(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。なお、本明細書等において、「円形状」とは、輪郭の内側が塗りつぶされた形状を意味する。円形状は、主に円形、楕円形等の輪のような丸い形を指すが、例えば、多角形のように概ね丸いとみなせる形状でもよい。また、「リング形状」とは、輪郭の内側が塗りつぶされていない領域を有する形状を意味する。リング形状は、概ねリング状とみなせる形状であれば、円形状、楕円形状に限定されない。例えば、多角形のような形状でもよいし、外側の輪郭形状と内側の輪郭形状がそれぞれ異なっていてもよい。更に、リング形状は、主に環状につながった形を指すが、これに限らず、例えば、部分的につながっていない箇所が存在していてもよい。
【0010】
図1は、本実施形態のチケット1を券面側から見たときの平面図である。
図2は、
図1における領域Aの拡大図である。
図3は、第2網点22の説明図である。
図3(A)は、65線30%の円形状の網点22aを示す図である。
図3(B)は、65線15%の円形状の網点22bを示す図である。
図3(C)は、65線30%の網点(A)から65線15%の網点(B)を抜いたリング形状の第2網点22を示す図である。
図4は、チケット1の複製物1Aを券面側から見たときの平面図である。
【0011】
図1に示すチケット1(複写牽制印刷物)は、例えば、鉄道の乗車券、イベントの入場券、招待券等である。チケット1は、有価証券、パスポート、ID証等のセキュリティ製品であってもよい。
図1は、チケット1のベースとなる基材(不図示)の一方の面に形成された券面(例えば、表面)を示している。チケット1の基材は、例えば、矩形状に裁断された紙材である。チケット1の券面には、背景領域10と複写牽制領域20とがオフセット印刷により印刷されている。
【0012】
背景領域10(第1印刷領域部)は、
図2に示すように、円形状の第1網点11が格子状に印刷された領域である。第1網点11は、第1の線数で印刷されている。ここで、「線数」とは、1インチ(約2.54cm)当たりに配置される網点の数をいう。線数は、網点の細かさを表す単位であり、線数が大きくなるほど一つの網点のサイズが小さくなり、線数が小さくなるほど一つの網点のサイズが大きくなる。また、「網点」とは、色の濃淡を表現するために規則的に配置された点又は点の集まりをいう。色の濃度が高くなるほど網点のサイズが大きくなり、色の濃度が低くなるほど網点のサイズが小さくなる。本実施形態では、網点を「点」として説明する。
【0013】
本実施形態において、第1の線数は、150線である。第1網点11の線数を150線とした場合、一般的なコピー機の解像度では、線数の大きな背景領域10の濃度差(下地の白色と網点の黒色との濃度差)を検出することが難しい。そのため、チケット1をコピー機で複写した場合、背景領域10の部分は、元の色が薄く再現される。例えば、背景領域10の元の色がピンク色であれば、背景領域10の複写像は、元の色よりもほぼ均一な薄いピンク色となる。
【0014】
また、第1網点11による背景領域10の網点面積率は、15%である。「網点面積率」とは、単位面積内において、網点の占める総面積(s)と単位面積(S)との比率(s/S)をパーセント(%)で表したもの、すなわち濃度をいう。同じ線数でも、網点面積率が増える(網点のサイズが大きくなる)に従って濃度が高くなり、網点面積率が減る(網点のサイズが小さくなる)に従って濃度が低くなる。以下、網点の線数と濃度(網点面積率)を、例えば「65線15%」と記載する。
【0015】
複写牽制領域20(第2印刷領域部)は、
図2に示すように、リング形状の一つ一つの第2網点22が規則的(例えば、格子状)に印刷された領域である。第2網点22は、第2の線数で印刷されている。本実施形態において、第2の線数は、第1の線数の半分以下となる65である。また、第2網点22による複写牽制領域20の網点面積率は、第1網点11と同じく15%である。複写牽制領域20には、第2網点22により、「COPY」という文字の潜像21が形成されている。
【0016】
本実施形態では、第1網点11の網点面積率(15%)と第2網点22の網点面積率(15%)とが同じであるため、背景領域10と複写牽制領域20は、視覚的にほぼ同一の濃度となる。そのため、潜像21(COPY)が背景領域10から目立ちにくくなり、チケット1の券面からより視認されにくくなる。このような効果は、第1網点11の網点面積率と第2網点22の網点面積率に僅かな差がある場合にもその程度に応じて奏される。
【0017】
なお、
図1において、複写牽制領域20に印刷された潜像21(COPY)は、誇張して描かれている。実際の潜像21は、チケット1の券面から目視しただけでは背景領域10と見分けがつかないため、使用者に違和感を与えることがない。後述するように、潜像21は、チケット1をコピー機で複写したときに、複製物の表面に明瞭に出現する。
【0018】
上述した第2網点22(65線15%)の印刷データは、例えば、
図3(A)〜(C)に示す手順で作成できる。
図3(A)において、円形状の網点22aの線数と濃度は、65線30%である。また、
図3(B)において、円形状の網点22bの線数と濃度は、65線15%である。これら2つの網点22a及び22bを用いて画像処理を行い、65線30%の円形状の網点22aから65線15%の円形状の網点22bを同心円で抜くことにより、
図3(C)に示すような65線15%のリング形状の第2網点22が得られる。
【0019】
なお、
図3(B)に示す網点22bの網点面積率を20%とした場合、
図3(C)に示すリング形状の第2網点22の網点面積率は、10%となる。この場合、チケット1をコピー機で複写したときに、潜像21の複写像は薄くなるため、複製物の表面において視認されにくくなる。
【0020】
また、
図3(B)に示す網点22bの網点面積率を10%とした場合、
図3(C)に示すリング形状の第2網点22の網点面積率は、20%となる。この場合、複写牽制領域20の潜像21は、背景領域10よりも視覚的に濃度が高くなるため、チケット1をコピー機で複写したときに、潜像21の複写像が濃くなり、複製物の表面において視認されやすくなる。しかし、チケット1の券面において、潜像21が視認されやすくなるため、使用者に違和感を与えてしまう。
【0021】
これに対して、
図3(B)に示す網点22bの網点面積率を15%とした場合、先に説明したように、背景領域10と複写牽制領域20は、視覚的にほぼ同一の濃度となるため、チケット1(真券)の券面において、潜像21が視認されにくくなる。そのため、チケット1において、潜像21により形成される複写牽制の自由度を高めることができる。
【0022】
また、チケット1をコピー機で複写した場合、背景領域10(第1網点11)は、一般的なコピー機の解像度では濃度差を検出できない。そのため、
図4に示すように、複製物1Aにおいて、チケット1(真券)の背景領域10に対応する領域10Aは、元の色よりも薄い複写像となる。また、チケット1において、線数の少ない潜像21(第2網点22)は、一般的なコピー機の解像度に応じた濃度差として検出されるが、複写されると、リング形状の輪郭の内部が塗りつぶされた複写像となる。そのため、
図4に示すように、複製物1Aにおいて、チケット1の複写牽制領域20に対応する領域20Aには、潜像21がより明瞭に出現する。
【0023】
以上説明したように、本実施形態のチケット1は、印刷物として潜像21(複写牽制領域20)が目立ちにくく、チケット1の券面から視認されにくいため、使用者に違和感を与えることがない。また、本実施形態のチケット1は、複製物1Aにおいて、潜像21がより明瞭に出現するため、複製物1Aが偽物であることを目視で容易に判別できる。したがって、本実施形態のチケット1は、複製物1Aの製造をより効果的に牽制できる。
【0024】
従来の複写牽制印刷物においては、コピー機で複写された際に、牽制文字である潜像がより鮮明に出現するように、潜像を印刷するインキに黒色系インキ(例えば、カーボンブラックインキ等)を混ぜた、濁りのある色インキを使用していた。そのため、潜像の印刷に使用可能なインキには、黒色系インキを含まない明るい色が少なく、印刷物の意匠性を高めることが難しいという課題があった。これに対して、本実施形態のチケット1は、リング形状の第2網点22を備えることにより、潜像21を印刷するインキに黒色系インキを混ぜなくても、潜像21をより鮮明に出現させることができる。これによれば、より明るい色のインキを使用できるようになるため、使用するインキの色の選択肢を増やすことができる。したがって、本実施形態のチケット1によれば、印刷物としての意匠性をより高めることができる。
【0025】
上述した明るい色のインキとしては、例えば、オフセット印刷であれば、イエロー、マゼンタ、シアンのいずれか1色のインキや、プロセスカラー(イエロー、マゼンタ、シアン)を調肉した特色を用いることができる。背景領域10は、オフセット印刷であれば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのインキを組み合わせてフルカラー印刷してもよいし、いずれか1色のインキで印刷してもよい。背景領域10及び複写牽制領域20(潜像21)の印刷には、オフセット印刷又はこれと同等の解像度で印刷できる手法を用いることが望ましい。
【0026】
なお、本実施形態のチケット1において、黒色系インキを含むインキにより潜像21を印刷してもよい。このように、本実施形態のチケット1は、潜像21を印刷するインキとして、黒色系インキを含まない明るい色のインキから黒色系インキを含むインキまで幅広いバリエーションのインキを使用できる。
【0027】
従来の複写牽制印刷物として、万線、円形に切り欠きを入れた網点等により潜像を印刷したものが提案されている。このように、方向性のある網点で印刷された潜像をコピー機で複写すると、コピー機の読み取り方向によっては、潜像が出現しにくい場合がある。コピー機の読み取り方向は、機種により異なるため、コピー機によっては、複製物に潜像が出現しない或いはほとんど目立たなくなることもあり得る。これに対して、本実施形態のチケット1は、方向性のないリング形状の第2網点22により潜像21が印刷されるため、コピー機の機種に係わらず、潜像21をより明瞭に出現させることができる。
【実施例】
【0028】
次に、実施例及び比較例を示して、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明の技術的範囲は、以下に説明する実施例に限定されない。
実施例及び比較例として、複写牽制領域20(第2網点22)と背景領域10(第1網点11)について、それぞれ線数と網点面積率の数値を変えたサンプルを複数作製し、評価を行った。
複写牽制領域20の線数として、55線、65線、75線の3種を設定した。また、これらの線数の複写牽制領域20において、網点面積率の異なる6種の第2網点(a)〜(f)により潜像21を作成した。
【0029】
(a)網点面積率30%の円形状の網点から網点面積率15%の円形状の網点を同心円で抜いた網点面積率15%(30%−15%=15%)。
(b)網点面積率30%の円形状の網点から網点面積率13%の円形状の網点を同心円で抜いた網点面積率17%(30%−13%=17%)。
(c)網点面積率30%の円形状の網点から網点面積率10%の円形状の網点を同心円で抜いた網点面積率20%(30%−10%=20%)。
(d)網点面積率35%の円形状の網点から網点面積率23%の円形状の網点を同心円で抜いた網点面積率12%(35%−23%=12%)。
(e)網点面積率35%の円形状の網点から網点面積率20%の円形状の網点を同心円で抜いた網点面積率15%(35%−20%=15%)。
(f)網点面積率35%の円形状の網点から網点面積率18%の円形状の網点を同心円で抜いた網点面積率17%(35%−18%=17%)。
背景領域10の線数として、150線を設定した。また、背景領域10の網点面積率として、15%或いは複写牽制領域20の網点面積率と同じ値の網点面積率(12%、17%、20%)をそれぞれ作成した。
【0030】
上述した線数、網点面積率で条件を振り分け、18パターン(3種×6種)のチケットをそれぞれ作製した。18パターンのうち、複写牽制領域20(第2網点22)と背景領域10(第1網点11)のそれぞれの網点面積率が同じであるパターンを実施例、それ以外のパターンを比較例とした。なお、18パターンのうち、パターン(4)〜(12)及び(16)〜(18)では、線数が150線の背景領域10を複写牽制領域20とは異なる網点面積率に設定した例を併記している。すなわち、パターン(4)〜(12)及び(16)〜(18)においては、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率を同じとしたパターン((1)〜(3)、(13)〜(15))が実施例となり、背景領域10の網点面積率を複写牽制領域20の網点面積率と異なる値としたパターンが比較例となる。
【0031】
実施例及び比較例の各チケット(真券)について、券面における潜像21(複写牽制領域20)の視認性を目視により評価した。チケットにおける視認性の評価として、当業者としての知見を有する20人の評価者を選出し、チケットを顔から30cm離した状態で、潜像21が視認できるかどうかを判定した。この試験項目(以下、「真券の視認性」ともいう)では、チケット(真券)の券面において、潜像21が視認されにくいか否かが評価の対象となる。20人のうち1名でも視認できると判定した場合を「×」とし、20人の全員が視認できないと判定した場合を「〇」とした。
【0032】
また、実施例及び比較例の各チケットをコピー機で複写して複製物(偽物)を作製し、その券面における潜像21(複写牽制領域20)の視認性を目視により評価した。評価者及び人数は、上記と同じである。複製物における視認性の評価は、複製物の潜像21が視認できるかどうかにより評価した。この試験項目(以下、「複製物の視認性」ともいう)では、複製物(偽物)の券面において、潜像21が明瞭に出現するか否かが評価の対象となる。20人の全員が視認できると判定した場合を「〇」とし、20人のうち1名でも視認できないと判定した場合を「×」とした。なお、チケット(真券)を複写したコピー機として、読み取り解像度600×600dpi、書き込み解像度600×600dpi(「dpi」とは、1インチ当たりのドット数)の市販コピー機を使用した。実施例及び比較例の評価結果を
図5に示す。
【0033】
図5において、パターン(4)〜(12)及び(16)〜(18)では、線数が150線の背景領域10について、複写牽制領域20とは異なる網点面積率とした例を併記している。そのため、上記各パターンでは、背景領域の項目が2つに分かれている。右側の項目は、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率を同じとしたパターンを示している。また、左側の項目は、背景領域10の網点面積率を15%にしたパターンを示している。
【0034】
図5に示すように、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が同じで、且つ、それぞれの網点面積率を15%とした実施例では、いずれのパターンにおいても、真券の視認性において良好な結果が得られた。
また、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が同じで、且つ、それぞれの網点面積率を17%とした実施例では、いずれも真券の視認性において良好な結果が得られた。
更に、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が同じで、且つ、それぞれの網点面積率が20%となる実施例では、いずれのパターンにおいても、真券の視認性及び複製物の視認性の両項目において良好な結果が得られた。
【0035】
一方、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が同じではない比較例では、いずれのパターンにおいても、真券の視認性の項目において良好な結果が得られなかった。複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が異なる組み合わせでは、真券の視認性において、背景領域10に対する複写牽制領域20の濃淡差により、潜像21が視認されやすくなったと推測される。また、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が同じであっても、それぞれの網点面積率を12%とした組み合わせでは、いずれも複製物の視認性において良好な結果が得られていない。複製物の視認性においては、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が共に低いために、潜像21が視認されにくくなったと推測される。
【0036】
以上の結果から、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が同じで、且つ、それぞれの網点面積率を15%とした実施例のパターンでは、真券の視認性において良好な結果が得られ、複製物の視認性については67%で良好な結果となることが明らかとなった。また、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が同じで、且つ、それぞれの網点面積率を17%とした実施例のパターンでは、真券の視認性において良好な結果が得られ、複製物の視認性については83%で良好な結果となることが明らかとなった。特に、複写牽制領域20と背景領域10のそれぞれの網点面積率が同じで、且つ、それぞれの網点面積率を20%とした実施例のパターンでは、真券の視認性及び複製物の視認性の両項目において、いずれも良好な結果が得られることが明らかとなった。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0038】
(変形形態)
実施形態の第1網点11において、縦横の比率は、必ずしも同じ(円形)でなくてもよく、例えば、楕円形状であってもよい。円形状の第1網点11を楕円形状とした場合において、長辺と短辺の比率は、例えば、長辺を1としたときに、1:0.75〜1の範囲であってもよい。
【0039】
実施形態の第2網点22において、縦横の比率は、必ずしも同じ(円形)でなくてもよく、例えば、楕円形状であってもよい。リング形状の第2網点22を楕円形状とした場合において、長辺と短辺の比率は、例えば、長辺を1としたときに、1:0.75〜1の範囲であってもよい。
【0040】
実施形態では、背景領域10を円形状の第1網点11(150線15%)で印刷し、複写牽制領域20の潜像21をリング形状の第2網点22(65線15%)で印刷した例について説明したが、これに限定されない。背景領域10をリング形状の第2網点22(65線15%)で印刷し、複写牽制領域20の潜像21を円形状の第1網点11(150線15%)で印刷してもよい。この場合は、コピー機で複写することにより、複写牽制領域20が消失又は色が薄くなる。すなわち、
図4に示す複製物1Aの場合とは異なり、背景の領域10Aが明瞭となる反面、チケット1の複写牽制領域20に対応する領域20A(COPY)は、消失するか、元の色より薄くなる。そのため、複製物1Aにおいて、チケット1の複写牽制領域20に対応する領域20Aには、白抜き又は背景の領域10Aよりも明らかに色の薄い潜像21が明瞭に出現する。したがって、この場合もコントラストの差により潜像21が明瞭に視認できるため、使用者は、複製物1Aが偽物であることを目視で容易に判別できる。
【0041】
実施形態では、第1網点11の線数(第1の線数)を150とし、第2網点22の線数(第2の線数)を65にした例について説明したが、これに限定されない。第2網点22の線数は、第1網点11の線数の半分以下であればよい。第2網点22の線数は、第1網点11の線数に対して、例えば、0.3〜0.5の範囲であってもよい。例えば、第2網点22の線数が第1網点11の線数に対して0.5を超えると、第2網点22と第1網点11との濃淡差が小さくなるため、複写したときに複写牽制領域20が視認されにくくなる。また、第2網点22の線数が第1網点11の線数に対して0.3に満たないと、第2網点22と第1網点11との濃淡差が大きくなるため、真券の券面において複写牽制領域20が視認されやすくなる。
【0042】
また、第1網点11及び第2網点22の網点面積率は、15%に限定されない。第1網点11及び第2網点22の網点面積率は、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%である。背景領域10における第1網点11の濃度と、複写牽制領域20における第2網点22の濃度とを視覚的にほぼ同一にできれば、どのような網点面積率であってもよい。
【0043】
本実施形態において、チケット1の基材は、紙材に限らず、例えば、プラスチックカードでもよい。また、本発明に係る複写牽制印刷物は、チケット1のような単体の印刷物に限らず、例えば、パスポート等の冊子体、公的機関へ提出するための書類、証明書等であってもよい。