(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1]実施形態
[1−1]エレベータ用の電源システムの構成
図1A及び
図1Bは、実施形態に係るノイズ除去装置1が適用されるエレベータ用の電源システムを示した概念図である。電源システムは、交流電源(後述の仮設電源120A又は本設電源120B)の電力を所望の電力に変換してエレベータの動力装置200(例えば、巻上機のモータ)に供給するシステムであり、ノイズ除去装置1及びインバータ2を備える。ここで、交流電源には、多相交流電源又は単相交流電源が用いられる。多相交流電源は、例えば、スター結線又はデルタ結線の三相三線式電源である。更に、漏電による人身事故や火事を防ぐため、交流電源には、漏電ブレーカ(後述の漏電ブレーカ140A又は漏電ブレーカ140B)が設けられている。
【0017】
エレベータは、建物への据付後に利用されるだけでなく、据付工事中においても作業員や荷物の運搬用として利用されることが多い。そして、建物への据付後においては、エレベータの電源として、乗りかごを昇降させる巻上機などの動力装置200に対して安定した電力供給を行うために、比較的大きな容量の電源(本設電源120B)が用いられる。一方、据付工事中は、エレベータの電源として、作業員や荷物の運搬に必要な最小限の電力供給を行うことができれば良いため、比較的小さな容量の電源(仮設電源120A)が用いられることが多い。
【0018】
上述した仮設電源120A及び本設電源120Bには、それぞれ漏電ブレーカ140A及び漏電ブレーカ140Bが設けられている。一般的に、漏電ブレーカ140A及び140Bには、電源の容量が大きいものほど、感度電流の大きいものが用いられる。このため、本設電源120Bの漏電ブレーカ140Bは、仮設電源120Aの漏電ブレーカ140Aよりも感度電流が大きいことが多い。一例として、仮設電源120Aに含まれている漏電ブレーカ140Aの感度電流は、30mA(ミリアンペア)であり、本設電源120Bに含まれている漏電ブレーカ140Bの感度電流は、100mA(ミリアンペア)である。なお、漏電ブレーカ140Aの感度電流を漏電ブレーカ140Bの感度電流よりも小さくするもう一つの理由として、工事現場では、仮設電源120Aを確実に接地させることができない虞があるため、漏電への予防を厳格にすべきことが挙げられる。
【0019】
エレベータにおいては、交流電源として仮設電源120A及び本設電源120Bの何れが用いられる場合でも、当該交流電源とエレベータの動力装置200との間にはインバータ2が設置される。インバータ2によれば、動力装置200の回転速度を制御することにより、乗りかごの昇降速度を制御できる。一方、インバータ2を動作させた場合、インバータ2からはスイッチングノイズが発生する。
【0020】
従って、インバータ2からのスイッチングノイズが交流電源に悪影響を与えることを防止するために、電源システムには、高周波ノイズであるスイッチングノイズを除去するノイズ除去フィルタをインバータ2と交流電源との間に設けることが好ましい。
【0021】
本実施形態では、ノイズ除去フィルタは、インダクタ及び接地コンデンサによって構成されるLCフィルタという形で実現される。そして、そのようなLCフィルタをノイズ除去フィルタとして用いた場合、LCフィルタのカットオフ周波数は、LCフィルタを構成するインダクタのインダクタンスと接地コンデンサのキャパシタンスとによって規定される。そして、LCフィルタのカットオフ周波数を固定した場合、インダクタのインダクタンスと接地コンデンサのキャパシタンスとは反比例の関係になる。そして、このような関係に従ってLCフィルタのインダクタ及び接地コンデンサを選定することにより、所望のノイズ低減効果を得ることができる。
【0022】
一方、接地コンデンサのキャパシタンスの選定は、交流電源に含まれている漏電ブレーカの感度電流によって制限される。一般的には、接地コンデンサのキャパシタンスは、接地コンデンサによる漏れ電流が交流電源に含まれている漏電ブレーカの感度電流を超えないように選定される。従って、交流電源として本設電源120Bを使用するとき、LCフィルタの接地コンデンサとして、漏れ電流が漏電ブレーカ140Bの感度電流を超えるものでなければ、ある程度はキャパシタンスの大きなものを用いることができる。しかし、交流電源として仮設電源120Aを使用するとき、漏電ブレーカ140Aの感度電流が本設電源120Bよりも小さいため、LCフィルタの接地コンデンサとして、漏れ電流が漏電ブレーカ140Aの感度電流を超えないようにキャパシタンスの小さなものを用いざるを得ない。このため従来は、LCフィルタを設計する場合、漏電ブレーカ140Aの感度電流を基準として、当該感度電流よりも漏れ電流が小さくなるように接地コンデンサのキャパシタンスを小さく設計する必要があった。また、キャパシタンスを小さくすることで、LCフィルタのインダクタとしては、本設電源120Bの使用時に要求されるノイズ低減効果の実現を可能にするためにインダクタンスの大きい大型のものを用いる必要があった。
【0023】
そこで、本実施形態の電源システムでは、ノイズ除去装置1として、LCフィルタを備え、しかも容量が異なる二つ電源(例えば、仮設電源120A及び本設電源120B)の何れにも対応でき且つ小型化できるものが設けられている。以下、ノイズ除去装置1について、具体的に説明する。
【0024】
[1−2]ノイズ除去装置の構成
図1A及び
図1Bにおいて、ノイズ除去装置1は、三相の交流電源(例えば、R相、S相、T相を有する仮設電源120A又は本設電源120B)に接続されており、それぞれの相に対応させて、三つのインダクタL
R、L
S、L
Tと、三つの第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tと、三つの第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tと、を備える。更に、ノイズ除去装置1は、切替部10を備える。
【0025】
交流電源のR相において、インダクタL
Rは、交流電源とインバータ2との間に設けられ、第1コンデンサC1
Rは、インダクタL
R及びインバータ2を互いに結ぶ配線W
Rとグランドとの間に設けられている。また、第2コンデンサC2
Rは、配線W
Rとグランドとの間に第1コンデンサC1
Rと並列に設けられている。
【0026】
交流電源のS相において、インダクタL
Sは、交流電源とインバータ2との間に設けられ、第1コンデンサC1
Sは、インダクタL
S及びインバータ2を互いに結ぶ配線W
Sとグランドとの間に設けられている。また、第2コンデンサC2
Sは、配線W
Sとグランドとの間に第1コンデンサC1
Sと並列に設けられている。
【0027】
交流電源のT相において、インダクタL
Tは、交流電源とインバータ2との間に設けられ、第1コンデンサC1
Tは、インダクタL
T及びインバータ2を互いに結ぶ配線W
Tとグランドとの間に設けられている。また、第2コンデンサC2
Tは、配線W
Tとグランドとの間に第1コンデンサC1
Tと並列に設けられている。
【0028】
なお、ノイズ除去装置1は、ノーマルモードノイズを低減するための線間コンデンサ(不図示)等の他のデバイスを更に備えていてもよい。
【0029】
本実施形態では、インダクタL
R、L
S、L
Tには、インダクタンスが同一であるものが用いられている。また、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tには、キャパシタンスが同一であるものが用いられている。更に、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tには、キャパシタンスが同一であるものが用いられている。
【0030】
切替部10は、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tに対する共通のスイッチS1で構成されており、当該スイッチS1は、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとグランドとの間に設けられている。そして、切替部10(スイッチS1)により、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tについて、それらの状態が、グランドとの接続が遮断された遮断状態と、グランドに接続された接続状態との間で選択的に切り替えられる。
【0031】
上述したノイズ除去装置1によれば、切替部10を操作して第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを遮断状態と接続状態との間で切り替えることができる。第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを遮断状態に切り替えた場合、並列に設けられる第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tのうちの第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tのみを接地コンデンサとして機能させて、当該接地コンデンサとインダクタL
R、L
S、L
TとによってLCフィルタを構成することができる。一方、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを接続状態に切り替えた場合、並列に設けられる第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tの両者を接地コンデンサとして機能させて、当該接地コンデンサとインダクタL
R、L
S、L
TとによってLCフィルタを構成することができる。即ち、切替部10を操作することによって、LCフィルタを構成する接地コンデンサのキャパシタンスを変化させることができる。
【0032】
従って、交流電源として容量が異なる二つの電源(仮設電源120A及び本設電源120B)を選択的に用いた場合、選択された交流電源の容量に応じて、切替部10を操作して第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを遮断状態又は接続状態に切り替えることにより、LCフィルタの接地コンデンサのキャパシタンスを増減させることができる。
【0033】
ここで、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tのキャパシタンスは、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tによる漏れ電流が仮設電源120Aに含まれる漏電ブレーカ140Aの感度電流を超えないように選定される。そして、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tのキャパシタンスは、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tと第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとによる漏れ電流が本設電源120Bに含まれる漏電ブレーカ140Bの感度電流を超えないように選定される。
【0034】
また、インダクタL
R、L
S、L
Tのインダクタンスは、スイッチングノイズを有効に除去できるように、本設電源120B使用時の接地コンデンサのキャパシタンス、つまり第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tと第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとの総キャパシタンスを基準に選定される。一般的に、インダクタL
R、L
S、L
Tは、チョークコイルという形で実現される。本実施形態では、切替部10の切替えの前後において、LCフィルタのインダクタンスは変わらない。このため、交流電源として仮設電源120Aを使用して接地コンデンサのキャパシタンスが第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tのキャパシタンスになる場合(
図1A)、本設電源120Bを使用する場合(
図1B)と比べて、ノイズ除去装置1のLCフィルタのノイズ低減効果は多少低下する。しかし、据付工事においてエレベータを使用する場合には、据付後に使用する場合のような高いノイズ低減効果を必要としないことより多少低下したとしてもほとんど問題にならない。
【0035】
そして、上述したノイズ除去装置1は、以下のように用いられる。
【0036】
仮設電源120Aをエレベータの交流電源として使用する場合(
図1A)、切替部10を操作して第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとグランドとの接続を遮断することで、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを遮断状態にする。それにより、並列に設けられる第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tのうちの第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tのみを接地コンデンサとして機能させ、当該接地コンデンサとインダクタL
R、L
S、L
Tとによってノイズ除去装置1のLCフィルタを構成する。このような構成によれば、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
TだけがLCフィルタの接地コンデンサとして機能するため、接地コンデンサによる漏れ電流が漏電ブレーカ140Aの感度電流を超えて漏電ブレーカ140Aが落ちるという事態を避けることができる。
【0037】
一方、本設電源120Bをエレベータの交流電源として使用する場合(
図1B)、切替部10を操作して第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tをグランドに接続することで、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを接続状態にする。それにより、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
T及び第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tの両方を接地コンデンサとして機能させ、当該接地コンデンサとインダクタL
R、L
S、L
Tとによってノイズ除去装置1のLCフィルタを構成する。このような構成によれば、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tと第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとの両方がLCフィルタの接地コンデンサとして機能するため、LCフィルタの接地コンデンサによる漏れ電流が漏電ブレーカ140Bの感度電流を超えて漏電ブレーカ140Bが落ちるという事態を避けつつ、LCフィルタの接地コンデンサのキャパシタンスを、更に第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tのキャパシタンスの分だけ増やすことができる。
【0038】
このようなノイズ除去装置1によれば、接地コンデンサのキャパシタンスを、交流電源の容量に応じて適切に調整することができる。よって、容量が異なる二つの交流電源(仮設電源120A及び本設電源120B)の何れが選択された場合でも、LCフィルタを構成するコンデンサによる漏れ電流が、選択された交流電源に通常設けられている漏電ブレーカ(漏電ブレーカ140A及び漏電ブレーカ140B)の感度電流を超えないように、LCフィルタの接地コンデンサのキャパシタンスを変化させることが可能になる。
【0039】
更に、キャパシタンスを変化させることができるので、LCフィルタを構成するインダクタL
R、L
S、L
Tのインダクタンスを小さくした場合でも、容量が大きい電源(本設電源120B)の選択に応じて、キャパシタンスを増大させることで、所望のノイズ低減効果を達成することができる。よって、インダクタL
R、L
S、L
Tのインダクタンスを小さくし、安価かつサイズが小さいインダクタL
R、L
S、L
Tを選定することができる。
【0040】
従って、ノイズ除去装置1を、容量が異なる二つの電源(仮設電源120A及び本設電源120B)の何れにも対応させると供に小型化することができる。
【0041】
[2]変形例
[2−1]第1変形例
図2は、第1変形例に係るノイズ除去装置1の構成を示す回路図である。
図2に示されるように、切替部10は、スイッチS1の代わりに、配線W
R、W
S、W
Tと第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとの間にそれぞれ設けられたスイッチS1
R、S1
S、S1
Tによって構成されていてもよい。そして、スイッチS1
R、S1
S、S1
Tの切替えにより、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tについて、それらの状態が何れも同じになるように、遮断状態と接続状態との間で切り替えられてもよい。
【0042】
第1変形例に係るノイズ除去装置1によれば、上記実施形態に係るノイズ除去装置1と同様、容量が異なる二つの電源の何れにも対応させると供に小型化することができる。
【0043】
[2−2]第2変形例
図3は、第2変形例に係るノイズ除去装置1の構成を示す回路図である。
図3に示されるように、ノイズ除去装置1は、切替部10の切替えを制御する制御部12を更に備えてもよい。制御部12は、例えば、接続された交流電源の電源容量を測ることで交流電源を識別し、識別された交流電源に応じて切替部10を操作する。例として、制御部12は、交流電源が仮設電源120Aであることを識別したとき、切替部10を操作して第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを遮断状態にする。一方、制御部12は、交流電源が本設電源120Bであることを識別したとき、切替部10を操作して第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを接続状態にする。
【0044】
第2変形例に係るノイズ除去装置1によれば、切替部10の操作が自動化されるため、人による切替部10の操作は不要になる。従って、ノイズ除去装置1の利便性が向上する。
【0045】
[2−3]第3変形例
図4Aは、第3変形例に係るノイズ除去装置1の構成の一例を示す回路図である。
図4Aに示されるように、ノイズ除去装置1は、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tの代わりに、第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’を備えていてもよい。また、切替部10は、スイッチS1の代わりに、スイッチS2によって構成されていてもよい。
【0046】
第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’には、それぞれ第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tと第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとの総キャパシタンスと同じキャパシタンスを持っているものが用いられる。また、第2コンデンサC2
R’は、交流電源のR相において、配線W
Rとグランドとの間に第1コンデンサC1
Rと並列に設けられている。第2コンデンサC2
S’は、交流電源のS相において、配線W
Sとグランドとの間に第1コンデンサC1
Sと並列に設けられている。第2コンデンサC2
T’は、交流電源のT相において、配線W
Tとグランドとの間に第1コンデンサC1
Tと並列に設けられている。
【0047】
スイッチS2は、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’と、グランドとの間に設けられている。そして、スイッチS2の切替えにより、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’の何れか一方をグランドに接続させる。
【0048】
図4Bは、第3変形例に係るノイズ除去装置1の構成の他の例を示す回路図である。
図4Bに示されるように、ノイズ除去装置1は、
図4Aに示された構成に比べて、切替部10が、スイッチS2の代わりに、スイッチS2
R、S2
S、S2
Tによって構成されていてもよい。スイッチS2
Rは、第1コンデンサC1
Rと、第2コンデンサC2
R’と、グランドとの間に設けられている。スイッチS2
Sは、第1コンデンサC1
Sと、第2コンデンサC2
S’と、グランドとの間に設けられている。スイッチS2
Tは、第1コンデンサC1
Tと、第2コンデンサC2
T’と、グランドとの間に設けられている。そして、スイッチS2
R、S2
S、S2
Tの切替えにより、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’の何れか一方をグランドに接続させる。
【0049】
図4Cは、第3変形例に係るノイズ除去装置1の構成の更なる他の例を示す回路図である。
図4Cに示されるように、スイッチS2
Rは、第1コンデンサC1
Rと、第2コンデンサC2
R’と、配線W
Rとの間に設けられている。スイッチS2
Sは、第1コンデンサC1
Sと、第2コンデンサC2
S’と、配線W
Sとの間に設けられている。スイッチS2
Tは、第1コンデンサC1
Tと、第2コンデンサC2
T’と、配線W
Tとの間に設けられている。スイッチS2
R、S2
S、S2
Tの切替えにより、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’の何れか一方を配線W
R、W
S、W
Tに接続させる。
【0050】
第3変形例に係るノイズ除去装置1によれば、仮設電源120Aをエレベータの交流電源として使用する場合、切替部10(スイッチS2又はスイッチS2
R、S2
S、S2
T)を操作して第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tをグランド及び配線W
R、W
S、W
Tに接続させることができる。それにより、並列に設けられる第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’のうちの第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tのみを接地コンデンサとして機能させ、当該接地コンデンサとインダクタL
R、L
S、L
Tとによってノイズ除去装置1のLCフィルタを構成することができる。このような構成によれば、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
TがLCフィルタの接地コンデンサとして機能するため、接地コンデンサによる漏れ電流が漏電ブレーカ140Aの感度電流を超えて漏電ブレーカ140Aが落ちるという事態を避けることができる。
【0051】
更に、本設電源120Bをエレベータの交流電源として使用する場合、切替部10(スイッチS2又はスイッチS2
R、S2
S、S2
T)を操作して第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’をグランド及び配線W
R、W
S、W
Tに接続させることができる。それにより、並列に設けられる第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T及び第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’のうちの第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’のみを接地コンデンサとして機能させ、当該接地コンデンサとインダクタL
R、L
S、L
Tとによってノイズ除去装置1のLCフィルタを構成することができる。このような構成によれば、第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’がLCフィルタの接地コンデンサとして機能するため、LCフィルタの接地コンデンサによる漏れ電流が漏電ブレーカ140Bの感度電流を超えて漏電ブレーカ140Bが落ちるという事態を避けつつ、LCフィルタの接地コンデンサのキャパシタンスを、第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tと第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’との差の分だけ増やすことができる。
【0052】
第3変形例に係るノイズ除去装置1によれば、上記実施形態に係るノイズ除去装置1と同様、容量が異なる二つの電源の何れにも対応させると供に小型化することができる。
【0053】
[2−4]第4変形例
図5は、第4変形例に係るノイズ除去装置1の構成を示す回路図である。
図5に示されるように、ノイズ除去装置1は、スイッチS2
R、S2
S、S2
Tによって構成される切替部10の切替えを制御する制御部12を更に備えてもよい。制御部12は、例えば、接続された交流電源の電源容量を測ることで交流電源を識別し、識別された交流電源に応じて切替部10を操作する。例として、制御部12は、交流電源が仮設電源120Aであることを識別したとき、切替部10を操作して第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tをグランドに接続させる。一方、制御部12は、交流電源が本設電源120Bであることを識別したとき、切替部10を操作して第2コンデンサC2
R’、C2
S’、C2
T’をグランドに接続させる。
【0054】
第4変形例に係るノイズ除去装置1によれば、切替部10の操作が自動化されるため、人による切替部10の操作は不要になる。従って、ノイズ除去装置1の利便性が向上する。
【0055】
[2−5]第5変形例
図6は、第5変形例に係るノイズ除去装置1の構成を示す回路図である。
図6に示されるように、切替部10は、制御可能なスイッチS1の代わりに、接続金具などを用いて手作業で短絡させることが可能な二つの端子P1、P2を備える端子台Tbによって構成されていてもよい。そして、端子P1に第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを接続し、端子P2にグランドを接続することができる。このような構成によれば、端子P1、P2を手作業で短絡させることで、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tを、グランドとの接続が遮断された遮断状態から、グランドに接続された接続状態へ切り替えることができる。
【0056】
上述した端子台Tbは、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとグランドとの間に限らず、配線W
R、W
S、W
Tと第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとの間に設けられていてもよい。そして、手作業で端子台Tbの端子P1、P2を短絡させることにより、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tの状態が遮断状態から接続状態へ切り替えられてもよい。
【0057】
上述した端子台Tbは、端子P1と端子P2とが常時互いに接続された状態のものであってもよい。この場合、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tの状態を遮断状態から接続状態へ切り替えたときに、端子P1、P2にそれぞれ第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tとグランドとを接続することができる。
【0058】
上述したノイズ除去装置1において、第2コンデンサC2
R、C2
S、C2
Tは、インダクタL
R、L
S、L
T及び第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
T等と供にユニット化されていてもよいし、インダクタL
R、L
S、L
Tと第1コンデンサC1
R、C1
S、C1
Tとで構成されたユニットに対して外付けされるものであってもよい。
【0059】
上述したノイズ除去装置1は、上述したようにエレベータにおいて交流電源が仮設電源120Aから本設電源120Bに切り替えられる場合に限らず、容量が異なる二つの交流電源が選択的に使用される様々な場合にも適用できる。また、上述したノイズ除去装置1は、3相以外の多相の交流電源にも適用できる。
【0060】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。