインダーとを含み、
前記セラミック粒子は、AaRbAlcO4、AaRbGacO4、RxAlyO12、およびRxGayO12のいずれかの組成式で表される化合物を含み、
AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、
Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素であり、
aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下であり、
前記セラミック粒子の空孔率が20%以上40%以下である監視システム。
4−19. 4−18.に記載の監視システムにおいて、
前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記塗膜の劣化を検出する検出手段をさらに備える監視システム。
4−20. 4−19.に記載の監視システムにおいて、
前記検出手段は、前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記塗膜が形成されていない領域の面積を算出し、算出された面積に基づいて、前記塗膜の劣化の有無を判定する監視システム。
4−21. 4−20.に記載の監視システムにおいて、
前記検出手段は、前記赤外線センサにより得られた画像を二値化し、二値化された画像に基づいて、前記塗膜が形成されていない領域の面積を算出する監視システム。
4−22. 4−18.に記載の監視システムにおいて、
前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記対象物に加わっている負荷の種類を判定する検出手段をさらに備える監視システム。
4−23. 4−22.に記載の監視システムにおいて、
前記検出手段は、前記赤外線センサの検出結果を分析することにより、前記塗膜が形成されていない領域の形状パターンを抽出し、抽出された形状パターンに基づいて、前記負荷の種類を判定する監視システム。
4−24. 4−23.に記載の監視システムにおいて、
前記検出手段は、前記赤外線センサにより得られた画像を二値化し、二値化された画像に基づいて、前記塗膜が形成されていない領域の形状パターンを抽出する監視システム。
4−25. 表面の少なくとも一部に塗料の塗膜を有し、
前記塗膜は、多孔質のセラミック粒子と、バインダーとを含み、
前記セラミック粒子は、AaRbAlcO4、AaRbGacO4、RxAlyO12、およびRxGayO12のいずれかの組成式で表される化合物を含み、
AはCa、Sr、およびBaからなる群から選択される一以上の元素であり、
Rは希土類元素からなる群から選択される一以上の元素であり、
aは0.9以上1.1以下であり、bは0.9以上1.1以下であり、cは0.9以上1.1以下であり、xは2.9以上3.1以下であり、yは4.9以上5.1以下であり、
前記セラミック粒子の空孔率が20%以上40%以下である構造物、建築物または移動体。
【0069】
この出願は、2016年12月7日に出願された日本出願特願2016−237665号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。