(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係る印刷システムの構成を例示した図である。
図1に示す印刷システムは、印刷装置100と、印刷装置100に接続可能な複数の情報処理装置(情報処理装置101、情報処理装置102)とを含んでいる。
【0013】
印刷装置100は、被印刷媒体に印刷を行う装置であり、無線通信を通じて受信した要求に応じた制御を行う制御装置の一例である。なお、以降では、印刷装置100が熱転写方式のラベルプリンタである場合を例に説明するが、印刷装置100の印刷方式は、熱転写方式に限らず、例えば、感熱方式が採用されてもよい。また、印刷装置100は、ラベルプリンタに限らず、例えば、インクジェットプリンタ、レーザプリンタであってもよい。
【0014】
情報処理装置101、情報処理装置102は、それぞれ、印刷装置100に接続して印刷データを送信する装置である。なお、以降では、情報処理装置101と情報処理装置102を特に区別しない場合には、単に情報処理装置と記す。情報処理装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末などの携帯型のコンピュータであるが、携帯型のコンピュータに限らない。情報処理装置は、印刷装置100に無線で接続し印刷データを通信する装置であればよく、例えば、据え置き型のコンピュータ、テレビなどであってもよい。
【0015】
印刷装置100と情報処理装置は、無線通信によってデータをやり取りする。印刷装置100と情報処理装置の間で行われる無線通信の規格は、例えば、BLEである。なお、以降では、印刷装置100と情報処理装置がBLE規格に従って通信する場合を例に説明するが、印刷装置100と情報処理装置は、他の無線通信規格に従って通信してもよい。
【0016】
印刷装置100の装置筐体2は、
図1に示すように、オーバル形状の底面を有する凡そ柱体である。装置筐体2の表面のうち、柱体の側面に該当する部分は、底面と直交した2つの平面と、断面が凡そ半円形状を有する2つの曲面と、からなっている。さらに、2つの曲面部分の一方には、凹部が形成されている。
【0017】
凹部には、排出口2aが形成されている。印刷装置100内で印刷が行われた被印刷媒体Mは、排出口2aから装置外へ排出される。なお、排出口2aは、底面と平行な開口である。
【0018】
図2は、印刷装置100に収納されるテープカートリッジ30の斜視図である。
図3は、印刷装置100のカートリッジ収容部19の斜視図である。
図4は、印刷装置100の断面図である。
図2に示すテープカートリッジ30は、
図3に示すカートリッジ収容部19に着脱自在に収納される。
図4には、テープカートリッジ30がカートリッジ収容部19に収納された状態が示されている。
【0019】
テープカートリッジ30は、
図2に示すように、サーマルヘッド被挿入部36及び係合部37が形成された、被印刷媒体MとインクリボンRを収容するカートリッジケース31を有する。カートリッジケース31には、テープコア32とインクリボン供給コア34とインクリボン巻取りコア35が設けられている。
【0020】
被印刷媒体Mは、カートリッジケース31内部のテープコア32にロール状に巻かれている。被印刷媒体Mは、例えば、接着層を有する基材と、接着層を覆うように剥離可能に基材に貼付された剥離紙と、を有するテープである。ただし、被印刷媒体Mは、離型紙なしのテープであってもよい。熱転写用のインクリボンRは、その先端がインクリボン巻取りコア35に巻きつけられた状態で、カートリッジケース31内部のインクリボン供給コア34にロール状に巻かれている。
【0021】
装置筐体2のカートリッジ収容部19には、
図3に示すように、テープカートリッジ30を所定の位置で支持するための複数のカートリッジ受け部20が設けられている。また、カートリッジ受け部20には、テープカートリッジ30が収容するテープ(被印刷媒体M)の幅を検出するためのテープ幅検出スイッチ24が設けられている。
【0022】
テープ幅検出スイッチ24は、テープカートリッジの形状に基づいて被印刷媒体Mの幅を検出するためのスイッチである。テープ幅検出スイッチ24は、カートリッジ収容部19に複数設けられている。テープ幅の異なるテープカートリッジは、複数のテープ幅検出スイッチ24をそれぞれ異なる組み合わせで押下するように構成されている。これにより、後述する制御回路25(
図5参照)が、押下されたテープ幅検出スイッチ24の組み合わせから、テープカートリッジの種類を特定し、被印刷媒体Mの幅(テープ幅)を検出する。
【0023】
カートリッジ収容部19には、さらに、複数の発熱素子を有し、被印刷媒体Mに印刷を行うサーマルヘッド10と、被印刷媒体Mを搬送するプラテンローラ21と、テープコア係合軸22と、インクリボン巻取り駆動軸23が設けられている。さらに、サーマルヘッド10には、サーミスタ13が埋め込まれている。サーミスタ13は、サーマルヘッド10の温度を測定する。
【0024】
テープカートリッジ30がカートリッジ収容部19に収納された状態では、
図4に示すように、カートリッジケース31に設けられた係合部37がカートリッジ収容部19に設けられたカートリッジ受け部20に支持される。また、サーマルヘッド10がカートリッジケース31に形成されたサーマルヘッド被挿入部36に挿入される。また、テープコア係合軸22には、テープカートリッジ30のテープコア32が係合し、さらに、インクリボン巻取り駆動軸23には、インクリボン巻取りコア35が係合する。
【0025】
情報処理装置から印刷装置100へ印刷指示が入力されると、被印刷媒体Mは、プラテンローラ21の回転によりテープコア32から繰り出される。この際、インクリボン巻取り駆動軸23がプラテンローラ21に同調して回転することで、被印刷媒体MとともにインクリボンRがインクリボン供給コア34から繰り出される。これにより、被印刷媒体MとインクリボンRは重なった状態で搬送される。そして、サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過する際にインクリボンRがサーマルヘッド10によって加熱されることで、インクが被印刷媒体Mに転写され、印刷が行われる。
【0026】
サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過した使用済みのインクリボンRは、インクリボン巻取りコア35に巻き取られる。一方、サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過した印刷済みの被印刷媒体Mは、ハーフカット機構16及びフルカット機構17で切断され、排出口2aから排出される。
【0027】
図5は、印刷装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。印刷装置100は、上述した構成に加えて、
図5に示すように、制御回路25、通信モジュール26、ROM(Read Only Memory)27、RAM(Random Access Memory)28、ヘッド駆動回路18、搬送用モータ駆動回路11、搬送用モータ12、カッターモータ駆動回路14、カッターモータ15、ハーフカット機構16、フルカット機構17を備える。
【0028】
制御回路25は、印刷装置100の制御部であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの任意の処理回路を含んでいる。制御回路25は、ROM27に記憶されているプログラムをRAM28に展開し実行することで、印刷装置100の各部(通信モジュール26、サーマルヘッド10など)の動作を制御する。なお、制御回路25とROM27とRAM28は、例えば、印刷装置100のマイコンを構成する。
【0029】
通信モジュール26は、無線接続が確立された通信端末との間で信号を送受信する無線通信部である。通信モジュール26は、通信端末である情報処理装置と無線接続を確立することで、情報処理装置から印刷要求を受信する。印刷要求は、印刷装置100に特定の制御処理の実行を要求する要求信号の一例である。制御回路25は、例えば、情報処理装置からの要求信号に応じて所定の制御を行う。なお、通信モジュール26は、この例では、BLEモジュールであり、アンテナとRF(Radio Frequency)部とベースバンド部とを含んでいる。
【0030】
ROM27には、被印刷媒体Mに印刷を行う印刷プログラム、印刷プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、フォント等)が格納されている。RAM28は、プログラムの実行に用いられるワークメモリである。なお、印刷装置100での処理に用いられるプログラム及びデータを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体には、ROM27のような、物理的な(非一時的な)記録媒体が含まれる。
【0031】
ヘッド駆動回路18は、印刷データと制御信号に基づいてサーマルヘッド10が有する発熱素子10aへの通電を行う。サーマルヘッド10は、情報処理装置からの印刷要求に応じて被印刷媒体Mに印刷を行う印刷部であり、主走査方向に配列された複数の発熱素子10aを有している。サーマルヘッド10は、発熱素子10aでインクリボンを加熱して熱転写により被印刷媒体Mに一ラインずつ印刷を行う。より詳細には、サーマルヘッド10は、情報処理装置からの要求信号に応じて被印刷媒体に印刷を行う。
【0032】
搬送用モータ駆動回路11は、搬送用モータ12を駆動する。搬送用モータ12は、例えばステッピングモータ、DCモータなどであり、プラテンローラ21を回転させる。プラテンローラ21は、搬送用モータ12の動力によって回転し、被印刷媒体Mの長手方向(副走査方向、搬送方向)に被印刷媒体Mを搬送する。
【0033】
カッターモータ駆動回路14は、カッターモータ15を駆動する。フルカット機構17及びハーフカット機構16は、カッターモータ15の動力によって動作し、被印刷媒体Mをフルカット又はハーフカットする。フルカットとは、被印刷媒体Mの基材を剥離紙とともに被印刷媒体Mの幅方向に沿って切断する動作のことである。ハーフカットとは、基材のみを幅方向に沿って切断する動作のことである。
【0034】
図6は、印刷装置100が行う処理の一例を示すフローチャートである。以下、
図6を参照しながら、印刷装置100の無線接続制御方法について説明する。
【0035】
印刷装置100は、制御回路25がプログラムを実行して
図6に示す処理を開始すると、ビーコン信号の発信を開始する(ステップS1)。ここでは、通信モジュール26がビーコン信号の発信を開始する。より詳細には、制御回路25が通信モジュール26にビーコン信号の発信を開始させる。ビーコン信号は、識別情報を含む信号であり、自身の存在を周辺の通信機器に通知するための信号である。印刷装置100の通信モジュール26がBLEモジュールの場合には、ビーコン信号は、BLE規格に準拠したアドバタイズパケットである。識別情報は、印刷装置100の識別情報であり、より詳細には、通信モジュール26の識別情報である。
【0036】
その後、印刷装置100は、ビーコン信号を受信した情報処理装置から接続要求を受信すると、接続要求を送信した情報処理装置と無線接続を行う(ステップS2)。ここでは、通信モジュール26は、通信規格に従った手順で、接続要求を送信した情報処理装置との無線接続を確立する。
【0037】
無線接続が確立されると、印刷装置100は、ビーコン信号の発信を停止する(ステップS3)。ここでは、通信モジュール26がビーコン信号の発信を停止する。より詳細には、制御回路25が通信モジュール26にビーコン信号の発信を停止させる。その後、印刷装置100と情報処理装置は、印刷要求などのデータをやり取りする。
【0038】
印刷装置100は、無線接続の切断を監視し(ステップS4)、切断を検出すると(ステップS4:YES)、印刷装置100の印刷部が印刷中か否かを判定する(ステップS5)。ここでは、印刷装置100がステップS4において無線接続の切断を検出すると、印刷装置100のマイコンへ印刷要求を通知したか、通知した場合であれば、印刷要求の通知後に印刷完了の通知をマイコンから受信したか、に基づいて、印刷部が印刷中か否かを判定する。
【0039】
印刷装置100は、印刷中であると判定されると(ステップS5:YES)、印刷が完了するまで判定を繰り返す。そして、印刷装置100は、印刷中でないと判定されると(ステップS5:NO)、通信モジュール26にビーコン信号の発信を再開させる(ステップS6)、
図6に示す処理を終了する。
【0040】
以上のように、印刷装置100では、マイコン(制御回路25)は、要求信号に応じた所定の制御が完了する前に通信モジュール26が情報処理装置との無線接続の切断を検出した場合に、少なくとも無線接続の切断を検出してから所定の制御が完了するまで、通信モジュール26の識別情報を含むビーコン信号の発信を通信モジュール26に停止させる。具体的には、制御回路25は、印刷部での印刷が完了する前に通信モジュール26が情報処理装置との無線接続の切断を検出した場合に、少なくとも無線接続の切断を検出してから印刷部での印刷が完了するまで通信モジュール26の識別情報を含むビーコン信号の発信を通信モジュール26に停止させる。さらに、制御回路25は、印刷部での印刷が完了した後に、ビーコン信号の発信を通信モジュール26に開始させることで、ビーコン信号の発信を再開させてもよい。これにより、印刷装置100は、印刷中に接続が切れた場合であっても、印刷中は、印刷装置100は情報処理装置から見えない状態が維持される。このため、印刷中に印刷装置100の無線接続先が変更されることを制限することができる。従って、印刷中に接続先が変更された結果、印刷処理のACKが印刷要求を送信した情報処理装置とは異なる情報処理装置に送信されることを回避することができる。その結果、印刷装置100と接続した情報処理装置を安定的に動作させることができる。
【0041】
図7は、印刷システムの処理の一例を示すシーケンス図である。以下、
図7を参照しながら、上述した無線接続制御方法について、通信モジュール26がBLEモジュールである場合を例にして、さらに詳細に説明する。
【0042】
印刷装置100の電源がONになると(ステップS101)、印刷装置100のマイコンは、BLEモジュールに電源を供給する(ステップS102)。電源の供給を受けたBLEモジュールは、マイコンへ起動コマンドを送信し(ステップS103)、これを受けたマイコンからアドバタイズ開始指示を受信する(ステップS104)。
【0043】
マイコンからアドバタイズ開始指示を受信したBLEモジュールは、ビーコン信号としてBLE規格に準拠したアドバタイズパケットを送信する(ステップS105)。アドバタイズパケットは、所定の時間間隔で、複数のアドバタイズチャンネルにブロードキャスト送信されるため、情報処理装置101と情報処理装置102の両方に送信される。
【0044】
情報処理装置101が接続先を探すためにスキャンを行う(ステップS106)。スキャンは、パッシブスキャンであってもアクティブスキャンであってもよい。これにより、情報処理装置101は、印刷装置100を発見する。
【0045】
その後、情報処理装置101が印刷装置100へ接続要求を送信し(ステップS107)、BLE規格に準拠した手順を経て無線接続が確立されると(ステップS108)、通信モジュール26は、マイコンに無線接続を通知する(ステップS109)。通信モジュール26からマイコンへの無線接続の通知は、例えば、特定の端子の信号レベルをHレベルとLレベルの間で切り替えることによって行われてもよい。
【0046】
印刷装置100と接続した情報処理装置101が印刷装置100へ印刷要求を送信すると(ステップS110)、情報処理装置101からの印刷要求を受信した通信モジュール26は、マイコンに印刷要求を通知する(ステップS111)。
【0047】
マイコンは、印刷要求を受信すると、印刷部に印刷を行わせる印刷処理を開始する(ステップS112)。即ち、マイコンは、通信モジュール26を介して受信した印刷要求に応じて印刷部に印刷を行わせる制御部である。
【0048】
その後、印刷装置100と情報処理装置101との間の無線接続が切断されると、通信モジュール26は、無線接続の切断を検出し(ステップS113)、無線接続の切断をマイコンに通知する(ステップS114)。なお、無線接続の切断の理由は特に問わない。意図しない切断であっても、情報処理装置101からの切断要求に基づく切断であってもよい。通信モジュール26からマイコンへの無線接続の切断の通知は、例えば、特定の端子の信号レベルをHレベルとLレベルの間で切り替えることによって行われる。この場合、HレベルとLレベルの一方が接続状態を示し、他方が切断状態を示す。
【0049】
通信モジュール26は、マイコンへ印刷要求を通知した後、マイコンから印刷完了の通知を受信していないため、マイコンへの切断の通知後、すぐにアドバタイズパケットの送信を開始しない。マイコンは、印刷部による印刷の完了後に、通信モジュール26に印刷の完了を通知する(ステップS115)。通信モジュール26は、マイコンからのこの通知に応じて、即ち、マイコンからのこの通知を受信した後に、BLE規格に準拠したアドバタイズパケットの送信を再開する(ステップS116)。換言すると、マイコンは、通信モジュール26にマイコンからの印刷完了通知に応じてビーコン信号の発信を再開させる。なお、印刷完了通知を受信するまでビーコン信号の発信を控える理由は、印刷処理中に印刷要求を送信した装置とは異なる装置に無線接続が確立されることを回避するためである。印刷処理中に印刷要求を送信した装置とは異なる装置に無線接続が確立されると、印刷要求に対する応答が印刷要求を送信した装置とは異なる装置に返信され得るからである。
【0050】
以上のように、印刷装置100では、BLEモジュールは、マイコンとの通信履歴に基づいて印刷部が印刷中か否かを判定する。従って、BLEモジュールを改良することで、マイコンに何ら変更を加えることなく上記の動作を実現することができる。
【0051】
図8は、印刷装置100が行う処理の別の例を示すフローチャートである。以下、
図8を参照しながら、印刷装置100の無線接続制御方法の変形例について説明する。
【0052】
印刷装置100は、制御回路25がプログラムを実行して
図8に示す処理を開始すると、ビーコン信号の発信を開始し(ステップS11)、その後、ビーコン信号を受信した情報処理装置から接続要求を受信すると、接続要求を送信した情報処理装置と無線接続を行う(ステップS12)。さらに、無線接続が確立されると、印刷装置100は、ビーコン信号の発信を停止する(ステップS13)。ステップS11からステップS13の処理は、
図6のステップS1からステップS3の処理と同様である。
【0053】
無線接続が確立されると、印刷装置100は、無線接続の切断を監視し(ステップS14)、切断が検出されると、ステップS11からステップS13の処理を再実行する。これにより、印刷装置100では、接続状態が維持される。印刷中か否かの判定方法は、
図6のステップS5と同様である。
【0054】
印刷装置100は、印刷中であると判定されると(ステップS15:YES)、印刷が完了するまで判定を繰り返す。そして、印刷装置100は、印刷中でないと判定されると(ステップS15:NO)、通信モジュール26にビーコン信号の発信を再開させる(ステップS16)、
図8に示す処理を終了する。
【0055】
以上のように、印刷装置100では、マイコン(制御回路25)は、要求信号に応じた所定の制御(ここでは、印刷処理)が一旦開始されると、無線接続の切断の有無にかかわらず、所定の制御が完了するまで、通信モジュール26の識別情報を含むビーコン信号の発信を通信モジュール26に停止させる。つまり、印刷装置100でも、
図6の処理を行った場合と同様に、印刷中は、マイコンが、通信モジュール26に識別情報を含むビーコン信号を発信させないため、印刷装置100は情報処理装置から見えない状態が維持される。これにより、印刷中に印刷装置100の無線接続先が変更されることを制限することが可能であり、
図6の処理を行った場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。情報処理装置、無線接続制御方法、及び、プログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0057】
以上では、印刷中は、印刷装置100を情報処理装置から見えない状態に維持する例を示したが、見えない状態にすることに加えて接続要求への応答を制限してもよい。例えば、制御回路25は、通信モジュール26が印刷要求後に情報処理装置との無線接続の切断を検出している状態で外部からの接続要求を受信した場合に、外部からの接続要求に対する通信モジュール26の応答を制限してもよい。これにより、印刷中に印刷装置100の無線接続先が変更されることをさらに確実に制限することができる。
【0058】
また、制御回路25は、通信モジュール26が印刷要求後に情報処理装置との無線接続の切断を検出している状態で外部からの接続要求を受信した場合に、その接続要求が切断前に無線接続が確立されていた情報処理装置からの接続要求であれば、通信モジュール26にその接続要求に対して応答させてもよい。この場合も、印刷中に印刷装置100の無線接続先が変更されることをさらに確実に制限することができる。
【0059】
制御装置の一例として印刷装置100を例示したが、制御装置は、無線通信を通じて受信した要求信号に応じた制御を行う装置であればよく、印刷装置に限らない。制御装置は、例えば、無線通信を通じて受信した撮像要求に応じて撮像部を制御するデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなど撮像装置であってもよい。この場合、例えば、スマートフォンが撮像要求(要求信号)を撮像装置に送信した後に無線接続が切断されると、撮像装置は、少なくとも無線接続の切断を検出してから撮像制御が完了するまで、ビーコン信号の発信を停止する。これにより、撮像装置と通信端末の間で情報が錯綜することを防止することができる。
【0060】
また、上述した実施形態では、無線接続が確立されてから所定の制御が完了するまでビーコン信号の発信を停止する例を示したが、ビーコン信号の停止期間は、この例に限らない。ビーコン信号は、少なくとも無線接続の切断を検出してから所定の制御が完了するまで停止されていればよい。
【0061】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
無線接続が確立された通信端末との間で信号を送受信する無線通信部と、
前記通信端末からの要求信号に応じて所定の制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記要求信号に応じた前記所定の制御の実行中に、前記無線通信部を、前記無線通信部の識別情報を含むビーコン信号の発信を停止した状態に維持する
ことを特徴とする制御装置。
[付記2]
付記1に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記要求信号に応じた前記所定の制御の実行中に前記無線通信部が前記通信端末との前記無線接続の切断を検出した場合に、
前記要求信号に応じた前記所定の制御の実行中に、前記無線通信部を、前記無線通信部の識別情報を含むビーコン信号の発信を停止した状態に維持する
ことを特徴とする制御装置。
[付記3]
付記2に記載の制御装置において、
前記通信端末からの要求信号に応じて被印刷媒体に印刷を行う印刷部を更に備え、
前記制御部は、前記要求信号に応じた前記被印刷媒体への前記印刷部による印刷の実行中に前記無線通信部が前記通信端末との前記無線接続の切断を検出した場合に、
前記要求信号に応じた前記印刷の実行中に、前記無線通信部を、前記無線通信部の識別情報を含むビーコン信号の発信を停止した状態に維持する
ことを特徴とする制御装置。
[付記4]
付記1乃至付記3の何れか一つに記載の制御装置において、
前記制御部は、前記無線通信部が前記通信端末との前記無線接続の切断を検出している状態で外部からの接続要求を受信した場合に、前記外部からの接続要求に対する前記無線通信部の応答を制限する
ことを特徴とする制御装置。
[付記5]
付記1乃至付記3の何れか一つに記載の制御装置において、
前記制御部は、前記無線通信部が前記通信端末との前記無線接続の切断を検出している状態で外部からの接続要求を受信した場合に、前記接続要求が前記無線接続が確立されていた通信端末からの接続要求であれば、前記接続要求に対して前記無線通信部に応答させる
ことを特徴とする制御装置。
[付記6]
付記1乃至付記5の何れか一つに記載の制御装置において、
前記制御部は、
前記無線通信部を介して受信した前記要求信号に応じて前記所定の制御を行い、
前記所定の制御の完了後に、前記無線通信部に前記所定の制御の完了を通知し、
前記無線通信部に前記制御部からの通知に応じて前記ビーコン信号の発信を開始させる
ことを特徴とする制御装置。
[付記7]
付記3に記載の制御装置において、
前記制御部は、
前記無線通信部を介して受信した前記要求信号に応じて前記印刷部に印刷を行わせ、
前記印刷部による印刷の完了後に、前記無線通信部に印刷の完了を通知し、
前記無線通信部に前記制御部からの通知に応じて前記ビーコン信号の発信を開始させる
ことを特徴とする制御装置。
[付記8]
付記1乃至付記5の何れか一つに記載の制御装置において、
前記制御部は、前記所定の制御が完了した後に、前記ビーコン信号の発信を前記無線通信部に開始させる
ことを特徴とする制御装置。
[付記9]
付記1乃至付記8の何れか一つに記載の制御装置において、
前記無線通信部は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)モジュールであり、
前記ビーコン信号は、BLE規格に準拠したアドバタイジングパケットである
ことを特徴とする制御装置。
[付記10]
無線接続が確立された通信端末から要求信号を受信し、
前記要求信号に応じて所定の制御を行い、
前記要求信号に応じた前記所定の制御の実行中に、識別情報を含むビーコン信号の発信を停止した状態を維持する
ことを特徴とする無線接続制御方法。
[付記11]
制御装置に、
無線接続が確立された通信端末から要求信号を無線通信部に受信させ、
前記要求信号に応じて所定の制御を行い、
前記要求信号に応じた前記所定の制御の実行中に、前記無線通信部を、前記無線通信部の識別情報を含むビーコン信号の発信を停止した状態に維持する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。