(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
転炉は、炉体とトラニオンリングとで構成され、トラニオンリングに設けられたトラニオン軸を中心に回動されることで転炉が傾動する。炉体とトラニオンリングとは、炉体に設けられた上部支持部にトラニオンリング支持首が挿通されて固定される。これにより、転炉が傾動しても炉体とトラニオンリングとが相対的に移動しないような構造になっている。
【0003】
しかしながら、転炉の長期の使用により、トラニオンリング支持首が当接する炉体の上部支持部の面が摩耗すると、トラニオンリング支持首と炉体上部支持部との間に隙間が生じ、転炉の傾動時に炉体とトラニオンリングが相対移動する。従来より、トラニオンリング支持首と炉体上部支持部との間に隙間が生じた場合には、シムを挿入して当該隙間を埋める対策が取られていたが、摩耗により上部支持部の当たり面が荒れていると、シムが固定できず、炉体傾動時に抜け落ちてしまう問題があった。このため、摩耗によって上部支持部の当たり面が荒れた場合には、当該面を平滑にする補修が必要であった。
【0004】
上部支持部の当たり面を平滑にする技術として、液体ジェット切断装置を用いて上部支持部の当たり面を切断する技術がある。特許文献1には、ノズルからウォータージェット又は研磨材が混合されたアブレッシブジェットを噴出し、鉄筋コンクリート構造物を切断する技術が開示されている。また、特許文献1には、ノズルの両側に弾性板を設けてジェット水の反射度合い検出し、これが切断中の被切断部の状態に相当するものとして、当該検出結果に基づいてノズル移動速度等を制御することも開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
転炉において、トラニオンリングは恒久的に使用されるので、トラニオンリングを傷つけることなく転炉を補修する必要がある。したがって、上部支持部の切断状態を検出し、上部支持部の切断が終了したら直ちに液体ジェット切断装置による切断を終了させる必要がある。しかしながら、上部支持部の当たり面の近傍には、切断状態を直接観察したり、弾性板を設けるなどのスペースがないので、上部支持部の切断状態を検出することが困難であるという課題があった。
【0007】
本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、トラニオンリングの本体を傷つけることなく補修できる転炉の補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するための本発明の特徴は、以下の通りである。
(1)製鋼に用いる転炉の補修方法であって、ノズルから噴出されるウォータージェットでトラニオンリングの上支持首に面する転炉の上部支持部を切断する際に、前記上部支持部の切断位置の下方には、前記上部支持部に用いられている鋼材よりも硬度が高い保護材が設けられ、前記ウォータージェットで切断される前記上部支持部の切断面の温度を測定し、前記切断面の温度が、予め定められた閾値1以上になった場合に、前記ウォータージェットによる切断を終了する、転炉の補修方法。
(2)前記閾値1は、前記ウォータージェットで前記上部支持部を切断した場合の切断面の温度と、前記ウォータージェットで前記保護材を切断した場合の温度とを区別する閾値である、(1)に記載の転炉の補修方法。
(3)前記切断面の温度が予め定められた閾値2未満になった場合に、切断効率を上げるために前記ノズルの移動速度を遅くして前記切断面の温度を上昇させ、前記切断面の温度が予め定められた閾値3以上になった場合に、前記切断面の波打ちを抑制するために前記ノズルの移動速度を速くして前記切断面の温度を低下させ、前記閾値2および閾値3は、前記保護材の切断と誤認せずに前記上部支持部を切断するため、前記閾値1よりも低い温度であり、前記閾値2は、前記閾値3よりも低い温度である、(1)または(2)に記載の転炉の補修方法。
(4)前記閾値2を、前記上部支持部を切断できるか否かの判断に活用する、(3)に記載の転炉の補修方法。
(5)前記閾値3を、前記上部支持部の切断面に波打ちが発生するか否かの判断に活用する、(3)または(4)に記載の転炉の補修方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の転炉の補修方法では、切断面の温度を測定することで、被切断部である上部支持部の切断状態を把握する。これにより、スペースのない炉体の上部支持部の近傍であっても切断状態を容易に把握でき、トラニオンリングの本体を傷付けることなく上部支持部の当たり面を切断し、転炉を補修できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を通じて本発明を説明する。
図1は、本実施形態に係る転炉の補修方法を適用して補修する転炉10の一例を示す側面図である。
図1において、右上の矢印は転炉10の上下左右方向である。
【0012】
転炉10は、製鋼に用いられ、炉体12と、トラニオンリング20とから構成される。トラニオンリング20に設けられたトラニオン軸24は、不図示の炉体支持架台に軸支され、これにより、転炉10は、矢印70方向に傾動可能となる。
【0013】
炉体12は、断面が矩形であって上下方向に貫通する角穴が設けられた上部支持部14と下部支持部16とを有する。上部支持部14は、炉体12の上方の周面に、炉体12の径方向に突出して設けられている。下部支持部16は、炉体12の下方の周面に、炉体12の径方向に突出して設けられている。トラニオンリング20は、リング形状の本体22と、トラニオン軸24と、上支持首26と、下支持首27とを有する。トラニオン軸24は円柱形状の部材であり、本体22の中央の周面に本体22の径方向に突出して設けられている。
【0014】
上支持首26は、トラニオンリング20の本体22の上側端面から上方向に突出して設けられた矩形の部材である。上支持首26には、左右方向に貫通する角穴が設けられている。下支持首27は、本体22の下側端面から下方向に突出して設けられた矩形の部材である。
【0015】
上支持首26は、上部支持部14の角穴に挿通され、かつ、上部支持部14を挟むように、上支持首26の角穴に楔状のコッター18が左右方向に挿通される。これにより、転炉を傾動しない状態では、炉体12とトラニオンリング20とが上下方向に固定される。また、下支持首27は、下部支持部16によって左右方向に固定される。
【0016】
図2は、
図1のA部の部分断面図と上面図である。
図2(a)は、A部の部分断面図である。
図2(b)は、A部の上面図である。
図2(a)に示すように、上部支持部14の角穴は対応する上支持首26の幅より広い。このように、上部支持部14の角穴を対応する上支持首26の幅より広くすることで、上支持首26を上部支持部14の角穴に確実に挿通できる。一方、上部支持部14の角穴の幅が上支持首26の幅より広いと上支持首26と角穴との間に隙間が生じる。上支持首26と角穴との間に隙間が生じると、転炉10を傾動させる時に炉体12がトラニオンリング20に対して相対移動し、当該移動により上部支持部14の角穴に衝撃が加わる。この衝撃の発生を避けるために、上部支持部14の角穴と上支持首26の隙間には、2つのシム30が設けられている。この2つのシム30により、転炉10の傾動時に炉体12とトラニオンリング20とが左右方向に固定される。
【0017】
また、本体22と上支持首26とが接続する2つの隅部には、凹部28が設けられている。本体22と上支持首26とが接続する隅部に凹部28を設けることで、転炉10の自重や溶鋼の重量により転炉傾動時の隅部への応力集中が抑制され、隅部に亀裂が生じにくくなる。本実施形態に係る転炉の補修方法が適用される転炉10の凹部28には、上部支持部14に用いられている鋼材よりも硬度の高い保護材29が設けられている。保護材29として、例えば、炭化タングステン(WC)と結合剤であるコバルトとを混合して焼結した超硬合金が用いられる。さらに硬度を高めるために、炭化チタンや炭化タンタル(TaC)等が添加された超硬合金を保護材29として用いてもよい。
【0018】
図3は、転炉10が長期間使用された後のA部を示す部分断面図である。転炉10が長期間使用されると、上部支持部14がシム30と当接する当たり面が摩耗し、当たり面が荒れる。上部支持部14の当たり面が荒れると、シム30と上部支持部14とが面でなく点で接触することになるので、シム30と上部支持部14との接触が不安定になる。また、シム30と上部支持部14とが点で接触すると、転炉10の傾動時に炉体12の負荷がシム30の点接触部に集中し、シム30が変形する。この不安定な接触と変形により、シム30は、転炉10の振動により傾動時に抜け落ちる場合がある。このため、シム30が接する上部支持部14の当たり面が摩耗して荒れた場合には、当該当たり面を切断して、当たり面を平滑な面に面出しする必要がある。なお、上部支持部14の当たり面を切断すると、上部支持部14の角穴と、上支持首26との隙間がさらに大きくなるが、上部支持部14の切断量に対応させて厚くしたシムを新たに設けることで、当該隙間を無くすことができる。
【0019】
図4は、上部支持部14の当たり面を液体ジェット切断設備80で切断する状態を示す模式図である。
図4(a)は、
図3の矢印B方向から見た図である。
図4(b)は、
図4(a)の切断方向から見た図である。なお、
図4(b)において、ノズル以外の他の設備は図示を省略している。
【0020】
本実施形態に係る転炉の補修方法では、上部支持部14の当たり面を液体ジェット切断設備80で切断する。液体ジェット切断設備80は、液体ジェット切断装置40と、駆動装置50と、制御装置60とを有する。液体ジェット切断装置40は、ノズル42と、研磨剤投入口44と、赤外線センサー45とを有する。ノズル42には、高圧水46が送り込まれ、ノズル42の先端からウォータージェットを噴出させて、上支持首26に面する上部支持部14の側面を切断する。また、研磨剤48を含むウォータージェットを噴出させて上部支持部14の側面を切断する場合には、研磨剤投入口44から研磨剤48が投入される。
【0021】
赤外線センサー45は、ウォータージェットの噴出により切断される上部支持部14の切断面の温度を測定する。なお、赤外線センサー45は、切断される上部支持部14の切断面の温度を非接触で測定できる装置の一例であり、切断面の温度を非接触で測定できる装置であれば他の装置を用いてもよい。
【0022】
駆動装置50は、ノズル42を含む液体ジェット切断装置40を
図4(a)に示す切断方向に移動させる。駆動装置50は、2本の支柱52と、駆動モーター54と、スクリュー軸58と、プーリー56とを有する。駆動モーター54は、所定の回転数で回転駆動する。プーリー56は、駆動モーター54の駆動をスクリュー軸58に伝達する。スクリュー軸58が所定の回転数で回転することによって、液体ジェット切断装置40は、ノズル42からウォータージェットを噴出させながら所定の速度で移動し、上部支持部14の当たり面を切断する。
【0023】
制御装置60は、液体ジェット切断装置40の動作と、駆動装置50の動作を制御する。制御装置60は、所定の間隔、例えば、1秒間隔で赤外線センサー45から温度データを受け取り、当該温度データを用いて駆動モーター54や、ノズル42からのウォータージェットの噴出を制御する。制御装置60は、例えば、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータであり、記憶装置には、液体ジェット切断装置40および駆動装置50の動作に必要なプログラムやプログラムに使用するデータが予め記憶されている。当該プログラムが制御装置60のCPUで実行されることで、液体ジェット切断設備80による上部支持部14の切断が実行される。
【0024】
図4(b)に示すように、液体ジェット切断装置40は、上部支持部14における摩耗した当たり面の内側を切断する。ウォータージェットの噴出により、上部支持部14の切断面には摩擦熱が発生するので、切断面の温度は上昇する。ウォータージェットの噴出圧が一定である場合、液体ジェット切断装置40の移動速度が遅くなると、ウォータージェットによる切断が進行して摩擦熱が多くなるので切断面の温度は上昇する。一方、液体ジェット切断装置40の移動速度が速くなると、ウォータージェットによる切断が遅くなるので摩擦熱が少なくなり切断面の温度は低下する。また、切断する鋼材の硬度が高くなると摩擦熱が多くなって切断面の温度が上昇し、切断する鋼材の硬度が低くなると摩擦熱は少なくなるので切断面の温度は低下する。
【0025】
本実施形態に係る転炉の補修方法で補修する転炉10では、切断される上部支持部14の切断位置の下方に上部支持部14に用いられている鋼材よりも硬度の高い保護材29が設けられている。ウォータージェットにより上部支持部14の側面が切断され、ウォータージェットが保護材29に到達すると、上部支持部14に用いられている鋼材よりも硬度の高い保護材29が切断され始めるので、切断面の温度が上昇する。制御装置60の記憶装置には、予め、ウォータージェットで上部支持部14の鋼材を切断した場合の切断面の温度と、ウォータージェットで保護材29を切断した場合の温度とを区別する閾値1が記憶されており、赤外線センサー45から出力される温度データが示す温度が閾値1以上になった場合に、制御装置60は、上部支持部14の鋼材の切断が完了したと判断して液体ジェット切断装置による切断を終了させる。
【0026】
本実施形態に係る転炉の補修方法では、種々の移動速度および種々の圧力において、ウォータージェットの噴出により上部支持部14に用いられている鋼材および保護材29の切断実験を行い、これら鋼材を切断した場合の切断面の温度を区別する閾値1を予め定めておく。そして、ウォータージェットの噴出により上部支持部14を切断しながら切断面の温度を赤外線センサー45で測定し、赤外線センサー45から取得した温度データが示す温度が閾値1未満の場合には、制御装置60は、上部支持部14が切断されていないと判断して液体ジェット切断装置40による切断を継続させる。一方、赤外線センサー45から取得した温度データが示す温度が閾値1以上の場合には、制御装置60は、上部支持部14が切断されたと判断して液体ジェット切断装置40による切断を終了させる。
【0027】
このように、本実施形態に係る転炉の補修方法では、赤外線センサー45で切断面の温度を測定することで上部支持部14の切断面の切断状態を容易に把握し、当該温度が予め定められた閾値1以上になった場合に上部支持部14が切断されたと判断して、液体ジェット切断装置40による切断を終了させる。これにより、トラニオンリング20の本体22を傷つけることなく上部支持部14を切断して転炉10を補修できる。
【0028】
ウォータージェットによる上部支持部14の切断では、液体ジェット切断装置40の移動速度を速くするとウォータージェットによる上部支持部14の切断が不十分となって切断されない部分が生じる場合がある。一方、液体ジェット切断装置40の移動速度を遅くし過ぎると切断面にウォータージェットが当たり過ぎて切断した面に波打ちが発生する場合がある。
【0029】
上述したように、切断面の温度は、液体ジェット切断装置40の移動速度によって変化するので、逆に、ウォータージェットによる上部支持部14の切断が十分となるか否かの判断ができる温度の閾値2と、ウォータージェットが当たり過ぎて切断面が波打つか否かの判断ができる温度の閾値3を予め設定しておき、赤外線センサー45から取得した切断面の温度データ、閾値2および閾値3を用いて、制御装置60が液体ジェット切断装置40の移動速度を制御してもよい。なお、閾値2および閾値3は、保護材29の切断と誤認せず、上部支持部14を有利に切断するために閾値1よりも低い温度に設定される。また、閾値2は、閾値3よりも低い温度である。
【0030】
切断面の温度データを用いて、液体ジェット切断装置40の移動速度を制御する場合において、制御装置60は、切断面の温度が閾値2未満の場合に液体ジェット切断装置40による切断が不十分と判断し、駆動モーター54の回転数を下げ、液体ジェット切断装置40の移動速度を遅くする。これにより、液体ジェット切断装置40による単位長さ当たりの切断時間が長くなり、液体ジェット切断装置40を用いて上部支持部14を切断できるようになる。
【0031】
制御装置60は、切断面の温度が閾値2以上閾値3未満の場合に液体ジェット切断装置40による切断が十分であると判断し、液体ジェット切断装置40の移動速度をそのままに維持する。
【0032】
また、制御装置60は、切断面の温度が閾値3以上の場合にウォータージェットが鋼材に当たり過ぎて切断面が波打つおそれが生じると判断し、駆動モーター54の回転数を上げ、液体ジェット切断装置40の移動速度を速くする。これにより、液体ジェット切断装置40の切断時間が短くなり、鋼材に当たり過ぎていたウォータージェットの量が少なくなる。これにより、ウォータージェットにより切断した切断面に波打ちが発生することを抑制できる。
【0033】
図5は、切断面の温度で液体ジェット切断装置40の移動速度を制御した場合における切断面の温度と切断時間との関係を概念的に示すグラフである。
図5の縦軸は切断面の温度(℃)であり、横軸は切断時間(s)である。
【0034】
図5の閾値1は、上部支持部14の鋼材を切断した場合の切断面の温度と、ウォータージェットで保護材29を切断した場合の切断面の温度とを区別できる温度の閾値である。閾値2は、ウォータージェットにより上部支持部14が切断できるか否かの判断に活用できる温度の閾値である。また、閾値3は、ウォータージェットが当たり過ぎて、上部支持部14の切断面に波打ちが発生するか否かの判断に活用できる温度の閾値である。
【0035】
例えば、切断開始時において、切断面の温度は閾値2未満なので、基準となる液体ジェット切断装置40の移動速度である4.5mm/minに対して0.5mm/min遅くする。これにより、液体ジェット切断装置40による単位長さ当たりの切断時間が長くなって切断効率が上がるとともに、接合面の温度は上昇する。なお、0.5mm/min遅くして所定時間経過しても切断面の温度が上昇しない場合は、液体ジェット切断装置40の移動速度をさらに0.5mm/min遅くする。制御装置60は、接合面の温度が上昇するまで、この操作を繰り返し実施する。
【0036】
その後、接合面の温度が上昇し、切断面の温度が閾値2以上閾値3未満となったら、制御装置60は、液体ジェット切断装置40の移動速度をそのまま維持する。その後、接合面の温度がさらに上昇し、接合面の温度が閾値3以上となったら、制御装置60は、液体ジェット切断装置40の移動速度を0.5mm/min速くする。これにより、液体ジェット切断装置40による単位長さ当たりの切断時間が短くなり、接合面に当たるウォータージェットの量が少なくなり波打ちの発生が抑制される。なお、0.5mm/min速くして所定時間経過しても切断面の温度が低下しない場合は、液体ジェット切断装置40の移動速度をさらに0.5mm/min速める。制御装置60は、接合面の温度が上昇するまで、この操作を繰り返し実施する。
【0037】
液体ジェット切断装置40による切断が継続され上部支持部14の切断が終了すると、液体ジェット切断装置40は保護材29を切断し始める。保護材29の硬度は上部支持部14の鋼材よりも硬度が高い。このため、当該硬度差により切断面の温度は急激に上昇する。この温度の上昇によって切断面の温度が閾値1以上となるので、制御装置60は、上部支持部14の切断が終了したと判断し、液体ジェット切断装置40による上部支持部14の切断を終了し、ノズル42からのウォータージェットの噴出を停止する。
【0038】
このように、本実施形態に係る本実施形態に係る転炉の補修方法では、切断面の温度が予め定められた閾値1以上になった場合に液体ジェット切断装置40による上部支持部14の切断が終了したと判断し、液体ジェット切断装置40による上部支持部14の切断を終了させる。これにより、スペースのない上部支持部の当たり面の近傍であっても上部支持部の切断状態を検出できるので、トラニオンリング20の本体22を傷付けることなく上部支持部14の側面を切断して転炉を補修できる。
【0039】
また、上部支持部14を切断できるか否かの判断に活用できる閾値2および上部支持部14の切断面に波打ちが発生するか否かの判断に活用できる閾値3を定め、切断面の温度と、閾値2と、閾値3とを用いて、液体ジェット切断装置40の移動速度を制御してもよい。これにより、上部支持部14の切断面に波打ちが発生することを抑制しつつ上部支持部14を良好に切断できる。
【0040】
液体ジェット切断装置40を用いて上部支持部14を切断する切断条件を下記表1に示した。また、上述した閾値1を90℃として、閾値2を50℃とし、閾値3を70℃とした。この閾値1〜3と、切断面の温度を用いて液体ジェット切断装置40の移動速度を制御することで、トラニオンリング20の本体22を傷付けることなく、かつ、上部支持部14における切断面の波打ちを抑制しながら上部支持部14を切断でき、転炉10を補修できた。
【0042】
また、本実施形態では、制御装置60が液体ジェット切断装置40の動作と、駆動装置50の動作を制御する例を示したがこれに限らない。例えば、赤外線センサー45から出力される切断面の温度を用いて、作業者が液体ジェット切断装置40および駆動装置50を制御して、転炉10の上部支持部14の当たり面を切断してもよい。