特許第6962472号(P6962472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6962472制御装置、電池パック、電動車両及び電池パックの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962472
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】制御装置、電池パック、電動車両及び電池パックの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20211025BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20211025BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20211025BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20211025BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20211025BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20211025BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20211025BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20211025BHJP
   B60L 58/14 20190101ALI20211025BHJP
【FI】
   H02J7/00 302D
   H02J7/00 P
   H02J7/00 S
   H02H7/18
   H01M10/48 P
   H01M10/44 P
   B60L3/00 S
   B60L50/60
   B60L53/14
   B60L53/66
   B60L58/14
【請求項の数】13
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-530007(P2020-530007)
(86)(22)【出願日】2019年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2019018470
(87)【国際公開番号】WO2020012769
(87)【国際公開日】20200116
【審査請求日】2020年11月20日
(31)【優先権主張番号】特願2018-131224(P2018-131224)
(32)【優先日】2018年7月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】戸田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 圭之
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−300731(JP,A)
【文献】 特開2016−172503(JP,A)
【文献】 特開2018−085833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
H01M 10/48
H01M 10/44
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/66
B60L 58/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、
外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、
前記入力端子と前記通信端子との間に設けられた制御回路を有し、
前記制御部は、前記所定の入力端子としての起動端子を有し、
前記制御回路は、前記通信端子に接続されるラインとグランドラインとの間に接続される第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを有し、
前記起動端子が前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間の接続点に接続されており、
前記制御回路は、前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、前記制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、前記制御回路により、前記起動端子の端子電圧がローに維持されるように構成され、
前記通信端子にハイの信号が入力されることに応じて前記起動端子の端子電圧がローからハイに変化し、前記起動端子の端子電圧の変化に応じて前記制御部が起動し、
起動後に前記制御部から出力される制御信号に応じて前記第2のスイッチング素子がオンし、前記第2のスイッチング素子がオンすることに伴って、前記第1のスイッチング素子がオンし、
前記第1のスイッチング素子がオンすることに伴って前記起動端子の端子電圧がハイからローに変化し、当該ローの状態が維持するように構成されている
制御装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記起動端子と前記入力端子との間を直流的に分離する回路である
請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部が前記制御信号の出力を停止した場合に、前記通信端子に入力されるハイの信号が前記第2のスイッチング素子に入力されることで前記第2のスイッチング素子のオン状態が維持されると共に、前記起動端子の端子電圧のローの状態が維持される
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、
外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、
前記入力端子と前記通信端子との間に設けられた制御回路を有し、
前記制御回路は、前記通信端子にハイの信号が入力された場合に、前記制御部への電力の供給を可能にする起動ラインを含み、
前記制御回路は、前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、前記制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
前記制御部により前記起動ラインにおけるレベルが可変とされており、
前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、前記制御部により前記起動ラインにおけるレベルがハイからローに変化するように構成されている
制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記起動ラインにおけるレベルをローにすることにより自身に対する動作電圧の供給を停止させることで、前記第2の動作モードに移行する
請求項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御回路は、少なくとも通信時における入力端子又は起動端子を安定化させる安定化回路を含む
請求項1からまでの何れかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、所定の回路構成により電池部と接続可能に構成され、
前記電池部の残容量が所定値より低下した場合に、前記制御部の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに移行する
請求項1からまでの何れかに記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、所定の回路構成により電池部と接続可能に構成され、
前記電池部から供給される電力に基づいて動作可能とされる
請求項1からでの何れかに記載の制御装置。
【請求項9】
電池部と、
所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、
外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、
前記入力端子と前記通信端子との間に設けられた制御回路を有し、
前記制御部は、前記所定の入力端子としての起動端子を有し、
前記制御回路は、前記通信端子に接続されるラインとグランドラインとの間に接続される第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを有し、
前記起動端子が前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間の接続点に接続されており、
前記制御回路は、前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、前記制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、前記制御回路により、前記起動端子の端子電圧がローに維持されるように構成され、
前記通信端子にハイの信号が入力されることに応じて前記起動端子の端子電圧がローからハイに変化し、前記起動端子の端子電圧の変化に応じて前記制御部が起動し、
起動後に前記制御部から出力される制御信号に応じて前記第2のスイッチング素子がオンし、前記第2のスイッチング素子がオンすることに伴って、前記第1のスイッチング素子がオンし、
前記第1のスイッチング素子がオンすることに伴って前記起動端子の端子電圧がハイからローに変化し、当該ローの状態が維持するように構成されている
電池パック。
【請求項10】
電池部と、
所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、
外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、
前記入力端子と前記通信端子との間に設けられた制御回路を有し、
前記制御回路は、前記通信端子にハイの信号が入力された場合に、前記制御部への電力の供給を可能にする起動ラインを含み、
前記制御回路は、前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、前記制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
前記制御部により前記起動ラインにおけるレベルが可変とされており、
前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、前記制御部により前記起動ラインにおけるレベルがハイからローに変化するように構成されている
電池パック。
【請求項11】
請求項9または10に記載の電池パックを有する電動車両。
【請求項12】
電池部と、所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、前記入力端子と前記通信端子との間に設けられた制御回路を有し、前記制御部は、前記所定の入力端子としての起動端子を有し、前記制御回路は、前記通信端子に接続されるラインとグランドラインとの間に接続される第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを有し、前記起動端子が前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間の接続点に接続された電池パックの制御方法であって、
前記制御回路は、前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、前記制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、前記制御回路により、前記起動端子の端子電圧がローに維持され、
前記通信端子にハイの信号が入力されることに応じて前記起動端子の端子電圧がローからハイに変化し、前記起動端子の端子電圧の変化に応じて前記制御部が起動し、
起動後に前記制御部から出力される制御信号に応じて前記第2のスイッチング素子がオンし、前記第2のスイッチング素子がオンすることに伴って、前記第1のスイッチング素子がオンし、
前記第1のスイッチング素子がオンすることに伴って前記起動端子の端子電圧がハイからローに変化し、当該ローの状態が維持される
電池パックの制御方法。
【請求項13】
電池部と、所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、前記入力端子と前記通信端子との間に設けられた制御回路を有し、前記制御回路は、前記通信端子にハイの信号が入力された場合に、前記制御部への電力の供給を可能にする起動ラインを含む電池パックの制御方法であって、
前記制御回路は、前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、前記制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
前記制御部により前記起動ラインにおけるレベルが可変とされており、
前記通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、前記制御部により前記起動ラインにおけるレベルがハイからローに変化する
電池パックの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、電池パック、電動車両及び電池パックの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の電池部を有する電池パックは、電池部の状態を監視したり、各種の動作を制御したりするためのMPU(Micro Processing Unit)を備える構成とされていることが一般的である。係るMPUは、一般に、電池部の電力に基づいて動作することが多い。そこで、不必要な電力消費による電池部の残容量の低下を防止するために、MPUが適宜なタイミングで、通常の動作モードから消費電力が小さい低消費電力モードに移行するようにした提案がなされている。例えば、下記特許文献1には、通信端子にモードを切り換えるコマンドが入力され、且つ、通信端子に入力される信号のレベル(信号レベル)が所定期間ロー(Low)に保持されるときに、コントロール回路における消費電力を小さくするために、動作モードが通常の動作モードから低消費電力モードに切り換えられる電池パックが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−300731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池パックに対して接続される電気機器(例えば、充電器)に異常がある場合に、異常がある電気機器がハイ(Hi)の信号を出力し続け、電池パックの通信端子に入力される信号のレベルがハイで継続する場合がある。通信端子に入力される信号のレベルがハイであるため、特許文献1に記載の技術では、動作モードを切り換えるコマンドを検出することができず、また、信号のレベルがハイであるため、動作モードを低消費電力モードに移行させることができないという問題があった。そして、コントロール回路における消費電流が低下しないため、電池部が深放電してしまうという問題があった。
【0005】
従って、本発明は、電池パックが有する通信端子に入力される信号レベルが一方の論理的なレベル(例えば、ハイ)で継続する場合であっても、動作モードが移行可能とされるように構成された制御装置、電池パック、電動車両及び電池パックの制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、
所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、
外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、
入力端子と通信端子との間に設けられた制御回路を有し、
制御部は、所定の入力端子としての起動端子を有し、
制御回路は、通信端子に接続されるラインとグランドラインとの間に接続される第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを有し、
起動端子が第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子との間の接続点に接続されており、
制御回路は、通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、制御回路により、起動端子の端子電圧がローに維持されるように構成され、
通信端子にハイの信号が入力されることに応じて起動端子の端子電圧がローからハイに変化し、起動端子の端子電圧の変化に応じて制御部が起動し、
起動後に制御部から出力される制御信号に応じて第2のスイッチング素子がオンし、第2のスイッチング素子がオンすることに伴って、第1のスイッチング素子がオンし、
第1のスイッチング素子がオンすることに伴って起動端子の端子電圧がハイからローに変化し、当該ローの状態が維持するように構成されている
制御装置である。
本発明は、例えば、
所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、
外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、
入力端子と通信端子との間に設けられた制御回路を有し、
制御回路は、通信端子にハイの信号が入力された場合に、制御部への電力の供給を可能にする起動ラインを含み、
制御回路は、通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
制御部により起動ラインにおけるレベルが可変とされており、
通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、制御部により起動ラインにおけるレベルがハイからローに変化するように構成されている
制御装置である。
【0007】
また、本発明は、例えば、
電池部と、
所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、
外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、
入力端子と通信端子との間に設けられた制御回路を有し、
制御部は、所定の入力端子としての起動端子を有し、
制御回路は、通信端子に接続されるラインとグランドラインとの間に接続される第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを有し、
起動端子が第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子との間の接続点に接続されており、
制御回路は、通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、制御回路により、起動端子の端子電圧がローに維持されるように構成され、
通信端子にハイの信号が入力されることに応じて起動端子の端子電圧がローからハイに変化し、起動端子の端子電圧の変化に応じて制御部が起動し、
起動後に制御部から出力される制御信号に応じて第2のスイッチング素子がオンし、第2のスイッチング素子がオンすることに伴って、第1のスイッチング素子がオンし、
第1のスイッチング素子がオンすることに伴って起動端子の端子電圧がハイからローに変化し、当該ローの状態が維持するように構成されている
電池パックである。
また、本発明は、例えば、
電池部と、
所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、
外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、
入力端子と通信端子との間に設けられた制御回路を有し、
制御回路は、通信端子にハイの信号が入力された場合に、制御部への電力の供給を可能にする起動ラインを含み、
制御回路は、通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
制御部により起動ラインにおけるレベルが可変とされており、
通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、制御部により起動ラインにおけるレベルがハイからローに変化するように構成されている
電池パックである。
【0009】
また、本発明は、例えば、
電池部と、所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、入力端子と通信端子との間に設けられた制御回路を有し、制御部は、所定の入力端子としての起動端子を有し、制御回路は、通信端子に接続されるラインとグランドラインとの間に接続される第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを有し、起動端子が第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子との間の接続点に接続された電池パックの制御方法であって、
制御回路は、通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、制御回路により、起動端子の端子電圧がローに維持され、
通信端子にハイの信号が入力されることに応じて起動端子の端子電圧がローからハイに変化し、起動端子の端子電圧の変化に応じて制御部が起動し、
起動後に制御部から出力される制御信号に応じて第2のスイッチング素子がオンし、第2のスイッチング素子がオンすることに伴って、第1のスイッチング素子がオンし、
第1のスイッチング素子がオンすることに伴って起動端子の端子電圧がハイからローに変化し、当該ローの状態が維持される
電池パックの制御方法である。
また、本発明は、例えば、
電池部と、所定の入力端子に対する入力に応じて起動する制御部と、外部機器と通信を行うための通信ラインが接続される通信端子と、入力端子と通信端子との間に設けられた制御回路を有し、制御回路は、通信端子にハイの信号が入力された場合に、制御部への電力の供給を可能にする起動ラインを含む電池パックの制御方法であって、
制御回路は、通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、制御部を第1の動作モードから当該第1の動作モードより消費電流が小さい第2の動作モードに移行することが可能とされており、
制御部により起動ラインにおけるレベルが可変とされており、
通信端子に入力される信号の論理的なレベルがハイで継続する場合に、制御部により起動ラインにおけるレベルがハイからローに変化する
電池パックの制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一つの実施の形態によれば、電池パックが有する通信端子に入力される信号レベルが一方の論理的なレベル(例えば、ハイ)で継続する場合であっても、電池パックがオンスイッチ端子の端子電圧をローにできるように構成されており、電池パック内のMPUは動作モードをシャットダウンモードに移行することが可能となる。なお、本明細書で例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一般的な電池パックの構成例を示す図である。
図2図2は、一般的な電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図3図3は、一般的な電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図4図4は、一般的な電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態に係る電池パックの構成例を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図7図7は、第1の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図8図8Aは、RX端子に接続される通信ライン上の信号レベルを示す図であり、図8Bは、オンスイッチ端子の端子電圧を示す図である。
図9図9は、第1の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図10図10A図10Cは、第1の実施の形態に係る電池パックに安定化回路を設けたことによる効果を説明するための図である。
図11図11は、第2の実施の形態に係る電池パックの構成例を示す図である。
図12図12は、第2の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図13図13A図13Cは、本発明の第2の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図14図14は、第2の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図15図15A図15Cは、第2の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図16図16は、第2の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図17図17は、第3の実施の形態に係る電池パックの構成例を示す図である。
図18図18は、第3の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図19図19は、第3の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図20図20は、第3の実施の形態に係る電池パックの動作例を説明する際に参照される図である。
図21図21は、本発明の応用例を説明するための図である。
図22図22は、本発明の応用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<一般的な技術に関する説明>
<第1の実施の形態>
<第2の実施の形態>
<第3の実施の形態>
<応用例>
<変形例>
以下に説明する実施の形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施の形態等に限定されるものではない。
【0013】
本発明は実施の形態は、例えば、1又は複数のリチウムイオン二次電池セルを有する電池パックとして実現される。1又は複数のリチウムイオン二次電池セルにより電池部が構成される。勿論、電池部として他の二次電池が用いられても良い。電池パックは、電動自転車、電動自転車、電動三輪車、電動カート、電動飛行体等の電動車両の他、種々の機器に対して適用され得る。なお、電池パックは、適用される機器に必ずしも固定される必要は無い。即ち、適用される機器に対して電池パックが着脱自在であったとしても、当該機器が当該電池パックを有することを意味する。なお、以下の説明(例えば、回路構成に関する説明)では、本発明(より具体的には、特許請求の範囲に記載された構成)に関係する点を中心に説明し、本発明と関連性がない若しくは関連性が低い構成については、図示された構成であっても説明を適宜、省略する。また、同一、同質の構成、処理に対しては同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜、省略する。
【0014】
<一般的な技術に関する説明>
始めに、本発明の理解を容易とするために、一般的な技術について説明する。また、一般的な技術が有する問題点についても言及する。図1は、一般的な電池パック(電池パック1)の構成例を示す図である。電池パック1に対して種々の外部機器(以下、電気機器と適宜、称する)が接続される。電気機器としては、例えば充電器を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0015】
図1に示すように、電池パック1は、MPU2、TX端子(送信端子)3、RX端子(受信端子)4及び電源5を含む構成を有している。電源5は、電池パック1が有する電池部(不図示)の電圧がレギュレータにより適宜変換されることで生成されるMPU2の動作電源である。また、MPU2は、公知の回路構成により電池部と接続されており、電池部の電圧をMPU2が検出可能に構成されている。
【0016】
MPU2は、オンスイッチ端子6を有している。電池パック1は、TX端子3及びRX端子4に接続される通信ラインを使用して、電池パック1に対して接続される機器との間で通信を行う。一般的な電池パック1の構成では、図1に示すように、RX端子4に入力される信号がオンスイッチ端子6に直接的に供給される。即ち、電池パック1では、RX端子4とオンスイッチ端子6とが直結された構成となっている。
【0017】
MPU2は、例えば、通常動作モード、シャットダウンモード及び低消費電力モードとの間で、動作モードが移行(遷移)可能とされている。通常動作モードは、MPU2が有する機能が全て実行可能となる動作モードであり、消費電流が最も大きくなるモードである。低消費電力モードは、MPU2の機能の一部が制限される動作モードであり、通常動作モードより消費電流が小さくなる動作モードである。シャットダウンモードは、MPU2が必要最低限の機能で動作する動作モード又はMPU2がオフする動作モードであり、消費電流が最も小さくなるモードである。
【0018】
一例として、MPU2は、シャットダウンモード又は低消費電力モードから通常動作モードに移行する際に、オンスイッチ端子6に入力される信号のレベル、即ち、オンスイッチ端子6の端子電圧が2.6V(ボルト)以上であることを必要とする。本例では、2.6V以上が論理的なレベルとしてのハイに対応し、2.6V未満が論理的なレベルとしてのローに対応する。
【0019】
また、MPU2は、電池パック1の電圧がある閾値電圧以下になり、且つ、オンスイッチ端子6の端子電圧が2.6V未満のローである場合に、シャットダウンモードに移行し、自身の消費電流を抑制する。電池パック1が電気機器と行う通信は、シリアル通信の一つであるUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信を例にして説明する。勿論、電池パック1と電気機器との間で他の方式の通信が行われても良い。なお、通信は、有線通信であっても良いし、無線通信であっても良い。
【0020】
図2図4に示されるシーケンス図を参照して、電池パック1の動作例について説明する。図2に示すシーケンス図において、初期状態における電池パック1は、動作モードがシャットダウンモードであり、電気機器は無通電状態である。まず、電池パック1が電機機器に接続される(ステップST11)。
【0021】
続いて、電気機器がハイの信号を出力する。この信号が電池パック1のRX端子4に入力されることで、RX端子4で受信される信号のレベルがローからハイに変化する(ステップST12、ST13)。
【0022】
そして、オンスイッチ端子6にハイの信号が入力されることによりオンスイッチ端子6の端子電圧がハイになり、電池パック1、具体的には、MPU2が起動する(ステップST14)。一般的には、工場出荷時若しくは一旦、電池パック1の使用が停止された後のように、シャットダウンモードのMPU2は、オンスイッチ端子6の端子電圧がローからハイに変化することに応じて起動する。
【0023】
起動したMPU2の動作モードが、シャットダウンモードから通常動作モードに移行する。そして、電池パック1と電気機器との間で通信が開始される(ステップST15、ST16)。通信開始後は、通信ライン上の信号レベルがハイ及びローを適宜、変化する。UART通信の場合は、データの伝送がない場合の信号レベルがハイに設定されつつ、データの伝送を行う際に信号のレベルが適宜、ローに設定される。通信により必要な処理(電池パック1の認証処理等)が行われた後、電池パック1の電力が電気機器に対して供給され、電池パック1と電気機器との間の通電が開始される(ステップST17)。
【0024】
次に、電気機器が故障している場合について考える。図3のシーケンス図におけるステップST11〜ST15までの処理の内容は上述した通りである。本例では、電池パック1に接続される電気機器が故障している。異常がある電気機器は、正常な動作がなされず、電池パック1のRX端子4に対して、論理的なレベルが例えばハイで固まった信号を出力し続ける(ステップST21)。通常、電池パック1に接続される電気機器は、電池パック1への接続を検知した場合に、通信ライン上にハイの信号を出力する。その後、当該通信ラインを使用して通信を行い、通信内容に応じて信号のレベルがローに適宜、変化される。しかしながら、異常がある電気機器は、信号のレベルをローに変化させることができず、通信ライン上にハイの信号を出力し続ける。従って、電池パック1と電気機器との間の通信が行えない状態(NG状態)となる。このため、電池パック1と電気機器との間の通電が不能となる(ステップST22)。
【0025】
ステップST15において、起動したMPU2に対して電池部からの動作電圧が供給される。このため、電池部の残容量が徐々に低下し深放電してしまう虞がある。そこで、MPU2の動作モードを例えばシャットダウンモードに移行させることでMPU2の動作を停止させ、電池部の残容量の低下が進行することを防止する必要がある。
【0026】
一例として、MPU2は、電池部の電圧が、シャットダウンモードへ移行するために設定される閾値電圧以下になった場合に、動作モードをシャットダウンモードに移行させる必要があることをソフトウエア的に判別する(ステップST23)。しかしながら、オンスイッチ端子6の端子電圧がハイであるため、シャットダウンモードに移行できない(ステップST24)。このように、ソフトウエア的に動作モードを移行させる必要があることが認識されても、ハードウエア的な条件が整っていない、換言すれば、オンスイッチ端子6の端子電圧がローではないため、MPU2の動作モードが移行できないという問題がある。MPU2の動作モードが、消費電流が大きい通常動作モードから移行できないため、電池部の深放電等を招来する虞がある。
【0027】
係る問題は、図4のシーケンス図に示すように、電池パック1の初期状態における動作モードが低消費電力モードである場合も同様に生じる。なお、図4に示す例では、MPU2の動作モードが低消費電力モードであり、MPU2が起動していることから、ステップST14の処理は省略される。
【0028】
即ち、電池パック1の初期状態が低消費電力モードである場合でも、電池部の電圧が閾値電圧以下になると、MPU2は、動作モードをシャットダウンモードに移行させる必要があることを判別する。しかしながら、オンスイッチ端子6の端子電圧がハイであるため、シャットダウンモードに移行できず、電池部の深放電等を招来する虞がある。このように、一般的な構成を有する電池パック1では、接続対象の電気機器が故障等により一方の論理的なレベル(本例ではハイ)を出力し続ける場合に、通常動作モードからの動作モードの移行が不可能となるという問題があった。このため、消費電流を抑制することが不可能となり、電池部が深放電してしまう虞があった。以上の点に鑑みなされた本発明の実施の形態について、更に説明する。
【0029】
<1.第1の実施の形態>
[電池パックの構成例]
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る電池パック(電池パック10)の構成例を示す図である。図5に示すように、電池パック10は、制御部としてのMPU12、TX端子13、RX端子14及び電源15を含む構成を有している。なお、電池パック10は、MPU12に接続される不図示の電池部を有している。MPU12、RX端子14及び後述する制御回路により制御装置が構成される。
【0030】
MPU12は、不図示のROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有している。ROMには、MPU12によって実行されるプログラムが格納されている。RAMは、MPU12がROMに格納されたプログラムを実行する際のワークメモリや一時的なデータの記憶領域等として使用される。MPU12により電池パック10の動作が制御される。例えば、MPU12の制御に応じて、電池パック10の充放電を制御する処理や電池パック10の安全性を確保するための処理が行われる。なお、MPU12は、公知の回路構成により電池部と接続されており、電池部の電圧を検出可能に構成されている。
【0031】
MPU12は、オンスイッチ端子16を有している。本実施の形態では、オンスイッチ端子16が所定の入力端子としての起動端子に対応する。MPU12は、オンスイッチ端子16の端子電圧がローからハイに変化することをトリガーとして起動する。また、MPU12は、グランド(GND)端子17を有している。このグランド端子17にグランドラインGLが接続されている。
【0032】
MPU12は、MPU2と同様に、例えば、通常動作モード、シャットダウンモード及び低消費電力モードとの間で、動作モードが移行可能とされている。各動作モードについては、既に説明しているため重複した説明を省略する。なお、本実施の形態では、通常動作モードが第1の動作モードに対応し、シャットダウンモード及び低消費電力モードが第2の動作モードに対応する。第2の動作モードは、第1の動作モードより消費電流が小さい動作モードであれば良く、複数の動作モードでなく1個の動作モードでも良い。
【0033】
MPU12における動作モードの移行条件は、MPU2と同様である。即ち、MPU12は、シャットダウンモード又は低消費電力モードから通常動作モードに移行する際に、オンスイッチ端子16の端子電圧が2.6V以上であることを必要とする。以下に説明する実施の形態では、一例として、2.6V以上が論理的なレベルとしてのハイに対応し、2.6V未満が論理的なレベルとしてのローに対応する。
【0034】
また、MPU12は、電池パック10が有する電池部の電圧がある閾値電圧以下になり、且つ、オンスイッチ端子16の端子電圧がロー(2.6V未満)である場合に、シャットダウンモードに移行する。より具体的には、MPU12は、電池パック10が有する電池部の電圧がある閾値電圧以下になった場合に、オンスイッチ端子16の端子電圧がローであれば、動作モードをシャットダウンモードに移行することができる。
【0035】
TX端子13及びRX端子14は、通信ラインが接続される通信端子である。RX端子14に対してラインL1が接続されている。TX端子13及びRX端子14を介して、電池パック10が外部機器である電気機器と通信を行う。本実施の形態では、例えば、電池パック10と電気機器との間でUART通信が行われる。勿論、電池パック10と電気機器との間で他の方式の通信が行われても良い。なお、通信は、有線通信であっても良いし、無線通信であっても良い。電池パック10により生成された信号がTX端子13から電気機器に対して送信される。電気機器により生成された信号がRX端子14により受信される。
【0036】
電源15は、電池部の電圧をレギュレータ等により適宜変換することで生成されるMPU12の動作電源である。
【0037】
図5に示すように、ラインL1とグランドラインGLとの間に、ダイオードD1及び抵抗R1が接続されている。ダイオードD1のアノードがラインL1に接続され、カソードが抵抗R1の一端側に接続されており、抵抗R1の他端側がグランドラインGLに接続されている。ダイオードD1と抵抗R1との間の接続点CP1が、コンデンサC1を介してオンスイッチ端子16に接続されている。コンデンサC1とオンスイッチ端子16との間の接続点CP2とグランドラインGLとの間には、アノードがグランドラインGLに接続され、カソードが接続点CP2に接続されるダイオードD2が接続されている。また、接続点CP2とオンスイッチ端子16との間の接続点CP3とグランドラインGLとの間には、抵抗R2が接続されている。
【0038】
電池パック10は、オンスイッチ端子16とRX端子14との間に設けられた制御回路を有している。制御回路は、RX端子14に入力される信号の論理的なレベルがハイ又はローの一方のレベルで継続する場合に、MPU12が通常動作モードからシャットダウンモード又は低消費電力モードに移行可能な状態にすることができる。制御回路は、信号ライン及び信号ライン上における1個以上の回路素子を含むものである。ここで、回路素子とは、電気回路(制御回路)を構成する要素のうち、抵抗、コンデンサなど、導線(信号ライン)以外のものの総称である。
【0039】
本実施の形態に係る制御回路は、オンスイッチ端子16とRX端子14との間を直流的に分離する回路である。より具体的には、接続点CP1とオンスイッチ端子16との間に接続されるコンデンサC1及び信号ラインが制御回路に対応する。
【0040】
[電池パックの動作例]
(電気機器が正常である場合)
次に、図6図9を参照して、第1の実施の形態に係る電池パック10の動作例について説明する。
【0041】
図6に示すシーケンス図において、初期状態(電池パック10と電気機器とが接続前の状態)における電池パック10の動作モードはシャットダウンモードであり、電気機器は無通電状態である。まず、電池パック10が電機機器に接続される(ステップST101)。
【0042】
続いて、電気機器がハイの信号を出力する。電気機器が出力した信号が電池パック10のRX端子14に入力されることで、RX端子14における信号レベルがローからハイに変化する(ステップST102、ST103)。
【0043】
そして、RX端子14に入力されるハイの信号、具体的には、ローからハイへの立ち上がりに応じて、コンデンサC1によりワンショットのパルス信号が生成される。係るパルス信号がオンスイッチ端子16に入力され、オンスイッチ端子16の端子電圧がハイとなることにより、電池パック10、具体的には、MPU12が起動する(ステップST104)。
【0044】
起動したMPU12の動作モードが、シャットダウンモードから通常動作モードに移行する。そして、電池パック10と電気機器との間で通信が開始される(ステップST105、ST106)。通信開始後は、通信ライン上の信号レベルがハイ及びローに適宜、変化する。通信により必要な処理(電池パック10の認証処理等)が行われた後、電池パック10の電力が電気機器に対して供給され、電池パック10と電気機器との間で通電が開始される(ステップST107)。
【0045】
(電気機器に異常がある場合)
次に、電気機器に故障等に伴う異常がある場合について考える。図7のシーケンス図におけるステップST101〜ST103までの処理の内容は上述した通りである。RX端子14に入力されるハイの信号、具体的には、ローからハイへの立ち上がりに応じて、コンデンサC1によりワンショットのパルス信号が生成される。係るパルス信号がオンスイッチ端子16に入力され、オンスイッチ端子16の端子電圧がハイとなることにより、電池パック10、具体的には、MPU12が起動する(ステップST110)。
【0046】
ここで、電池パック10に接続される電気機器は故障しているため、正常な動作がなされず、電池パック10のRX端子14に対してハイの信号を出力し続ける(ステップST111)。この状態では、コンデンサC1に電流が流れなくなることから、オンスイッチ端子16の端子電圧がハイからローに変化する。
【0047】
図8A及び図8Bを参照して、具体的に説明する。図8Aは、RX端子14に接続される通信ライン上の信号レベルを示す図であり、図8Bは、オンスイッチ端子16の端子電圧を示す図である。各図における横軸は時間軸を示し、縦軸は電圧を示している。また、各図における点線は、2.6Vを示している。
【0048】
例えば、ある基準タイミングの0.5秒後に電池パック10と電気機器とが接続される。接続された電気機器に異常があるため、当該電気機器がハイの信号を出力し続ける。図8Aに示すように、電気機器から出力されたハイの信号が、電池パック10のRX端子14に入力され、コンデンサC1を介してオンスイッチ端子16に入力される。電池パック10と電気機器との接続時における信号レベルの立ち上がりに応じてコンデンサC1によりワンショットのパルス信号が生成され、係るパルス信号がオンスイッチ端子16に入力されることでオンスイッチ端子16の端子電圧がローからハイに変化し、MPU12が起動する。
【0049】
RX端子14で受信されるハイの信号によりコンデンサC1がチャージされる。チャージ後、コンデンサC1における電荷の移動がなくなるので、図8Bに示すように、オンスイッチ端子16の端子電圧がグランドと同電位、即ち、2.6V未満のローの状態になり、この状態が維持される(ステップST110)。
【0050】
MPU12は、通常動作モードで起動する(ステップST112)。異常がある電気機器は、電池パック1に対してハイの信号を出力し続けるため、電池パック10と電気機器との間の通信が行えない状態(NG状態)となる。このため、電池パック10と電気機器との間の通電が不能となる(ステップST113)。一方で、MPU12の動作モードは通常動作モードであることから、通常動作モードで動作できるように、電池部からMPU12に対して動作電圧が供給される。従って、電池部の電圧が徐々に低下する。
【0051】
MPU12は、電池部の電圧がシャットダウンモードへ移行するために設定される閾値電圧以下になった場合に、動作モードをシャットダウンモードに移行させる必要があることを判別する(ステップST114)。
【0052】
ここで、オンスイッチ端子16の端子電圧はローであるため、MPU12は、自身の動作モードを移行させることができる。具体的には、MPU12は、自身の動作モードを、通常動作モードからシャットダウンモードに移行させることができる(ステップST115)。
【0053】
電池パック1の初期状態における動作モードが低消費電力モードである場合に電池パック10に対して異常ある電気機器が接続された場合でも、MPU12は、自身の動作モードを低消費電力モードからシャットダウンモードに移行することができる。
【0054】
図9のシーケンス図に示すように、電気機器から供給されるハイの信号がRX端子14により受信される。コンデンサC1で生成されたワンショットのパルス信号がオンスイッチ端子16に入力され、オンスイッチ端子16の端子電圧がハイになる。これにより、MPU12の動作モードが低消費電力モードから通常動作モード移行する。異常がある電気機器はハイの信号を出力し続けるため、通信が不可能になる。この場合、MPU12は、信号を受信する待機状態において通信が不可能であり、かつ、オンスイッチ端子16がローであるために、動作モードを通常動作モードから低消費電力モードに移行する。
【0055】
上述したように、オンスイッチ端子16の端子電圧がローに維持される(ステップST118)。従って、電池部の電圧がシャットダウンモードに移行する閾値電圧以下になった場合でも、MPU12は、動作モードを低消費電力モードからシャットダウンモードに移行できる(ステップST114、ST115)。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、異常がある電気機器が電池パック10に対して接続され、当該電気機器から異常信号(例えば、ハイが継続する信号)が供給された場合でも、電池パック10がオンスイッチ端子16の端子電圧をローにできるように構成されている。従って、MPU12が動作モードの移行の必要性をソフトウエア的に認識した場合に、ハードウエア的な制約(例えば、オンスイッチ端子16の端子電圧がハイとなってしまう状態)が生じないので、MPU12は、自身の動作モードをシャットダウンモードに移行することができる。
【0057】
(安定化回路について)
本実施の形態に係る電池パック10は、少なくとも通信時における入力端子又は起動端子を安定化させる安定化回路を有している。本実施の形態では、ダイオードD1及びダイオードD2を含む回路により安定化回路が構成されている。
【0058】
電池パック10と電気機器とが接続されることに応じて、電気機器から電池パック10に対してハイの信号が供給される。なお、本例における電気機器は、異常がない機器であるものとして説明する。ハイの信号がRX端子14により受信され、コンデンサC1に電荷がチャージされる。その後、電池パック10と電気機器との間で、UART通信が行われる。通信開始後に、コンデンサC1にチャージされた電荷がRX端子14に接続される通信ラインに流れてしまうことをダイオードD1により防止することができる。従って、コンデンサC1にチャージされた電荷がRX端子14に接続される通信ラインに流れてしまうことによる、通信波形の劣化を防止することができる。
【0059】
また、UART通信において通信波形がローに落ちた際に、コンデンサC1のマイナス電荷によってオンスイッチ端子16の端子電圧が大きく振れないように、ダイオードD2を挿入することにより、グランドラインGLのグランドレベルを安定化させている。
【0060】
図10A図10Cは、本実施の形態に係る安定化回路を設けたことによる効果を説明するための図である。図10Aは、通信ライン上の通信波形の一例を示す図である。図10Bは、ダイオードD2がない場合のオンスイッチ端子16の端子電圧の一例を示す図である。図10Cは、ダイオードD2がある場合のオンスイッチ端子16の端子電圧の一例を示す図である。各図の横軸は時間軸を示し、縦軸は電圧を示している。
【0061】
図10Aに示すように通信波形がローとなる場合に、ダイオードD2がない構成では、図10Bに示すようにオンスイッチ端子16の端子電圧がマイナスに大きく振れてしまっている。しかしながら、ダイオードD2を設けることにより、図10Cに示すように、通信波形がローとなる場合にオンスイッチ端子16の端子電圧がマイナスに大きく振れてしまうことを抑制することができ、少なくとも通信時における入力端子又は起動端子を安定化させることができる。
【0062】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。特に断らない限り、第1の実施の形態で説明した事項は、第2の実施の形態に対しても適用することができる。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と制御回路の構成が異なっている。
【0063】
[電池パックの構成例]
図11は、第2の実施の形態に係る電池パック(電池パック20)の構成例を示す図である。電池パック20は、電池パック10と同様に、TX端子13、RX端子14及び電源15を有している。また、電池パック20は、MPU22を有している。MPU22は、MPU12と同様に、起動端子の一例であるオンスイッチ端子16及びグランドラインGLが接続されるグランド端子17を有すると共に、ハイの信号(例えば、2.6V以上の信号)を出力することが可能な3.3Vポート端子25及びレギュレータ端子26を有している。MPU22の動作モードが移行するハードウエア的な条件及びソフトウエア的な条件は、第1の実施の形態と同様である。
【0064】
電池パック20が有する制御回路は、少なくとも、第1のスイッチング素子の一例であるP型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor):Q1と、第2のスイッチング素子の一例であるN型のMOSFET:Q2を含む回路構成を有している。
【0065】
具体的には、RX端子14に接続されるラインL1とグランドラインGLと間に、ラインL1側から、ダイオードD21、抵抗R21、MOSFET:Q1及びMOSFET:Q2が接続されている。
【0066】
ダイオードD21のアノードがラインL1に接続され、ダイオードD21のカソードが抵抗R21の一端側に接続されている。ダイオードD21と抵抗R21との接続点CP21が、MOSFET:Q1のソース端子とダイオードD22との間の接続点CP22に接続されている。なお、MOSFET:Q1のソース端子は、ダイオードD22を介して、MPU22のレギュレータ端子26に接続されている。ダイオードD22のアノードがレギュレータ端子26に接続され、ダイオードD22のカソードがMOSFET:Q1のソース端子に接続されている。
【0067】
抵抗21の他端側とグランドラインGLと間の接続点CP23がMOSFET:Q1のゲート端子に接続されている。MOSFET:Q1とグランドラインGLとの間に、MOSFET:Q2が接続されている。MOSFET:Q1のゲート端子とMOSFET:Q2のドレイン端子とが接続されている。MOSFET:Q2のソース端子がグランドラインGLに接続されている。MOSFET:Q1とMOSFET:Q2との間の接続点CP24がオンスイッチ端子16に接続されている。
【0068】
MOSFET:Q2のゲート端子に対して、MPU22の3.3Vポート端子25が接続されている。MOSFET:Q2のゲート端子と3.3Vポート端子25との間の接続点CP25に対してMOSFET:Q1のドレイン端子が接続されている。また、接続点CP25とグランドラインGLとの間に抵抗R22が接続されている。
【0069】
[電池パックの動作例]
(電気機器が正常である場合)
次に、電池パック20の動作例について説明する。始めに、電池パック20に対して接続される電気機器が正常である場合における電池パック20の動作例について説明する。
【0070】
図12は、電池パック20の動作例を説明するためのシーケンス図である。図13は、電池パック20の動作例を説明する際に参照される図である。より具体的には、図13AはRX端子14に接続される通信ライン上の電圧波形を示し、図13Bはオンスイッチ端子16の端子電圧の波形を示し、図13Cは3.3Vポート端子25から出力される電圧の波形をそれぞれ示している。各図における横軸は時間軸を示し、縦軸は電圧を示している。また、各図における点線は、2.6Vを示している。
【0071】
図12に示すシーケンス図において、初期状態における電池パック20の動作モードはシャットダウンモードであり、電気機器は無通電状態である。また、初期状態における電池パック20のMOSFET:Q1及びMOSFET:Q2は、それぞれオフしている。
【0072】
電池パック20が電機機器に接続される(ステップST201)。続いて、電気機器がハイの信号を出力する。この信号が電池パック10のRX端子14に入力されることで、RX端子14における信号レベルがローからハイに変化する(ステップST202、ST203及び図13A)。ここで、MOSFET:Q2がオフであることから、ハイの信号がオンスイッチ端子16に供給され、オンスイッチ端子16の端子電圧がハイとなる(ステップST204及び図13B)。
【0073】
オンスイッチ端子16の端子電圧がローからハイに変化することに応じて、MPU22が起動する。MPU22は、起動後に3.3Vポート端子25から3.3Vの信号(制御信号の一例)を出力する。この信号がMOSFET:Q2のゲート端子に入力され、MOSFET:Q2がオンする。MOSFET:Q2がオンすることにより、MOSFET:Q1がオンし、ラインL1とグランドラインGLとが接続されることになり、オンスイッチ端子16の端子電圧がローになり、この状態が維持される(ステップST205、図13B及び図13C)。
【0074】
また、起動したMPU22の動作モードがシャットダウンモードから通常動作モードに移行する。そして、電池パック20と電気機器との間で通信が開始される(ステップST206、ST207)。必要な通信が適宜行われた後、電池パック20と電気機器との間の通電が開始される(ステップST208)。
【0075】
(電気機器に異常がある場合)
図14は、電気機器に異常がある場合の電池パック20の動作例を説明するためのシーケンス図である。図15は、電池パック20の動作例を説明する際に参照される図である。より具体的には、図15AはRX端子14に接続される通信ライン上の電圧波形を示し、図15Bはオンスイッチ端子16の端子電圧の波形を示し、図15Cは3.3Vポート端子25から出力される電圧の波形をそれぞれ示している。各図における横軸は時間軸を示し、縦軸は電圧を示している。また、各図における点線は、2.6Vを示している。
【0076】
図14におけるステップST201〜ステップST205及びステップST207の処理内容は、既に説明した通りである。ここで、電池パック20に対して接続される電気機器が故障しているため、電気機器において正常動作がなされない。このため、電気機器は、電池パック20のRX端子14に対して常時、ハイの信号を出力し続ける(ステップST211及び図15A)。従って、電池パック20と電気機器との間の正常な通信が不可能となり、電池パック20と電気機器との間の通電が不能となる(ステップST212)。
【0077】
ここで、通常動作モードに移行したMPU22に対して、電池部から動作電圧が供給されていることから、電池部の電圧が徐々に低下する。電池部の電圧が閾値電圧以下になった場合に、MPU22は、通常動作モードからシャットダウンモードに動作モードを移行させる必要があることを認識する。MPU22は、シャットダウンモードに移行するために、3.3Vポート端子25からの出力を停止する(オフする)(ステップST213及び図15C)。
【0078】
3.3Vポート端子25からの出力がオフされた場合でも、RX端子14に入力され続けるハイの信号が、ダイオードD21、抵抗R21、MOSFET:Q1を介してMOSFET:Q2のゲート端子に供給される。従って、3.3Vポート端子25からの出力がオフされた場合でも、MOSFET:Q2がオンし続け、オンスイッチ端子16の端子電圧がローである状態が維持される(ステップST214及び図15B)。
【0079】
オンスイッチ端子16の端子電圧がローである状態が維持されるため、MPU22は、動作モードを通常動作モードからシャットダウンモードに移行することができる(ステップST215)。
【0080】
電池パックの初期状態における動作モードが低消費電力モードである場合も、同様の処理が行われる。図16に示すシーケンス図において、図14に示した処理と異なる点は、ステップST217において、MPU22が起動した後に、動作モードが低消費電力モードから通常動作モードに移行する点である。その他の処理は、図14で説明した処理と同様である。電池パック20の初期状態における動作モードが低消費電力モードであり、且つ、異常がある電気機器から常時、ハイの信号が電池パック20に対して供給される場合であっても、電池パック20の動作モードを低消費電力モードからシャットダウンモードに移行させることができる。
【0081】
以上説明した第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。加えて、第2の実施の形態における制御回路ではコンデンサを使用しないために、容量定数の調整が容易になる。まず、オンスイッチ端子16がハイを認識するためには、ある一定時間(数μ秒〜数m秒)必要なのが一般的であるが、第1の実施の形態のようにコンデンサを使用した場合には、パルス時間のハイの時間の維持・調整のために、抵抗やコンデンサ容量の調整が必要になる。一方、第2の実施の形態における制御回路ではコンデンサを使用しないため、定数調整でパルス時間のタイミング等を調整する必要がなくなる。さらに、調整のためにコンデンサの容量定数を大きくする場合には、素子の実装面積が大きくなる等の問題が生じ得るが、そのような問題も回避することができる。
【0082】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。特に断らない限り、第1、第2の実施の形態で説明した事項は、第2の実施の形態に対しても適用することができる。第3の実施の形態では、MPUがオンスイッチ端子を有しない点等において、第1、第2の実施の形態と異なっている。
【0083】
[電池パックの構成例]
図17は、第3の実施の形態に係る電池パック(電池パック30)の構成例を示す図である。電池パック30は、電池パック10と同様に、TX端子13及びRX端子14を有している。また、電池パック30は、MPU32を有している。MPU32は、グランドラインGLが接続されるグランド端子17を有すると共に、ハイの信号(例えば、2.6V以上の信号)を出力することが可能な3.3Vポート端子35及び電池部から動作電圧が供給されるVdd端子36を有している。本実施の形態では、Vdd端子36が所定の入力端子に対応する。
【0084】
図17に示すように、RX端子14に接続されるラインL1とグランドラインGLとの間に、ダイオードD31及び抵抗R31が接続されている。ダイオードD31のアノードがラインL1に接続され、カソードが抵抗R31の一端側に接続されており、抵抗R31の他端側がグランドラインGLに接続されている。ダイオードD31と抵抗R31との間の接続点CP31が、コンデンサC31を介してN型のMOSFET:Q31のゲート端子に接続されている。
【0085】
コンデンサC31とMOSFET:Q31との間の接続点CP32とグランドラインGLとの間には、ダイオードD32が接続されている。ダイオードD32のアノードがグランドラインGLに接続されており、カソードが接続点CP32に接続されている。
【0086】
また、接続点CP32とMOSFET:Q31との間の接続点CP33とグランドラインGLとの間には、抵抗R32が接続されている。また、接続点CP33とMOSFET:Q31との間の接続点である接続点CP34に対して、MPU32の3.3Vポート端子35がダイオードD33を介して接続されている。ダイオードD33のアノードが3.3Vポート端子35に対して接続され、カソードが接続点CP34に接続されている。
【0087】
MOSFET:Q31のソース端子がグランドラインGLに接続されている。また、MOSFET:Q31のドレイン端子が抵抗R34を介して、P型のMOSFET:Q32のゲート端子に接続されている。MOSFET:Q32のソース端子がレギュレータ34に接続され、当該レギュレータ34は、MPU32のVdd端子36に接続されている。
【0088】
電池パック20は、電池部33を有している。電池部33の負極側がグランドラインGLに接続されている。電池部33の正極側がMOSFET:Q32のドレイン端子に接続されている。
【0089】
[電池パックの動作例]
(電気機器が正常である場合)
次に、第3の実施の形態に係る電池パック30の動作例について説明する。始めに、電気機器が正常である場合における電池パック30の動作例について説明する。
【0090】
図18に示すシーケンス図において、初期状態における電池パック30の動作モードはシャットダウンモードであり、電気機器は無通電状態である。電池パック30が電機機器に接続される(ステップST301)。
【0091】
続いて、電気機器がハイの信号を出力する。この信号が電池パック30のRX端子14に入力されることで、RX端子14における信号レベルがローからハイに変化する(ステップST302、ST303)。
【0092】
そして、RX端子14に入力されるハイの信号、具体的には、ローからハイへの立ち上がりに応じて、コンデンサC31によりワンショットのパルス信号が生成される。係るパルス信号がMOSFET:Q31のゲート端子に入力され、MOSFET:Q31がオンする(ステップST304)。
【0093】
MOSFET:Q31がオンすることに応じてMOSFET:Q32がオンし、レギュレータ34が動作する。レギュレータ34は、電池部33から供給される電圧に基づいてMPU32の動作電圧を生成する。レギュレータ34により生成された動作電圧がMPU32のVdd端子36に供給されることにより、MPU32が起動する(ステップST305)。このように、接続点CP31とMOSFET:Q31との間のラインは、RX端子14に信号レベルがハイである信号が入力された場合に、MOSFET:Q31をオンさせることにより、MPU32への動作電圧の供給を可能とする起動ラインSLに対応する。係る起動ラインSLを含む回路が、第3の実施の形態における制御回路に対応する。
【0094】
コンデンサC31から出力される信号は、ワンショットのパルス信号であるため、所定期間後、MOSFET:Q31がオフし、MPU32に対する動作電圧の供給が停止してしまう。そこで、MPU32は、MOSFET:Q31がオフする前に3.3Vポート端子35から3.3Vの信号を出力する(ステップST306)。この信号がMOSFET:Q31のゲート端子に入力されることにより、MOSFET:Q31がオンし続け、MPU32に対する動作電圧の供給が継続する。このように、起動ラインSLにおける信号レベル(起動ラインSL上の電位)、換言すれば、MOSTFET:Q31のゲート端子に入力される電圧の論理的なレベルがMPU32により可変とされる。
【0095】
起動したMPU32の動作モードが、シャットダウンモードから通常動作モードに移行する。そして、電池パック30と電気機器との間で通信が開始される(ステップST307、ST308)。通信開始後は、通信ライン上の信号レベルがハイ及びローを適宜、変化する。通信により必要な処理(電池パック30の認証処理等)が行われた後、電池パック30の電力が電気機器に対して供給され、電池パック30と電気機器との間で通電が開始される(ステップST309)。
【0096】
(電気機器に異常がある場合)
次に、電気機器が故障等しており、電気機器に異常がある場合について考える。図19のシーケンス図におけるステップST301〜ST307までの処理の内容は上述した通りである。本例では、電池パック30に対して接続される電気機器に異常があるため、電気機器では正常動作がなされず、電気機器は、電池パック30に対して、ハイの信号を出力し続ける(ステップST318)。
【0097】
電気機器が電池パック30に対してハイの信号を出力し続けるため、電池パック30と電気機器との間の正常な通信が不可能となり、電池パック30と電気機器との間の通電が不能となる(ステップST319)。
【0098】
MPU32の動作モードが通常動作モードに移行していることから、MPU32の動作電圧を供給する電池部33の電圧が徐々に低下する。MPU32は、電池部33の電圧が閾値電圧以下になった場合に、消費電流を小さくする必要性、即ち、動作モードを移行させる必要性を認識する。動作モードを移行させる必要性を認識したMPU32は、3.3Vポート端子35の出力をオフする(停止する)。3.3Vポート端子35からの出力がオフされることにより、起動ラインSLにおける信号レベルがローになり、MOSFET:Q31がオフする。MOSFET:Q31がオフすることにより、MOSFET:Q32及びレギュレータ34がオフし、Vdd端子36に対する動作電圧の供給が停止する。MPU32に対する動作電圧の供給が停止することにより、MPU32が通常動作モードからシャットダウンモードに移行する(ステップST320、ST321)。
【0099】
初期状態における電池パック30の動作モードが低消費電力モードである場合も同様の処理が行われる。図20におけるシーケンス図において、ステップST301〜ST303の処理は既に説明した通りである。なお、低消費電力モードでは、MPU32が常時3.3Vポート端子35から信号を出力し、MOSFET:Q31をオンしている状態で電池パック30が待機している。
【0100】
電気機器の接続に応じてMPU32のVdd端子36に対して動作電圧が供給され、MPU32の動作モードが低消費電力モードから通常動作モードに移行する(ステップST325)。電気機器に異常があるため、電池パック30と電気機器との間で正常な通信を行うことができず、電池パック30と電気機器との間の通電が不能になる。
【0101】
MPU32は、電池部33の電圧が閾値電圧以下になった場合に、消費電流を小さくする必要性、即ち、動作モードを移行させる必要性を認識する(ステップST326)。動作モードを移行させる必要性を認識したMPU32は、3.3Vポート端子35の出力をオフする(停止する)。3.3Vポート端子35からの出力がオフされることにより、起動ラインSLにおける信号レベルがローになり、MOSFET:Q31がオフする。MOSFET:Q31がオフすることにより、MOSFET:Q32及びレギュレータ34がオフし、MPU32に対する電池部33からの動作電圧の供給が停止する。即ち、MPU32のVdd端子36への入力が停止する。MPU32に対する動作電圧の供給が停止することにより、MPU32が通常動作モードからシャットダウンモードに移行する(ステップST320、ST321)。
【0102】
なお、電池パック30におけるダイオードD31、D32は、第1の実施の形態に係るダイオードD1、D2と同様に、安定化回路して機能する。ダイオードD31、D32により、通信品質の劣化が生じてしまうことを防止することができる。
【0103】
第3の実施の形態によれば、充電器等の電気機器が故障や通信エラー等して通信ラインに対する入力が長時間ハイに固まった場合でも、MPU等の動作モードを消費電力が小さいモードに移行させることができる。従って、電池部の深放電等が生じてしまうことを防止することができる。また、比較的単純な回路構成により実現でき、回路構成に係るコストを抑制することができる。
【0104】
<応用例>
次に、本発明の応用例について説明するが、本発明は、下記の応用例に限定されるものではない。第1の応用例は、本発明を車両用の蓄電システムに適用した例である。図21に、本発明が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0105】
このハイブリッド車両7200には、エンジン7201、発電機7202、電力駆動力変換装置7203、駆動輪7204a、駆動輪7204b、車輪7205a、車輪7205b、バッテリー7208、車両制御装置7209、各種センサ7210、充電口7211が搭載されている。
【0106】
ハイブリッド車両7200は、電力駆動力変換装置7203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置7203の一例は、モータである。バッテリー7208の電力によって電力駆動力変換装置7203が作動し、この電力駆動力変換装置7203の回転力が駆動輪7204a、7204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置7203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ7210は、車両制御装置7209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ7210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
【0107】
エンジン7201の回転力は発電機7202に伝えられ、その回転力によって発電機7202により生成された電力をバッテリー7208に蓄積することが可能である。
【0108】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置7203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置7203により生成された回生電力がバッテリー7208に蓄積される。
【0109】
バッテリー7208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口7211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0110】
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
【0111】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本発明は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本発明は有効に適用可能である。
【0112】
以上、本発明に係る技術が適用され得るハイブリッド車両7200の一例について説明した。本発明は、例えば、バッテリー7208やその周辺回路に適用することができる。
【0113】
次に、第2の応用例について説明する。第2の応用例は、本発明を住宅用の蓄電システムに適用した例である。図22は、蓄電システムの構成例を示す。例えば住宅9001用の蓄電システム9100においては、火力発電9002a、原子力発電9002b、水力発電9002c等の集中型電力系統9002から電力網9009、情報網9012、スマートメータ9007、パワーハブ9008等を介し、電力が蓄電装置9003に供給される。これと共に、家庭内発電装置9004等の独立電源から電力が蓄電装置9003に供給される。蓄電装置9003に供給された電力が蓄電される。蓄電装置9003を使用して、住宅9001で使用する電力が給電される。住宅9001に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0114】
住宅9001には、家庭内発電装置9004、電力消費装置9005、蓄電装置9003、各装置を制御する制御装置9010、スマートメータ9007、各種情報を取得するセンサ9011が設けられている。各装置は、電力網9009及び情報網9012によって接続されている。家庭内発電装置9004として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置9005及び/又は蓄電装置9003に供給される。電力消費装置9005は、冷蔵庫9005a、空調装置9005b、テレビジョン受信機9005c、風呂9005d等である。さらに、電力消費装置9005には、電動車両9006が含まれる。電動車両9006は、電気自動車9006a、ハイブリッドカー9006b、電気バイク9006cである。
【0115】
スマートメータ9007は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網9009は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つ又は複数を組み合わせても良い。
【0116】
各種のセンサ9011は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種センサ9011により取得された情報は、制御装置9010に送信される。センサ9011からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置9005を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置9010は、住宅9001に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0117】
パワーハブ9008によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置9010と接続される情報網9012の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信規格によるセンサネットワークを利用する方法がある。Bluetooth(登録商標)方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBee(登録商標)は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) 又はW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0118】
制御装置9010は、外部のサーバ9013と接続されている。このサーバ9013は、住宅9001、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ9013が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
【0119】
各部を制御する制御装置9010は、CPU、RAM、ROM等で構成され、この例では、蓄電装置9003に格納されている。制御装置9010は、蓄電装置9003、家庭内発電装置9004、電力消費装置9005、各種センサ9011、サーバ9013と情報網9012により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
【0120】
以上のように、電力が火力発電9002a、原子力発電9002b、水力発電9002c等の集中型電力系統9002のみならず、家庭内発電装置9004(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置9003に蓄えることができる。従って、家庭内発電装置9004の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、又は、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置9003に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置9003に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置9003によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0121】
なお、この例では、制御装置9010が蓄電装置9003内に格納される例を説明したが、スマートメータ9007内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム9100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0122】
以上、本発明に係る技術が適用され得る蓄電システム9100の一例について説明した。本発明は、例えば、蓄電装置9003に適用することができる。
【0123】
<変形例>
以上、本発明の複数の実施の形態について具体的に説明したが、本発明の内容は上述した複数の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0124】
上述した実施の形態では、消費電流が異なる動作モードを移行可能な構成としてMPUを例にしたが、これに限定されるものではなくMPU以外の構成を含んでいても良い。即ち、特許請求の範囲における制御部には、MPUの他に、動作モードの移行によって消費電流が異なる処理を行う回路、回路素子等の構成が含まれても良い。
【0125】
上述した実施の形態では、起動端子(オンスイッチ端子)の端子電圧がローであることが、動作モードを移行させるためのハードウエア的な条件として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、MPUが、オンスイッチ端子電圧や起動ライン上の電圧(電位)がローであることをソフトウエア的に判別するようにしても良い。
【0126】
上述した実施の形態で例示した端子電圧や信号の論理的なレベルが全て反対でもよい。例えば、上述した実施の形態において、オンスイッチ端子の端子電圧がハイであるときに、MPUが動作モードを移行できる構成であっても良い。但し、消費電力を抑制する観点から実施の形態で説明した端子電圧、信号等の論理的なレベルが好ましく、且つ、実用的である。
【0127】
上述した実施の形態において、MPUが動作モードを変更する条件として、電池部の電圧以外の情報(例えば、SoC(State of Charge))が使用されても良い。
【0128】
上述の実施の形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて実施の形態と異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などが含まれてもよい。
【符号の説明】
【0129】
10、20、30・・・電池パック、12、22、32・・・MPU、14・・・RX端子、15・・・電源、16・・・オンスイッチ端子、25,35・・・3.3Vポート端子、C1・・・コンデンサ、Q1,Q2・・・MOSFET、SL・・・起動ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22