【文献】
小路 元,荻田 省一,ディジタルコヒーレント通信用小型・低消費電力光デバイス技術,2013年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会講演論文集2,日本,2013年09月03日,SS-149 - SS-150
【文献】
Wladek Forysiak,Progress in InP-based Photonic Components and Sub-systems for Digital Coherent Systems at 100Gbit/s and beyond,ECOC 2013,2013年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
実施の形態1
実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100について説明する。プラガブル光モジュール100は、外部の通信装置との間でデジタルコヒーレント光通信を行うことができるように構成されるものである。
図1は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の構成を模式的に示すブロック図である。
図2は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100が搭載される光通信システム1000の要部構成例を示すブロック図である。
【0015】
図2に示すように、プラガブル光モジュール100は、コネクタ付きの光ファイバ91及び92のコネクタ部が挿抜可能に構成される。コネクタ付きの光ファイバ91及び92のコネクタとしては、例えばLC型コネクタやMU型コネクタを用いることができる。プラガブル光モジュール100は、通信ホストである光伝送装置93から入力される制御信号CONに基づいて制御される。プラガブル光モジュール100は、制御信号CONとともに、光伝送装置93からデータ信号である変調信号MODを受信することも可能である。この場合、プラガブル光モジュール100は、受信した変調信号MODに基づいて変調した光信号LS1(第1の光信号とも称する)を、光ファイバ91を介して出力することができる。また、プラガブル光モジュール100は、光ファイバ92を介して外部から受信した光信号LS2(第2の光信号とも称する)に対応するデータ信号DATを、光伝送装置93へ出力することができる。光伝送装置93は、例えば、プラガブル光モジュール100からの通信データ信号又はプラガブル光モジュール100に入力する通信データ信号のフレーム処理等の通信データ処理を行う。
【0016】
プラガブル光モジュール100は、プラガブル電気コネクタ11、光送信部12、光受信部13、波長可変光源14及びプラガブル光レセプタ15A及び15Bを有する。
【0017】
プラガブル電気コネクタ11は、光伝送装置93に対して挿抜可能に構成される。プラガブル電気コネクタ11は、光伝送装置93から出力される電気信号である制御信号CONを受け取って、光送信部12、光受信部13及び波長可変光源の一部又は全部に所定の制御信号を転送可能に構成される。プラガブル電気コネクタ11は、光伝送装置93から出力される電気信号である変調信号MODを受け取って、光送信部12に転送する。プラガブル電気コネクタ11は、光受信部13が出力するデータ信号DATを、光伝送装置93へ転送する。
【0018】
波長可変光源14は、例えば制御信号CONに応じて決定された波長を有する光を出力する波長可変光モジュールとして構成される。
図2では、制御信号CONに基づく制御信号CON1が波長可変光源14に入力される例を示している。波長可変光源14の構成例について説明する。
図3は、実施の形態1にかかる波長可変光源14の構成例を示すブロック図である。波長可変光源14は、キャリア1、光出力部2、光分岐部3、集光レンズ4及び5を有する。光出力部2及び光分岐部3は、キャリア1上に搭載され、又は形成される。
【0019】
光出力部2は、例えば石英やシリコンなどにより構成された光導波路を有するPLC(Planer Lightwave Circuit)として構成される。光出力部2は、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifire、以下SOAと称する)2A及び波長フィルタ2Bを有する。SOA2Aは、CW(Continuous wave)光を出力する能動光素子であり、例えば半導体レーザーダイオードである。波長フィルタ2Bは、例えば複数のリング共振器、ループミラー、及びリング共振器に電圧を印加するための電極などを有する外部共振器として構成される。SOA2Aと波長フィルタ2Bとは、互いの導波路が調芯されるように設けられる。
【0020】
SOA2Aから出射した光は、波長フィルタ2Bに入射する。波長フィルタ2Bに入射した光は、リング共振器を経てループミラーで折り返され、SOA2Aに入射する。複数のリング共振器のそれぞれの直径は僅かに異なっているので、各リング共振器でピークが一致する波長は波長可変範囲の中でただ1つとなる。そのため、ループミラーとSOA2Aとの間でリング共振器により選択された波長での共振が生じ、その結果、光出力部2はレーザ発振する。SOA2Aから出力されるレーザ光は、光L1として光分岐部3に入射する。
【0021】
波長フィルタ2Bでは、リング共振器上に設けられた電極に電圧を印加することで、リング共振器の実効屈折率を変化させることができる。これにより、リング共振器の光路長を変化させることができる。つまり、電極に電圧を印加することで、光出力部2が出力する光L1の波長を変化させることができる。すなわち、光出力部2は、波長可変レーザとして機能することができる。
【0022】
光分岐部3は、コリメートレンズ3A、アイソレータ3B、プリズム3C及びミラー3Dを有する。コリメートレンズ3Aは、光出力部2が出力した光L1を平行光に変換する。アイソレータ3Bは、戻り光の防止のために設けられるものである。つまり、アイソレータ3Bは、光出力部2側から入射する光を透過させるが、反対側から入射する光を透過させないように構成される。アイソレータ3Bを透過した光(平行光)は、プリズム3Cにより出力光L2と局部発振光LOとに分岐される。プリズム3Cを透過した出力光L2は、集光レンズ4を介して出射される。集光レンズ4と光送信部12との間は例えば光ファイバ4Aで接続され、出力光L2は光ファイバ4Aを介して光送信部12に入射する。プリズム3Cで反射された局部発振光LOは、集光レンズ5を介して出射される。集光レンズ5と光受信部13との間は例えば光ファイバ5Aで接続され、局部発振光LOは光ファイバ5Aを介して光受信部13に入射する。
【0023】
図1に戻り、光送信部12について説明する。光送信部12は、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される変調信号MODに基づいて、波長可変光源14から入力する出力光L2を変調し、変調した光を光信号LS1として出力する。このとき、光送信部12は、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される制御信号CONに基づいて制御される。
図2では、制御信号CONに基づく制御信号CON2が光送信部12に入力される例を示している。これにより、光送信部12は、出力光L2の波長に応じた最適な変調動作を行うことができる。
【0024】
光送信部12は、例えばマッハツェンダ型光変調器で構成される。マッハツェンダ型光変調器が出力光L2を所定の変調方式で変調することで、光信号LS1を出力する。光送信部12は、マッハツェンダ型光変調器の光導波路に設けられた位相変調領域に変調信号MODに応じた信号を印加することで、出力光L2を変調する。光送信部12は、位相変調、振幅変調、偏波変調などの各種の変調方式で、又は、各種の変調方式を組み合わせて出力光L2を変調することができる。ここで、マッハツェンダ型光変調器は、例えば、半導体光変調器等である。
【0025】
ここで、位相変調領域とは、光導波路上に形成された電極を有する領域である。そして、電極に電気信号、例えば電圧信号が印加されることにより、電極の下の光導波路の実効屈折率が変化する。その結果、位相変調領域の光導波路の実質的な光路長を変化させることができる。これにより、位相変調領域は、光導波路を伝搬する光信号の位相を変化させることができる。そして、2本の光導波路の間を伝搬する光信号間に位相差を与えることで、光信号を変調することができる。
【0026】
光送信部12の構成例について説明する。
図4は、実施の形態1にかかる光送信部12の構成を模式的に示す図である。光送信部12は、一般的なマッハツェンダ型光変調器として構成される。光送信部12は、光変調器12A及び駆動回路12Bを有する。
【0027】
光変調器12Aは、波長可変光源14からの出力光L2を変調して、光信号LS1を出力する。光変調器12Aは光導波路WG1〜WG4、位相変調領域PMA及びPMBを有する。光導波路WG1の一端には、波長可変光源14からの出力光L2が入力する。光導波路WG1の他端は、光導波路WG2の一端及び光導波路WG3の一端と光学的に接続される。よって、光導波路WG1を伝搬する光は、光導波路WG2と光導波路WG3とに分岐される。光導波路WG2の他端及び光導波路WG3の他端とは、光導波路WG4の一端と接続される。光導波路WG2には、光導波路WG2を伝搬する光の位相を変化させる位相変調領域PMAが配置される。光導波路WG3には、光導波路WG2を伝搬する光の位相を変化させる位相変調領域PMBが配置される。光導波路WG4の他端からは、光信号LS1が出力される。
【0028】
駆動回路12Bは、光変調器12Aの変調動作を制御するとともに、位相変調領域PMA及びPMBの一方又は双方に、制御信号CON2に応じてバイアス電圧VBIASを印加することで光変調器12Aの動作点を制御することができる。以下では、駆動回路12Bは、位相変調領域PMA及びPMBにバイアス電圧を印加するものとして説明する。また、駆動回路12Bは、位相変調領域PMA及びPMBの一方又は双方に変調信号MODに応じた信号を印加することで、出力光L2を変調して光信号LS1とすることができる。この例では、駆動回路12Bは、位相変調領域PMAに変調信号MODに応じた変調信号SIG_M1を印加する。駆動回路12Bは、位相変調領域PMBに変調信号MODに応じた変調信号SIG_M2を印加する。
【0029】
なお、図示しないが、光送信部12は、光出力調整部を有してもよい。光出力調整部は、光送信部12から出力される光信号LS1を減衰又は遮断することで、光信号LS1の光強度を調整してもよい。光出力調整部は、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される制御信号CON又は制御信号CONとは異なる制御信号に応じて、光信号LS1の光強度を調整してもよい。光出力調整部としては、例えば光アッテネータを用いてもよい。
【0030】
光受信部13は、光ファイバ92を介して外部から受信した光信号LS2を、波長可変光源14からの局部発振光LOと干渉させることで、復調を行う。そして、光受信部13は、復調された電気信号であるデータ信号DATを、プラガブル電気コネクタ11を介して光伝送装置93へ出力する。このとき、光受信部13は、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される制御信号CONに基づいて制御される。
図2では、制御信号CONに基づく制御信号CON3が光受信部13に入力される例を示している。これにより、光受信部13は、局部発振光LO(ないしは光信号LS2)の波長に応じた最適な復調動作を行うことができる。
【0031】
光受信部13は、例えば、DP−QPSK(Dual-Polarization Quadrature Phase-Shift Keying)光信号を電気信号に復調するデジタルコヒーレント受信を行う受信器である。
図5は、実施の形態1にかかる光受信部13の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、光受信部13は、偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter:以下、PBSと表記する)31、PBS32、90°ハイブリッド33及び34、光電変換器(O/E:Optical/Electrical converter)41〜44、アナログ/デジタル変換器(ADC:Analog to Digital Converter)51〜54及びデジタル信号処理部(Digital Signal Processor、以下DSPと表記する)35を有する。
【0032】
PBS31には、プラガブル光レセプタ15Bを介して、光信号LS2(例えば、DP−QPSK光信号)が入力する。PBS31は、入力した光信号LS2を、直交する2つの偏波成分に分離する。具体的には、PBS31は、光信号LS2を、互いに直交するx偏波成分x
inとy偏波成分y
inとに分離する。x偏波成分x
inは90°ハイブリッド33に入力し、y偏波成分y
inは90°ハイブリッド34に入力する。
【0033】
波長可変光源14からの局部発振光LOは、PBS32に入力する。本実施の形態では、PBS32は、局部発振光LOを、直交する2つの偏波成分(x偏波成分LO
x及びy偏波成分LO
y)に分離する。局部発振光のx偏波成分LO
xは90°ハイブリッド33に入力し、局部発振光のy偏波成分LO
yは90°ハイブリッド34に入力する。
【0034】
90°ハイブリッド33は、局部発振光のx偏波成分LO
xとx偏波成分x
inとを干渉させることで検波し、I(In-phase:同相)成分(以下、x
in−I成分)と、I成分と位相が90°異なるQ(Quadrature:直交)成分(以下、x
in−Q成分)と、を検波光として出力する。90°ハイブリッド34は、局部発振光のy偏波成分LO
yとy偏波成分y
inとを干渉させることで検波し、I成分(以下、y
in―I成分)及びQ成分(以下、y
in―Q成分)を検波光として出力する。
【0035】
光電変換器41〜44は、90°ハイブリッド33及び34が出力する4つの光信号(x
in−I成分、x
in−Q成分、y
in−I成分及びx
in−Q成分)のそれぞれを光電変換する。そして、光電変換器41〜44は、光電変換により生成したアナログ電気信号を、それぞれADC51〜54に出力する。具体的には、光電変換器41は、x
in−I成分を光電変換し、生成したアナログ電気信号をADC51に出力する。光電変換器42は、x
in−Q成分を光電変換し、生成したアナログ電気信号をADC52に出力する。光電変換器43は、y
in−I成分を光電変換し、生成したアナログ電気信号をADC53に出力する。光電変換器44は、y
in−Q成分を光電変換し、生成したアナログ電気信号をADC54に出力する。
【0036】
ADC51〜54は、光電変換器41〜44が出力するアナログ電気信号を、それぞれデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をDSP35に出力する。
【0037】
DSP35は、入力するデジタル信号に所定の偏波分離デジタル信号処理を行い、復調した信号を含むデータ信号DATを出力する。データ信号DATは、プラガブル電気コネクタ11を介して、外部の光伝送装置93に出力される。
【0038】
プラガブル光レセプタ15Aは、外部のコネクタ付きの光ファイバ91のコネクタが挿抜可能に構成される。光送信部12から出力された光信号LS1は、プラガブル光レセプタ15Aを介して、光ファイバ91に送出される。プラガブル光レセプタ15Bは、外部のコネクタ付きの光ファイバ92のコネクタが挿抜可能に構成される。外部から光ファイバ92を伝搬してきた光信号LS2は、プラガブル光レセプタ15Bを介して、光受信部13に入力される。ここでは、プラガブル光レセプタ15Aとプラガブル光レセプタ15Bとは分離して設けられているが、当然のことながら、プラガブル光レセプタ15Aとプラガブル光レセプタ15Bとは一体化した単一のプラガブル光レセプタとして構成されてもよい。
【0039】
プラガブル光モジュール100の外観を示す。
図6は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100を光ファイバ91及び92側から見た場合の斜視図である。
図6に示す符号61は、プラガブル光モジュール100の上面を示す。
図6に示す符号62は、プラガブル光レセプタ15A及び15Bの光ファイバのコネクタの差込口を示す。
図7は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100を光伝送装置93側から見た場合の斜視図である。
図7に示す符号63は、プラガブル光モジュール100の下面を示す。
図7に示す符号64は、プラガブル電気コネクタ11の光伝送装置93との接続部を示す。
【0040】
以上、本構成では、デジタルコヒーレント通信用のプラガブル光モジュールにおいて、波長可変光源を1つ設けるだけで、光送信部に変調対象となる光を供給し、かつ、光受信部が受信した光信号を検波するための局部発振光を供給することができる。つまり、光送信部での変調対象となる光を供給するための光源と、光受信部が受信した光信号を検波するための局部発振光を供給するための光源と、を独立して設ける必要がない。
【0041】
従って、本構成によれば、デジタルコヒーレント通信用のプラガブル光モジュールの小型化を実現することができる。また、波長可変光源の数を削減できるので、製造コストを低減することもできる。
【0042】
実施の形態2
次に、実施の形態2にかかるプラガブル光モジュール200について説明する。プラガブル光モジュール200は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の変形例である。
図8は、実施の形態2にかかるプラガブル光モジュール200の構成を模式的に示すブロック図である。プラガブル光モジュール200は、プラガブル光モジュール100の光送信部12を光送信部17に置換し、制御部16を追加した構成を有する。プラガブル光モジュール200のその他の構成は、プラガブル光モジュール100と同様であるので、説明を省略する。
【0043】
制御部16は、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される制御信号CONに基づいて、波長可変光源14、光送信部17及び光受信部13の動作を制御する。具体的には、制御部16は、制御信号CONに基づいて、制御信号CON1〜CON4を生成する。制御信号CON1は、プラガブル光モジュール100と同様に、波長可変光源14へ出力される。制御信号CON2及びCON4は、光送信部17へ出力される。制御信号CON3は、プラガブル光モジュール100と同様に、光受信部13へ出力される。
【0044】
光送信部17について説明する。光送信部17は、光変調部17A及び光出力調整部17Bを有する。光変調部17Aは、プラガブル光モジュール100の光送信部12と同様の構成を有するので、説明を省略する。
【0045】
光出力調整部17Bは、制御部16から出力される制御信号CON4に応じて、光信号LS1の光強度を調整する。光出力調整部17Bは、例えば光変調部17Aから出力される光信号LS1を減衰又は遮断することで、光信号LS1の光強度を調整することができる。光出力調整部17Bは、例えば光アッテネータを用いることができる。
【0046】
以上、本構成によれば、光送信部に光出力調整部を設けることで、出力する光信号の強度を容易に調整することができる。かつ、本構成では、制御部によって、プラガブル光モジュール200内の各部品(波長可変光源、光送信部及び光受信部)を使用目的に合わせて具体的に制御することができる。
【0047】
実施の形態3
次に、実施の形態3にかかるプラガブル光モジュール300について説明する。プラガブル光モジュール300は、実施の形態2にかかるプラガブル光モジュール100の変形例である。
図9は、実施の形態3にかかるプラガブル光モジュール300の構成を模式的に示すブロック図である。プラガブル光モジュール300は、プラガブル光モジュール100の波長可変光源14及び光送信部12を統合して光送信部18とし、かつ、光出力調整部19を追加した構成を有する。プラガブル光モジュール200のその他の構成は、プラガブル光モジュール100と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
光送信部18について説明する。光送信部18は、波長可変光源14及び光変調部6を有する。光出力部2、光分岐部3及び光変調部6は、波長可変光源14と同様に、例えばキャリア1上に搭載又は形成される。
図9では、図面の簡略化のため、キャリア1を省略している。光変調部6は上述の光送信部12と同様であるので、説明を省略する。以上より、プラガブル光モジュール300では、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100における波長可変光源14と光送信部12の機能が、1つの光送信部18(光変調器モジュールと理解してもよい)に集約された構成を有するものとして理解できる。
【0049】
光出力調整部19は、上述の光出力調整部17Bと同様であるので、説明を省略する。
【0050】
以上、本構成によれば、光出力部、光分岐部及び光変調部(すなわち、光送信部)を1つの素子として集積することができる。これにより、波長可変光源及び光送信部を、1つの光変調器モジュールとして構成することができる。特に、光出力部、光分岐部及び光変調部を半導体素子として製造する場合には、共通のプロセスを適用することが可能であるので、集積光変調器モジュールの製造コストを低減することができる。
【0051】
この際、集積光変調器モジュールは、石英、半導体(例えばシリコン、又は、InP(インジウムリン)などの化合物半導体など)を用いて構成することができる。また、集積光変調器モジュールは、出力する光のビームスポットを成形するビームスポット変換器を含んでもよい。
【0052】
また、当然のことながら、本実施の形態において、光出力調整部は光送信部に含まれてもよい。
【0053】
実施の形態4
本実施の形態では、波長可変光源14の変形例について説明する。
図10は、実施の形態4にかかる波長可変光源の一例を示す図である。
図10に示す波長可変光源20は、波長可変光源14の光分岐部3を光分岐部7に置換した構成を有する。光分岐部7は、コリメートレンズ7A、アイソレータ7B、コリメートレンズ7C、アイソレータ7D、及び光カプラ7Eを有する。光カプラ7Eは、SOA2Aから出力される光L1を出力光L2と局部発振光LOとに分離する。光L1は、コリメートレンズ7A、アイソレータ7B及び集光レンズ4を通過して光送信部へ出力される。局部発振光LOは、コリメートレンズ7C、アイソレータ7D及び集光レンズ5を通過して光送信部へ出力される。波長可変光源20のその他の構成は、波長可変光源14と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
以上の通り、波長可変光源20は、波長可変光源14と比べて、プリズムやミラーを用いずとも、光出力部2から出力される光を分岐することができる。
【0055】
さらに、波長可変光源14の他の変形例について説明する。
図11は、実施の形態4にかかる波長可変光源の他の一例を示す図である。
図11に示す波長可変光源21は、波長可変光源14の光分岐部3を光分岐部8に置換し、集光レンズ4及び5を除去した構成を有する。光分岐部8は、光ファイバアレイ8A及び光カプラ7Eを有する。光カプラ7Eは、波長可変光源20と同様に、SOA2Aから出力される光L1を出力光L2と局部発振光LOとに分離する。光ファイバアレイ8Aは、光ファイバ4Aと光ファイバ5Aとが平行に固定されている。また、出力光L2は光ファイバ4Aの端面に入射し、局部発振光LOは光ファイバ5Aの端面に入射する。波長可変光源21のその他の構成は、波長可変光源14と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
以上の通り、波長可変光源21は、光カプラ7Eで分岐した光を直接的に光ファイバに入射させる簡易な構成である。つまり、プリズム、ミラー、コリメートレンズ及びアイソレータを用いずに波長可変光源を実現できるので、波長可変光源21は、波長可変光源14及び20と比べて、小型化が可能であり、かつ、低コストかつ簡易な製造プロセスで製造することができる。
【0057】
実施の形態5
実施の形態5にかかるプラガブル光モジュールについて説明する。上述の光送信部12、光変調部6及び17Aは、2本のアームを有する一般的なマッハツェンダ型光変調器として構成されるものとして説明した。これに対し、本実施の形態においては、光送信部12、光変調部6及び17Aとして利用可能な、マッハツェンダ型光変調器を有するQPSK光信号を出力可能な光送信部70について説明する。
【0058】
図12は、実施の形態5にかかる光送信部70の構成を模式的に示すブロック図である。光送信部70は、光変調器71及び駆動回路72を有する。光変調器71は、一般的なマッハツェンダ型光変調器を複数個組み合わせた構成を有する。この例では、光変調器71は、2つのマッハツェンダ型光変調器MZ1及びMZ2を組み合わせた構成を有する。マッハツェンダ型光変調器MZ1及びMZ2は、並列に配置され、それぞれ実施の形態1で説明した光送信部12と同様の構成を有する。
【0059】
光導波路WG11には、出力光L2が入力される。光導波路WG11は、光導波路WG12と光導波路WG13とに分岐される。光導波路WG12は、マッハツェンダ型光変調器MZ1の入力と接続され、光導波路WG13はマッハツェンダ型光変調器MZ2の入力と接続される。
【0060】
マッハツェンダ型光変調器MZ1の出力は光導波路WG14と接続され、マッハツェンダ型光変調器MZ2の出力は光導波路WG15と接続される。光導波路WG14と光導波路WG15とは合流して、光導波路WG16と接続される。光導波路WG16からは、光信号LS1が外部へ出力される。
【0061】
なお、本実施の形態では、マッハツェンダ型光変調器MZ1の2本の光導波路に配置された位相変調領域PMA及びPMBを、位相変調領域PM1及びPM2とする。マッハツェンダ型光変調器MZ2の2本の光導波路に配置された位相変調領域PMA及びPMBを、位相変調領域PM3及びPM4とする。また、光導波路WG14及びWG15には、それぞれ位相変調領域PM5及びPM6が配置されている。
【0062】
駆動回路72は、光変調器71の変調動作を制御するとともに、位相変調領域PM1〜PM6のそれぞれにバイアス電圧を印加することで、光変調器71の動作点を制御することができる。また、駆動回路72は、位相変調領域PM1〜PM6のそれぞれに変調信号を印加することで、出力光L2を変調して光信号LS1とすることができる。
【0063】
駆動回路72は、例えば、位相変調領域PM1及びPM2のそれぞれに、一対の差動信号の一方を印加する。具体的には、例えば、位相変調領域PM1には正相変調信号DS1_Iが印加され、位相変調領域PM2には正相変調信号DS1_Iを反転した信号である逆相変調信号DS1_Rが印加される。これにより、位相変調領域PM1で変調された光信号と、位相変調領域PM2で変調された光信号との間に、180°の位相差を生じさせることができる。
【0064】
また、駆動回路72は、例えば、位相変調領域PM3及びPM4のそれぞれに、一対の差動信号の一方を印加する。具体的には、例えば、位相変調領域PM3には正相変調信号DS2_Iが印加され、位相変調領域PM4には正相変調信号DS2_Iを反転した信号である逆相変調信号DS2_Rが印加される。これにより、位相変調領域PM3で変調された光信号と、位相変調領域PM4で変調された光信号との間に、180°の位相差を生じさせることができる。
【0065】
更に、駆動回路72は、例えば、位相変調領域PM5及びPM6のそれぞれに、一対の差動信号の一方を印加する。具体的には、例えば、位相変調領域PM5には正相変調信号DS3_Iが印加され、位相変調領域PM6には正相変調信号DS3_Iを反転した信号である逆相変調信号DS3_Rが印加される。これにより、位相変調領域PM5で変調された光信号と、位相変調領域PM6で変調された光信号との間には、90°の位相差を生じさせることができる。
【0066】
以上より、位相変調領域PM5から出力される光信号の位相を0°及び180°とすると、位相変調領域PM6から出力される光信号の位相は90°及び270°となる。その結果、光送信部70が出力する光信号LS1は、四位相変位変調されたQPSK光信号であることが理解できる。
【0067】
本構成では、所定の制御手段(例えば、光伝送装置93や制御部16)によって、光変調部71の位相変調領域PM1〜PM6に印加するバイアス電圧を決定してもよい。
【0068】
以上、本構成によれば、QPSK信号を出力可能なプラガブル光モジュールを実現できることが理解できる。
【0069】
本実施の形態では、QPSK信号を出力する光送信部について説明したが、これは例示に過ぎない。例えば、DP−QPSKやQAMなどの他の変調方式を用いる光送信部を、適宜プラガブル光モジュールに適用できることは言うまでもない。
【0070】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態においては、光出力部と光受信部とが分離して設けられる構成について説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、光出力部と光受信部とは、単一の混載光モジュールとして構成され、この混載光モジュールに出力光と局部発振光とが入射する構成としてもよい。また、この混載光モジュールに光出力部からの光L1が入力し、混載光モジュール内で出力光と局部発振光とに分岐されてもよい。すなわち、この混載光モジュールは、上述の波長可変光源における光分岐部の機能を含んでもよい。
【0071】
上述の実施の形態においては、光伝送装置93からの制御信号CONに応じて、波長可変光源、光送信部、光受信部、及び光出力調整部が制御されるものとして説明したが、これは例示にすぎない。プラガブル光モジュールは、外部からの制御信号によらず、自律的に波長可変光源、光送信部、光受信部、及び光出力調整部を制御することもできる。
【0072】
上述の実施の形態において、プラガブル電気コネクタ11を介した制御信号のやり取りは、MDIO(Management Data Input/Output)やI2C(Inter−Integrated Circuit)といった技術を適用することで実現することができる。
【0073】
上述の実施の形態においては、光送信部又は光出力調整部が出力する光信号の強度をモニタし、例えば波長可変光源の光出力強度又は光出力調整部の光強度調整動作をフィードバック制御してもよい。この場合、光送信部又は光出力調整部が出力する光の一部を光分岐器などで分岐し、分岐した光をフォトダイオードなどの受光素子で監視する。そして、監視結果を制御部などに通知することで、制御部は波長可変光源の光出力強度又は光出力調整部の光強度調整動作をフィードバック制御できる。なお、このフィードバック制御は、光伝送装置93からの指令に応じて実行してもよいし、プラガブル光モジュールが自律的に実行してもよい。
【0074】
上述の実施の形態においては、光受信部13は、DP−QPSK光信号を受信するものとして説明したが、これは例示に過ぎない。例えば、QAM(quadrature amplitude modulation)等の他の変調信号を受信可能に構成されてもよい。
【0075】
上述の実施の形態においては、波長可変光源をSOAと波長フィルタとで構成されるものとして説明したが、波長可変光源として機能するならば他の構成とすることができる。例えば、波長可変光源は、DFB(Distributed FeedBack)レーザアレイと、DFBレーザアレイに含まれる複数のDFBレーザからのレーザ光を選択する選択部とで構成されてもよい。また、DFB(Distributed FeedBack)レーザアレイに代えて、DBR(Distributed Bragg Reflector)レーザなどの他の種類のレーザで構成されるレーザアレイ用いてもよい。
【0076】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0077】
この出願は、2015年7月9日に出願された日本出願特願2015−137821を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。