特許第6962367号(P6962367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6962367イベントマップ生成方法及びイベントマップ生成システム、運転支援方法及び運転支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962367
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】イベントマップ生成方法及びイベントマップ生成システム、運転支援方法及び運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20211028BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   G08G1/01 A
   G08G1/13
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-518685(P2019-518685)
(86)(22)【出願日】2017年5月18日
(86)【国際出願番号】JP2017018610
(87)【国際公開番号】WO2018211646
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2019年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 元伸
(72)【発明者】
【氏名】古城 直樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 博幸
【審査官】 山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−157419(JP,A)
【文献】 特開2012−190398(JP,A)
【文献】 特開2015−146087(JP,A)
【文献】 特開2008−040974(JP,A)
【文献】 特開2016−115087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G08G 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
見通しのきかない地点でドライバーが事前にリスクを予知し、音,光,通信の少なくとも一つにより表現されるドライバーによるリスク予知行動を、自車の存在を周知させる行動というとき、
車両の状態、道路の状態、道路の遮蔽状態、または環境認識の状態によって規定される所定の状態で、前記自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得し、
当該プローブ情報に基づいて、前記所定の状態、前記自車の存在を周知させる行動の種類を保存したマップであるイベントマップを生成し、
前記自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置のうち、音の発生を所定時間以上の一定期間継続させたクラクションを認識した場合は自車存在周知行動として判定せず、前記イベントマップを生成するプローブ情報として取得しない
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたイベントマップ生成方法において、
前記車両の状態とは、車両徐行又は車両停止の場合をいう
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたイベントマップ生成方法において、
前記道路の状態とは、カーブ,交差点内,交差点付近,山道の少なくとも一つを含む場合をいう
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載されたイベントマップ生成方法において、
前記環境認識の状態とは、物体を認識していない状態、或いは、死角を認識している状態をいう
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項5】
請求項4に記載されたイベントマップ生成方法において、
前記物体を認識していない状態とは、自車の走行予定経路上に物体を認識していない状態をいう
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載されたイベントマップ生成方法において、
前記死角を認識している状態とは、自車の走行予定経路上に死角を認識している状態をいう
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載されたイベントマップ生成方法において、
前記ドライバーによるリスク予知行動とは、クラクションを鳴らす音による行動と、パッシングを行う光による行動とのうち、少なくとも一方の行動をいう
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載されたイベントマップ生成方法において、
前記イベントマップを生成するとき、同じ位置として区分される複数のプローブ情報の発生数を予め定めた値と比較し、その結果に応じてイベント位置としてマップに反映するか否かを識別する
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項9】
請求項8に記載されたイベントマップ生成方法において、
前記イベント位置としてマップに反映するとき、前記所定の状態の組み合わせによって、イベント位置のリスク度合いを規定する
ことを特徴とするイベントマップ生成方法。
【請求項10】
見通しのきかない地点でドライバーが事前にリスクを予知し、音,光,通信の少なくとも一つにより表現されるドライバーによるリスク予知行動を、自車の存在を周知させる行動というとき、
車両の状態、道路の状態、道路の遮蔽状態、または環境認識の状態によって規定される所定の状態で、前記自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得し、
当該プローブ情報に基づいて、前記所定の状態、前記自車の存在を周知させる行動の種類を保存したマップであるイベントマップを生成し、
前記イベントマップを使用して、自動で自車の存在を周知させる行動をとる場合、前記イベントマップによって抽出されたイベント位置に自車が接近したとき、他車両がその存在を周知させる行動をとったことが認識されると、自動で自車の存在を周知させる運転支援を実施し、
前記イベントマップによって抽出されたイベント位置に自車が接近したとき、他車両がその存在を周知させる行動をとったことが認識されないと、前記運転支援を実施しない
ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項11】
請求項10に記載された運転支援方法において、
前記運転支援を実施する場合、前記イベントマップを使用して、自動で自車の存在を周知させる行動をとると共に、自車の状態を変化させる
ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項12】
請求項11に記載された運転支援方法において、
前記自車の状態を変化させるとは、自車の速度調整、減速又は停止することをいう
ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項13】
請求項11に記載された運転支援方法において、
前記自車の状態を変化させるとは、前記イベントマップに保存されている車両の状態を再現することをいう
ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項14】
見通しのきかない地点でドライバーが事前にリスクを予知し、音,光,通信の少なくとも一つにより表現されるドライバーによるリスク予知行動を、自車の存在を周知させる行動というとき、
前記自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得するデータ収集装置と、
車両の状態、道路の状態、道路の遮蔽状態、または環境認識の状態によって規定される所定の状態で、前記自車が存在することを周知させる行動をとったイベント位置をイベント位置データとして保存するデータ記録装置と、
前記データ記録装置に保存されているイベント位置データに基づいて、前記所定の状態、前記自車の存在を周知させる行動の種類を保存したマップであるイベントマップを生成するイベントマップ生成装置と、を備え、
前記データ記録装置は、前記自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置のうち、音の発生を所定時間以上の一定期間継続させたクラクションを認識した場合は自車存在周知行動として判定せず、前記イベントマップを生成するイベント位置データとして保存しない
ことを特徴とするイベントマップ生成システム。
【請求項15】
見通しのきかない地点でドライバーが事前にリスクを予知し、音,光,通信の少なくとも一つにより表現されるドライバーによるリスク予知行動を、自車の存在を周知させる行動というとき、
車両の状態、道路の状態、道路の遮蔽状態、または環境認識の状態によって規定される所定の状態で、前記自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得し、当該プローブ情報に基づいて、前記所定の状態、前記自車の存在を周知させる行動の種類を保存したマップであるイベントマップを生成するイベントマップ生成装置と、
前記イベントマップを使用して、自動で自車の存在を周知させる行動をとる運転支援装置と、を備え、
前記運転支援装置は、前記イベントマップによって抽出されたイベント位置に自車が接近したとき、他車両がその存在を周知させる行動をとったことが認識されると、自動で自車の存在を周知させる運転支援を実施し、
前記イベントマップによって抽出されたイベント位置に自車が接近したとき、他車両がその存在を周知させる行動をとったことが認識されないと、前記運転支援を実施しない
ことを特徴とする運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をあらわすイベントマップ生成方法及びイベントマップを用いた運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イベントデータベースから車両の位置及び加速度の情報を取得し、リスク度の区分及び該当する危険地点の位置を表す情報を含むハザードマップを生成する車両用ハザードマップ生成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−190398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術にあっては、見通しのきかない山道、交差点、曲がり角、坂の頂上などで、ドライバーが事前にリスクを予知し、自車の存在を周知させる行動(クラクション、パッシングなど)をとった位置の情報をマップに抽出できない。
【0005】
本開示は、上記問題に着目してなされたもので、自車の存在を周知させる必要がある地点をあらわし、運転支援を実施する際に有用なイベントマップを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示は、見通しのきかない地点でドライバーが事前にリスクを予知し、音,光,通信の少なくとも一つにより表現されるドライバーによるリスク予知行動を、自車の存在を周知させる行動というとき、車両の状態、道路の状態、道路の遮蔽状態、または環境認識の状態によって規定される所定の状態で、自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得する。
当該プローブ情報に基づいて、所定の状態、自車の存在を周知させる行動の種類を保存したマップであるイベントマップを生成する。
自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置のうち、音の発生を所定時間以上の一定期間継続させたクラクションを認識した場合は自車存在周知行動として判定せず、イベントマップを生成するプローブ情報として取得しない。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、ドライバーのリスク予知に基づいて自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置のプローブ情報を抽出することで、自車の存在を周知させる必要がある地点をあらわし、運転支援を実施する際に有用なイベントマップを生成することができる。さらに、長いクラクション操作を行った場合はプローブ情報として抽出しないことで、突然、ドライバーがリスクを感じた地点をイベント位置から除外することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のイベントマップ生成方法及び運転支援方法が適用されたシステム全体構成を示すブロック図である。
図2】実施例1のデータ収集装置を示すブロック図である。
図3】実施例1のデータ記録装置を示すブロック図である。
図4】実施例1のイベントマップ生成装置を示すブロック図である。
図5】実施例1の運転支援装置を示すブロック図である。
図6】実施例1の運転計画装置を示すブロック図である。
図7】実施例1の運転支援方法で死角のある山道での運転支援作用の一例を示す作用説明図である。
図8】実施例2の運転計画装置を示すブロック図である。
図9】実施例2の運転支援方法で死角のある山道での運転支援作用の一例を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示によるイベントマップ生成方法及び運転支援方法を実現する最良の実施形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
実施例1におけるイベントマップ生成方法及び運転支援方法は、自動運転モードの選択により操舵/駆動/制動が自動制御される運転支援システムが搭載された自動運転車両に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「システム全体構成」、「データ収集装置の詳細構成」、「イベントマップ生成装置の詳細構成」、「運転支援装置の詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[システム全体構成]
図1は、実施例1のイベントマップ生成方法及び運転支援方法が適用されたシステム全体構成を示すブロック図である。以下、図1に基づいてシステム全体構成を説明する。
【0012】
システム全体構成は、図1に示すように、データ収集車両1と、データサーバー2と、運転支援車両3と、で構成される。
【0013】
データ収集車両1は、一台一台の車両をセンサとして活用することで、これまで得られなかった膨大な情報を収集し、様々な情報の共有を可能とするプローブ情報システムに組み込まれた車両をいう。データ収集車両1のそれぞれには、データ収集装置100が搭載されている。
【0014】
データサーバー2は、プローブ情報システムにおける情報管理センターに固定して設置され、データ収集装置100から出力される膨大な情報を入力し、例えば、入力情報を種別区分して記録する。このデータサーバー2には、収集したプローブ情報に基づいてイベントマップを生成するイベントマップ生成装置200を設けている。
【0015】
運転支援車両3は、イベントマップ生成装置200で生成されたイベントマップをアップロードし、当該イベントマップを用いて運転支援を行う運転支援装置300が搭載されている。
【0016】
[データ収集装置の詳細構成]
以下、図2及び図3に基づいて、データ収集車両1が備えるデータ収集装置100の詳細構成について説明する。
【0017】
データ収集装置100は、図2に示すように、ナビゲーション装置110と、検出装置120と、車両コントローラ130と、出力装置140と、通信装置150と、データ記録装置160と、を備える。データ収集装置100を構成する各装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0018】
ナビゲーション装置110は、自車両の現在位置から目的地までの経路を算出する。経路の算出手法は、ダイキストラ法やA*などのグラフ探索理論に基づく出願時に知られた手法を用いることができる。算出した経路は、経路案内情報として出力装置140を介して出力される。このナビゲーション装置110は、位置検出装置111と、アクセス可能な地図情報112と、道路情報113と、を備える。
【0019】
位置検出装置111は、グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System, GPS)を備え、走行中の車両の走行位置(緯度・経度)を検出する。
【0020】
地図情報112は、いわゆる電子地図であり、緯度経度と地図情報が対応づけられた情報である。地図情報112は、各地点に対応づけられた道路情報113を有する。地図情報112は、後述するイベントマップを用いてもよい。
【0021】
道路情報113は、ノードと、ノード間を接続するリンクにより定義される。道路情報113は、道路の位置/領域により道路を特定する情報と、道路ごとの道路種別、道路ごとの道路幅、道路の形状情報とを含む。道路情報113は、各道路リンクの識別情報ごとに、交差点の位置、交差点の進入方向、交差点の種別その他の交差点に関する情報を対応づけて記憶する。また、道路情報113は、各道路リンクの識別情報ごとに、道路種別、道路幅、道路形状、直進の可否、進行の優先関係、追い越しの可否(隣接レーンへの進入の可否)その他の道路に関する情報を対応づけて記憶する。
【0022】
ナビゲーション装置110は、検出装置120により検出された自車両の現在位置に基づいて、自車両が走行する走行経路を特定する。走行経路は、自車両の走行予定経路、及び/又は、自車両の走行実績経路である。走行経路はユーザが指定した目的地に至る経路であってもよいし、自車両/ユーザの走行履歴に基づいて推測された目的地に至る経路であってもよい。自車両が走行する走行経路は、道路ごとに特定してもよいし、上り/下りの方向が特定された道路ごとに特定してもよいし、自車両が実際に走行する単一の車線ごとに特定してもよい。ナビゲーション装置110は、道路情報112を参照して、自車両が走行する走行経路の車線ごとに道路リンクを特定する。
【0023】
走行経路は、車両が将来通過する一つ又は複数の地点の特定情報(座標情報)を含む。走行経路は、自車両が走行する、次の走行位置を示唆する一つの点を少なくとも含む。走行経路は、連続した線により構成されてもよいし、離散的な点により構成されてもよい。特に限定されないが、走行経路は、道路識別子・レーン識別子・リンク識別子により特定される。これらの車線識別子・レーン識別子・リンク識別子は、地図情報112、道路情報113において定義される。
【0024】
検出装置120は、図2に示すように、舵角センサ121と、車速センサ122と、姿勢センサ123と、位置センサ124と、対象物検出センサ125と、を有する。なお、図示していないが、クラクション操作を検出するクラクションスイッチやパッシング操作を検出するライトスイッチなども検出装置120に含まれる。
【0025】
舵角センサ121は、操舵量、操舵速度、操舵加速度などの情報を検出し、車両コントローラ130へ出力する。車速センサ122は、車両の速度及び/又は加速度を検出し、車両コントローラ13へ出力する。姿勢センサ123は、車両の位置、車両のピッチ角、車両のヨー角車両のロール角を検出し、車両コントローラ130へ出力する。姿勢センサ123は、ジャイロセンサを含む。位置センサ124は、走行中の車両の走行位置(緯度・経度)、走行車線内の位置、交差点までの距離、物体までの距離を検出する。対象物検出センサ125は、自車両の周囲の状況を検出する。
【0026】
自車両の対象物検出センサ125は、自車両の周囲に存在する障害物を含む対象物の存在及びその存在位置を検出する。特に限定されないが、対象物検出センサ125はカメラを含む。カメラは、赤外線カメラ、ステレオカメラでもよい。カメラは自車両の所定の位置に設置され、自車両の周囲の対象物を撮像する。自車両の周囲は、自車両の前方、後方、左側方、右側方を含む。対象物は、路面に表記された停止線などの二次元の標識を含む。対象物は三次元の物体を含む。対象物は、標識などの静止物を含む。対象物は、歩行者、二輪車、四輪車(他車両)などの移動物体を含む。対象物は、ガードレール、中央分離帯、縁石などの道路構造物を含む。
【0027】
対象物検出センサ125は、画像データを解析し、その解析結果に基づいて対象物の種別を識別してもよい。対象物検出センサ125は、パターンマッチング技術などを用いて、画像データに含まれる対象物が、車両であるか、歩行者であるか、標識であるか,否かを識別する。対象物検出センサ125は、取得した画像データを処理し、自車両の周囲に存在する対象物の位置に基づいて、自車両から対象物までの距離を取得する。特に、対象物検出装置124は、対象物と自車両との位置関係を取得する。
【0028】
対象物検出センサ125は、レーダー装置を用いてもよい。レーダー装置としては、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、超音波レーダー、レーザーレンジファインダーなどの出願時に知られた方式のものを用いることができる。対象物検出センサ125は、レーダー装置の受信信号に基づいて対象物の存否、対象物の位置、対象物までの距離を検出する。対象物検出センサ125は、レーザーレーダーで取得した点群情報のクラスタリング結果に基づいて、対象物の存否、対象物の位置、対象物までの距離を検出する。
【0029】
車両コントローラ130は、駆動装置131及び操舵装置132を動作させる。車両コントローラ130は、エンジンコントロールユニット(Engine Control Unit, ECU)などの車載コンピュータであり、車両の運転を電子的に制御する。車両としては、電動モータを走行駆動源として備える電気自動車、内燃機関を走行駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を走行駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを走行駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。
【0030】
駆動装置131は、車両の駆動機構を備える。駆動機構には、上述した走行駆動源である電動モータ及び/又は内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、及び車輪を制動する制動装置などが含まれる。駆動装置131は、アクセル操作及びブレーキ操作による入力信号、車両コントローラ130から取得した制御信号に基づいてこれら駆動機構の各制御信号を生成し、車両の加減速を含む走行制御を実行する。通信装置150に制御情報を送出することにより、車両の加減速を含む走行制御を自動的に行うことができる。なお、ハイブリッド自動車の場合には、車両の走行状態に応じた電動モータと内燃機関とのそれぞれに出力するトルク配分も駆動装置131に送出される。
【0031】
操舵装置132は、ステアリングアクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、ステアリングのコラムシャフトに取り付けられるモータ等を含む。操舵装置132は、車両コントローラ130から取得した制御信号、又はステアリング操作により入力信号に基づいて車両の進行方向の変更制御を実行する。車両コントローラ130は、操舵量を含む制御情報を操舵装置132に送出することにより、自車両が走行経路上に沿って走行するように、自車両の操舵制御を実行する。車両コントローラ130は、各輪の制動量を含む制御情報を制動装置へ送出することにより、車両の進行方向の制御を実行する。なお、駆動装置131の制御、操舵装置132の制御は、完全に自動で行われてもよいし、ドライバーの駆動操作(進行操作)を支援する態様で行われてもよい。
【0032】
出力装置140は、ディスプレイ、スピーカを備える。出力装置140は、各種の情報をユーザ又は周囲の車両の乗員に向けて出力する。出力装置140は、各装置で取得,演算された情報を出力する。出力装置140は、通信装置を介して、高度道路交通システムなどの外部装置に各種の情報を出力してもよい。
【0033】
通信装置150は、各種の情報を、データサーバー2、或いは、他の車両と送受信する。
【0034】
データ記録装置160は、自車両存在周知行動情報生成処理を実行させるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、本機能を実行する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。データ記録装置160で記録された情報は、通信装置150によって、データサーバー2、或いは、他の車両に送信される。
【0035】
データ記録装置160は、図3に示すように、自車両が存在することを周知させる行動をとったイベント位置データを保存する自車両存在周知行動保存処理161を実施する。自車両存在周知行動保存処理161は、
(1)自車両存在周知行動の情報を取得する手段(自車両存在周知行動情報取得手段162)
(2)所定の状態か否か判定する手段(所定状態判定手段163)
(3)自車両の位置を保存する手段(自車両位置保存手段164)
という手段を有する。
【0036】
自車両存在周知行動保存処理161は、自車両存在周知行動情報取得手段162と、所定状態判定手段163と、自車両位置保存手段164と、を備える。そして、図3のフローチャートに示すように、クラクションやパッシングなどの自車が存在することを周知させる行動をとったとき、所定の状態であると判定されると、自車が存在することを周知させる行動をとったイベント位置が記憶保存される。
【0037】
自車両存在周知行動情報取得手段162は、自車が存在することを周知させる行動、すなわちクラクションやパッシングをドライバーが行ったか否かを車両に搭載されたセンサで検知して判定する。ドライバーがその操作を行った場合には、所定状態判定処理163を実施する。ただし、クラクションの長さがある閾値より長い場合は自車存在周知行動として判定しなくてもよい。
【0038】
所定状態判定処理163は、車両の状態,道路の状態,道路の遮蔽状態,又は環境認識の状態により判定する。例えば、物体を認識していない、徐行している、山道を走行している、交差点付近を走行している、カーブを走行している、死角のある状態で走行しているか否かを、地図情報あるいはセンサ情報により判定する。実施例1の場合は、例えば、車両前方に設置したカメラを用いて、物体の有無を判定し、物体が存在しないと判定されると、自車両位置保存手段164による自車両の位置保存を実施する。又、地図情報を用いてレーン情報を取得し、そのレーンが死角により認識できない場合でもよい。
【0039】
自車両位置保存手段164は、自車両の位置を保存する。例えば、実施例1においては、車両に搭載されたGPS座標を取得し、その値と自車両存在周知行動と所定の状態の種類を保存する。そして、保存された情報を通信装置150によってデータサーバー2に送信する。
【0040】
[イベントマップ生成装置の詳細構成]
以下、図4に基づいて、データサーバー2が備えるイベントマップ生成装置200の詳細構成について説明する。
【0041】
イベントマップ生成装置200は、図4に示すように、受信装置210と、プローブデータサーバー220と、データ処理装置230と、イベントマップデータベース240と、送信装置250と、を備える。
【0042】
受信装置210は、データ収集装置100が備える通信装置150から送信された情報を取得し、プローブデータサーバー220に蓄える。
【0043】
データ処理装置230は、プローブデータサーバー220に蓄えられた情報をもとに動作する。例えば、座標を格子状に区切り、その格子の中で発生した自車存在周知行動の回数をカウントする。そして、図4のフローチャートに示すように、自車存在周知行動の回数が一定回数を上回った場合に、イベント位置としてイベントマップデータベース240に保存する。
【0044】
送信装置250は、運転支援車両3にイベントデータを送信する。
【0045】
[運転支援装置の詳細構成]
以下、図5及び図6に基づいて、運転支援車両3が備える運転支援装置300の詳細構成について説明する。運転支援車両3は、データ収集車両1と同一のものでもよいし、別の車両でもよい。
【0046】
運転支援装置300は、図5に示すように、データ収集装置100に対し、運転計画装置310を追加したものとする。
【0047】
運転計画装置310は、図6に示すように、データサーバー2から受信したイベントマップを用いて運転計画を行う装置であり、イベントマップ使用処理311を有する。
【0048】
イベントマップ使用処理311は、
(1)自動で自車両存在周知行動を行う位置であるかを判定する手段(自車両存在周知行動位置判定手段312)
(2)自動で自車両存在周知行動を行う手段(自車両存在周知行動手段313)
という手段を有する。上記各機能を実現するため、又は各処理を実行するためのソフトウェアと、上述のハードウェアとの協働により車両コントローラ130を動作させ、各機能を実行する。
【0049】
イベントマップ使用処理311は、図6に示すように、自車両存在周知行動位置判定手段312と、自動自車両存在周知行動手段313と、を備える。そして、図6のフローチャートに示すように、イベントマップのイベント位置に自車が接近すると、自動で自車の存在を周知させる運転支援を実行する。
【0050】
自車両存在周知行動位置判定手段312は、データサーバー2が備えるイベントマップデータベース240が保持するイベント位置と、自車の位置とを比較し、ある閾値以内に入ったか否かで判定する。例えば、車両に搭載されたGPS座標を取得し、イベントマップデータベース240によって生成されたイベント位置と比較して判定する。ある閾値以内に入ったと判定されれば、自車両存在周知行動手段313を実施する。又、回数をカウントする際に、所定の状態の種類とその組み合わせに依って重み付けをしておき、その値と閾値を比較してもよい。
【0051】
自車存在周知行動手段313は、自車の存在を周知する行動を実施する。実施例1においては、例えば、クラクションを鳴らし、徐行運転をする。
【0052】
次に、作用を説明する。
実施例1の作用を、「イベントマップ生成作用」、「イベントマップを用いた運転支援作用」に分けて説明する。
【0053】
[イベントマップ生成作用]
まず、データ収集車両1が、クラクションやパッシングなどの自車が存在することを周知させる行動をとったとする。このとき、データ収集車両1に搭載されたデータ収集装置100において、自車が存在することを周知させる行動をとったときに所定の状態であると判定されると、自車が存在することを周知させる行動をとったイベント位置が、自車両位置保存手段164に記憶保存される。そして、自車両位置保存手段164に記憶保存されたイベント位置は、通信装置150によってデータサーバー2に送信される。これによって、データサーバー2には、多数のデータ収集車両1からのイベント位置の情報が収集される。
【0054】
次に、データサーバー2のイベントマップ生成装置200では、受信装置210により通信装置150から送信されたプローブ情報が取得され、取得されたプローブ情報がプローブデータサーバー220に蓄えられる。そして、データ処理装置230において、プローブデータサーバー220に蓄えられた情報に基づき、例えば、格子状に区切った座標格子の中で発生した自車存在周知行動の回数がカウントされる。そして、自車存在周知行動の回数が一定回数を上回った場合には、イベント位置としてイベントマップデータベース240に保存され、イベント位置を書き込んだイベントマップが生成される。
【0055】
このように、実施例1では、所定の状態で自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得し、プローブ情報に基づいてイベントマップが生成される。
【0056】
即ち、データサーバー2では、ドライバーのリスク予知に基づいて自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置のプローブ情報が抽出されることになる。従って、自車の存在を周知させる必要がある地点をあらわし、運転支援を実施する際に有用なイベントマップが生成される。
【0057】
ここで、実施例1では、下記の内容に基づいてイベントマップを生成している。
「所定の状態」とは、車両の状態、道路の状態、道路の遮蔽状態、または環境認識の状態によって規定される状態をいう。ここで、車両の状態とは、車両徐行又は車両停止の場合をいう。道路の状態とは、カーブ,交差点内,交差点付近,山道の少なくとも一つを含む場合をいう。道路の遮蔽状態とは、工事などによる通行止め状態をいう。環境認識の状態とは、物体を認識していない状態、或いは、死角を認識している状態をいう。なお、物体を認識していない状態とは、自車の走行予定経路上に物体を認識していない状態をいう。死角を認識している状態とは、自車の走行予定経路上に死角を認識している状態をいう。
【0058】
「自車の存在を周知させる行動」とは、音,光,通信の少なくとも一つにより表現されるドライバーによるリスク予知行動をいう。ここで、ドライバーによるリスク予知行動とは、クラクションを鳴らす音による行動と、パッシングを行う光による行動とのうち、少なくとも一方の行動をいう。
【0059】
そして、プローブ情報に基づいて生成されたイベントマップは、所定の状態、自車の存在を周知させる行動の種類を保存したマップとする。但し、自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置のうち、音の発生を所定時間以上の一定期間継続させたクラクションを認識した場合は、前記イベントマップを生成するプローブ情報として抽出しない。
【0060】
又、イベントマップを生成するとき、同じ位置として区分される複数のプローブ情報の発生数を予め定めた値と比較し、その結果に応じてイベント位置としてマップに反映するか否かを識別する。さらに、イベント位置としてマップに反映するとき、所定の状態の組み合わせによって、イベント位置のリスク度合いを規定する。
【0061】
[イベントマップを用いた運転支援作用]
運転支援車両3は、イベントマップ生成装置200の送信装置250から送信されるイベントマップを、車載された運転支援装置300により受信する。そして、運転支援装置300の自車両存在周知行動位置判定手段312において、イベントマップのイベント位置と、自車の位置とを比較し、ある閾値以内に入ったことで、イベントマップのイベント位置に自車が接近したと判定する。自車がイベントマップのイベント位置に接近したと判定されると、自動で自車の存在を周知させる運転支援が実行される。ここで、具体的な運転支援として、例えば、クラクションを鳴らし、減速して徐行運転をする。
【0062】
上記のように、運転支援車両3が取得したイベントマップに基づいて、自動で自車(=イベントマップを取得した運転支援車両3)の存在を周知させるようにクラクションを鳴らし、自動で減速される。このため、例えば、図7に示すように、見通しが悪く死角のある山道において、死角に存在する対向車に対して安全に運転支援を行うことができる。この場合、自車と対向車がお互いに運転支援無く走行すると、長い停止距離が必要であるのに対し、自車と対向車がお互いに運転支援を受けて走行すると、停止距離の大幅な短縮化が図られる。なお、夜間、見通しの悪い山道を走行する走行の際は、例えば、クラクションを鳴らし、ヘッドライトを瞬間的にハイビーム(上向き)で点灯させるパッシングをし、減速して徐行運転をする。又、イベントマップを用いた運転支援での各種処理は、見通しの悪い山道を走行する場合に限らず、交差点等、他の道路環境でも適用できる。
【0063】
このように、実施例1では、所定の状態で自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得し、当該プローブ情報に基づいてイベントマップを生成し、イベントマップを使用して、自動で自車の存在を周知させる行動をとる。
【0064】
即ち、自車の存在を周知させる必要がある地点に接近すると、自動で自車の存在を周知させる行動がとられる。したがって、見通しの悪い道を走行中に自車の存在を他車両に周知し、容易なリスク回避により安全に走行できる運転支援が行われる。
【0065】
ここで、実施例1では、下記の内容に基づいて運転支援を実施している。
イベントマップを使用して、運転支援を行うとき、自動で自車の存在を周知させる行動をとると共に、自車の状態を変化させている。ここで、自車の状態を変化させるとは、自車の速度調整、減速又は停止することをいう。或いは、イベントマップに保存されている車両の状態を再現することをいう。そして、イベントマップによって抽出されたイベント位置に自車が接近すると、イベント位置への自車接近のみを条件として、運転支援を実施するようにしている。
【0066】
次に、効果を説明する。
実施例1におけるイベントマップ生成方法及び運転支援方法にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0067】
(1) 所定の状態で自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得する。
当該プローブ情報に基づいてイベントマップを生成する(図4)。
このため、自車の存在を周知させる必要がある地点をあらわし、運転支援を実施する際に有用なイベントマップを生成することができる。
【0068】
(2) 所定の状態とは、車両の状態、道路の状態、道路の遮蔽状態、または環境認識の状態によって規定される状態をいう(図4)。
このため、(1)の効果に加え、自車の存在を周知させる行動をとった意味情報を付加することができる。
【0069】
(3) 車両の状態とは、車両徐行又は車両停止の場合をいう(図4)。
このため、(2)の効果に加え、徐行又は停止した場合にドライバーが事前にリスク予知し、自車の存在を周知させる行動をとったという意味情報を付加することができる。
【0070】
(4) 道路の状態とは、カーブ,交差点内,交差点付近,山道の少なくとも一つを含む場合をいう(図4)。
このため、(2)の効果に加え、カーブ,交差点内,交差点付近,山道を走行している場合にドライバーが事前にリスク予知し、自車の存在を周知させる行動をとったという意味情報を付加することができる。
【0071】
(5) 環境認識の状態とは、物体を認識していない状態、或いは、死角を認識している状態をいう(図4)。
このため、(2)〜(4)の効果に加え、物体を認識していない状態、或いは、死角を認識している状態でドライバーが事前にリスク予知し、自車の存在を周知させる行動をとったという意味情報を付加することができる。
【0072】
(6) 物体を認識していない状態とは、自車の走行予定経路上に物体を認識していない状態をいう(図4)。
このため、(5)の効果に加え、自車の走行予定経路上に物体を認識していないにもかかわらずドライバーが事前にリスク予知し、自車の存在を周知させる行動をとったという意味情報を付加することができる。
【0073】
(7) 死角を認識している状態とは、自車の走行予定経路上に死角を認識している状態をいう(図4)。
このため、(5)の効果に加え、自車の走行予定経路上に死角を認識したことでドライバーが事前にリスク予知し、自車の存在を周知させる行動をとったという意味情報を付加することができる。
【0074】
(8) 自車の存在を周知させる行動とは、音,光,通信の少なくとも一つにより表現されるドライバーによるリスク予知行動をいう(図4)。
このため、(1)〜(7)の効果に加え、ドライバーが事前にリスク予知したことをあらわす情報を安定して取得することができる。
【0075】
(9) ドライバーによるリスク予知行動とは、クラクションを鳴らす音による行動と、パッシングを行う光による行動とのうち、少なくとも一方の行動をいう(図4)。
このため、(8)の効果に加え、ドライバーが事前にリスク予知したことをあらわす情報を、通常のドライバー操作から確実に取得することができる。
【0076】
(10) プローブ情報に基づいて生成されたイベントマップは、所定の状態、自車の存在を周知させる行動の種類を保存したマップとする(図4)。
このため、(1)〜(9)の効果に加え、所定の状態、自車の存在を周知させる行動の種類によって、それぞれ別のモードによるイベント位置として保存することができる。
【0077】
(11) 自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置のうち、音の発生を所定時間以上の一定期間継続させたクラクションを認識した場合は、イベントマップを生成するプローブ情報として抽出しない(図4)。
このため、(1)〜(10)の効果に加え、長いクラクション操作を行った場合はプローブ情報として抽出しないことで、突然、ドライバーがリスクを感じた地点をイベント位置から除外することができる。
【0078】
(12) イベントマップを生成するとき、同じ位置として区分される複数のプローブ情報の発生数を予め定めた値と比較し、その結果に応じてイベント位置としてマップに反映するか否かを識別する(図4)。
このため、(1)〜(11)の効果に加え、自車の存在を周知させる行動をとった経験が少ないヒューマンエラーによる位置をイベント位置から除外することができる。
【0079】
(13) イベント位置としてマップに反映するとき、所定の状態の組み合わせによって、イベント位置のリスク度合いを規定する(図4)。
このため、(12)の効果に加え、リスク度合いにより考慮してイベント位置を抽出することができる。
【0080】
(14) 所定の状態で自車の存在を周知させる行動をとったイベント位置をプローブ情報として取得する。
当該プローブ情報に基づいてイベントマップを生成する。
イベントマップを使用して、自動で自車の存在を周知させる行動をとる(図6)。
このため、見通しの悪い道を走行中に自車の存在を他車両に周知し、安全に走行できる運転支援を行うことができる。
【0081】
(15) イベントマップを使用して、自動で自車の存在を周知させる行動をとると共に、自車の状態を変化させる(図6)。
このため、(14)の効果に加え、見通しの悪い道を走行中、自車の状態を変化させることでリスク回避を容易としながら、安全に走行することができる。
【0082】
(16) 自車の状態を変化させるとは、自車の速度調整、減速又は停止することをいう(図6)。
このため、(15)の効果に加え、見通しの悪い道を走行中、減速又は停止によりリスク回避を容易としながら、安全に走行することができる。
【0083】
(17) 自車の状態を変化させるとは、イベントマップに保存されている車両の状態を再現することをいう(図6)。
このため、(15)の効果に加え、見通しの悪い道を走行中、他人がとったリスク予知行動により、安全に走行することができる。
【0084】
(18) イベントマップによって抽出されたイベント位置に自車が接近すると、運転支援を実施する(図6)。
このため、(14)〜(17)の効果に加え、見通しの悪い道を走行中、対向車の有無にかかわらず、安全に走行することができる。
【実施例2】
【0085】
実施例2は、運転支援を実施する条件として、他車がクラクションやパッシングなどの存在を周知させる行動をとっているという条件を付加した例である。
【0086】
まず、構成を説明する。
以下、実施例2の「運転支援装置の詳細構成」を説明する。なお、「システム全体構成」、「データ収集装置の詳細構成」、「イベントマップ生成装置の詳細構成」については、実施例1と同様であるので、図示、並びに説明を省略する。
【0087】
[運転支援装置の詳細構成]
以下、図8に基づいて、運転支援車両3が備える運転支援装置300のうち、データ収集装置100に対して追加した運転支援装置300について説明する。
【0088】
運転計画装置310は、図8に示すように、データサーバー2から受信したイベントマップを用いて運転計画を行う装置であり、イベントマップ使用処理311を有する。
【0089】
イベントマップ使用処理311は、自車両存在周知行動位置判定手段312と、自動自車存在周知行動手段313に加え、他車両存在周知行動認識手段314を備える。
【0090】
他車存在周知行動認識手段314は、他車がクラクションやパッシングなどの存在を周知させる行動をとっていることを認識する。例えば、クラクションの場合、集音マイクによって認識する。認識した場合、自車存在周知行動手段313を実施する。
【0091】
自車両存在周知行動手段313は、自車両の存在を周知する行動を実施する。実施例2においては、図8のフローチャートに示すように、イベントマップのイベント位置に自車が接近したとき、他車の存在周知行動を認識すると、自動で自車の存在を周知させる運転支援を実行する。例えば、クラクションを鳴らし、徐行運転をする。又、この行動は、イベント保存時に取得した車両状態を再現してもよい。
【0092】
次に、実施例2での運転支援作用を説明する。
実施例2では、上記のように、イベントマップのイベント位置に自車が接近したとき、他車の存在周知行動を認識すると、自動で自車(=イベントマップを取得した運転支援車両3)の存在を周知させるようにクラクションを鳴らし、自動で減速される。このため、例えば、図9に示すように、見通しが悪く死角のある山道において、死角に存在する対向車がクラクションを鳴らすと、対向車に対して自車がクラクションを鳴らし、徐行運転をすることで、安全に走行することができる。なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0093】
次に、効果を説明する。
実施例2におけるイベントマップ生成方法及び運転支援方法にあっては、下記の効果が得られる。
【0094】
(19) イベントマップによって抽出されたイベント位置に自車が接近したとき、他車両がその存在を周知させる行動をとったことが認識されると、運転支援を実施する(図8)。
このため、上記(14)〜(17)の効果に加え、見通しの悪い道を走行中、対向車などの他車両の存在を条件とすることで、運転支援の実施頻度を抑えながら安全に走行することができる。
【0095】
以上、本開示のイベントマップ生成方法及び運転支援方法を実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0096】
実施例1,2では、データ収集装置100が、データ収集車両1に車載された例を示した。しかし、データ収集装置は、車載した装置が全ての機能を発揮するものに限らず、車載のデータ収集装置と情報の授受が可能な可搬の端末装置にその一部の機能を適用したものであってもよい。なお、端末装置には、スマートフォン、PDAなどの機器を含む。
【0097】
実施例1,2では、イベントマップ生成装置200が、データサーバー2へ設置された例を示した。しかし、イベントマップ生成装置は、移動可能な運転支援車両側に搭載してもよい。又、分担する機能を決め、データサーバーと運転支援車両とに分けて搭載してもよい。
【0098】
実施例1,2では、運転支援装置300が、運転支援車両3に車載された例を示した。しかし、運転支援装置は、車載した装置が全ての機能を発揮するものに限らず、車載装置と情報の授受が可能な可搬の端末装置にその一部の機能を適用したものであってもよい。なお、端末装置には、スマートフォン、PDAなどの機器を含む。
【0099】
実施例1,2では、本開示のイベントマップ生成方法及び運転支援方法を自動運転モードの選択により操舵/駆動/制動が自動制御される運転支援システムが搭載された自動運転車両に適用する例を示した。しかし、本開示のイベントマップ生成方法及び運転支援方法は、例えば、単にクラクション操作やパッシング操作をドライバーに促す表示を行うだけの運転支援装置を搭載した様々な車両(エンジン車、ハイブリッド車、電気自動車など)に対しても適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9