【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、総務省「巨大データ流通を支える次世代光ネットワーク技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光信号を伝送する伝送路の特性を基に信号の帯域幅の狭窄の度合いを示すパラメータとして設定された帯域狭窄パラメータに基づいて送信側において各チャネルの信号の帯域幅をボーレート以下に狭窄するスペクトル整形が帯域狭窄フィルタ処理として施され、ボーレート以下の間隔で波長多重化された多重信号を受信し、前記チャネルごとの前記光信号に分離する分離手段と、
前記伝送路の特性を基に設定された前記チャネルごとの前記光信号の中心波長と前記中心波長の間隔の情報を波長多重間隔パラメータとして取得し、それぞれ割り当てられた前記チャネルの前記光信号を、前記波長多重間隔パラメータに基づいて電気信号に変換して受信信号として出力する光/電気変換手段と、前記帯域狭窄パラメータを取得し、前記帯域狭窄パラメータを基に前記受信信号に送信側で施した前記帯域狭窄フィルタ処理とは逆特性の処理を帯域復元フィルタ処理として施す際のフィルタ係数を算出する受信係数演算手段と、受信係数演算手段が算出した前記フィルタ係数を基に前記受信信号に前記帯域復元フィルタ処理を施して前記受信信号の帯域を復元する帯域復元手段とを有する複数の光受信手段と
を備えることを特徴とする受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光通信システムは、送信装置10と受信装置20を備えている。送信装置10と受信装置20は、伝送路400を介して接続されている。
【0017】
送信装置10の構成について説明する。
図2は、本実施形態の送信装置10の構成の概要を示したものである。本実施形態の送信装置10は、複数の光送信手段11と、多重手段12を備えている。また、光送信手段11は、送信係数演算手段13と、帯域狭窄手段14と、電気/光変換手段15をさらに備えている。送信係数演算手段13は、信号の帯域幅をボーレート以下に狭窄するスペクトル整形を行う際の帯域幅の狭窄の度合いを示すパラメータを、光信号を伝送する伝送路の特性に基づいて設定された帯域狭窄パラメータとして取得する。また、送信係数演算手段13は、信号の帯域幅を狭窄する処理を帯域狭窄フィルタ処理として施す際のフィルタ係数を算出する。帯域狭窄手段14は、送信係数演算手段13が算出したフィルタ係数に基づいて、信号の帯域幅を狭窄する処理を帯域狭窄フィルタ処理として施す。電気/光変換手段15は、伝送路の特性を基に設定されたチャネルごとの光信号の中心波長と中心波長の間隔の情報を波長多重間隔パラメータとして取得する。また、電気/光変換手段15は、帯域狭窄手段14が帯域幅をボーレート以下にした信号を、波長多重間隔パラメータを基に光信号に変換する。多重手段12は、複数の光送信手段11から出力される各チャネルの光信号をボーレート以下の間隔で波長多重化して多重信号として伝送路に出力する。また、電気/光変換手段15は、デジタル領域で帯域狭窄フィルタ処理されたデジタル信号をアナログ電気信号に変換するデジタル/アナログ変換手段を含む。デジタル/アナログ変換手段は、
図2において省略している。
【0018】
図3は、本実施形態の受信装置20の構成の概要を示したものである。本実施形態の受信装置20は、分離手段21と、複数の光受信手段22を備えている。また、光受信手段22は、光/電気変換手段23と、受信係数演算手段24と、帯域復元手段25をさらに備えている。分離手段21は、送信側において各チャネルの信号の帯域幅をボーレート以下に狭窄するスペクトル整形が帯域狭窄フィルタ処理として施され、ボーレート以下の間隔で波長多重化された多重信号を受信し、チャネルごとの光信号に分離する。帯域狭窄フィルタ処理は、光信号を伝送する伝送路の特性を基に信号の帯域幅の狭窄の度合いを示すパラメータとして設定された帯域狭窄パラメータに基づいて施されている。光/電気変換手段23は、伝送路の特性を基に設定されたチャネルごとの光信号の中心波長と中心波長の間隔の情報を波長多重間隔パラメータとして取得する。また、光/電気変換手段23は、それぞれ割り当てられたチャネルの光信号を、波長多重間隔パラメータに基づいて電気信号に変換して受信信号として出力する。受信係数演算手段24は、帯域狭窄パラメータを取得し、帯域狭窄パラメータを基に受信信号に送信側で施した帯域狭窄フィルタ処理とは逆特性の処理を帯域復元フィルタ処理として施す際のフィルタ係数を算出する。帯域復元手段25は、受信係数演算手段24が算出したフィルタ係数を基に受信信号に帯域復元フィルタ処理を施して受信信号の帯域を復元する。また、光/電気変換手段23は、光信号から電気信号に変換されたアナログ信号をデジタル信号へと変換するアナログ/デジタル変換手段を含む。アナログ/デジタル変換手段は、
図3において省略している。
【0019】
本実施形態の送信装置10は、光信号を伝送する際の伝送路の特性に基づいて設定された帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを取得している。送信係数演算手段13は、取得した帯域狭窄パラメータを基に、帯域狭窄手段14において、信号の帯域幅をボーレート以下にするスペクトル整形処理を行っている。また、本実施形態の送信装置10では、電気/光変換手段15が波長多重間隔パラメータを基に、帯域狭窄が施された信号を光信号に変換する。また、電気/光変換手段15が変換した光信号を、多重手段12が複数の光送信手段11から出力される各チャネルの光信号をボーレート以下の波長間隔で波長多重化して伝送路に出力している。よって、本実施形態の送信装置10は、伝送路の特性に基づいて信号に最適な帯域幅となるように帯域狭窄フィルタ処理を施し、伝送路の特性に基づいて最適な波長間隔で光信号を多重化して送信することができる。
【0020】
また、本実施形態の受信装置20は、光信号を伝送する際の伝送路の特性に基づいて設定された帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを取得している。本実施形態の受信装置20は、分離手段21においてボーレート以下の間隔で波長多重化された多重信号をチャネルごとの光信号に分離し、光/電気変換手段23において波長多重間隔パラメータを基に電気信号に変換している。また、本実施形態の受信装置20は、帯域復元手段25において帯域狭窄パラメータに基づいて送信側の帯域狭窄フィルタ処理とは逆特性の帯域復元フィルタ処理を施している。
【0021】
よって、本実施形態の受信装置20は、伝送路の特性に応じて最適な波長間隔で波長多重化された光信号を分離し、帯域狭窄フィルタ処理が施された受信信号を、帯域狭窄前の信号により近い信号スペクトルに復元することができる。以上のように、本実施形態の送信装置10および受信装置20を用いることで伝送路の特性に応じて最適な波長間隔で波長多重化した多重信号の伝送を行うことができる。そのため、本実施形態の送信装置10および受信装置20を用いることで、伝送路の経路や特性に変動が生じた際にも、最適な条件での波長多重信号の伝送を、時間を要さずに確立することができる。その結果、本実施形態の送信装置10および受信装置20を用いることで、伝送路の経路の切り替えが行われた場合でも、伝送条件に応じて最適な高密度波長多重を行って、周波数利用効率を向上することができる。
【0022】
また、本実施形態の光通信システムでは、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータが通信制御装置から送信装置10および受信装置20にそれぞれ送信される。通信制御装置は、パラメータ演算手段と、パラメータ送信手段を有する。パラメータ演算手段は、光信号の伝送路の経路の情報と、伝送路の特性を基に、各チャネルの信号に帯域幅をボーレート以下にするスペクトル整形を施す際の帯域幅の情報を示す帯域狭窄パラメータを算出する。また、パラメータ演算手段は、光信号の伝送路の経路の情報と、伝送路の特性を基に、複数の前記チャネルそれぞれの光信号の中心波長と中心波長の波長間隔を示す波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ送信手段は、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを光信号の送信側と受信側にそれぞれ送信する。
【0023】
そのような通信制御装置を用いる構成とした場合に、送信装置10は、通信制御装置から帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを受信し、帯域狭窄パラメータを基に信号に帯域狭窄フィルタ処理を施す。また、送信装置10は、帯域狭窄フィルタ処理が施された信号を、波長多重間隔パラメータを基に光信号に変換して、複数のチャネルの光信号を波長多重化して多重信号として伝送路400に送信する。受信装置20は、通信制御装置から帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを受信し、伝送路400を介して送信装置10から受信する多重信号を分離した光信号を、波長多重間隔パラメータを基に電気信号に変換する。受信装置20は、電気信号に変換した受信信号に帯域狭窄パラメータに基づいて前記帯域復元フィルタ処理を施す。このように本実施形態の通信システムは、通信制御装置が生成する伝送路の特性を基にした共通の帯域狭窄パラメータと波長多重間隔パラメータによって送信装置10および受信装置20が動作する。そのため、本実施形態の光通信システムは、伝送路の経路の切り替えが行われた場合でも、伝送条件に応じて瞬時に最適な高密度波長多重を行って、周波数利用効率を向上することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図4は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光通信システムは、送信装置100と、受信装置200、通信制御装置300を備えている。送信装置100と受信装置200は、光ファイバ伝送路401を介して接続されている。また、通信制御装置300は、送信装置100および受信装置200と通信回線402を介して接続されている。
【0025】
本実施形態の光通信システムは、送信装置100から受信装置200に光ファイバ伝送路401を介して波長多重化された光信号を伝送するデジタル光通信システムである。本実施形態の光通信システムは、サブキャリアを多重化したデジタルコヒーレント方式の通信を行う。また、本実施形態の通信システムは、ボーレート以下の帯域幅のサブキャリアをボーレート以下の波長間隔で波長多重化するスーパーナイキスト伝送方式によって通信を行う。
【0026】
送信装置100は、複数の光送信器30と、合波器51を備えている。送信装置100は、各光送信器30が生成する各チャネルに対応するボーレート以下の帯域幅のサブキャリアを、合波器51でボーレート以下の波長間隔で波長多重化した波長多重信号を光ファイバ伝送路401に送信する。
【0027】
光送信器30の構成について説明する。
図5は、本実施形態の光送信器30の構成を示したものである。光送信器30は、送信線形等化器31と、電気/光変換器33と、送信係数演算部34を備えている。また、送信線形等化器31は、帯域狭窄フィルタ32をさらに備えている。本実施形態の光送信器30は、第1の実施形態の光送信手段11に相当する。
【0028】
送信線形等化器31は、帯域狭窄フィルタ32によって送信原信号の信号帯域幅をボーレート以下に帯域制限する。帯域狭窄フィルタ32によって送信原信号にフィルタ処理を施して帯域制限を行う際のフィルタ形状のデータは、送信係数演算部34からフィルタ係数として入力される。本実施形態の送信線形等化器31は、第1の実施形態の帯域狭窄手段14に相当する。
【0029】
電気/光変換器33は、送信線形等化器31から入力される電気信号を光信号に変換して出力する。電気/光変換器33は、光源と、送信線形等化器31から入力される電気信号を基に光源から出力された光に変調を施す変調器を備えている。光源には半導体レーザーが用いられる。また、変調器には、例えば、マッハツェンダー変調器が用いられる。電気/光変換器33が出力する光の波長は、可変である。電気/光変換器33は、波長多重間隔パラメータとして送られてくる中心波長の情報に基づいて、出力する光信号の中心波長を調整する。本実施形態の通信システムでは、各光送信器30の電気/光変換器33がそれぞれ、波長多重間隔パラメータに基づいた中心波長の光信号を出力することで、多重信号の波長間隔が定まる。電気/光変換器33から出力された光信号はサブキャリアとして合波器51に送られる。また、本実施形態の電気/光変換器33は、第1の実施形態の電気/光変換手段15に相当する。
【0030】
送信係数演算部34は、通信制御装置300から入力される帯域狭窄パラメータに基づいて、帯域狭窄フィルタ32のフィルタ形状をフィルタ係数として算出する。対応する光送信器30と光受信器40の送信係数演算部34と受信係数演算部46には、同じ帯域狭窄パラメータが通信制御装置300から送信される。すなわち、送信係数演算部34は、通信制御装置300を介して受信装置200の光受信器40と帯域狭窄パラメータの情報を共有している。送信係数演算部34は、算出したフィルタ係数を帯域狭窄フィルタ32に送る。また、本実施形態の送信係数演算部34は、第1の実施形態の送信係数演算手段13に相当する。
【0031】
合波器51は、各光送信器30からサブキャリアとして入力される光信号を波長多重化して光ファイバ伝送路401に出力する。合波器51は、複数の光送信器30から送られてくるボーレート以下の波長間隔のサブキャリアを、波長多重間隔パラメータに基づいた波長間隔で多重化して出力する。合波器51は、例えば、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)によって構成される。合波器51は、通過波長を選択する必要がある構成の場合には、波長多重間隔パラメータを基に通過波長を設定する。合波器51は、波長多重間隔パラメータを、通信回線402を介して通信制御装置300から受け取る。合波器51は、可変光フィルタや光カプラなど他の合波機能を有する光学素子によって構成されていてもよい。また、本実施形態の合波器51は、第1の実施形態の多重手段12に相当する。
【0032】
受信装置200は、複数の光受信器40と、分波器52を備えている。受信装置200は、光ファイバ伝送路401を介して、ボーレート以下の波長間隔でサブキャリアが波長多重化された多重信号を、分波器53で分離し、各チャネルに対応する光受信器40で受信信号の処理を行う。送信装置100の光送信器30および受信装置200の光受信器40は、光通信システムで通信を行う際のチャネルの数に対応するように備えられている。
【0033】
光受信器40の構成について説明する。
図6は、本実施形態の光受信器40の構成を示したものである。光受信器40は、光/電気変換器41と、静的線形等化器42と、適応等化器44と、識別器45と、受信係数演算部46を備えている。また、静的線形等化器42は、帯域復元フィルタ43をさらに備えている。本実施形態の光受信器40は、第1の実施形態の光受信手段22に相当する。
【0034】
光/電気変換器41は、分波器52から入力される光信号を電気信号に変換する。光/電気変換器41は、入力された光信号を電気信号に変換する受光素子を備えている。光/電気変換器41は、コヒーレント検波のための局発光を出力する光源およびフォトダイオード等によって構成されている。光/電気変換器41は、電気信号に変換した受信信号をデジタル信号として静的線形等化器42に送る。光/電気変換器41は、通信回線402を介して通信制御装置300から受け取る波長多重間隔パラメータに基づいて、局発光の波長を変えることで受信する光信号の波長を調整する。また、本実施形態の光/電気変換器41は、第1の実施形態の光/電気変換手段23に相当する。
【0035】
静的線形等化器42は、光ファイバ伝送路401で生じる波長分散による波形歪みを補償する波長分散補償など、デジタルコヒーレント方式で一般的に実施される静的な波形歪み補償に加え、信号の帯域を復元する機能を有する。静的線形等化器42は、送信側で施された帯域狭窄フィルタ処理とは逆の特性を有するフィルタ処理を行って帯域を復元する。
【0036】
静的線形等化器42は、帯域復元フィルタ43によって送信側で施した帯域狭窄フィルタ処理とは逆の特性を有するフィルタ処理を行って受信信号の帯域を復元する。帯域復元フィルタ43は、MMSE(Minimum Mean Square Error:最小2乗誤差)規範に基づいて帯域の復元を行う。帯域復元フィルタ43が受信信号に帯域復元処理を施す際のフィルタ形状は、受信係数演算部46からフィルタ係数として入力される。帯域復元フィルタ43において帯域復元処理が行われた受信信号は、適応等化器44に送られる。また、本実施形態の静的線形等化器42は、第1の実施形態の帯域復元手段25に相当する。
【0037】
適応等化器44は、静的線形等化器42の帯域復元フィルタ43から送られてくる受信信号に対し、偏波分離や偏波モード分散補償などデジタルコヒーレント方式で一般的に実施される動的な波形整形処理を実現するための適応等化処理を施す。適応等化器44は、適応等化処理を施した受信信号を識別器45に送る。
【0038】
識別器45は、適応等化器44から入力される受信信号を「1」または「0」のデジタルビット列に識別して、ビット列の信号として出力する。
【0039】
受信係数演算部46は、通信制御装置300から受け取る送信側の帯域狭窄パラメータを基に、送信側の帯域狭窄フィルタ特性とは逆のフィルタ特性をフィルタ係数として算出する。受信係数演算部46は、送信側の帯域狭窄フィルタ特性とは逆のフィルタ係数をMMSE規範に基づいて算出する。送信側で帯域を制限する際に用いた帯域狭窄フィルタの情報は、あらかじめ対応する光送信器30との間で共有されている。また、本実施形態の受信係数演算部46は、第1の実施形態の受信係数演算手段24に相当する。
【0040】
分波器52は、光ファイバ伝送路401から入力される多重信号を各サブキャリア、すなわち、各チャネルの光信号に分離し、各チャネルに対応する光受信器40に送る。分波器52は、例えば、波長選択スイッチ(WSS)や可変光フィルタによって構成される。分波器52は、通過波長を選択する必要がある構成の場合には通信回線402を介して通信制御装置300から受け取る波長多重間隔パラメータに基づいて通過波長の設定を行い、各チャネルに対応する信号を選択する。また、本実施形態の分波器52は、第1の実施形態の分離手段21に相当する。
【0041】
通信制御装置300の構成について説明する。
図7は、本実施形態の通信制御装置300の構成の概要を示したものである。本実施形態の通信制御装置300は、パラメータ演算部301と、パラメータ送信部302を備えている。
【0042】
パラメータ演算部301は、管理者等によって入力される伝送路経路情報を基に、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。伝送路経路情報は、送信装置100および受信装置200の間の光ファイバ伝送路401がどのような経路で構成されているかを示す情報と、各経路で光信号を伝送した際の伝送特性の情報によって構成されている。帯域狭窄パラメータは、例えば、ボーレートの帯域幅を基準として、帯域を狭窄する割合を示す帯域狭窄率として設定されている。また、波長多重間隔パラメータは、サブキャリアを波長多重化する際のサブキャリアに対応する波長と波長間隔を示す情報である。パラメータ演算部301は、伝送路経路情報や伝送路の特性を基に、現在選択されている伝送経路に対して、周波数利用効率が最も高くなるように、光送信器30と光受信器40に割り当てる波長、波長間隔および帯域狭窄率を算出する。パラメータ演算部301は、各サブキャリア、すなわち、各チャネルの光信号ごとの波長、波長間隔および帯域狭窄率の情報をパラメータ送信部302に送る。
【0043】
パラメータ送信部302は、パラメータ演算部301が算出した帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを送信装置100および受信装置200に通信回線402を介して送る。
【0044】
光ファイバ伝送路401は、光ファイバおよび光増幅器等によって構成され、波長多重化された光信号を伝送する。
【0045】
通信回線402は、通信制御装置300と送信装置100および受信装置200をそれぞれ接続する通信回線である。
【0046】
また、
図4では、光送信器30および光受信器40が、1台の送信装置100および受信装置200に備えられている構成について示しているが、光送信器30および光受信器40は、複数の送信装置や受信装置に分かれて備えられていてもよい。そのような構成とする場合には、各チャネルの光信号の多重化や分離を行えるように合波器および分波器が配置される。また、光ファイバ伝送路401は、複数の経路によって構成され、いずれかの伝送路が選択される構成であってもよい。
【0047】
図8は、本実施形態の光通信システムの構成と各パラメータのデータの流れを模式的に示した図である。
図8では、電気/光変換器33をE/O変換器として示している。また、
図8では、光/電気変換器41をO/E変換器として示している。また、
図8では、光ファイバ伝送路401を光ファイバネットワークとして示している。
【0048】
図8に示すように本実施形態の光通信システムでは、通信制御装置から帯域狭窄パラメータが各光送信器の送信係数演算部および各光受信器の受信係数演算部にそれぞれ送られている。また、通信制御装置から波長多重間隔パラメータが各光送信器の合波器およびE/O変換器、並びに、各光受信器の分波器およびO/E変換器にそれぞれ送られている。各光送信器に入力される送信原信号は、送信線形等化器でボーレート以下の帯域幅にする帯域狭窄フィルタ処理が施され、合波器でボーレート以下の波長間隔で多重化されて伝送される。また、光ファイバネットワークを伝送された多重信号は、分波器で分波されて各受信器に入力され、静的線形等化器で受信信号の帯域幅の復元が行われる。
【0049】
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。始めに、通信制御装置300に管理者等によって伝送路経路情報が入力される。伝送路経路情報は、光ファイバ伝送路401の経路の情報、各チャネルに割り当てられる光送信器30および光受信器40の組み合わせなどの情報によって構成されている。また、伝送路経路情報は、光ファイバ伝送路401の各経路で光信号を伝送した際の伝送特性に関する情報によって構成されている。
【0050】
伝送路経路情報が入力されると、通信制御装置300のパラメータ演算部301は、伝送路経路情報を基に、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ演算部301は、許容される伝送特性を維持しつつ周波数利用効率が最も高くなるように帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。帯域狭窄パラメータは、光送信器30の帯域狭窄フィルタ32において帯域狭窄を行う際の、帯域狭窄の度合いを帯域狭窄率として示したものである。本実施形態では帯域狭窄率は、ボーレートに相当する帯域幅に対する帯域狭窄後の帯域幅の比として設定されている。
【0051】
本実施形態の光通信システムでは、通信制御装置300のパラメータ演算部301が伝送路経路情報に基づいて、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出して、帯域狭窄率と波長多重間隔を制御する。本実施形態ではあらかじめ測定しておいた伝送特性から、許容可能なQ値劣化マージンが算出される。パラメータ演算部301は、許容可能なQ値劣化マージンに基づいて、誤り訂正可能な範囲で最も高密度な波長多重を行うように、帯域狭窄率と波長多重間隔が算出される。伝送路経路情報から許容可能なQ値劣化マージンを算出する際のデータは、全ての伝送経路の特性を事前に測定してルックアップテーブル等に記憶しておいてもよいし、経路確立の初期導通時に測定を実施することで収集されてもよい。
【0052】
帯域狭窄フィルタおよび帯域狭窄パラメータについて説明する。
図9は、帯域狭窄フィルタ32において、信号スペクトルを整形する際のスペクトル形状のイメージを示している。
図9の上段は、送信原信号のスペクトル形状を示している。
図9の中段は、帯域狭窄フィルタHtx(f)のフィルタ特性を示している。また、
図9の下段は、帯域狭窄フィルタ32でフィルタ処理を施した後の信号スペクトルの形状を示している。
【0053】
スーパーナイキスト方式は、ナイキスト方式の送信原信号に対して、さらに帯域狭窄フィルタを施してボーレート以下の帯域幅に制限した送信用の信号が生成される。
図9の上段では、送信原信号のスペクトル帯域幅はボーレート近傍まで制限されてはいるが、信号成分は、ボーレートよりもやや広がっている。通常のナイキスト伝送方式の場合には、
図9の上段のようなスペクトル形状の信号を波長多重するが、ボーレート以下の間隔で波長多重を行うと、隣接チャネルとのクロストークによって信号の特性が著しく劣化する。
【0054】
一方で、本実施形態で用いているスーパーナイキスト方式では、
図9の中段に示す帯域狭窄フィルタHtx(f)による処理を送信原信号に施すことにより、信号スペクトル帯域幅は、ボーレート以下に狭窄される。帯域狭窄フィルタHtx(f)による処理を施された
図9の下段のように信号スペクトル帯域幅の信号を多重化することで、クロストークによる特性劣化を生じさせることなくボーレート以下の間隔で波長多重を行うことが可能となる。帯域狭窄フィルタによる処理を施すことにより、符号間干渉が生じて信号品質劣化が生じる恐れはあるが、受信側で補償することで符号間干渉の影響を抑制することができる。よって、帯域狭窄によるボーレート以下の波長多重間隔による多重信号の伝送を行うスーパーナイキスト方式を用いることで、周波数利用効率を向上することができる。
【0055】
図10は、帯域狭窄フィルタHtx(f)の例を示している。
図10は、ベースバンド信号に対するフィルタ特性を示している。すなわち、
図10は、
図9の中段に示した光スペクトルに対するフィルタ特性において、キャリア周波数を0とした時の片側半分だけを示したものである。
図10に示す帯域狭窄フィルタHtx(f)は、ナイキストフィルタで用いられるコサインロールオフフィルタのロールオフ特性を、そのまま低周波側にシフトした特性を持つ。通常のコサインロールオフフィルタでは、ボーレートの1/2の周波数f1で、振幅特性も0.5と半分になる。一方で、
図10の帯域狭窄フィルタHtx(f)では、振幅特性が0.5となる周波数f2が低周波側に平行シフトしている。f2/f1の比率を帯域狭窄パラメータとすると、帯域狭窄パラメータが小さい程、信号スペクトル帯域幅が狭くなる。例えば、帯域狭窄パラメータが0.9の場合、通常のナイキスト方式と比較して10パーセント帯域幅が狭窄される。
【0056】
図10では、コサインロールオフ特性を基にした帯域狭窄フィルタの例を示しているが、信号帯域を狭窄化する特性に基づいたものであれば、他の帯域狭窄フィルタを用いてもよい。
【0057】
次に、ボーレート以下の帯域狭窄フィルタ処理を行う光通信システムにおける波長多重間隔と、伝送特性の関係について
図11を参照して説明する。
図11は、各帯域狭窄率における波長多重間隔と伝送特性を示すQ値特性の関係の例を示したものである。
【0058】
図11は、帯域狭窄フィルタにおいて異なる2種類の帯域狭窄率を設定した場合の波長多重間隔とQ値特性の関係を示している。
図11では、帯域狭窄率が小さい方がRBW1、帯域狭窄率が大きい方がRBW2として示されている。RBW1およびRBW2は、RBW1<RBW2<1を満たす。すなわち、帯域狭窄率が小さいほど、帯域幅は狭くなる。また、
図11は、比較のため、ナイキスト伝送方式を用いた場合の波長多重間隔とQ値特性の関係も示している。また、
図12は、帯域狭窄率RBW1で帯域狭窄フィルタ処理を行った際の
図11のA1、B1およびC1の3点における波長多重のスペクトルイメージをそれぞれ示している。
【0059】
図11において実線で示している帯域狭窄率RBW1、すなわち、帯域幅が狭いときの波長スペクトルイメージについて説明する。
図12の一番左のA点のスペクトルは、波長多重間隔が十分広い
図11のA1における波長多重のスペクトルイメージを示している。
図12のA点のスペクトルでは、隣接チャネルとのスペクトルの重なりが無いことから、クロストークによる特性劣化は発生しない。しかし、帯域狭窄率が小さくボーレート帯域以下の過度な帯域狭窄を行っているため、受信側で波形が完全に復元できずにISI(Inter Symbol Interference:符号間干渉)が残留する。そのため、ナイキスト方式と比較してQ値の特性劣化が生じている。
図11では、A点におけるナイキスト方式と比較したQ値の特性劣化量をQpenalty1として示している。
【0060】
図12の中央のB点のスペクトルは、A1よりもさらに波長多重間隔を狭くして帯域狭窄を行っている
図11のB1での波長多重のスペクトルイメージを示している。
図12の中央のB点のスペクトルは、チャネル間のギャップが全く無く、クロストークが生じない範囲で最も高密度な波長多重信号となっている。すなわち、
図11のA1からB1までは、波長多重間隔を狭くしても、同じQ値特性が保たれる。
【0061】
図12の一番右のC点のスペクトルは、さらに波長多重間隔を狭くした
図11のC1における波長多重のスペクトルイメージを示している。
図12の一番右のC点のスペクトルでは、隣接チャネル間でクロストークが生じ、Q値特性の劣化が生じている。すなわち、
図11のB1より左側ではクロストーク起因によりQ値特性の劣化が生じる。さらに波長多重間隔を狭くすると、
図11のD1で、Q値特性は誤り訂正限界まで低下する。
【0062】
このように、RBW1の条件では、クロストークが生じない波長多重間隔の領域において符号間干渉によるQ値特性劣化Qpenalty1を許容する一方で、
図11のD1点のCS1で示される波長多重間隔まで間隔を狭めて高密度多重することが可能である。クロストークが生じない波長多重間隔の領域は、
図11のB1より右側の領域が該当する。
【0063】
図11の帯域狭窄率RBW2、すなわち、帯域狭窄率が大のときの波長スペクトルイメージについて説明する。
図11のA2では、ナイキスト方式の場合に比べたQ値特性に、Qpenalty2で示している劣化が生じている。しかし、帯域狭窄の度合いが帯域狭窄率RBW1の場合よりも小さいため、ISIの残留成分も小さい。そのため、特性劣化量のQpenalty2は、Qpenalty1よりも小さくなっている。
【0064】
波長多重間隔を狭くしていくと、クロストーク劣化無しの限界点B2まではQ値特性が維持される。さらに波長多重間隔を狭くしたC2点では、クロストークによる劣化が生じる。誤り訂正限界点であるD2まで狭くすると、帯域狭窄率RBW1の場合と比較して、帯域狭窄の度合いが少ないため、クロストークの影響が早く生じる。すなわち、帯域狭窄率RBW2における波長多重間隔の最小限界値CS2は、前記帯域狭窄率RBW1の最小限界値CS1よりも大きくなる。
【0065】
また、ナイキスト伝送方式のようにISIによる特性劣化を許容しないで帯域狭窄を行う方法では、波長多重間隔が十分広い所では、クロストークによる劣化はもちろんのこと、ISIによる波形歪みも無いため、良好なQ値特性が得られている。しかしながら、ナイキスト伝送方式は、ボーレート帯域幅よりもやや広いスペクトル幅を有していることから、波長多重間隔を狭くするとクロストークによるQ値特性劣化が顕著に現れる。そのため、誤り訂正限界D3の波長多重間隔CS3は、本実施形態の帯域狭窄を行った場合と比べて最も大きい。すなわち、周波数利用効率は、本実施形態の帯域狭窄を行った他の2つの条件と比較して最も小さい。
【0066】
帯域狭窄率と残留ISIによるQ値特性劣化量はトレードオフの関係にあり、許容できるQ値特性劣化量に応じて波長多重間隔の最小限界値も変化する。しかし、許容できるQ値特性劣化は、伝送路の条件によって異なる。例えば、伝送距離が長い条件では、受信OSNRが劣化し、Q値特性全体が劣化することから、許容できるQ値劣化のマージンが少なくなる。そのような場合に、過度に帯域狭窄を行って周波数利用効率を上げることはできない。一方、伝送距離が短い条件では、受信OSNRも高く十分なQ値マージンがあるため、過度な帯域狭窄を行ってISIによるQ値劣化を許容してでも、周波数利用効率を優先して、波長多重間隔を狭くすることができる。すなわち、帯域狭窄率とISIによるQ値劣化はトレードオフの関係であり、また、伝送条件によって許容できるQ値劣化量が異なる。そのため、通信制御装置300のパラメータ演算部301が伝送路条件に応じて、適切な帯域狭窄率を選択することにより、様々な伝送路の状態に対しても最も高密度な波長多重を行うことができる。
【0067】
通信制御装置300のパラメータ演算部301は、伝送路経路情報を基に、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出すると、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータをパラメータ送信部302に送る。
【0068】
パラメータ送信部302は、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータのデータを受け取ると、受け取ったデータを送信装置100および受信装置200に通信回線402を介して送る。
【0069】
送信装置100に入力された波長多重間隔パラメータは、光送信器30の電気/光変換器33および合波器51に入力される。電気/光変換器33および合波器51は、波長多重間隔パラメータを受け取ると、波長多重間隔パラメータに基づいた波長および波長間隔で動作する。
【0070】
また、受信装置200に入力された波長多重間隔パラメータは、光受信器40の光/電気変換器41および分波器52に入力される。光受信器40の光/電気変換器41および分波器52は、波長多重間隔パラメータを受け取ると、波長多重間隔パラメータに基づいた波長および波長間隔で動作する。
【0071】
送信装置100に入力された帯域狭窄パラメータは、光送信器30の送信係数演算部34に入力される。送信係数演算部34は、帯域狭窄パラメータを基に帯域狭窄フィルタのフィルタ係数を算出する。送信係数演算部34は、帯域狭窄フィルタのフィルタ係数を算出すると、算出したフィルタ係数を帯域狭窄フィルタ32に送る。
【0072】
また、受信装置200に入力された帯域狭窄パラメータは、光受信器40の受信係数演算部46に入力される。受信係数演算部46は、帯域狭窄パラメータを基に帯域復元フィルタのフィルタ係数を算出する。受信係数演算部46は、送信側で行われた帯域狭窄フィルタ処理と逆のフィルタ特性となるように帯域復元フィルタのフィルタ係数を算出する。受信係数演算部46は、帯域復元フィルタのフィルタ係数を算出すると、算出したフィルタ係数を帯域復元フィルタ43に送る。
【0073】
光送信器30に光ファイバ伝送路401で伝送を行うための信号が送信原信号として入力されると、送信原信号は送信線形等化器31に送られる。送信線形等化器31に送信原信号が入力されると、帯域狭窄フィルタ32は、送信原信号に帯域狭窄フィルタ処理を施す。帯域狭窄フィルタ32は、送信係数演算部34から受け取るフィルタ係数に基づいて、送信原信号にフィルタ処理を施す。
【0074】
帯域狭窄フィルタ32は、フィルタ処理を施した信号を電気/光変換器33に送る。電気/光変換器33は、信号を受け取ると受け取った信号を基に光信号を生成する。電気/光変換器33は、波長多重間隔パラメータに基づいた波長の光信号を生成する。電気/光変換器33は、生成した光信号を合波器51に送る。
【0075】
各光送信器30から光信号が各チャネルのサブキャリアとして入力されると、合波器51は、各光送信器30からの光信号、すなわち、サブキャリアを波長多重化する。合波器51は、各光送信器30から送られてくるサブキャリアを、波長多重間隔パラメータに基づいたボーレート以下の波長間隔で波長多重化して多重信号として光ファイバ伝送路401に送信する。送信装置100の合波器51から送信された多重信号は、光ファイバ伝送路401を伝送され、受信装置200に送られる。
【0076】
光ファイバ伝送路401を伝送された多重信号は、受信装置200の分波器52に入力される。分波器52は、入力された多重信号を各チャネルに対応する光信号に分離して、対応する光受信器40にそれぞれ送る。各光受信器40に送られた光信号は、光/電気変換器41に入力される。
【0077】
光/電気変換器41は、入力された光信号、すなわち、受信信号を電気信号に変換し、デジタル信号として静的線形等化器42に送る。
【0078】
受信信号が入力されると、静的線形等化器42は、波長分散補償に加え、帯域復元フィルタ43で受信信号にフィルタ処理を施し、送信側で帯域狭窄が行われた受信信号の帯域を復元する。帯域復元フィルタは、送信側の帯域狭窄フィルタとは逆の特性を有する。帯域復元フィルタのフィルタ係数は、受信係数演算部46の演算処理によって決定され、受信係数演算部46から帯域復元フィルタ43に入力される。
【0079】
帯域復元フィルタ処理について説明する。
図13は、受信信号を処理する際のスペクトル形状のイメージを示している。
図13の上段は、受信信号のスペクトル形状を示している。比較のため、送信原信号のスペクトル形状も点線で示した。
図13の中段は、帯域復元フィルタHrx(f)のフィルタ形状を示している。また、
図13の下段は、帯域復元後の信号のスペクトル形状を示している。
図13の上段に示すとおり、送信側で帯域狭窄フィルタを施しているため、帯域復元前の受信信号は、信号主成分であるボーレート帯域内のうち、特に高周波成分が大きく減衰して波形が大きく歪んだスペクトル形状となっている。
【0080】
図13の上段のような大きな波形歪みを伴った信号を次段の適応等化器に入力すると、適応等化アルゴリズムの収束性が著しく損なわれ、安定性を失う恐れがある。場合によっては、歪み波形が元になって収束せず発散して、同期外れが生じる可能性がある。そのような状態は、光通信システムとしては致命的な問題となり得る。
【0081】
本実施形態の光通信システムでは、送信側で行われる帯域狭窄フィルタ処理とは逆の特性を有するような帯域復元フィルタ処理を行うことで、
図13の下段に示す通り、高周波成分が持ち上げられる。そのため、帯域復元フィルタ処理によって、信号スペクトルを送信原信号のスペクトルに近づかせることができる。高周波成分が持ち上げられることで波形歪みを抑圧することができるので、後段の適応等化器の収束性は改善される。そのため、本実施形態の光通信システムでは、同期外れのない安定な通信状態を維持することができる。
【0082】
また、
図13の下段に示す通り、送信側で一度欠落した信号は、完全には元通りに復元不可能であるため、帯域復元フィルタ処理後の信号には若干の波形歪みが残留し、特性劣化が生じる。しかし、特性劣化量が誤り訂正限界を下回っていれば、正常に通信を継続することができる。そのため、本実施形態の光通信システムでは、回路規模や電力の使用量が大きいMLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation)等化器を用いなくても、周波数利用効率を向上させつつ正常な通信の継続を行うことが可能になる。
【0083】
帯域復元フィルタ43は、受信係数演算部46から受け取るフィルタ係数を基に、受信信号に帯域復元フィルタ処理を施すと、帯域復元フィルタ処理を行った受信信号を適応等化器44に送る。帯域復元フィルタ処理が行われた信号が入力されると、適応等化器44は、入力された信号に適応等化処理を行い、識別器45に送る。識別器45は、適応等化器44から信号を受け取ると、デジタルビット列として識別を行い、識別を行ったビット列に基づく信号を出力する。光/電気変換器41、静的線形等化器42、帯域復元フィルタ43、適応等化器44および識別器45は、受信信号が入力されるごとに上記の動作を繰り返し行う。
【0084】
図14は、本実施形態の光通信システムとの対比した例として、ナイキスト伝送方式の光通信システムの構成を示した図である。
図14のE/O変換器は、本実施形態の電気/光変換器に相当する。また、
図10のO/E変換器は、本実施形態の光/電気変換器に相当する。
図15Aは、NRZ(Non Return to Zero)方式の信号スペクトルを示している。また、
図15Bは、ナイキスト伝送方式における信号スペクトル示している。また、
図15Cは、ナイキスト伝送方式のサブキャリア波長多重のスペクトルイメージを示している。
【0085】
ナイキスト伝送方式では、送信側の送信線形等化器および受信側の静的線形等化器がそれぞれコサインロールオフフィルタに基づいたルートナイキストフィルタを施す。コサインロールオフフィルタは、ナイキストの第1基準を満たす帯域制限フィルタとして用いられる。このような処理を行うことで、ナイキスト伝送方式では、ISIが無い状態で、信号帯域をボーレート近辺にまで狭窄することができる。よって、ナイキスト伝送方式ではNRZ方式の信号スペクトルと比べて帯域幅を大幅に絞ることが可能となる。その結果、ナイキスト伝送方式では、
図15Cに示すように、高密度な波長多重を行うことが可能となる。
【0086】
図15Cでは、隣接サブキャリア信号とのクロストークが生じない最も狭い波長多重間隔で多重化した場合を示しているため、波長多重間隔は、信号ボーレートよりも若干広くなる。また、コサインロールオフフィルタは、ロールオフ率を可能な限り0に近づけると、信号スペクトル形状を矩形に近づけることが可能となり、限りなくボーレートに近い間隔で波長多重を実現することが可能になる。しかし、ロールオフ率が0の理想的な送信信号を実機で生成するには、電気/光変換器を構成する光変調器やその駆動回路など送信フロントエンドデバイスのアナログ特性に対する要求が極めて厳しくなる。アナログ特性は、例えば、周波数特性、帯域内フラットネス、反射などの特性が該当する。また、波長多重間隔をボーレート以下にすることによってクロストークの影響により特性が著しく劣化する。
【0087】
また、
図16は、本実施形態の方式による帯域狭窄および復元処理を行わずにボーレート以下の波長多重間隔で波長多重化を行う、通常のスーパーナイキスト伝送方式の構成の例を示したものである。
図16のようなスーパーナイキスト伝送方式では、送信線形等化器において信号帯域幅をボーレートよりも狭くするような帯域狭窄フィルタ処理を施し、ボーレート以下の高密度な波長多重間隔を実現している。
【0088】
図17Aは、スーパーナイキスト方式における信号スペクトルイメージを示している。また、
図17Bは、スーパーナイキスト方式における波長多重イメージを示している。スーパーナイキスト方式では、
図17Aおよび
図17Bに示しように、ボーレート以下の間隔で波長多重を行って周波数利用効率を向上させることが可能となる。しかし、スーパーナイキスト方式では、送信信号帯域をボーレート以下に削って情報量を欠落させているため、通常通りの受信処理では送信信号を復元することは困難である。そのため、
図16に示すように、受信側においてMLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation)等化器に代表される最尤推定アルゴリズムを用いて、送信シンボルを復元する方式が用いられることがある。
【0089】
しかし、そのようなスーパーナイキスト伝送方式では主に2つの大きな問題がある。1つ目の問題は、波形等化の安定性である。光受信器においては、波長分散補償などの静的な波形歪みを補償する静的線形等化器と、偏波処理を含む時間変動を伴う波形歪みを補償するための適応等化器の2つの波形等化処理が実施される。しかし、スーパーナイキスト伝送方式では、送信原信号の帯域よりも狭い帯域幅の信号を受信する。そのため、受信側で元の信号を復元する必要があるが、波長多重間隔を狭くして周波数利用効率を向上するために、信号帯域幅を狭くすればするほど、受信信号の波形歪みが大きくなり、適応等化部の収束性が著しく劣化する。場合によっては同期外れを起こす可能性があり、安定な通信ができなくなる。
【0090】
2つ目の問題は、最尤推定アルゴリズムを用いた信号復元処理は、非常に複雑であることから、回路規模ならびに消費電力の増大を生じる。特に、光通信で適用される100Gbps以上のスループットでのMLSE等化器をLSI実装することは技術的難易度が高いだけでなく、その回路規模は、現在の最先端プロセス用いても現実的ではない。
【0091】
一方で、本実施形態の光通信システムは、送信側で送信原信号の帯域をボーレート以下にするために施した帯域狭窄フィルタと逆の特性を有する帯域復元フィルタ処理を受信側で施すことで受信信号の歪みを小さくすることができる。そのため、後段の適応等化器における適応等化処理における収束性が安定し、安定した通信を継続することが可能になる。
【0092】
本実施形態の光通信システムは、光送信器30において帯域狭窄パラメータに基づいて、送信原信号に帯域狭窄フィルタ処理を施し各チャネルのサブキャリアに対応する光信号に変換している。帯域狭窄パラメータは、通信制御装置300において光信号の伝送特性を基に算出され、光送信器30と光受信器40にそれぞれ送信されている。すなわち、光送信器30と光受信器40は、伝送特性を基に算出された帯域狭窄パラメータの情報を共有している。
【0093】
また、合波器51は、通信制御装置300において伝送特性を基に算出された波長多重間隔パラメータに基づいて、各光送信器30から出力されるサブキャリアをボーレート以下の波長間隔で多重化して、多重信号を光ファイバ伝送路401に出力している。そのため、本実施形態の送信装置10は、伝送特性に応じて帯域幅および波長間隔でサブキャリアを多重化して送信することができるので周波数の利用効率を向上することができる。
【0094】
本実施形態の光通信システムでは、光受信器40は、通信制御装置300から送られてくる送信側と共有の帯域狭窄パラメータを基に、受信信号に送信側の帯域狭窄フィルタ処理とは逆特性のフィルタ処理を施している。よって、光受信器40は、帯域狭窄前の送信原信号の信号スペクトルにより近い信号スペクトルを復元することができる。すなわち、本実施形態の光受信器40は、伝送特性に応じた帯域幅および波長間隔で多重化された多重信号を送信原信号の信号スペクトルにより近い信号スペクトルを復元することができる。
【0095】
本実施形態の光受信器40は、送信原信号の信号スペクトルにより近い信号スペクトルを復元することで、信号の歪みの影響を抑制することができるので適応等化器などにおける受信信号の処理を安定して行うことができる。そのため、回路規模や電力消費量の増大を生じるMLSE等化器など用いなくても、信号を安定して復元することができるので、回路の小型化や省電力化を行うことができる。
【0096】
以上のように、本実施形態の光通信システムは、波長多重技術を活用したサブキャリア多重デジタルコヒーレント伝送を、MLSE等化器のような大規模、大消費電力の回路を必要とすることなく行うことができる。また、光通信システムは、伝送路の特性を基に信号の帯域の狭窄および復元を行っているので、様々な伝送経路に対して最適な波長多重を、設定に要する時間を抑制して行うことができる。そのため、本実施形態の通信システムは、伝送経路の切り替えを行うようなエラスティックなネットワークシステムとした場合にも、周波数利用効率を向上させて光ファイバ1本あたりの伝送容量を拡大することができる。以上より、本実施形態の通信システムは、伝送路の経路の切り替えが行われた場合でも、伝送条件に応じた最適な高密度波長多重を行って、周波数利用効率を向上することができる。
【0097】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図18は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。
【0098】
本実施形態の光通信システムは、送信装置100と、受信装置500と、通信制御装置310を備えている。送信装置100と受信装置500は、光ファイバ伝送路401を介して接続されている。また、通信制御装置310は、送信装置100および受信装置500と通信回線402を介して接続されている。
【0099】
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様に送信装置100から受信装置500に光ファイバ伝送路401を介して波長多重化された光信号を伝送するデジタル光通信システムである。本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様にデジタルコヒーレント方式およびスーパーナイキスト伝送方式によって通信を行う。
【0100】
第2の実施形態では、あらかじめ測定された伝送路の特性を用いて、通信制御装置において帯域狭窄パラメータの算出を行っている。本実施形態の光通信システムは、そのような構成に代えて、光ファイバ伝送路401における雑音特性を計測した結果に基づいて帯域狭窄パラメータを算出することを特徴とする。
【0101】
本実施形態の送信装置100および光ファイバ伝送路401の構成と機能は、第2の実施形態と同様である。
【0102】
受信装置500は、複数の光受信器60と、分波器52を備えている。本実施形態の分波器52の構成と機能は、第2の実施形態の分波器52と同様である。また、光受信器60は、光送信器30に対応するように備えられている。
【0103】
光受信器60の構成について説明する。
図19は、光受信器60の構成を示したものである。光受信器60は、光/電気変換器61と、静的線形等化器62と、適応等化器64と、識別器65と、受信係数演算部66と、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)モニタ部67を備えている。また、静的線形等化器62は、帯域復元フィルタ63をさらに備えている。本実施形態の光/電気変換器61、静的線形等化器62、帯域復元フィルタ63、適応等化器64、識別器65および受信係数演算部66の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
【0104】
OSNRモニタ部67は、光/電気変換器61の出力信号を監視し、受信信号のOSNRを計測する。OSNRモニタ部67は、受信信号のOSNRの測定結果を通信制御装置310にOSNRモニタ結果として送る。
【0105】
通信制御装置310の構成について説明する。
図20は、本実施形態の通信制御装置310の構成を示したものである。
【0106】
通信制御装置310は、パラメータ演算部311と、パラメータ送信部312と、OSNRモニタ結果受信部313を備えている。本実施形態のパラメータ送信部312の構成と機能は、第2の実施形態のパラメータ送信部302と同様である。
【0107】
パラメータ演算部311は、管理者等によって入力される伝送路経路情報と、OSNRモニタ結果を基に、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ演算部311は、OSNRモニタ結果を伝送路の伝送特性として、第2の実施形態と同様に帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ演算部311は、各チャネルの光信号の波長、波長間隔および帯域狭窄率の情報をパラメータ送信部312に送る。
【0108】
OSNRモニタ結果受信部313は、各光受信器60のOSNRモニタ部67が計測したOSNRモニタ結果を、通信回線402を介して受信する。OSNRモニタ結果受信部313は、各光受信器60から受けとったOSNRモニタ結果をパラメータ演算部311に送る。
【0109】
図21は、本実施形態の光通信システムの構成と各パラメータのデータの流れを模式的に示した図である。
図21では、電気/光変換器33をE/O変換器として示している。また、
図21では、光/電気変換器61をO/E変換器として示している。また、
図21では、光ファイバ伝送路401を光ファイバネットワークとして示している。
【0110】
図21に示すように本実施形態の光通信システムでは、各光受信器のOSNRモニタ部67から受信信号のOSNRの計測結果が通信制御装置にそれぞれ送られている。また、通信制御装置から帯域狭窄パラメータが各光送信器の送信係数演算部および各光受信器の受信係数演算部にそれぞれ送られている。また、通信制御装置から波長多重間隔パラメータが各光送信器の合波器およびE/O変換器、並びに、各光受信器の分波器およびO/E変換器にそれぞれ送られている。各光送信器に入力される送信原信号は、送信線形等化器でボーレート以下の帯域幅にする帯域狭窄フィルタ処理が施され、合波器でボーレート以下の波長間隔で多重化されて伝送される。また、光ファイバネットワークを伝送された多重信号は、分波されて各受信器に入力され、静的線形等化器で受信信号の帯域幅の復元が行われる。
【0111】
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。本実施形態の光通信システムにおいて、OSNRモニタ部67が受信信号のOSNRを計測し、パラメータ演算部311がOSNRモニタ結果を伝送路の特性として各パラメータを算出する動作以外の動作は、第2の実施形態と同様である。よって、以下では、OSNRモニタ部67が受信信号のOSNRを計測し、パラメータ演算部311がOSNRモニタ結果を伝送特性として各パラメータを算出する動作を主に説明する。
【0112】
本実施形態の光通信システムは、初期状態では、第2の実施形態と同様に、管理等によって伝送路経路情報とともに入力された伝送特性の情報を基に動作を開始する。
【0113】
多重信号の伝送が行われている際、光ファイバ伝送路401を伝送された多重信号は、受信装置500の分波器52で各チャネルの光信号に分離され、対応する光受信器60に送られる。光受信器60の光/電気変換器61に光信号が入力されると、光信号は電気信号に変換されて、静的線形等化器62およびOSNRモニタ部67に送られる。
【0114】
受信信号が入力されると、OSNRモニタ部67は、受信信号のOSNRを計測する。OSNRを計測すると、OSNRモニタ部67は、測定結果をOSNRモニタ結果として通信制御装置310に通信回線402を介して送る。
【0115】
通信制御装置310に入力されたOSNRモニタ結果は、OSNRモニタ結果受信部313に送られる。OSNRモニタ結果受信部313は、OSNRモニタ結果を受け取ると、受け取ったOSNRモニタ結果をパラメータ演算部311に送る。
【0116】
パラメータ演算部311は、OSNRモニタ結果を受け取ると、受け取ったOSNRモニタ結果を伝送路における光信号の伝送特性として、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ演算部311は、受け取ったOSNRモニタ結果を伝送路の特性として、第2の実施形態と同様に帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ演算部311は、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出すると、算出した各パラメータをパラメータ送信部312に送る。
【0117】
パラメータ送信部312は、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを受け取ると、受け取った各パラメータを送信装置100および受信装置500に通信回線402を介して送る。
【0118】
送信装置100および受信装置500は、新たに算出された帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを受け取ると、新たに受け取ったパラメータを基に第2の実施形態と同様に帯域の狭窄や復元の動作を行う。
【0119】
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態の光通信システムと同様の効果を有する。また、本実施形態の光通信システムでは、OSNRモニタ部67で計測したOSNRを伝送特性として、パラメータ演算部311が伝送特性に応じた最適な帯域幅および多重間隔になるように帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出している。本実施形態の光通信システムでは、受信信号のOSNRの実測値を伝送特性とすることで、経路や伝送路の状態等が変化した場合でも、伝送路の状態に応じて帯域幅および多重間隔を最適化することができる。なお、一般的に受信信号のOSNRと受信Q値の関係には相関があり、理論的に算出するほか、経験的、実験的に得られる受信OSNRと受信Q値の関係を用いて算出しても良い。その結果、本実施形態の通信システムは、伝送条件に応じてより最適な高密度波長多重を行うことができるので、周波数利用効率をより向上することができる。
【0120】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図22は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。
本実施形態の光通信システムは、送信装置100と、受信装置600と、通信制御装置320を備えている。送信装置100と受信装置600は、光ファイバ伝送路401を介して接続されている。また、通信制御装置320は、送信装置100および受信装置600と通信回線402を介して接続されている。
【0121】
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様に送信装置100から受信装置600に光ファイバ伝送路401を介して波長多重化された光信号を伝送するデジタル光通信システムである。本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様にデジタルコヒーレント方式およびスーパーナイキスト伝送方式によって通信を行う。
【0122】
第2の実施形態では、あらかじめ測定された伝送路の特性を用いて、通信制御装置において帯域狭窄パラメータの算出を行っている。本実施形態の光通信システムは、そのような構成に代えて、光ファイバ伝送路401を伝送された信号スペクトルを取得し、信号スペクトルから抽出した伝送特性に基づいて帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出することを特徴とする。
【0123】
本実施形態の送信装置100および光ファイバ伝送路401の構成と機能は、第2の実施形態と同様である。
【0124】
受信装置600は、複数の光受信器70と、分波器52を備えている。本実施形態の分波器52の構成と機能は、第2の実施形態の分波器52と同様である。また、光受信器70は、光送信器30に対応するように備えられている。
【0125】
光受信器70の構成について説明する。
図23は、光受信器70の構成を示したものである。光受信器70は、光/電気変換器71と、静的線形等化器72と、適応等化器74と、識別器75と、受信係数演算部76と、スペクトルモニタ部77を備えている。また、静的線形等化器72は、帯域復元フィルタ73をさらに備えている。本実施形態の光/電気変換器71、静的線形等化器72、帯域復元フィルタ73、適応等化器74、識別器75および受信係数演算部76の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
【0126】
スペクトルモニタ部77は、静的線形等化器72における受信信号の線形等化処理等を監視し、受信信号のスペクトルデータを取得する機能を有する。スペクトルモニタ部77における受信信号のスペクトルデータの取得は、以下のように行われる。
【0127】
受信側の静的線形等化器72は、長大なインパルス応答長を要する波長分散の補償を行うため、回路利用効率の高い周波数領域の等化器によって構成される。静的線形等化器72は、受信した時間領域の信号を、一度、FFT(Fast Fourier Transform)処理により周波数領域の信号に変換する。その後、静的線形等化器72は、所定の線形フィルタ特性を乗算した後、再び、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理によって時間領域の信号に戻す処理を行う。FFT処理後の周波数領域の信号は、瞬間的な周波数スペクトルそのものを示すので、スペクトルモニタ部77は、静的線形等化器72の内部演算結果を平均化することによって、受信信号のスペクトル形状のデータを取得することができる。
【0128】
取得可能なスペクトルの領域は、光/電気変換器のアナログ帯域やサンプリング周波数によって決まるが、ボーレートの2倍程度のサンプリング周波数でアナログデジタル変換されることが多い。アナログ帯域も信号ボーレートよりは広い帯域を有するので、高密度な波長多重を行った場合、
図24Aに示すように隣接チャネルの一部までモニタ領域として含まれる。そのため、取得するスペクトルにおいて、
図24Bに示す通り、隣接チャネルとの波長多重間隔マージンや、OSNRに相当する信号ピークパワーとノイズフロアの差をモニタすることができる。このようにスペクトルを監視することで、帯域狭窄における許容Q値の劣化量や、隣接チャネルとのクロストーク量の推測などを基に波長多重間隔をより詳細に制御することが可能になる。
【0129】
スペクトルモニタ部77は、取得したスペクトルデータを、通信回線402を介して通信制御装置320に送る。
【0130】
通信制御装置320の構成について説明する。
図25は、本実施形態の通信制御装置320の構成を示したものである。通信制御装置320は、パラメータ演算部321と、パラメータ送信部322と、スペクトルモニタ結果受信部323を備えている。本実施形態のパラメータ送信部322の構成と機能は、第2の実施形態のパラメータ送信部302と同様である。
【0131】
パラメータ演算部321は、管理者等によって入力される伝送路経路情報と、スペクトルモニタ結果を基に、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ演算部321は、例えば、スペクトルデータから隣接チャネルとの波長多重間隔マージンや、OSNRに相当する信号ピークパワーとノイズフロアの差のデータを伝送路の特性データとして抽出する。パラメータ演算部321は、伝送路経路情報と、スペクトルデータから抽出した伝送特性のデータを基に第2の実施形態と同様に帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ演算部321は、各チャネルの光信号の波長、波長間隔および帯域狭窄率の情報をパラメータ送信部322に送る。
【0132】
スペクトルモニタ結果受信部323は、各光受信器70のスペクトルモニタ部77が計測した受信信号のスペクトルデータを、通信回線402を介して受信する。スペクトルモニタ結果受信部323は、各光受信器70から受けとったスペクトルデータをパラメータ演算部321に送る。
【0133】
図26は、本実施形態の光通信システムの構成と各パラメータのデータの流れを模式的に示したものである。
図26では、電気/光変換器33をE/O変換器として示している。また、
図26では、光/電気変換器71をO/E変換器として示している。また、
図26では、光ファイバ伝送路401を光ファイバネットワークとして示している。
【0134】
図26に示すように本実施形態の光通信システムでは、各光受信器のスペクトルモニタ部77から受信信号のスペクトルデータが通信制御装置にそれぞれ送られている。また、通信制御装置から帯域狭窄パラメータが各光送信器の送信係数演算部および各光受信器の受信係数演算部にそれぞれ送られている。また、通信制御装置から波長多重間隔パラメータが各光送信器の合波器およびE/O変換器、並びに、各光受信器の分波器およびO/E変換器にそれぞれ送られている。各光送信器に入力される送信原信号は、送信線形等化器でボーレート以下の帯域幅にする帯域狭窄フィルタ処理が施され、合波器でボーレート以下の波長間隔で多重化されて伝送される。また、光ファイバネットワークを伝送された多重信号は、分波されて各光受信器に入力され、静的線形等化器で受信信号の帯域幅の復元が行われる。
【0135】
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。本実施形態の光通信システムにおいて、スペクトルモニタ部77が受信信号のスペクトルデータを計測し、パラメータ演算部321がスペクトルデータから伝送路の特性を抽出して、各パラメータを算出する動作以外の動作は、第2の実施形態と同様である。
【0136】
よって、以下では、スペクトルモニタ部77が受信信号のスペクトルデータを取得し、パラメータ演算部321がスペクトルデータから伝送路の特性を抽出して各パラメータを算出する動作を主に説明する。
【0137】
本実施形態の光通信システムは、初期状態では、第2の実施形態と同様に、管理等によって伝送路経路情報とともに入力された伝送特性の情報を基に動作を開始する。
【0138】
多重信号の伝送が行われている際、光ファイバ伝送路401を伝送された多重信号は、受信装置600の分波器52で各チャネルの光信号に分離され、対応する光受信器70に送られる。光受信器70の光/電気変換器71に光信号が入力されると、光信号は電気信号に変換されて静的線形等化器72に受信信号として送られる。
【0139】
受信信号が入力されると、静的線形等化器72は、受信信号の波長分散補償や帯域復元フィルタ処理を行う。静的線形等化器72が受信信号の波長分散補償等の等化処理を行う際に、スペクトルモニタ部77は、静的線形等化器72からスペクトルデータを取得する。
【0140】
スペクトルモニタ部77は、スペクトルデータを取得すると所定の時間ごとに平均化したデータをスペクトルモニタ結果として通信制御装置320に通信回線402を介して送信する。スペクトルデータを取得する際の所定の時間は、瞬間的な変動の影響を抑制してスペクトルデータを安定して取得できる時間としてあらかじめ設定されている。
【0141】
通信制御装置320に入力されたスペクトルモニタ結果は、スペクトルモニタ結果受信部323に送られる。スペクトルモニタ結果受信部323は、スペクトルデータとしてスペクトルモニタ結果を受け取ると、受け取ったスペクトルデータをパラメータ演算部321に送る。
【0142】
パラメータ演算部321は、受信信号のスペクトルデータを受け取ると、受け取ったスペクトルデータから伝送路における伝送特性のデータを抽出する。伝送特性のデータを抽出すると、パラメータ演算部321は、抽出した伝送特性を基に帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出する。パラメータ演算部321は、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを算出すると、算出した各パラメータをパラメータ送信部322に送る。
【0143】
パラメータ送信部322は、帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを受け取ると、受け取った各パラメータを送信装置100および受信装置600に通信回線402を介して送る。
【0144】
送信装置100および受信装置600は、新たに算出された帯域狭窄パラメータおよび波長多重間隔パラメータを受け取ると、新たに受け取ったパラメータを基に第2の実施形態と同様の信号の帯域の狭窄と復元の動作を行う。
【0145】
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態の光通信システムと同様の効果を有する。また、本実施形態の光通信システムは、スペクトルモニタ部77で計測した受信信号のスペクトルから抽出した伝送特性を基に、パラメータ演算部301が伝送特性に応じた最適な帯域幅および多重間隔になるように各パラメータを算出している。本実施形態の光通信システムでは、受信信号のスペクトルデータから抽出した伝送特性を用いることで、伝送路の状態についてより正確なデータを基に帯域幅および多重間隔を最適化することができる。そのため、本実施形態の光通信システムは、光信号の伝送の経路や伝送路の状態が変わった場合でも、伝送路の状態に応じて最適な帯域幅および多重間隔を算出し、周波数効率を最適化することができる。その結果、伝送条件に応じた最適な高密度波長多重を行って、周波数利用効率を向上することができる。
【0146】
第1乃至第4の実施形態では、送信装置から受信装置の一方向にのみ多重信号を伝送しているが、送信装置と受信装置の機能を合わせて有する伝送装置を用いて双方向の通信を行ってもよい。また、そのような構成とする場合に、通信制御装置を送信装置または受信装置のいずれかと同じ場所に設置し、多重信号に測定結果や各パラメータの情報を基にした信号を重畳することで各情報の通知や共有が行われるようにしてもよい。
【0147】
第2乃至第4の実施形態の光送信器の送信線形等化器および送信係数演算部は、例えば、各機能の処理を行う回路が形成された半導体装置を用いて構成することができる。また、第2乃至第4の実施形態の光受信器の静的線形等化器、適応等化器、識別器および受信係数演算部は、例えば、各機能の処理を行う回路が形成された半導体装置を用いて構成することができる。第3の実施形態の光受信器のOSNRモニタ部、第4の実施形態の光受信器のスペクトルモニタ部、および、各実施形態の通信制御装置のパラメータ演算部も同様に各機能の処理を行う回路が形成された半導体装置を用いて構成することができる。また、各実施形態の通信制御装置のパラメータ送信部は、通信モジュールと各機能の処理を行う回路が形成された半導体装置を用いて構成することができる。第3の実施形態のOSNRモニタ結果受信部、および、第4の実施形態のスペクトルモニタ結果受信部も同様に通信モジュールと各機能の処理を行う回路が形成された半導体装置を用いて構成することができる。
【0148】
また、上記の各部位における処理は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ素子等によって構成される装置上で各機能の処理を行うプログラムを実行することで行われてもよい。
【0149】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0150】
(付記1)
光信号を伝送する伝送路の特性を基に信号の帯域幅の狭窄の度合いを示すパラメータとして設定された帯域狭窄パラメータに基づいて送信側において各チャネルの信号の帯域幅をボーレート以下に狭窄するスペクトル整形が帯域狭窄フィルタ処理として施され、ボーレート以下の間隔で波長多重化された多重信号を受信し、前記チャネルごとの前記光信号に分離する分離手段と、
前記伝送路の特性を基に設定された前記チャネルごとの前記光信号の中心波長と前記中心波長の間隔の情報を波長多重間隔パラメータとして取得し、それぞれ割り当てられた前記チャネルの前記光信号を、前記波長多重間隔パラメータに基づいて電気信号に変換して受信信号として出力する光/電気変換手段と、前記帯域狭窄パラメータを取得し、前記帯域狭窄パラメータを基に前記受信信号に送信側で施した前記帯域狭窄フィルタ処理とは逆特性の処理を帯域復元フィルタ処理として施す際のフィルタ係数を算出する受信係数演算手段と、受信係数演算手段が算出した前記フィルタ係数を基に前記受信信号に前記帯域復元フィルタ処理を施して前記受信信号の帯域を復元する帯域復元手段とを有する複数の光受信手段と
を備えることを特徴とする受信装置。
【0151】
(付記2)
前記帯域狭窄パラメータは、ボーレートの帯域幅に対する前記帯域狭窄フィルタ処理後の帯域幅を示す帯域狭窄率として設定されていることを特徴とする付記1に記載の受信装置。
【0152】
(付記3)
前記伝送路を介して受信する前記光信号の信号雑音比を計測し、前記信号雑音比の情報を送信する雑音計測手段をさらに備え、
前記受信係数演算手段は、前記信号雑音比の情報を前記伝送路の特性として用いて設定された前記帯域狭窄パラメータを前記信号雑音比の情報の送信先から取得することを特徴とする付記1または2に記載の受信装置。
【0153】
(付記4)
前記伝送路を介して受信する前記光信号の信号スペクトルを取得し、前記信号スペクトルの情報を送信するスペクトル取得手段をさらに備え、
前記受信係数演算手段は、前記信号スペクトルの情報から抽出した前記伝送路の特性を基に設定された前記帯域狭窄パラメータを前記信号スペクトルの情報の送信先から取得することを特徴とする付記1または2に記載の受信装置。
【0154】
(付記5)
前記スペクトル取得手段は、前記受信信号の線形等化処理を監視し、前記信号スペクトルを取得することを特徴とする付記4に記載の受信装置。
【0155】
(付記6)
前記光/電気変換手段は、前記波長多重間隔パラメータに基づいた波長の局発光と前記分離手段から入力される前記光信号を干渉させ、コヒーレント検波を行うことを特徴とする付記1から3いずれかに記載の受信装置。
【0156】
(付記7)
前記分離手段は、前記波長多重間隔パラメータを取得し、前記波長多重間隔パラメータを基に前記多重信号を前記チャネルごとの光信号に分離することを特徴とする付記1から6いずれかに記載の受信装置。
【0157】
(付記8)
信号の帯域幅をボーレート以下に狭窄するスペクトル整形を行う際の帯域幅の狭窄の度合いを示すパラメータを、光信号を伝送する伝送路の特性に基づいて設定された帯域狭窄パラメータとして取得し、前記信号の前記帯域幅を狭窄する処理を帯域狭窄フィルタ処理として施す際のフィルタ係数を算出する送信係数演算手段と、前記送信係数演算手段が算出した前記フィルタ係数に基づいて、前記信号の前記帯域幅を狭窄する処理を帯域狭窄フィルタ処理として施す帯域狭窄手段と、前記伝送路の特性を基に設定されたチャネルごとの前記光信号の中心波長と前記中心波長の間隔の情報を波長多重間隔パラメータとして取得し、前記帯域狭窄手段が帯域幅をボーレート以下にした前記信号を、前記波長多重間隔パラメータを基に前記光信号に変換する電気/光変換手段とを有する複数の光送信手段と、
複数の前記光送信手段から出力される前記チャネルの前記光信号をボーレート以下の間隔で波長多重化して多重信号として前記伝送路に出力する多重手段と
を備えることを特徴とする送信装置。
【0158】
(付記9)
前記帯域狭窄パラメータは、前記帯域狭窄フィルタ処理における帯域の狭窄の度合いを示す帯域狭窄率として設定されていることを特徴とする付記8に記載の送信装置。
【0159】
(付記10)
前記多重手段は、複数の前記光送信手段がそれぞれ生成した前記光信号を波長多重化する際の前記光信号の波長間隔の情報を前記波長多重間隔パラメータとして取得し、前記波長多重間隔パラメータに基づいた波長間隔で前記光信号を波長多重化することを特徴とする付記8または9に記載の送信装置。
【0160】
(付記11)
光信号の伝送路の経路の情報と、前記伝送路の特性を基に、各チャネルの信号に帯域幅をボーレート以下にするスペクトル整形を施す際の前記帯域幅の情報を示す帯域狭窄パラメータと、複数の前記チャネルそれぞれの前記光信号の中心波長と前記中心波長の波長間隔を示す波長多重間隔パラメータを算出するパラメータ演算手段と、
前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを前記光信号の送信側と受信側にそれぞれ送信するパラメータ送信手段と
を備えることを特徴とする通信制御装置。
【0161】
(付記12)
前記パラメータ演算手段は、前記光信号の受信側から取得した前記光信号の信号雑音比の情報を前記伝送路の特性として前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを算出することを特徴とする付記11に記載の通信制御装置。
【0162】
(付記13)
前記パラメータ演算手段は、前記光信号の受信側から取得した前記光信号の信号スペクトルの情報から前記伝送路の特性を抽出して、抽出した前記伝送路の特性を基に前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを算出することを特徴とする付記11に記載の通信制御装置。
【0163】
(付記14)
付記8から10いずれかに記載の送信装置と、
付記1から7いずれかに記載の受信装置と、
付記11から13いずれかに記載の通信制御装置と
を備え、
前記通信制御装置は、前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを前記送信装置および前記受信装置にそれぞれ送信し、
前記送信装置は、前記通信制御装置から前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを受信し、前記帯域狭窄パラメータを基に前記帯域狭窄フィルタ処理を施した信号を、前記波長多重間隔パラメータを基に前記光信号に変換して、複数の前記チャネルの前記光信号を波長多重化して前記多重信号として前記伝送路に送信し、
前記受信装置は、前記通信制御装置から前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを受信し、前記伝送路を介して前記送信装置から受信する前記多重信号を分離した前記光信号を、前記波長多重間隔パラメータを基に電気信号に変換して、前記電気信号に変換した受信信号に前記帯域狭窄パラメータに基づいて前記帯域復元フィルタ処理を施すことを特徴とする光通信システム。
【0164】
(付記15)
光信号の伝送路の特性を基に信号の帯域幅の狭窄の度合いを示すパラメータとして設定された帯域狭窄パラメータに基づいて各チャネルの信号の帯域幅をボーレート以下に狭窄するスペクトル整形が帯域狭窄フィルタ処理として施され、ボーレート以下の間隔で波長多重化された多重信号を前記チャネルごとの光信号に分離し、
伝送路の特性を基に設定された前記チャネルごとの光信号の中心波長と前記中心波長の間隔の情報を波長多重間隔パラメータとして取得し、それぞれ割り当てられた前記チャネルの前記光信号を、前記波長多重間隔パラメータに基づいて電気信号に変換し受信信号として出力し、
前記帯域狭窄パラメータを取得し、前記帯域狭窄パラメータを基に前記受信信号に前記帯域狭窄フィルタ処理とは逆特性の処理を帯域復元フィルタ処理として施す際のフィルタ係数を算出し、
算出した前記フィルタ係数を基に前記受信信号に前記帯域復元フィルタ処理を施して前記受信信号の帯域を復元することを特徴とする光通信方法。
【0165】
(付記16)
前記帯域狭窄パラメータは、前記帯域狭窄フィルタ処理における帯域の狭窄の度合いを示す帯域狭窄率として設定されていることを特徴とする付記15に記載の光通信方法。
【0166】
(付記17)
前記伝送路を介して受信する前記光信号の信号雑音比を計測し、前記信号雑音比の情報を送信し、
前記信号雑音比の情報を前記伝送路の特性として用いて設定された前記帯域狭窄パラメータを前記信号雑音比の情報の送信先から取得することを特徴とする付記15または16に記載の光通信方法。
【0167】
(付記18)
前記伝送路を介して受信する前記光信号の信号スペクトルを取得し、前記信号スペクトルの情報を送信し、
前記信号スペクトルの情報から抽出した前記伝送路の特性を基に設定された前記帯域狭窄パラメータを前記信号スペクトルの情報の送信先から取得することを特徴とする付記15または16に記載の光通信方法。
【0168】
(付記19)
前記受信信号の線形等化処理を監視し、前記信号スペクトルを取得することを特徴とする付記18に記載の光通信方法。
【0169】
(付記20)
前記波長多重間隔パラメータに基づいた波長の局発光と前記多重信号から分離された前記光信号を干渉させ、コヒーレント検波を行うことを特徴とする付記15から19いずれかに記載の光通信方法。
【0170】
(付記21)
前記波長多重間隔パラメータを取得し、前記波長多重間隔パラメータを基に前記多重信号を前記チャネルごとの光信号に分離することを特徴とする付記15から20いずれかに記載の光通信方法。
【0171】
(付記22)
信号の帯域幅をボーレート以下に狭窄するスペクトル整形を行う際の帯域幅の狭窄の度合いを示すパラメータを、光信号を伝送する伝送路の特性に基づいて設定された前記帯域狭窄パラメータとして取得し、
前記信号の前記帯域幅を狭窄する処理を前記帯域狭窄フィルタ処理として施す際のフィルタ係数を算出し、
算出した前記フィルタ係数に基づいて、前記信号の前記帯域幅を狭窄する処理を帯域狭窄フィルタ処理として施し、
前記伝送路の特性を基に設定された前記チャネルごとの光信号の中心波長と前記中心波長の間隔の情報を前記波長多重間隔パラメータとして取得し、
帯域幅をボーレート以下にした前記信号を、前記波長多重間隔パラメータを基に前記光信号に変換し、
複数の前記チャネルの前記光信号をボーレート以下の間隔で波長多重化して多重信号として前記伝送路に出力することを特徴とする付記15から20いずれかに記載の光通信方法。
【0172】
(付記23)
前記帯域狭窄パラメータは、前記帯域狭窄フィルタ処理における帯域の狭窄の度合いを示す帯域狭窄率として設定されていることを特徴とする付記22に記載の光通信方法。
【0173】
(付記24)
複数の前記光信号を波長多重化する際の前記光信号の波長間隔の情報を前記波長多重間隔パラメータとして取得し、前記波長多重間隔パラメータに基づいた波長間隔で前記光信号を波長多重化することを特徴とする付記22または23に記載の光通信方法。
【0174】
(付記25)
前記伝送路の経路の情報と、前記伝送路の特性を基に、前記帯域狭窄パラメータと前記波長多重間隔パラメータを算出し、
前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを前記光信号の送信側と受信側に送信することを特徴とする付記22から24いずれかに記載の光通信方法。
【0175】
(付記26)
前記光信号の受信側から取得した前記光信号の信号雑音比の情報を前記伝送路の特性として前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを算出することを特徴とする付記25に記載の光通信方法。
【0176】
(付記27)
前記光信号の受信側から取得した前記光信号の信号スペクトルの情報から前記伝送路の特性を抽出し、
抽出した前記伝送路の特性を基に前記帯域狭窄パラメータおよび前記波長多重間隔パラメータを算出することを特徴とする付記25に記載の光通信方法。
【0177】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0178】
この出願は、2016年12月28日に出願された日本出願特願2016−255188を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。