(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.二次電池
1−1.全体構成
1−2.巻回電極体の構成
1−3.巻回電極体の構成に関する条件(幅、巻回層数および距離比)
1−4.動作
1−5.製造方法
1−6.作用および効果
2.変形例
3.二次電池の用途
3−1.電池パック(単電池)
3−2.電池パック(組電池)
3−3.電動車両
3−4.電力貯蔵システム
3−5.電動工具
【0021】
<1.二次電池>
まず、本技術の一実施形態の二次電池に関して説明する。
【0022】
ここで説明する二次電池は、例えば、電極反応物質の吸蔵放出現象を利用して電池容量(後述する負極20の容量)が得られる二次電池である。この電極反応物質は、電極反応(いわゆる充電反応)に関わる物質であり、その電極反応物質の種類は、特に限定されない。
【0023】
以下では、例えば、電極反応物質としてリチウムを用いる場合に関して説明する。電極反応物質としてリチウムを用いる二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池である。
【0024】
<1−1.全体構成>
図1は、二次電池の斜視構成を表している。ただし、
図1では、外装部材1と巻回電極体100とが互いに離間された状態を示している。
【0025】
この二次電池は、例えば、
図1に示したように、柔軟性(または可撓性)を有するフィルム状の外装部材1の内部に巻回電極体100が収納されたラミネートフィルム型の二次電池である。巻回電極体100には、例えば、正極リード2および負極リード3が接続されている。外装部材1と正極リード2との間には、例えば、密着フィルム4が挿入されていると共に、外装部材1と負極リード3との間には、例えば、密着フィルム5が挿入されている。
【0026】
[外装部材]
外装部材1は、巻回電極体100を収納するフィルム状の収納部材である。この外装部材1は、例えば、矢印Rの方向に折り畳み可能な1枚のフィルムであり、その外装部材1には、例えば、巻回電極体100を収納するための窪み1Uが設けられている。
【0027】
この外装部材1は、例えば、融着層、金属層および表面保護層が内側からこの順に積層された積層体(ラミネートフィルム)である。二次電池の製造工程では、例えば、融着層同士が巻回電極体100を介して互いに対向するように外装部材1が折り畳まれたのち、その融着層のうちの外周縁部同士が互いに融着される。融着層は、例えば、ポリプロピレンなどの高分子フィルムである。金属層は、例えば、アルミニウムおよびステンレス(SUS)などの金属箔である。表面保護層は、例えば、ナイロンなどの高分子フィルムである。ただし、外装部材1は、例えば、接着剤などを介して互いに貼り合わされた2枚のフィルムでもよい。
【0028】
[巻回電極体]
巻回電極体100は、充放電反応を進行させる二次電池の主要部(電池素子)であり、後述するように、正極10、負極20およびセパレータ30と共に液状の電解質である電解液を含んでいる。
【0029】
この巻回電極体100は、幅W、高さHおよび厚さTを有している。ここで説明した幅Wは、上記したように、巻回軸J(後述する
図2参照)と直交する方向における巻回電極体100の寸法であり、より具体的には、その巻回軸Jと直交する断面が扁平形状を有する巻回電極体100のうちの長軸方向(X軸方向)の寸法である。また、高さHは、巻回軸Jに沿った方向(Y軸方向)の寸法であると共に、厚さTは、巻回軸Jと直交する方向(Z軸方向)の寸法である。
【0030】
なお、巻回電極体100の詳細な構成に関しては、後述する(
図2〜
図4参照)。
【0031】
[正極リードおよび負極リード]
正極リード2は、正極10(後述する正極集電体11)に接続されており、外装部材1の内部から外部に向かって導出されている。この正極リード2は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料を含んでおり、その正極リード2の形状は、例えば、薄板状および網目状などのうちのいずれかである。
【0032】
負極リード3は、負極20(後述する負極集電体21)に接続されており、外装部材1の内部から外部に向かって導出されている。負極リード3の導出方向は、例えば、正極リード2の導出方向と同様の方向である。この負極リードは、例えば、銅などの導電性材料を含んでおり、その負極リード3の形状は、例えば、正極リード2の形状と同様である。
【0033】
[密着フィルム]
密着フィルム4,5のそれぞれは、外装部材1の内部に外気が侵入することを防止する部材である。密着フィルム4は、例えば、正極リード2に対して密着性を有する材料を含んでおり、密着フィルム5は、例えば、負極リード3に対して密着性を有する材料を含んでいる。これらの材料は、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂である。
【0034】
<1−2.巻回電極体の構成>
図2は、
図1に示した巻回電極体100の断面構成を表している。
図3は、
図2に示した巻回電極体100の平面構成を模式的に表している。
図4は、
図2に示した巻回電極体100の断面構成の一部(部分P)を拡大している。ただし、
図2では、XZ面に沿った巻回電極体100の断面を示していると共に、
図3では、巻回電極体100の外縁(輪郭)だけを示している。
【0035】
この巻回電極体10では、
図2に示したように、セパレータ30を介して正極10および負極20が互いに積層されていると共に、その正極10、負極20およびセパレータ30が巻回軸Jを中心として巻回されている。この巻回軸Jは、所定の方向(Y軸方向)に延在する軸(仮想軸)である。ここでは、例えば、正極10が最外周に配置されるように、その正極10および負極20が巻回されている。電解液は、例えば、正極10、負極20およびセパレータ30のそれぞれに含浸されている。なお、巻回電極体100の表面は、例えば、保護テープなどの被覆部材により保護されていてもよい。
【0036】
特に、二次電池の製造工程では、例えば、後述するように、平坦部300Aおよび一対の湾曲部300Bを含む治具300を用いて正極10、負極20およびセパレータ30が巻回されることにより、巻回電極体100が形成される(
図9参照)。このため、巻回軸Jと直交する巻回電極体100の断面(XZ面)は、
図2に示したように、扁平形状を有している。
【0037】
より具体的には、巻回電極体100の断面は、治具300の形状に対応した形状(扁平形状)を有している。すなわち、巻回電極体100の断面の形状(扁平形状)は、
図3に示したように、平坦部100Aと、その平坦部100Aを介して互いに対向する一対の湾曲部100Bとにより画定されている。
図3では、平坦部100Aと湾曲部100Bとを互いに識別しやすくするために、その平坦部100Aと湾曲部100Bとの境界に破線を付している。
【0038】
[正極]
正極10は、例えば、
図4に示したように、正極集電体11と、その正極集電体11に形成された正極活物質層12とを含んでいる。
【0039】
正極集電体11は、内側面および外側面を有しており、例えば、アルミニウムなどの導電性材料を含んでいる。正極活物質層12は、正極集電体11の内側面に形成された内側層12Aと、その正極集電体11の外側面に形成された外側層12Bとを含んでいる。
【0040】
この正極活物質層12、すなわち内側層12Aおよび外側層12Bのそれぞれは、正極活物質として、リチウムを吸蔵放出可能である正極材料を含んでいる。ただし、正極活物質層12は、さらに、正極結着剤および正極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
【0041】
正極材料は、例えば、リチウム含有化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。高いエネルギー密度が得られるからである。リチウム含有化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、リチウム含有複合酸化物およびリチウム含有リン酸化合物などである。リチウム含有複合酸化物は、リチウムと1種類または2種類以上の他元素とを構成元素として含む酸化物の総称であり、例えば、層状岩塩型およびスピネル型などの結晶構造を有している。リチウム含有リン酸化合物は、リチウムと1種類または2種類以上の他元素とを構成元素として含むリン酸化合物の総称であり、例えば、オリビン型などの結晶構造を有している。
【0042】
他元素は、リチウム以外の元素である。他元素の種類は、特に限定されないが、例えば、長周期型周期表のうちの2族〜15族に属する元素であり、より具体的には、ニッケル、コバルト、マンガンおよび鉄などである。高い電圧が得られるからである。
【0043】
層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物は、例えば、LiNiO
2 、LiCoO
2 、LiCo
0.98Al
0.01Mg
0.01O
2 、LiNi
0.5 Co
0.2 Mn
0.3 O
2 、LiNi
0.8 Co
0.15Al
0.05O
2 、LiNi
0.33Co
0.33Mn
0.33O
2 、Li
1.2 Mn
0.52Co
0.175 Ni
0.1 O
2 およびLi
1.15(Mn
0.65Ni
0.22Co
0.13)O
2 などである。スピネル型の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物は、例えば、LiMn
2 O
4 などである。オリビン型の結晶構造を有するリチウム含有リン酸化合物は、例えば、LiFePO
4 、LiMnPO
4 、LiFe
0.5 Mn
0.5 PO
4 およびLiFe
0.3 Mn
0.7 PO
4 などである。
【0044】
内側層12Aおよび外側層12Bのそれぞれの厚さは、特に限定されないが、例えば、37.5μm〜55μmである。また、内側層12Aおよび外側層12Bのそれぞれの面積密度は、特に限定されないが、例えば、内側層12Aおよび外側層12Bの双方を併せて30mg/cm
2 〜45mg/cm
2 である。
【0045】
正極結着剤は、例えば、合成ゴムおよび高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドなどである。
【0046】
正極導電剤は、例えば、炭素材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、正極導電剤は、金属材料および導電性高分子などでもよい。
【0047】
この正極10では、例えば、正極活物質層12が正極集電体11の一部だけに形成されている。具体的には、正極集電体11は、例えば、
図2に示したように、内側層12Aおよび外側層12Bの双方が形成されていない非形成部11S,11Eを含んでいる。非形成部11Sは、例えば、正極10の巻回方向における巻外側(最外周)の端部から巻内側に向かって延在していると共に、非形成部11Eは、例えば、正極10の巻回方向における巻内側(最内周)の端部から巻外側に向かって延在している。正極10の巻回方向における非形成部11Sの長さは、特に限定されないが、例えば、巻外側の端部から約半周分の長さである。正極10の巻回方向における非形成部11Eの長さは、特に限定されないが、例えば、巻内側の端部から約半周分の長さである。
【0048】
巻外側における内側層12Aの形成範囲と巻外側における外側層12Bの形成範囲とは、例えば、互いに異なっている。具体的には、巻外側における内側層12Aの端部の位置は、例えば、巻外側における外側層12Bの端部の位置よりも巻外側にずれている。
【0049】
巻内側における内側層12Aの形成範囲と巻内側における外側層12Bの形成範囲とは、例えば、互いに一致している。すなわち、巻内側における内側層12Aの端部の位置は、例えば、巻内側における外側層12Bの端部の位置に一致している。
【0050】
なお、巻外側および巻内側のそれぞれにおける内側層12Aの端部およびその近傍には、例えば、その端部に起因する段差の影響を抑制するために、段差緩和用のテープが設けられていてもよい。同様に、巻外側および巻内側のそれぞれにおける外側層12Bの端部およびその近傍には、例えば、段差緩和用のテープが設けられていてもよい。
【0051】
[負極]
負極20は、例えば、
図4に示したように、負極集電体21と、その負極集電体21に形成された負極活物質層22とを含んでいる。
【0052】
負極集電体21は、内側面および外側面を有しており、例えば、銅などの導電性材料を含んでいる。負極活物質層22は、例えば、負極集電体21の内側面に形成された内側層22Aと、その負極集電体21の外側面に形成された外側層22Bとを含んでいる。
【0053】
この負極活物質層22、すなわち内側層22Aおよび外側層22Bのそれぞれは、負極活物質として、リチウムを吸蔵放出可能である負極材料を含んでいる。ただし、負極活物質層22は、さらに、負極結着剤および負極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
【0054】
充電途中において意図せずにリチウム金属が負極20の表面に析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は、正極10の放電容量よりも大きいことが好ましい。すなわち、負極材料の電気化学当量は、正極10の電気化学当量よりも大きいことが好ましい。
【0055】
負極材料は、例えば、炭素材料および金属系材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0056】
炭素材料は、炭素を構成元素として含む材料の総称であり、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。リチウムの吸蔵放出時において炭素材料の結晶構造がほとんど変化しないため、高いエネルギー密度が安定に得られるからである。また、炭素材料が負極導電剤としても機能するため、負極活物質層22の導電性が向上するからである。
【0057】
より具体的には、炭素材料は、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭およびカーボンブラック類などであり、そのコークス類は、例えば、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどを含んでいる。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)された焼成物である。この他、炭素材料は、例えば、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素でもよいし、非晶質炭素でもよい。炭素材料の形状は、例えば、繊維状、球状、粒状および鱗片状などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0058】
中でも、炭素材料は、天然黒鉛および人造黒鉛のうちの一方または双方を含んでいることが好ましい。十分に高いエネルギー密度が安定に得られると共に、負極活物質層22の導電性が十分に向上するからである。
【0059】
金属系材料は、金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料の総称である。より高いエネルギー密度が得られるからである。
【0060】
この金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を含む材料でもよい。ここで説明する単体は、微量の不純物を含んでいてもよいため、その単体の純度は、必ずしも100%に限られない。ただし、合金は、例えば、2種類以上の金属元素を含んでいるだけでなく、1種類または2種類以上の金属元素と1種類または2種類以上の半金属元素とを含んでいてもよい。また、合金は、1種類または2種類以上の非金属元素を含んでいてもよい。金属系材料の組織は、例えば、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物およびそれらの2種類以上の共存物などである。
【0061】
金属元素および半金属元素のそれぞれは、例えば、リチウムと合金を形成可能である。具体的には、金属元素および半金属元素は、例えば、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、銀、亜鉛、ハフニウム、ジルコニウム、イットリウム、パラジウムおよび白金などである。
【0062】
中でも、金属系材料は、ケイ素を構成元素として含む材料であることが好ましい。すなわち、金属系材料は、上記したように、ケイ素の単体、ケイ素の合金およびケイ素の化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上であることが好ましい。十分に高いエネルギー密度が安定に得られるからである。
【0063】
ケイ素の合金は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、炭素および酸素などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金に関して説明した一連の構成元素を含んでいてもよい。
【0064】
ケイ素の合金およびケイ素の化合物は、例えば、SiB
4 、SiB
6 、Mg
2 Si、Ni
2 Si、TiSi
2 、MoSi
2 、CoSi
2 、NiSi
2 、CaSi
2 、CrSi
2 、Cu
5 Si、FeSi
2 、MnSi
2 、NbSi
2 、TaSi
2 、VSi
2 、WSi
2 、ZnSi
2 、SiC、Si
3 N
4 、Si
2 N
2 O、SiO
v (0<v≦2)、およびLiSiOなどである。ただし、vの範囲は、例えば、0.2<v<1.4でもよい。
【0065】
中でも、負極材料は、以下で説明する理由により、炭素材料および金属系材料の双方を含んでいることが好ましい。
【0066】
金属系材料、特に、ケイ素を構成元素として含む材料は、理論容量が高いという利点を有する反面、充放電時において激しく膨張収縮しやすいという懸念点を有する。一方、炭素材料は、理論容量が低いという懸念点を有する反面、充放電時において膨張収縮しにくいという利点を有する。よって、炭素材料と金属系材料とを併用することにより、高い理論容量(すなわち電池容量)が担保されながら、充放電時において負極活物質層22の膨張収縮が抑制される。
【0067】
内側層22Aおよび外側層22Bのそれぞれの厚さは、特に限定されないが、例えば、47.5μm〜72.5μmである。また、内側層22Aおよび外側層22Bのそれぞれの面積密度は、特に限定されないが、例えば、内側層22Aおよび外側層22Bの双方を併せて15mg/cm
2 〜25mg/cm
2 である。
【0068】
負極結着剤に関する詳細は、例えば、上記した正極結着剤に関する詳細と同様である。負極導電剤に関する詳細は、例えば、上記した負極導電剤に関する詳細と同様である。
【0069】
負極活物質層22の形成方法は、特に限定されないが、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などである。気相法は、例えば、物理堆積法および化学堆積法などであり、より具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長法(CVD)およびプラズマ化学気相成長法などである。液相法は、例えば、電解鍍金法および無電解鍍金法などである。焼成法は、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法およびホットプレス焼成法などである。
【0070】
この負極20では、例えば、負極活物質層22が負極集電体21の一部だけに形成されている。具体的には、負極集電体21は、例えば、
図2に示したように、内側層22Aおよび外側層22Bの双方が形成されていない非形成部21S,21Eを含んでいる。非形成部21Sは、例えば、負極20の巻回方向における巻外側(最外周)の端部から巻内側に向かって延在していると共に、非形成部21Eは、例えば、負極20の巻回方向における巻内側(最内周)の端部から巻外側に向かって延在している。負極20の巻回方向における非形成部21Sの長さは、特に限定されないが、例えば、巻外側の端部から約半周分の長さである。負極20の巻回方向における非形成部21Eの長さは、特に限定されないが、例えば、巻内側の端部から約半周分の長さである。
【0071】
巻外側における内側層22Aの形成範囲と巻外側における外側層22Bの形成範囲とは、例えば、互いに一致している。すなわち、巻外側における内側層22Aの端部の位置は、例えば、巻外側における外側層22Bの端部の位置に一致している。
【0072】
巻内側における内側層22Aの形成範囲と巻内側における外側層22Bの形成範囲とは、例えば、互いに異なっている。具体的には、巻内側における内側層22Aの端部の位置は、例えば、巻内側における外側層22Bの端部の位置よりも巻外側にずれている。
【0073】
なお、正極10と同様に、負極20に段差緩和用のテープが設けられていてもよい。具体的には、例えば、巻外側および巻内側のそれぞれにおける内側層22Aの端部およびその近傍に段差緩和用のテープが設けられていてもよいし、巻外側および巻内側のそれぞれにおける外側層22Bの端部およびその近傍に段差緩和用のテープが設けられていてもよい。
【0074】
[セパレータ]
セパレータ30は、例えば、多孔質膜を含んでいる。セパレータ30の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm〜20μmである。この多孔質膜は、例えば、合成樹脂およびセラミックなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その合成樹脂は、例えば、ポリエチレンなどである。ただし、セパレータ30は、例えば、2種類以上の多孔質膜が互いに積層された積層膜でもよい。
【0075】
なお、セパレータ30は、例えば、上記した多孔質膜(基材層)と、その基材層の片面または両面に設けられた高分子化合物層とを含んでいてもよい。高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を含んでおり、さらに、無機粒子などの絶縁性粒子を含んでいてもよい。無機粒子の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムなどである。
【0076】
[電解液]
電解液は、例えば、溶媒および電解質塩を含んでいる。
【0077】
溶媒は、例えば、有機溶媒などの非水溶媒のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その非水溶媒は、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、ラクトン、鎖状カルボン酸エステルおよびニトリル(モノニトリル)化合物などである。環状炭酸エステルは、例えば、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどである。鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルなどである。ラクトンは、例えば、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンなどである。鎖状カルボン酸エステルは、例えば、酢酸メチル、酢酸エチルおよびプロピオン酸メチルなどである。ニトリル化合物は、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリルおよび3−メトキシプロピオニトリルなどである。
【0078】
また、非水溶媒は、例えば、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルホン酸エステル、酸無水物、ジシアノ化合物(ジニトリル化合物)およびジイソシアネート化合物、リン酸エステルなどでもよい。不飽和環状炭酸エステルは、例えば、例えば、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンおよび炭酸メチレンエチレンなどである。ハロゲン化炭酸エステルは、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび炭酸フルオロメチルメチルなどである。スルホン酸エステルは、例えば、1,3−プロパンスルトンおよび1,3−プロペンスルトンなどである。酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水エタンジスルホン酸、無水プロパンジスルホン酸、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸および無水スルホ酪酸などである。ジニトリル化合物は、例えば、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリルおよびフタロニトリルなどである。ジイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどである。リン酸エステルは、例えば、リン酸トリメチルおよびリン酸トリエチルなどである。
【0079】
電解質塩は、例えば、リチウム塩などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、そのリチウム塩は、例えば、フッ化リン酸リチウム(LiPF
6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF
4 )、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(SO
2 F)
2 )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF
3 SO
2 )
2 )、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF
2 O
2 )およびフルオロリン酸リチウム(Li
2 PFO
3 )などである。電解質塩の含有量は、特に限定されないが、例えば、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下である。
【0080】
<1−3.巻回電極体の構成に関する条件(幅、巻回層数および距離比)>
図5および
図6のそれぞれは、
図2に示した巻回電極体100の構成の一部を拡大している。ただし、
図5では、平坦部100Aおよび湾曲部100Bを示していると共に、
図6では、平坦部100Aを示している。また、
図5および
図6のそれぞれでは、正極10および負極20のそれぞれの構成を模式的に示していると共に、セパレータ30の図示を省略している。
【0081】
この二次電池では、巻回電極体100のうちの場所に応じて、互いに隣り合う2つの負極集電体21の間の距離D(いわゆる負極間距離)が適正化されている。以下では、距離D(D1,D2)および巻回層数Nのそれぞれの定義に関して説明したのち、巻回電極体100の構成に関する条件(幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1)およびその構成条件の測定方法に関して説明する。
【0082】
[距離D2の定義]
湾曲部100Bにおける距離Dは、距離D2(第2距離)である。この距離D2は、上記したように、湾曲部100Bの構成に基づいて求められるパラメータであり、より具体的には、その湾曲部100Bにおいて測定された複数の距離D(互いに隣り合う2つの負極集電体21の間の距離D)の中央値(メジアン値)である。
【0083】
距離D2の定義(特定手順)は、以下で説明する通りである。ここでは、距離D2の定義を説明するために、
図5を参照する。
図5では、例えば、上記したように、最外周に正極10が配置されていると共に、その最外周の正極10では正極集電体11に内側層12Aだけが形成されている。また、例えば、最内周に負極20が配置されていると共に、その最内周の負極20では負極集電体21に外側層22Bだけが形成されている。なお、
図5では、例えば、巻回層数Nが11である場合を示している。
【0084】
距離D2を特定するためには、最初に、最内周の負極集電体21の折り返し点を点Aとしたのち、その点Aを通る厚さ方向(Z軸方向)の直線S1を引く。続いて、最外周の負極集電体21が直線S1と交わる2つの点を点B,Cとする。続いて、負極集電体21に沿うように点Bから湾曲部100Bの内側に向かって0.05mmだけシフトした点を点Dとしたのち、点A,Dのそれぞれを通る直線S2を引く。続いて、最外周の負極集電体21よりも内側に位置している各負極集電体21が直線S2と交わる点を点E,F,G,H,Iとする。続いて、点D,E間の距離、点E,F間の距離、点F,G間の距離、点G,H間の距離および点H,I間の距離を測定する。
【0085】
続いて、負極集電体21に沿うように点Dから湾曲部100Bの内側に向かって0.05mmだけシフトした点を新たな点Dとすると共に、点A,Dのそれぞれを通る直線S2を新たに引いたのち、その直線S2に基づいて再び点E,F,G,H,Iを設定することにより、再び点D,E間の距離、点E,F間の距離、点F,G間の距離、点G,H間および点H,I間の距離の距離を測定する。
図5では、図示内容を簡略化するために、新たな直線S2をだけを示しており、新たな点D,E,F,G,H,Iの図示を省略している。こののち、新たに設定された点Dが点Cを越えない範囲内において、ここで説明した新たな直線S2および新たな点D,E,F,G,H,Iに基づいて4箇所の距離を測定する作業を繰り返す。
【0086】
最後に、上記した手順により測定された一連の距離の中央値(メジアン値)を演算することにより、そのメジアン値を距離D2とする。この距離D2は、上記した特定手順から明らかなように、湾曲部100Bの内部において測定された一連の距離Dの平均値(中央値)である。なお、距離D2の値は、小数点第二位の値を四捨五入した値とする。
【0087】
[距離D1の定義]
平坦部100Aにおける距離Dは、距離D1(第1距離)である。この距離D1は、上記したように、平坦部100Aの構成に基づいて求められるパラメータであり、より具体的には、その平坦部100Aにおいて測定された複数の距離D(互いに隣り合う2つの負極集電体21の間の距離D)の中央値(メジアン値)である。
【0088】
距離D1の定義(特定手順)は、以下で説明する通りである。ここでは、距離D1の定義を説明するために、
図5および
図6を参照する。
図5に関して説明した前提条件は、
図6に関しても同様である。
【0089】
距離D1を特定するためには、最初に、
図5を参照しながら説明した手順により、点Aを通る直線S1を引くと共に、点B,Cを設定する。続いて、
図5および
図6に示したように、負極集電体21に沿うように点Bから平坦部100Aの内側に向かって5mmだけシフトした点を点Jとすると共に、負極集電体21に沿うように点Cから平坦部100Aの内側に向かって5mmだけシフトした点を点Kとしたのち、点J,Kのそれぞれを通る直線S3を引く。続いて、
図6に示したように、点Jからさらに平坦部100Aの内側に向かって5mmだけシフトした点を点Lとすると共に、点Kからさらに平坦部100Aの内側に向かって5mmだけシフトした点を点Mとしたのち、点L,Mのそれぞれを通る直線S4を引く。続いて、最外周の負極集電体21(点J,K)よりも内側に位置している各負極集電体21が直線S3と交わる点を点N,O,P,Q,R,S,T,U,V,Wとする。続いて、点J,N間の距離、点N,O間の距離、点O,P間の距離、点P,Q間の距離、点Q,R間の距離、点K,S間の距離、点S,T間の距離、点T,U間の距離、点U,V間の距離および点V,W間の距離を測定する。
【0090】
続いて、負極集電体21に沿うように点Jから平坦部100Aの内側に向かって0.05mmだけシフトした点を新たな点Jとすると共に、負極集電体21に沿うように点Kから平坦部100Aの内部に向かって0.05mmだけシフトした点を新たな点Kとすることにより、点J,Kのそれぞれを通る直線S3を新たに引いたのち、その直線S3に基づいて再び点N,O,P,Q,R,S,T,U,V,Wを設定することにより、再び点J,N間の距離、点N,O間の距離、点O,P間の距離、点P,Q間の距離、点Q,R間の距離、点K,S間の距離、点S,T間の距離、点T,U間の距離、点U,V間の距離および点V,W間の距離を測定する。
図6では、図示内容を簡略化するために、新たな直線S3をだけを示しており、新たな点N,O,P,Q,R,S,T,U,V,Wの図示を省略している。こののち、新たに設定された点Jが点Lを越えないと共に新たに設定された点Kが点Mを越えない範囲内において、ここで説明した新たな直線S3および新たな点N,O,P,Q,R,S,T,U,V,Wに基づいて10箇所の距離を測定する作業を繰り返す。
【0091】
最後に、上記した手順により測定された一連の距離の中央値(メジアン値)を演算することにより、そのメジアン値を距離D1とする。この距離D1は、上記した特定手順から明らかなように、平坦部100Aの内部において測定された一連の距離Dの平均値(中央値)である。なお、距離D1の値は、小数点第二位の値を四捨五入した値とする。
【0092】
[巻回層数Nの定義]
巻回層数Nは、上記したように、正極10、負極20およびセパレータ30が巻回されている回数を表す指標であり、より具体的には、
図5に示したように、基準線である直線S1と交差するように延在している正極10の数(層数)である。
【0093】
ただし、直線S1と交差している正極10において、正極集電体11に内側層12Aおよび外側層12Bの双方が設けられている場合には、巻回層数Nを決定するためにカウントされる正極10のカウント数を1とする。また、直線S1と交差している正極10において、正極集電体11に内側層12Aおよび外側層12Bのうちのいずれか一方だけが設けられている場合には、巻回層数Nを決定するためにカウントされる正極10のカウント数を0.5とする。
【0094】
図5では、例えば、上記したように、直線S1に対して交差している正極10において、内側層12Aだけを含む正極10の数が2個であると共に、内側層12Aおよび外側層12Bの双方を含む正極10の数が10個である。よって、巻回層数Nは、N=0.5×2+1×10=11となる。
【0095】
[構成条件(幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1)]
この二次電池では、幅Wおよび巻回層数Nとの関係において距離比D2/D1が適正化されている。なお、距離比D2/D1の値は、小数点第四位の値を四捨五入した値とする。具体的には、幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1という三者のパラメータに関して、以下で説明する条件Aおよび条件Bのうちのいずれかが満たされている。
【0096】
条件Aでは、幅Wが30mm以上160mm以下であると共に、巻回層数がN8以上19以下である場合には、距離比D2/D1が0.989以下である。条件Bでは、幅Wが160mmよりも大きいと共に、巻回層数Nが15以上である場合には、距離比D2/D1が0.989以下である。
【0097】
上記した条件Aおよび条件Bのうちのいずれかが満たされているのは、互いに隣り合う2つの負極集電体21の間の距離が平坦部100Aよりも湾曲部100Bにおいて適正に小さくなるからである。この場合には、巻回電極体100の形成時、すなわち正極10、負極20およびセパレータ30の巻回時において、平坦部100Aよりも湾曲部100Bにおいて正極10、負極20およびセパレータ30が強く巻かれるため、その正極10、負極20およびセパレータ30が強く締め付けられる。これにより、湾曲部100Bでは、巻回時の締め付けに起因する拘束力が平坦部100Aより増加するだけでなく、物理的強度も平坦部100Aより増加するため、充放電時において巻回電極体100が幅方向(X軸方向)に膨張しにくくなる。よって、充放電時において放電容量が担保されながら二次電池が膨張しにくくなる。
【0098】
なお、条件Aおよび条件Bにおいて巻回層数Nが8以上であるのは、その巻回層数Nが8未満であると、上記した巻回時の締め付けに起因する拘束力が根本的に不足するため、幅Wおよび距離比D2/D1のそれぞれを調整しても二次電池の膨張を抑制することができないからである。
【0099】
中でも、距離比D2/D1は、0.930以上であることが好ましい。充電時において、巻回電極体100が幅方向に膨張しにくくなるだけでなく厚さ方向(Z軸方向)にも膨張しにくくなるため、二次電池がより膨張しにくくなるからである。
【0100】
[測定方法]
図7および
図8のそれぞれは、コンピュータ断層撮影法を用いて測定された巻回電極体100のラインプロファイルを表している。ただし、
図7では、
図5に示した湾曲部100Bのラインプロファイルを示しており、
図7中に示したI,H,G,F,E,Dという文字は、
図5に示した点I,H,G,F,E,Dに対応している。
図8では、
図6に示した平坦部100Aのラインプロファイルを示しており、
図8中に示したK,S,T,U,V,W,R,Q,P,O,N,Jという文字は、
図6に示した点K,S,T,U,V,W,R,Q,P,O,N,Jに対応している。
【0101】
距離D2を求めるためには、例えば、光源としてX線を用いたコンピュータ断層撮影装置、いわゆるX線CT(Computed Tomography )スキャンを用いて湾曲部100Bを測定する。これにより、
図7に示したように、湾曲部100Bのラインプロファイルが得られる。このラインプロファイルでは、横軸が距離(湾曲部100B中の位置)を表していると共に、縦軸がX線の検出強度を表している。例えば、正極活物質層12がリチウム含有化合物(コバルト酸リチウム(LiCoO
2 ))を含んでいると共に、負極集電体21が銅を含んでいる場合には、
図7に示したように、リチウム含有化合物のX線透過性と銅のX線透過性との差違に起因して、正極活物質層12の存在位置に複数のピークP0が検出されると共に、負極集電体21の存在位置にピークP1〜P6が検出される。ピークP1〜P6のそれぞれは、点I,H,G,F,E,Dのそれぞれに存在する負極集電体21に起因している。
【0102】
この湾曲部100Bのラインプロファイルに基づいて、点D,E間の距離、点E,F間の距離、点F,G間の距離、点G,H間の距離および点H,I間の距離を測定する。すなわち、ピークP1,P2間の距離(ピークトップ間距離)X1は、点H,I間の距離である。ピークP2,P3間の距離X2は、点G,Hの間距離である。ピークP3,P4間の距離X3は、点F,G間の距離である。ピークP4,P5間の距離X4は、点E,F間の距離である。ピークP5,P6間の距離X5は、点D,E間距離である。もちろん、距離D2を求める場合には、直線S2ごとに、湾曲部100Bのラインプロファイルに基づいて4箇所の距離を測定する作業を繰り返す。距離D2を求めるために必要な一連の距離を測定したのち、その一連の距離の中央値を演算することにより、距離D2を求めることができる。
【0103】
距離D1を求めるためには、例えば、距離D2を求めた場合と同様の手順により、
図8に示したように、湾曲部100Bのラインプロファイルに代えて平坦部100Aのラインプロファイルを得たのち、その平坦部100Aのラインプロファイルに基づいて距離D1を演算する。
【0104】
具体的には、
図8に示したように、ピークP7〜P18のそれぞれは、点K,S,T,U,V,W,R,Q,P,O,N,Jのそれぞれに存在する負極集電体21に起因していると共に、複数のピークP0は、正極活物質層12(リチウム含有化合物であるコバルト酸リチウム)の存在に起因している。平坦部100Aのラインプロファイルに基づいて、点J,N間の距離(ピークP17,P18間の距離Y10)、点N,O間の距離(ピークP16,P17間の距離Y9)、点O,P間の距離(ピークP15,P16間の距離Y8)、点P,Q間の距離(ピークP14,P15間の距離Y7)、点Q,R間の距離(ピークP13,P14間の距離Y6)、点K,S間の距離(ピークP7,P8間の距離Y1)、点S,T間の距離(ピークP8,P9間の距離Y2)、点T,U間の距離(ピークP9,P10間の距離Y3)、点U,V間の距離(ピークP10,P11間の距離Y4)および点V,W間の距離(ピークP11,P12間の距離Y5)を測定する。もちろん、距離D1を求める場合には、直線S3ごとに、平坦部100Aのラインプロファイルに基づいて10箇所の距離を測定する作業を繰り返す。一連の距離を測定したのち、その一連の距離の中央値を演算することにより、距離D1を求めることができる。
【0105】
上記した距離D1,D2のそれぞれの測定手順から明らかなように、平坦部100Aおよび湾曲部100Bのそれぞれのラインプロファイルに基づいて求められる距離D1,D2のそれぞれは、厳密には、互いに隣り合う2つのピークトップ間の距離であり、すなわち互いに隣り合う2つの負極集電体21の中心位置間の距離である。
【0106】
<1−4.動作>
この二次電池では、例えば、充電時において、正極10からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して負極20に吸蔵される。また、二次電池では、例えば、放電時において、負極20からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して正極10に吸蔵される。
【0107】
<1−5.製造方法>
この二次電池は、例えば、以下で説明する手順により製造される。
図9は、巻回電極体100の形成方法を説明するために、
図3に対応する平面構成を示している。
【0108】
[正極の作製]
最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合することにより、正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとする。最後に、正極集電体11の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させる。これにより、正極活物質層12(内側層12Aおよび外側層12B)が形成されるため、正極10が作製される。この場合には、正極10に非形成部11S,11Eを設けるために、内側層12Aおよび外側層12Bのそれぞれの形成範囲を調整する。こののち、ロールプレス機などを用いて正極活物質層12を圧縮成型してもよい。この場合には、正極活物質層12を加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
【0109】
[負極の作製]
上記した正極10の作製手順と同様の手順により、負極集電体21の両面に負極活物質層22(内側層22Aおよび外側層22B)を形成する。具体的には、負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとを混合することにより、負極合剤としたのち、有機溶剤などに負極合剤を分散させることにより、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体21の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させる。これにより、負極活物質層22が形成されるため、負極20が作製される。この場合には、負極20に非形成部21S,21Eを設けるために、内側層22Aおよび外側層22Bのそれぞれの形成範囲を調整する。こののち、負極活物質層22を圧縮成型してもよい。
【0110】
[電解液の調製]
溶媒に電解質塩を加えたのち、その溶媒を撹拌する。これにより、溶媒中において電解質塩が溶解または分散されるため、電解液が調製される。
【0111】
[二次電池の組立]
最初に、溶接法などを用いて正極集電体11に正極リード2を接続させると共に、溶接法などを用いて負極集電体21に負極リード3を接続させる。続いて、セパレータ30を介して正極10および負極20を互いに積層させることにより、
図9に示したように、積層体200を得る。
【0112】
続いて、巻回用の治具300を用いて積層体200を巻回させる。この治具300は、巻回軸Jと直交する断面が扁平形状を有するように積層体200を巻回させるために用いられる部材であり、平坦部100Aに対応する平坦部300Aと、一対の湾曲部100Bに対応する一対の湾曲部300Bとを含んでいる。治具300を用いて積層体200を巻回させる場合には、巻回軸Jに対応する回転軸Rを中心として治具300を左回りに回転させることにより、その治具300の周囲に積層体200を巻き付ける。これにより、治具300の表面に沿うように積層体200が巻かれるため、その治具300の断面形状(扁平形状)を反映するように積層体200が成形されながら巻回される。よって、平坦部100Aおよび一対の湾曲部100Bを含む巻回体210が形成される。この巻回体210の構成は、電解液が含浸されていないことを除いて、巻回電極体100の構成と同様である。
【0113】
この場合には、治具300を用いた積層体200の巻回工程において、その治具300の回転速度を適宜変化させることにより、その積層体200を締め付ける力が平坦部100Aよりも一対の湾曲部100Bにおいて強くなるようにする。具体的には、積層体200の巻回工程において、平坦部100Aでは治具300の回転速度を相対的に遅くすると共に、一対の湾曲部100Bでは治具300の回転速度を相対的に速くする。これにより、積層体200の巻回工程により形成される巻回体210では、その積層体200を締め付ける力が平坦部100Aよりも一対の湾曲部100Bにおいて相対的に強くなるため、互いに隣り合う2つの負極集電体21同士が互いに接近する。すなわち、上記したように、治具300の回転速度を適宜調整することにより、距離D1,D2のそれぞれが変化するため、距離比D2/D1を制御することができる。
【0114】
続いて、巻回体210を挟むように外装部材1を折り畳んだのち、熱融着法などを用いて外装部材1のうちの一片の外周縁部を除いた残りの外周縁部同士を互いに接着させることにより、袋状の外装部材1の内部に巻回体210を収納する。この場合には、正極リード2と外装部材1との間に密着フィルム4を挿入すると共に、負極リード3と外装部材1との間に密着フィルム4を挿入する。最後に、袋状の外装部材1の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材1を密封する。これにより、電解液が巻回体210に含浸されるため、巻回電極体100が形成される。よって、外装部材1の内部に巻回電極体100が封入されるため、二次電池が完成する。
【0115】
<1−6.作用および効果>
この二次電池では、巻回軸Jと直交する断面が扁平形状を有する巻回電極体100において、幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1に関して、上記した条件Aおよび条件Bのうちのいずれかが満たされている。この場合には、上記したように、湾曲部100Bにおいて、巻回時の締め付けに起因する拘束力が平坦部100Aより増加すると共に、物理的強度も平坦部100Aより増加するため、充放電時において巻回電極体100が幅方向に膨張しにくくなる。よって、充放電時において放電容量が担保されながら二次電池が膨張しにくくなるため、優れた電池特性を得ることができる。
【0116】
特に、距離比D2/D1が0.930以上であれば、充電時において巻回電極体100が厚さ方向にも膨張しにくくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0117】
また、負極20が天然黒鉛および人造黒鉛のうちの一方または双方を含んでいれば、高い放電容量を得られるため、より高い効果を得ることができる。この場合には、負極20がケイ素の単体、ケイ素の化合物およびケイ素の合金のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいれば、放電容量が増加するため、さらに高い効果を得ることができる。
【0118】
<2.変形例>
上記した二次電池の構成は、適宜、変更可能である。なお、以下で説明する一連の変形例に関しては、任意の2種類以上が互いに組み合わされてもよい。
【0119】
具体的には、巻回電極体100の巻回層数Nは、任意に変更可能である。すなわち、
図5および
図6では、巻回層数Nが11である場合に関して説明したが、その巻回層数Nは、条件Aおよび条件Bにおいて規定される値であれば、任意に設定可能である。
【0120】
また、条件Aおよび条件Bにおいて規定されている適正な範囲となるように距離比D2/D1を設定するために、巻回電極体100の形成時(積層体200の巻回時)における治具300の回転速度を変更したが、その距離比D2/D1を制御する方法は、特に限定されない。すなわち、適正な範囲となるように距離D2/D1を制御可能であれば、治具300の回転速度を変更させる方法以外の他の方法を用いてもよい。
【0121】
<3.二次電池の用途>
上記した二次電池の用途は、その二次電池を駆動用の電源および電力蓄積用の電力貯蔵源などとして利用可能である機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として用いられる二次電池は、主電源でもよいし、補助電源でもよい。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、例えば、主電源の代わりに用いられる電源でもよいし、必要に応じて主電源から切り替えられる電源でもよい。二次電池を補助電源として用いる場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
【0122】
二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む。)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの電動車両である。非常時に備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、二次電池の用途は、上記した用途以外の他の用途でもよい。
【0123】
なお、電池パックは、後述するように、単電池を用いてもよいし、組電池を用いてもよい。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド電気自動車(HEV)など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して家庭用の電気製品などを使用可能である。電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動する工具である。電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。
【0124】
ここで、二次電池のいくつかの適用例に関して、具体的に説明する。ただし、以下で説明する適用例の構成は、あくまで一例であるため、その適用例の構成に関しては、適宜、変更可能である。
【0125】
<3−1.電池パック(単電池)>
図10は、単電池を用いた電池パックの斜視構成を表していると共に、
図11は、
図10に示した電池パックのブロック構成を表している。ただし、
図10では、電池パックが分解された状態を示している。
【0126】
ここで説明する電池パックは、1個の二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆるソフトパック)であり、例えば、スマートフォンに代表される電子機器などに搭載される。この電池パックは、例えば、
図10に示したように、ラミネートフィルム型の二次電池である電源111と、その電源111に接続される回路基板116とを備えている。この電源111には、正極リード112および負極リード113が取り付けられている。
【0127】
電源111の両側面には、一対の粘着テープ118,119が貼り付けられている。回路基板116には、保護回路(PCM:Protection・Circuit・Module )が形成されている。この回路基板116は、タブ114を介して正極リード112に接続されていると共に、タブ115を介して負極リード113に接続されている。また、回路基板116は、外部接続用のコネクタ付きリード線117に接続されている。なお、回路基板116が電源111に接続された状態において、その回路基板116は、ラベル120および絶縁シート121により保護されている。
【0128】
また、電池パックは、例えば、
図11に示したように、電源111と、回路基板116とを備えている。回路基板116は、例えば、制御部121と、スイッチ部122と、PTC素子123と、温度検出部124とを備えている。電源111は、正極端子125および負極端子127を介して外部と接続可能であるため、その電源111は、正極端子125および負極端子127を介して充放電される。温度検出部124は、温度検出端子(いわゆるT端子)126を用いて温度を検出する。なお、回路基板116がPTC素子123を備えていないため、別途、回路基板116にPTC素子が付設されていてもよい。
【0129】
制御部121は、例えば、中央演算処理装置(CPU)およびメモリなどを含んでおり、電池パック全体の動作を制御する。この制御部121は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達すると、スイッチ部122を切断させることにより、電源111の電流経路に充電電流が流れないようにすると共に、充電時において大電流が流れると、スイッチ部122を切断させることにより、充電電流を遮断する。過充電検出電圧は、特に限定されないが、例えば、4.2V±0.05Vである。また、制御部121は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達すると、スイッチ部122を切断させることにより、電源111の電流経路に放電電流が流れないようにすると共に、放電時において大電流が流れると、スイッチ部122を切断させることにより、放電電流を遮断する。過放電検出電圧は、特に限定されないが、例えば、2.4V±0.1Vである。
【0130】
スイッチ部122は、例えば、充電制御スイッチおよび放電制御スイッチなどを含んでおり、制御部121の指示に応じて電源111の使用状態(電源111と外部機器との接続の有無)を切り換える。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチのそれぞれは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチであり、充放電電流は、例えば、スイッチ部122のON抵抗に基づいて検出される。
【0131】
温度検出部124は、例えば、サーミスタなどの温度検出素子を含んでおり、電源111の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部121に出力する。
【0132】
<3−2.電池パック(組電池)>
図12は、組電池を用いた電池パックのブロック構成を表している。この電池パックは、例えば、筐体60の内部に、制御部61と、電源62と、スイッチ部63と、電流測定部64と、温度検出部65と、電圧検出部66と、スイッチ制御部67と、メモリ68と、温度検出素子69と、電流検出抵抗70と、正極端子71および負極端子72とを備えている。
【0133】
制御部61は、例えば、CPUなどを含んでおり、電池パック全体の動作を制御する。電源62は、2個以上の二次電池を含む組電池であり、その2個以上の二次電池の接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源62は、2並列3直列となるように互いに接続された6個の二次電池を含んでいる。
【0134】
スイッチ部63は、例えば、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオードなどを含んでおり、制御部61の指示に応じて電源62の使用状態(電源62と外部機器との接続の有無)を切り換える。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチのそれぞれは、例えば、上記した半導体スイッチである。
【0135】
電流測定部64は、電流検出抵抗70を用いて電流を測定すると共に、その電流の測定結果を制御部61に出力する。温度検出部65は、温度検出素子69を用いて温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部61に出力する。電圧検出部66は、電源62(二次電池)の電圧を測定すると共に、アナログ−デジタル変換された電圧の測定結果を制御部61に供給する。
【0136】
スイッチ制御部67は、電流測定部64および電圧検出部66のそれぞれから入力される信号に応じて、スイッチ部63の動作を制御する。このスイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達すると、スイッチ部63(充電制御スイッチ)を切断することにより、電源62の電流経路に充電電流が流れないようにする。過充電検出電圧は、特に限定されないが、例えば、4.2V±0.05Vである。これにより、電源62では、放電用ダイオードを介して放電だけが可能になると共に、スイッチ制御部67は、例えば、充電時に大電流が流れると、充電電流を遮断する。また、スイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達すると、スイッチ部63(放電制御スイッチ)を切断することにより、電源62の電流経路に放電電流が流れないようにする。過放電検出電圧は、特に限定されないが、例えば、2.4V±0.1Vである。これにより、電源62では、充電用ダイオードを介して充電だけが可能になると共に、スイッチ制御部67は、例えば、放電時に大電流が流れると、放電電流を遮断する。
【0137】
メモリ68は、例えば、不揮発性メモリであるEEPROMなどを含んでいる。温度検出素子69は、例えば、サーミスタなどを含んでおり、電源62の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部61に出力する。正極端子71および負極端子72のそれぞれは、電池パックを用いて稼働する外部機器(例えば、ノート型のパーソナルコンピュータ)および電池パックを充電するために用いられる外部機器(例えば、充電器)などに接続される端子である。電源62は、正極端子71および負極端子72を介して充放電される。
【0138】
<3−3.電動車両>
図13は、電動車両の一例であるハイブリッド電気自動車(HEV)のブロック構成を表している。このHEVは、例えば、筐体73の内部に、制御部74と、エンジン75と、電源76と、駆動用のモータ77と、差動装置78と、発電機79と、トランスミッション80およびクラッチ81と、インバータ82,83と、各種センサ84とを備えている。この他、HEVは、例えば、差動装置78およびトランスミッション80に接続された前輪用駆動軸85および前輪86と、後輪用駆動軸87および後輪88とを備えている。
【0139】
ここで説明するHEVは、例えば、エンジン75およびモータ77のうちのいずれか一方を駆動源として用いて走行可能である。エンジン75は、主要な動力源であり、例えば、ガソリンエンジンなどである。エンジン75を動力源とする場合、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して、エンジン75の駆動力(回転力)が前輪86および後輪88に伝達される。なお、エンジン75の回転力が発電機79に伝達されるため、その回転力を利用して発電機79が交流電力を発生すると共に、その交流電力がインバータ83を介して直流電力に変換されるため、その直流電力が電源76に蓄積される。一方、変換部であるモータ77を動力源とする場合には、電源76から供給された電力(直流電力)がインバータ82を介して交流電力に変換されるため、その交流電力を利用してモータ77が駆動する。このモータ77により電力から変換された駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86および後輪88に伝達される。
【0140】
なお、制動機構を介してHEVが減速すると、その減速時の抵抗力がモータ77に回転力として伝達されるため、その回転力を利用してモータ77が交流電力を発生させてもよい。この交流電力は、インバータ82を介して直流電力に変換されるため、その直流回生電力は、電源76に蓄積されることが好ましい。
【0141】
制御部74は、例えば、CPUなどを含んでおり、HEV全体の動作を制御する。電源76は、1個または2個以上の二次電池を含んでおり、外部電源と接続可能である。各種センサ84は、例えば、速度センサ、加速度センサおよびエンジン回転数センサなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、エンジン75の回転数を制御すると共にスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。
【0142】
なお、電動車両がHEVである場合を例に挙げたが、その電動車両は、エンジン75を用いずに電源76およびモータ77だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよいし、外部充電機能が追加されたプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)でもよいし、水素燃料電池自動車(FCV)でもよいし、それら以外の他の自動車でもよい。
【0143】
<3−4.電力貯蔵システム>
図14は、電力貯蔵システムのブロック構成を表している。この電力貯蔵システムは、例えば、一般住宅および商業用ビルなどの家屋89の内部に、制御部90と、電源91と、スマートメータ92と、パワーハブ93とを備えている。なお、電力貯蔵システムは、1戸(1世帯)ごとに設置されていてもよいし、複数戸(複数世帯)ごとに設置されていてもよい。
【0144】
ここでは、電源91は、例えば、家屋89の内部に設置された電気機器94に接続されていると共に、家屋89の外部に停車された電動車両96に接続可能である。また、電源91は、例えば、家屋89に設置された自家発電機95にパワーハブ93を介して接続されていると共に、スマートメータ92およびパワーハブ93を介して外部の集中型電力系統97に接続可能である。
【0145】
なお、電気機器94は、例えば、冷蔵庫、エアコン、テレビおよび給湯器などの家電製品のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。自家発電機95は、例えば、太陽光発電機および風力発電機などの発電機のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。電動車両96は、例えば、電気自動車、電気バイクおよびハイブリッド自動車などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。集中型電力系統97は、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所および風力発電所などの発電所のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0146】
制御部90は、例えば、CPUなどを含んでおり、電力貯蔵システム全体の動作を制御する。電源91は、1個または2個以上の二次電池を含んでいる。スマートメータ92は、例えば、電力需要側の家屋89に設置されるネットワーク対応型の電力計であり、電力供給側と通信可能である。
【0147】
この電力貯蔵システムでは、例えば、外部電源である集中型電力系統97からスマートメータ92およびパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積されると共に、独立電源である自家発電機95からパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積される。この電源91に蓄積された電力は、制御部90の指示に応じて電気機器94および電動車両96に供給されるため、その電気機器94が稼働可能になると共に、その電動車両96が充電可能になる。
【0148】
<3−5.電動工具>
図15は、電動工具のブロック構成を表している。ここで説明する電動工具は、例えば、電動ドリルであり、工具本体98の内部に、制御部99と、電源100とを備えている。この工具本体98には、例えば、可動部であるドリル部101が稼働(回転)可能に取り付けられている。制御部99は、例えば、CPUなどを含んでおり、電動工具全体の動作を制御する。電源100は、1個または2個以上の二次電池を含んでいる。この制御部99は、動作スイッチの操作に応じて電源100からドリル部101に電力を供給する。
【実施例】
【0149】
以下では、本技術の実施例に関して説明する。
【0150】
(実験例1−1〜1−132)
以下で説明するように、二次電池を作製したのち、その二次電池の電池特性を評価した。
【0151】
[二次電池の作製]
最初に、以下で説明する手順により、
図1〜
図4に示したラミネートフィルム型の二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製した。
【0152】
(正極の作製)
正極10を作製する場合には、最初に、正極活物質(LiCoO
2 )91質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)3質量部と、正極導電剤(黒鉛)6質量部とを混合することにより、正極合剤とした。続いて、有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に正極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを得た。続いて、コーティング装置を用いて正極集電体11(アルミニウム箔,厚さ=12μm)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層12(内側層12Aおよび外側層12B)を形成した。この場合には、
図2に示したように、内側層12Aおよび外側層12Bのそれぞれの形成範囲を調整した。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層12を圧縮成型した。
【0153】
なお、正極10を作製する場合には、表1〜表11に示したように、正極活物質層12の厚さ(μm)および面積密度(mg/cm
2 )を設定した。この厚さは、内側層12Aおよび外側層12Bのそれぞれの厚さであると共に、面積密度は、内側層12Aおよび外側層12Bの双方を併せた面積密度である。
【0154】
(負極の作製)
負極20を作製する場合には、最初に、負極活物質(炭素材料である人造黒鉛)95質量部と、負極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)5質量部とを混合することにより、負極合剤とした。続いて、有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを得た。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体21(銅箔,厚さ=8μm)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層22(内側層22Aおよび外側層22B)を形成した。この場合には、
図2に示したように、内側層22Aおよび外側層22Bのそれぞれの形成範囲を調整した。最後に、ロールプレス機を用いて負極活物質層22を圧縮成型した。
【0155】
なお、負極20を作製する場合には、表1〜表11に示したように、負極活物質層22の厚さ(μm)および面積密度(mg/cm
2 )を設定した。この厚さは、内側層22Aおよび外側層22Bのそれぞれの厚さであると共に、面積密度は、内側層22Aおよび外側層22Bの双方を併せた面積密度である。
【0156】
(電解液の調製)
電解液を調製する場合には、溶媒(炭酸エチレンおよび炭酸エチルメチル)に電解質塩(六フッ化リン酸リチウム)を加えたのち、その溶媒を撹拌した。この場合には、溶媒の混合比(重量比)を炭酸エチレン:炭酸エチルメチル=50:50とすると共に、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。
【0157】
(二次電池の組み立て)
二次電池を組み立てる場合には、最初に、正極10(正極集電体11)にアルミニウム製の正極リード2を溶接すると共に、負極(負極集電体21)に銅製の負極リード3を溶接した。続いて、セパレータ30(微多孔性ポリエチレンフィルム,厚さ=15μm)を介して正極10および負極20を互いに積層させることにより、積層体200を得た。
【0158】
続いて、
図9に示した手順により、回転軸Rを中心として治具300を回転させることにより、その治具300の回転に応じて巻回軸Jを中心として積層体200を巻回させたのち、その積層体200の最外周部に保護テープを貼り付けることにより、巻回体210を得た。
【0159】
この場合には、表1〜表11に示したように、巻回層数Nを設定した。また、積層体200の巻回工程において治具300の回転速度を調整することにより、表1〜表11に示したように、距離D1,D2および距離比D2/D1のそれぞれを変化させた。
【0160】
続いて、巻回体210を挟むように外装部材1(表面保護層:ナイロンフィルム,厚さ=25μm/金属層:アルミニウム箔,厚さ=40μm,/融着層:ポリプロピレンフィルム,厚さ=30μm)を折り畳んだのち、その外装部材1のうちの2辺の外周縁部同士を互いに熱融着した。この場合には、外装部材1と正極リード2と外装部材1との間に密着フィルム4(ポリプロピレンフィルム,厚さ=15μm)を挿入すると共に、外装部材1と負極リード4との間に密着フィルム5(ポリプロピレンフィルム,厚さ=15μm)を挿入した。最後に、外装部材1の内部に電解液を注入することにより、その電解液を巻回体210に含浸させたのち、減圧環境中において外装部材1のうちの残りの1辺の外周縁部同士を互いに熱融着した。
【0161】
これにより、巻回電極体100が形成されると共に、その巻回電極体100が外装部材1の内部に封入されたため、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。この場合には、表1〜表11に示したように、巻回電極体100の幅W(μm)および高さH(μm)のそれぞれを設定した。
【0162】
[電池特性の評価]
二次電池の電池特性(膨張特性およびサイクル特性)を調べたところ、表1〜表11に示した結果が得られた。
【0163】
(膨張特性)
膨張特性を調べる場合には、最初に、二次電池の状態を安定化させるために、常温環境中(温度=23℃)において二次電池を1サイクル充放電させた。充電時には、1Cの電流で電圧が4.4Vに到達するまで定電流充電したのち、4.4Vの電圧で電流が0.05Cに到達するまで定電圧充電した。放電時には、1Cの電流で電圧が3.0Vに到達するまで定電流放電した。「1C」とは、電池容量(理論容量)を1時間で放電しきる電流値であると共に、「0.05C」とは、その電池容量を20時間で放電しきる電流値である。
【0164】
続いて、同環境中において二次電池を1サイクル充放電させたのち、2サイクル目の巻回電極体100の厚さT(mm)を測定した。2サイクル目の充放電条件は、上記した1サイクル目の充放電条件と同様にした。
【0165】
続いて、同環境中において二次電池を500サイクル充放電させたのち、502サイクル目の巻回電極体100の厚さT(mm)を測定した。充放電条件は、充電時の電流を0.7Cに変更したと共に放電時の電流を0.7Cに変更したことを除いて、上記した1サイクル目の充放電条件と同様にした。「0.7C」とは、電池容量を10/7時間で放電しきる電流値である。
【0166】
最後に、膨張率(%)=[(502サイクル目の厚さT−2サイクル目の厚さT)/2サイクル目の厚さT]×100という計算式に基づいて、その膨張率を算出した。
【0167】
(サイクル特性)
サイクル特性を調べる場合には、上記した膨張特性を調べた手順において、2サイクルの充放電後に二次電池の放電容量(2サイクル目の放電容量)を測定すると共に、500サイクルの充放電後に二次電池の放電容量(502サイクル目の放電容量)を測定したのち、維持率(%)=(502サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100という計算式に基づいて、その維持率を算出した。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
【表3】
【0171】
【表4】
【0172】
【表5】
【0173】
【表6】
【0174】
【表7】
【0175】
【表8】
【0176】
【表9】
【0177】
【表10】
【0178】
【表11】
【0179】
[考察]
表1〜表11に示したように、膨張特性およびサイクル特性は、巻回電極体100の構成(幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1)に応じて大きく変動した。
【0180】
具体的には、表1〜表7(実験例1−1〜1−84)に示したように、幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1に関して条件A(幅W=30mm〜160mm,巻回層数N=8〜19,距離比D2/D1≦0.989)が満たされている場合には、その条件Aが満たされてない場合と比較して、高い維持率が維持されながら膨張率が減少した。
【0181】
また、表8(実験例1−85〜1−96)に示したように、幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1に関して条件B(幅W>160μm,巻回層数N≧15以上,距離比D2/D1≦0.989)が満たされている場合には、その条件Bが満たされていない場合と比較して、高い維持率が維持されながら膨張率が減少した。
【0182】
特に、条件Aが満たされている場合には、距離比D2/D1が0.930以上であると、膨張率がより減少した。
【0183】
また、条件Bが満たされている場合においても距離比D2/D1が0.930以上であると、膨張率がより減少した。
【0184】
この他、条件Aが満たされている場合には、表9および表10(実験例1−97〜1−120)に示したように、高さHを変更しても同様の傾向が得られたと共に、表11(実験例1−121〜1−132)に示したように、正極活物質層12および負極活物質層22のそれぞれの構成(厚さおよび面積密度)を変更しても同様の傾向が得られた。
【0185】
(実験例2−1〜2−6)
表12に示したように、負極活物質(炭素材料)として人造黒鉛に代えて天然黒鉛を用いたことを除いて同様の手順により、二次電池を作製したのち、その二次電池の電池特性(膨張特性およびサイクル特性)を調べた。
【0186】
【表12】
【0187】
負極活物質として炭素材料(天然黒鉛)を用いた場合(表12)においても、負極活物質として炭素材料(人造黒鉛)を用いた場合(表1〜表11)と同様の傾向が得られた。すなわち、幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1に関して条件Aが満たされている場合には、その条件Aが満たされていない場合と比較して、高い維持率が維持されながら膨張率が減少した。また、距離比D2/D1が0.930以上であると、膨張率がより減少した。
【0188】
(実験例3−1〜3−6)
表13に示したように、負極活物質として炭素材料(人造黒鉛)に代えて炭素材料(人造黒鉛)と金属系材料(酸化ケイ素(SiO))との混合物を用いたことを除いて同様の手順により、二次電池を作製したのち、その二次電池の電池特性(膨張特性およびサイクル特性)を調べた。この場合には、負極活物質(炭素材料と金属系材料との混合物)中における金属系材料の割合を5重量%とした。
【0189】
【表13】
【0190】
負極活物質として炭素材料(人造黒鉛)と金属系材料(酸化ケイ素)との混合物を用いた場合(表13)においても、負極活物質として炭素材料(人造黒鉛)を用いた場合(表1〜表11)と同様の傾向が得られた。すなわち、幅W、巻回層数Nおよび比D2/D1に関して条件Aが満たされている場合には、その条件Aが満たされていない場合と比較して、高い維持率が維持されながら膨張率が減少した。また、距離比D2/D1が0.930以上であると、膨張率がより減少した。
【0191】
(実験例4−1〜4−6)
表14に示したように、負極活物質として炭素材料(人造黒鉛)に代えて炭素材料(天然黒鉛)と金属系材料(酸化ケイ素)との混合物を用いたことを除いて同様の手順により、二次電池を作製したのち、その二次電池の電池特性(膨張特性およびサイクル特性)を調べた。この場合には、負極活物質(炭素材料と金属系材料との混合物)中における金属系材料の割合を5重量%とした。
【0192】
【表14】
【0193】
負極活物質として炭素材料(天然黒鉛)と金属系材料(酸化ケイ素)との混合物を用いた場合(表14)においても、負極活物質として炭素材料(人造黒鉛)を用いた場合(表1〜表11)と同様の傾向が得られた。すなわち、幅W、巻回層数Nおよび比D2/D1に関して条件Aが満たされている場合には、その条件Aが満たされていない場合と比較して、高い維持率が維持されながら膨張率が減少した。また、距離比D2/D1が0.930以上であると、膨張率がより減少した。
【0194】
[まとめ]
表1〜表14に示した結果から、巻回軸Jと直交する断面が扁平形状を有する巻回電極体100において、幅W、巻回層数Nおよび距離比D2/D1に関して条件Aおよび条件Bのうちのいずれかが満たされていると、サイクル特性が担保されながら膨張特性が改善された。よって、優れた二次電池の電池特性を得ることができた。
【0195】
以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術に関して説明したが、その本技術の態様は一実施形態および実施例において説明された態様に限定されないため、その本技術の態様に関しては種々の変形が可能である。
【0196】
具体的には、本技術の二次電池がラミネートフィルム型の二次電池である場合に関して説明したが、これに限られない。例えば、本技術の二次電池は、ラミネートフィルム型の二次電池と同様に膨れが顕在化しやすい角型の二次電池などの他の二次電池でもよい。
【0197】
また、本技術の二次電池が電極反応物質としてリチウムを用いたリチウムイオン二次電池である場合に関して説明したが、これに限られない。例えば、本技術の二次電池は、電極反応物質としてリチウム以外の物質を用いた他の二次電池でもよい。
【0198】
なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示であるため、本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本技術に関して他の効果が得られてもよい。