特許第6962423号(P6962423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962423
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20211025BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20211025BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20211025BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H04N1/04 105
   H04N1/10
   H04N1/028 M
   G03B27/50 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-131979(P2020-131979)
(22)【出願日】2020年8月3日
(62)【分割の表示】特願2019-52364(P2019-52364)の分割
【原出願日】2014年3月3日
(65)【公開番号】特開2020-188506(P2020-188506A)
(43)【公開日】2020年11月19日
【審査請求日】2020年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 正
(72)【発明者】
【氏名】植松 真理
(72)【発明者】
【氏名】北市 泰寛
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕
【審査官】 野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−214721(JP,A)
【文献】 特開2011−158740(JP,A)
【文献】 特開2001−075192(JP,A)
【文献】 特開2010−109399(JP,A)
【文献】 特開2007−043684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/10
H04N 1/028
G03B 27/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に載せられた原稿を読み取るときに前記原稿の一端部から他端部へ前記原稿を読み取る部材を搭載して移動させる筐体であって、円柱状の案内部材に下方から支持されて前記原稿の一端部から他端部へ移動する筐体と、
前記筐体の底の下面側に締結具によって締結され、摺動性が良い樹脂を含んで構成され、前記案内部材に接触する接触部を有する被案内部材と、
を備え、
前記被案内部材は、前記原稿を読み取るときの移動方向における上流側で前記案内部材に接触する上流側接触部と前記移動方向における下流側で前記案内部材に接触する下流側接触部とを有し、
前記上流側接触部と前記下流側接触部とは、一体に形成されており、
前記締結具は、前記移動方向における前記上流側接触部と前記下流側接触部との間に前記移動方向に沿って2個配置されている、画像読取装置。
【請求項2】
前記被案内部材は、前記移動方向における前記下流側接触部よりも下流側において、前記締結具とは異なる締結具によって前記筐体の底の下面側に、締結された、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記締結具は、前記原稿を読み取るときの移動方向における、互いに異なる位置に複数設けられている、請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記筐体を移動させるための移動部材に固定された固定部を備え、前記固定部と前記被案内部材とは別体として形成されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記移動方向における上流側に、前記移動方向に向けた壁面を有する壁部を有し、
前記移動方向における前記上流側接触部と前記壁部との間を連結する支持部を有する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記上流側接触部と前記下流側接触部とで前記案内部材に接触する箇所の個数は互いに異なる請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記被案内部材はポリアセタールを含んで構成されている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記原稿を読み取る部材に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記原稿を読み取る部材の高さ方向の位置決めがされる凸部を備えた請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトイメージセンサーユニット(CISユニット)を搭載するキャリッジハウジングに設けられたベース部材が、ガイドシャフトに周方向の3点で接触するように構成された原稿読取装置は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−86482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、原稿を読み取る部材を搭載した筐体の移動時のがたつきを抑制できる画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る画像読取装置は、原稿台に載せられた原稿を読み取るときに前記原稿の一端部から他端部へ前記原稿を読み取る部材を搭載して移動させる筐体であって、円柱状の案内部材に下方から支持されて前記原稿の一端部から他端部へ移動する筐体と、前記筐体の底の下面側に締結具によって締結され、摺動性が良い樹脂を含んで構成され、前記案内部材に接触する接触部を有する被案内部材と、を備え、前記被案内部材は、前記原稿を読み取るときの移動方向における上流側で前記案内部材に接触する上流側接触部と前記移動方向における下流側で前記案内部材に接触する下流側接触部とを有し、前記上流側接触部と前記下流側接触部とは、一体に形成されており、前記締結具は、前記移動方向における前記上流側接触部と前記下流側接触部との間に配置されている。
【0006】
本開示の第2の態様に係る画像読取装置は、前記被案内部材は、前記移動方向における前記下流側接触部よりも下流側において、前記締結具とは異なる締結具によって前記筐体の底の下面側に、締結されている。
【0007】
本開示の第3の態様に係る画像読取装置は、前記締結具は、前記原稿を読み取るときの移動方向における、互いに異なる位置に複数設けられている。
【0008】
本開示の第4の態様に係る画像読取装置は、前記筐体は、前記筐体を移動させるための移動部材に固定された固定部を備え、前記固定部と前記被案内部材とは別体として形成されている。
【0009】
本開示の第5の態様に係る画像読取装置は、前記筐体は、前記移動方向における上流側に、前記移動方向に向けた壁面を有する壁部を有し、前記移動方向における前記上流側接触部と前記壁部との間を連結する支持部を有する。
【0010】
本開示の第6の態様に係る画像読取装置は、前記上流側接触部と前記下流側接触部とで前記案内部材に接触する箇所の個数は互いに異なる。
【0011】
本開示の第7の態様に係る画像読取装置は、前記被案内部材はポリアセタールを含んで構成されている。
【0012】
本開示の第8の態様に係る画像読取装置は、前記原稿を読み取る部材に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記原稿を読み取る部材の高さ方向の位置決めがされる凸部を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本開示の第1の態様に係る画像読取装置によれば、原稿を読み取る部材を搭載した筐体の移動時のがたつきが抑制される。
【0014】
本開示の第2〜第8の態様に係る画像読取装置によれば、原稿を読み取る部材を搭載した筐体の移動時のがたつきが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】画像読取装置を示す斜視図である。
図2】画像読取装置の内部を示す斜視図である。
図3】画像読取装置の内部を一部省略して拡大して示す断面図である。
図4】読取装置本体を収容した収容部材を示す斜視図である。
図5】読取装置本体を収容した収容部材を一部省略して拡大して示す断面図である。
図6】第1実施形態に係るガイド部材を示す斜視図である。
図7】(A)第1実施形態に係るガイド部材の平面接触部を示す側面図である。(B)第1実施形態に係るガイド部材の曲面接触部を示す側面図である。
図8】第2実施形態に係るガイド部材を示す斜視図である。
図9】収容部材に取り付けられた第2実施形態に係るガイド部材を示す底面図である。
図10】第2実施形態に係るガイド部材の平面接触部の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を基に詳細に説明する。なお、各図において、矢印UPを画像読取装置10の上方向とし、矢印FRを画像読取装置10の前方向とする。そして、矢印RIを画像読取装置10の右方向とし、原稿台14に載せられた原稿を読取装置本体50が読み取るときの副走査方向(収容部材30の移動方向)とする。また、原稿台14に載せられる原稿は、左右方向が長手方向とされる。
【0017】
図1に示されるように、画像読取装置10は、筐体12の上部側に、原稿が載せられる原稿台14を有している。原稿台14は、左右方向が長手方向となる長方形状(矩形状)に形成された透明なガラス板であり、カバー体16によって開閉されるようになっている。このカバー体16は、原稿台14よりも一回り大きい長方形状(矩形状)に形成されており、筐体12の後部側に左右一対で設けられたヒンジ部15によって上下方向に開閉可能に構成されている。
【0018】
図2に示されるように、筐体12の内部(原稿台14の下方)には、原稿台14に載せられた原稿を副走査方向(原稿の長手方向一端部から他端部へ)へ移動しつつ読み取る読取装置本体(CISユニット)50が設けられている。図4に示されるように、読取装置本体50は、原稿の短手方向(原稿の長手方向と直交する方向)の長さ以上の長さとされており、読取装置本体50の上部で、かつ幅方向(左右方向、副走査方向)中央部には、読取装置本体50の長手方向に沿った(長手方向に延在する)読取部52が設けられている。
【0019】
そして、この読取装置本体50は、収容部材(キャリッジハウジング)30内に上方から挿入されて収容されるようになっている。収容部材30は、前後方向(平面視で副走査方向と直交する方向)が長手方向とされた(原稿の短手方向の長さ以上の長さとされた)筐体であり、その長手方向両端部は、筐体12に一体に形成された支持台17(図2参照)に移動可能に支持されている。
【0020】
そして、図3図5に示されるように、収容部材30の底壁32の下面側における長手方向略中央部には、後述する金属製のシャフト22に支持されて案内される被案内部材の一例としてのガイド部材40が取り付けられている。なお、ガイド部材40については、後で詳述する。
【0021】
また、収容部材30の前壁及び後壁の左右方向略中央下部には、後述するスペーサー60の係合部70が高さ方向(上下方向)で係合可能となる被係合部の一例としての開口部34が形成されている。この開口部34は、高さ方向が長手方向とされた矩形状に形成されている。
【0022】
また、図5に示されるように、開口部34よりも収容部材30の長手方向内側における底壁32の上面(底面)両端部で、かつ左右方向略中央部には、後述するコイルスプリング48の下端部が嵌められるボス部33が一体に突設されている。このボス部33は、平面視十字状に形成されており、読取装置本体50が収容部材30に収容されたときに、コイルスプリング48の環状に形成された下端部内に挿入されるようになっている。
【0023】
収容部材30に収容される読取装置本体50の長手方向両端部には、位置決め部材の一例としてのスペーサー60がそれぞれ装着されている。各スペーサー60は、一対の脚部62(図4も参照)を有しており、一対の脚部62の下端部には、係止部の一例としての爪部63がそれぞれ形成されている。そして、読取装置本体50の左側壁及び右側壁における下端部には、爪部63が係止される被係止部の一例としての切欠部53がそれぞれ形成されている。
【0024】
また、図4図5に示されるように、一対の脚部62の上端部は、矩形平板状の連結部64によって一体に連結されている。そして、連結部64の下面には、読取装置本体50の上部の長手方向両端部に形成されたボス穴58に挿入される円柱状のボス部68が、読取装置本体50の幅方向(左右方向、副走査方向)に予め決められた間隔を隔てて一体に突設されている。
【0025】
したがって、図5に示されるように、前後一対として設けられるスペーサー60は、各ボス穴58に各ボス部68が挿入され、一対の脚部62の下端部に形成された各爪部63が、読取装置本体50に形成された各切欠部53に係止されることにより、読取装置本体50の長手方向両端部にそれぞれ取り付けられている。
【0026】
また、図4に示されるように、連結部64の上面には、読取装置本体50の長手方向(前後方向)から見て略半円形状となる(略半円板状の)凸部66が、読取装置本体50の幅方向(左右方向、副走査方向)に予め決められた間隔を隔てて一体に突設されている(ボス部68の表裏反対側に凸部66が形成されている)。
【0027】
この一対の凸部66が、予め決められた圧力(後述するコイルスプリング48の付勢力)で原稿台14の裏面に副走査方向及び復帰方向へ摺動可能に接触するようになっている(図3参照)。したがって、スペーサー60は、原稿台14との摺動性が良好な樹脂材の一例であるポリアセタール(POM)で成形されている。
【0028】
また、図4図5に示されるように、スペーサー60の連結部64における一方(読取装置本体50の長手方向外側)の辺縁部の左右方向中央部には、下方へ向かって延在する係合部70が一体に形成されている。この係合部70は、読取装置本体50の前壁及び後壁にそれぞれ対向配置されており、その高さは、読取装置本体50の高さよりも高くされている。
【0029】
つまり、係合部70の下端部(後述する爪部72)は、読取装置本体50の下面よりも下方側へ向けて突出されている。そして、その読取装置本体50の下面よりも下方側へ突出されている下端部が前後方向へ弾性変形可能なように、係合部70の中途部から下側の板厚が上側の板厚よりも薄く形成されている。この係合部70の下端部が、収容部材30の開口部34に高さ方向で係合可能になっている。
【0030】
詳細に説明すると、係合部70の下端部には、読取装置本体50の長手方向外側へ向かって突出する爪部72が形成されており、収容部材30に読取装置本体50を収容したときに、その爪部72が開口部34の上側辺縁部に係合するようになっている。これにより、例えば画像読取装置10の製造時に、読取装置本体50が収容された収容部材30を落下させても、その読取装置本体50の収容部材30からの脱落が抑制又は防止される構成になっている。
【0031】
また、図5に示されるように、読取装置本体50の下面両端部と収容部材30の底壁32の上面(底面)両端部との間には、付勢部材の一例としてのコイルスプリング48が設けられている。詳細に説明すると、前後一対として設けられるコイルスプリング48は、上端部が、読取装置本体50の下面両端部に取り付けられており、読取装置本体50が収容部材30に収容されたときに、下端部が、収容部材30の底壁32の上面(底面)両端部に突設されたボス部33に嵌められるようになっている。
【0032】
なお、各コイルスプリング48は、副走査方向から見て、各凸部66の直下に配置されている。換言すれば、副走査方向から見て、各凸部66は、各コイルスプリング48の直上に配置されている。これにより、各スペーサー60は、各コイルスプリング48の付勢力(弾性復元力)により、上方へ向けて効率よく付勢されて原稿台14の裏面に接触する構成になっている。したがって、読取装置本体50は、各凸部66により、原稿台14に対する高さ方向の位置が精度よく位置決めされる。
【0033】
また、図2に示されるように、筐体12の内部には、読取装置本体50(収容部材30)を副走査方向へ移動させる移動機構20が設けられている。詳細に説明すると、移動機構20は、筐体12内の前後方向略中央部に左右方向(副走査方向)を軸方向として設けられた円柱状の案内部材の一例としてのシャフト22を有している。このシャフト22は、左右の両端部が、筐体12内の左右両端部に一体に形成された支持部18に固定されており、読取装置本体50が収容される収容部材30を副走査方向(右方向)と、それとは逆の復帰方向(左方向)へ移動可能に支持している。
【0034】
また、移動機構20は、筐体12内の右端部(シャフト22の軸方向一端部)側に設けられたタイミングプーリ24と、筐体12内の左端部(シャフト22の軸方向他端部)側に設けられたタイミングプーリ26と、タイミングプーリ24とタイミングプーリ26とに、内周面に形成された噛合歯28Aを噛み合わせるようにして巻き掛けられた、移動部材の一例としてのタイミングベルト28と、一方(例えば右側)のタイミングプーリ24と同軸的に設けられ、そのタイミングプーリ24を正逆両方向に回転駆動させる駆動モーター(図示省略)と、を有している。
【0035】
したがって、駆動モーターの駆動により、タイミングプーリ24が正逆両方向へ回転することで、タイミングベルト28の前後一方側が副走査方向へ移動し、前後他方側が復帰方向へ移動するようになっている。つまり、タイミングベルト28の前後一方側と前後他方側とは、互いに同期して反対方向に移動するようになっている。そして、収容部材30は、例えば前側のタイミングベルト28に取り付けられている。
【0036】
詳細に説明すると、図3図5に示されるように、ガイド部材40に隣接する底壁32の下面側における長手方向略中央部(ガイド部材40の後側)には、タイミングベルト28の噛合歯28Aと噛合させる固定部の一例としての噛合部38が一体に形成されている。この噛合部38は、矩形ブロック状に形成されており、その下端中央部には、タイミングベルト28の厚さ以上の間隙が形成されている。そして、噛合部38の間隙内における一方(本実施形態では後側)の内面には、噛合歯38Aが形成されている。
【0037】
したがって、図3に示されるように、噛合部38の間隙内にタイミングベルト28の前側が挿入され、その前側の噛合歯28Aが噛合歯38Aに噛み合うことにより、収容部材30が噛合部38を介してタイミングベルト28に、その周回方向で固定されるようになっている。これにより、タイミングベルト28の移動に伴い、収容部材30がシャフト22及び支持台17に支持されつつ副走査方向及び復帰方向へ移動するようになっている。
【0038】
なお、図2に示されるように、タイミングベルト28よりも後側の筐体12内には、読取装置本体50で読み取った画像データを送るためのフレキシブルケーブル36が配設されており、そのフレキシブルケーブル36の一端部36Aは、読取装置本体50に接続されている。そして、このフレキシブルケーブル36は、読取装置本体50を収容した収容部材30の移動に追従可能になっている。
【0039】
<第1実施形態>
ここで、第1実施形態に係るガイド部材40について詳細に説明する。図3図5に示されるように、このガイド部材40は、シャフト22との摺動性が良好な樹脂材の一例であるポリアセタール(POM)で成形されており、収容部材30の底壁32の下面側における長手方向略中央部に、図示しないビス等の締結具によって取り付けられている。したがって、図6に示されるように、ガイド部材40の予め決められた複数(例えば4つ)の位置には、ビス等の締結具を通す孔部41が形成されている。
【0040】
また、ガイド部材40には、シャフト22の軸方向に延在する凹溝部42が形成されており、図6図7(B)に示されるように、凹溝部42内の副走査方向における上流側端部には、その副走査方向から見て略逆「U」字状となる第1受部44が一体に形成されている。そして、図3図5図7(A)に示されるように、凹溝部42内の副走査方向における下流側端部には、その副走査方向から見て略逆「V」字状となる第2受部46が一体に形成されている。
【0041】
この凹溝部42内における第1受部44及び第2受部46が、それぞれシャフト22の外周面に上方から載せられることで、収容部材30の長手方向略中央部がシャフト22に支持されている。そして、第1受部44は、図7(B)に示されるように、副走査方向から見て、シャフト22の外周面に周方向の1点で接触する曲面接触部45を有しており、第2受部46は、図7(A)に示されるように、副走査方向から見て、シャフト22の外周面に周方向の2点で接触する一対の平面接触部47を有している。
【0042】
詳細に説明すると、図6図7(B)に示されるように、第1受部44は、副走査方向から見て、シャフト22の曲率よりも小さい曲率とされた(シャフト22の曲率半径よりも大きい曲率半径とされた)円弧面44Aを有しており、その円弧面44Aにおける最上端部が、シャフト22の外周面における最上端部に接触する曲面接触部45とされている。
【0043】
一方、図6図7(A)に示されるように、第2受部46は、副走査方向から見て、予め決められた角度で傾斜し、かつシャフト22の中心を通る鉛直方向の直線に対して線対称となる一対の傾斜面46Aを有しており、各傾斜面46Aにおける一部が、それぞれシャフト22の外周面における上部側に接触する平面接触部47とされている。
【0044】
また、図6に示されるように、ガイド部材40には、凹溝部42の外側に、その凹溝部42(第1受部44及び第2受部46)を補強するための複数枚(例えば8枚)のリブ43が一体に形成されている。なお、図7に示されるように、各リブ43は、直角三角形状に形成されているが、この形状に限定されるものではない。
【0045】
また、タイミングベルト28は、可能な限りシャフト22に近づけた方が、収容部材30の移動精度向上のためには望ましい。したがって、図3図5に示されるように、タイミングベルト28が配設される側(後側)のリブ43は、噛合部38に干渉しないように、それとは反対側(前側)のリブ43よりも小さく形成されている。
【0046】
以上のような構成とされた第1実施形態に係るガイド部材40を備えた画像読取装置10において、次にその作用(読取装置本体50(収容部材30)の副走査方向への移動)について説明する。
【0047】
原稿台14に原稿を載せ、カバー体16を閉じた後、図示しない操作パネルを操作することにより、原稿の読み取りが開始される。すなわち、読取装置本体50を収容した収容部材30が副走査方向へ移動する。ここで、ガイド部材40の副走査方向下流側端部には、第2受部46が形成されており、副走査方向から見て、その第2受部46における一対の平面接触部47が、シャフト22の外周面にそれぞれ点接触している(図7(A)参照)。
【0048】
つまり、第2受部46は、一対の平面接触部47によって、シャフト22に周方向の2点で接触している。したがって、ガイド部材40(第2受部46)は、シャフト22に位置精度よく(平面視でシャフト22の軸方向と交差する方向へずれることなく)支持される。よって、シャフト22に沿って副走査方向へ移動するときの読取装置本体50(収容部材30)のがたつき(振動)が抑制又は防止される。
【0049】
しかも、ガイド部材40の副走査方向上流側端部には、第1受部44が形成されており、副走査方向から見て、その第1受部44における曲面接触部45が、シャフト22の外周面に周方向の1点で点接触している(図7(B)参照)。したがって、ガイド部材40の成形上の誤差により、第1受部44と第2受部46とにおいて、シャフト22の軸方向と交差する方向の位置がずれていても、第1受部44によって、そのずれが許容される。
【0050】
換言すれば、ガイド部材40の成形上の誤差により、第1受部44と第2受部46とにおいて、シャフト22の軸方向と交差する方向の位置がずれていても、平面視でシャフト22に対してガイド部材40(収容部材30)が傾くことがない。よって、シャフト22に沿って副走査方向へ移動するときの読取装置本体50(収容部材30)のがたつき(振動)が抑制又は防止される。つまり、読取装置本体50を収容した収容部材30は、副走査方向へスムーズに移動する。
【0051】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るガイド部材40について詳細に説明する。なお、第1実施形態に係るガイド部材40と同等の部位には、同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0052】
図8図9に示されるように、このガイド部材40は、一対の平面接触部47(図10参照)を有する第2受部46が、シャフト22の軸方向において、副走査方向の下流側端部だけではなく、噛合部38と重なる(オーバーラップする)位置にも形成されている。つまり、このガイド部材40には、一対の平面接触部47が複数組(2組)形成されている。
【0053】
このような構成のガイド部材40にすれば、シャフト22に更に位置精度よく(平面視でシャフト22の軸方向と交差する方向へずれることなく)支持されるので、シャフト22に沿って副走査方向へ移動するときの読取装置本体50(収容部材30)のがたつき(振動)が更に抑制又は防止される。
【0054】
なお、第2受部46の副走査方向から見た形状は、略逆「V」字状に限定されるものではなく、例えば図10に示されるような形状とされてもよい。すなわち、一対の平面接触部47の間における第2受部46の最上端部が、シャフト22の外周面における最上端部に非接触な平坦面46B(図8図9も参照)とされた形状とされてもよい。
【0055】
また、第2受部46、即ち一対の平面接触部47は、シャフト22の軸方向において、噛合部38から(噛合部38を含む)副走査方向下流側の領域に少なくとも1組形成されていればよく、特に凹溝部42内(ガイド部材40)における副走査方向下流側端部に少なくとも形成されることが望ましい。
【0056】
また、第1受部44、即ち曲面接触部45は、シャフト22の軸方向において、噛合部38よりも(噛合部38を除く)副走査方向上流側の領域に少なくとも1つ形成されていればよい。つまり、ガイド部材40には、第2受部46だけではなく、第1受部44と第2受部46の両方が形成されることが望ましい。
【0057】
以上、本実施形態に係る画像読取装置10について図面を基に説明したが、本実施形態に係る画像読取装置10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜設計変更可能なものである。例えば、収容部材30を移動させる移動部材は、タイミングベルト28に限定されるものではないし、移動部材に固定される固定部も、タイミングベルト28に噛合される噛合部38に限定されるものではない。
なお、本願の原出願における分割直前の[特許請求の範囲]及び[発明の効果]に記載の事項は、以下の通りである。
[請求項1]
原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、
前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、円柱状の案内部材に下方から支持されて前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、
前記収容部材に形成され、該収容部材を移動させるための移動部材に固定された固定部と、
前記収容部材の長手方向略中央部に設けられ、前記収容部材の移動方向から見て、前記案内部材に周方向の2点で接触する一対の平面接触部が、前記案内部材の軸方向において、前記固定部から前記原稿を読み取るときの前記収容部材の移動方向下流側の領域に形成された被案内部材と、
を備え、
前記被案内部材は、前記収容部材の移動方向から見て、前記案内部材に周方向の1点で接触する曲面接触部を有し、該曲面接触部が、前記案内部材の軸方向において、前記固定部よりも前記原稿を読み取るときの前記収容部材の移動方向上流側の領域に形成されている画像読取装置。
[請求項2]
前記一対の平面接触部は、前記被案内部材の少なくとも前記移動方向下流側端部に形成されている請求項1に記載の画像読取装置。
[請求項3]
前記被案内部材は、前記一対の平面接触部を複数組有し、そのうちの1組が、前記案内部材の軸方向において、前記固定部と重なる位置に形成されている請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
[請求項4]
前記被案内部材は、前記案内部材の軸方向に延在するとともに前記平面接触部及び前記曲面接触部を有する凹溝部を備え、
前記凹溝部の外側に、該凹溝部を補強する複数のリブが形成されるとともに、前記移動部材側のリブが、それとは反対側のリブよりも小さく形成されている請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像読取装置。
請求項1に記載の発明によれば、案内部材に周方向の2点で接触する一対の平面接触部が、案内部材の軸方向において、固定部から原稿を読み取るときの収容部材の移動方向下流側の領域に形成されていない構成に比べて、読取装置本体を収容した収容部材の移動時のがたつきを抑制することができる。また、案内部材に周方向の1点で接触する曲面接触部が、案内部材の軸方向において、固定部よりも原稿を読み取るときの収容部材の移動方向上流側の領域に形成されていない構成に比べて、平面接触部と曲面接触部とが、成形上の誤差により、案内部材の軸方向と交差する方向にずれた場合でも、読取装置本体を収容した収容部材の移動時のがたつきを抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、一対の平面接触部が、被案内部材における収容部材の移動方向下流側端部に形成されていない構成に比べて、読取装置本体を収容した収容部材の移動時のがたつきを抑制することができる。
請求項3に記載の発明によれば、複数組形成された一対の平面接触部のうちの1組が、案内部材の軸方向において、固定部と重なる位置に形成されていない構成に比べて、読取装置本体を収容した収容部材の移動時のがたつきを抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、移動部材側のリブが、それとは反対側のリブよりも小さく形成されていない構成に比べて、固定部に干渉することなく、凹溝部を補強することができる。
本開示の第9の態様に係る画像読取装置は、原稿台に載せられた原稿を読み取る読取装置本体と、前記読取装置本体を収容し、前記原稿を読み取るときに、円柱状の案内部材に下方から支持されて前記原稿の一端部から他端部へ移動する収容部材と、前記収容部材の底の下面側に締結具によって締結され、摺動性が良い樹脂を含んで構成され、前記案内部材に接触する接触部を有する被案内部材と、を備えている。
本開示の第10の態様に係る画像読取装置は、前記被案内部材は、前記原稿を読み取るときの移動方向における上流側で前記案内部材に接触する上流側接触部と前記移動方向における下流側で前記案内部材に接触する下流側接触部とを有する。
本開示の第11の態様に係る画像読取装置は、前記上流側接触部と前記下流側接触部とは、一体に形成されている。
本開示の第12の態様に係る画像読取装置は、前記締結具は、前記上流側接触部よりも前記移動方向における下流側に配置されている。
本開示の第13の態様に係る画像読取装置は、前記締結具は、前記移動方向における前記上流側接触部と前記下流側接触部との間に配置されている。
本開示の第14の態様に係る画像読取装置は、前記被案内部材は、前記移動方向における前記下流側接触部よりも下流側において、前記締結具とは異なる締結具によって前記収容部材の底の下面側に、締結されている。
本開示の第15の態様に係る画像読取装置は、前記締結具は、前記原稿を読み取るときの移動方向における、互いに異なる位置に複数設けられている。
本開示の第16の態様に係る画像読取装置は、前記収容部材は、前記収容部材を移動させるための移動部材に固定された固定部を備え、前記固定部と前記被案内部材とは別体として形成されている。
本開示の第17の態様に係る画像読取装置は、前記収容部材は、前記移動方向における上流側に、前記移動方向に向けた壁面を有する壁部を有し、前記移動方向における前記上流側接触部と前記壁部との間を連結する支持部を有する。
本開示の第18の態様に係る画像読取装置は、前記上流側接触部と前記下流側接触部とで前記案内部材に接触する箇所の個数は互いに異なる。
本開示の第19の態様に係る画像読取装置は、前記被案内部材はポリアセタールを含んで構成されている。
本開示の第20の態様に係る画像読取装置は、前記読取装置本体に取り付けられ、前記原稿台に接することで前記読取装置本体の高さ方向の位置決めがされる凸部を備えている。
本開示の第9〜第20の態様に係る画像読取装置は、読取装置本体を収容した収容部材の移動時のがたつきを抑制できる画像読取装置を得ることを目的とする。
【符号の説明】
【0058】
10 画像読取装置
14 原稿台
22 シャフト(案内部材の一例)
28 タイミングベルト(移動部材の一例)
30 収容部材
38 噛合部(固定部の一例)
40 ガイド部材(被案内部材の一例)
45 曲面接触部
47 平面接触部
50 読取装置本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10