特許第6962353号(P6962353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962353
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   H02K3/50 A
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-177226(P2019-177226)
(22)【出願日】2019年9月27日
(62)【分割の表示】特願2015-74564(P2015-74564)の分割
【原出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2020-18165(P2020-18165A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新子 剛央
(72)【発明者】
【氏名】山下 佳明
(72)【発明者】
【氏名】河本 達郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄策
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 知輝
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/146502(WO,A1)
【文献】 特開2014−138499(JP,A)
【文献】 特開2014−143897(JP,A)
【文献】 特開2007−209100(JP,A)
【文献】 特開2008−278636(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/146401(WO,A1)
【文献】 特開2014−204559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを有するロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
前記シャフトを回転可能に支持するベアリングと、
前記ベアリングを保持するベアリングホルダと、
前記ベアリングホルダの上側に位置し前記ステータに駆動電流を供給するバスバーユニットと、
前記バスバーユニットの上側に位置する制御ユニットと、
を備え、
前記バスバーユニットは、バスバーと、前記バスバーを保持するバスバーホルダと、を有し、
前記バスバーホルダは、ホルダ本体部と、前記ホルダ本体部から下側に突出する嵌合突出部と、を有し、
前記ベアリングホルダは、嵌合穴部を有し、
前記嵌合穴部は、前記ベアリングホルダの上面に開口し、かつ前記嵌合突出部が嵌め合わされて前記バスバーホルダを周方向あるいは径方向の少なくとも一方向に位置決めし、
前記バスバーは、バスバー本体部と、前記バスバー本体部から上側に突出するバスバー端子部と、を有し、
前記バスバー端子部は、前記制御ユニットと電気的に接続し、
前記嵌合突出部の周方向の位置は、前記バスバー端子部の周方向の位置と異なり、
前記嵌合突出部の平面視形状は円形状であ
前記嵌合穴部の平面視形状は、円形状であり、
前記ステータは、ステータコアと、インシュレータと、コイル配線を含むコイルと、を有し、
前記コイル配線は、前記コイルと前記バスバーユニットとを電気的に接続し、
前記ベアリングホルダは、前記ベアリングホルダを軸方向に貫通して前記コイル配線が通る複数のホルダ貫通孔と、周方向に隣り合う前記ホルダ貫通孔同士の周方向の間の部分である中間部と、を有し、
前記ホルダ貫通孔の平面形状は、径方向に延び、周方向の寸法である貫通孔寸法が径方向の全体に亘って同じである、モータ。
【請求項2】
前記嵌合穴部は、前記ベアリングホルダを軸方向に貫通する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記嵌合穴部は、前記ベアリングホルダの上面から下側に窪む有底の穴である、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記バスバー本体部は、軸方向と直交する同一平面上に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記コイル配線は、前記コイルを構成する巻線とは別部材である、請求項1から4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記コイル配線は、前記コイルを構成する巻線の端部である、請求項1から4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
前記ホルダ本体部は、前記ホルダ貫通孔と軸方向に重なる配線孔部を有し、
前記コイル配線は前記配線孔部に通される、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記バスバーホルダは、上側バスバーホルダと下側バスバーホルダとを有し、
前記バスバー本体部の少なくとも一部は、上側バスバーホルダと下側バスバーホルダとに接触した状態で挟まれる、請求項1からのいずれか一項に記載のモータ。
【請求項9】
前記バスバーホルダは、前記ホルダ本体部から上側に突出する端子支持部を有し、
前記端子支持部は、バスバー端子部の下側の端部近傍を覆い、バスバー端子部を支持する、 請求項1からのいずれか一項に記載のモータ。
【請求項10】
前記バスバーは、前記ステータと、電気的に接続され、
前記バスバーホルダは、ホルダ本体部と、前記ホルダ本体部から下側に突出する複数の突き当て部と、を有し、
複数の前記突き当て部は、周方向に沿って等間隔に配置され、
前記突き当て部の下面は、前記ベアリングホルダの上面と接触する、請求項1からのいずれか一項に記載のモータ。
【請求項11】
前記突き当て部の周方向の位置は、前記バスバー端子部の周方向あるいは径方向の少なくとも一方向の位置と同じである、請求項10に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、バスバーユニットを備えるモータが記載されている。特許文献1のバスバーユニットは、ステータコアに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−37331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バスバーユニットと、ベアリングホルダと、ステータと、が軸方向に沿ってこの順に配置されるモータが提案されている。このようなモータでは、特許文献1のモータと異なり、バスバーユニットとステータとの間にベアリングホルダが位置する。そのため、バスバーユニットをステータコアに取り付け、バスバーユニットをステータに対して位置決めする構成を採用できない。したがって、ステータに対してバスバーユニットを精度よく位置決めすることが困難であり、ステータに対するバスバーユニットの相対的な位置精度が低下する虞があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、バスバーユニットをステータに対して精度よく位置決めできる構造を有するモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、上下方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを有するロータと、ロータの径方向外側に位置するステータと、シャフトを回転可能に支持するベアリングと、ベアリングを保持するベアリングホルダと、ベアリングホルダの上側に位置しステータに駆動電流を供給するバスバーユニットと、バスバーユニットの上側に位置する制御ユニットと、を備える。バスバーユニットは、バスバーと、バスバーを保持するバスバーホルダと、を有する。バスバーホルダは、ホルダ本体部と、ホルダ本体部から下側に突出する嵌合突出部と、を有する。ベアリングホルダは、嵌合穴部を有する。嵌合穴部は、ベアリングホルダの上面に開口し、かつ嵌合突出部が嵌め合わされてバスバーホルダを周方向あるいは径方向の少なくとも一方向に位置決めする。バスバーは、バスバー本体部と、バスバー本体部から上側に突出するバスバー端子部と、を有する。バスバー端子部は、制御ユニットと電気的に接続する。嵌合突出部の周方向の位置は、バスバー端子部の周方向の位置と異なる。嵌合突出部の平面視形状は円形状である。嵌合穴部の平面視形状は、円形状である。ステータは、ステータコアと、インシュレータと、コイル配線を含むコイルと、を有する。コイル配線は、コイルとバスバーユニットとを電気的に接続する。ベアリングホルダは、ベアリングホルダを軸方向に貫通してコイル配線が通る複数のホルダ貫通孔と、周方向に隣り合うホルダ貫通孔同士の周方向の間の部分である中間部と、を有する。ホルダ貫通孔の平面形状は、径方向に延び、周方向の寸法である貫通孔寸法が径方向の全体に亘って同じである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、バスバーユニットをベアリングホルダに対して精度よく位置決めできる構造を有するモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のモータを示す断面図である。
図2図2は、本実施形態のベアリングホルダを示す平面図である。
図3図3は、本実施形態のモータの部分を示す断面図である。
図4図4は、本実施形態のバスバーユニットを示す平面図である。
図5図5は、本実施形態のバスバーユニットを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって図1における左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0011】
また、以下の説明においては、中心軸Jの延びる方向(Z軸方向)を上下方向とする。Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側(−Z側)を「下側」
と呼ぶ。なお、上下方向、上側および下側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向(θ方向)、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0013】
図1は、本実施形態のモータ10を示す断面図である。図2は、上側ベアリングホルダ50を示す平面図である。図3は、モータ10の部分を示す断面図である。図4は、バスバーユニット60を示す平面図である。図5は、バスバーユニット60を示す底面図である。なお、平面図とは、上側から下側に向かって視た図である。底面図とは、下側から上側に向かって視た図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のモータ10は、ハウジング20と、コネクタ部25と、ロータ30と、センサマグネット71と、ステータ40と、上側ベアリングホルダ(ベアリングホルダ)50と、下側ベアリング81と、上側ベアリング(ベアリング)82と、バスバーユニット60と、制御ユニット70と、を備える。本実施形態のモータ10は、バスバーユニット60と、上側ベアリングホルダ50と、ステータ40とが、上側から下側に向かってこの順に配置されるモータである。
【0015】
[ハウジング]
ハウジング20は、ロータ30と、センサマグネット71と、ステータ40と、上側ベアリングホルダ50と、下側ベアリング81と、上側ベアリング82と、バスバーユニット60と、制御ユニット70と、を収容する。ハウジング20は、ステータ40を保持する筒状である。本実施形態においてハウジング20は、金属製である。ハウジング20は、ハウジング筒部21と、ハウジング底板部22と、下側ベアリング保持部24と、ハウジング天板部23と、を有する。
【0016】
ハウジング筒部21は、ステータ40を周方向に囲む筒状である。本実施形態においてハウジング筒部21は、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。ハウジング筒部21の内周面であるハウジング内周面21aには、ステータ40が保持される。すなわち、ハウジング20は、ステータ40を保持するハウジング内周面21aを有する。ハウジング内周面21aは、ハウジング20の内周面である。
【0017】
ハウジング底板部22は、ハウジング筒部21の下側の端部に接続される。ハウジング底板部22は、ステータ40の下側を覆う。ハウジング底板部22は、ハウジング底板部22を軸方向に貫通する出力軸孔22aを有する。出力軸孔22aは、ハウジング底板部22の中央に位置する。
【0018】
下側ベアリング保持部24は、ハウジング底板部22から上側に突出する筒状である。下側ベアリング保持部24は、出力軸孔22aよりも径方向外側に位置する。下側ベアリング保持部24の径方向内側には、下側ベアリング81が保持される。ハウジング天板部23は、ハウジング筒部21の上側の端部に接続される。ハウジング天板部23は、制御ユニット70の上側を覆う。
【0019】
[コネクタ部]
コネクタ部25は、ハウジング天板部23から上側に突出する。図示は省略するが、コネクタ部25には、例えば、上側に開口する凹部が設けられる。コネクタ部25の凹部の内側には、制御ユニット70の端子が露出する。コネクタ部25には、図示しない外部電源が接続される。
【0020】
[ロータ]
ロータ30は、シャフト31と、ロータコア32と、ロータマグネット33と、を有する。シャフト31は、上下方向に延びる中心軸Jを中心とする。シャフト31の下側の端部は、出力軸孔22aを介してハウジング20の外部に突出する。
【0021】
ロータコア32は、シャフト31の外周面に固定される。ロータマグネット33は、ロータコア32の外周面に固定される。すなわち、ロータマグネット33は、シャフト31に間接的に固定される。シャフト31と、ロータコア32と、ロータマグネット33とは、共に中心軸周り(±θ方向)に回転する。
【0022】
[センサマグネット]
センサマグネット71は、シャフト31の上側の端部に取り付けられる。本実施形態においてセンサマグネット71は、例えば円環状である。センサマグネット71は、シャフト31の上側の端部に固定される取付部材72の外周に嵌め合わされる。
【0023】
[下側ベアリングおよび上側ベアリング]
下側ベアリング81および上側ベアリング82は、シャフト31を支持するベアリングである。下側ベアリング81および上側ベアリング82は、シャフト31を中心軸J周り(±θ方向)に回転可能に支持する。下側ベアリング81は、ステータ40よりも下側に位置する。下側ベアリング81は、下側ベアリング保持部24に保持される。上側ベアリング82は、ステータ40よりも上側に位置する。上側ベアリング82は、上側ベアリングホルダ50に保持される。
【0024】
[ステータ]
ステータ40は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータ40は、ステータコア41と、インシュレータ42と、コイル43と、を有する。ステータコア41は、コアバック41aと、ティース41bと、を有する。コアバック41aは、環状である。本実施形態においてコアバック41aは、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。コアバック41aの外側面は、ハウジング内周面21aに固定される。これにより、ステータ40は、ハウジング内周面21aに保持される。
【0025】
ティース41bは、コアバック41aから径方向内側に延びる。図示は省略するが、ティース41bは、複数設けられ、周方向に均等な間隔で配置されている。インシュレータ42は、ティース41bに装着される。インシュレータ42は、径方向内側の端部と径方向外側の端部とに軸方向に延びる内壁を有する。コイル43は、インシュレータ42を介してティース41bに巻き回される。コイル43は、インシュレータ42の径方向内側の内壁と径方向外側の内壁との径方向の間に位置する。インシュレータ42の内壁によって、コイル43が径方向に移動してインシュレータ42から外れることが防止される。
【0026】
[上側ベアリングホルダ]
上側ベアリングホルダ50は、ステータ40の上側に位置する。上側ベアリングホルダ50は、上側ベアリング82を保持する。上側ベアリングホルダ50は、ハウジング内周面21aに接触する。本実施形態において上側ベアリングホルダ50は、ハウジング内周面21aに固定される。一例として、上側ベアリングホルダ50は、ハウジング内周面21aに焼き嵌めによって固定される。
【0027】
図1および図2に示すように、上側ベアリングホルダ50は、保持部51と、円環部52と、底部53と、連結部54と、緩衝部55と、を有する。保持部51は、内周面に上側ベアリング82を保持する筒状である。本実施形態において保持部51は、例えば、中心軸Jを中心とする有蓋の円筒状である。保持部51は、保持部51の蓋部を軸方向に貫通する蓋部貫通孔51aを有する。シャフト31の上端は、蓋部貫通孔51aを介して上側ベアリングホルダ50よりも上側に突出する。
【0028】
円環部52は、保持部51の径方向外側に位置する。図2に示すように、円環部52は、保持部51を周方向に囲む円環状である。本実施形態においては、例えば、円環部52の中央を中心軸Jが通る。円環部52の径方向外側の端部は、ハウジング内周面21aに接触して固定される。図1に示すように、円環部52は、保持部51の下側の端部よりも上側に位置する。円環部52は、保持部51の上側の端部よりも下側に位置する。円環部52の下面は、底部53の上面よりも上側に位置する。
【0029】
図2に示すように、円環部52は、複数のホルダ貫通孔52cと、複数の中間部52dと、を有する。すなわち、上側ベアリングホルダ50は、複数のホルダ貫通孔52cと、複数の中間部52dと、を有する。複数のホルダ貫通孔52cは、周方向に沿って配置される。図1に示すように、ホルダ貫通孔52cは、上側ベアリングホルダ50、より詳細には円環部52を軸方向に貫通する。
【0030】
図2に示すように、本実施形態においてホルダ貫通孔52cは、径方向に延びる。ホルダ貫通孔52cの周方向の寸法である貫通孔寸法L2は、径方向内側の端部よりも径方向外側の端部の方が大きい。貫通孔寸法L2は、径方向内側の端部において最小となる。本実施形態において貫通孔寸法L2は、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなる。本実施形態のホルダ貫通孔52cの平面視形状は、例えば、略三角形状である。
【0031】
図1に示すように、ホルダ貫通孔52cは、コイル43とバスバーユニット60とを電気的に接続するコイル配線94が通る孔である。コイル配線94は、コイル43を構成する巻線の端部であってもよいし、コイル43を構成する巻線とは別部材であってもよい。
【0032】
図2に示すように、コイル配線94は、ホルダ貫通孔52cの径方向内側の端部を通る。ホルダ貫通孔52cの径方向内側の端部における貫通孔寸法L2は、例えば、コイル配線94を通すことができる最低限の大きさである。
【0033】
なお、本明細書において、ホルダ貫通孔52cの径方向内側の端部とは、ホルダ貫通孔52cの最も径方向内側に位置する部分のみに限られず、その近傍も含む。ホルダ貫通孔52cの最も径方向内側に位置する部分の近傍とは、例えば、ホルダ貫通孔52cの最も径方向内側に位置する部分から、コイル配線94の太さ程度径方向外側に離れた部分までの範囲である。
【0034】
中間部52dは、周方向に隣り合うホルダ貫通孔52c同士の周方向の間の部分である。中間部52dの周方向の寸法である中間部寸法L1は、径方向内側の端部において最小となる。
【0035】
なお、本明細書において、中間部52dの径方向内側の端部とは、周方向に隣り合うホルダ貫通孔52cの径方向内側の端部同士の間の部分を含む。すなわち、本明細書において、中間部52dの径方向内側の端部とは、中間部52dの最も径方向内側に位置する部分のみに限られず、その近傍も含む。中間部52dの最も径方向内側に位置する部分の近傍とは、例えば、中間部52dの最も径方向内側に位置する部分から、コイル配線94の太さ程度径方向外側に離れた部分までの範囲である。
【0036】
例えば、上側ベアリングホルダ50の剛性を確保するためには、ホルダ貫通孔52cを小さくすることが好ましい。一方で、ホルダ貫通孔52cにコイル配線94を通すためには、ホルダ貫通孔52cを大きくすることが好ましい。
【0037】
ここで、上側ベアリングホルダ50の剛性は、中間部52dの剛性が大きいほど大きく、中間部52dの剛性が小さいほど小さい。そして、中間部52dの剛性は、中間部寸法L1の最小値で決まる。すなわち、中間部52dの剛性は、中間部寸法L1の最小値が大きいほど大きく、中間部寸法L1の最小値が小さいほど小さい。したがって、中間部寸法L1の最小値を大きくするほど、上側ベアリングホルダ50の剛性を大きくできる。
【0038】
ところで、ホルダ貫通孔52cはコイル配線94の通る孔である。そのため、コイル配線94の通る径方向位置においては、周方向に隣り合うホルダ貫通孔52c同士の間の周方向距離、すなわち中間部寸法L1は、最大でも周方向に隣り合うコイル配線94同士の間の周方向距離である。この場合、コイル配線94の通る径方向位置において、貫通孔寸法L2は、コイル配線94が通る最低限の大きさである。
【0039】
以上により、中間部寸法L1は、コイル配線94の通る径方向位置において、周方向に隣り合うコイル配線94同士の間の周方向距離以下となる。そのため、コイル配線94の通る径方向位置において中間部寸法L1が最小となるときに、中間部52dの剛性を最も大きくしやすい。この場合に、ホルダ貫通孔52cを有する上側ベアリングホルダ50の剛性を最も確保しやすい。
【0040】
一方、コイル配線94の通る径方向位置において中間部寸法L1を最小とする場合、ホルダ貫通孔52cを大きくするためには、コイル配線94の通る径方向位置以外の貫通孔寸法L2をコイル配線94が通る最低限の大きさよりも大きくすることが好ましい。ここで、例えば、コイル配線94が通る位置をホルダ貫通孔52cの径方向外側の端部とすると、ホルダ貫通孔52cを大きくしにくい。これは、以下の理由による。
【0041】
中間部寸法L1の最小値を最大にするには、貫通孔寸法L2をコイル配線94が通る最低限の大きさとする必要がある。径方向外側の端部において貫通孔寸法L2をコイル配線94が通る最低限の大きさとした場合、径方向外側の端部よりも径方向内側において貫通孔寸法L2を大きくすると、中間部寸法L1がコイル配線94の通る径方向位置における中間部寸法L1よりも小さくなる。
【0042】
そのため、径方向外側の端部よりも径方向内側において貫通孔寸法L2を大きくすると、中間部52dの剛性が低下する。これにより、上側ベアリングホルダ50の剛性を確保しつつホルダ貫通孔52cを大きくすることが困難である。一方、径方向外側の端部よりも径方向内側において貫通孔寸法L2を、径方向外側の端部の貫通孔寸法L2以下とすれは、上側ベアリングホルダ50の剛性は確保できるが、ホルダ貫通孔52cが小さくなり、コイル配線94を通しにくい。
【0043】
本実施形態によれば、中間部寸法L1は、径方向内側の端部において最小となる。そのため、径方向内側の端部において、貫通孔寸法L2をコイル配線94が通る最低限の大きさとすることで、中間部52dの剛性を最も大きくしやすい。これにより、上側ベアリングホルダ50の剛性を確保しやすい。
【0044】
また、本実施形態によれば、ホルダ貫通孔52cの径方向内側の端部がコイル配線94の通る径方向位置となるため、径方向内側の端部よりも径方向外側において貫通孔寸法L2を大きくしても、中間部寸法L1が径方向内側の端部よりも小さくなりにくい。したがって、本実施形態によれば、上側ベアリングホルダ50の剛性を確保しつつ、ホルダ貫通孔52cを大きくしてコイル配線94をホルダ貫通孔52cに通しやすくできる。
【0045】
また、ホルダ貫通孔52cを大きくできるため、例えば、上側ベアリングホルダ50を鋳造で成形する場合に、上側ベアリングホルダ50を製造する材料の量を少なくできる。
これにより、上側ベアリングホルダ50を製造するコストを低減できる。
【0046】
例えば、本実施形態のように上側ベアリングホルダ50がハウジング内周面21aに固定される構成では、外部からハウジング20に加えられた力によって上側ベアリングホルダ50に応力が加えられやすい。これにより、上側ベアリングホルダ50の剛性が小さいと、上側ベアリングホルダ50が変形する虞がある。そのため、本実施形態のような構成では、上側ベアリングホルダ50の剛性を確保することが特に重要となる。
【0047】
したがって、上述した上側ベアリングホルダ50の剛性を確保できる効果は、本実施形態のように上側ベアリングホルダ50がハウジング内周面21aに固定される構成において、特に有用である。
【0048】
本実施形態において中間部寸法L1は、径方向の全体に亘ってほぼ同じである。そのため、上側ベアリングホルダ50に加えられる径方向の応力を、周方向において均等に受けやすい。これにより、上側ベアリングホルダ50が変形することをより抑制できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、貫通孔寸法L2は、径方向内側の端部よりも径方向外側の端部の方が大きく、かつ、径方向内側の端部において最小となる。そのため、本実施形態のように、中間部寸法L1を径方向の全体に亘ってほぼ同じ構成としやすい。
【0050】
なお、本明細書において、中間部寸法L1および貫通孔寸法L2が径方向内側の端部において最小となる、とは、中間部寸法L1および貫通孔寸法L2が径方向の全体に亘って同じである場合を含む。
【0051】
また、本明細書において、コイル配線94が通る径方向位置、とは、実際にコイル配線94が通る径方向位置であることを要しない。すなわち、図2の例では、コイル配線94は、ホルダ貫通孔52cの径方向内側の端部を通るが、これに限られない。本実施形態においてコイル配線94は、図2に示すホルダ貫通孔52cにおける径方向内側の端部よりも径方向外側を通ってもよい。
【0052】
図2および図3に示すように、円環部52の上面である円環部上面52aは、嵌合穴部52bを有する。円環部上面52aは、上側ベアリングホルダ50の上面である。すなわち、上側ベアリングホルダ50の上面は、嵌合穴部52bを有する。図3に示すように、本実施形態において嵌合穴部52bは、例えば、上側ベアリングホルダ50を軸方向に貫通する。図2に示すように、嵌合穴部52bの平面視形状は、例えば、円形状である。本実施形態において嵌合穴部52bには、後述する嵌合突出部66が嵌め合わされる。
【0053】
図3に示すように、底部53は、保持部51の下側の端部から径方向外側に延びる。底部53は、緩衝部55の底部である。連結部54は、底部53の径方向外側の端部と、円環部52の径方向内側の端部と、を連結する。連結部54の下側の端部は、底部53の径方向外側の端部と接続される。連結部54の上側の端部は、円環部52の径方向内側の端部と接続される。連結部54は、軸方向に対して径方向外側に傾斜する方向に延びる。
【0054】
保持部51の下側の端部、底部53の下側の端部、および連結部54の下側の端部は、インシュレータ42の上側の端部よりも下側に位置し、かつ、インシュレータ42の径方向内側に位置する。インシュレータ42の上側の端部とは、上述したインシュレータ42の内壁である。これにより、上側ベアリングホルダ50の一部をインシュレータ42、すなわちステータ40と径方向に重ねて配置できる。したがって、インシュレータ42の径方向内側のスペースを有効活用でき、モータ10を小型化できる。
【0055】
緩衝部55は、上側ベアリング82に加えられる応力を緩衝する部分である。緩衝部55は、保持部51と円環部52との径方向の間に位置する。緩衝部55は、上側ベアリング82を周方向に囲む。図2に示すように、本実施形態において緩衝部55は、例えば、円環状であり、その中央を中心軸Jが通る。
【0056】
図1および図3に示すように、本実施形態において緩衝部55は、軸方向に窪む溝である。図1および図3の例では、緩衝部55は、上側に開口し下側に窪む溝である。緩衝部55は、保持部51と、円環部52と、底部53と、連結部54と、に囲まれて形成される。
【0057】
上述したように、例えば、本実施形態のように上側ベアリングホルダ50がハウジング内周面21aに固定される構成では、外部からハウジング20に加えられた力によって上側ベアリングホルダ50に応力が加えられやすい。そのため、上側ベアリングホルダ50に加えられた応力が上側ベアリング82に伝わり、上側ベアリング82に加えられる負荷が大きくなる問題があった。
【0058】
これに対して、本実施形態によれば、緩衝部55が設けられるため、上側ベアリングホルダ50から上側ベアリング82に応力が伝わることが緩衝される。これにより、上側ベアリング82に加えられる負荷を低減できる。
【0059】
より具体的には、ハウジング筒部21に径方向外側から外力が加えられると、ハウジング内周面21aに固定される円環部52に、径方向外側から径方向内側に向かう向きに応力が加えられる。そして、円環部52に加えられる応力によって、連結部54の上側の端部に径方向外側から径方向内側に向かう向きの応力が加えられる。これにより、連結部54は、弾性変形する。より詳細には、連結部54は、緩衝部55側、すなわち径方向内側に、連結部54の下側の端部を支点として回転する。このように、連結部54が弾性変形することで、円環部52に加えられた応力が上側ベアリング82に伝達されることを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態において緩衝部55は、溝である。そのため、上側ベアリングホルダ50の形状によって緩衝部55を構成できる。これにより、緩衝部55を構成する別部材を設ける必要がなく、モータ10の部品点数が増加することを抑制できる。
【0061】
本実施形態において緩衝部55の径方向の寸法は、下側から上側に向かうに従って大きくなる。そのため、例えば、上側ベアリングホルダ50を鋳造で成形する場合に、緩衝部55を作る金型を抜きやすい。
【0062】
[バスバーユニット]
図1に示すように、バスバーユニット60は、上側ベアリングホルダ50の上側に位置する。バスバーユニット60は、ステータ40に駆動電流を供給する。図4および図5に示すように、バスバーユニット60は、ハウジング内周面21aに接触する。
【0063】
そのため、バスバーユニット60をハウジング内周面21aに対して位置決めできる。ハウジング内周面21aは、ステータ40を保持する。これにより、バスバーユニット60とステータ40とを共に同一の部材の内周面、すなわちハウジング内周面21aに対して位置決めできる。したがって、本実施形態によれば、バスバーユニット60をステータ40に対して精度よく径方向に位置決めできる。その結果、バスバーユニット60とステータ40とを電気的に接続しやすい。
【0064】
また、本実施形態においてハウジング20は、金属製である。そのため、ハウジング内周面21aの精度を向上させやすい。これにより、バスバーユニット60をステータ40に対して、より精度よく径方向に位置決めできる。
【0065】
バスバーユニット60は、バスバーホルダ61と、バスバー90と、を有する。バスバーホルダ61は、バスバー90を保持する。バスバー90は、ステータ40と電気的に接続される。バスバー90は、バスバー本体部91と、バスバー端子部92と、コイル接続部93と、を有する。
【0066】
バスバー本体部91は、軸方向と直交する平面(XY平面)内において延びる部分である。本実施形態においてバスバー本体部91の全体は、軸方向と直交する同一平面上に位置する。そのため、バスバーユニット60の軸方向の寸法を小さくできる。これにより、モータ10の軸方向の寸法を小型化できる。
【0067】
バスバー本体部91の全体を同一平面上に配置する場合、バスバー90の配置領域が径方向に大きくなりやすい。これに対して、本実施形態のようにバスバーユニット60が上側ベアリングホルダ50の上側に位置する構成によれば、バスバー90の配置領域を径方向に広くとりやすい。これにより、本実施形態によれば、バスバー本体部91の全体を同一平面上に配置する構成を採用しやすく、モータ10の軸方向の寸法を小型化しやすい。
【0068】
本実施形態においてバスバー本体部91は、バスバー端子部92が1つずつ接続されるバスバー本体部91を、例えば、3つ含む。すなわち、本実施形態においてバスバー90は、例えば、3相バスバーである。
【0069】
図1に示すように、バスバー本体部91の少なくとも一部は、後述する上側バスバーホルダ62と下側バスバーホルダ63とに接触した状態で軸方向に挟まれる。これにより、バスバー90は、バスバーホルダ61に保持される。
【0070】
バスバー端子部92は、バスバー本体部91から上側に突出する。バスバー端子部92の上側の端部は、制御ユニット70と電気的に接続される。これにより、バスバーユニット60と制御ユニット70とが電気的に接続される。本実施形態によれば、バスバーユニット60が上側ベアリングホルダ50の上側に位置する。そのため、バスバーユニット60がステータ40と上側ベアリングホルダ50との軸方向の間に配置される場合に比べて、バスバーユニット60と制御ユニット70とを接続しやすい。
【0071】
図4に示すように、本実施形態においてバスバー90は、例えば、バスバー端子部92を3つ有する。3つのバスバー端子部92は、周方向に沿って等間隔に配置される。すなわち、平面視においてバスバーホルダ61を周方向に3等分する位置には、バスバー端子部92が1つずつ位置する。
【0072】
図1および図4に示すように、本実施形態においてバスバー端子部92の形状は、例えば、長方形の板状である。図1に示すように、長方形であるバスバー端子部92の長手方向は、例えば、軸方向と平行である。図4に示すように、長方形であるバスバー端子部92の短手方向は、例えば、径方向と平行である。
【0073】
コイル接続部93は、バスバー本体部91に接続される。コイル接続部93は、後述する上側バスバーホルダ62の内縁よりも径方向内側に位置する。コイル接続部93は、後述する下側バスバーホルダ63の内縁よりも径方向外側に位置する。
【0074】
コイル接続部93の平面視形状は、例えば、径方向外側に開口するU字状である。図1に示すように、コイル接続部93は、コイル配線94を把持する。コイル配線94は、ホルダ貫通孔52cと後述する配線孔部63bとを通り、コイル接続部93とコイル43とに接続される。これにより、コイル配線94を介して、バスバー90とステータ40とが電気的に接続される。
【0075】
このように、バスバーユニット60とステータ40との軸方向の間に、上側ベアリングホルダ50が位置する構成では、上側ベアリングホルダ50のホルダ貫通孔52cにコイル配線94を通して、バスバーユニット60とステータ40とを接続する必要がある。そのため、上側ベアリングホルダ50とステータ40およびバスバーユニット60との径方向における相対的な位置精度が低いと、コイル配線94をホルダ貫通孔52cに通しにくい場合がある。また、コイル配線94がホルダ貫通孔52cの縁に押し付けられ損傷する虞がある。
【0076】
これに対して、本実施形態によれば、上側ベアリングホルダ50がハウジング内周面21aに接触するため、上側ベアリングホルダ50とステータ40およびバスバーユニット60とを共にハウジング内周面21aに対して位置決めできる。したがって、上側ベアリングホルダ50をステータ40およびバスバーユニット60に対して精度よく径方向に位置決めできる。その結果、コイル配線94をホルダ貫通孔52cに通しやすくできる。また、コイル配線94がホルダ貫通孔52cの縁に押し付けられることを抑制でき、コイル配線94が損傷することを抑制できる。
【0077】
図1に示すように、バスバーホルダ61は、上側バスバーホルダ62と、下側バスバーホルダ63と、を有する。バスバーホルダ61は、例えば、樹脂製である。上側バスバーホルダ62と下側バスバーホルダ63とは、軸方向に重ねられる。上側バスバーホルダ62は、下側バスバーホルダ63の上側に位置する。
【0078】
図1図4および図5に示すように、上側バスバーホルダ62は、上側ホルダ本体部(ホルダ本体部)62aと、外縁突出部62bと、ホルダ凸部64と、嵌合突出部66と、端子支持部68と、を有する。すなわち、バスバーホルダ61は、上側ホルダ本体部62aと、外縁突出部62bと、ホルダ凸部64と、嵌合突出部66と、端子支持部68と、を有する。
【0079】
図4に示すように、上側ホルダ本体部62aは、環状である。本実施形態において上側ホルダ本体部62aは、円環状であり、その中央を中心軸Jが通る。図1および図5に示すように、外縁突出部62bは、上側ホルダ本体部62aの径方向外縁から下側に突出する筒状である。
【0080】
図4に示すように、ホルダ凸部64は、上側ホルダ本体部62aから径方向外側に突出する。ホルダ凸部64の径方向外側の端部は、ハウジング内周面21aと接触する。すなわち、本実施形態においてバスバーユニット60は、ホルダ凸部64の径方向外側の端部を介して、ハウジング内周面21aと接触する。
【0081】
バスバーホルダ61の径方向外縁の一部であるホルダ凸部64の径方向外側の端部を精度よく成形することは、バスバーホルダ61の径方向外縁の全体を精度よく成形することに比べて容易である。そのため、本実施形態によれば、バスバーホルダ61におけるハウジング内周面21aと接触する部分の成形精度を向上させやすく、バスバーユニット60をステータ40に対して、より精度よく径方向に位置決めできる。
【0082】
本実施形態において上側バスバーホルダ62は、複数のホルダ凸部64を有する。すなわち、本実施形態においてバスバーホルダ61は、複数のホルダ凸部64を有する。図4の例では、バスバーホルダ61は、例えば、3つのホルダ凸部64を有する。複数のホルダ凸部64は、周方向に沿って等間隔に配置される。そのため、バスバーホルダ61をハウジング内周面21aに安定して保持できる。
【0083】
本実施形態においてホルダ凸部64の周方向の位置は、バスバー端子部92の周方向の位置と同じである。上述したようにホルダ凸部64は、ハウジング内周面21aと接触してバスバーユニット60の径方向の位置決めをする部分である。そのため、周方向におけるホルダ凸部64の位置およびその近傍は、他の部分に比べてバスバーホルダ61の径方向における位置決め精度が高い。
【0084】
これにより、ホルダ凸部64の周方向の位置をバスバー端子部92の周方向の位置と同じとすることで、ステータ40に対するバスバー端子部92の径方向における相対的な位置精度を向上できる。したがって、バスバー端子部92を配線等に接続しやすくできる。本実施形態においては、バスバー端子部92は制御ユニット70に接続されるため、バスバー端子部92を制御ユニット70と接続しやすくできる。
【0085】
本実施形態においては、ホルダ凸部64の周方向の中心とバスバー端子部92の周方向の中心とが、周方向において同じ位置にある。そのため、ステータ40に対するバスバー端子部92の径方向における相対的な位置精度をより向上できる。
【0086】
なお、本明細書において、2つの対象物の周方向の位置が同じである、とは、2つの対象物の周方向の中心が周方向において同じ位置にある場合だけでなく、平面視において2つの対象物の少なくとも一部同士が径方向に重なることを含む。
【0087】
図3に示すように、嵌合突出部66は、上側ホルダ本体部62aから下側に突出する。嵌合突出部66は、下側ホルダ本体部63aを軸方向に貫通する貫通孔63cを通り、下側ホルダ本体部63aよりも下側に突出する。図5に示すように、嵌合突出部66の平面視形状は、例えば、円形状である。
【0088】
図3に示すように、嵌合突出部66の下側の端部は、上側ベアリングホルダ50の嵌合穴部52bの径方向内側に位置する。本実施形態において嵌合突出部66は、上側ベアリングホルダ50の嵌合穴部52bに嵌め合わされる。そのため、バスバーホルダ61を上側ベアリングホルダ50に対して周方向および径方向に位置決めできる。
【0089】
図1に示すように、端子支持部68は、上側ホルダ本体部62aから上側に突出する。端子支持部68は、バスバー端子部92の下側の端部近傍を覆う。端子支持部68は、バスバー端子部92を支持する。バスバー端子部92は、端子支持部68の上側の端部から上側に突出する。
【0090】
端子支持部68の数は、バスバー端子部92の数と同じである。すなわち、本実施形態において上側バスバーホルダ62は、例えば、3つの端子支持部68を有する。3つの端子支持部68は、周方向に沿って等間隔に配置される。すなわち、平面視においてバスバーホルダ61を周方向に3等分する位置には、端子支持部68が1つずつ位置する。
【0091】
図1図4および図5に示すように、下側バスバーホルダ63は、下側ホルダ本体部(ホルダ本体部)63aと、内縁突出部63dと、複数の突き当て部65と、複数の溶着部67と、を有する。すなわち、バスバーホルダ61は、下側ホルダ本体部63aと、内縁突出部63dと、複数の突き当て部65と、複数の溶着部67と、を有する。
【0092】
図5に示すように、下側ホルダ本体部63aは、環状である。本実施形態において下側ホルダ本体部63aは、円環状であり、その中央を中心軸Jが通る。図4に示すように、下側ホルダ本体部63aの内縁は、上側ホルダ本体部62aの内縁よりも径方向内側に位置する。図1および図5に示すように、下側ホルダ本体部63aの外縁は、上側ホルダ本体部62aの外縁突出部62bの径方向内側に位置する。本実施形態において下側ホルダ本体部63aは、外縁突出部62bの内側に嵌め合わされる。
【0093】
図1に示すように、下側ホルダ本体部63aは、下側ホルダ本体部63aを軸方向に貫通する配線孔部63bを有する。配線孔部63bには、コイル配線94が通される。図4および図5に示すように、本実施形態において下側ホルダ本体部63aは、複数の配線孔部63bを有する。複数の配線孔部63bは、周方向に沿って配置される。配線孔部63bは、コイル接続部93と軸方向に重なる。図1に示すように、配線孔部63bは、ホルダ貫通孔52cと軸方向に重なる。
【0094】
本実施形態においては、上側ホルダ本体部62aと下側ホルダ本体部63aとによってホルダ本体部が構成される。
【0095】
内縁突出部63dは、下側ホルダ本体部63aの内縁から上側に突出する。内縁突出部63dは、軸方向両側に開口する筒状である。内縁突出部63dは、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。内縁突出部63dの内側には、上側ベアリングホルダ50における保持部51の上側の端部が位置する。すなわち、内縁突出部63dの少なくとも一部は、保持部51と径方向に重なる。そのため、バスバーユニット60と上側ベアリングホルダ50とを軸方向に近づけて配置できる。これにより、モータ10を軸方向に小型化しやすい。
【0096】
突き当て部65は、下側ホルダ本体部63aから下側に突出する。図5に示すように、複数の突き当て部65は、周方向に沿って等間隔に配置される。本実施形態において下側バスバーホルダ63は、例えば、3つの突き当て部65を有する。突き当て部65の平面視形状は、例えば、円形状である。
【0097】
図1に示すように、突き当て部65の下面である突き当て部下面65aは、上側ベアリングホルダ50の上面である円環部上面52aと接触する。そのため、バスバーユニット60を上側ベアリングホルダ50に対して軸方向に位置決めできる。突き当て部65は、周方向に沿って等間隔に配置されるため、バスバーユニット60の上側ベアリングホルダ50に対する平行度を確保しやすい。
【0098】
図5に示すように、突き当て部65の周方向の位置は、ホルダ凸部64の周方向の位置と同じである。本実施形態においてホルダ凸部64の周方向の位置はバスバー端子部92の周方向の位置と同じであるため、突き当て部65の周方向の位置は、バスバー端子部92の周方向の位置と同じである。
【0099】
周方向における突き当て部65の位置およびその近傍は、他の部分に比べて上側ベアリングホルダ50に対するバスバーホルダ61の軸方向の位置精度が高い。そのため、バスバー端子部92の周方向の位置を突き当て部65の周方向の位置と同じとすることで、上側ベアリングホルダ50に対してバスバー端子部92を軸方向に精度よく位置決めできる。したがって、バスバー端子部92を制御ユニット70により接続しやすい。
【0100】
図1に示すように、本実施形態において突き当て部65は、バスバー端子部92と軸方向に重なる。すなわち、バスバー端子部92は、バスバーユニット60を上側ベアリングホルダ50に対して軸方向に位置決めする突き当て部65の直上に位置する。これにより、上側ベアリングホルダ50に対してバスバー端子部92を軸方向に、より精度よく位置決めできる。
【0101】
図4に示すように、複数の溶着部67は、周方向に沿って配置される。図示は省略するが、溶着部67は、下側ホルダ本体部63aから上側に突出する。溶着部67は、上側ホルダ本体部62aが有する図示しない貫通孔を通り、上側ホルダ本体部62aよりも上側に突出する。溶着部67の上側の端部は、上側ホルダ本体部62aの上面に溶着される。これにより、上側ホルダ本体部62aと下側ホルダ本体部63aとが固定される。
【0102】
本実施形態においてバスバーホルダ61の形状は、中心軸Jに対して回転対称性を有する。例えば、バスバーホルダ61を樹脂成形によって製造する場合において、バスバーホルダ61の形状が回転対称性を有しないと、周方向の位置によって金型に流れる樹脂流量が異なる。そのため、樹脂が硬化する時間が周方向の位置によって異なり、バスバーホルダ61の成形精度が周方向の位置によって異なる虞があった。したがって、バスバーホルダ61の寸法精度が低下する問題があった。
【0103】
これに対して、本実施形態によれば、バスバーホルダ61の形状が中心軸Jに対して回転対称性を有するため、バスバーホルダ61の成形時に周方向において樹脂流量をほぼ同じにできる。そのため、バスバーホルダ61の寸法精度が低下することを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、バスバーホルダ61の寸法精度を確保できるため、ステータ40に対するバスバーユニット60の径方向における相対的な位置精度を確保できる。また、上側ベアリングホルダ50に対するバスバーユニット60の軸方向における相対的な位置精度を確保できる。
【0104】
また、本実施形態によれば、平面視においてバスバーホルダ61を周方向に3等分する位置に1つずつバスバー端子部92が位置するため、バスバー端子部92を支持する複数の端子支持部68を中心軸Jに対して回転対称に配置できる。これにより、本実施形態によれば、バスバーホルダ61の形状を、中心軸Jに対して回転対称性を有する形状としやすい。
【0105】
なお、本明細書において、ある対象が中心軸Jに対して回転対称性を有する、とは、ある対象の形状が厳密に回転対称である場合と、ある対象の形状が略回転対称である場合と、を含む。略回転対称とは、例えば本実施形態の例では、少なくともホルダ凸部64または端子支持部68が中心軸Jに対して回転対称に配置されることを含む。
【0106】
[制御ユニット]
図1に示すように、制御ユニット70は、バスバーユニット60の上側に位置する。制
御ユニット70は、例えば、ECU(Engine Control Unit)である。制御ユニット70は、バスバー端子部92を介してバスバーユニット60と電気的に接続される。制御ユニット70は、ハウジング内周面21aと接触する。そのため、制御ユニット70とバスバーユニット60とを共にハウジング内周面21aに対して位置決めできる。これにより、バスバーユニット60と制御ユニット70との径方向における相対的な位置精度を向上できる。したがって、バスバーユニット60と制御ユニット70とを接続しやすい。
【0107】
制御ユニット70には、コネクタ部25を介して電源が供給される。図示は省略するが、制御ユニット70は、例えば、回転センサと、インバータ回路と、を有する。回転センサは、センサマグネット71と軸方向に対向する。回転センサは、ロータ30の回転を検出する。インバータ回路は、回転センサによって検出されたロータ30の回転に基づいて、ステータ40に供給する電流を制御する。回転センサは、特に限定されず、例えば、磁気抵抗素子であっても、ホール素子であってもよい。
【0108】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0109】
本実施形態において嵌合穴部52bは、上側ベアリングホルダ50を軸方向に貫通しなくてもよい。この場合、嵌合穴部52bは、円環部上面52aから下側に窪む有底の穴である。
【0110】
また、本実施形態においてホルダ貫通孔52cの形状は、特に限定されない。本実施形態においては、ホルダ貫通孔52cにおける径方向内側の端部から径方向外側の端部までを辿る間に、例えば、貫通孔寸法L2が局所的に小さくなる部分があってもよい。この場合、貫通孔寸法L2が局所的に小さくなる部分の径方向位置において、中間部寸法L1は局所的に大きくなる。
【0111】
また、本実施形態において貫通孔寸法L2は、径方向の全体に亘ってほぼ同じでもよい。また、本実施形態において中間部寸法L1は、径方向内側の端部から径方向外側の端部に向かうに従って大きくなってもよい。
【0112】
また、本実施形態において緩衝部55は、上側に窪む溝であってもよい。また、本実施形態において緩衝部55は、例えば、弾力性を有する部材が配置された部分であってもよい。この場合、弾力性を有する部材は、上側ベアリングホルダ50に埋め込まれてもよいし、図3に示す溝である緩衝部55の内側に配置されてもよい。
【0113】
また、図1の例では、バスバーホルダ61は、上側バスバーホルダ62と下側バスバーホルダ63との2つの別部材を有する構成としたが、これに限られない。本実施形態においてバスバーホルダ61は、単一の部材であってもよい。
【0114】
また、本実施形態においてバスバーホルダ61は、ホルダ凸部64を有しなくてもよい。この場合においては、例えば、バスバーホルダ61における径方向外縁の全体がハウジング内周面21aと接触する。
【0115】
また、本実施形態においては、バスバー90が、バスバー端子部92を少なくとも3つ有する構成を採用できる。すなわち、本実施形態においてバスバー90は、バスバー端子部92を4つ以上有してもよい。
【0116】
また、本実施形態においては、平面視においてバスバーホルダ61を周方向に3等分する位置に、少なくとも1つずつバスバー端子部92が位置する構成を採用できる。すなわち、本実施形態において平面視においてバスバーホルダ61を周方向に3等分する位置には、2つ以上バスバー端子部92が位置してもよい。また、バスバー端子部92が4つ以上設けられる構成においては、平面視においてバスバーホルダ61を周方向に3等分する位置に1つずつバスバー端子部92が位置していれば、その他のバスバー端子部92は、いずれの位置に配置されてもよい。
【0117】
また、本実施形態においては、バスバー本体部91の軸方向の位置がそれぞれ異なってもよい。この場合、例えば、各バスバー本体部91は、軸方向に重なる。
【0118】
また、本実施形態においてハウジング20は、金属製でなくてもよい。本実施形態においてハウジング20は、例えば、樹脂製であってもよい。
【0119】
また、本実施形態においては、ロータマグネット33が、シャフト31に直接的または間接的に固定される構成を採用できる。すなわち、本実施形態においてロータマグネット33は、シャフト31に直接的に固定されてもよい。
【0120】
また、本実施形態においてモータ10は、制御ユニット70を有しなくてもよい。
【0121】
なお、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0122】
10…モータ、20…ハウジング、21a…ハウジング内周面、30…ロータ、31…シャフト、33…ロータマグネット、40…ステータ、41a…コアバック、41b…ティース、43…コイル、50…上側ベアリングホルダ(ベアリングホルダ)、52b…嵌合穴部、52c…ホルダ貫通孔、52d…中間部、55…緩衝部、60…バスバーユニット、61…バスバーホルダ、62a…上側ホルダ本体部(ホルダ本体部)、63a…下側ホルダ本体部(ホルダ本体部)、64…ホルダ凸部、65…突き当て部、66…嵌合突出部、70…制御ユニット、82…上側ベアリング(ベアリング)、90…バスバー、91…バスバー本体部、92…バスバー端子部、94…コイル配線、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5