(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962470
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】振動装置
(51)【国際特許分類】
B06B 1/06 20060101AFI20211025BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20211025BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20211025BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
H04N5/225 430
G03B11/04 Z
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-527176(P2020-527176)
(86)(22)【出願日】2019年1月25日
(86)【国際出願番号】JP2019002545
(87)【国際公開番号】WO2020003571
(87)【国際公開日】20200102
【審査請求日】2020年7月13日
(31)【優先権主張番号】特願2018-123352(P2018-123352)
(32)【優先日】2018年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 克己
(72)【発明者】
【氏名】坂口 仁志
【審査官】
若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2017/149933(WO,A1)
【文献】
国際公開第2017/022382(WO,A1)
【文献】
国際公開第2017/221622(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/078218(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
H04N 5/225
G03B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であり、第1の開口端部及び第2の開口端部と、前記第1の開口端部及び前記第2の開口端部を接続する外側面及び内側面と、を有する振動体と、
前記振動体の前記第2の開口端部に連結されている、透光体と、
前記透光体及び前記振動体の連結体を振動させるように、前記振動体に配置されている圧電振動子とを備え、前記振動体が、前記振動体の前記外側面から外側に延びるフランジ部を有し、
前記圧電振動子に電気的に接続されており、前記透光体及び前記振動体の連結体を透光体振動の振動モードまたはフランジ部振動の振動モードにより振動させ、かつ前記透光体振動の振動モード及び前記フランジ部振動の振動モードを交互に切り替える駆動回路と、をさらに備える、振動装置。
【請求項2】
筒状であり、第1の開口端部及び第2の開口端部と、前記第1の開口端部及び前記第2の開口端部を接続する外側面及び内側面と、を有する振動体と、
前記振動体の前記第2の開口端部に連結されている、透光体と、
前記透光体及び前記振動体の連結体を振動させるように、前記振動体に配置されている圧電振動子と、を備え、前記振動体が、前記振動体の前記外側面から外側に延びるフランジ部を有し、
前記圧電振動子に電気的に接続されており、前記透光体及び前記振動体の連結体を透光体振動を主要とする振動モードまたはフランジ部振動を主要とする振動モードにより振動させ、かつ前記透光体振動を主要とする振動モード及び前記フランジ部振動を主要とする振動モードを交互に切り替える駆動回路と、
をさらに備え、
前記透光体振動の共振周波数をf1とし、前記フランジ部振動の共振周波数をf2としたときに、前記透光体振動を主要とする振動モードの振動の周波数をf1を含む周波数範囲内の周波数とし、前記フランジ部振動を主要とする振動モードの振動の周波数をf2を含む周波数範囲内の周波数とする、振動装置。
【請求項3】
前記振動体が、筒状の第1の振動体部と、枠状の第2の振動体部と、前記第1の振動体部及び前記第2の振動体部を連結する枠状の連結部と、を有し、
前記第1の振動体部が前記第1の開口端部を含み、前記第2の振動体部が前記第2の開口端部を含む、請求項1または2に記載の振動装置。
【請求項4】
前記フランジ部が前記第2の振動体部に配置されている、請求項3に記載の振動装置。
【請求項5】
平面視において、前記連結部の外周縁が前記透光体に重なっている、請求項4に記載の振動装置。
【請求項6】
平面視において、前記連結部及び前記第1の振動体部の外周縁が重なっており、かつ前記連結部の内周縁が前記第1の振動体部及び前記第2の振動体部の内周縁より外側に位置している、請求項4または5に記載の振動装置。
【請求項7】
前記第1の振動体部が円筒状であり、前記第2の振動体部が円環状であり、前記連結部が円環状である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項8】
前記透光体振動の振動モードが、前記透光体において、平面視における外周縁の内側に振動の節が位置しておらず、かつ前記透光体の中央部の振幅が最大となる振動モードであり、
前記フランジ部振動の振動モードが、前記フランジ部の平面視における外周縁の振幅が最大となる振動モードである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項9】
前記透光体振動の振動モードの共振周波数をf1とし、前記フランジ部振動の振動モードの共振周波数をf2としたときに、前記透光体振動の振動モードの共振周波数f1と前記フランジ部振動の振動モードの共振周波数f2との周波数差(f1−f2)を前記透光体振動の振動モードの共振周波数f1により規格化した規格化周波数差{(f1−f2)/f1}×100(%)が、−70%以上、−10%以下である、請求項8に記載の振動装置。
【請求項10】
前記透光体振動の振動モードの共振周波数をf1とし、前記フランジ部振動の振動モードの共振周波数をf2としたときに、前記透光体振動の振動モードの共振周波数f1と前記フランジ部振動の振動モードの共振周波数f2との周波数差(f1−f2)を前記透光体振動の振動モードの共振周波数f1により規格化した規格化周波数差{(f1−f2)/f1}×100(%)が、10%以上、20%以下である、請求項8に記載の振動装置。
【請求項11】
前記透光体振動の振動モードの結合係数と、前記フランジ部振動の振動モードの結合係数との差の絶対値が、2%以下である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項12】
前記圧電振動子が、前記振動体の前記第1の開口端部に配置されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項13】
前記第1の開口端部及び第2の開口端部を結ぶ方向を軸方向としたときに、前記軸方向において、前記振動体の最も外側の部分に前記透光体が連結されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項14】
筒状であり、第1の開口端部及び第2の開口端部を有する振動体と、
前記振動体の前記第2の開口端部に連結されている、透光体と、
前記透光体及び前記振動体の連結体を振動させる圧電振動子と、を備え、
前記振動体が、前記透光体が連結された前記第2の開口端部よりも外側に延びるフランジ部を有し、
前記圧電振動子に電気的に接続されており、前記透光体及び前記振動体の連結部を透光体振動の振動モードまたはフランジ部振動の振動モードにより振動させ、かつ前記透光体振動の振動モード及び前記フランジ部振動の振動モードを交互に切り替える駆動回路と、をさらに備える、振動装置。
【請求項15】
筒状であり、第1の開口端部及び第2の開口端部を有する振動体と、
前記振動体の前記第2の開口端部に連結されている、透光体と、
前記透光体及び前記振動体の連結体を振動させる圧電振動子と、を備え、
前記振動体が、前記透光体が連結された前記第2の開口端部よりも外側に延びるフランジ部を有し、
前記圧電振動子に電気的に接続されており、前記透光体及び前記振動体の連結部を透光体振動の振動モードまたはフランジ部振動の振動モードにより振動させ、かつ前記透光体振動の振動モード及び前記フランジ部振動の振動モードを交互に切り替える駆動回路と、をさらに備え、
前記フランジ部振動の振動モードにより、前記フランジ部の振幅が前記透光体の振幅よりも大きくなる、振動装置。
【請求項16】
前記第1の開口端部及び前記第2の開口端部を結ぶ方向を軸方向としたときに、前記フランジ部が、前記振動体の前記軸方向における中央の位置よりも前記透光体側に配置されている、請求項14または15に記載の振動装置。
【請求項17】
前記透光体振動の振動モードが、前記透光体において、平面視における外周縁の内側に振動の節が位置しておらず、かつ前記透光体の中央部の振幅が最大となる振動モードであり、
前記フランジ部振動の振動モードが、前記フランジ部の平面視における外周縁の振幅が最大となる振動モードである、請求項14〜16のいずれか1項に記載の振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的振動によって水滴等を除去することが可能な振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視装置として用いられるカメラ等のイメージングデバイスにおいては、その視野を常に明瞭にすることが求められている。特に、車載用途等の屋外で使用されるカメラにおいては、雨滴等の水滴を除去するための機構が種々提案されている。下記の特許文献1には、透光性部分を有し、かつ透光性部分がカメラの前方に配置された振動装置が開示されている。上記透光性部分は筒状本体により支持されている。この振動装置では、透光性部分または筒状本体に凹部を設けることにより、局在化された振動を励振し、振動部に水滴を移動させて霧化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/221622号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、透光性部分に凹部を設ける場合には、透光性部分の光軸の歪みが大きく、カメラ等の画像に歪みが生じ易いという問題があった。また、広角において受光するために、透光性部分をドーム状とする場合には、製造が困難であった。
【0005】
他方、透光性部分ではなく筒状本体を駆動する場合には、局在振動を確実に励振させるために、振動装置を大型にする必要があった。また、凹部が設けられた部分は薄いため、耐久性が低くなるおそれがあった。
【0006】
さらに、特許文献1に記載された、中央部に大きな振幅を有する(0,0)モードを用いる場合には、中央部から離れるに従って振幅が小さくなるため、水滴を霧化する際の駆動電圧を高くする必要があり、効率が低くなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、水滴等を効率的に除去することができる、振動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る振動装置のある広い局面では、筒状であり、第1の開口端部及び第2の開口端部と、前記第1の開口端部及び前記第2の開口端部を接続する外側面及び内側面とを有する振動体と、前記振動体の前記第2の開口端部に連結されている、透光体と、前記透光体及び前記振動体の連結体を振動させるように、前記振動体に配置されている圧電振動子とを備え、前記振動体が、前記振動体の前記外側面から外側に延びるフランジ部を有し、前記圧電振動子に電気的に接続されており、前記透光体及び前記振動体の連結体を透光体振動の振動モードまたはフランジ部振動の振動モードにより振動させ、かつ前記透光体振動の振動モード及び前記フランジ部振動の振動モードを交互に切り替える駆動回路とをさらに備える。
【0009】
本発明に係る振動装置の他の広い局面では、筒状であり、第1の開口端部及び第2の開口端部と、前記第1の開口端部及び前記第2の開口端部を接続する外側面及び内側面とを有する振動体と、前記振動体の前記第2の開口端部に連結されている、透光体と、前記透光体及び前記振動体の連結体を振動させるように、前記振動体に配置されている圧電振動子とを備え、前記振動体が、前記振動体の前記外側面から外側に延びるフランジ部を有し、前記圧電振動子に電気的に接続されており、前記透光体及び前記振動体の連結体を透光体振動を主要とする振動モードまたはフランジ部振動を主要とする振動モードにより振動させ、かつ前記透光体振動を主要とする振動モード及び前記フランジ部振動を主要とする振動モードを交互に切り替える駆動回路とをさらに備え、前記透光体振動の共振周波数をf1とし、前記フランジ部振動の共振周波数をf2としたときに、前記透光体振動を主要とする振動モードの振動の周波数をf1を含む周波数範囲内の周波数とし、前記フランジ部振動を主要とする振動モードの振動の周波数をf2を含む周波数範囲内の周波数とする。
【0010】
本発明に係る振動装置の他の広い局面では、筒状であり、第1の開口端部及び第2の開口端部を有する振動体と、前記振動体の前記第2の開口端部に連結されている、透光体と、前記透光体及び前記振動体の連結体を振動させる圧電振動子とを備え、前記振動体が、前記透光体が連結された前記第2の開口端部よりも外側に延びるフランジ部を有し、前記圧電振動子に電気的に接続されており、前記透光体及び前記振動体の連結部を透光体振動の振動モードまたはフランジ部振動の振動モードにより振動させ、かつ前記透光体振動の振動モード及び前記フランジ部振動の振動モードを交互に切り替える駆動回路とをさらに備える。
【0011】
本発明に係る振動装置の他の広い局面では、筒状であり、第1の開口端部及び第2の開口端部を有する振動体と、前記振動体の前記第2の開口端部に連結されている、透光体と、前記透光体及び前記振動体の連結体を振動させる圧電振動子とを備え、前記振動体が、前記透光体が連結された前記第2の開口端部よりも外側に延びるフランジ部を有し、前記圧電振動子に電気的に接続されており、前記透光体及び前記振動体の連結部を透光体振動の振動モードまたはフランジ部振動の振動モードにより振動させ、かつ前記透光体振動の振動モード及び前記フランジ部振動の振動モードを交互に切り替える駆動回路とをさらに備え、前記フランジ部振動の振動モードにより、前記フランジ部の振幅が前記透光体の振幅よりも大きくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水滴等を効率的に除去することができる、振動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の模式的部分切欠き斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置を有するイメージングデバイスの模式的正面断面図である。
【
図3】
図3は、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードの共振周波数の例を示す図である。
【
図4】
図4は、透光体振動の振動モードを説明するための模式的断面図である。
【
図5】
図5は、フランジ部振動の振動モードを説明するための模式的断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る振動装置の模式的正面断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る振動装置の模式的正面断面図である。
【
図8】
図8は、規格化周波数差と、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードの結合係数との関係を示す図である。
【
図9】
図9は、規格化周波数差と、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードの変位との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0015】
なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の模式的部分切欠き斜視図である。
【0017】
図1に示す振動装置1は、振動により水滴や異物を移動させ、または水滴等を霧化することにより、撮像素子の視野内から水滴や異物を除去する振動装置である。振動装置1は、筒状の振動体3を含む振動素子2と、振動素子2の開口部を覆うように設けられている透光体8と、振動素子2に電気的に接続されている駆動回路12とを有する。
【0018】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置を有するイメージングデバイスの模式的正面断面図である。なお、
図1以外の斜視図や断面図においては、駆動回路を省略することがある。
【0019】
振動体3及び透光体8により囲まれた内部空間内に、一点鎖線で示す撮像素子10Aが配置されている。それによって、本発明の一実施形態に係る光学検出装置としてのイメージングデバイス10が構成されている。イメージングデバイス10は振動装置1及び撮像素子10Aを有する。撮像素子10Aとしては、例えば、可視領域から遠赤外領域のいずれかの波長の光を受光する、CMOS、CCD、ボロメーターやサーモパイル等を挙げることができる。イメージングデバイス10としては、例えば、カメラ、RadarやLIDARデバイス等を挙げることができる。
【0020】
なお、上記内部空間内には、撮像素子10A以外の、エネルギー線を光学的に検出する光学検出素子が配置されていてもよい。検出するエネルギー線としては、例えば、電磁波や赤外線等の活性エネルギー線であってもよい。光学検出素子の検出領域は、後述する透光体部に含まれる。
図2に示すイメージングデバイス10においては、撮像素子10Aの視野が透光体8に含まれる。本明細書における透光性とは、少なくとも上記光学検出素子が検出する波長のエネルギー線や光が透過する透光性をいう。
【0021】
以下において、振動装置1の詳細を説明する。
【0022】
振動素子2は振動体3及び圧電振動子7を有する。振動体3は第1の開口端部3a及び第2の開口端部3bと、第1の開口端部3a及び第2の開口端部3bを接続する外側面3c及び内側面3dを有する。本明細書においては、振動体3の第1の開口端部3a及び第2の開口端部3bを結ぶ方向を軸方向とし、軸方向に直交する方向を径方向とする。
【0023】
振動体3は、筒状の第1の振動体部4と、枠状の第2の振動体部5と、第1の振動体部4及び第2の振動体部5を連結する枠状の連結部6とを有する。第1の振動体部4は振動体3の第1の開口端部3aを含む。第2の振動体部5は振動体3の第2の開口端部3bを含む。第2の振動体部5及び連結部6の形状は、振動体3が1つの筒状体となるように第1の振動体部4に対応する形状である。より具体的には、本実施形態では、第1の振動体部4は円筒状であり、第2の振動体部5は円環状であり、連結部6は円環状である。振動体3は、円筒状の第1の振動体部4と、円環状の連結部6と、円環状の第2の振動体部5とをそれぞれの中心軸が同心軸上に位置するように配置された筒状である。
【0024】
ここで、本明細書において、特に断りのない場合には、外周縁及び内周縁は平面視における外周縁及び内周縁をいう。平面視において、連結部6及び第1の振動体部4の外周縁は重なっており、かつ連結部6の内周縁が第1の振動体部4及び第2の振動体部5の内周縁より外側に位置している。振動体3の各部分の、径方向における外側の側面と内側の側面との距離を各部分の肉厚としたときに、連結部6の肉厚は第1の振動体部4の肉厚よりも薄い。振動体3においては、連結部6における内径が、他の部分の内径よりも大きい。
【0025】
振動体3の外側面3cは、第1の振動体部4、連結部6及び第2の振動体部5の各外側面が連結されることにより構成されている。同様に、振動体3の内側面3dは、第1の振動体部4、連結部6及び第2の振動体部5の各内側面が連結されることにより構成されている。本実施形態では、内側面3dは連結部6の部分において段差部を有する。他方、外側面3cは段差部を有しない。
【0026】
振動体3は、振動体3の外側面3cから径方向外側に延びるフランジ部9を有する。本実施形態では、フランジ部9は第2の振動体部5に配置されている。フランジ部9は、第2の開口端部3bよりも外側に延びている。本実施形態では、上記軸方向において、第2の振動体部5及びフランジ部9の厚みは同じである。そのため、第2の振動体部5に配置されたフランジ部9は、第2の振動体部5に直接連結されている連結部6の外周縁から外側に張り出した部分である。
【0027】
なお、第1の振動体部4は略円筒状であってもよく、角筒状であってもよい。第2の振動体部5及び連結部6は、円環状以外の枠状であってもよい。平面視において、第1の振動体部4、第2の振動体部5及び連結部6が相似形状または略相似形状であればよい。あるいは、振動体3は筒状の第1の振動体部4のみにより構成されていてもよい。振動体3の外側面3c及び内側面3dは段差部を有していてもよく、段差部を有していなくともよい。
【0028】
振動素子2においては、振動体3の第1の開口端部3aに圧電振動子7が配置されている。圧電振動子7は円環状の圧電体を有する。圧電体は、例えば、Pb(Zr,Ti)O
3や(K,Na)NbO
3等の適宜の圧電セラミックスまたはLiTaO
3やLiNbO
3等の適宜の圧電単結晶からなる。圧電体の一方主面及び他方主面にそれぞれ電極が設けられている。
【0029】
本実施形態では、振動体3に1つの円環状の圧電振動子7が配置されている。なお、圧電振動子7の形状及び個数は上記に限定されない。例えば、平面視において、振動体3の中心を回転軸とした周回方向に沿い、複数の圧電振動子が配置されていてもよい。圧電振動子における圧電体は矩形板等の形状であってもよい。
【0030】
図1に示すように、振動体3の第2の開口端部3bにドーム状の透光体8が連結されている。透光体8は、振動体3における第2の振動体部5の開口部を覆うように設けられている。透光体8はドーム状であるが、本発明においては、透光体8は平板状であっても良い。透光体8は透光性材料からなる。透光性材料としては、例えば、透光性のプラスチック、ガラスまたは透光性のセラミックス等を用いることができる。上記圧電振動子7は、透光体8及び振動体3の連結体を振動させる。
【0031】
ここで、上述したように、本実施形態においては、フランジ部9は第2の振動体部5に配置されている。なお、フランジ部9は第1の振動体部4または連結部6に配置されていてもよい。あるいは、振動体3の外側面3cにおいてフランジ部9が設けられている部分は、第1の振動体部4及び連結部6に相当する部分を含んでいてもよく、連結部6及び第2の振動体部5に相当する部分を含んでいてもよい。上記軸方向においてフランジ部9が連結部6より厚い場合には、振動体3の外側面3cにおいてフランジ部9が設けられている部分は、第1の振動体部4、連結部6及び第2の振動体部5に相当する部分を含んでいてもよい。フランジ部9が、振動体3の軸方向における中央の位置よりも透光体8側に配置されていればよい。
【0032】
振動素子2に駆動回路12が電気的に接続されている。より具体的には、駆動回路12は圧電振動子7に電気的に接続されている。駆動回路12は、圧電振動子7によって、透光体8及び振動体3の連結体を後述する透光体振動の振動モードまたはフランジ部振動の振動モードにより振動させ、かつ透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードを交互に切り替える。ここで、透光体振動の振動モードとは、フランジ部よりも透光体の方が振幅が大きい振動のモードを言う。また、フランジ部振動の振動モードとは、透光体よりもフランジ部の方が振幅が大きい振動のモードを言う。好ましくは、透光体振動の振動モードが、透光体において、平面視における外周縁の内側に振動の節が位置しておらず、かつ透光体の中央部の振幅が最大となる振動モードである。フランジ部振動の振動モードは、好ましくは、フランジ部の平面視における外周縁の振幅が最大となる振動モードである。なお、以下においては、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードを、単に透光体振動及びフランジ部振動と記載することがある。
【0033】
本実施形態の特徴は、振動体3がフランジ部9を含む第2の振動体部5を有し、かつ振動装置1が、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードを交互に切り替える駆動回路12を有することにある。それによって、水滴等を効率的に除去することができる。この詳細を以下において説明する。
【0034】
図3は、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードの共振周波数の例を示す図である。
図4は、透光体振動の振動モードを説明するための模式的断面図である。
図5は、フランジ部振動の振動モードを説明するための模式的断面図である。
図3において、実線は本実施形態の結果を示し、破線は比較例の結果を示す。なお、比較例は、振動体がフランジ部を有しない点において本実施形態と異なる。
図4及び
図5は、
図2に示す振動装置の断面の半分に相当する部分を示す。実線は振動装置の元の状態を示し、一点鎖線は振動している状態を示す。
【0035】
図3中の矢印Aは、本実施形態における透光体振動の振動モードの共振周波数を示し、矢印Bはフランジ部振動の振動モードの共振周波数を示す。透光体振動の振動モードは、
図4に示すように、透光体8において、外周縁の内側に振動の節が位置しておらず、かつ透光体8の中央部の振幅が最大となる振動モードである。透光体振動の振動モードにおいては、フランジ部9の振幅は小さい。フランジ部振動の振動モードは、
図5に示すように、フランジ部9の外周縁の振幅が最大となる振動モードである。フランジ部振動の振動モードにおいては、透光体8の振幅は小さい。なお、フランジ部振動の振動モードにおいて、振動の節は、振動体3のフランジ部9を固定する部位の直近の、内側面3dの部分に位置する。
【0036】
フランジ部9の径方向に沿う寸法を長さとしたときに、フランジ部9の長さや軸方向における厚みを調整すること等により、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードの共振周波数を調整することができる。例えば、
図4に示すように、透光体振動が主要な振動モードであるが、フランジ部振動もわずかに混在している状態とすることができる。あるいは、
図5に示すように、フランジ部振動が主要な振動モードであるが、透光体振動もわずかに混在している状態とすることもできる。
【0037】
他方、
図3に示すように、比較例においては、振動体がフランジ部を有しないため、フランジ部振動の振動モードが生じていないことがわかる。
【0038】
本実施形態及び比較例において、透光体振動の振動モードにより透光体及び振動体の連結体を振動させることにより、透光体の中央付近に付着した水滴等を霧化させ、除去することができる。さらに、水滴等は振動の腹に向かい移動する。そのため、透光体の中央付近に位置していなかった水滴等を、振動の腹が位置する中央に向かい移動させ、霧化させることができる。ここで、透光体振動の振動モードにおいては、透光体と振動体とが連結されている部分付近に振動の節が位置する。そのため、比較例のように、透光体振動の振動モードのみを利用する場合には、上記振動の節近傍における水滴等を移動及び霧化させることができず、撮像素子の視野を十分に確保できない場合がある。さらに、透光体の外周縁近傍の水滴等を移動及び霧化させるためには、駆動電圧を高くする必要がある。
【0039】
これに対し、
図1に示す本実施形態では、第2の振動体部5がフランジ部9を有し、かつ駆動回路12により透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードが交互に切り替えられる。振動体3のフランジ部9は、フランジ部振動の振動モードにより、透光体8よりも振幅が大きくなる。透光体8と振動体3の第2の振動体部5とが連結されている部分近傍及び透光体8の外周縁近傍に位置する水滴等は、フランジ部振動の振動モードによりフランジ部9に容易に移動させることができる。このように、透光体8の外周縁近傍に位置する水滴等を除去することができ、撮像素子10Aの視野が阻害されることを効果的に抑制できる。さらにフランジ部9の外周縁に移動させた水滴等を霧化させることにより、水滴等をより一層確実に除去することができる。他方、透光体8において、外周縁近傍以外に位置する水滴等は、透光体振動の振動モードにより透光体8の中央付近に容易に移動させ、霧化させることができる。このように、振動モードを切り替えることにより、駆動電圧を高くすることなく、水滴等をより一層確実に、かつ効率的に除去することができる。
【0040】
加えて、本実施形態では振動体3がフランジ部9を有するため、透光体振動の振動モードを主要とする振動モードとし、かつフランジ部振動の振動モードがわずかに混在している状態とすることもできる。この場合には、透光体8の外周縁近傍に位置する水滴等をフランジ部9側へ移動させることができる。ここでフランジ部振動の振動モードに切り替えることによって、水滴等をフランジ部9の外周縁により一層容易に移動させ、霧化させることができる。このように、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードを協働させることにより、水滴等をより一層効率的に除去することができる。
【0041】
透光体振動の振動モードの共振周波数をf1とし、フランジ部振動の振動モードの共振周波数をf2とする。透光体振動を主要とする振動モードの振動の周波数はf1を含む周波数範囲内の周波数であることが好ましい。また、フランジ部振動の振動モードの振動の周波数は、f2を含む周波数範囲内の周波数であることが好ましい。それによって、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードを協働させることにより、水滴等をより一層効率的に除去することができる。なお、透光体振動を主要とする振動モードの振動の周波数を30kHz以上、200kHz以下の範囲内の周波数とすることが好ましい。フランジ部振動を主要とする振動モードの振動を励振するに際しては、周波数を30kHz以上、200kHz以下の範囲内の周波数とすることが好ましい。
【0042】
本実施形態では、軸方向において振動体3の最も外側の部分に、透光体8が連結されている。この軸方向において、振動体3の第2の振動体部5が透光体8に連結されている部分の位置と、フランジ部9の位置とは同じである。それによって、軸方向において、上記連結されている部分の位置と、フランジ部9の位置とが異なる場合と比較して、上記連結されている部分と、フランジ部9との距離を近づけることができる。従って、フランジ部振動の振動モードにより、上記連結されている部分及び透光体8の外周縁付近からフランジ部9に、水滴等を好適に移動させることができる。
【0043】
なお、上記に限られず、透光体8は、振動体3の軸方向における最も外側の部分以外の部分に連結されていてもよい。例えば、
図6に示す第1の実施形態の第1の変形例においては、第2の振動体部25の透光体8側の面は、軸方向に延びる段差部25e並びに段差部25eにより接続された第1の面25c及び第2の面25dを有する。第1の面25cが径方向外側に位置し、第2の面25dが径方向内側に位置する。第1の面25cは軸方向において振動体23の最も外側に位置し、第2の面25dは第1の面25cより内側に位置する。該第2の面25dに透光体8が連結されている。この場合においても、第1の実施形態と同様に、水滴等をより一層確実に、かつ効率的に除去することができる。
【0044】
段差部25eと透光体8との間に空隙が形成されないように、第2の振動体部25と透光体8とが連結されていることが好ましい。それによって、水滴等をより一層確実に除去することができる。
【0045】
上述したように、
図2に示す本実施形態のフランジ部9は、平面視において、振動体3の連結部6の外周縁から外側に張り出した部分である。よって、フランジ部9の長さを一定とした場合には、連結部6の外径を小さくするほど、フランジ部9の外周縁と、第2の振動体部5及び透光体8が連結されている部分との距離を近づけることができる。それによって、フランジ部振動の振動モードにより、上記連結されている部分及び透光体8の外周縁付近からフランジ部9の外周縁に、水滴等を効率的に移動させることができる。
【0046】
本実施形態では、平面視において、連結部6及び第1の振動体部4の外周縁は重なっているが、これに限られない。
図7に示す第1の実施形態の第2の変形例においては、振動体33の連結部6の外周縁は、第1の振動体部4の外周縁の内側に位置している。フランジ部9の長さを一定とした場合には、連結部6の外周縁が内側に位置するほど、フランジ部9の外周縁は内側に位置する。それによって、フランジ部9の外周縁と、透光体8及び振動体33が連結されている部分とのを距離を近づけることができる。平面視において、連結部6の少なくとも一部が透光体8に重なっていることが好ましい。本変形例のように、平面視において、連結部6の外周縁が透光体8に重なっていることがより好ましい。平面視において、連結部6の外周縁が透光体8の外周縁よりも内側に位置していることがさらに好ましい。それによって、フランジ部9の外周縁と上記連結されている部分との距離をより一層近づけることができる。従って、上記連結されている部分及び透光体8の外周縁付近からフランジ部9の外周縁に、水滴等をより一層効率的に、かつより一層速やかに移動させることができる。
【0047】
加えて、本変形例においては、第1の振動体部4及び連結部6の肉厚を薄くすることなく、かつ第2の振動体部5の外径を大きくすることなく、フランジ部9の外周縁と上記連結されている部分との距離を近づけることができる。従って、強度の低下及び大型化を招くことなく、水滴等をより一層効率的に除去することができる。
【0048】
なお、本変形例の第2の振動体部25は第1の変形例と同様の構成を有する。平面視において、連結部6の外周縁及び段差部25eが重なっており、かつ連結部6及び第2の面25dが重なっている。
【0049】
ここで、上記のように透光体振動の振動モードの共振周波数をf1とし、フランジ部振動の振動モードの共振周波数をf2としたとき、透光体振動の振動モードの共振周波数f1とフランジ部振動の振動モードの共振周波数f2との周波数差は(f1−f2)により表される。この周波数差(f1−f2)を透光体振動の振動モードの共振周波数f1で規格化した規格化周波数差は{(f1−f2)/f1}×100(%)により表される。
【0050】
図2に示すフランジ部9の長さにより、フランジ部振動の振動モードの共振周波数f2を調整することができる。よって、フランジ部9の長さにより、規格化周波数差を調整することができる。フランジ部9が短いほど、フランジ部振動の振動モードの共振周波数f2は高くなるため、規格化周波数差は小さい値となる。他方、フランジ部9が長いほど、フランジ部振動の振動モードの共振周波数f2は低くなるため、規格化周波数差は大きい値となる。
【0051】
以下において、規格化周波数差と、透光体振動の振動モードの結合係数及び変位並びにフランジ部振動の振動モードにおける結合係数及び変位との関係を示す。
【0052】
図8は、規格化周波数差と、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードの結合係数との関係を示す図である。
図9は、規格化周波数差と、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードにおける変位との関係を示す図である。
図8及び
図9において、実線が透光体振動の振動モードの結果を示し、破線がフランジ部振動の振動モードの結果を示す。
図9に示す変位は、1Vの電圧を印加した際の変位の大きさを示す。
【0053】
図8に示すように、規格化周波数差が0%付近においては、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードの結合係数の大小関係が逆転している。そのため、振動の状態が不安定となる。規格化周波数差は−10%以下または10%以上であることが好ましい。それによって、振動の状態を安定にすることができる。
【0054】
図8及び
図9に示すように、フランジ部振動の振動モードにおいては、規格化周波数差が−45%以下において、結合係数及び変位の両方が大きく低下している。特に、規格化周波数差が−70%未満である場合には、結合係数が5%未満、変位が約200nm/1V未満と低くなっている。規格化周波数差は−70%以上、−10%以下であることが好ましく、−45%以上、−10%以下であることがより好ましい。それによって、振動の状態を安定にしつつ、フランジ部振動の振動モードの結合係数を好適に高めることができ、変位を好適に大きくすることができる。
【0055】
他方、フランジ部9が長すぎると、種々のスプリアスが生じ、透光体振動の振動モードの励振が不安定となるおそれがある。よって、規格化周波数差は10%以上、20%以下であることが好ましい。それによって、振動の状態をより一層安定にすることができる。
【0056】
図8及び
図9に示すように、透光体振動の振動モードでは、規格化周波数差が−10%より大きく、10%より小さい範囲を除く範囲においては、結合係数が高く、変位が大きい。ここで、透光体振動の振動モードの結合係数と、フランジ部振動の振動モードの結合係数との差の絶対値は、2%以下であることが好ましい。この場合には、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードの両方において、結合係数を高くすることができ、変位を大きくすることができる。よって、透光体振動の振動モード及びフランジ部振動の振動モードのいずれにおいても透光体8及び振動体3の連結体を好適に振動させることができ、水滴等をより一層確実に、かつ効率的に除去することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…振動装置
2…振動素子
3…振動体
3a,3b…第1,第2の開口端部
3c…外側面
3d…内側面
4…第1の振動体部
5…第2の振動体部
6…連結部
7…圧電振動子
8…透光体
9…フランジ部
10…イメージングデバイス
10A…撮像素子
12…駆動回路
23…振動体
25…第2の振動体部
25c,25d…第1,第2の面
25e…段差部
33…振動体